Academia e-Network

国立大学独立行政法人化の諸問題: 研究者から社会へ


4/22 [AcNet Letter 号外] 東京大学教職員緊急アピールの賛同呼掛け研究者から社会へ
4/19 [AcNet Letter 98] 投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」AcNet Letter , イラク戦争 , 研究者から社会へ , 荒廃の諸相 , 大学の使命
3/15 松本市長となる元信州大学医学部助教授の菅谷昭氏研究者から社会へ
3/14 自衛官宅ビラ配布者の即時釈放を求める社会科学者有志の声明研究者から社会へ
3/04 法学者50名の抗議声明:自衛官宅へのビラ配布者逮捕についてイラク戦争 , 研究者から社会へ , 荒廃の諸相 , 大学の使命
2/04 フランスにおける科学者・研究者たちの闘い――「研究を救おう!」をめぐる三週間の動き意見広告の会ニュース , 学問の意義 , 研究者から社会へ , 大学の使命 , 大学財政 , 大学政策
2/01 5000名の仏科学者が辞任決意表明:政府へ抗議して研究者から社会へ
1/18 自衛隊のイラクへの派遣に反対する数学者の声明への賛同呼びかけイラク戦争 , 研究者から社会へ
1/17 自衛隊イラク出兵 に宮城県学者・文化人・法律家有志279名 緊急抗議声明 2004.1.16イラク戦争 , 研究者から社会へ , 大学の使命 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
1/16 イラク戦争の「正当性」をわかりやすく説明ーーNHK週刊子供ニュースイラク戦争 , メディアの諸問題 , メディアの情報操作 , 研究者から社会へ
12/26 ネット署名:自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明イラク戦争 , 研究者から社会へ , 大学の使命 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
12/23 日本文学協会:都立大学「改革」に反対する声明研究者から社会へ , 地方独立行政法人制度 , 東京都の大学支配問題
12/23 日本史研究会声明12/1:都立四大学の統廃合について・・・・・・研究者から社会へ , 地方独立行政法人制度 , 東京都の大学支配問題
12/07 横浜市立大学名誉教授・教授等有志声明:「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う研究者から社会へ , 大学の自治 , 大学界の自治 , 任期制の諸問題 , 不当な支配に直面する横浜市立大学
12/05 学位授与・大学評価機構による都立大学評価結果概要研究者から社会へ , 大学評価 , 地方独立行政法人制度 , 東京都の大学支配問題
11/04 日本数学会声明:科学研究の国費助成のありかたについて学術政策・科学技術政策 , 競争的研究費 , 研究者から社会へ
10/25 石原知事への歴史学研究会委員会抗議声明研究者から社会へ
9/29 シンポジウム「大学界の真の改革を求めて」報道発表研究者から社会へ , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学の自治
9/25 東京都立大学人文学部抗議声明 2003.9.25研究者から社会へ , 大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 不当な介入
9/21  9/28「都立4大学の廃止に関する緊急シンポジウム」研究者から社会へ , 大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 不当な介入
9/21 サイト紹介:石原都政の下での都立大学改革を考えるホームページ研究者から社会へ , 大学改革の提案ーー大学から , 不当な介入 , 不当な介入
9/08 メールマガジン:サイコム・ニュース創刊号研究者から社会へ

2004年04月22日

[AcNet Letter 号外] 東京大学教職員緊急アピールの賛同呼掛け

「意見広告の会」ニュース136(2004.4.22) より転載

東京大学の教職員の皆様へ

 緊急アピール

  「イラクで人質になった方々の活動に敬意を表し、これらの方々への
  非難・中傷を直ちに止めるよう訴える」へのご賛同をお願いします。

イラクで人質となった5人の方々が無事解放され帰国されたにもかかわらず、政府やマスコミの一部では、これらの方々とその家族の方々の「自己責任」が声高に叫ばれています。さらに一部では、5人の方々の過去の経歴なるものを持ち出して、いわれのない非難・中傷さえ、なされています。そのため、一足先に帰国された3人の方々は、人質の体験に加え、こうした冷淡で非人道的な非難・中傷によって精神的に追い詰められ、心身を傷つけられています。

しかし、5人の方々は戦禍のイラクの悲惨な事態に心を痛め、ジャーナリストとして、また草の根のボランティアとして、イラクの人々に人道支援の手をさしのべようとした若者です。

私たちは、このように日本が世界に誇るべき方々にいわれのない非難・中傷が浴びせられている日本の現状を憂えるとともに、ささやかではあっても、東京大学で働く教職員の良識において、日本人の人道精神をイラクの人々へ届けた5人の方々とその家族の皆様に敬意を表し、激励したいと考えました。また、5人の方々への不条理な非難・中傷を一刻も早くなくすよう、政府、マスコミ、そして国民の皆様に向けて緊急のアピールを出すことにしました。

そして、このアピールを5人とそのご家族の方々に届けるとともに、政府各機関、マスコミにも伝えたいと考えています。

大変、急なよびかけではありますが、皆様のご賛同を心よりお願いする次第です。どうかよろしくお願いいたします。

(注)今週中には公表したいと考えています。そのため、急なお願いですが、ご賛同いただける場合は、極力、4月22日(木)までに、qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp へご返事を下さいますよう、お願いいたします。

2004年4月21日

              よびかけ人
                小野塚知二(経済学研究科)
                小森陽一(総合文化研究科)
              ○ 醍醐 聰(経済学研究科)
                野村剛史(総合文化研究科)
                横山伊徳(史料編さん所)
                市野川容孝(総合文化研究科)
                      ○ 代表世話人

*賛同登録は、氏名、所属、氏名公表の可、不可を必ずお書き込み下さい。
緊急アピール

イラクで人質になった方々の活動に敬意を表し、これらの方々への非難・中傷を直ちに止めるよう訴えます

東京大学教職員有志

イラクで人質となった方々が解放され国民が安堵しているさなかに、政府、一部マスコミの間で、これらの方々の「自己責任」を追求する意見が声高に叫ばれています。さらに、人質となった方々の過去の経歴なるものをあげつらって、いわれのない誹謗・中傷が行われています。5人の方々のイラク入りについては、その状況判断に問題がなかったか、議論がありうると思います。しかし、考えてみて下さい。巨大な情報収集能力を持つアメリカ政府でさえ、あのイラクで取り返しのつかない誤算を繰り返しているのではないでしょうか。今回の人質事件に関して、その背景的状況を抜きにして論点を「自己責任」にずらしてしまうのは問題のすりかえであり、矮小化であると、私たちは考えます。

そもそも、5人は戦禍のイラクの悲惨な実態を世界に伝えるために、また、戦争・貧困・環境破壊に苦しむ人々を支援するためにイラク入りしたのです。フランスのルモンド紙は、人質となった方々のことを「犠牲となっている人々に手を差しのべた」、「戦争、暴力、非寛容を拒否する思想の伝達者である」と報じました。

アメリカのパウエル国務長官も、「危険を知りながら、良い目的のためにイラクに入った市民がいることを日本人は誇りに思うべきだ。」「『危険をおかしてしまったあなたがたの過ちだ』などと言うべきではない」と語っています。

こうした海外の論調をみても、5人の方々は日本人の勇気ある人道精神を世界に知らしめた、誇るべき若者といえるのではないでしょうか。

また、人質となったある方は、「それでもイラクの人を嫌いになれない」と語っています。この言葉によって、またこの言葉に共鳴してくれるイラクの人々の力によって、むしろ何人もの日本人の(自衛隊員を含む)命が救われている可能性すらあるのです。

にもかかわらず、日本政府や一部マスコミは「5人は政府や関係機関に多大な迷惑をかけた」、「救ってやった」、「謝罪せよ」といわんばかりの態度です。こうした冷淡で非人道的な態度に私たちは唖然とし、背筋の寒ささえ覚えます。

このような観点から、私たちは日本政府、マスコミ関係者に、そして国民の皆様に次のことを訴えます。

1.人質となった5人の方々ならびにその家族の方々へのいわれのない非難・中傷を直ちに中止するよう求めます。

2.人質となった5人の方々は戦禍のイラクの悲惨な事態に心を痛め、ジャーナリストとして、また草の根のボランティアとしてイラクの人々に人道支援の手をさしのべようとした、日本が世界に誇るべき方々です。私たちはこれらの方々の勇気と情熱に敬意を表するとともに、政府・マスコミ関係者、そして多くの国民の皆様が5人の皆さんとそのご家族の方々にねぎらいと激励の言葉をかけて下さるよう呼びかけます。

                           以上

Posted by tjst at 04月22日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000593.html
他の分類:研究者から社会へ

2004年04月19日

[AcNet Letter 98] 投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Academia e-Network Letter No 98 (2004.04.18 Sun)
ログ http://letter.ac-net.org/log.php

━┫AcNet Letter 98 目次┣━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━

【1】 白井厚氏「大学ーー風にそよぐ葦の歴史」抜粋
http://ac-net.org/dgh/01/901-shirai.htm
日本経済評論社 1996.12.8 ISBN 4-8188-0903-9

□その精神状況というものは、大学としては自滅ではな
かったんだろうか。だから大学ははたして大学だったの
だろうかということです。□

【2】 転載:緊急共同声明の賛同呼かけ
http://www.jca.apc.org/wsf_support/ngo_statement.html

□このような世論形成は、人命を軽視した安易な武力行
使や実力行使を正当化させかねず、NGOなどによる海外
での活動を大きく制約しかねないという危機感を大変強
く持っています。□

【3】投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」
Sat, 17 Apr 2004 03:14:11 +0900

□3人は自分自身の国境を超えた博愛の実践活動の実績
で自分の身を守ったといっても過言ではないのです。□

【4】「自己責任論」を巡る言説

 【4-1】 Publicity 904 「陰惨なイジメ大国」ニッポンの本性を撃て
   http://www.emaga.com/bn/?2004040047191840021235.7777
   Publicity 登録ページ:http://www.emaga.com/info/7777.html

  【4-1-1】 松沢呉一氏の意見

□戦地に取材に行って死んじゃった人たちはこれまでに
もいっぱいいますが、こういう人たちに「自業自得」な
んて言葉を投げつけるのなら、命がけでビデオを回し、
写真を撮り、記事を書いている人たちに失礼だから、二
度とニュースや雑誌を見なさんな。□

  【4-1-2】 Publicity 編集者の意見

□“「いじめられる側にも理由がある」という「論理」
が「暴力」になる、という論理”を理解できない人のこ
とを、「日本人」と呼ぶのだ。それをどう変えるかとい
う問題だ。□

 【4-2】ルモンド 2004.4.16 「日本:高揚する人道主義」(抄訳:橋本尚幸氏)
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E2083218708/index.html
□この出来事は日本の若者の間において利他主義の価値
観が強まっていることを示すものである。・・・・本当
の日本の強みとか創造性は、経済指標には現れないこう
した市民活動にあるのである。□

【5】お便り紹介

 【5-1】Fri, 16 Apr 2004 08:55:27 +0900

□ ”もっとも重要な正義の諸概念は,世界はいかに運
行すべきかに関する特定の公式から導出されるものでは
なく,誰の眼にも明々白々な根深い不正義(patent
injustice)を,一つ一つ暴いていくことに見出されるで
あろう(Amartya K. Sen (後藤玲子訳))”□

 【5-2】Sat, 17 Apr 2004 11:33:24 +0900    

□経営協議会学外委員の中から「もはや学問の府ではな
くなった」という発言があったと聞き驚いています。□

【6】 ネットからのクリップ
───────────────────────────────

━ AcNet Letter 98 【1】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

白井厚氏「大学ーー風にそよぐ葦の歴史」抜粋
日本経済評論社 1996.12.8 ISBN 4-8188-0903-9
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4818809039/hon-22/249-5420018-2114769
抜粋: http://ac-net.org/dgh/01/901-shirai.htm
───────────────────────────────
(2001.9.3 http://ac-net.org/wr/wr-66.html#[66-7-2] 再掲)

「・・・大学の目的は、こういった教育・研究を通じて、長期的に
人類の将来の幸福に貢献するものであると考えられます。このへん
が国の政府の目的とは違うわけです。国の政府ですと、関心は個人
の権力やナショナル・インタレストであります。今の政権がいつま
で続くか、次の議会をどうやって乗り切るか、今度の戦争をどうやっ
て勝かというような問題でありまして、常に短期的な利害というも
のを考えなければならない。しかし大学はそういう目的に奉仕する
のではなく、長い将来にわたって人類の幸福ということを考えなけ
ればならない。大学の目的と国家の目的は違う。基本的に矛盾しま
す。・・・・

□ 五十年目の大学評価 p27

大学というのは高等教育機関ですね。去年のわだつみ会の八・一五
の集まりの時だったかと思いますが、当時の日本人がみんなお国の
ために夢中になって戦争に協力をしていた。・・・それに対する疑
問をもった人は非常に少ない。それは教育の効果である、という話
があった。しかしそのときにどなたかが、しかし大学の教育として
は失敗ではないかと発言されて、私はなるほどなと思いました。

大学だけを特別視するのはおかしいけれども、もっとも批判的な精
神を涵養するところが大学であろうと思います。その大学の学生も
教授たちも、戦争目的に対する批判的な見解というものはほとんど
もたなかった。もったごく少数の人は牢獄に入れられた。しかしそ
れ以外の人はほとんどもたなかった。あるいはもとうとしなかった
という、その精神状況というものは、大学としては自滅ではなかっ
たんだろうか。だから大学ははたして大学だったのだろうかという
ことです。小学校なら国定教科書で教えるわけですから、やむをえ
ないと思います。しかし大学には国定教科書はありませんし、まが
りなりにも学問の自由とか言えるような時代に、しかも意外に敗戦
の間際までけっこう自由にしやべっていた人もいる。学生などもけっ
こう自由に動きまわっていた例も幾つもありました。そういうとき
に積極的にこの戦争目的に対する疑問がほとんどどこからも提起さ
れなかったということは、大学としての自滅ではないだろうか。そ
こで、記億に残る大学教員の発言リストをつくったのは、50年目
の大学評価ではないかというふうに思っています。

