Academia e-Network

国立大学独立行政法人化の諸問題: 荒廃の諸相


4/20 服部孝章氏>私人の思想や行為を「公」あるいは国家の意思が押しつぶしていくサマを、傍観していいはずがない。イラク戦争 , メディアの諸問題 , メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 中央行政の諸問題
4/19 [AcNet Letter 98] 投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」AcNet Letter , イラク戦争 , 研究者から社会へ , 荒廃の諸相 , 大学の使命
3/13 “十三無主義”荒廃の諸相
3/13 「たくさんの言い訳」イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 本の紹介
3/13 [AcNet Letter 71] 東京都立大学評議会見解2004.3.9AcNet Letter , 意見広告の会ニュース , 荒廃の諸相 , 大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 東京都の大学支配問題
3/06 日本政府 主に軍需産業に投資するファンドに40億円出資 荒廃の諸相
3/04 法学者50名の抗議声明:自衛官宅へのビラ配布者逮捕についてイラク戦争 , 研究者から社会へ , 荒廃の諸相 , 大学の使命
2/23 中村哲医師「残る者が残り、後始末をせざるを得ない」荒廃の諸相
2/18 成果主義が産み出す「手配師型技術者」荒廃の諸相 , 人事 , 本の紹介
1/19 Publicity 833「戦中の非国民か、戦後の戦犯か」荒廃の諸相
1/18 サマワの青年の願い「小泉首相にお願いしたい。他国に自由を与える前に、日本国民に自由を与えてほしい」イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 平気で嘘をつく指導者達
1/13 「なぜなら、イラクは出口のない泥沼だからだ」イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 国際問題 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
1/06 「この差は現実(現場)を見ているかどうかの差だろう」イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 国際問題
12/30 国際平和ミュージアム館長:自衛隊派遣の閣議決定を厳しく批判noblesse oblige , イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 大学の使命 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
12/30 平気で嘘をつく人々の記録2:東京都知事荒廃の諸相 , 東京都の大学支配問題 , 不当な介入 , 平気で嘘をつく指導者達
12/29 平気で嘘をいう人々で構成された内閣イラク戦争 , メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 平気で嘘をつく指導者達
12/28 池澤夏樹氏「自衛隊の派遣は大きな間違いであるとぼくは考えます。」noblesse oblige , イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
12/21 "「自衛隊派遣は仕方の無いこと」そこで思考停止だ"イラク戦争 , 荒廃の諸相
12/21 無関心という「罪」の重さイラク戦争 , メディアの諸問題 , 荒廃の諸相
12/21 イラク特需のための自衛隊派遣かイラク戦争 , 荒廃の諸相
12/17 "その都度、人間は安易な処方箋を信じて自壊への道をたどった"イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 国際問題
12/17 "「閉じた共同性」の醜悪さ"荒廃の諸相
12/11 「劣化ウラン弾による健康被害等については国際的に確定的な結論が出されているとは承知しておらず・・・・・」荒廃の諸相
12/11 「政治家はこの程度の理屈で、国民を戦争に行かすのか」イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
12/09 サマーワでの被爆問題イラク戦争 , 荒廃の諸相
12/07 「死んでからでは何も言えない」イラク戦争 , 荒廃の諸相
11/29 モラルパニックと監視社会荒廃の諸相
11/14 (週刊朝日2003-8-29) 成果主義の「崩壊」 給料と直結やめた1部上場企業も荒廃の諸相 , 人事 , 大学における不当解雇 , 大学の労使関係 , 大学評価 , 任期制の諸問題
11/12 日本が紙にするタスマニア原生林荒廃の諸相
11/03 年少の特攻隊員だった茶本氏、石原都知事の退任を求む荒廃の諸相
11/02 国民審査を受ける藤田宙靖最高裁判事への公開書簡より荒廃の諸相 , 司法改革 , 司法制度の形骸化
10/29 陰謀論者というレッテル荒廃の諸相
10/20 「左翼パラドックス」とは荒廃の諸相
10/18 「権利(right)と特権(privilege)の違い」荒廃の諸相
10/18 国民愚弄の姿勢は総選挙の争点にならないのか?荒廃の諸相
10/13 事態を甘く見すぎてはいないかーJCJ 視角より荒廃の諸相
10/13 『悲劇の教訓』――もうひとつの9・11事件30周年を記念して荒廃の諸相
10/12 書評:「ぷちナショナリズム症候群」香山リカ著荒廃の諸相
10/03 規律訓練型権力から環境管理型権力へ荒廃の諸相
10/03 国対型国会運営の定番:「テロ特措法延長修正案」を提出し民主が自民を援助荒廃の諸相
9/11 JANJAN 9/10 「ODAで根こそぎにされた人々の問いかけ(1) コトパンジャン・ダム訴訟」荒廃の諸相
9/09 「衆議統裁」の蔓延学長の権限 , 荒廃の諸相 , 大学内行政
9/08 TUP 速報より「 [公開書簡] 彼らは何をやってしまったのか」荒廃の諸相
9/04 朝日新聞9/3「就学援助受ける児童生徒が急増 不況影響、10人に1人」荒廃の諸相
8/28 「悪化する職場のメンタルヘルス・・・・・」荒廃の諸相
8/28 出生率トップは父母とも「管理職」…人口動態調査荒廃の諸相
8/26 在日アメリカ人学者による大学批判の本荒廃の諸相 , 大学の自治 , 不当な介入 , 本の紹介
8/13 伊丹万作:「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。荒廃の諸相
8/05  [reform:04921] 都立大に吹き荒れるファシズムの嵐荒廃の諸相 , 大学の骨組みの変更 , 大学の自治 , 大学政策 , 地方独立行政法人制度 , 不当な介入
8/05 「都立の新しい大学の構想について」に対して抗議する荒廃の諸相 , 国会審議の形骸化 , 大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 不当な介入
8/03 国公私立大学通信8月3日序荒廃の諸相 , 国公私立大学通信 , 大学の自治 , 大学政策
8/02 asahi.com 8/1:「単位バンク」で柔軟カリキュラム 統合後の都立新大学学長の権限 , 荒廃の諸相 , 人事 , 大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 不当な介入
8/01 「NHKは神か」メディアの情報操作 , 荒廃の諸相
7/30 1998.12 「自由で独立した裁判官を求める市民の会」荒廃の諸相 , 司法制度の形骸化
7/26 イラク特別措置法可決における与野党談合?メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 国会審議の形骸化
7/24 行政を代弁して憚らない記者達メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 国立大学法人法
7/22 黒田清「批判ができない新聞」メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 国会審議の形骸化 , 天下り , 本の紹介
7/21 宮脇磊介「騙されやすい日本人」よりメディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 本の紹介

2004年04月20日

服部孝章氏>私人の思想や行為を「公」あるいは国家の意思が押しつぶしていくサマを、傍観していいはずがない。

服部孝章氏(立教大学教授)「現場」への意思 否定できぬ
毎日新聞 2004.4.20 メディアを読む/放送   抜粋

「無事」に帰国したイラクでの人質3人を心なき言葉が迎えた。・・・・・批判も自由だ。でも「現場」に行こうとした意思そのものを根本から否定するかのような発言は、1945年以前の 国家総動員法の時代への回帰だ。

政府が繰り返している勧告に従わなれば犯罪者なのか。関西空港や羽田空港での3人の様子は国家機関に保護された「囚われ人」であった。・・・・・3人が政府の保護下になってからの憔悴しきった表情からは、自由意思までもその管理下になったようにさえ見えてしまう。イラクで人質になった5人はこれまで、インターネットのホームページなどに多くの意見や情報を掲載してきた。・・・帰国の際の飛行機での"隔離"などは、それは「解放」と同時に見えざる手によって「幽閉」されたようにも見える。・・・・・私人の思想や行為を「公」あるいは国家の意思が押しつぶしていくサマを、傍観していいはずがない。・・・・・(・・・・・は省略部分)

2004年04月19日

[AcNet Letter 98] 投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」

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Academia e-Network Letter No 98 (2004.04.18 Sun)
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━┫AcNet Letter 98 目次┣━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━

【1】 白井厚氏「大学ーー風にそよぐ葦の歴史」抜粋
http://ac-net.org/dgh/01/901-shirai.htm
日本経済評論社 1996.12.8 ISBN 4-8188-0903-9

□その精神状況というものは、大学としては自滅ではな
かったんだろうか。だから大学ははたして大学だったの
だろうかということです。□

【2】 転載:緊急共同声明の賛同呼かけ
http://www.jca.apc.org/wsf_support/ngo_statement.html

□このような世論形成は、人命を軽視した安易な武力行
使や実力行使を正当化させかねず、NGOなどによる海外
での活動を大きく制約しかねないという危機感を大変強
く持っています。□

【3】投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」
Sat, 17 Apr 2004 03:14:11 +0900

□3人は自分自身の国境を超えた博愛の実践活動の実績
で自分の身を守ったといっても過言ではないのです。□

【4】「自己責任論」を巡る言説

 【4-1】 Publicity 904 「陰惨なイジメ大国」ニッポンの本性を撃て
   http://www.emaga.com/bn/?2004040047191840021235.7777
   Publicity 登録ページ:http://www.emaga.com/info/7777.html

  【4-1-1】 松沢呉一氏の意見

□戦地に取材に行って死んじゃった人たちはこれまでに
もいっぱいいますが、こういう人たちに「自業自得」な
んて言葉を投げつけるのなら、命がけでビデオを回し、
写真を撮り、記事を書いている人たちに失礼だから、二
度とニュースや雑誌を見なさんな。□

  【4-1-2】 Publicity 編集者の意見

□“「いじめられる側にも理由がある」という「論理」
が「暴力」になる、という論理”を理解できない人のこ
とを、「日本人」と呼ぶのだ。それをどう変えるかとい
う問題だ。□

 【4-2】ルモンド 2004.4.16 「日本:高揚する人道主義」(抄訳:橋本尚幸氏)
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E2083218708/index.html
□この出来事は日本の若者の間において利他主義の価値
観が強まっていることを示すものである。・・・・本当
の日本の強みとか創造性は、経済指標には現れないこう
した市民活動にあるのである。□

【5】お便り紹介

 【5-1】Fri, 16 Apr 2004 08:55:27 +0900

□ ”もっとも重要な正義の諸概念は,世界はいかに運
行すべきかに関する特定の公式から導出されるものでは
なく,誰の眼にも明々白々な根深い不正義(patent
injustice)を,一つ一つ暴いていくことに見出されるで
あろう(Amartya K. Sen (後藤玲子訳))”□

 【5-2】Sat, 17 Apr 2004 11:33:24 +0900    

□経営協議会学外委員の中から「もはや学問の府ではな
くなった」という発言があったと聞き驚いています。□

【6】 ネットからのクリップ
───────────────────────────────

━ AcNet Letter 98 【1】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

白井厚氏「大学ーー風にそよぐ葦の歴史」抜粋
日本経済評論社 1996.12.8 ISBN 4-8188-0903-9
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4818809039/hon-22/249-5420018-2114769
抜粋: http://ac-net.org/dgh/01/901-shirai.htm
───────────────────────────────
(2001.9.3 http://ac-net.org/wr/wr-66.html#[66-7-2] 再掲)

「・・・大学の目的は、こういった教育・研究を通じて、長期的に
人類の将来の幸福に貢献するものであると考えられます。このへん
が国の政府の目的とは違うわけです。国の政府ですと、関心は個人
の権力やナショナル・インタレストであります。今の政権がいつま
で続くか、次の議会をどうやって乗り切るか、今度の戦争をどうやっ
て勝かというような問題でありまして、常に短期的な利害というも
のを考えなければならない。しかし大学はそういう目的に奉仕する
のではなく、長い将来にわたって人類の幸福ということを考えなけ
ればならない。大学の目的と国家の目的は違う。基本的に矛盾しま
す。・・・・

□ 五十年目の大学評価 p27

大学というのは高等教育機関ですね。去年のわだつみ会の八・一五
の集まりの時だったかと思いますが、当時の日本人がみんなお国の
ために夢中になって戦争に協力をしていた。・・・それに対する疑
問をもった人は非常に少ない。それは教育の効果である、という話
があった。しかしそのときにどなたかが、しかし大学の教育として
は失敗ではないかと発言されて、私はなるほどなと思いました。

大学だけを特別視するのはおかしいけれども、もっとも批判的な精
神を涵養するところが大学であろうと思います。その大学の学生も
教授たちも、戦争目的に対する批判的な見解というものはほとんど
もたなかった。もったごく少数の人は牢獄に入れられた。しかしそ
れ以外の人はほとんどもたなかった。あるいはもとうとしなかった
という、その精神状況というものは、大学としては自滅ではなかっ
たんだろうか。だから大学ははたして大学だったのだろうかという
ことです。小学校なら国定教科書で教えるわけですから、やむをえ
ないと思います。しかし大学には国定教科書はありませんし、まが
りなりにも学問の自由とか言えるような時代に、しかも意外に敗戦
の間際までけっこう自由にしやべっていた人もいる。学生などもけっ
こう自由に動きまわっていた例も幾つもありました。そういうとき
に積極的にこの戦争目的に対する疑問がほとんどどこからも提起さ
れなかったということは、大学としての自滅ではないだろうか。そ
こで、記億に残る大学教員の発言リストをつくったのは、50年目
の大学評価ではないかというふうに思っています。

□ 大学の責任と反省

・・・政治に対する批判とか、真理の探求とか国際情勢の分析とか、
そういう本来大学がやるべき使命を完全に放棄してしまった責任、
そういうものをいったいどう考えるのであろうか。このことが戦後
行うべき大学の一つの仕事ではなかったかと思います。

・・・戦後二、三十年ぐらいで、落ち着いたところで大学は大学と
しての戦争責任というものを自分で整理をする作業をやるべきでは
なかったか。今となっては若干遅きに失した。しかし今からでも、
やらないよりはましかもしれません。大学によっては、かつては右
翼の大学として有名だった大学が、非常に反省して、がらりと内容
を入れ替えて、平和のために、戦争を二度と起こさないために努力
している大学もあります。全然そういうことを考えない大学もあり
ます。大学の評価というのは、いろんな点でなしうることだと思い
ますけれども、過去を正確に調査して、誤りを二度とくり返さない、
そういう決意をもつ、そのための手段をもつ、そういう大学が、将
来ともに生き残るべき優れた大学ではないだろうか。逆に言います
と、そういうことを一切行うつもりがない大学は、世の名声にも関
わらず、学生の偏差値にもかかわらず、大学としては、真理を追求
すべき社会的責任をもつ大学としては失格ではないかと思います。
戦争責任の前に社会的責任があります。・・・・」

(*1) 1994年8月15日、飯田橋の家の光会館ホールで開かれ
た日本戦没学生記念会〔わだつみ会〕主催の講演会記録。「きみと
語りたい、私の8・15−−日本人それぞれの戦争責任−ー」とい
う共通テーマの中で、大学の責任を論した。同年2月発行の『わだ
つみのこえ』No99に録音記録を掲載。)

━ AcNet Letter 98 【2】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━
転載
緊急共同声明の賛同呼かけ
http://www.jca.apc.org/wsf_support/ngo_statement.html
───────────────────────────────

非政府組織(NGO)、市民運動団体、ジャーナリスト団体およびこれ
ら団体に携わっている多くの皆さんに呼かけます。イラクにおける
人質事件をきっかけに、政府やマスメディアの一部から「自己責任」
を問う声が非常に強くなっています。こうした動きは政府から独立
して活動する私たちにとって見過ごせないと考え、以下のような声
明を出しました。是非ともこの声明にご賛同ください。(賛同の方
法、現時点での呼かけ団体(個人)および賛同団体(個人)は末尾
にあります)

(お願い)共同声明の原案の段階で呼かけ・賛同団体(個人)にな
られた方で、リストにお名前がない方がいらしゃれば至急おしらせ
ください。お手数ですがよろしくお願いします。追加訂正はウエッ
ブ版で行います(集約係 小倉/呼かけ人)

(回覧をお願い致します。回覧期間 2004年4月21日)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■(共同声明) ■
■「自己責任」論による非政府組織(NGO)、市民団体、ジャーナリ ■
■スト等の活動への批判に憂慮します ■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

わたしたちは、世界中の人々との草の根の交流、人びとの生活や人
権などへの支援活動、ジャーナリストとしての活動などをおこなっ
ている非政府組織(NGO)、市民団体やこれらに関わる個人です。わ
たしたちは、イラクにおける人質事件以降、政府および一部のマス
メディアが今回の人質事件の原因を危険なイラクに出向いた被害者
たちにあると批判し、事態の責任を「自己責任」の名のもとに、現
地で活動しているNGOや個人に転嫁しようとしていることに大きな
憤りと悲しみを感じています。(注)

このような「自己責任」論は、NGO等として紛争地域などで活動す
る人たちの人命が危険にさらされるような事態になったとしても、
それは当事者の責任であると考えるあやまった世論をつくり出して
しまいます。このような世論形成は、人命を軽視した安易な武力行
使や実力行使を正当化させかねず、NGOなどによる海外での活動を
大きく制約しかねないという危機感を大変強く持っています。

政府や一部マスメディアが主張する「自己責任」論は、自律した個
人が自らの責任で社会活動をすることの意義を意味するという、そ
の本来の意味をすりかえにしています。そして、人質の人たちとそ
の家族を、そのようなまちがった「自己責任」論によって批判する
ようなことはすべきではないということを強く訴えたいと思います。

紛争地域などでのNGO活動には多かれ少なかれリスクは伴います。
このことは、海外で活動する人びとにとっては十分理解されていま
す。武器をもたずに、どこかの国家の組織に属することもなく、イ
ラクの人びとの安全や人権を守り、真実を伝えるために危険な地域
におもむいた人びととその行動を「自己責任」論を持ち出して批判
することはできません。ところが、現在、政府や一部のマスメディ
アが批判のために持ち出している「自己責任」論は、紛争地域での
NGOやジャーナリストなどの活動を萎縮させて閉め出し、その独立
性を失わせ、ますます地域の不安定を助長することになりかねない
のです。

はたして自衛隊や日本の政府がNGOにかわって劣化ウラン弾の被害
の調査を行ったり、貧しい子どもたちを支援するといった活動を行っ
てきたでしょうか。また、政治的な理由に左右されることのない人
道支援を行えるでしょうか。戦争の被害を当事国の利害や国益にと
らわれずに正確に把握することが果たして戦争の当事国にできるも
のなのでしょうか。国連のガイドラインでも、人道および軍事活動
間の明確な区別を維持するために、軍事組織は直接的な人道支援を
すべきではないという基準を設けており、紛争地域で中立な立場で
人道支援できるのはNGOだということが確認されています。これに
反して、「自己責任」論は、人道支援の軍事化を促し、人びとの安
全をますます損なう結果となることに強い危惧を持つものです。

NGO や市民団体は、政府や軍隊には出来ない多くの分野で支援の実
績を達成してきました。この事実は正当に評価されるべきことであっ
ても、「自己責任」の名において批判されるべきではありません。
あるいは、戦時のマスメディアがどれほど戦争の真実を伝えてきた
でしょうか。軍隊や政府の庇護を受けないフリーのジャーナリスト
の報道は不要だといえるでしょうか。検閲や自主規制にとらわれな
いフリーのジャーナリストが戦争の真実を伝えるために、報道の自
由に果たした役割ははかり知れません。

私たちは、政府や一部マスメディアによる「自己責任」論に基づく
人質とその家族の皆さんへの批判はいわれのないものであって間違
いであり、これを撤回することを強く望むものです。そして、現在
のイラクの状況から、人道支援の最大の障害は軍隊なのだというこ
とがあらためて明らかになっているということを強調したいと思い
ます。日本政府が自衛隊をいち早く撤退させ、米国や連合国にも軍
隊の撤退を働きかけかけることこそが、イラクの人びとの生活と生
命の安全を保障し、NGOなどの援助活動、人権監視活動、ジャーナ
リストとしての活動の安全を確保するもっとも確実な方法なのです。

(注)「自己責任」論についての政府、報道機関の言及の一例

外務省の竹内行夫事務次官の発言「非政府組織(NGO)メンバー
によるイラク国内での活動について「自己責任の原則を自覚して、
自らの安全を自らで守るということを考えてもらいたい」

『日経』4月13日社説 「自己責任がイラクにおける基本的な行動原
則である」

『読売』4月13日社説 「自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任
な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。
深刻に反省すべき問題」

=======切り取り線=======

「(共同声明) 「自己責任」論による非政府組織(NGO)、市民団体、
ジャーナリスト等の活動への批判に憂慮します」に賛同します。

お名前
所属
連絡先(メールかファックスをお書き下さい)

なお、いただいた賛同署名については、お名前と肩書きを公表いた
します。連絡先は公表されません。

===================

●賛同署名の送り先および問合わせ先は下記です。

賛同署名の送り先

電子メール jikosekinin@freeml.com
ファックス(ピープルズプラン研究所)03-5273-8362

電話での問合わせ先
    070-5553-5495 (小倉/WSF連絡会)
メールでの問合わせ先

ウエッブ上でのアクセス((WSF連絡会ウエッブサイト内)
http://www.jca.apc.org/wsf_support/ngo_statement.html

呼かけ団体/個人および賛同団体/個人のリストはこちら:
http://www.jca.apc.org/wsf_support/list.html

━ AcNet Letter 98 【3】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」
Sat, 17 Apr 2004 03:14:11 +0900
──────────────────────────────

      人質自己責任論の恣意性と危うさ

3人が解放されるや、政府、一部の政党・マスコミから「人質自己
責任」論が沸騰し、救出費用自己負担論さえ台頭しています。私も
今回の3人のイラク入りが状況判断において問題なしとは思いませ
ん。

しかし、議論をそこに収斂させ、今回の人質事件をより大局的見地
から見ようとしない論調には政治的恣意性と危うさを感じます。

3人が解放されたのは、ご家族の献身的な訴え、内外の救出支援活
動、聖職者協会をはじめとするイラクの各界の方々の尽力によると
ころ大であったのはいうまでもありません。

と同時に、忘れてならないのは郡山さん、高遠さん、今井君がアメ
リカによる占領統治への協力者ではなく、逆に戦禍にあえぐイラク
国民の悲惨な実態を世界に伝え、支援の手をさしのべようとした日
本人であったことが正しく先方に理解されたこと―――このことが
3人の解放につながる大きな要因になったということです。この意
味で、3人は自分自身の国境を超えた博愛の実践活動の実績で自分
の身を守ったといっても過言ではないのです。

さらに背景を辿れば、こうした日本人の善意でさえも危険にさらさ
れる状況になった真因は、日本国政府が国連の枠組みでイラク復興
支援をという国際世論に背を向け、卑屈にもアメリカからの要請に
応える形で自衛隊をイラクへ派遣したこと、そのことがイラク国民
に、自衛隊、ひいては日本はアメリカによる占領統治への協力者と
みなされてしまったこと、にあります。

3人解放後のマスコミの世論調査によれば、自衛隊の撤退を拒否し
た政府の方針を7割以上の回答者が支持したと伝えられています。
その背景には自衛隊はあくまでも人道支援のために出かけたのだか
ら、という意識があるようです。

しかし、こうした国内世論を知るにつけ、私は今回の3人の解放に
尽力したイラク聖職者協会のメンバーが語った、「私たちの方が日
本の小泉さんよりも人質の方々を大切にした」という言葉の重みを
感じずにはいられません。さらに、3人が解放された今もファルー
ジャはアメリカ軍によって封鎖され、再攻撃の恐怖と電気、水道が
断絶した生活環境のなかにおかれていること、そして、ほかでもな
い日本国政府は一貫してこうしたアメリ主導の占領統治に世界有数
の支持を表明してきたこと、を忘れてはならないのです。前記の聖
職者協会メンバーが解放された3人に対して、ファルージャの実態
をぜひ日本の皆さんに伝えてほしいと託した言葉の重みを私たち日
本人が感受できないとしたら、あまりに悲しいことです。

実際問題でいえば、10日ほど前のテレビでサマワのある部族長が
自衛隊の今の活動について、「彼らは基地の中ばかりにいて何も支
援活動をしてくれない。12月まで待つが、そのときになっても今
のままなら、我々は黙っていない」と語っていました。これは、自
衛隊派遣の政治的経緯が人道支援の妨げになっていることの証左と
思われます。

人道支援をいうなら、自衛隊ではなく、電気、水道、建設といった
社会インフラの整備に通じた民間の専門家を派遣するべきでしょう。
彼らであれば、イラク国民に歓迎され、円滑に任務をまっとうでき
るはずです。それでも日本国政府が自衛隊にこだわるとしたら、そ
れは派遣の真の目的が人道支援にあるのではなく、アメリカへの忠
誠のアリバイ作りにあるのだというほかありません。

そこで、提案です。

次のようなことを訴える意見公告を全国紙に掲載することはできな
いでしょうか?

 1.自衛隊は人道支援のために出かけたといわれるが、本当か?
   現地でその任務をどれほど果たせているのか?
   人道支援を実効的に行うための提案

 2.人質自己責任論の国家主義的危険性と問題のすり替え

 3.ファルージャをはじめとするイラク国内の恐怖と貧困の実態

掲載料が莫大であることは承知していますが、多くの賛同者を募る
ことは可能ではないでしょうか?

━ AcNet Letter 98 【4】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

「自己責任論」を巡る言説より

───────────────────────────────
【4-1】Publicity 904 Sat, 17 Apr 2004 04:26:08 +0900 (JST)
「陰惨なイジメ大国」ニッポンの本性を撃て より
http://www.emaga.com/bn/?2004040047191840021235.7777
Publicity 登録ページ:http://www.emaga.com/info/7777.html
───────────────────────────────
【4-1-1】 松沢呉一氏の意見
───────────────────────────────
Pubilicity編集者「そのなかに、胸打たれる一文があった。ぜひ全
文を読んでいただきたいが、一部引用する。」
http://www.pot.co.jp/matsukuro/20040416_687.html

まさに高遠さんは危険を承知しながらイラクに行かないではい
られない立場にあった人でしょ。

彼女を救出するために、イラクの人たちまでがビラ配りをやり
、「彼女の身代わりになる」と少年が言うくらいに信頼関係が
あったわけです。

彼女を「おかあさん」と慕って、写真を持って待っている子供
がいるのをわかっていて、「危険だから、もうイラクには行か
ない」で済むわけ? 

済む人もいるんでしょうし、その判断に対して私がとやかく言
う立場にはないですけど、「危険があるのに」ではなくて、「
危険があるからこそ」、いてもたってもいられずに出かけて行
かないではいられない人がいることくらいどうしてわからんか
な。

冷酷と自覚する私ですけど、自分を「おかあさん」と呼ぶ子供
らを自分の子供のように感じる人に「死ねばいい」などと言う
ことはどうしてもできんです。

(中略)

高遠さんと同じ立場になってさえ「あんたたちは危険の中で生
きていってね。私は安全な国に帰るから。日本の自衛隊があん
たたちの家族を殺した米軍の手伝いに来ているからよろしくね
ー」って子供たちに言い残して日本に帰り、安全が来るまで家
でケツをかきながら寝ころんでテレビを眺めている人がいても
いいけど、そうはできない人の足を引っ張りなさんな。

「自業自得」なんてことは、家でポテトチップスを食いながら
テレビを観ているだけだから言えること、イラクにただ一人待
っている人がいないから言えること、イラクの人たちはその危
険を長期間強いられていることを実感できていないから言える
ことでしかないでしょ。

で、「自業自得」なんて言っている人々が屁をこきながらテレ
ビで観ているニュース映像はいったい誰が撮り、雑誌の記事は
誰が書いていると思っているわけ? 

ロボットか。イヌとかネコか。それとも亀か。カメラマンや記
者が、危険なことをわかっていても現地に行っているからでし
ょうが。

そういった報道があるから、ファルージャで何が起きているの
かを不十分ながら知り、北朝鮮がどうなっているのかをさらに
一層不十分ながら知ることができるわけです。

テレビニュースの映像、雑誌の記事や写真の手前に人がいるこ
とくらい想像しましょうよ。危険を顧みない報道が、私らが考
え、行動することに、どれだけ役に立っているのかくらい想像
しましょうよ。

そういえば、「東京トップレス」(http://tokyotopless.com/)
の工藤君との対談で、「写真の被写体のことは考えても、写真
を撮っている存在については考えられない人たち」についての
話が出てましたが、この程度のことさえも想像できないくらい
に想像力が欠如している人たちって本当にいるみたいですね。

どうやればそこまで鈍感になれるのかについては、私の想像力
も及びません。

ずっと前に書きましたけど、あえて戦場に行く人たちにも当然
功名心はありましょうし、一般的な日本人より自分の死に鈍感
な人たちでもあるのでしょうが、そうであってもやっぱり私は
「ありがたい」「偉い」と素直に思えます。

戦地に取材に行って死んじゃった人たちはこれまでにもいっぱ
いいますが、こういう人たちに「自業自得」なんて言葉を投げ
つけるのなら、命がけでビデオを回し、写真を撮り、記事を書
いている人たちに失礼だから、二度とニュースや雑誌を見なさ
んな。
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【4-1-2】 Publicity 編集者の意見
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▼まもなく起こる情況に備え、少しでも3人とその家族を守る
防波堤になればと思い、ぼくは「いじめの問題は、いじめる側
に全責任がある」という、予め立っている立場を、再び書いて
おこうと思う。

「イジメは、いじめる側が100パーセント悪い」という意見
に対して、「はあ?いじめられる側にも、いじめられる何らか
の原因があるから、いじめられるんじゃないの?仕方ないよ。
いじめられる側にも悪いところがあるんだよ。なに言ってんだ
よ」と思った人がいるかもしれない。

少しでもそう思っている人に借問しよう。いじめられている子
に、「いじめられる何らかの原因」とやらがあったとしよう。
ならばあなたは、その子を「いじめる理由」「いじめる正当性
」を持っているのか?

「いや、私がどうするかという話じゃなくて、一般論としての
話だよ。私はいじめないよ」と言うか? 違う。これは「あな
た」の問題であり、「わたし」の問題だ。

“「いじめられる側にも理由がある」という「論理」が「暴力
」になる、という論理”を理解できない人のことを、「日本人
」と呼ぶのだ。それをどう変えるかという問題だ。

3人に対するだけの問題ではない。在日外国人に対して、難民
に対して、社会的に弱い立場に立っている人々に対して、えと
せとら、これは普遍的な問題だ。

「自衛隊派遣に反対」を表現した国民の自由を、国策のために
封じる自由を国家は持っていないし、持たせてはいけない。

「非国民」を容赦なく密告し糾弾した戦前の雰囲気を、ぼくは
知らないが、こういう雰囲気だったのかな、と思う。年配の読
者からの投稿をいただきたいところである。・・・・・・

▼「人でなし」は、自分が「人でなし」だと自覚しないから、
人でなしなのだ。

この状況下において、解放された3人とその家族に「自己責任
」を問う輩は、想像力が徹底的に欠如した「人でなし」だ。

老若男女問わず、「自己責任」狂いの愚を撃て!