□ 大学の責任と反省

・・・政治に対する批判とか、真理の探求とか国際情勢の分析とか、
そういう本来大学がやるべき使命を完全に放棄してしまった責任、
そういうものをいったいどう考えるのであろうか。このことが戦後
行うべき大学の一つの仕事ではなかったかと思います。

・・・戦後二、三十年ぐらいで、落ち着いたところで大学は大学と
しての戦争責任というものを自分で整理をする作業をやるべきでは
なかったか。今となっては若干遅きに失した。しかし今からでも、
やらないよりはましかもしれません。大学によっては、かつては右
翼の大学として有名だった大学が、非常に反省して、がらりと内容
を入れ替えて、平和のために、戦争を二度と起こさないために努力
している大学もあります。全然そういうことを考えない大学もあり
ます。大学の評価というのは、いろんな点でなしうることだと思い
ますけれども、過去を正確に調査して、誤りを二度とくり返さない、
そういう決意をもつ、そのための手段をもつ、そういう大学が、将
来ともに生き残るべき優れた大学ではないだろうか。逆に言います
と、そういうことを一切行うつもりがない大学は、世の名声にも関
わらず、学生の偏差値にもかかわらず、大学としては、真理を追求
すべき社会的責任をもつ大学としては失格ではないかと思います。
戦争責任の前に社会的責任があります。・・・・」

(*1) 1994年8月15日、飯田橋の家の光会館ホールで開かれ
た日本戦没学生記念会〔わだつみ会〕主催の講演会記録。「きみと
語りたい、私の8・15−−日本人それぞれの戦争責任−ー」とい
う共通テーマの中で、大学の責任を論した。同年2月発行の『わだ
つみのこえ』No99に録音記録を掲載。)

━ AcNet Letter 98 【2】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━
転載
緊急共同声明の賛同呼かけ
http://www.jca.apc.org/wsf_support/ngo_statement.html
───────────────────────────────

非政府組織(NGO)、市民運動団体、ジャーナリスト団体およびこれ
ら団体に携わっている多くの皆さんに呼かけます。イラクにおける
人質事件をきっかけに、政府やマスメディアの一部から「自己責任」
を問う声が非常に強くなっています。こうした動きは政府から独立
して活動する私たちにとって見過ごせないと考え、以下のような声
明を出しました。是非ともこの声明にご賛同ください。(賛同の方
法、現時点での呼かけ団体(個人)および賛同団体(個人)は末尾
にあります)

(お願い)共同声明の原案の段階で呼かけ・賛同団体(個人)にな
られた方で、リストにお名前がない方がいらしゃれば至急おしらせ
ください。お手数ですがよろしくお願いします。追加訂正はウエッ
ブ版で行います(集約係 小倉/呼かけ人)

(回覧をお願い致します。回覧期間 2004年4月21日)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■(共同声明) ■
■「自己責任」論による非政府組織(NGO)、市民団体、ジャーナリ ■
■スト等の活動への批判に憂慮します ■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

わたしたちは、世界中の人々との草の根の交流、人びとの生活や人
権などへの支援活動、ジャーナリストとしての活動などをおこなっ
ている非政府組織(NGO)、市民団体やこれらに関わる個人です。わ
たしたちは、イラクにおける人質事件以降、政府および一部のマス
メディアが今回の人質事件の原因を危険なイラクに出向いた被害者
たちにあると批判し、事態の責任を「自己責任」の名のもとに、現
地で活動しているNGOや個人に転嫁しようとしていることに大きな
憤りと悲しみを感じています。(注)

このような「自己責任」論は、NGO等として紛争地域などで活動す
る人たちの人命が危険にさらされるような事態になったとしても、
それは当事者の責任であると考えるあやまった世論をつくり出して
しまいます。このような世論形成は、人命を軽視した安易な武力行
使や実力行使を正当化させかねず、NGOなどによる海外での活動を
大きく制約しかねないという危機感を大変強く持っています。

政府や一部マスメディアが主張する「自己責任」論は、自律した個
人が自らの責任で社会活動をすることの意義を意味するという、そ
の本来の意味をすりかえにしています。そして、人質の人たちとそ
の家族を、そのようなまちがった「自己責任」論によって批判する
ようなことはすべきではないということを強く訴えたいと思います。

紛争地域などでのNGO活動には多かれ少なかれリスクは伴います。
このことは、海外で活動する人びとにとっては十分理解されていま
す。武器をもたずに、どこかの国家の組織に属することもなく、イ
ラクの人びとの安全や人権を守り、真実を伝えるために危険な地域
におもむいた人びととその行動を「自己責任」論を持ち出して批判
することはできません。ところが、現在、政府や一部のマスメディ
アが批判のために持ち出している「自己責任」論は、紛争地域での
NGOやジャーナリストなどの活動を萎縮させて閉め出し、その独立
性を失わせ、ますます地域の不安定を助長することになりかねない
のです。

はたして自衛隊や日本の政府がNGOにかわって劣化ウラン弾の被害
の調査を行ったり、貧しい子どもたちを支援するといった活動を行っ
てきたでしょうか。また、政治的な理由に左右されることのない人
道支援を行えるでしょうか。戦争の被害を当事国の利害や国益にと
らわれずに正確に把握することが果たして戦争の当事国にできるも
のなのでしょうか。国連のガイドラインでも、人道および軍事活動
間の明確な区別を維持するために、軍事組織は直接的な人道支援を
すべきではないという基準を設けており、紛争地域で中立な立場で
人道支援できるのはNGOだということが確認されています。これに
反して、「自己責任」論は、人道支援の軍事化を促し、人びとの安
全をますます損なう結果となることに強い危惧を持つものです。

NGO や市民団体は、政府や軍隊には出来ない多くの分野で支援の実
績を達成してきました。この事実は正当に評価されるべきことであっ
ても、「自己責任」の名において批判されるべきではありません。
あるいは、戦時のマスメディアがどれほど戦争の真実を伝えてきた
でしょうか。軍隊や政府の庇護を受けないフリーのジャーナリスト
の報道は不要だといえるでしょうか。検閲や自主規制にとらわれな
いフリーのジャーナリストが戦争の真実を伝えるために、報道の自
由に果たした役割ははかり知れません。

私たちは、政府や一部マスメディアによる「自己責任」論に基づく
人質とその家族の皆さんへの批判はいわれのないものであって間違
いであり、これを撤回することを強く望むものです。そして、現在
のイラクの状況から、人道支援の最大の障害は軍隊なのだというこ
とがあらためて明らかになっているということを強調したいと思い
ます。日本政府が自衛隊をいち早く撤退させ、米国や連合国にも軍
隊の撤退を働きかけかけることこそが、イラクの人びとの生活と生
命の安全を保障し、NGOなどの援助活動、人権監視活動、ジャーナ
リストとしての活動の安全を確保するもっとも確実な方法なのです。

(注)「自己責任」論についての政府、報道機関の言及の一例

外務省の竹内行夫事務次官の発言「非政府組織(NGO)メンバー
によるイラク国内での活動について「自己責任の原則を自覚して、
自らの安全を自らで守るということを考えてもらいたい」

『日経』4月13日社説 「自己責任がイラクにおける基本的な行動原
則である」

『読売』4月13日社説 「自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任
な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。
深刻に反省すべき問題」

=======切り取り線=======

「(共同声明) 「自己責任」論による非政府組織(NGO)、市民団体、
ジャーナリスト等の活動への批判に憂慮します」に賛同します。

お名前
所属
連絡先(メールかファックスをお書き下さい)

なお、いただいた賛同署名については、お名前と肩書きを公表いた
します。連絡先は公表されません。

===================

●賛同署名の送り先および問合わせ先は下記です。

賛同署名の送り先

電子メール jikosekinin@freeml.com
ファックス(ピープルズプラン研究所)03-5273-8362

電話での問合わせ先
    070-5553-5495 (小倉/WSF連絡会)
メールでの問合わせ先

ウエッブ上でのアクセス((WSF連絡会ウエッブサイト内)
http://www.jca.apc.org/wsf_support/ngo_statement.html

呼かけ団体/個人および賛同団体/個人のリストはこちら:
http://www.jca.apc.org/wsf_support/list.html

━ AcNet Letter 98 【3】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

投稿「人質自己責任論の恣意性と危うさ」
Sat, 17 Apr 2004 03:14:11 +0900
──────────────────────────────

      人質自己責任論の恣意性と危うさ

3人が解放されるや、政府、一部の政党・マスコミから「人質自己
責任」論が沸騰し、救出費用自己負担論さえ台頭しています。私も
今回の3人のイラク入りが状況判断において問題なしとは思いませ
ん。

しかし、議論をそこに収斂させ、今回の人質事件をより大局的見地
から見ようとしない論調には政治的恣意性と危うさを感じます。

3人が解放されたのは、ご家族の献身的な訴え、内外の救出支援活
動、聖職者協会をはじめとするイラクの各界の方々の尽力によると
ころ大であったのはいうまでもありません。

と同時に、忘れてならないのは郡山さん、高遠さん、今井君がアメ
リカによる占領統治への協力者ではなく、逆に戦禍にあえぐイラク
国民の悲惨な実態を世界に伝え、支援の手をさしのべようとした日
本人であったことが正しく先方に理解されたこと―――このことが
3人の解放につながる大きな要因になったということです。この意
味で、3人は自分自身の国境を超えた博愛の実践活動の実績で自分
の身を守ったといっても過言ではないのです。

さらに背景を辿れば、こうした日本人の善意でさえも危険にさらさ
れる状況になった真因は、日本国政府が国連の枠組みでイラク復興
支援をという国際世論に背を向け、卑屈にもアメリカからの要請に
応える形で自衛隊をイラクへ派遣したこと、そのことがイラク国民
に、自衛隊、ひいては日本はアメリカによる占領統治への協力者と
みなされてしまったこと、にあります。

3人解放後のマスコミの世論調査によれば、自衛隊の撤退を拒否し
た政府の方針を7割以上の回答者が支持したと伝えられています。
その背景には自衛隊はあくまでも人道支援のために出かけたのだか
ら、という意識があるようです。

しかし、こうした国内世論を知るにつけ、私は今回の3人の解放に
尽力したイラク聖職者協会のメンバーが語った、「私たちの方が日
本の小泉さんよりも人質の方々を大切にした」という言葉の重みを
感じずにはいられません。さらに、3人が解放された今もファルー
ジャはアメリカ軍によって封鎖され、再攻撃の恐怖と電気、水道が
断絶した生活環境のなかにおかれていること、そして、ほかでもな
い日本国政府は一貫してこうしたアメリ主導の占領統治に世界有数
の支持を表明してきたこと、を忘れてはならないのです。前記の聖
職者協会メンバーが解放された3人に対して、ファルージャの実態
をぜひ日本の皆さんに伝えてほしいと託した言葉の重みを私たち日
本人が感受できないとしたら、あまりに悲しいことです。

実際問題でいえば、10日ほど前のテレビでサマワのある部族長が
自衛隊の今の活動について、「彼らは基地の中ばかりにいて何も支
援活動をしてくれない。12月まで待つが、そのときになっても今
のままなら、我々は黙っていない」と語っていました。これは、自
衛隊派遣の政治的経緯が人道支援の妨げになっていることの証左と
思われます。

人道支援をいうなら、自衛隊ではなく、電気、水道、建設といった
社会インフラの整備に通じた民間の専門家を派遣するべきでしょう。
彼らであれば、イラク国民に歓迎され、円滑に任務をまっとうでき
るはずです。それでも日本国政府が自衛隊にこだわるとしたら、そ
れは派遣の真の目的が人道支援にあるのではなく、アメリカへの忠
誠のアリバイ作りにあるのだというほかありません。

そこで、提案です。

次のようなことを訴える意見公告を全国紙に掲載することはできな
いでしょうか?

 1.自衛隊は人道支援のために出かけたといわれるが、本当か?
   現地でその任務をどれほど果たせているのか?
   人道支援を実効的に行うための提案

 2.人質自己責任論の国家主義的危険性と問題のすり替え

 3.ファルージャをはじめとするイラク国内の恐怖と貧困の実態

掲載料が莫大であることは承知していますが、多くの賛同者を募る
ことは可能ではないでしょうか?

━ AcNet Letter 98 【4】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

「自己責任論」を巡る言説より

───────────────────────────────
【4-1】Publicity 904 Sat, 17 Apr 2004 04:26:08 +0900 (JST)
「陰惨なイジメ大国」ニッポンの本性を撃て より
http://www.emaga.com/bn/?2004040047191840021235.7777
Publicity 登録ページ:http://www.emaga.com/info/7777.html
───────────────────────────────
【4-1-1】 松沢呉一氏の意見
───────────────────────────────
Pubilicity編集者「そのなかに、胸打たれる一文があった。ぜひ全
文を読んでいただきたいが、一部引用する。」
http://www.pot.co.jp/matsukuro/20040416_687.html

まさに高遠さんは危険を承知しながらイラクに行かないではい
られない立場にあった人でしょ。

彼女を救出するために、イラクの人たちまでがビラ配りをやり
、「彼女の身代わりになる」と少年が言うくらいに信頼関係が
あったわけです。

彼女を「おかあさん」と慕って、写真を持って待っている子供
がいるのをわかっていて、「危険だから、もうイラクには行か
ない」で済むわけ? 