それがニッポンという「イジメ大国」を、「共生の大国」へと
変える第一歩であり、橋頭堡であると信じる。

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【4-2】ルモンド 2004.4.16 (抄訳:橋本尚幸氏)
「日本:高揚する人道主義」
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E2083218708/index.html
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「・・・阪神大震災以降、日本の高度経済成長期に生まれた子供た
ちは、日に日に人道活動やボランティアに数多く従事するようになっ
た。イラクで人質になった彼等の仲間もそうだ。

イラクで人質になった若い日本の三人は、イラクの泥沼の中で、善
意だけを頼りにいったい何をしようとしていたのか? 自覚がない
のか、それともナイーブなのか? 彼等以外に拘束されたと見られ
る二人の若者についても言えることだが、この出来事は日本の若者
の間において利他主義の価値観が強まっていることを示すものであ
る。・・・・・・

1970年から80年にかけて、日本人の若者でアジアの各地をル
ンペン旅行するものが居たが、彼等はごく少数派にしか過ぎなかっ
た。今日、日本では男女を問わず多くの若者たちが無数のNGO活
動に携わって海外に出かける。アフリカやアジアのとんでもない奥
地へである。大学生が夏休みに出かけるのもいるがフルタイムでそ
んなことをする若者の方がずっと多い。日本の世間は、三人の向こ
う見ずな錯乱した行いを執拗に非難して三人の家族を責めるが、多
くの親たちはいつなんどき彼等の子供たちが同じような行動に出な
いとは限らないことを良く知っているのだ。

すべての若者が夢を実現できるとは限らないが、日本列島は、こと
世界的な人道主義の高まりという動きの中で決してマージナルな存
在ではないのである。日本ではさらに高年者たちまでがNGO活動
に参入を始めている。それぞれ個別の活動は地味で小さいものの、
確実に日本で市民社会が形成されつつあることを物語っている。

世界第二の経済大国とかが世界の新聞の見出しをにぎわすが、本当
の日本の強みとか創造性は、経済指標には現れないこうした市民活
動にあるのである。

日本のNGO組織は欧米のものと較べると規模が小さくバラバラで
ある。地域性が強いのが特徴だ。規模が小さいからこそ多様性があ
り、それが強みともなっている。多様性があるからこそ連帯の精神
も生まれる。

・・・・・・日本が苦しんでいる長い経済不況は、生産性と経済発
展という60年代から80年代にかけて日本を支配した神話をうち
砕いた。おかげでその期間は端っこに押しやられていた市民社会と
いうものが息を吹き返したのである。

・・・・・・彼等は一般的に地味で、あまり目立たず、理屈をこね
たり大風呂敷の議論をするよりは実践を重んじる人たちである。彼
等の資本は有り余るほどの善意だけだ。組織は弱体で要員の質もそ
れほど高くはない。お金がないので小さいプロジェクトしかできな
い。多くは個人の献金で成り立っている。日本の慈善活動は、20
03年に発表された報告書によると寄付金額全体では世界でも高い
方である。しかし多くの日本のお金は大きな国際機関に流れ、日本
の零細NGOには資金を集める能力がない。

活動家の最初の世代は60-70年代の学生運動家だった。しかし
いまは違う。もっと若い世代で組織だったものではない。でも阪神
大震災の時、未だかってみられなかったような連帯を示した。13
0万人ものボランティアが集まったのだ。まさに国家の影が薄くな
り「市民社会」が出現している。もちろん混乱はあったが、彼等は
巨大な動員力を示した。以来、NGOは急速に増えてきた。

1998年の法律でNGOの設立が、欧米の基準からすると税制面
などで不十分な子のではあるが、認められるようになった。効率が
悪いODAにかわる活動も組織的にできるようになった。政府はN
GOが日本の国際イメージの改善に繋がることを知りNGOのある
ものについては政府か支援するようになった。しかしほとんどのN
GOは独自性を維持するために政府からお金を貰っていない。

日本がいま其の平和ドクトリンを捨て去ろうとしているとき、NG
Oがいま新しい戦争反対の推進者となろうとしている。イラクで捕
まったこの三人はこの理想を共有していた若者である。ボランティ
ア運動の常として、彼等の平和運動も一つにまとまったものではな
い。ヨーロッパに老いてみられるような大規模なデモもない。しか
しいったんこのバラバラな運動に火がつくと大きな運動に結びつく
可能性がある。阪神大震災では、これが可能だと云うことが示され
ているのである。 」

━ AcNet Letter 98 【5】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

お便り紹介

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【5-1】Fri, 16 Apr 2004 08:55:27 +0900
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「・・・・・・以前はあまりマスメディアに疑問を持つようなこ
とはなかったのですが,独法化の過程を経験することにより,やっ
と,世の中の動きが理解できてきたように思います.また,以前
は英語では,論文以外は読んだこともなかったのに,海外メディ
アのHPの記事をよませていただきました.その中でアルジャジー
ラのHP に天秤の絵がありました.やはりジャーナリズムとは,
すべての立場から中立でなければならないと思います.このとこ
ろ,”社会貢献する”という掛声のもとに,中立でない報道が内
外でみられるようですが,よく考えると大学だって似たような状
況のような気がします.そう考えると,ジャーナリズムと学問に
は通じるところがあると思われます.わたし自身は,工学部の中
で制御理論を研究していますが,その分野の中に,ロバスト制御
というものがあり,それは,「最悪なものを抑える」という考え
方からきています.それと以下の経済学者であるセンの言葉は共
通するのではないかとも考えています.

”もっとも重要な正義の諸概念は,世界はいかに運行すべき
かに関する特定の公式から導出されるものではなく,誰の眼
にも明々白々な根深い不正義(patent injustice)を,一つ一
つ暴いていくことに見出されるであろう(Amartya K. Sen
(後藤玲子訳))”

今,イラクで起きていることを考えると,我々はこの言葉の重み
をかみしめる必要があると思っています.かといって,家族を持
つ身でなかなか無謀なこともできませんが...」

───────────────────────────────
【5-2】Sat, 17 Apr 2004 11:33:24 +0900
───────────────────────────────

「イラクの3人の人質が解放され、まるで知り合いの事のように
喜びました(まだ2人の方、および他の国の方々が人質になって
いらっしゃいますが)。ところが日本政府の談話を聞いていると、
まるで自分たちが助けてやったんだ、という高飛車な態度で驚い
てしまいました。日本の政府は日本の政府のために働いているだ
けで、国際貢献などは行っていないのに(少なくとも政府の中枢
で働いている人たちは)、本物の国際貢献をしている人たちに余
計なことをするなというのにはあきれてしまいます。そして、そ
の政府を支持する人が多いことにがっかりします。一方で、危険
を顧みずに行動を起こす人たちを誇りに思いますし、その人たち
を支えている人も多いと思います。

**大学では経営協議会学外委員の中から「もはや学問の府では
なくなった」という発言があったと聞き驚いています。大学法人
になったとはいえ、株式会社になったわけではなく、「大学」で
あるからには学問の府でなくてなんなのでしょう?「産学連携な
どを進めると同時に、学問の府であることをこれまで以上に強く
認識して」というのが当たり前の考え方だと思います。法人化を
進めてきた流れに立ち向かう強い意志と行動力がますます必要に
なってきたと思っています。」

━ AcNet Letter 98 【6】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

ネットからのクリップ

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【6-1】http://www.asaikuniomi.com/JapaneseHostages.htm
浅井久仁臣氏『解放された後、「イラクに残りたい」「また戻って
来たい」と彼らが発言したからといって何が悪いのか私には分かり
ません。人質にされた恐怖から「もう二度とイラクに戻りたくない」
「イラク人の顔を見たくない」と言ったとしたら、私は彼らのイラ
クに入国する前の覚悟や想いを逆に疑ってしまいます。』

【6-2】http://www.fujiwarashinya.com/talk/2004_0413.html
藤原新也氏『日本という国が企業と同じような利潤追求を国家命題
とする「企業国家」であるというのなら、自衛隊のイラク派兵は十
分に意義のあるところのものであり、そのためには10人や100
人の善良な日本人を見殺ししてもそれは知ったことではないだろ
う。』

【6-3】http://www.jca.apc.org/~toshi/blog/no_more_cap/archives/000020.html
No More Capitalism 『「民主主義社会」の言論弾圧は、こうした
抑圧を秘密警察が強権的に民衆を押えつける独裁国家のやり口では
なく、自主規制として内面化したり、道徳や倫理などで縛り、それ
でもダメな場合は、経済的不利益(雇用差別や昇進差別)で対応する。』

【6-4】http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040417-00000136-kyodo-pol
共同通信『航空機、健診は本人負担 外務省、イラクの日本人人質
事件で解放された3人に請求へ』

( Publicity 906 / Sat, 17 Apr 2004 23:51:06 +0900 (JST)
 http://www.emaga.com/bn/?2004040049362781010182.7777
「そもそも、チャーター便に乗るときに「自己負担ですよ」と話し
たのか? 病院で検査する時に、「自己負担ですよ」と話したのか?
勝手に飛行機に乗せて、勝手に病院で検査を受けさせて、それで後
から「自己負担ですよ」なんてことはないのでしょうナ。

そういうふうに段取りがついていたのなら、話はわかる。すべて
「自己責任」なのだから、チャーター機に乗らずに勝手に帰ってく
るのも自由、検査を受けないのも自由だからだ。

・・・おそらく、すべて後から「自己負担」と通知するのだろう。
これは、合法的なイジメではないか? これが日本という国の姿で
ある。」)

【6-5】http://www.asahi.com/international/update/0417/019.html
asahi.com: スンニ派宗教指導者アブドルサラム・アルクベイシ師
『日本大使館は委員会に謝意を伝えてこなかった。日本の首相も委員
会について言及しなかった』

【6-6】http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/peace/crimefornote.html
豊島耕一氏『NHKによる犯罪容認報道について』

【6-7】http://videonews.jp/?itemid=24
神保哲生氏『年金だの公共事業だので何百兆単位の無駄をしている
政府が、逢沢副大臣の渡航費を人質家族に請求すべしと発言してい
ることに強い違和感を感じている』

【6-8】http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040415ic05.htm
(人質攻撃を続ける政府広報紙)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分
一部が全角となっているアドレスは半角にして使用してください。
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2004年03月13日

“十三無主義”

「教育オムニバス」<教育交差点>
渡辺幸重氏(教育環境研究所代表):「生きる力」や「問題解決能力」 より

・・・・・ある会合で大学教授から聞いたことがある。昔の若者は「無気力」「無責任」「無関心」の“三無主義”と言われたが、現代の若者はそれに「無感動」「無抵抗」「無批判」「無能力」「無作法」「無学力」「無教養」「無節操」「無定見」「無思想」を加えた“十三無主義”なのだそうだ。それほどまでに危機が広まり、切羽詰まっているのなら、制度や形ばかりの議論に終始する余裕などない。あらゆる立場の人が立ち上がってさまざまな実践を積み重ね、この危機に立ち向かっていくしかない。その行く先は多分、「生涯学習社会」の実現になるのだと思う。

渡辺氏の論説連載:多競争時代の中の大学と受験産業
「国立大学よどこへ行く」 (1999)
大学は何のために存在するのか〜「大学の社会貢献」を考える

Posted by tjst at 03月13日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000563.html
他の分類:荒廃の諸相

「たくさんの言い訳」

「茶色の朝」
物語/フランク・パヴロフ(藤本一勇訳)、絵/ヴィンセント・ギャロ、メッセージ/高橋哲哉
Publicity No 877 2004.3.13で紹介。

▼本文中に、「政府の動きはすばやかったし、/俺には仕事があるし、/毎日やらなきゃならないこばごましたことも多い。/他の人たちだって、/ごたごたはごめんだから、/おとなしくしているんじゃないか?」という一言がある。
「『行きすぎはまずいよ』/とシャルリーは言った」という一言と対照的で、我が身に堪えるねえ。

Publicity で紹介されているプレスリリースより:

<原書・フランス語版について>たった11ページしかないこの寓話は、著者が印税を放棄し、1998年、1ユーロで発売された。・・・・・・2002年4月下旬に行われたフランス大統領選挙の第1回投票で、移民排斥などを訴える極右政党国民戦線党首のジャン=マリ・ルペンが18%の支持を得た時、フランス国営ラジオFrance Interがルペンのインタビューを流す直前に紹介。それを期に、ベストセラー入り。以来、「現象」、「センセーショナルな本」、「引っ張りだこの小さな本」と形容されたこの本は、2002年の年間ベストセラー2位、2003年は1位に輝いている。・・・・・・

東京新聞2/14「フランス寓話が問いかけるもの」

「筋書きはこうだ。主人公はごく普通の男性市民。ある日、遊び仲間の友人から飼い犬を安楽死させたと知らされる。理由は、政府が毛が茶色以外の犬や猫はペットにできないという法律を定めたためだ。その後も日常に小さな変化が起きる。このペット制限を批判した新聞が廃刊され、その系列出版社の本も消えていく。しかし、「(政府の認めた)『茶色新報』も競馬とスポーツネタはましだから」と、さして不自由のない生活に主人公はまだ、声を上げない。だが、ある日、友人をはじめ、多くの人々が逮捕され始める。過去に茶色以外の動物を飼っていたことを犯罪と見なす法律ができたためだ。「茶色の朝」、主人公にも危険が迫る−。」

宮台真司氏が「(多くの日本人は)周囲に少数派に属する友人がおらず、異質な人間と接触することがほとんどない結果、自分は多数派、あるいは勝ち馬に乗っていられると信じている」とコメント。

ウェブログ Better Days より

白と黒のぶちの猫を飼っている「俺」
『ペット特別措置法』という法律が出来る。

街には『茶色の法律』を守ろうとする自警団が現れ、ペットを殺すための毒入り餌も無料で配られる。

茶色以外の猫を飼ってはいけない事になる。
猫を安楽死させて、一段落する「俺」。
(少しだけ胸が痛んだがすぐに忘れる)

法律が『茶色ではない犬も飼ってはいけない』事になる。
黒いラブラドールを飼っている、友人のシャルリ−がペットを安楽死させる。
お互いペットを安楽死させた「俺」とシャルリ−。
(少しだけ胸が傷んだ。すっきりしない。しかし、ごたごたに巻き込まれるのは嫌だ。仕
事はあるし…他にもいろんなことをしなくちゃならない。)

いつも読んでいる新聞が廃刊になった。
茶色でない事を書いたからだ。いつも茶色を批判する事を書いていた。
(『茶色の新聞』を読むしかないとあきらめる「俺」とシャルリ−)

図書館から日常の本が強制撤去される。
いつも言い表わす時、「茶色」をつけなくっちゃならなくなった。
「茶色の猫」「茶色の犬」「茶色のコーヒー」「茶色の記念日」

茶色の他、日常は存在してはいけなくなった…

でも、慣れてしまった。

「俺」とシャルリ−は茶色のペットを手に入れ、茶色に囲まれた生活を始める。
(流れに逆らわない生活は悪くはないと「俺」)

自警団の摘発がエスカレートする。
『以前に茶色以外のペットを飼っていたものも逮捕』

そのために、シャルリ−が逮捕される!!

そんな事考えもしなかった「俺」後悔する「俺」
「嫌だと言うべきだった」「抵抗すべきだった」と「俺」
気づくのが遅かった「俺」が迎えた茶色の朝…。。。
以上が、フランス寓話「茶色の朝」の話しの進行です。・・・・・・

amazon.com 書評欄に「今の子達は、日本が戦争をしている時、全部の日本人が好戦的なテンションでいた、と勘違いしている」という言葉が紹介されている。戦前の日本の人々の大多数が、今の人たちと同じように軍隊や軍人が嫌いで軍事について無知・無関心であったことは知られているのだろうか。

2004年03月06日

日本政府 主に軍需産業に投資するファンドに40億円出資 

日本も40億円投資している軍事ビジネスの雄「カーライル・グループ」の地力! : 低気温のエクスタシーbyはなゆー -北国tv

・・・・・日本政府も税金を政府系金融機関である日本政策投資銀行を通じてカーライル・グループの「カーライル・ジャパン」に40億円投資している。

ちなみに日本国民の税金を軍事ビジネスに投資することの是非についての日本の国会での論戦はきわめて不十分なままである。日本共産党がちょこっととりあげた。

2002年11月28日参院財政金融委員会議事録より:

○大門実紀史君 ・・・・・このカーライル・グループというのは、若干御紹介いたしますと、もうとにかく世界最大級の私設のファンドです。ワシントンに所在地がありますし、そもそも軍需産業に対する投資で伸びてきたということで、アメリカ最大級のファンドですね。日本への進出が二〇〇一年の八月ですから、日本のファンドとしては後発になると思います。ベンチャーのファンドの方で二件ぐらい仕事をやっていますが、いわゆるバイアウトといいますかね、企業買収の方では、ダイエーのエー・エス・エス、あそこ一件だけということで、余り日本ではまだ実績がないところですね。
 予算委員会で申し上げましたが、ただ、政治家とのつながりが極めて強いファンドです。元ブッシュ政権の国防長官ですかね、CIAの副長官か何かやられていたと思いますけれども、フランク・カールッチが会長ですし、今度、来年からIBMの会長が、ガースナーさんですかね、会長になられるそうですけれども。あと、ブッシュ政権のときの国務長官のジェームズ・ベーカーとかワインバーガー元国防長官、イギリスのメージャー元首相も顧問になっておられますし、どういうわけか、フィリピンのラモス元大統領も顧問になっていると。大変な世界的な人脈です。これは恐らくブッシュ政権のときの、お父さんの方ですね、お父さんのブッシュ政権のときの閣僚メンバーと、そのときの世界的な人脈で作られてきていると。
 これは業界筋の情報ですけれども、とにかく今ブッシュ政権、息子さんの方が、ジュニアがやっていますんで、情報がいろいろ入るということもあってこの間非常に勢いよくやっていて、過去十五年間の平均のリターン、配当が、三五%という驚くべき配当をしているのがこのカーライル・グループの本体の方です。・・・・・
Posted by tjst at 03月06日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000553.html
他の分類:荒廃の諸相