済む人もいるんでしょうし、その判断に対して私がとやかく言
う立場にはないですけど、「危険があるのに」ではなくて、「
危険があるからこそ」、いてもたってもいられずに出かけて行
かないではいられない人がいることくらいどうしてわからんか
な。

冷酷と自覚する私ですけど、自分を「おかあさん」と呼ぶ子供
らを自分の子供のように感じる人に「死ねばいい」などと言う
ことはどうしてもできんです。

(中略)

高遠さんと同じ立場になってさえ「あんたたちは危険の中で生
きていってね。私は安全な国に帰るから。日本の自衛隊があん
たたちの家族を殺した米軍の手伝いに来ているからよろしくね
ー」って子供たちに言い残して日本に帰り、安全が来るまで家
でケツをかきながら寝ころんでテレビを眺めている人がいても
いいけど、そうはできない人の足を引っ張りなさんな。

「自業自得」なんてことは、家でポテトチップスを食いながら
テレビを観ているだけだから言えること、イラクにただ一人待
っている人がいないから言えること、イラクの人たちはその危
険を長期間強いられていることを実感できていないから言える
ことでしかないでしょ。

で、「自業自得」なんて言っている人々が屁をこきながらテレ
ビで観ているニュース映像はいったい誰が撮り、雑誌の記事は
誰が書いていると思っているわけ? 

ロボットか。イヌとかネコか。それとも亀か。カメラマンや記
者が、危険なことをわかっていても現地に行っているからでし
ょうが。

そういった報道があるから、ファルージャで何が起きているの
かを不十分ながら知り、北朝鮮がどうなっているのかをさらに
一層不十分ながら知ることができるわけです。

テレビニュースの映像、雑誌の記事や写真の手前に人がいるこ
とくらい想像しましょうよ。危険を顧みない報道が、私らが考
え、行動することに、どれだけ役に立っているのかくらい想像
しましょうよ。

そういえば、「東京トップレス」(http://tokyotopless.com/)
の工藤君との対談で、「写真の被写体のことは考えても、写真
を撮っている存在については考えられない人たち」についての
話が出てましたが、この程度のことさえも想像できないくらい
に想像力が欠如している人たちって本当にいるみたいですね。

どうやればそこまで鈍感になれるのかについては、私の想像力
も及びません。

ずっと前に書きましたけど、あえて戦場に行く人たちにも当然
功名心はありましょうし、一般的な日本人より自分の死に鈍感
な人たちでもあるのでしょうが、そうであってもやっぱり私は
「ありがたい」「偉い」と素直に思えます。

戦地に取材に行って死んじゃった人たちはこれまでにもいっぱ
いいますが、こういう人たちに「自業自得」なんて言葉を投げ
つけるのなら、命がけでビデオを回し、写真を撮り、記事を書
いている人たちに失礼だから、二度とニュースや雑誌を見なさ
んな。
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【4-1-2】 Publicity 編集者の意見
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▼まもなく起こる情況に備え、少しでも3人とその家族を守る
防波堤になればと思い、ぼくは「いじめの問題は、いじめる側
に全責任がある」という、予め立っている立場を、再び書いて
おこうと思う。

「イジメは、いじめる側が100パーセント悪い」という意見
に対して、「はあ?いじめられる側にも、いじめられる何らか
の原因があるから、いじめられるんじゃないの?仕方ないよ。
いじめられる側にも悪いところがあるんだよ。なに言ってんだ
よ」と思った人がいるかもしれない。

少しでもそう思っている人に借問しよう。いじめられている子
に、「いじめられる何らかの原因」とやらがあったとしよう。
ならばあなたは、その子を「いじめる理由」「いじめる正当性
」を持っているのか?

「いや、私がどうするかという話じゃなくて、一般論としての
話だよ。私はいじめないよ」と言うか? 違う。これは「あな
た」の問題であり、「わたし」の問題だ。

“「いじめられる側にも理由がある」という「論理」が「暴力
」になる、という論理”を理解できない人のことを、「日本人
」と呼ぶのだ。それをどう変えるかという問題だ。

3人に対するだけの問題ではない。在日外国人に対して、難民
に対して、社会的に弱い立場に立っている人々に対して、えと
せとら、これは普遍的な問題だ。

「自衛隊派遣に反対」を表現した国民の自由を、国策のために
封じる自由を国家は持っていないし、持たせてはいけない。

「非国民」を容赦なく密告し糾弾した戦前の雰囲気を、ぼくは
知らないが、こういう雰囲気だったのかな、と思う。年配の読
者からの投稿をいただきたいところである。・・・・・・

▼「人でなし」は、自分が「人でなし」だと自覚しないから、
人でなしなのだ。

この状況下において、解放された3人とその家族に「自己責任
」を問う輩は、想像力が徹底的に欠如した「人でなし」だ。

老若男女問わず、「自己責任」狂いの愚を撃て!

それがニッポンという「イジメ大国」を、「共生の大国」へと
変える第一歩であり、橋頭堡であると信じる。

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【4-2】ルモンド 2004.4.16 (抄訳:橋本尚幸氏)
「日本:高揚する人道主義」
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E2083218708/index.html
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「・・・阪神大震災以降、日本の高度経済成長期に生まれた子供た
ちは、日に日に人道活動やボランティアに数多く従事するようになっ
た。イラクで人質になった彼等の仲間もそうだ。

イラクで人質になった若い日本の三人は、イラクの泥沼の中で、善
意だけを頼りにいったい何をしようとしていたのか? 自覚がない
のか、それともナイーブなのか? 彼等以外に拘束されたと見られ
る二人の若者についても言えることだが、この出来事は日本の若者
の間において利他主義の価値観が強まっていることを示すものであ
る。・・・・・・

1970年から80年にかけて、日本人の若者でアジアの各地をル
ンペン旅行するものが居たが、彼等はごく少数派にしか過ぎなかっ
た。今日、日本では男女を問わず多くの若者たちが無数のNGO活
動に携わって海外に出かける。アフリカやアジアのとんでもない奥
地へである。大学生が夏休みに出かけるのもいるがフルタイムでそ
んなことをする若者の方がずっと多い。日本の世間は、三人の向こ
う見ずな錯乱した行いを執拗に非難して三人の家族を責めるが、多
くの親たちはいつなんどき彼等の子供たちが同じような行動に出な
いとは限らないことを良く知っているのだ。

すべての若者が夢を実現できるとは限らないが、日本列島は、こと
世界的な人道主義の高まりという動きの中で決してマージナルな存
在ではないのである。日本ではさらに高年者たちまでがNGO活動
に参入を始めている。それぞれ個別の活動は地味で小さいものの、
確実に日本で市民社会が形成されつつあることを物語っている。

世界第二の経済大国とかが世界の新聞の見出しをにぎわすが、本当
の日本の強みとか創造性は、経済指標には現れないこうした市民活
動にあるのである。

日本のNGO組織は欧米のものと較べると規模が小さくバラバラで
ある。地域性が強いのが特徴だ。規模が小さいからこそ多様性があ
り、それが強みともなっている。多様性があるからこそ連帯の精神
も生まれる。

・・・・・・日本が苦しんでいる長い経済不況は、生産性と経済発
展という60年代から80年代にかけて日本を支配した神話をうち
砕いた。おかげでその期間は端っこに押しやられていた市民社会と
いうものが息を吹き返したのである。

・・・・・・彼等は一般的に地味で、あまり目立たず、理屈をこね
たり大風呂敷の議論をするよりは実践を重んじる人たちである。彼
等の資本は有り余るほどの善意だけだ。組織は弱体で要員の質もそ
れほど高くはない。お金がないので小さいプロジェクトしかできな
い。多くは個人の献金で成り立っている。日本の慈善活動は、20
03年に発表された報告書によると寄付金額全体では世界でも高い
方である。しかし多くの日本のお金は大きな国際機関に流れ、日本
の零細NGOには資金を集める能力がない。

活動家の最初の世代は60-70年代の学生運動家だった。しかし
いまは違う。もっと若い世代で組織だったものではない。でも阪神
大震災の時、未だかってみられなかったような連帯を示した。13
0万人ものボランティアが集まったのだ。まさに国家の影が薄くな
り「市民社会」が出現している。もちろん混乱はあったが、彼等は
巨大な動員力を示した。以来、NGOは急速に増えてきた。

1998年の法律でNGOの設立が、欧米の基準からすると税制面
などで不十分な子のではあるが、認められるようになった。効率が
悪いODAにかわる活動も組織的にできるようになった。政府はN
GOが日本の国際イメージの改善に繋がることを知りNGOのある
ものについては政府か支援するようになった。しかしほとんどのN
GOは独自性を維持するために政府からお金を貰っていない。

日本がいま其の平和ドクトリンを捨て去ろうとしているとき、NG
Oがいま新しい戦争反対の推進者となろうとしている。イラクで捕
まったこの三人はこの理想を共有していた若者である。ボランティ
ア運動の常として、彼等の平和運動も一つにまとまったものではな
い。ヨーロッパに老いてみられるような大規模なデモもない。しか
しいったんこのバラバラな運動に火がつくと大きな運動に結びつく
可能性がある。阪神大震災では、これが可能だと云うことが示され
ているのである。 」

━ AcNet Letter 98 【5】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

お便り紹介

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【5-1】Fri, 16 Apr 2004 08:55:27 +0900
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「・・・・・・以前はあまりマスメディアに疑問を持つようなこ
とはなかったのですが,独法化の過程を経験することにより,やっ
と,世の中の動きが理解できてきたように思います.また,以前
は英語では,論文以外は読んだこともなかったのに,海外メディ
アのHPの記事をよませていただきました.その中でアルジャジー
ラのHP に天秤の絵がありました.やはりジャーナリズムとは,
すべての立場から中立でなければならないと思います.このとこ
ろ,”社会貢献する”という掛声のもとに,中立でない報道が内
外でみられるようですが,よく考えると大学だって似たような状
況のような気がします.そう考えると,ジャーナリズムと学問に
は通じるところがあると思われます.わたし自身は,工学部の中
で制御理論を研究していますが,その分野の中に,ロバスト制御
というものがあり,それは,「最悪なものを抑える」という考え
方からきています.それと以下の経済学者であるセンの言葉は共
通するのではないかとも考えています.

”もっとも重要な正義の諸概念は,世界はいかに運行すべき
かに関する特定の公式から導出されるものではなく,誰の眼
にも明々白々な根深い不正義(patent injustice)を,一つ一
つ暴いていくことに見出されるであろう(Amartya K. Sen
(後藤玲子訳))”

今,イラクで起きていることを考えると,我々はこの言葉の重み
をかみしめる必要があると思っています.かといって,家族を持
つ身でなかなか無謀なこともできませんが...」

───────────────────────────────
【5-2】Sat, 17 Apr 2004 11:33:24 +0900
───────────────────────────────

「イラクの3人の人質が解放され、まるで知り合いの事のように
喜びました(まだ2人の方、および他の国の方々が人質になって
いらっしゃいますが)。ところが日本政府の談話を聞いていると、
まるで自分たちが助けてやったんだ、という高飛車な態度で驚い
てしまいました。日本の政府は日本の政府のために働いているだ
けで、国際貢献などは行っていないのに(少なくとも政府の中枢
で働いている人たちは)、本物の国際貢献をしている人たちに余
計なことをするなというのにはあきれてしまいます。そして、そ
の政府を支持する人が多いことにがっかりします。一方で、危険
を顧みずに行動を起こす人たちを誇りに思いますし、その人たち
を支えている人も多いと思います。

**大学では経営協議会学外委員の中から「もはや学問の府では
なくなった」という発言があったと聞き驚いています。大学法人
になったとはいえ、株式会社になったわけではなく、「大学」で
あるからには学問の府でなくてなんなのでしょう?「産学連携な
どを進めると同時に、学問の府であることをこれまで以上に強く
認識して」というのが当たり前の考え方だと思います。法人化を
進めてきた流れに立ち向かう強い意志と行動力がますます必要に
なってきたと思っています。」

━ AcNet Letter 98 【6】━━━━━━━━━━ 2004.04.18 ━━━━━━

ネットからのクリップ

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【6-1】http://www.asaikuniomi.com/JapaneseHostages.htm
浅井久仁臣氏『解放された後、「イラクに残りたい」「また戻って
来たい」と彼らが発言したからといって何が悪いのか私には分かり
ません。人質にされた恐怖から「もう二度とイラクに戻りたくない」
「イラク人の顔を見たくない」と言ったとしたら、私は彼らのイラ
クに入国する前の覚悟や想いを逆に疑ってしまいます。』

【6-2】http://www.fujiwarashinya.com/talk/2004_0413.html
藤原新也氏『日本という国が企業と同じような利潤追求を国家命題
とする「企業国家」であるというのなら、自衛隊のイラク派兵は十
分に意義のあるところのものであり、そのためには10人や100
人の善良な日本人を見殺ししてもそれは知ったことではないだろ
う。』

【6-3】http://www.jca.apc.org/~toshi/blog/no_more_cap/archives/000020.html
No More Capitalism 『「民主主義社会」の言論弾圧は、こうした
抑圧を秘密警察が強権的に民衆を押えつける独裁国家のやり口では
なく、自主規制として内面化したり、道徳や倫理などで縛り、それ
でもダメな場合は、経済的不利益(雇用差別や昇進差別)で対応する。』

【6-4】http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040417-00000136-kyodo-pol
共同通信『航空機、健診は本人負担 外務省、イラクの日本人人質
事件で解放された3人に請求へ』

( Publicity 906 / Sat, 17 Apr 2004 23:51:06 +0900 (JST)
 http://www.emaga.com/bn/?2004040049362781010182.7777
「そもそも、チャーター便に乗るときに「自己負担ですよ」と話し
たのか? 病院で検査する時に、「自己負担ですよ」と話したのか?
勝手に飛行機に乗せて、勝手に病院で検査を受けさせて、それで後
から「自己負担ですよ」なんてことはないのでしょうナ。

そういうふうに段取りがついていたのなら、話はわかる。すべて
「自己責任」なのだから、チャーター機に乗らずに勝手に帰ってく
るのも自由、検査を受けないのも自由だからだ。

・・・おそらく、すべて後から「自己負担」と通知するのだろう。
これは、合法的なイジメではないか? これが日本という国の姿で
ある。」)

【6-5】http://www.asahi.com/international/update/0417/019.html
asahi.com: スンニ派宗教指導者アブドルサラム・アルクベイシ師
『日本大使館は委員会に謝意を伝えてこなかった。日本の首相も委員
会について言及しなかった』

【6-6】http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/peace/crimefornote.html
豊島耕一氏『NHKによる犯罪容認報道について』

【6-7】http://videonews.jp/?itemid=24
神保哲生氏『年金だの公共事業だので何百兆単位の無駄をしている
政府が、逢沢副大臣の渡航費を人質家族に請求すべしと発言してい
ることに強い違和感を感じている』

【6-8】http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040415ic05.htm
(人質攻撃を続ける政府広報紙)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分
一部が全角となっているアドレスは半角にして使用してください。
登録・解除・アドレス変更:http://letter.ac-net.org/s.html

2004年03月15日

松本市長となる元信州大学医学部助教授の菅谷昭氏

社共と勝手連が推した候補が、自民・民主・公明相乗り候補を破り松本市長に当選! : 低気温のエクスタシーbyはなゆー -北国tv

・・・・・91年1月、自宅のテレビに映し出された旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の被災地の様子。子供たちに甲状腺障害の被害が出て、地元・松本のNPO(非営利組織)が医療救援活動に取り組むことを伝えていた。「自分の専門領域を生かせるのでは」。信州大医学部助教授の職を捨て、退職金を手に現地へ向かった。・・・・・
Posted by tjst at 03月15日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000570.html
他の分類:研究者から社会へ

2004年03月14日

自衛官宅ビラ配布者の即時釈放を求める社会科学者有志の声明

[aml 38241;2004.3.14] より

以下のような、3名の逮捕に抗議する社会科学者有志の声明の賛同人を募っています。・・・・・・15日に賛同人を一次集約して16日に公表します。時間がないのですがよろしくお願いします。賛同送り先
東 浩一郎
azuma@fsinet.or.jp #(使用時は半角で)

「自衛隊イラク派遣に反対するビラ入れへの逮捕に抗議し3名の即時釈放を求める社会科学者有志の声明」

 2月27日、自衛隊イラク派遣に反対するビラを自衛隊官舎の郵便受けに入れたことが住居不法侵入にあたるとして、東京都立川市の市民団体「立川自衛隊監視テント村」の市民3名が警視庁立川署に逮捕されました。同時に立川署は、同団体の事務所や関係者の自宅など6ヶ所に家宅捜索を行ない、ビラとは直接関係のないパソコンや多数の書類などを押収していきました。ビラを入れたのは1ヶ月以上前の1月17日であり、ビラのタイトルは「自衛官・ご家族の皆さんへ 自衛隊のイラク派兵反対! いっしょに考え反対の声をあげよう!」というものです。

 そもそも自衛隊官舎といっても外見は普通の集合住宅であり、業者などが日常的にビラ入れを行なっているものです。なぜこれが犯罪とされなければならないのでしょうか。本件に関して3月3日には法学者が連名で声明を発表していますが、そこでも「当該行為が刑法130条の住居侵入罪に当たるかどうかについて疑問があります」と述べられています。

 私たちは学問にたずさわる者として、政府の方針に反対する意見のものだけが選別され犯罪に問われたということに大きな危惧を覚えています。とりわけ社会科学においては、政府がすすめる政策の是非をめぐっては常に激しい論争が繰り広げられます。もし特定の意見や思想だけを禁止するのであれば、それは学問にとっての死を意味すると考えます。

 イラク戦争や自衛隊のイラク派兵は国論を二分する問題です。そうしたなかで特定の表現行為を一方的に取り締まるということは、戦前の言論統制の例を持ち出すまでもなく、民主主義の原則を大きく逸脱したものと言わなければなりません。私たち社会科学者は、基本的人権を侵害し自由な議論を規制する今回の弾圧に対し、強く抗議する声明を発し、以下を求めます。

1. 東京地方検察庁(八王子支部)は起訴することなく、3名を即時釈放すること
2. 警視庁および立川署は今回の措置の不当性を認め今後このような逮捕および家宅捜索を行なわないこと

    以上、発起人・賛同人一同

発起人 東 浩一郎(東京立正女子短大・経済学)

賛同人(3月13日現在 42名)

青才 高志(信州大・経済学)/赤坂 道俊(八戸大・経営史)/石川 康宏(神戸女学院大・経済学)/伊藤 誠(経済学者)/大谷 禎之介(法政大)/岡田 清(政治経済研究所・経済学)/岡田 徹太郎(香川大・経済学)/奥村 茂次(大阪市立大(名)・経済学)/鎌倉 孝夫(埼玉大(名)・経済学)/川上 恵江(熊本大・社会思想史)/北 明美(福井県立大学看護福祉学部)/北原 勇(慶應義塾大(名))/吉川 顕麿(金沢星稜大・経済学)/久留間 健(立教大(名)・経済学)/黒瀬 直宏(専修大・経済学)/黒滝 正昭(宮城学院女子大・社会思想史)/斎藤 日出治(大坂産業大)/真田 哲也(福島大・経済学)/島崎 美代子(地域開発論)/下山 房雄(九州大(名)・経済学)/新藤 通弘(アジア・アフリカ研究所)/竹内 晴夫(愛知大学経済学部・経済学)/鶴田 満彦(中央大・経済学)/永谷 清(経済学者)/中山 孝男(東邦学園大・経済学)/西野 勉(高知大(名))/二宮 厚美(神戸大)/二瓶 敏(専修大(名)・経済学)/延近 充(慶應義塾大・経済学)/原 伸子(法政大・経済学)/樋口 均(信州大・経済学)/久野 国夫(九州大・経済学)/姫田 光義(中央大・歴史学)/藤田 進(東京外語大・アラブ現代史)/古川 智(東亜大・経済学)/星野 富一(富山大・経済学)/三輪 俊和(北九州市立大学経済学部・理論経済学)/八木 晃介(花園大・社会学)/山本 孝則(大東文化大学環境創造学部・経済学)/和田 重司(中央大・経済学)/渡辺 治(一橋大)ほか1名.※(名)=名誉教授

Posted by tjst at 03月14日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000568.html
他の分類:研究者から社会へ

2004年03月04日

法学者50名の抗議声明:自衛官宅へのビラ配布者逮捕について

http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Default.html

立川自衛隊監視テント村への弾圧に抗議する法学者声明 2004.3.3

2004年2月27日、市民団体「立川自衛隊監視テント村」の市民3人が、自衛隊のイラク派兵に反対するビラを配布するために自衛隊員の住む官舎へ立ち入ったとの容疑で、住居不法侵入罪で逮捕され、さらに団体の事務所とメンバーの自宅等6箇所が家宅捜索を受け、団体に関する書類やパソコンなどを押収されました。

わたしたち法学者は、この事態が、市民の正当な表現活動を抑圧し、民主主義社会を萎縮させるのではないかという危機感を抱いています。

まず、当該行為が刑法130条の住居侵入罪に当たるかどうかについて疑問があります。近代法は、「公」と「私」の領域を区切ることで、「私」の自由な領域を保護することを主要な任務としてきたのであり、本条の保護法益も、部外者の侵入を許さずプライバシーの享有を期待できる区画された場所内の平穏な利用である、というのが通説的見解です。ここで郵便受けは、私人が住居という本質的に私的な空間を確保しながら、外から内部に向けて発せられる情報を受けとるために自ら設置した限定された空間だと考えられます。つまり、それは、法によって遮断された「私」と「公」の領域をつなぐための通路であり、外部との遮断を目的とするドアや門とは逆に、外に向かって開かれた性質を持つものです。したがって、チラシを郵便受けに配布するために他人の敷地に立ち入ることは、「プライバシーの享有を期待できる区画された場所」の「平穏」を害する行為にはあたりません。

当該行為が刑法130条の構成要件に該当しない上、今回の措置には別の目的があるということを疑うだけの十分な理由になります。考えうるのは、イラクへの自衛隊派兵に際して、市民と自衛官及びその家族との直接的接触を禁じることです。そうであれば、これは、憲法21条で保障される表現の自由の問題になります。憲法21条は、市民の間の自由なコミュニケーションは、正当な手段でなされる限り違法とされることがないことを保障しています。当該行為は、自衛隊のイラク派兵というそれ自体憲法上疑義がある事態を憂慮する市民が、自衛隊員とその家族に対して、市民として共に考えることを直接促すために行われたものであり、その手段も、ビラという通常の媒体を使用して、郵便受けという外に開かれた空間にそれを投函したという極めて穏健なものです。つけ加えるならば、ビラの内容も、自衛隊員とその家族に対して「共に考え、反対しよう」と呼びかけたものであり、その個人的法益を侵害するようなものではありません。自衛隊員とその家族は、市民としてこのような情報を受けとり、その内容について自分で判断する権利があるのであり、「住居侵入」という通常考えられない刑罰をもって両者のコミュニケーションを遮断しようというのは、法の明確性、安定性、予見性を著しく害し、市民の間の自由なコミュニケーションを萎縮させ、ひいては民主主義というコンセプトを傷つける危険性を孕んでいます。

さらに、このような正当な表現行為に対して、当該行為を行った市民団体のメンバーの逮捕、拘束にとどまらず、市民団体の構成員の自宅の捜索、関連するパソコンや書類の押収、という非常に強硬な手段が取られました。わたしたちは、ここで対象とされているのは、ビラの投函という一個の行為ではなく、当該市民団体の活動そのものであると考えざるをえません。もしそうであるならば、今回の措置は、結社の自由という憲法の基本的価値を揺るがす事態であり、市民が自由に結合し、自由に意見を表明できることでなりたっている民主主義社会に対して、深刻な傷を負わせる危険性があります。

以上のように、今回の措置には、自衛隊のイラク派兵に反対する市民団体を狙い撃ちにし、その正当な表現活動を制限することに真の目的があると言わざるを得ません。表現の自由、結社の自由、身体の自由は日本が民主主義国家である限り、最大限の価値がおかれるべきものです。わたしたち法学者は、今回の措置が自由な民主主義社会の基礎を揺るがす深刻な事態と考え、一連の言論弾圧を行った立川警察署および警視庁に強く抗議するとともに、三人の即時釈放を求めます。                                         2004年3月3日 賛同者一同

声明発起人:石埼学(亜細亜大学・憲法)

賛同者(50音順)

愛敬浩二(名古屋大学・憲法)/足立英郎(大阪電気通信大学・憲法)/石川裕一郎(麻布大学・非常勤・憲法)/石埼学(亜細亜大学・憲法)/市川正人(立命館大学・憲法)/稲正樹(亜細亜大学・憲法)/井端正幸(沖縄国際大学・憲法)/植松健一(島根大学・憲法)/植村勝慶(國學院大學・憲法)/浦田賢治(早稲田大学・憲法)/遠藤歩(東京都立大学・民法)/大田肇(津山高専・憲法)/奥平康弘(憲法学者)/小栗実(鹿児島大学・憲法)/小澤隆一(静岡大学・憲法)/北川善英(横浜国立大学・憲法)/木下智史(関西大学・憲法)/君島東彦(北海学園大学・憲法)/葛野尋之(立命館大学・刑事法)/小林武(南山大学・憲法)/小松浩(三重短期大学・憲法)/木幡洋子(愛知県立大学・憲法)/近藤充代(日本福祉大学・経済法・消費者法)/阪口正二郎(一橋大学・憲法)/佐々木潤子(金沢大学・税法)/佐々木光明(三重短期大学・刑事法)/笹沼弘志(静岡大学・憲法)/清水雅彦(和光大学・憲法)/杉原弘修(宇都宮大学・行政法)/高橋利安(広島修道大学・憲法)/多田一路(大分大学・憲法)/只野雅人(一橋大学・憲法)/田村武夫(茨城大学・憲法)/塚田哲之(福井大学・憲法)/豊崎七絵(龍谷大学・刑事法)/中里見博(福島大学・憲法)/中島茂樹(立命館大学・憲法)/中島徹(早稲田大学・憲法)/永山茂樹(東亜大学・憲法)/成澤孝人(宇都宮大学・憲法)/新倉修(青山学院大学・刑法)/西原博史(早稲田大学・憲法)/根森健(新潟大学・憲法)/松宮孝明(立命館大学・刑法)/水島朝穂(早稲田大学・憲法)/三輪隆(埼玉大学・憲法)/元山健(龍谷大学・憲法)/山口和秀(岡山大学・憲法)/吉田省三(長崎大学・経済法)/和田進(神戸大学・憲法)/渡辺洋(神戸学院大学・憲法)                        以上51名

記者会見後の賛同者:長岡徹(関西学院大学・憲法)/上脇博之(北九州市立大学・憲法)/飯田泰雄(鹿児島大学・経済法)/近藤真(岐阜大学)/増田栄作(広島修道大学・民法)

2004年02月04日

フランスにおける科学者・研究者たちの闘い――「研究を救おう!」をめぐる三週間の動き

「意見広告の会」ニュース93:1 フランス便り
Date: Wed, 04 Feb 2004 02:08:08 +0900
ニュースの配布申し込み,投稿:qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp

1 フランスにおける科学者・研究者たちの闘い
    ――「研究を救おう!」をめぐる三週間の動き
西山 雄二(一橋大学博士課程:パリ第10大学博士課程)

「研究のための別の政策を!」「街頭に出よう、もう我慢できない!」、「研究がなければ、世界は止まる!」、「破壊者シラク、共犯者エニュレ〔研究担当相〕!公的研究の解体に否!」、「銭〔ペペット〕がないからピペット管がない!」、「セールに出された研究活動、ただ今値下げ処分中、何かもなくなってしまうよ!」「マクドナルドの国への頭脳流出!」――フランスで前代未聞の出来事、数千人もの科学者・研究者が街頭に降りたのである。

「研究を救おう!」の署名運動が始まって3週間後の1月29日、研究者と彼らに賛同する市
民たちがついに街路をデモ行進した。20ほどの研究者や高等教育教職員の組合、学生組合組織、若手研究者グループなどがパリ第7大学(ジュシュー)から首相官邸(マティニョン館)まで行進した。参加人数は約1万人(主催者発表。警察発表5000人)で、科学者・研究者のデモ行進としては最大規模となった。また、リヨン、マルセイユ、トゥールーズ、モンペリエ、ボルドーなどデモは全国各地でおこなわれた。