2004年03月04日

法学者50名の抗議声明:自衛官宅へのビラ配布者逮捕について

http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Default.html

立川自衛隊監視テント村への弾圧に抗議する法学者声明 2004.3.3

2004年2月27日、市民団体「立川自衛隊監視テント村」の市民3人が、自衛隊のイラク派兵に反対するビラを配布するために自衛隊員の住む官舎へ立ち入ったとの容疑で、住居不法侵入罪で逮捕され、さらに団体の事務所とメンバーの自宅等6箇所が家宅捜索を受け、団体に関する書類やパソコンなどを押収されました。

わたしたち法学者は、この事態が、市民の正当な表現活動を抑圧し、民主主義社会を萎縮させるのではないかという危機感を抱いています。

まず、当該行為が刑法130条の住居侵入罪に当たるかどうかについて疑問があります。近代法は、「公」と「私」の領域を区切ることで、「私」の自由な領域を保護することを主要な任務としてきたのであり、本条の保護法益も、部外者の侵入を許さずプライバシーの享有を期待できる区画された場所内の平穏な利用である、というのが通説的見解です。ここで郵便受けは、私人が住居という本質的に私的な空間を確保しながら、外から内部に向けて発せられる情報を受けとるために自ら設置した限定された空間だと考えられます。つまり、それは、法によって遮断された「私」と「公」の領域をつなぐための通路であり、外部との遮断を目的とするドアや門とは逆に、外に向かって開かれた性質を持つものです。したがって、チラシを郵便受けに配布するために他人の敷地に立ち入ることは、「プライバシーの享有を期待できる区画された場所」の「平穏」を害する行為にはあたりません。

当該行為が刑法130条の構成要件に該当しない上、今回の措置には別の目的があるということを疑うだけの十分な理由になります。考えうるのは、イラクへの自衛隊派兵に際して、市民と自衛官及びその家族との直接的接触を禁じることです。そうであれば、これは、憲法21条で保障される表現の自由の問題になります。憲法21条は、市民の間の自由なコミュニケーションは、正当な手段でなされる限り違法とされることがないことを保障しています。当該行為は、自衛隊のイラク派兵というそれ自体憲法上疑義がある事態を憂慮する市民が、自衛隊員とその家族に対して、市民として共に考えることを直接促すために行われたものであり、その手段も、ビラという通常の媒体を使用して、郵便受けという外に開かれた空間にそれを投函したという極めて穏健なものです。つけ加えるならば、ビラの内容も、自衛隊員とその家族に対して「共に考え、反対しよう」と呼びかけたものであり、その個人的法益を侵害するようなものではありません。自衛隊員とその家族は、市民としてこのような情報を受けとり、その内容について自分で判断する権利があるのであり、「住居侵入」という通常考えられない刑罰をもって両者のコミュニケーションを遮断しようというのは、法の明確性、安定性、予見性を著しく害し、市民の間の自由なコミュニケーションを萎縮させ、ひいては民主主義というコンセプトを傷つける危険性を孕んでいます。

さらに、このような正当な表現行為に対して、当該行為を行った市民団体のメンバーの逮捕、拘束にとどまらず、市民団体の構成員の自宅の捜索、関連するパソコンや書類の押収、という非常に強硬な手段が取られました。わたしたちは、ここで対象とされているのは、ビラの投函という一個の行為ではなく、当該市民団体の活動そのものであると考えざるをえません。もしそうであるならば、今回の措置は、結社の自由という憲法の基本的価値を揺るがす事態であり、市民が自由に結合し、自由に意見を表明できることでなりたっている民主主義社会に対して、深刻な傷を負わせる危険性があります。

以上のように、今回の措置には、自衛隊のイラク派兵に反対する市民団体を狙い撃ちにし、その正当な表現活動を制限することに真の目的があると言わざるを得ません。表現の自由、結社の自由、身体の自由は日本が民主主義国家である限り、最大限の価値がおかれるべきものです。わたしたち法学者は、今回の措置が自由な民主主義社会の基礎を揺るがす深刻な事態と考え、一連の言論弾圧を行った立川警察署および警視庁に強く抗議するとともに、三人の即時釈放を求めます。                                         2004年3月3日 賛同者一同

声明発起人:石埼学(亜細亜大学・憲法)

賛同者(50音順)

愛敬浩二(名古屋大学・憲法)/足立英郎(大阪電気通信大学・憲法)/石川裕一郎(麻布大学・非常勤・憲法)/石埼学(亜細亜大学・憲法)/市川正人(立命館大学・憲法)/稲正樹(亜細亜大学・憲法)/井端正幸(沖縄国際大学・憲法)/植松健一(島根大学・憲法)/植村勝慶(國學院大學・憲法)/浦田賢治(早稲田大学・憲法)/遠藤歩(東京都立大学・民法)/大田肇(津山高専・憲法)/奥平康弘(憲法学者)/小栗実(鹿児島大学・憲法)/小澤隆一(静岡大学・憲法)/北川善英(横浜国立大学・憲法)/木下智史(関西大学・憲法)/君島東彦(北海学園大学・憲法)/葛野尋之(立命館大学・刑事法)/小林武(南山大学・憲法)/小松浩(三重短期大学・憲法)/木幡洋子(愛知県立大学・憲法)/近藤充代(日本福祉大学・経済法・消費者法)/阪口正二郎(一橋大学・憲法)/佐々木潤子(金沢大学・税法)/佐々木光明(三重短期大学・刑事法)/笹沼弘志(静岡大学・憲法)/清水雅彦(和光大学・憲法)/杉原弘修(宇都宮大学・行政法)/高橋利安(広島修道大学・憲法)/多田一路(大分大学・憲法)/只野雅人(一橋大学・憲法)/田村武夫(茨城大学・憲法)/塚田哲之(福井大学・憲法)/豊崎七絵(龍谷大学・刑事法)/中里見博(福島大学・憲法)/中島茂樹(立命館大学・憲法)/中島徹(早稲田大学・憲法)/永山茂樹(東亜大学・憲法)/成澤孝人(宇都宮大学・憲法)/新倉修(青山学院大学・刑法)/西原博史(早稲田大学・憲法)/根森健(新潟大学・憲法)/松宮孝明(立命館大学・刑法)/水島朝穂(早稲田大学・憲法)/三輪隆(埼玉大学・憲法)/元山健(龍谷大学・憲法)/山口和秀(岡山大学・憲法)/吉田省三(長崎大学・経済法)/和田進(神戸大学・憲法)/渡辺洋(神戸学院大学・憲法)                        以上51名

記者会見後の賛同者:長岡徹(関西学院大学・憲法)/上脇博之(北九州市立大学・憲法)/飯田泰雄(鹿児島大学・経済法)/近藤真(岐阜大学)/増田栄作(広島修道大学・民法)

2004年02月23日

中村哲医師「残る者が残り、後始末をせざるを得ない」

中村哲【ペシャワールから沖縄へ】 (10)変貌の日本 より
沖縄タイムス寄稿記事2003年12月28日(日)

・・・・・ しかし、「アフガニスタン」は厳として自分の目前にあった。そこでは争いに疲れた人々の群れが、飢えや渇きと戦い、国際的関心とは無関係に生きる様がある。過去20数年間と同様、たくましく苦難をすり抜け、必死で生きようとしている。

多くの者がアフガニスタンを語り、平和と戦争を語り、世界のあるべき姿を語り、そしてアフガニスタンから足早に離れていった。私たちの言動も批判や賛同に包まれたが、結局は「残る者が残り、後始末をせざるを得ない」というほかはなかった。

私の描いてきたアフガン像の正確さはともかく、動かせぬ事実は、これを機に、一見勇ましい暴力主義が幅を利かせるようになり、世界が何かに憑かれたように大きく揺れ始めたことである。・・・・・

Posted by tjst at 02月23日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000539.html
他の分類:荒廃の諸相

2004年02月18日

成果主義が産み出す「手配師型技術者」

虚妄の成果主義−日本型年功制復活のススメ(目次)
高橋伸夫2004.1.19発行1600円 日経BP社
日経BP社ホームページより:

・・・・・著者は、経営学・経営組織論を専門とする気鋭の東大経済学研究科教授の高橋伸夫氏。精力的な企業フィールドワーク、実態調査に基づく実証的な研究、鋭利な理論構築で知られる。その高橋教授が、学問としての経営組織論の最新の定説を踏まえながら、様々な企業現場でのエピソードもまじえつつ、軽妙な語り口で「成果主義」の無惨で愚かしい正体を解き明かす。・・・・・

楽しい職場みんなのF2サイト>会社に頼らず生きるための書籍一挙公開より

日経BPが贈る”成果主義完全粉砕”の理論書・・・・・著者は成果主義的な考え方が人材を育てず、自社製品に触れたこともない「手配師型技術者」を出現させたといいます。手配師型技術者の事例として、自分の大学での大型サーバ発注の時の経験談を挙げています。・・・・・
Posted by tjst at 02月18日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000528.html
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2004年01月19日

Publicity 833「戦中の非国民か、戦後の戦犯か」

【Publicity】No.833(2004/01/19/月)
戦中の非国民か、戦後の戦犯か/「帝国の治外法権」(その2)/「幕末維新新選組」
購読申し込み:http://www.emaga.com/info/7777.html

▼「安全でないと派遣できない」とイラク特措法に書いてある のに、必ずしも安全ではない場所に派遣する、幼稚園児にもわ かる矛盾を、この国は自然に受け容れているように思う。 「陸自先遣隊の派遣」という言い方が、はやくも定着してきた が、本誌で何度も書いてきたことだが、これは言葉の「言い換 え」だ。正しくは、「イラク派兵」に他ならない。オランダ軍 の庇護を受けないと滞在できない場所(安全なら、なぜオラン ダ軍がいるのだ?)に、武器を持った集団が行くのだから、ど う目をこすっても、「派遣」ではないだろう。 「敗戦」を「終戦」に、「占領軍」を「進駐軍」に、「盗聴法 」を「通信傍受法」に、「空襲」を「空爆」に、そして「派兵 」を「派遣」に。基本的には同じだと思う。 ▼シニカルに過ぎるかもしれないが、たとえマスメディアが行 っても、行かなくても、報道の質に大差ないのではないか?  とも思ってしまう。いずれにしてもこれからの数ヶ月は、各メ ディアの民度が露骨に問われることになるだろう。 戦中に非国民となるか。戦後に戦犯となるか。その瀬戸際なの かも知れないナ――読者諸賢からの慎重かつ大胆な投稿を、お 待ち申し上げております。<(_ _)>
Posted by tjst at 01月19日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000473.html
他の分類:荒廃の諸相

2004年01月18日

サマワの青年の願い「小泉首相にお願いしたい。他国に自由を与える前に、日本国民に自由を与えてほしい」

週刊MDS 2004年01月16日発行822号
【豊田護記者サマワ緊急ルポ 占領拒むイラク民衆 われわれは物乞いではない】 より

サマワの青年「悲しみを踏まえたうえで一つお聞きしたいことがある。日本政府は軍隊を送ってくるというが、日本の国民は同意しているのですか。国民投票で決まったのですか」
(記者「世論調査では国民の6割が反対している」)

青年「ということは、日本の人には自由がないということですね。そうであれば、イラクの自由も認めないということではないでしょうか」
・・・・・
青年「国民の努力で、日本政府の考え方を変えてほしい。どんな変化でもいい。軍隊ではなく、技術者なら大歓迎だ。小泉首相にお願いしたい。他国に自由を与える前に、日本国民に自由を与えてほしい。
 アラブ人はこう考える。何も持っていない人が他人に何かを与えることはできない」
・・・・・
「われわれは物乞いではない」。サマワに限らず、イラク各地で聞いた言葉だ。豊かな資源と人材をもつイラク民衆の誇り高さが表現されている。・・・・・

豊田記者の講演会:

◆ 豊田記者が見た・聞いたイラク・サマワの市民の声と
放射能汚染の実態
〜サマワで自衛隊を待ち受けるものは!?〜
【日時】1月24日(土) 午後1時半開場 2時〜4時
【場所】労働スクエア東京  (地下鉄日比谷線八丁堀駅真上)500円

主催:End the Occupation of IRAQ! 自衛隊をイラクに行かせない
キャンペーン
賛同:劣化ウラン弾禁止キャンペーン
平和と民主主義をめざす全国交歓会

◆豊田護 サマワ緊急ルポ報告会in横浜
―「われわれは物乞いではない。再建を目指すイラクの人々は今」―
日時 1月24日(土) 19〜21
会場 神奈川県民サポートセンター
参加費 500円
主催 ICTI(イラク国際戦犯民衆法廷)神奈川準備会
共催 ICTA(アフガニスタン国際戦犯民衆法廷)神奈川実行委員会、
   有事法制に反対する神奈川市民キャラバン

◆1月25日(日)午後2時〜5時
 イラク写真展とビデオ上映会「アメリカが隠す死の兵器・劣化ウラン弾」
 小牧市まなび創造館「ラピオ5階」女性センター第2研修室(名鉄小牧線・小牧
駅)
 イラク国際戦犯民衆法廷・東海公聴会実行委員会
  090−7029−5617(安元)
  

◆ 2/1(日) イラク国際戦犯民衆法廷第1回大阪公聴会 
【時間】10:30〜16:00
【場所】大阪市中央(中之島)公会堂大ホール
【内容】
●戦争被害・占領下の犯罪の実態
  イラク占領監視センターの方が初来日
●自衛隊が派遣されるサマワの実態(予定)
  週刊MDS記者・豊田護さん―など
URL http://www.icti-e.com/
連絡先 イラク国際戦犯民衆法廷(ICTI)大阪公聴会実行委員会
   090−8232−1664 奥森
   090−3975−7505 乾
============================================
週刊MDS編集部 Weekly MDS
大阪市城東区蒲生1丁目6-21 LAGセンター内
TEL: 06-6934-8512 FAX: 06-6934-8112
e-mail: info@mdsweb.jp
url : http://www.mdsweb.jp/
振替 00930-1-305937
============================================

2004年01月13日

「なぜなら、イラクは出口のない泥沼だからだ」

カレル・V・ウォルフレン「アメリカからの「独立」が日本人を幸福にする」
実業之日本社, 2003.12.18, ISBN 4-408-32202-4.