デモ隊列の最後尾には「喪に服した研究活動」の象徴として黒いバルーンが飛ばされた。社会党はデモ行進支持を表明し、党のナンバー2・ローラン・ファビウスも隊列の先頭を歩いた。彼は「私たちは科学者の職に関して、1000の研究ポストの創出を見込んだ暫定的な運営計画を実施したのに、現政府はこれを破棄しただけでなく、研究ポストをさらに削減したのです」と主張した。夕方、首相官邸に到着したデモ隊は、2002年度予算の即自払い込みなどを求める要望書を提出し解散したのだった。

「研究を救おう!」の抗議運動は2003年12月に遡る。2004年度研究予算の削減が決定されたとき、コーチン研究所のアラン・トロットマンは「研究所の悲惨な状況を前にして、パストゥール研究所の同僚とともに、研究者はもはや黙ってはいられない、屠殺場に連れて行かれようとしているのに私たちは背中を丸めている場合じゃない」と憤慨した。この68年世代の生物学者は、時を移さずして仲間とともに最初の文書「羊たちの沈黙」を起草した。17日、40人ほどの生物学者たちがコーチンに集まり、議論の末に研究者の集団辞職という手段が承認され、23日には、請願書の決定稿が研究部局あるいは研究チームの責任者たちに配布された。年が明けて1月6日までに、トロットマンは60名の部局長、90名のチーム・リーダーの集団辞職の誓約を確認していたという。こうして公開書簡「研究を救おう!」は7日に公表され、抗議声明の衝撃は生物学界だけでなく、あらゆる学術分野に伝わったのだった。

公開書簡「研究を救え!」はとりわけ、政府による基礎研究の放棄に対する苛立ちを直截に表明している。実用的で収益性のある応用研究は確かに重要ではあるが、それを支えているのはあくまでも地道な基礎研究に他ならない。経済発展、技術革新、学識の蓄積といった国際競争力にこれから国家が生き残ろうとするならば、国家による基礎研究は必要不可欠である。しかし、フランス政府は基礎研究予算を削減するばかりか、場合によっては過去の予算さえ凍結しているのだ。そして、さらに悪いことに、事態を改善しようとする政府の態度は極めて科学官僚主義的なものでしかない。政府が先導して、特別プログラムを組み、期限付きの委員会を即席で設置したところで、研究機関の混乱は悪化するばかりである。公開書簡は、科学行政に関して各研究機関の現場の声を優先させることをはっきりと主張している。

署名者たちがが政府に要求しているのは主に次の三点である。まず、凍結あるいは取り消されている過去の予算を研究機関に即刻支払うこと。信じ難いことに、財政難のため2002年度から大学・研究機関の一部への予算未払いが続いているのである。次に、2004 年度の550の研究ポスト削減案を撤回し、大学に教員および研究員ポストを相当数増やすことである。これは研究所で働く若手研究者の将来の就職を保証するため、また、アメリカやイギリス、ドイツなどへの頭脳流出を回避するためである。そして書簡は、フランスにおける新しい研究のあり方を特徴づける全国規模の討論会の開催を要望している。

第三点目の討論会の開催は興味深い重要な要求である。というのも、研究者たちは予算配分をめぐる駆け引きに終始するだけでなく、建設的かつ民主的な議論の場所を設けようとしているからである。彼らが前例として挙げているのは1956年にノルマンディー地方の都市カーンで開かれた討論会だ。生物学者ジャック・モノーらが参加したこの討論会は、科学研究を国民的威信の基礎であると同時に経済発展のための最優先条件とみなしていたマンデス=フランスが実現させたものである。そこでは、科学者や政治家、実業家、ジャーナリスト、一般市民が数日間にわたって意見を取り交わすことで、研究活動に関する政策方針が民主的に規定された。カーンの討論会は科学に立脚した近代化と学術における民主主義の関係を深く問い直し、60年代の科学研究の方向性を確定したのだった。この成功例に倣って、「研究を救おう!」の署名者たちは科学行政の舵取りを民主的に決定する討論の機会を切実に求めているわけである。

15日の時点で、既に12000人の科学者・研究者・大学院生が賛同の署名をしていた。理系の研究者に限らず、文系の研究者・院生の賛同署名も行なわれていることは言うまでもない。また、16日、ネット上で一般署名が開始され、数日間で署名した市民の数は30 00人を突破した。食料品店主、看護婦、法律家、不動産業者、船員、年金生活者、主婦、失業者……。23日までに、「研究者たちの行動を支持する市民リスト」には実に20000人の名前が集まったのだった。科学者の問題が研究所を枠組みを越えて市民社会に知られるところとなり、市民と研究者のかつてない連帯の輪が急速に広がった。「研究を救おう!」の文面にあるように、基礎研究の危機的現状を世論に理解してもらうという発起人たちの目的は短期間で達成されたわけである。それは、科学・学術研究の問題がもはや研究者の単なる予算配分の問題ではなく、自分たちの国の未来像をどう描くのかという社会的選択の問題として広く認知される過程だった。

研究者の怒りがメディアで頻繁に報道される中、クローディ・エニュレ研究担当相はラファラン首相と話し合い、執行凍結の解除を了承させた。そのほか政府は、「評価ミッション」による監査を実施し2週間後に予算「不足」問題に結論を出すと発表した。仏政府の統計によると、仏全体の研究開発支出はGDP比(以下同)2.2%と、日本(3%)、米国(2.7%)、独(2.5%)を大幅に下回る。ただし、日本や米国はほぼGDP比2%を民間企業に依存しているが、仏は1.4%にとどまる。一方で、公的研究部門の支出は仏が0.9%で前記三国を上回っている。仏政府としては今後、民間企業の研究支出を増やし、2010年までにGDP比2~3%の予算を確保する方針だとしている。

抗議行動に回答するため、エニュレ研究担当相は22日、研究者への書簡を研究省のHP上で公開した。彼女は、「2004年度の研究予算は3%増えている。首相が指摘したように、2004年度は研究施設予算は凍結も取り消しもしない。研究を支援する努力は2005年度も2006年度も継続される」、と政府の方針を支持した。また、「研究所の就職に適応性と順応性をもたらすために契約研究員という新方式を実施しているが、この方策は継続されるだろう」としただけで、結局、署名者が要求している科学研究をめぐる討論会開催の問題には一言も触れなかった。今回の大学問題はテレビやラジオ、新聞を通じて頻繁に報道されたが、ラファラン首相やエニュレが頑なな態度で、研究者のこのような集団辞職宣言は正当化されえないとメディアで発言する度に、科学者に賛同する署名者数はますます増えていった。

ところで、視点を広げて、EUレベルでの高等教育政策にも触れておきたい。通貨統合に成功し、現在は政治統合の調整に難航しているEUだが、教育に関する議論も着々と進められている。2003年2月、EU各国における高等教育の充実した協調関係を構想した資料「知識に関するヨーロッパの大学の役割」が発表された(2005年に正式に文書化される予定)。資料は「研究、教育、技術革新の交差点である大学は、多くの点で経済と社会の鍵を握っている」としながら、EU各国の高等教育の「根本的な変化」を要請している。資料では変化に向けた三つの改革条件が挙げられている。まず最初に、大学の資金問題である。アメリカが国民総生産の2,3%を高等研究費に注ぎ込んでいるのに対して、E U諸国平均は1,1%でしかない。民間の融資を拡充させてEU各国が研究資金を獲得することが必要となる。次に、卓越性(excellence)の条件を創出することである。各研究機関の自治を承認し、研究の効率性を称揚することで、研究者同士の専門性を高めることができる。最後に大学外への研究の公開で、これはとりわけ大学と企業の共同関係を想定している。この改革案を見ただけでも、EU各国が独走するアメリカの研究状況をライバル視しながらも、実は、効率性と自由競争にもとづくその産学共同体制を模倣しながら、アメリカに追従しようとしていることがうかがえる。フランスはこれまで独自の学術免状制度をとってきたのだが、EU各国と足並みを合わせようと、来年度から世界的に見て標準的な学士―修士―博士制度へと高等教育制度を改編しようとしている。つまり、巨視的に見れば、フランスさらにはEU各国の高等教育・研究政策は、アメリカがその強大な牽引力である学術研究の国際競争の渦中にあるわけである。

最後に、フランスの大学の全般的状況にも触れておきたい。来年度からの大学改革案として、2003年11月末、学士―修士―博士制度への改編が議会で議論された。全フランス学生連合(UNEF)は抗議行動に動員をかけ、実際に約30ほどの大学で示威行動が行なわれたが、全体的に見て反対の声はさほど盛り上がらなかった。というのも、既に15ほどの大学でこの世界標準の制度への移行が完了しおり、彼らは概ね、「大学人が主役の改革」と今回の制度編成に満足しているからだ。この制度改編の議論の後、今度は、「研究を救おう!」グループが明らかにしたように、大学の予算問題が表面化してくる。フランスの大学は深刻な財政難に見舞われており、いくつかの大学(ナント、ルーアン、ラ・ロシェル、ポワティエ)は2004年度予算の承認を拒否する意向を示している。教員や学生の団体も緊急策を打ち出すよう政府に訴えている。教員・研究者ポストの増設がないだけでなく、驚くべきことに、暖房費節約のために冬休み(2月末)を延期する大学(パリ第11大学)も出ているのだ。来年度からフランスの約半分の大学は学士―修士―博士制度へと切り替わるが、その準備予算も先行き不透明なままだ。さらに、上海大学が作成した世界の高等研究機関ランキングで、フランスの大学ではパリ第6大学がかろうじて65位にランクされたことも大学関係者にショックを与えている。その原因として指摘されるのが、エリート養成の高等教育機関グランドゼコールと一般の大学とのあいだの著しい格差だ。予算配分だけを見ても、一年間学生一人あたりの両者の予算格差は約二倍となっており、この教育制度の不平等性こそが先進国のなかでもっとも非効率的で不条理な高等教育の現状をもたらしている一因だろう。それゆえ、学士―修士―博士制度への移行によって大学間の自由で平等な競争が促進され、現在は無料同然の入学料をある程度増額し、これを大学運営資金として活用するべきだと主張する論者も出てきている。

デモが開催された29日の時点で、公的研究部門に携わる研究者10万4000人のほぼ3分の1 にあたる3万1000人の署名が集まっている。しかし、発起人の科学者たちにとっては剣が峰に立つ状況は相変わらず続いている。政府側からの納得いく回答が得られない場合、「研究を救おう!」の宣言通り、3月9日、国立保健医学研究機構(INSERM)の半数、国立科学研究センター(CNRS)の3分の1の科学者が集団辞職を実行することになっているからだ。学術的大混乱を回避するために、研究者の団体は引き続き何らかの行動を起こしていく予定で、早速、科学研究中央委員会の委員長たちとINSERMの同職者たちは30 日、行政任務に関してストライキを打つことを決定した。

産学協同体制に依存することのない国家による基礎研究の保護――「研究を救おう!」が明瞭に主張しているこの大原則は、自由主義的経済理念が牽引する現下のグローバリゼーションの時代においては、ますます純粋な響きを帯びて聞こえる。効率性と卓越性にもとづく経済競争が優先されるこの時代において、これは時代遅れの主張だろうか?

いや、少なくとも私はそうは思わない。集団辞職という絶対的手段に訴える科学者たち、これをメディアが大々的に報道し、世論が応答するというフランスの政治的共感の流れ――今回の運動を通じて確認されることだが、新しい社会的異議申し立てが到来するとすれば、それはつねに時代遅れの、だがしかし確かな歩調を伴なっているのだ。

<参考記事>
ル・モンド紙(2003年11月25日、2004年1月9、16、23、24、30、31日付)
リベラシオン紙(2004年1月31日付)
* 転載は自由です。

2004年02月01日

5000名の仏科学者が辞任決意表明:政府へ抗議して

2004.1.13 に、フランスの5000名の科学者が政府の改革案に抗議して辞任表明をしたと報じられたが、その声明文の邦訳が「意見広告の会」ニュースNo 91(2004.2.1) に掲載された。「署名者全員は下記の分析に賛同し、極めて深刻な状況について政府に注意を促したいと考える。政府側の迅速かつ十分な回答が得られない場合には、管理ポストに就く署名者たちはそのポストを辞任することを誓う」とある。
全文:

Date: Sun, 01 Feb 2004 12:25:35 +0900
「意見広告の会」ニュース91: 2.フランスの状況 日本語訳
研究を救おう! フランス政府への公開書簡 2004年1月7日
*先頃のニュース原文に関してパリ在住の研究者よりいただいた翻訳です。
この書簡は研究ポストに就いていない研究者を含めて、その研究所の所属機関が何であれ、研究に携わる人々によって署名されたものである。署名者全員は下記の分析に賛同し、極めて深刻な状況について政府に注意を促したいと考える。政府側の迅速かつ十分な回答が得られない場合には、管理ポストに就く署名者たちはそのポストを辞任することを誓う(本文結尾を参照)。

21世紀の幕が開けた今、フランスは精力的な研究を必要としている。こうした研究活動は明日の技術革新、我が国の経済発展と文化の普及にとって必要不可欠である。現状では、優れた研究手段を保持しない国々は、知識の再生産に結びついた、ますます拍車のかかる経済の変化についていくことはできないだろう。さらに深刻なことに、そうした国々では、競争力のある若い世代を育成することがたちまちできなくなるだろう。そうして、取り返すことが難しい経済的な従属状態に陥っていくのである。

社会のために優先されるいくつかの路線に研究を限定することができるなどと考えることは、発展途上国の論理に賛同することに等しい。実用的で収益性がある効果は応用研究からもたらされるし、これからもそうだろう。しかし、応用研究は新しい器具を利用し、基礎研究によって考案された諸概念を活用することで初めて価値をもちうるものである。基礎研究の目的が先読みされたいかなる収益性にも左右されない知識の発展である以上、それは本質的に公的融資によって支援されるしかないのだ。こうした国家の主要な責任は慈善活動機関や民間の機関、あるいは国際的な構造へと譲り渡すことはできない。たとえ研究者がスポンサーから高額の補助金を得ることができる場合でもしてはならないのである。

フランスにおいて、国家による基礎研究の放棄が確認される。こうした政策によって引き続き、取り返しのつかない形でありとあらゆる応用研究の崩壊が生じるだろう。既に民間の研究センター(アヴェンティス、ファイザー)の閉鎖という実例がある。彼らは基礎研究と応用研究の結びつきが堅持されているアメリカで活動することを選好しているのだ。というのも、繰り返しになるが、アメリカの民間企業の圧倒的多数は政府の公共部門に依存しているからである。大まかに言って、健康衛生の分野では、大手製薬企業は学問の世界から生まれた研究の第一歩をこれが成功を収めた場合に買収することを専門としていて、それはまさに金融会社へと変貌している。しかし、民間の製薬研究がもはや実施されていないということ、これはヨーロッパの実情でもある。アメリカの代議士たちは自分の政治的帰属とは無関係に、クリントン政府が提案した国立衛生研究所(NIH)予算の度重なる著増に賛成票を投じたが、それは、生物学者たちがこうした大義のために製薬企業を賛同させ、できる限り革新的な研究を利用可能とするために連邦資金を学問研究に注ぎ込むよう政府を上手く説得したからだった。

研究は国家の優先事項であるという公式見解にもかかわらず、政府は現実には公的な研究部門を閉鎖しつつある。しかも、公的な研究の代わりを果たすものは何もないということが考慮されないままである。政府は公的な研究機関を財政面で停滞させている。予算の削減にともなって、議会で採択された予算の取り消しや凍結(2003年12月初め、国立科学研究センター(CNRS)では2002年度官費予算の50%がなおも支給されていなかった!)が生じたが、これは、(CNRSや国立保健医学研究機構(INSERM)、国立農業研究所(INRA)といった)科学技術的公施設法人(EPST)のいくつかや、(原子力庁(CE A)といった)商工業的公施設法人(EPIC)を破綻の瀬戸際へと追いやっている。長期的な活動であるがゆえに研究には明確なパースペクティヴが必要なのだが、政府は若い研究者のポスト数の容赦ない削減を決定した(例えば、INSERMの研究員ポストに関して言えば、2002年に95あったポストは2004年には35と見積もられている)。フランスの研究職員の相当な数の退職と軌を一にして、この放棄によって、フランスと同水準にある他の国々との隔たりはにわかに後戻りのできない地点に達するだろう。若い科学者たちがこの国を去っていくにつれてその速度はますます速くなるが、既にそうした動きは始まっているのである。

科学行政の重要な方針は国民の代表によって統制されなければならない。しかし、政府は国家を解放することも、研究を麻痺させかねないような方法でもって研究を先導することもできない。こうして、干渉手段は徐々に内閣へと集約されてきた。公的資金の分配には、彼らの干渉能力のにわか仕立てで一貫性に欠ける煩雑な手続きが既に駆使されているが、その最も明白な論理とは(大学を含む)EPSTとEPICを民営化するというものだ。特別プログラムへの高額予算の分配を決定するためにその場しのぎの委員会がいくつか緊急につくられ、支援するべき若手研究者を選出する担当者として何人かの専門家が慌しく任命される。研究を先導する最良の効率性の名のもとに打ち出されたこれらの実践処置だが、その効果は、往々にして不透明な評価基準をもった、一定期限の委員会の数を増やすこと、そうして、EPSTとEPICの研究所を統率するために多くのエネルギーを注ぎこむことである。なぜなら、皮肉なことに、科学の専門家は権威ある専門家たちがいる研究所、つまりEPSTとEPICからしか生まれないからである。なるほど、政府の先導行為は極めて重要な施設、あるいは社会科学における人類学館のような特殊な機構を設置し、さらには研究を応用発展させるためには必要である。しかし、それは、この先導行為が研究機関との協議にもとづいて透明なやり方で実施され、有無を言わせない方針の変化や即席の方針を回避するならばの話である。またそれが、学術としての卓越性を唯一の判断基準としながら、ありとあらゆる基礎研究への隙のない支援を伴なっていればの話である。

もっぱら内閣によって推進され、先導されるような科学研究の例は存在しない。さまざまに立場を異にする多くの政治家がそう考えているようにみうけられるが、こうした類の発想法を信じることは御門違いの話、科学官僚的な幻想に他ならない。そんな肩書に値する研究は、科学の国際的な情勢に対抗しうるほど勢力のあるいくつかの研究機関や大学に限られるのである。研究諸機関の構造と実践を明晰に分析する必要はあるし、署名者の多くが長年来考えてきたように、数々の変化は必要不可欠である。だがそうだとしても、この上なく毅然たる態度で言っておかなければならない、若手を育成するための実践科学やかけがえのない専門能力、急速な知の進化発展に対する返答、さまざまな結果の価値評価、これらはすべて、他ならぬ研究諸機関のなかにあるのだ、と。

ここに署名した科学者たちは自分たちの責任上、フランスの研究機関の計画的な破壊に対して集団で訴えを起こす所存である。したがって、

1)諸機関に支払われるべき予算総額(2002年度の交付金は未だに未払いである)が直ちに払い込まれなければならないことを私たちは要求する。
2)2004年度の選抜試験を受ける若い研究者に就職の可能性が目に見える形で増えることを私たちは要求する。
3)現状が政界や経済界、さらには世論に理解されるために、研究に携わる人々が現実的に決定的な行動を起こすことを私たちは期待する。研究に関する国民会議の準備に速やかに着手するよう私たちは研究省に要求する。六十年代、カーン〔フランス・ノルマンディー地方の都市〕の討論会はフランスにおける研究の目覚しい革新の礎をなしたが、この討論会は研究に関する国民会議の範例となるだろう。この種の討論会は経済界や政界の関係者たちを一堂に集めることで、私たちの研究システムがもっている活力と再活性化を条件づけるいかなる問題をも避けることなく、我が国で暮らす市民の未来のために生命活動の部門――これは今日、多くの若手が顧みない部門である――を再び設立することを目指すだろう。若い研究者に魅力的な就職と職歴の見通しを提供する一年以上にわたる政策の実施という結論が導かれることだろう。

当局が状況の深刻さ、とりわけ我が国の若い研究者たちの絶望――これは私たちの研究所の主たる問題となる――を理解しないならば、そして、私たちが被っている危機の処置が一刻を争うにもかからわずこれらの要求が満たされないならば、ここに署名した研究チームと部局のリーダーはその管理ポストを集団で辞任するだろう。

署名者たちはこうした決断が引き起こす深刻さを自覚している。しかし、若手研究者の保護を心配する私たちには、政府当局、経済界の重要人物、世論に理解されるために、こうした手段に訴えるしかないのである。

下記署名者たちは、CNRSやINSERMの委員会のメンバーとその委員長、他のEPSTやEPIC で研究する人々、若手研究者グループ、各学会長に、それぞれの分野でそれぞれの責任に応じた形で、フランスにおける研究機関の解体に対する反対運動に参加するよう呼びかける。私たちは政府の措置に影響を被り、その深刻さを学生――彼らは私たちがこの運動の拡大を望んでいることを明確に理解するだろう――に説明する可能性のある教員や研究者にも呼びかける。

(翻訳:西山雄二:一橋大学博士課程)。


(「意見広告の会」ニュース講読申込先:qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp)

Posted by tjst at 02月01日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000497.html
他の分類:研究者から社会へ

2004年01月18日

自衛隊のイラクへの派遣に反対する数学者の声明への賛同呼びかけ

自衛隊のイラクへの派遣に反対する数学者の声明

2004年 1月

小泉内閣は,イラクへの自衛隊派遣を決定し,
すでに先遣隊員を派遣しました.

武器を携えた自衛隊を準戦闘地域のイラクに派遣することは,
日本が,国際法に違反している米英のイラク攻撃と占領を,
積極的に支持し荷担することを意味します.
また,イラクの民衆に銃口を向けることになるかもしれません.

これらのことは明らかに日本国憲法,とりわけ
前文と第9条の理念に反します.

我々数学に関わる者は,このような自衛隊の派遣に反対し,
イラクの復興支援は,イラクの人々の意向に基づき国連の枠組みで
なされるべきものと考え,ここに声明を発表し,
この声を拡げたいと考えます.

Date: Sun, 18 Jan 2004 02:18:00 +0900
From: yutaka saburi
Subject: あらためて賛同を呼びかけます

佐分利です

この email は、Bcc にて知人や、過去に平和を求める数学者の声明に署名をしてくださった皆さんにお送りしています。

1月2日付けで、「自衛隊のイラク派遣に反対する数学者の声明」への賛同を呼びかける email をお送りしていました。
その後、呼びかけ人が新たに加わってくださったこともあり、あらためて賛同を呼びかけさせていただきます。
皆さんの賛同と、知人の方々への賛同依頼をお願いいたします。
寄せられた賛同署名は、政府や政党、報道機関その他に送ることで、私たちの意見表明としたいと考えます。

以下、あらためて「声明」と賛同署名の呼びかけ人を紹介し、賛同署名の方法、および運動のスケジュールなどをお伝えします:

(1) 「声明」文
(2) 賛同署名の呼びかけ人
(3) 賛同署名の方法(匿名もありです)
(4) 賛同署名の期間(締切1月31日)
(5) 集会とデモ
(5-1) 日 時: 2月1日(日)13:00〜15:30
    場 所: 大学生協渋谷会館
(5-2) メッセージの募集
(6) mathfp にご参加を

詳細:

(1) 「声明」文

自衛隊のイラクへの派遣に反対する数学者の声明

2004年 1月

小泉内閣は,イラクへの自衛隊派遣を決定し,
すでに先遣隊員を派遣しました.

武器を携えた自衛隊を準戦闘地域のイラクに派遣することは,
日本が,国際法に違反している米英のイラク攻撃と占領を,
積極的に支持し荷担することを意味します.
また,イラクの民衆に銃口を向けることになるかもしれません.

これらのことは明らかに日本国憲法,とりわけ
前文と第9条の理念に反します.

我々数学に関わる者は,このような自衛隊の派遣に反対し,
イラクの復興支援は,イラクの人々の意向に基づき国連の枠組みで
なされるべきものと考え,ここに声明を発表し,
この声を拡げたいと考えます.


(2) 賛同署名の呼びかけ人

秋山 茂樹  (新潟大学)     荒井 嘉夫  (桐朋中・高等学校)
安藤 豊  (元東京水産大学)  伊原 康隆  (元京都大学)
上野喜三雄 (早稲田大学)    上野 正  (元東京大学)
江口 正義  (東京海洋大学)   遠藤 幹彦  (元立教大学)
大森 和子  (数学教育協議会)  岡部 恒治  (埼玉大学)
笠原 乾吉  (元津田塾大学)   川島 義孝  (数学教育協議会)
岸本 量夫  (元信州大学)    銀林 浩  (元明治大学)
久野はるみ (数教協・小学校)  久保田幸次 (元北海道大学)
小島 和美  (数学教育協議会)  小島 順  (元早稲田大学)
小寺 隆幸  (数学教育協議会)  齋藤 恭司  (京都大学)
榊忠 男  (数学教育協議会)  佐藤 文広  (立教大学)    
佐分利 豊  (千葉短期大学)   白岩 謙一  (元名古屋大学)
瀬山 士郎  (群馬大学)     高野 恭一  (神戸大学)
竹内 茂   (岐阜大学)     田中 茂  (津田塾大学)
玉川安騎男 (京都大学)     塚田 和美  (お茶の水女子大学)
辻下 徹  (北海道大学)    長岡 一昭  (津田塾大学)
中川 律子  (数学教育協議会)  永島 孝  (元一橋大学)
中根 静男  (東京工芸大学)   中原 宣  (数教協・米子松蔭高校)
中村 潤  (数教協・向陵高校) 中村 強 (平和・人権・教育と文化を考える会)
中村 元  (桐朋中・高等学校) 仲本 正夫  (埼玉大学)
西岡 國雄  (東京都立大学)   西岡 啓二  (慶応大学)
広中由美子 (早稲田大学)    福富 節男  (元東京農工大学)
牧野 哲  (山口大学)     増島 高敬  (数教協・自由の森学園)
益本 克彦  (数学教育協議会)  松井 幹夫  (数教協・自由の森学園)
森  真  (日本大学)     谷口 彰男  (日本大学)
矢島 敬二  (東京理科大学)   柳原 二郎  (元千葉大学)
山岸 昭則  (数教協・福井大学) 山野下とよ子(数学教育協議会)
山森 康雄  (数学教育協議会)  吉田 克明  (日本大学)
渡辺 毅  (岡山理科大学)


(3) 賛同署名の方法(匿名もありです)

(3-1) Email の場合は  佐藤文広(立教大学)sato@rkmath.rikkyo.ac.jp

         宛てで、次の書式にしていただけるとありがたいです。

         Email の件名: sign up
             本文: 名前(所属) ふりがな

            (例) 佐分利 豊(千葉短期大学)さぶり ゆたか

(3-2) Fax の場合は   安藤 豊 (元東京水産大学)Tel/Fax: 046-846-3522

         宛てで、「声明賛同」 と記した上で、
             「名前(所属) ふりがな」 をお伝えください。

(3-3) 呼びかけ人宛てに賛同の意を伝えていただいても結構です。

   その際も 「名前(所属) ふりがな」 の3項目をお伝えください。

(3-4) 匿名を希望される方は、その旨をお申し出ください。

(3-5) 署名用紙

   署名用紙は任意でお作りいただいてもけっこうですが、本 email に
   一太郎ファイルとして作ったものを添付しました。
   他に、以下から署名用紙の pdf ファイルと dvi ファイルを読み込む
   ことができます:
  http://www.edu.waseda.ac.jp/~hironaka/peace.html