・・・・・・大規模な戦争は時代遅れだということは、日本人が第二次世界大戦以降、心の底から感じてきたことだ。それだけに、日本政府がアメリカのイラク占領を支援するために自衛隊を派遣すると約束したのは、実に皮肉である。
日本の人々は、イラクに兵士を送っているほかのすべての国が、悲惨な結果をもたらすこの間違った企てに参加する愚かしさを理解するときーーそれは近いうちにやってくるはずだーーまで、自衛隊のイラク派遣が先送りされ、為政者たちがこの約束をすっかり忘れてくれることを、ただ願うだけだ。イラクへの自衛隊派遣という約束を破ることは、日本の国益に大いにかなっているのである。
なぜなら、イラクは出口のない泥沼だからだ。・・・・・・

参考:
Creative Space における抜粋(2003.12.21)
cf: カレル・ヴァン・ウォルフレン(鈴木主税訳)
人間を幸福にしない日本というシステム
新潮OH!文庫 ISBN 4-10-290008, 2000.10.10刊. (抜粋

2004年01月06日

「この差は現実(現場)を見ているかどうかの差だろう」

敬天愛人 格物致知 blog 2004.1.5

・・・・・この差はどっから来るものか、山崎氏は劇作家、中村氏は医師という立場の差だろうか。多分、この差は現実(現場)を見ているかどうかの差だろう。参院トップ当選を果たしたテレビコラムニストの舛添要一氏は、アフガニスタン戦争において、「アフガニスタンは国家の態をなしてない以上、攻撃される責任は負うべきだ」とアフガニスタン攻撃を肯定したのだが(この考え方も日本の多数派なのか)、それは山崎氏と同様に攻撃され傷つき死ぬ人々の悲惨さを想像できないのではないだろうか。 ・・・・・

2003年12月30日

国際平和ミュージアム館長:自衛隊派遣の閣議決定を厳しく批判

自衛隊のイラク派遣閣議決定についての立命館大学国際平和ミュージアム館長見解 2003.12.10
ウェブログ「低気温のエクスタシーbyはなゆー」 >時事&社会問題>
立命館大学国際平和ミュージアムと日本平和学界について!経由

政府は、2003年12月9日の臨時閣議で、イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊派遣の基本計画を閣議決定した。戦争中の国への武装部隊の派遣計画であり、私は、これを厳しく批判する。・・・・・

(4)私は、こうした動きが、憲法や教育基本法の「改正」に向かう流れの中で起こっていることを憂慮する。国連憲章をも超えると言われる「不戦原理」を基調とする平和憲法を「押し付け憲法」「腰抜け憲法」と中傷する人々が、日本を「戦争のできる国」に変えようとする流れの中で、今次決定が行われていることの意味は重大である。私は、「平和・共生外交基本法」の制定を中心に、アメリカや北朝鮮を含むすべての国々との対等・平等・互恵・不可侵の平和的国家関係を結ぶことを基調とする「無事づくりの安全保障政策」こそが必要であると確信している。

2003年12月10日
立命館大学国際平和ミュージアム・館長  安斎育郎

平気で嘘をつく人々の記録2:東京都知事

不正な情報操作を即刻中止するよう強く要望する南雲人文学部長・声明 2003.12.25
都立の大学を考える都民の会サイト より

東京都による基礎データの歪曲に抗議する


 東京都大学管理本部はこれまで再三にわたり、プレス発表や都議会本会議・各種委員会において、都立大学、なかんずく人文学部に係るいくつかの基礎データを歪曲して発表して来た。これは、現在設置準備が進められている新大学の構想において、都立大学を半ば解体し、とりわけ現人文学部については実績ある専攻の多くを廃止する、という都の方針を正当化するために行われていると考えざるを得ない。すでに指摘されて来たように、大学管理本部の挙げる数字は真正のデータとはまったくかけ離れたものだからである。東京都のこのような姿勢は、およそ公正を旨とすべき地方公共団体にはあるまじきものであり、そのことは、すでに文教委員会(11月13日)において行われた質疑等を見ても十分に明らかである。

 しかるに、去る12月24日の記者会見の席上、今度は知事までが、同様の歪曲されたデータをもとに、現都立大学および人文学部の存在理由そのものを否定するごとき発言を行ったことは、まことに遺憾と言わざるをえない。特に、教員一人当たりの学生担当数、学部卒業後の学生進路など、人文学部に直接に係る諸データは、驚くべきことにこれまで大学管理本部が繰り返し発表して来たものと同一であった。しかし、このデータについては、すでに再三抗議を受け、大学管理本部自身が行き過ぎを認めていたはずである。

 以上の理由により、私は、大学と学部の名誉を不当に毀損するこのような行いに対し、断固抗議せざるを得ない。また、ここに改めて、民主的手続きを無視し秘密裏に策定された新大学構想とその準備過程を批判するとともに、それを正当化するために行われるいっさいの不正な情報操作を即刻中止するよう強く要望するものである。

以上

      2003年12月25日    都立大学人文学部長  南雲智

2003年12月29日

平気で嘘をいう人々で構成された内閣

北海道新聞 2003.12.29 首相がサマワ訪問検討 4月にも派遣隊激励で

今なぜ行かないのだろうか。イラクへの自衛隊派遣の中止を求める声が高まる中、世論対策で「行くつもり」など言っても誰が騙されるだろうか。防衛庁長官は7月15日、イラク特別措置法の審議中に、「自衛隊の派遣前に自らがイラクを視察したい」と公言しながら、約束を果たさず自衛隊員をイラクに派遣した。「平気で嘘をつく人々」から構成される現内閣を守っているのは、政府から恩恵を受け政府の嘘を暴くことなく政府を庇う「平気で嘘をつく」大手メディアである。

2003年12月28日

池澤夏樹氏「自衛隊の派遣は大きな間違いであるとぼくは考えます。」

パンドラの時代 No 4 池澤夏樹氏「ロバは撃つべきか」より

・・・・・人を殺せる道具を手にして、疑心暗鬼の状態で、見知らぬ人々の前に立つ。
 日本の兵士はそういう状況の中へ送り込まれようとしています。・・・・・
・・・・・ 日本国憲法の前文と第九条は、国家の運営に暴力を用いないという宣言です。
 第二次大戦で数千万の死体を積み上げたことへの反省、見知らぬ者を殺し、家族を殺され家を焼かれたことへの反省から、日本人は国の運営に暴力を用いないと決めた。

 この宣言は後に少しずつ歪められ、結局のところ日本はまた軍隊を持つことになりました。

・・・・・

 親の体験はなかなか子供には伝わりません。まして孫にとっては遠い話。
 血まみれ焼けこげの死体が目の前に転がっていたなんて、あまり聞きたい話ではない。
 今、世の中は享楽に満ちています。そういう社会を日本人は築いてきた。

 だけど、その先で暴力は待っているのです。

・・・・・

 政治家が軽い言葉をやりとりしたあげく、自分たちは戦乱の地に送り出される。
 殺されるかもしれない。殺すかもしれない。
 どういう時にどう行動すればよいか、基準がない。
 これは戦争なのか、戦争ではないのか、最も大事なこの点があまりに曖昧で、何をやってもやらなくても、後で非難されそう。

 政治家はアメリカの方しか見ていません。具体的な判断は現場に押しつける。いざとなったら逃げる気でいる。
 これは軍隊のありかたとしても不幸なことです。
 シビリアン・コントロールが悪い形で機能している。

・・・・・

人を殺せる道具を手にして、疑心暗鬼の状態で、見知らぬ人々の前に立つ。
 日本の兵士はそういう状況の中へ送り込まれようとしています。

・・・・・

日本人もまた異文化に対して無知で不器用です。
 戦後58年間、われわれはアメリカしか見てきませんでした。
 だから、日本の兵士はアメリカ軍の失敗をそのまま踏襲することになるでしょう。
 イスラムを知らず、武力によって社会を壊された人々の恨みを理解せず、民衆に支えられたレジスタンスの威力を知らないまま、戦地に送られる。
 現地について最も詳しいNGOの人たちの意見を容れる気配もない。

 今、自衛隊が行くことには何の意味もありません。
 イラクの人々の暮らしがよくなるわけではないし、国際社会で日本の評判が上がるわけでもない。
 得るものより失うものの方がずっと多い。

・・・・・

 自衛隊の派遣は大きな間違いであるとぼくは考えます。
(池澤夏樹 2003−12−28)

(・・・・・は引用時に省略した部分)

2003年12月21日

"「自衛隊派遣は仕方の無いこと」そこで思考停止だ"

Negative Stories 「自衛隊関係者の寂しさ」(2003.12.15) より

・・・・・一般の人まで「関係者は口を閉ざせ」と政府批判を許さない傾向が見られるので、普通の生活の中で俺はまったく孤独だった。「俺は派遣反対だ」と言ったところで兄貴が困るんだろう?うちの母がこういう考えだ。「耳をふさげ、目を閉じろ」彼女はこのやり方で今の状況を回避しようとしている。イラク関係のニュースは「ああ、またこんな話、いやだいやだ」とテレビを消すことで、兄貴が陥るかもしれない恐ろしいことを、考えることから逃れようとする。「自衛隊派遣は仕方の無いこと」そこで思考停止だ。・・・・・

イラクの人にお願いしたい。(2003.12.16)

「仕方がない」と言う言葉は忌わしい。国立大学長達が独立行政法人化について繰り返し使った。「責任ある立場」の人間の大多数が上意下達を責任を持って中継し、多数派につくことに熱心で「時代の流れ」を推進する。下位上達を使命と考える人は日本の行政機構では稀である。もちろん例外(例:元防衛庁教育訓練局長 )はある。例外が組織的に排除されるとき前世紀の悲劇が繰り返されるだろう。

「しかたがない」というたびに、いま自分が問題にしている点を改めようとする試みが、すべて失敗に終ると言っているのに等しい。(ウォルフレン)
Posted by tjst at 12月21日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000387.html
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無関心という「罪」の重さ

ブログ ……それが問題だ "「「無関心」が生む恐ろしい現実」 に、KHOOz NOTEBOOK 「無関心の怖さ」からの引用がある:

今この国で様々な問題に対して根本的な解決がはかられる事無くなし崩し的に進行していくのは、実は多くの人の無関心のせいなのではないか・・・・・

これからこの国でデジタルデバイドが起こるとしたら、それは通信インフラや技術などの外的要因によってではなく、個人個人の関心の強さや、求める意識の度合いによて生じる可能性の方がはるかに大きいだろう。
つまりメディア(伝え方)がいくら発達したところで、その情報が本当に必要とすべき人に届くか届かないかを最終的に決定するのは、その個人の関心(危機意識と言ってもいいかもしれない)の強さでしかないのだと思う。

イラク問題を意識しての記事という(KHOOz NOTEBOOK コメント欄)。共感する。
 99%のことに無関心なことは人間の頭脳の有界性から当然のことだが、問題は1%の関心が何かということであろう。実用的情報については本能が関心を鋭くするが、そうでないことについての関心は自然には生じない。
 「他の人を救うこと」だけに関心を持つようなことは特殊な人にしかできないだろうが、少数者の苦難に関心の1%だけでも振り向けることは誰でもできることで単に習慣の問題ではなかろうか。その習慣が社会的なものとなっている度合いが国の健康のバロメータであろう。そして、その習慣の形成は、本来、学校教育が最も効果的にできるはずのことである。しかし、現実には逆に少数者を排除することが学校教育で進行しているように思える。
 1000名の同胞が異邦の地で心身に傷を受けることを正当化する理念「国益」とは一体何なのか?無関心の闇が日本を覆いつつあるが、エリ・ヴィーゼルの次の言葉は、無関心に覆われた社会が遭遇しかねない地獄を警告する。

愛の対極にあるのは憎しみではない。無関心である。美の対極にあるのは醜さではない。無関心である。知の対極にあるのは無知ではない。それもまた無関心である。平和の対極にあるのは戦争ではない。無関心である。生の対極にあるのは死ではない。無関心、生と死に対する無関心である。

イラク特需のための自衛隊派遣か

JANJAN 2003.12.20 政治: 政治・本当に人道支援なの

・・・・・アメリカの肩代わりをする国のみ、経済的な恩恵にも与れるということなら、人道支援というよりも、死体に群がるハイエナと同じではないですか。・・・・・

自衛隊のイラク派遣について財界人が沈黙しているように感じる。イラク特需を期待しているのだろうか。
米産業界、イラク特需―トマホーク740発で520億円、通訳ソフト受注加速 2003.4.14


ビル・トッテン「技術と新しい社会」

・・・・・翻って日本がとろうとしているデフレ対策を見ると、どうしても米国と同じ選択肢に向かっているような気がしてならない。米軍を支援するためのガイドラインや有事立法など、政府与党の急ぐ法整備はどれも日本が米軍と共に戦える体制作りのためである。テロや不審船を理由に戦争の危険性を煽り、イージス艦を派遣するなど、朝鮮特需ならぬイラク特需によって日本経済をデフレから救おうというのだろうか。 ・・・・・
Posted by tjst at 12月21日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000381.html
他の分類:イラク戦争 , 荒廃の諸相

2003年12月17日

"その都度、人間は安易な処方箋を信じて自壊への道をたどった"

中村哲 『「アフガン復興」のその後 』北海道新聞2003.12.16 夕刊
ーー「ブーム」の結末に悲憤 収まらぬ大旱魃、治安最悪、難民のUターンーー

・・・・・・そこで語られる「自然」とは、しばしば虚像であり、森羅万象さえ操作できるという科学技術への過信がある。かくして人権や自由と民主主義という「自明な大義」さえ、時代の共有する迷信の一部であると気づくのは困難でなくなった。私たちはとんでもない時代に生きているのだ。

過去にも閉塞の時代はあった。その都度、人間は安易な処方箋を信じて自壊への道をたどったのである。今より百年後、私たちが過去を壊したり、賛美したりしたのと同じように、現在が裁かれる時がくるだろう。しかし、時を超え、場所を超え、変らぬものは変らないだろう。美しいものは美しく、神聖なものは神聖であり続けるだろう。幸不幸も同様である。

私たちの思想や思考もまた、錆びてしまった。だが、自省のない暴力や経済への信仰が力を持つのは恐ろしい。破局は既に始まっている。心ある若者たちの健全な感性を尊重したい。「後世畏るべし」「新しい酒は新しい皮袋に入れよ」ーこれは二千年前の賢人たちの言葉である。(なかむら・てつ=医師、ペルシャワール会 代表)

関連リンク:

言問い亭2003.11号
第272号 −− 米軍ヘリがペシャワール会工事現場を機銃掃射 −− 2003.11.13

言問い亭2001.10号
第225号 −− 難民にすらなれない人たち −− 2001.10.11

・・・・・ 「今度こそ、危険な地帯に日の丸を掲げたい」などと興奮している小泉総理に申し上げたい。「日の丸は17年も前から、危険地帯に何本も立っていたんですよ。ただ、あなたにはそれが見えなかっただけだ。九州男児・中村哲さんの爪の垢でも煎じて飲め!

 第228号 −− ペシャワール会訪問記 −− 2001.12.11

"「閉じた共同性」の醜悪さ"

北海道新聞2003.12.16 夕刊 世界文学・文化アラカルト■イスラエル、パレスチナ
岡真理 (現代アラブ文学者)『「閉じた共同性」の醜悪さ』より

映画「プロミス 」を観た。・・・・・・すぐ傍らで、自分たちが踏みにじっている者が、痛みを湛えたまなざしで自分たちと見つめていることに一片の痛痒も感じることなく、歓喜に酔い痴れる者たち。その内向きに閉じた共同性の醜悪さを映像は訴える。
歴史の根源に何があったかを問わず、他者の痛みを顧みることなく、自分たちだけの閉じた共同性の中に耽溺する人間の醜悪さ。私にはそれが、9・17、つまり日朝首脳会談以降の日本人の姿に限りなく重なって見えてならない。
Posted by tjst at 12月17日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000365.html
他の分類:荒廃の諸相

2003年12月11日

「劣化ウラン弾による健康被害等については国際的に確定的な結論が出されているとは承知しておらず・・・・・」

イラク戦争劣化ウラン情報 No.6より
福島瑞穂議員の質問主意書に対する小泉首相答弁 平成15年8月29日

・・・・・米国政府に問い合わせを行った結果、米国は今回のイラクに対する軍事行動において劣化ウラン弾を使用したか否かについて、今後とも明らかにすることは予定していないと承知している。また、劣化ウラン弾による健康被害等については国際的に確定的な結論が出されているとは承知しておらず、国際機関等による調査の動向を引き続き注視していく考えである
Posted by tjst at 12月11日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000342.html
他の分類:荒廃の諸相

「政治家はこの程度の理屈で、国民を戦争に行かすのか」

Publicity No 800より

・・・・・もし政府が前文に従うなら、必要なら戦車や戦闘機の派遣も許 されることなのか。国民の多くはそうとは思わないだろう。記 者会見の内容は都合のいい言葉を寄せ集めただけで、全体のバ ランスは著しく欠ける内容であると感じた。(正直に言うなら 、政治家はこの程度の理屈で、国民を戦争に行かすのかという 気持ちである)・・・・・

2003年12月09日

サマーワでの被爆問題

「米国が隠すイラク戦争」のビデオとCDが勝手に広がるキャンペーン
番組の詳細な紹介:http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/sunday_project0928.htm

・・・・・「米国が隠すイラク戦争」の映像では、例え自国の兵士であろうと、もはや『使い捨て』の論理の元に、政策が遂行されている姿が写し出されています。大量に使用された劣化ウラン弾により、激しく汚染されたイラクでは、多くのアメリカ兵も被曝による死亡者の増大が報告されており、自衛隊の派遣予定地であるサマーワでは、激戦が行われ、大量の劣化ウランが使用された場所でもあります。・・・・・

千名もの同胞が多量の放射線を何ヶ月にもわたって浴びて帰還することになることを見てみぬふりをするような者達に、日本を指導する資格があるのだろうか。あるいは、軽装備のために予想される悲劇により「憲法9条廃止」の声が一気に高まることを目論んでいるとすれば、外道の輩というべきであろう。

Posted by tjst at 12月09日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000340.html
他の分類:イラク戦争 , 荒廃の諸相

2003年12月07日

「死んでからでは何も言えない」

神浦 元彰氏「日本軍事情報センター」最新情報 2003.12.6 より

 国連が実態報告書 拡散するアルカイダ 反米思想に共鳴 (毎日 12月5日 朝刊)・・・・・これほどまでイラク情勢が悪化し、イラク特措法の想定する「平和な地域」という概念が崩壊しているのに、小泉首相から国民への説明は一切されていない。自衛隊の専門調査団のイラク報告は、自衛隊という戦争を前提に編成され、武器を与えられて訓練をしている組織の調査報告である。だから1行でも、「イラクは危険で派遣できる状況にない」とは書けないのである。それを承知で政府は専門調査団を派遣し、「やります」と結論つけさせた。そして犠牲が出れば、政府や防衛官僚は、「自衛隊自身が調査して安全と判断した」と責任を回避するだろう。そのための専門調査報告書だったのである。
 自衛隊員諸君、これから多くのマスコミが自衛隊員の意見に注目するだろう。何も恐れることはない。堂々と自分の意見を発表していい。死んでからでは何も言えない。自衛官が黙れば黙るほど日本の将来は暗くなる。自信を持って自分の意見を発言してください。君たちは日本を守るために命をかけているのだから語る資格がある。
Posted by tjst at 12月07日
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2003年11月29日

モラルパニックと監視社会

法律時報75卷12号 2003.10.27 発売
特集「監視社会」と市民的自由--法学からの批判的アプローチ
[座談会]「監視社会」に向かう日本と法――その動向・背景・特質・課題を探る  p4-28.
     遠藤比呂通・白藤博行・浜井浩一・(司会)田島泰彦

浜井浩一(龍谷大学教授・犯罪学、2003年3月まで法務省勤務)
(p17)犯罪社会学的にこういった現実に存在するリスク以上のリスクを市民が強く感じる危機感を抱く現象はモラルパニックといわれています。・・・

(p28)現実の政策を考える上では、議論の対象となっている社会問題がどの程度本当に存在しているのかをきちっと情報を収集して、問題の本質を見きわめることがまず必要だろうと思います。情報を作り出す努力と、作り出された情報を評価する能力を、市民ももちろんそうですが、専門家といわれている人、行政官、法曹、政治家が持つことが大切なのかなと思います。

モラルパニックは、人々が感じているリストと現実のリスクのずれによって起こるわけですから、それをどうやって解消していくのかという努力が大切で、いろいろなかたちでの情報リテラシーを高めて、きちっとした根拠のある議論にしていく。根拠自体が間違っていると、その間違った根拠に基いてどんな法律論を展開しても、やはり間違った結論になってしまうと思います。

情報化社会といわれていますけれども、ちゃんとした情報は意外に不足していて、どうでもいい情報が飛び交っている。きちっとした情報を読み取る情報リテラシー、あるいは統計リテラシーを高めていくことが、何が問題なのか、その上で何が必要なのかと考えていく上で不可欠です。・・・

Posted by tjst at 11月29日
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2003年11月14日

(週刊朝日2003-8-29) 成果主義の「崩壊」 給料と直結やめた1部上場企業も

週刊朝日2003.8.29 号成果主義の「崩壊」 給料と直結やめた1部上場企業も

運用の難しさが指摘され続けている成果主義賃金制度。サラリーマンの不満は高まるばかりだが、とうとう社内の反発を抑えるため、業績評価を給料に反映させないように制度変更した企業まで現れた。運用の形骸化も指摘され、専門家から「結果評価オンリー」の成果主義は「崩壊」しつつあるとの声が出始めている――。・・・・・

 「成果主義の見直し」といえば、すぐ思い出されるのが2001年に問題が表面化した富士通のケース だ。目標管理による成果主義を進めた結果、「社員がチャレンジングな目標に取り組まなくなった」「短期的な目標ばかりが重視され、長期的な目標が軽んじられている」などの弊害が明らかになり、結果だけでなく「プロセス」も評価の対象に加える見直しがなされた。

 人事関係者の間で「富士通ショック」と呼ばれているものだが、冒頭の1部上場企業は見直しどころか制度の根幹を変えてしまったケースである。「まれな事例」というが、成果主義に詳しい国際人事研究所の太田隆次氏は、こう言い切る。

 「今後、こういう企業は増えていくでしょう。目標管理のみで個人成果を評価する成果主義は、『崩壊』に向かっているからです」 ・・・・・

人事関係者が言う。

 「経済が成長しないのに、賃金だけが年功序列で右肩上がりというわけにはいかなくなったのです。個々の企業で見ると、売り上げが伸びないなか、増え続ける人件費を減らす必要に迫られた。結局、そのツールとして使われたのが成果主義だったわけです」

 人件費削減という不純な動機で導入されたのだから、社員の側からすればたまったものではない。その欠陥ぶりはさまざまな形で語られてきたが、それは今もまったく同じだ。・・・・・

 先の国際人事研究所の太田氏が言う。

 「目標管理による成果主義を導入した企業の人事マンは、『失敗した』と総ざんげ状態のはずです。結果のみで判断するノルマ主義に似た運用に陥り、従業員のやる気が失われてしまっているからです。『個人を殺す』だけの成果主義なら即、やめたほうがいい」 ・・・・・

2003年11月12日

日本が紙にするタスマニア原生林

Greenpeace Japan タスマニア 〜紙に変わる原生林〜

・・・・・オーストラリアのタスマニア州では、毎年サッカー場9,500個分の面積の原生林を含む森林が破壊的に伐採され、そのうちの90%近くがチップとなって、日本に輸出されてきています。日本で紙や紙製品となり消費されるために、タスマニアの森林生態系が破壊されているのです。・・・・・
Posted by tjst at 11月12日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000290.html
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2003年11月03日

年少の特攻隊員だった茶本氏、石原都知事の退任を求む

JCJ「連載 − リレー時評」ページ 茶本 繁正(JCJ代表委員)「石原都知事の退任を求める」(2003.10.30)より

・・・・・石原氏は8月の記者会見で、二・二六事件の青年将校たちが好んだという「昭和維新の歌」を披露、〈昨日の会見では、かつて社会党委員長を暗殺した少年の名を親しげに口にした〉(「朝日」9・13付社説)という。
 石原氏はどのような神経と歴史認識を持ち合わせているのか。度し難いとは、 このことをいうのではないか。知事としての資格はもちろん、資質そのものを 疑わざるを得ない。・・・・・
 私はJCJ代表委員としてではなく、ひとりのジャーナリストとして、一人 の人間として、もっといえば、かつて誤れる戦争に参加した年少の特攻隊員と して、石原氏の知事退任を求めてやまない。
Posted by tjst at 11月03日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000272.html
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2003年11月02日

国民審査を受ける藤田宙靖最高裁判事への公開書簡より

[藤田宙靖氏への公開書簡] 最高裁判事ご就任にあたってのお願い(2002.10.6)より

・・・・・ 日本の司法は、行政に対する「禅譲の精神」を背景とする消極主義により違憲立法審査の使命を半世紀にわたり事実上放棄したまま今日に到り、憲法の止処ない形骸化に「不作為に」手を貸してきた、と指摘する人が少なくありません。行政府が立法府と司法府を実質的に支配する状況がこれ以上続くことは日本の将来にとって好ましいことでしょうか。藤田様には、学術セクタを代表して、時代を越えた価値を担い、消極主義による司法の形骸化に歯止めをかけて頂けるものと期待しております。行政と長年に亙り深い関係を持ってこられた藤田様には、行政と十分な距離を取ることは容易なことではないと察しますが、2000年の司法制度改革審議会ヒアリングでの発表「司法の行政に対するチェック機能の強化」(*6)で表明されている問題意識に立って、憲法を活性化させる判決の数々によって日本社会を勇気付てくださることを祈っています。

藤田氏は橋本内閣の行革会議に参加し、独立行政法人制度の設計において重要な役割を果たした。1999年6月の「ジュリスト論文」で国立大学社会の世論に強い影響を与え、国立大学の独立行政法人化の流れを作った。上は、昨年、最高裁判事に就任する藤田氏に送付した公開電子書簡。2002年3月の調査検討会議最終報告の「新しい国立大学法人像について」の内容について専門家としての意見表明を要請したものであったが、第一回の公開質問状の時 とは異なり、今回は回答はなかった。

藤田氏が裁判長として担当した事件:ネパール人の無期確定へ 「東電OL殺害事件」 (共同通信)

ネパール人の無期確定へ 「東電OL殺害事件」

 東京都渋谷区で東京電力の女性社員=当時(39)=が殺害され現金を奪われた「東電OL殺害事件」で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は21日までに、強盗殺人罪に問われたネパール人の元飲食店従業員ゴビンダ・プラサド・マイナリ被告(37)の上告を棄却する決定をした。
 決定に関与したのは4人の裁判官で全員一致の意見。1審の無罪判決を破棄し、無期懲役とした2審判決が確定する。決定は20日付。
 被告と犯行を結びつける直接証拠がなく、被告側は一貫して無実を主張。1、2審判決は「状況証拠の評価」が結論を左右した。2審判決でさえ「未解明な点はある」と指摘したが、最高裁の判断は示されず、疑問点を残しての決着となった。

関連サイト:
ゴビンダ裁判から日本が見える
ネパール人勾留決定問題に関する奈良弁護士会長声明2002.7.11
人種差別、排外主義に対する国連の会議(World Conference Against Racism and Xenophobia)に向けてのNGO会議「ゴビンダさんに正義を求める運動支援の決議文」2001.4
無実のゴビンダさんを支える会:ゴビンダさんに無罪判決を求める声明 2001.3.25
「無実のゴビンダさんを支える会」の結成集会へのゴビンダさんからの手紙2001.3.25

・・・・・最高裁判所が正しい判断を下し、私を祖国に帰してくれるよう、皆さん、私に力を与えて下さい。・・・・・

2003年10月29日

陰謀論者というレッテル

田中宇の国際ニュース解説10/28:テロリスト裁判で見える戦争の裏側より

・・・・・これらのことを合わせて考察すると、もはや「911は米当局の自作自演だった部分がある」と考えることは、根拠のない「陰謀論」ではなく、むしろ「政府の間違った行為を防ぐための、国民として健全な疑念」となっていることが感じられる。いまだにこうした考え方を陰謀論扱いする人々がアメリカにも日本にも多いだろうが、そういった人々の多くは、米政府が発するプロパガンダを軽信する人々であると思われる。テロ戦争の本質をつかもうと調べる人々に対して陰謀論者のレッテルを貼るのは、米当局の戦略でもある。陰謀論だと切り捨てて思考を停止する前に、いろいろ調べてみることをお勧めする。日米のマスコミ内にも軽信が蔓延しているので、日本語で読めるものは少ないのであるが。・・・・・

壮大な陰謀は単純なものでも成功する可能性が高い。まさか、そんな馬鹿げた大規模な陰謀を企むはずはないと、通常の市民生活をしている多くの人は考え「陰謀論」という言葉で思考停止するからである。真意を隠した政策も陰謀の一種である。自衛隊のイラク派兵はどういう「陰謀」なのであろうか?

Posted by tjst at 10月29日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000257.html
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2003年10月20日

「左翼パラドックス」とは

二文字理明・伊藤正純編著「スウェーデンにみる個性重視社会─生活のセーフティネット」(桜井書店 2002.4、ISBN 4-921190-16)に、スウェーデンは「左翼パラドックス」のない国と紹介されている(p173)。「左翼パラドックス」とは、多くの先進資本主義国で見られる現象で、

労働者(特に学歴が低く低賃金の労働者)が保守政党に取り込まれているため、社会の多数を占める労働者の代表を名乗る左翼政党が少数派に甘んじ、政権が獲得できないでいるというパラドックス。

Posted by tjst at 10月20日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000235.html
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2003年10月18日

「権利(right)と特権(privilege)の違い」

山口二郎教授サイト北大法学部1年講義:政治学入門より

  権利(right)と特権(privilege)の違い
      権利: 人間にとって本源的なもの
           多数決によっても奪われない
      特権: 政策の観点から便宜的に付与されたもの
           多数決によって与えたり、なくしたりできる
            免許 許認可 補助金 etc
      日本人は権利を過剰に主張しているか?
          正しい意味での権利意識は希薄
             男女差別の横行 ヤミ金融の横行
          特権への執着は強い
             予算を求める陳情
             行政への斡旋、口利き

Posted by tjst at 10月18日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000226.html
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国民愚弄の姿勢は総選挙の争点にならないのか?

Yahoo!ニュース - 政治 - 毎日新聞:<イラク派遣>11月中旬に基本計画 衆院選への影響回避より

過去の自衛隊海外派遣では、文民統制の観点から、基本計画策定前に派遣の時期や規模などの概要も公表していた。しかし、衆院選前に派遣内容を公表した場合、選挙の大きな争点に浮上する可能性が高いことから、基本計画の閣議決定までは中身を明らかにしない方針だ。

このように国民を愚弄する姿勢を明確にすることで政権の信頼性を落とすダメージの方が、イラク派兵の内容を公表することによるダメージよりも、はるかに規模が大きいはずではないのか?そうではないと政権が判断しているということは、もともと政権の「信頼性」など日本では誰も最初から期待していないのか、あるいは、自分達が政権に愚弄されているかどうかなどという「低次元の政治的問題」などにかかわっている暇があったら自分の日々の生活や趣味を大事にしよう、という、政治的無関心が国を覆っている、ということなのだろうか。

Posted by tjst at 10月18日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000225.html
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2003年10月13日

事態を甘く見すぎてはいないかーJCJ 視角より

暴挙を許す総選挙にするのかー事態を甘く見すぎてはいないかー
視角(JCJ WEB PAGE) 2003.10.13

・・・・・この選挙、「マニフェスト選挙」と囃し立てられている。違う。本当の争点は、アフガンやイラクへの攻撃支持と「戦争ができる国家」作りの是非。「戦争と憲法」である。

日本ジャーナリスト会議 (JCJ)は1955年に結成された。ご案内 より

・・・・・
「再び戦争のためにペン、カメラ、マイクを取らない」―。
日本ジャーナリスト会議はこの言葉を合い言葉に
1955年以来、各分野のジャーナリストが活動を続けている
日本で最も古く、唯一のジャーナリストの統一組織です。
・・・・・

無料日刊メルマガ「JCJ ふらんしゅ」 の発刊の趣旨:

平和憲法をかかげる日本が、国際的な批判の高まる米国の軍事行動に協力しようとしています。当メールマガジンでは、この流れに歯止めをかけ、平和への大きな連帯のネットワークを広げようという立場から、みなさんから寄せられる戦争反対、平和を求める声や活動予定などを随時紹介していきます。ぜひ、情報をお寄せください。
Posted by tjst at 10月13日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000207.html
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『悲劇の教訓』――もうひとつの9・11事件30周年を記念して

アリエル・ドルフマン
米ネーション誌2003年9月30日号掲載
http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/195

ここでは起こりえない。

30年前、チリのサンチャゴの街頭で、私たちがシュプレヒコールし、唱和していたのが、この言葉だった。

ここでは起こりえない。この国で、独裁はありえない――私たちの頭上に猛然と襲いかかろうとしていた歴史の暴風に向かって、私たちは声を張り上げた。私たちのデモクラシーは堅固である。私たちの軍隊は国民主権に根ざしている。私たちの民は自由を愛している。

だが、現実になってしまった。・・・・

Posted by tjst at 10月13日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000206.html
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2003年10月12日

書評:「ぷちナショナリズム症候群」香山リカ著

社会のレンズ サイトより
「ぷちナショナリズム症候群」香山リカの書評 2003.10.11


・・・・・こうした中で、近年の若き論客の中には、「現実主義」に立った議論を展開する者が多く見られるようになっているとしています。例えば、ある若手の学者は、集団的自衛の方が効率がよいといった理由によって改憲論を主張したり、また別の若手学者は、現実は金儲けという方向に進んでいるのだから、それがいかに非人間的に見えようとも仕方ないではないか、といった主張を展開しているわけです。こうした態度は、ある意味で非常に効率的でストレスの少ない態度であるわけです。つまり、「切り離し」というメカニズムによって、目の前の現実を歴史という大きな流れの中で考えたりすることを回避しているわけです。・・・・・