(3-6) 数学関係者以外の賛同署名

   数学関係者以外の署名も受付けます。
   その場合は、専門なども明記いただけますようお願いいたします。

(4) 賛同署名の期間

  署名のしめきりは1月31日です。

(5) 集会とデモ

  賛同署名とともに、「自衛隊のイラクへの派遣に反対する集会」とデモを
  行います。


(5-1) 日 時: 2月1日(日)13:00〜15:30
   場 所: 大学生協渋谷会館

       Tel:03-3486-5293
       JR 原宿駅から徒歩10分
       JR 渋谷駅から徒歩13分
       地下鉄明治神宮前駅から徒歩7分


(5-2) メッセージの募集

  集会参加者は、その場で意見を述べあうことができるのですが、参加でき
  ない方にはそのような機会がありません。
  そこで、今回は、事前に、参加できない方のメッセージも募ることにしま
  した。

  メッセージの送り先:  佐分利 豊(千葉短大)
             Email: saburi@cds.ne.jp
             Tel/Fax: 045-625-2302
             〒232-0848 横浜市中区鷺山 106-1B

  メッセージを email で送ることができないという場合でも、
  できれば Windows の上で読むことのできる file をお送りいただけるとあ
  りがたいです。


(6) mathfp にご参加を

  日本社会における平和と戦争をめぐるせめぎ合いがクリティカルな様相を強
  めている中、数学者の平和運動のための mailing list "mathfp" にご参加
  ください。
  参加費は無料です。
  参加の申し込みは下記まで:

  佐分利 豊 <saburi@cds.ne.jp>

2004年01月17日

自衛隊イラク出兵 に宮城県学者・文化人・法律家有志279名 緊急抗議声明 2004.1.16

2004年1月17日午前9時現在呼びかけ人: 学者85名、文化人77名、法律家117名(計279名)

自衛隊のイラク出兵に反対する緊急抗議声明

政府は、本日ついに「イラク特措法」に基づき自衛隊をイラクに本格的に出動させ始めました。これは、アメリカとイギリスとを主軸とする無法な軍事攻撃と、これに引き続く形で行われている軍事占領に、日本が軍事力をもって積極的に加担しようとする暴挙です。

この暴挙がイラクのひとびとの強い批判や反撥を招き、抵抗行動を激化させることは必至であり、人道復興を支援するどころか、逆に軍事力による虐殺行動の拡大に手を藉し、自衛隊を戦闘行動に赴かせる危険極まりないものです。

自衛隊のイラク出兵は、憲法上も国際法上も許されないことは勿論のこと、日本を、中東やアジアをはじめとする国際社会から孤立させ、憎悪と不信の対象と化する愚挙です。私たちは、人道と憲法の名において、そして何よりも人間の名において、自衛隊のイラク出兵を絶対に許すことができません。

この声は、いまやあらゆるところに満ちています。私たちは、人間の理性と良心をかけ、政府に対し、自衛隊のイラク出兵について強く抗議するとともに、出兵の即時中止を要求するものです。

2004年1月16日

宮城県学者・文化人・法律家有志
呼びかけ人代表

宮 田 光 雄(東北大学名誉教授)
小田中 聰 樹(東北大学名誉教授)
犬 飼 健 郎(弁護士)

呼びかけ人名簿 2004年1月17日午前9時現在

〔学者〕(85名)
浅 野 富美枝 (宮城学院女子大学教員)
浅 見 定 雄 (東北学院大学名誉教授)
安孫子   麟 (元東北大学教授)
荒 川 由美子 (尚絅学院大学教授)
石 栗 義 雄 (元東北大学教員)
石 田 一 彦 (尚絅学院大学女子短期大学部教授)
和 泉   修 (東北大学名誉教授)
板 垣 乙未生 (東北大学教授)
伊 藤 一 義 (東北学院大学教授)
伊 藤 博 義 (東北文化学園大学教授・宮城教育大学名誉教授)
井 上 千 弘 (東北大学助教授)
大 石 直 正 (東北学院大学嘱託教授)
大 内 秀 明 (東北大学名誉教授)
大 崎 節 郎 (東北学院大学名誉教授)
大 平   聡 (宮城学院女子大学教授)
大 村   泉 (東北大学教授)
小笠原   卓 (元東北大学教員)
小田中 聰 樹 (東北大学名誉教授)
小田中 直 樹 (東北大学助教授)
片 岡   彰 (東北大学助手)
片 山 知 史 (東北大学助手)
金 田 重 喜 (東北大学名誉教授)
上 山 真知子 (山形大学教員)
刈 田 啓史郎 (元東北大学教授)
刈 田 美知子 (尚絅学院大学女子短期大学部教授)
河 相 一 成 (東北大学名誉教授)
川 端 純四郎 (東北学院大学講師)
菅 野   仁 (宮城教育大学助教授)
黒 滝 正 昭 (宮城学院女子大学教授)
小 玉 邦 子 (元東北大学教員)
小 山 富 男 (東北大学助手)
近 藤 佳代子 (宮城教育大学教授)
斎 藤 尚 生 (東北大学名誉教授)
斉 藤 豊 治 (東北大学教授)
佐 竹 保 子 (東北大学助教授)
佐 藤 直 由 (東北文化学園大学教授)
柴 田 吉 郎 (東北大学技官)
柴 田 行 男 (東北大学助教授)
志 村 憲 助 (東北大学名誉教授)
下 山 克 彦 (東北大学職員)
新 屋 達 之 (立正大学助教授)
杉 山 弘 子 (尚絅学院大学女子短期大学部教授)
鈴 木 謙 爾 (東北大学名誉教授)
鈴 木   知 (宮城学院女子大学名誉教授)
鈴 木 法日児 (宮城教育大学教授)
関 口 栄 一 (東北大学名誉教授)
関 本 英太郎 (東北大学教授)
曽根原   理 (東北大学助手)
高 城 和 義 (東北大学教授)
高 木 龍一郎 (東北学院大学教授)
高 橋   満 (東北大学助教授)
田 嶋 玄 一 (東北大学助手)
田 中 史 郎 (宮城学院女子大学教員)
田 中 輝 和 (東北学院大学教授)
武 田   忠 (宮城教育大学名誉教授)
竹 内   峯 (東北大学名誉教授)
照 井   敬 (元神戸商船大学教授)
冨 田   真 (東北大学助教授)
冨 永 智津子 (大学教員)
長 岡 龍 作 (東北大学助教授)
中 森 孜 郎 (宮城教育大学名誉教授)
西 村 俊 昭
仁昌寺 正 一 (東北学院大学教授)
野 呂 ア イ (尚絅学院大学教授)
野 呂   正 (宮城教育大学名誉教授)
服 部 文 男 (東北大学名誉教授)
半 田 恭 雄 (東北大学名誉教授)
東   義 也 (尚絅学院大学女子短期大学部助教授)
樋 口 晟 子 (東北福祉大学教授)
日 野 秀 逸 (東北大学教授)
広 中 俊 雄 (東北大学名誉教授)
外 尾 健 一 (東北大学名誉教授)
細 谷   昂 (東北大学名誉教授)
槙   哲 夫 (東北大学名誉教授)
松 野   豊 (東北大学名誉教授)
村 岡 俊 三 (東北大学名誉教授)
宮 田 光 雄 (東北大学名誉教授)
宮 脇 弘 幸 (大学教員)
守 屋 克 彦 (東京経済大学教授・弁護士)
柳 父 圀 近 (東北大学教授)
柳 原 敏 昭 (東北大学助教授)
山 下 直 治 (宮城教育大学教授)
吉 田 寛 一 (元東北大学教員)
吉 田 正 志 (東北大学教授)
J.F モリス (宮城学院女子大学教員)

〔文化人〕(77名)
青 木 康 弘 (バプテスト仙台南教会・牧師)
青 田 百合子 (薬剤師・みやぎ保健企画代表取締役)
揚 野   昇 (福島・鹿島栄光教会、協力牧師)
阿 南 陽 二 (医師・坂総合病院・外科)
和 泉 敬 子 (仙台YWCA監事)
井 田 士 朗 (医師)
稲 垣 達 也 (ピアニスト・作曲家)
井 上 博 之 (歯科医師)
氏 家 和 子 (宮城県保険医協会理事・歯科医師)
大 窪   豊 (医師)
大 沼   隆 (仙台川平教会・牧師)
大 村 武 平 (宮城県保険医協会監事・歯科医師)
笠 原 英 樹 (宮城県保険医協会理事・医師)
神 谷 真那美 (日本音楽家ユニオン東北地方本部代表運営委員・ピアニスト)
川 端 英 子 (のぞみ文庫)
北 村 龍 男 (宮城県保険医協会理事・医師)
興 野 義 一 (宮城県保険医協会顧問・医師)
久 慈   了 (医師・坂総合病院医局長・泌尿器科)
郷 津 隆 幸 (日本音楽家ユニオン東北地方本部代表運営委員・クラリネット)
小 熊   信 (坂総合病院副院長・外科)
郷 家 智 道 (宮城県保険医協会理事長・歯科医師)
後 藤 東 陽 (写真家)
小 西   望 (日本基督教団仙台北教会・牧師)
小 林 康 浩 (ピアニスト・作曲家)
小 林 喜 成 (牧師)
駒 形   貴 (歯科医師)
斎   基 之 (宮城県保険医協会歯科部会幹事・歯科医師)
斎 藤 善 雄 (元高校教師・ふるかわ平和のつどい)
佐 藤   忍 (医師)
佐 藤 行 夫 (医師・中新田民主病院)
笹 森 長次郎 (宮城県保険医協会専門部員・医師)
島   和 雄 (宮城県保険医協会歯科部会幹事・歯科医師)
清 水 達 雄 (宮城県保険医協会副理事長・医師)
神   久 和 (医師・坂総合病院成人病クリニック所長)
杉 山 昭 男 (日本福音ルーテル教会・牧師)
鈴 木 啓 子 (NPO関係者)
鈴 木 勝 利 (宮城県保険医協会副理事長・歯科医師)
高 橋   征 (宮城県保険医協会専門部員・歯科医師)
高 橋   克 (医師・五橋メンタルクリニック医長)
高 橋 義 一 (宮城県保険医協会理事・医師)
高 平 つぐゆき(作曲家・合唱指揮者)
田 野 み よ (医師)
丹 野   仁 (医師・坂総合病院・小児科科長)
塚 野 淳 一 (日本音楽家ユニオン東北地方本部代表運営委員・チェリスト)
出 浦 秀 隆 (元高校教師)
寺 島 一 郎 (宮城県保険医協会歯科部会幹事・歯科医師)
戸 枝   慶 (前仙台YWCA会長)
苫米地 サトロ (シンガーソング・ライター)
南 部 敏 郎 (うたごえの店バラライカ代表)
西 澤 晴 代 (子どもの人権を守る宮城県連絡会事務局長)
沼 沢   溥 (宮城県保険医協会副理事長・歯科医師・核戦争を防止する宮城医師歯科医師の会代表)
長谷川 精 一 (仙台YMCA理事)
長谷部 栄 佑 (医師)
畠 山 タ ツ (医師・坂総合病院・内科)
早 川   寿 (演出家)
彦 坂 直 道 (医師・宮城厚生福祉会理事長)
廣 田 清 方 (宮城県保険医協会副理事長・医師)
日 向   康 (作家)
広 瀬 俊 雄 (医師・仙台錦町診療所・産業医学センター)
深 田   寛 (牧師)
細 川   覚 (日本基督教団石巻栄光教会・牧師)
増 田 家次子 (こどものほんのみせ・ポラン)
町 田 幸 雄 (医師・若林クリニック所長)
松 浦 真 吾 (宮城県保険医協会理事・医師)
三 浦 経 子 (宮城県保険医協会理事・医師)
三 井 啓 示 (牧師)
宮 沼 弘 明 (医師・坂総合病院副院長・内科)
村 口 喜 代 (医師)
村 口   至 (医師)
矢 崎 春 彦 (宮城県保険医協会理事・医師)
箭 内   登 (民主文学会)
吉 田   隆 (日本キリスト改革派仙台教会・牧師)
横 山 寛 勝 (元高校教師・吉野作造を学ぶ会)
横 山 成 紀 (医師・長町病院附属クリニック所長)
横 山 成 樹 (医師・中新田民主医院名誉院長)
山 田   裕 (医師)
渡 辺 愛 雄 (演劇鑑賞会)