・・・・・以上が本書の概要ですが、本書にはいくつかの鋭い指摘がなされています。例えば、今日のエリート層までが過去の脈絡を棚上げにして「現実主義」の思考方法を取っていることについて、実は無邪気なナショナリズムでニッポンを応援する若者たちと共通するものであることを指摘している点は、正に今日の「1億総思考停止状態」を象徴していると思います。こうした過去の脈絡を棚上げする思考方法は、香山氏も述べているように、極めて楽な思考方法なのです。・・・・・

機会平等があれば結果不平等は仕方がないというのが現政権の立場だが、機会平等がかりにあったとしても、多数が生活できなくなり他方は億万長者となるような米国のような「結果不平等」は通常の人間には許容できるものではない。しかも機会平等などということは戦後日本でも一度もなかったことは社会学の実証的研究を通して明かになってきている。このような正義なき「構造改革」が、急速な右傾化をもたらす懸念があることを書評者は懸念しているように思える。

Posted by tjst at 10月12日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000203.html
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2003年10月03日

規律訓練型権力から環境管理型権力へ

はてなダイアリー - 凡庸なる読書日記に東浩紀・大澤真幸対談『自由を考える 9・11以降の現代思想』 (日本放送出版協会2003年4月,4-14-001967-0, 1020円)の書評。


「対談ではまず、権力の変容が主題となり、規律訓練型権力と環境管理型権力について語られる。

前者は割と古典的な権力観で、文字通り個人を規律訓練し、標準化しようとする権力である。これに対し後者は今まさに現前しつつある権力観で、個人の多様性を尊重しながらも、環境を管理することによって、つまり人間の動物的側面を利用して、個人を支配する権力である。」

国立大学を独立行政法人化したところに、環境管理型権力を握る戦後行政の神髄を垣間見る。

Posted by tjst at 10月03日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000179.html
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国対型国会運営の定番:「テロ特措法延長修正案」を提出し民主が自民を援助

民主党サイトより:テロ特措法延長で修正案を提出

国立大学法人法案の衆議院審議のときも、民主党は修正案を出すことで、審議を終了させて法案の成立を可能にした。本当に反対するつもりならば修正案は出さない。

国対型国会運営については、宮脇磊介著「騙されやすい日本人」 を参照のこと。

Posted by tjst at 10月03日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000178.html
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2003年09月11日

JANJAN 9/10 「ODAで根こそぎにされた人々の問いかけ(1) コトパンジャン・ダム訴訟」

http://www.janjan.jp/special/0309/0309046262/1.php

cf:鷲見一夫「ODA援助の現実」岩波新書(1989年)ISBN 4-00-430097-5
http://ac-net.org/kd/03/316.html#[5]

ODA 基礎知識:
http://www.parc-jp.org/oda_watch/kisochisiki.html

(月刊オルタ連載)ODA、ここが問題 「被告となった日本のODA」(2002年11月)
http://www.parc-jp.org/oda_watch/mondai/kotopan_oguchi.html

村井吉敬(アジア太平洋資料センター代表理事、上智大学教員)
ODA 何が問題か?
http://www.parc-jp.org/oda_watch/shiten/mondai.html

アメリカ追随のODA
「・・・・・顕著なのはアメリカ追随の姿勢であり、ODAより先に対アメリカ外交があるといえよう。」

政官業の三位一体:民衆不在のODA
「・・・・・官僚・自民党政治家・業者(コンサル、商社、ゼネコンなど)の政官業三位一体のODA構造はほとんど変わらずに維持されている。そもそも議会(国会)ですらODA政策の決定過程には参与できていない。改革の提案自体は、外務省好みの学者、財界人、ジャーナリストらが策定し、NGOは参加すれど意見などはあまり反映されない構造がある。ましてや、被援助国住民や NGOが参加することなどほとんどあり得ないのである。」

Posted by tjst at 09月11日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000138.html
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2003年09月09日

「衆議統裁」の蔓延

独立行政法人化政策が現実性を帯びた1999年以来、約百の国立大学の約千の部局の中で、反対決議をした部局 の数は十もあっただろうか。多くの大学の多くの部局長は教授会の議長として「議論は大いにしてもよいが議決はしない」という議事運営に固執したと推測される。

戦時中の大政翼賛会中央協力会議では「衆議統裁」と呼ばれる議事運営法がとられていた。これは「議論させるが最後は総裁がすべてを決定する」という方式で、約千名の部局長が法人化問題について採用した方式と全く同じものである。このような一糸乱れぬ挙動は中央からの何らかの指示なしにありえることだろうか。

なお、1924年生まれの若槻泰雄氏は「日本の戦争責任ー最後の戦争世代から」(原書房 1995 ,ISBN 4-562-02683-9) (2000年に小学館ライブラリーとして改訂版 が出る)の第9章「いったい学者、評論家たちはなんといっていたのか」(下巻p179)の中で、中学4年生の公民の時間に「衆議統裁」が日本独特のすばらしい制度であると教えられたとき「衆議統裁と部下の意見を良く聞く独裁者とどこがちがうのか、私は何遍質問してみてもどうしてもわからなかった。」と書いている。

「衆議統裁」のGoogle 検索結果はわずかに3件 であり、ほとんど死語だが、長(おさ)のリーダーシップの美名のもとで、「衆議統裁」は着実に現代日本の大学を覆いつつある。

なお、上の検索にある新藤久和氏(山梨大学教授)「QC7つ道具」 の最後のページで「十分議論を尽くして,最後はリーダの決断に任せるやり方を「衆議統裁」といいます.」として、「衆議統裁」を高く評価している。

2003年09月08日

TUP 速報より「 [公開書簡] 彼らは何をやってしまったのか」

ジョン・ラッポポート著 井上 利男訳:TUP速報168号 03年8月30日
http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/171

原文:RAPPOPORT "WHAT WE DON'T KNOW ABOUT THIS WAR
WHAT HAVE THEY WROUGHT?"

「続いて、ロッキー氏は、1990年このかた、第2次湾岸戦争開始時期までに、
約26万の米兵が身体障害を認定されていると、私に教えてくれた。死亡した
復員兵は10万人である。今、私は、平静な態度で、耳にした事実をあなたが
たに伝えている。だが、ロッキー氏が話してくれた時には、もちろん、たじろ
いでいた。彼はイラクの光景を毒の海として描写した。言うまでもなく、劣化
ウランは毒である。だが、戦場の毒はウランだけではなく、他にも多種多様で
ある。つまり、彼の説明では、「どのような物質であっても」、プラスチックの
ように複合物であるか、合成物であれば、爆弾とミサイルが噴きとばした瞬間、
ありとあらゆる種類の毒性の副産物が発生する。爆撃現場だけではなく、例え
ば、9月11日の世界貿易センタービルでも、このような化学反応が起こった。
「私はあの時の初期対応医療スタッフを数多く訓練しました。今では、彼らも
亡くなっています」と、彼は言った。

ここ何年間か、ロッキー氏は、同僚と組んで、現代戦遂行の「本質的に」避けが
たい結末を説き明かした意見書を次から次へと発表した。その結末とは、時を
超えて殺す、消えることのない毒の染みた大地である。・・・・・

Posted by tjst at 09月08日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000134.html
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2003年09月04日

朝日新聞9/3「就学援助受ける児童生徒が急増 不況影響、10人に1人」

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200309030312.html

Posted by tjst at 09月04日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000125.html
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2003年08月28日

「悪化する職場のメンタルヘルス・・・・・」

生産性新聞 2003年8月25日号
「・・・・・本部メンタル・ヘルス研究所が実施した労働組合を対象とした「メンタルヘルスの取り組み」の調査においても63.5%の組合に「心の病」のため一カ月以上休業している組合員がおり、3000人以上の組合では81.5%にものぼる。「心の病」の疾患では、うつ病が82・2%で圧倒的であり、昨年度の調査よりも悪化している。・・・・・」

「産業人メンタルヘルス白書」
〜2003年度メンタルヘルス実態調査「労働組合の取り組み」とJMI健康調査から〜
2003.8.22

日経ネット2003.8.22: 労組の7割、「組合員に心の病増えている」

Posted by tjst at 08月28日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000114.html
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出生率トップは父母とも「管理職」…人口動態調査

読売新聞2003年8月28日

「・・・・・もっとも出生率が高かった父親の職業は、会社や役所の課長職以上を指す「管理職」で、1000人のうち80・2人に子供ができた計算。2位の「サービス職」の41・6人を2倍近く引き離した。10年前の調査では、それぞれ43・6人、43・4人で差はなかった。・・・・・」

Posted by tjst at 08月28日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000113.html
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2003年08月26日

在日アメリカ人学者による大学批判の本

http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/bookofBMcV.html
より:

「佐賀大学の豊島です.

在日アメリカ人の学者Brian McVeighという人の, "Japanese Higher Education as Myth"という本を紹介します.昨年出版されたもので,私もまだ一部分しか読んでいませんが,日本の大学について大変厳しい分析をしています.でもその内容は,行法化反対運動にコミットして来た人々の考え方と非常に共通しているように思われます.少しですが行法化にも触れています.「制度化された虚偽」(institutional mendacity)という言葉など, ウオルフレンの高等教育版といった感じがします.最後の章の一つの節のタイトルは,「改革のありかたの改革」となっていますが,これはまさに私が12年前から言い続けたことです(「日本の科学者」1991年5月号掲載の拙文参照).

 Brian McVeigh, "Japanese Higher Education as Myth"
 Armonk, New York: M.E. Sharpe, 2002. ISBN 0-7656-0925-8

・・・・・」

2003年08月13日

伊丹万作:「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。

伊丹万作『戦争責任者の問題』 1946年4月28日
(「伊丹万作全集1」筑摩書房刊)

「・・・・・はからずも、いま政治的には一応解放された。しかしいままで、奴隷状態を存続せしめた責任を軍や警察や官僚にのみ負担させて、彼らの跳梁を許した自分たちの罪を真剣に反省しなかつたならば、日本の国民というものは永久に救われるときはないであろう。

「だまされていた」という一語の持つ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人人の安易きわまる態度を見るとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感ぜざるを得ない。

「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。

 一度だまされたら、二度とだまされまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。この意味から戦犯者の追求ということもむろん重要ではあるが、それ以上に現在の日本に必要なことは、まず国民全体がだまされたということの意味を本当に理解し、だまされるような脆弱(ぜいじやく)な自分というものを解剖し、分析し、徹底的に自己を改造する努力を始めることである。・・・・・」

Posted by tjst at 08月13日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000088.html
他の分類:荒廃の諸相

2003年08月05日

[reform:04921] 都立大に吹き荒れるファシズムの嵐

Date: Mon, 4 Aug 2003 09:01:50 EDT

「・・・今年の6月末になって、大学管理本部長が任期途中で解任され、
新しい本部長が送り込まれてきました。前本部長が解任されたのは彼が
大学側の意向に一定の理解を示して、結果として「生ぬるい」改革案を
作ったからである、と噂されました。選挙で300万票を得て気をよく
した知事が、「まったく新しい大学をつくる」と意気込んで投入したの
が現本部長で、「今まで『やる』と言って実現しなかったことはひとつ
もない」と豪語している、とかいう人物でした。・・・・」



皆様、

このメーリングリストで流れた8月3日付「国公私立大学
通信抄」でも、都立の新大学に関する情報が紹介されました。

受信日時:2003/08/03 17:51:50 東京 (標準時)

tujisita@math.sci.hokudai.ac.jpからの引用:

> [3] 「単位バンク」で柔軟カリキュラム 統合後の都立新大学

この「都立の新しい大学の構想について」
が出された経緯は異様なものです。

これまで都立大学では、2〜3年以上の年月をかけて、都当局
と大学側が交渉し、(都当局主導で大学側の意向が必ずしも
十分に反映されたとは言えないものではありましたが)とにかく
都当局と大学側の共同作業の結果ほぼ改革案がまとまりつつあり
ました。

それが今年の6月末になって、大学管理本部長(私たちの大学は、
キャンパスではなく新宿都庁内にあるこの「大学管理本部」と
いういやな名前の部署の下に属する「二級事業所」(!)という
扱いです)が任期途中で解任され、新しい本部長が送り込まれて
きました。前本部長が解任されたのは彼が大学側の意向に一定の
理解を示して、結果として「生ぬるい」改革案を作ったからで
ある、と噂されました。選挙で300万票を得て気をよくした
知事が、「まったく新しい大学をつくる」と意気込んで投入した
のが現本部長で、「今まで『やる』と言って実現しなかったこと
はひとつもない」と豪語している、とかいう人物でした。

そして新本部長が着任して1ヶ月程度で、突然出てきたのが
この「都立の新しい大学の構想について」です。これが突然
プレス発表(知事の記者会見は以下をご覧ください)

http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/index.htm

されるまで、大学側は学長以下まったく何の情報もなく、
大学管理本部のお役人でさえ下の方は何が起こっているの
かわからない、というような密室の中で作られた案が、
大学側にひとことの相談もなく突然プレス発表された
わけです。しかも(上記の記者会見を見ていただければ
わかりますが)、「いやならおやめになったらいい」と
いう知事のやくざまがいの恫喝のおまけまでついています。
これがファシズムでなくていったい何でしょうか?

その内容も、(「ちゃぶ台をひっくり返す」という噂通り)
今までの数年間の積み重ねを完全に反故にした滅茶苦茶な
ものです。はっきりしているのは管理強化、人件費削減、
労働条件悪化の意図だけで、あとは、(1ヶ月で「まったく
新しい大学」の構想をゼロから作る、などという荒唐無稽
な話ですから必然ではありますが)実にお粗末きわまりない
出まかせアイデアのオンパレードです。

これから何とかこの滅茶苦茶な案を、全学で一致団結して
押し返していかなければなりません。このような案がこの
まま通ってしまえば、それが全国の国公立大学の改革・
法人化に与える悪影響は甚大だと思います。教職員組合
中央執行委員会としての抗議声明 を以下に貼り付けます。
どうか皆様のご支援のほどどうぞよろしくお願い申し上げ
ます。

東京都立大学  長谷川 宏

「都立の新しい大学の構想について」に対して抗議する

1)「都立の新しい大学の構想について」の内容について

「まったく新しい大学」を標榜しながら、その内容は、「都市」、
「教養」等、さんざん取りざたされてきたキーワードのつぎはぎと、
「観光・ツーリズム」、「メディア・アート」、「産業系デザイン」
等、各種専門学校等でなされてきた教育の「剽窃」に過ぎない。結
局、予算削減、大学教職員の労働条件の悪化をねらいとする「改悪
案」そのものであり、本質的な「改革」の名に値するものは、どこ
にも見当たらない。

2)「都立の新しい大学の構想について」が出された経緯について

組合は大学管理本部主導で策定された「大学改革大綱」に反対して
きた。それはそれとして、今までの大学「改革」案は、きわめて不
十分ながらも、大学側が意向を表明する場が設けられ、そこでの意
見を多少なりとも踏まえて作成が進められてきた。しかし今回出さ
れた「構想について」は、執行部を含め当事者である大学を完全に
閉め出した「密室」で作成され、大学側に何の相談もなくいきなり
出されたものである。もし今までの「改革」案に問題があるという
のなら、問題があると考えた側が大学側とひざを突き合わせてどこ
に問題があるのかを話し合った上でその解決をはかるべきである。
これまで検討されてきた大学「改革」は、都立4大学の統合・改組
であった。今回発表された「都立の新しい大学の構想について」は、
当事者である大学にひとことの相談もなく出され、手続き的にも正
当性があるとは到底認められない。大学管理本部は、このような乱
暴なトップダウン方式で、大学改革が本当にうまくいくと考えてい
るのであろうか。

3)一方的な賃金・労働条件の変更は認められない

 「都立の新しい大学の構想について」では、教員の任期制や年棒
制の導入と業績主義の徹底が盛り込まれている。また、「大学改革
大綱」とは、全くことなる学部構成とそれに伴うキャンパス配置も
発表された。教員の任期制や年棒制の導入、新たなキャンパス配置
に伴う勤務地の変更などは、賃金・労働条件の著しい変更であり、
労働組合との協議すら開始しない段階で、一方的に発表することは
許されない暴挙である。大学管理本部に対して、厳重に抗議する。

4)政治的、社会的、法的問題について

7月1日参議院総務委員会における「地方独立行政法人法案」の採
決にあたり、以下のような付帯決議がなされた。

 二、地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条
件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎
通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。

. 六、公立大学法人の設立に関しては、地方公共団体による定款の
作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可等に際し、憲法が保障す
る学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、大学の自主性・
自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずること。

新構想は新大学の根幹をなす学部構成や、教職員の労働条件等につ
いて、当事者である大学側の意向を形式的に聞くことさえせずに出
されたもので、以上の付帯決議の趣旨に違反することは明白である。
「地方独立行政法人法案」や「国立大学法人法案」の国会審議で指
摘された問題点を、全く顧みないものであり、大学関係者のみなら
ず、良識ある多くの国民・都民の批判は免れることができない。以
上の点から、私たち都立の大学に働く教職員は、「都立の新しい大
学の構想について」の撤回と、都立4大学教職員との協議と合意に
基づく、新大学設立準備を、強く求めるものである。

2003年08月03日

国公私立大学通信8月3日序

全文
大学関係者 各位

4月に西日本のある国立大学から私立大学に転勤した方
から「通信」の配信停止を求める連絡を頂きましたが、
私立大学の教育や雑用の責務の重さは国立大学の比では
ないが、様々な意味で国立大学にはない自由が有り、元
に戻りたいとはおもわない、と書いておられました。

これまでの国立大学に「自由」がなかったのか、なかっ
たとしても、どういう「自由」がなかったのか、それに
ついての認識は人によって様々のようです。法人化が、
国立大学に不足している自由をもたらす、と期待してい
た人、あるいは今なお期待している人、もおられるよう
ですが、少くとも、この方が、国立大学に不足している、
と考えている自由が「国立大学法人」化によって増すも
のでないことは、この方の身の振り方自身が示している
ように思いました。

一昨日の閣議で、主務省と総務省の2つの評価委員会に
よる独立行政法人の評価でも不十分である、という考え
から、内閣府にある行革推進本部自身が最終的な評価を
下すように独立行政法人制度を修正する方針が決まりま
した[1]

国家機関の民営化か廃止かを判断するための過渡形態と
して設計された独立行政法人制度の趣旨を忠実に活そう
という方針です。したがって、独立行政法人という法人
の大半は、数年後にはなくなってしまう可能性が高くな
った、ということができます。

この方針が国会で承認されれば、国立大学法人にも当然
適用されますので、国立大学関係の「評価」は学内評価
と大学評価学位授与機構による評価も含めれば5段階と
なります。しかも6年後に,行革推進本部から民営化が
適当と宣告されるのは、独立採算でもやっていけると判
断される「大手」の大学かもしれません。

国立大学から私立大学への転勤者は独立行政法人化政策
が表面化した1999年以降増えているようですが、それを
更に増やしかねない新政策が間断なく繰りだされます。

------------------------------

国立大学法人法が成立した直後の、文科省の杉野氏の文
章に、「学内資源の再配分の決定は、厳しい反発を招く
決断であっても、大学自身の手で決着をつける自主・自
律の体制を確立しなければならない。」[6]とありまし
たが、ずいぶん寒々しく貧相な「自主・自律」になった
ものです。大学への説教に終始するのではなく、法人化
後の急速な大学予算削減が不可避な状況下[1]にあって
「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行す
るに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなけれ
ばならない。」と教育基本法が命じている困難な責務の
遂行への文科省の並々ならぬ決意を示していただきたかっ
たと思います[6-1]

------------------------------

最近、「日本は深刻な危機にある」という主張が、正反
対の視点からされることが多いようです。個人より国家
が優先される体制の整備が加速度的に進んでいることに
危機感を持つ人たちと、「内憂外患」に対処できる国家
体制の整備が遅れていることに強い危機感を持つ人たち
とが居ます。両者は、政治、行政、司法、メディア等の
問題点について認識を共有する部分はありますが、各々
相手側の危機感自身を危機の主因と考えている点で、根
本的に相容れない、と言うことができるかも知れません。

たとえば、先日http://ac-net.org/kd/03/722.html#[6]
で紹介した「騙されやすい日本人」は後者の危機感の典
型です。この危機感には世論に浸透しやすい平明さがあ
りますが、それが津々浦々に浸透したときに日本に何が
起きたかーーその記憶は日本ではまだ完全には風化して
いないはずです。しかし、米国の人たちの大半が、この
種の危機感に過度に感染し、正常な判断が出来なくなっ
ている状況で、日本でも、それが急速に広がっています。
「有事法」が圧倒的多数で可決されたことはその広がり
を如実に示しています。

社会の「危機」と大学との関係は複雑です。後者の危機
に対し、大学は専門的な協力が期待され、財政誘導・行
政指導・行政命令等、制度が許す種々の強制力を持って
協力が求められていく可能性は消えることはありません
[1]

一方、前時代的に聞こえるかも知れませんが、「精神的
自由」は大学のアイデンティティと不可分ですので、大
学関係者は前者の危機感を自然に持ちます。しかし、こ
の危機感に基いて具体的にできることは限られています。
特に、国立大学が会社と同じように「組織の利害」を最
優先して運営される国立大学法人となるため、大口の
「出資者」である政府の政策を吟味する研究は、以前に
も増して困難になるでしょう。

しかし、大学のアイデンティティと不可分の「精神的自
由」をグランドデザインに掲げ[7]、日本社会からの直
接的な支援を得るに到る「国立大学」が登場する可能性
は、大学内外の状況と国立大学法人制度の構造を考えれ
ば皆無に近いように思いますが、そういう大学が出現し
て、日本社会が、安全で強固だが個は全体の一部でしか
ない蟻の社会のようになっていくことに歯止めがかかる
ことが望まれます。(編集人)

2003年08月02日

asahi.com 8/1:「単位バンク」で柔軟カリキュラム 統合後の都立新大学

2003.8.2

「・・・大学の管理は強化する。経営のプロを理事長に招いて事務当局の発言力を確立する。教授らには業績主義を徹底して年俸制、任期制を導入。旧来の「教授―助教授―助手」といったピラミッド型の「徒弟制」は廃する。従来の大学運営から様変わりすることになり、一部では「学問の自治を侵す」と批判も起きそうだ。」

2003年08月01日

「NHKは神か」

養老孟司著「バカの壁」 新潮新書 ISBN4-10-610003-7

p21
「私自身は、「客観的事実が存在する」と言うのはやはり最終的には信仰の領域だと思
っています。・・・・・今の日本で一番怖いのは、それが信仰だと知らぬままに、そん
なものが存在すると信じている人が非常に多いことなのです。
 ちなみに、その代表がNHKである、というのが私の持論です。NHKの報道は「公平・
客観・中立」がモットーである、と堂々と唱えています。
 「ありえない。どうしてそんなことが言えるんだ、お前は神か」と言いたくもなって
しまう。・・・・・こうした「正しさ」を安易に信じる姿勢があるというのは、実は非
常に怖いことなのです。現実はそう簡単にわかるものではない、という前提を真剣に考
えることなく、ただ自分は「客観的である」と信じている。」

2003年07月30日

1998.12 「自由で独立した裁判官を求める市民の会」

週間金曜日 251号(1999.1.22) p7 風速計
本多 勝一「ガラパゴス現象」

先月末に東京・四谷で「自由で独立した裁判官を求める市民の会」 の設立記念集会があり、さきに仙台高裁による戒告処分を最高裁も支持(といっても三分の一は反対して大問題になった当の寺西和史判事補も出席、発言した。

この集会での「ドイツの裁判官と日本の裁判官」と題する木佐茂雄氏(北大教授)の講演は、非常に興味深い、というよりかなり衝撃度の強いものであった。....

2003年07月26日

イラク特別措置法可決における与野党談合?

旧態依然の与野党談合でイラク特措法が可決された、という以下
の記事が正しければ、自由・民主が合流などしても国民からの支
持などありえず、政権交代などあろうはずはない。「野党攻撃」
の世論操作の可能性はある。記事が正しくないのであれば、民主
党は、正式に抗議すべきであろう。


北海道新聞2003年7月26日付け
週末の採決 暗黙の了解 ーー野党 抵抗姿勢のアピール

「イラク復興支援特別措置法をめぐる与野党攻防の決着が26日
未明にもつれ込んだのは、秋の衆院解散・総選挙が現実味を帯び
る中、週末は選挙区に戻りたい与野党の思惑が一致した結果だっ
た。野党側は二日連続の未明の審議で抵抗姿勢をアピール。一方、
与党側は会期末の28日まで同法案を持ち越すと不測の事態もあ
り得ると計画、解散風が与野党の「談合」を成立させた。」

「やろうと思えばいくらでも長引かせられるが、日付
けが変わればいいんじゃないか。土曜、日曜(に審議する)なんて
なったら、みんなに一生恨まれる」。民主党の国対幹部は25日
午前、国会内で記者団にこう漏らした。・・・・「あまり与党を
刺激しすぎて本当の解散となっても困る」(民主党国対幹部)か
らで、同日朝の野党参院国対委員長会談でも「25日中の成立は
阻止する」と確認するにとどまり、26日未明の成立を容認、「
徹底抗戦」の旗は早々に降ろしていた。・・・・」

2003年07月24日

行政を代弁して憚らない記者達

朝日新聞2003年7月21日 社会部 長谷川 玲 記者
「自立に向け意識改革をーー法人化される国立大学」
報道機関から政府広報紙への大手紙の退化を証明する歴史的記事といえるだろう。大学関 係に長く携わっていて文科省とも知己の多い「族記者」の一人なのであろうか、 毎日新聞2003年6月23日付の横井信洋記者のエセー「国立大学教員よ甘えるな」と同じ趣旨の内容であることにも驚きを覚える。どこまで政府の肩を持てば気が済むのであろうか。大手紙(読売・朝日・毎日)のみが示す余りに偏った記事は、安く土地を譲ってもらった政府への負い目 を証明してしまっていると言えるのではないか。なお、都立大学の長谷川宏氏が長文の公開質問状を長谷川玲記者に送っている。)

2003年07月22日

黒田清「批判ができない新聞」

日本との対話:不服の諸相 ロナルド・ドーア編 岩波書店 94年


黒田清
「(p.298〜 批判ができない新聞)日本のメディアは(中略)本来は現実
批判がもとにあったと思うんですが、気がついたら、批判できないよう
になっている。非常に大きいのは、政治についての批判がぎりぎりのと
ころでできなくなったことです。不幸なことに高度成長で日本の新聞社
は読者も増える、ページ数も増えるなど、いろいろなことで社屋を大き
くしなければならなくなって、特に東京で社屋の土地が無かったから、
自民党に頼んで国有地を安く売ってもらった。読売、朝日、毎日、産
経、みんなそうです。とても大きな借りを作ってしまった。だから新聞
記者が一生懸命何かを書こうと思っても、中枢のところで握手をしてい
ますから、突破できない。もう一つは、日本の新聞社の経営は、自己資
金が少ない。たとえば朝日や読売にしても、資本金は一億か一億五千
万、いま増資して三億とか五億とか、せいぜいその程度でしょう。そし
て銀行は、新聞社と手を結んでおいたらいいということで、ずっと貸し
ていた。この10年ほどで、その借入金が一桁か二桁、また増えたわけで
す。これはご存知のようにコンピュータシステムをとりいれたからで
す。そうなると金融機関に対するチェックは非常に甘くなりますね。だ
から、そのあと、土地問題、不動産問題、銀行の不正融資と、表に出て
いるのは知れたもので、さらにひどいことが金融機関をめぐってはやら
れていますよ。けれども、新聞はさわっていませんね」

(p.303)「はずかしいけれど、そう言われてもしかたないと思いますよ。
特に私は読売新聞にいましたから。読売新聞の幹部がどういう考えで新
聞をつくっているかというのは、社内に発表される社内報で知っていま
すから。それに私自身が辞める前は編集局次長で首脳会議に何年か出席
していたわけですからね。その時に驚いたのは、新聞記者、ジャーナリ
スト、マスコミの役割は−−あの人たちにはジャーナリストもマスコミ
もみんな一緒です−−政府が行政を行うのをサポートすることだ、と言
われたことです。私は三十年以上政府権力をチェックするという考え方
だったんですけれど、最後の数年は、サポートするんだとトップは考え
て紙面を作るようになっていた」

2003年07月21日

宮脇磊介「騙されやすい日本人」より

新潮文庫, 2003.3.1 発行、ISBN 4-10-116421-5
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/4101164215

#(主張の全体的方向性には、ある種の危惧を感じたが、政府の中枢近くにいた著者による、現代日本の構造的問題の全貌についての貴重な証言になっている。以下、国会運営とマスメディアに関する部分だけ紹介。)

p23 「国民の目を永田町の実態から隔離してきたカベは、いわゆる
55年体制下において限りなく有効に機能してきた。それは、与党
自民党の中での密室政治にとどまらず、与野党間の密室談合によっ
て作られたシナリオに沿った国会運営をもたらすことで、その真骨
頂を発揮する。これがいわゆる国対型国会運営、「国対政治」とい
われるものである。そして、政治記者はシナリオーー国会対策委員
会のいわゆるウラ国対で、党利党略の調整の結果まとめたシナリ
オーーを尊重して、そのシナリオにあった記事作り、紙面構成をし
てきた。・・・自民党は国会対策上、重要法案を最終的に会期内に
可決するために、いかにも野党の立場を尊重して五分五分の与野党
対決をしているかのようなシナリオを、野党と談合の上で作る。国
対委員長が、そのシナリオライターであった。政治記者は、そのシ
ナリオを作成する経緯がわかっていても、紙面で暴露するようなこ
とはしない。むしろ、時にはシナリオ作りに加担することさえあっ
たといわれる。このシナリオには、必ず、「審議拒否」が重要な意
味を有する。つまり、白熱シナリオのクライマックスである。・・・
野党は審議に復帰し、法案成立のタイムリミットにぎりぎりで間に
合う。・・・与野党談合、政治記者黙認の共同作業が生んだお決り
の展開が繰り返されていく。」
#(国立大学法人法案の審議では、与野党間は談合はなかったと信
じたいが、参議院文教科学委員会の最後2回の審議では、民主党議
員の質疑内容と態度に、その疑念を抱かせるものがあった。)

p186「 行政とジャーナリズムのとの癒着の最大の場は、つとにそ
の弊害が指摘されている記者クラブ制であろう。記者クラブは、政・
官・業いずれとの間にも存在するが、政治家と番記者との関係に次
いで癒着度が高いのは、官庁記者クラブであるといわれる。長年の
記者クラブと行政官庁との間の歴史の中で、次第に記者の独自取材
や調査報道の力が削がれ、行政官庁のいわゆる「発表もの」に依存
するようになってしまった。「新聞の官報化」は、かねてから指摘
されているところである。」

p192 「癒着によりジャーナリズムが書かないこと、ジャーナリズ
ムの腐敗である。マスメディア自身も国民も「癒着は腐敗である」
との厳しい見方で臨まないと、マスメディアのモラルハザードが進
行する。日本のマスメディアの場合には、ニュースソースとの関係
において、意識的・理性的に選択されたポリシーとしてのオープン
な協力関係と、こうした癒着とがはっきり区別して意識されていな
いために、緊張感が欠けて腐敗を生んでいるのであろう。」

p194 「私が内閣広報官の仕事をしている間に自分自身で感得した
言葉に、"毒をまわす"という語がある。・・・「魂を奪う」とか
「肝を抜く」という言葉は承知していた。「毒をまわす」とは、丁
寧に言えば「ご理解いただき、ご協力を賜る」ということであ
る。・・・毒をまわす手法は、・・・システムとしても形成されて
いる。・・・その最も有効なシステムが「叙勲」をエサに魂を奪い
虜にすることである。そのシステムの典型は、政・官が特に役所を
窓口として、政・官においてこれから実現しようとする政策に対し
て批判勢力になりかねないマスメディアの関係者・評論家・学者や
財界人などを懐柔するための段階的システムである。・・・新聞関
係では、特定の新聞社の社長が新聞協会の会長を順に務めるとになっ
ているが、会長経験者には、勲章、それも勲一等瑞宝章が授与され
るとが慣行として定着しつつある。新聞人にあっては、叙勲を辞退
した人がどれだけいるであろうか。・・・」