〔法律家〕(117名)
青 木 正 芳 (弁護士)
赤 松   實 (弁護士)
阿 部   潔 (弁護士)
阿 部 弘 樹 (弁護士)
阿 部 泰 雄 (弁護士)
荒     中 (弁護士)
石 井 慎 也 (弁護士)
石 神   均 (弁護士)
石 田 眞 夫 (弁護士)
犬 飼 健 郎 (弁護士)
井 上 順 子 (弁護士)
井 上 庸 一 (弁護士)
井 野 一 弘 (弁護士)
井野場 晴 子 (弁護士)
内 田 正 之 (弁護士)
遠 藤 孝 夫 (弁護士)
逢 坂 由紀子 (弁護士)
大 橋 洋 介 (弁護士)
岡 崎 貞 悦 (弁護士)
小 川 昌 幸 (弁護士)
奥 山   梢 (弁護士)
織 田 信 夫 (弁護士)
小 高 雄 悦 (弁護士)
小野田 耕 司 (弁護士)
小野寺 照 東 (弁護士)
小野寺 信 一 (弁護士)
小野寺 友 宏 (弁護士)
小野寺 義 象 (弁護士)
小 幡 佳緒里 (弁護士)
角 山   正 (弁護士)
加 藤 雅 友 (弁護士)
鹿 又 喜 治 (弁護士)
鎌 田 健 司 (弁護士)
神 坪 浩 喜 (弁護士)
亀 田 紳一郎 (弁護士)
川 原 眞 也 (弁護士)
官 澤 里 美 (弁護士)
北 見 淑 之 (弁護士)
清 藤 恭 雄 (弁護士)
日 下 俊 一 (弁護士)
草 場 裕 之 (弁護士)
倉 林 千枝子 (弁護士)
小 島 妙 子 (弁護士)
小 関   眞 (弁護士)
小 向 俊 和 (弁護士)
崔   信 義 (弁護士)
齋 藤 信 一 (弁護士)
齋 藤 拓 生 (弁護士)
斉 藤 睦 男 (弁護士)
坂 野 智 憲 (弁護士)
佐 川 房 子 (弁護士)
佐久間 敬 子 (弁護士)
佐々木 健 次 (弁護士)
佐々木 好 志 (弁護士)
佐々木 雅 康 (弁護士)
佐 藤 敏 宏 (弁護士)
佐 藤 正 明 (弁護士)
佐 藤 正 彦 (弁護士)
佐 藤 美 砂 (弁護士)
佐 藤 美 保 (弁護士)
佐 藤 由紀子 (弁護士)
庄 司 捷 彦 (弁護士)
杉 山 茂 雅 (弁護士)
鈴 木 宏 一 (弁護士)
鈴 木 忠 司 (弁護士)
鈴 木 裕 美 (弁護士)
須 藤   力 (弁護士)
十 河   弘 (弁護士)
高 橋   治 (弁護士)
高 橋 輝 雄 (弁護士)
高 橋 春 男 (弁護士)
高 橋 善由紀 (弁護士)
武 田 貴 志 (弁護士)
武 田 初 江 (弁護士)
千 葉 晃 平 (弁護士)
千 葉 達 朗 (弁護士)
勅使河原 安夫 (弁護士)
照 井 克 洋 (弁護士)
土 井 浩 之 (弁護士)
豊 田 喜久雄 (弁護士)
豊 田 耕 史 (弁護士)
内 藤 千香子 (弁護士)
中 谷   聡 (弁護士)
新 里 宏 二 (弁護士)
沼 波 義 郎 (弁護士)
野 呂   圭 (弁護士)
袴 田   弘 (弁護士)
橋 本 治 子 (弁護士)
服 部 耕 三 (弁護士)
花 島 伸 行 (弁護士)
馬 場   亨 (弁護士)
半 澤   力 (弁護士)
藤 田 紀 子 (弁護士)
舟 木 友比古 (弁護士)
堀 内 政 司 (弁護士)
増 田   祥 (弁護士)
増 田 隆 男 (弁護士)
松 井   恵 (弁護士)
松 尾   大 (弁護士)
松 倉 佳 紀 (弁護士)
松 坂 英 明 (弁護士)
松 澤 陽 明 (弁護士)
松 下 明 夫 (弁護士)
丸 山 水 穂 (弁護士)
水 澤 亜紀子 (弁護士)
水 谷 英 夫 (弁護士)
村 上 敏 郎 (弁護士)
村 田 知 彦 (弁護士)
村 松 敦 子 (弁護士)
守 屋 克 彦 (弁護士・東京経済大学教授)
門 間 久美子 (弁護士)
山 田 忠 行 (弁護士)
山 谷 澄 雄 (弁護士)
吉 岡 和 弘 (弁護士)
米 谷   康 (弁護士)
我 妻   崇 (弁護士)
渡 邊 大 司 (弁護士)

2004年01月16日

イラク戦争の「正当性」をわかりやすく説明ーーNHK週刊子供ニュース

ウェブログ「敬天愛人 格物致知」2004.1.7
週刊子供ニュースとイラク戦争

・・・・・見るとはなしにNHKの週刊子供ニュースを見るのですが、そこでお父さん役の解説者が判りやすく?イラク戦争の正当性を説明していました。曰くフセインは悪者であるから、やっつけねばならないと。NHKは事実上の国営放送ですから、日本政府寄りの説明となるのだと思いますが、子供に対してこういうある意味で一方的な報道とはいかがなものか?と思います。おかげでうちの子はイラク戦争は良いことだと単純に納得しているかもしれません。 ・・・・・

(2004.2.7 追加:自衛隊がイラクに行くことについて '04/1/24 放送 では、政府の見解と距離を置いた説明をしている。)

2003年12月26日

ネット署名:自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明

ネット署名サイト:http://poll.ac-net.org/3/

自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明へのネット署名の呼びかけ

現在、小泉政権は自衛隊をイラクに派遣しつつあります。たとえ一国平和主義といわれようとも、第2次世界大戦以後、国家の行為として他国民を殺傷したことがなかったことは、我々日本人の誇りだったはずです。日本はいつから、為政者の思いつきで憲法を無視できる無法国家になったのでしょうか。自衛隊のイラクへの派遣を即刻中止することを政府に要求する呼びかけに賛同してくださるよう、全国の研究者の皆様に訴えます。なお、この署名は1月11日東京で開かれる派兵反対集会において紹介いたします。

2003年12月26日

呼びかけ人代表 山口二郎 北海道大学

赤井 純治(新潟大学),在田 一則(北海道大学),五十嵐 尤二(新潟大学),池内 了(名古屋大学),伊豆 利彦(元横浜市立大学),出水 薫(九州大学),一楽 重雄(横浜市立大学),一條 眞古人(北海道大学),岩永 定(鳴門教育大学),宇野 忠義(弘前大学),浦辺 徹郎(東京大学),大谷 尚子(茨城大学),大野 裕(名古屋大学),神沼 公三郎(北海道大学),河合 崇欣(名古屋大学) ,北川 勝弘(名古屋大学),栗山 次郎(九州工業大学),小島 純一(茨城大学),小林 邦彦(名古屋大学),小林邦彦(名古屋大学),駒田 聡(京都教育大学),近藤 義臣(群馬大学),後藤仁敏(鶴見大学短期大学部),斎藤 周(群馬大学),佐久間 正(長崎大学),笹沼 弘志(静岡大学),志賀 徳造(東京工業大学),清水 肇(東北大学),庄司 惠雄(お茶の水女子大学),白井 浩子(岡山大学),白井 深雪(東京大学),鈴木 恒雄(金沢大学),竹浪 聰(富山大学),田澤 紘一郎(信州大学),谷本 盛光(新潟大学),多羅尾 光徳(東京農工大学),塚本 次郎(高知大学),辻下 徹(北海道大学),豊島 耕一(佐賀大学),中川 弘毅(千葉大学),中村 郁(北海道大学),仲尾 善勝(琉球大学),永井 實(琉球大学),永岑 三千輝(横浜市立大学),根森 健(新潟大学),能條 歩(北海道教育大学),野田隆三郎(元岡山大学),橋本 満(電気通信大学),長谷川 浩司(東北大学),服部 昭仁(北海道大学),浜本 伸治(富山大学),濱田 武士(東京海洋大学),早川 洋行(滋賀大学),福島 和夫(信州大学),藤田 詠司(高知大学),藤本 光一郎(東京学芸大学),本田 勝也(信州大学),前田 靖男(東北大学),増子 捷二(北海道大学),間嶋 隆一(横浜国立大学),松田 彊(北海道大学),松尾 孝美(大分大学),松方 冬子(東京大学),三島 徳三(北海道大学),宮本 孝甫(琉球大学),森 英樹(名古屋大学),森本 淳生(京都大学),山形 定(北海道大学),山口 和秀(岡山大学),山根 正気(鹿児島大学),吉岡 直人(横浜市立大学),吉田 正章(九州大学),渡辺 信二(立教大学),渡辺 明日香(北海道大学),渡辺 勇一(新潟大学),渡邉 信久(北海道大学)

自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明

 現在、小泉政権はアメリカの求めに従って自衛隊をイラクに派遣しようとしている。現地には、イラク特措法でいう安全な場所は存在しないことは明らかであり、また自衛隊はイラク国民の切望する平和や復興のためよりも、アメリカ軍によるイラク支配を支援しに行くことも明白である。このまま自衛隊が派遣されれば、それはアメリカ軍と一体の軍事組織とみなされることは不可避である。そして、自衛隊はアメリカ軍支配に反発するさまざまな勢力による武力攻撃の標的となる危険性はきわめて高い。また、それに対する自衛手段とはいえ、自衛隊が現地の人々を殺傷する可能性も大きい。

 日本国憲法制定以来、憲法第9条のもと、国家の行為として他国民を殺傷したことがなかったことこそ、日本人の誇りだったはずである。この誇りがいまや打ち捨てられようとしている。小泉政権は、国民の反対を無視し、国民に対する十分な説明もなしに、憲法を踏みにじろうとしているのである。

 イラクの復興のために日本が協力することは当然であるにしても、それはあくまでイラク人の願いに沿った協力であるべきである。また、イラクの復興は国連を中心とする国際社会の協力によって達成すべきものである。イラクの地に軍靴の足跡をつけるためだけの自衛隊派遣は、真の平和と復興をもたらすことにもつながらない。

 我々は政府の暴挙を座視することはできない。小泉政権による憲法9条の実質的な廃棄を許すことはできない。また、権力保持に汲々とする為政者の都合で自衛隊員を危険にさらすことも看過できない。我々は政府に対し、自衛隊のイラク派遣決定を撤回するよう要求する。

2004年1月

イラク派兵に反対する研究者の会

2003年12月23日

日本文学協会:都立大学「改革」に反対する声明

日本文学協会声明(「日本文学」12月号)
  文学研究、文学教育の場を守るために、東京都立大学の「改革」に反対する

 現在、東京都はいっさいの議論と情報公開を否定した非民主的な手法により、東京都立大学の「改革」を実施しようとしています。二〇〇三年八月に、現都立大学の廃止と非公開の場で作られた「新」大学案が突然提起され、その経緯や詳細は当事者である大学関係者、学生はもちろん、東京都民に対してもまったく知らされていません。しかもそのような不透明で唐突な「新」大学を二〇〇五年四月に開校するとしています。

 このような状態で提起されている「新」大学案では、現在ある人文学部・法学部・経済学部・理学部・工学部が「都市教養学部」という学問的教育的理念不明の一学部に集められ、人文学部の教育内容が大幅に削られています。とりわけ人文学部において専攻として設置されている国文学をはじめ、中国文学、英文学、独文学、仏文学、そしてそこに併置されてきた各語学の研究・教育の場が、「新」大学にはまったく存在しないのです。

 「文学」がわが国の文化や教養の基盤を形成してきたものであることは言うまでもありません。国際化・情報化が進む今日においても、他国の文学・言語、そして何よりも日本文学・日本語の研究・教育の重要性は一段と増しています。そうした状況の中で、研究と教育の場である大学から、文学・語学の分野を抹消するということは、わが国の将来のために決して看過できない問題です。この領域で多くの実績をあげ、研究の拠点となってきた東京都立大学の文学専攻が失われるということは、経済効果でははかることができない致命的な損失となります。また、現在学部や大学院で学んでいる学生(留学生も多く含まれる)の権利という観点からも、突然の、一方的な廃止は許されることではありません。

 大学の存在意義、文化・教養の意味を少しでも真剣に吟味すれば、このような「新」大学構想の持つ欠陥は明らかです。しかしこれは一大学における教育の崩壊にとどまらず、経済効率を優先させた国公立大学の独立行政法人化などの指し示す方向を象徴的に示していると思われます。もしも、このような文学・語学の研究と教育とを排除した大学「改革」が東京都において一方的に強行されれば、それはたちまち全国へ波及してゆくことも予想されます。そうなれば、わが国の文学・語学の研究・教育、また大学における民主的な学問・教育への取り組みそのものが崩壊してゆくことになりかねません。

 以上の観点から、私たちは文学研究、文学教育の場を守るために、現在行われようとしている東京都立大学の「改革」に反対し、東京都がただちに「新」大学の構想を中止し、現都立大学との協議による大学改革という本来の手順に立ち戻るよう、強く求めます。

     二〇〇三年一一月   日本文学協会

日本史研究会声明12/1:都立四大学の統廃合について・・・・・・

「日本史研究の分野では国内最大の学会である京都の日本史研究会が、12月1日に、「都立四大学の統廃合について民主的改革と教育環境の保障を要望する声明」を出し、『日本史研究』496号(2003年12月号)に声明が掲載されました。・・・・・・」

都立四大学の統廃合について民主的改革と教育環境の保障を要望する声明

 現在、東京都立四大学を廃止し新大学を設立するという「改革」が行政当局によって強権的に行われようとしている。その手法は憲法や教育関連諸法規の認める学問の自由、大学の自治を否定するきわめて非民主的なものである。

 東京都は都立四大学と大学管理本部の協議で検討・準備を進めてきた「大学改革大綱」を突然覆し、大学管理本部が秘密裡に作成した新大学構想を押しつけようとしている。この構想は、人文学部や理学部のいくつかの学科・専攻を消滅または大幅に縮小し、教員定数を極端に圧縮するなど、これまでに築きあげられてきた都立大学の研究や教育を無に帰しかねないものである。また、現在の院生や学生の研究・学習条件が大きく悪化することも懸念される。さらに、新大学の設立準備作業においては、教職員、院生、学生は協議過程から排除され、情報も正確に伝えられず、意見を述べ交換する自由も制約されている。

 七月一日に地方独立行政法人法案の可決に際して採択された付帯決議は、「公立大学法人の設立に関しては、地方公共団体による定款の作成、総務大臣及び文部科学省の認可に際し、憲法が保障する学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、大学の自主性、自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずること」と規定している。現在の東京都の手続きはこの付帯決議を全く無視しており、設置者権限を濫用するものである。行政による強権的な大学再編がこのまま見過ごされるならば、他の公立大学はいうまでもなく日本の大学のあり方そのものに甚大な悪影響を与え、学術研究の非民主的な抑圧をもたらすことになる。本会は強圧的・強権的な大学の破壊に強く抗議し、以下のことを東京都に要望する。

一、 都立四大学の構成員と開かれた協議を行い、合意形成をはかりつつ民主的な改革を進めること

一、 都立四大学に在籍する院生・学生の研究・学習権を十全に保障すること

一、 学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、都立四大学の教職員の地位を保全すること

   二〇〇三年一二月一日
                                日本史研究会

2003年12月07日

横浜市立大学名誉教授・教授等有志声明:「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う

いま横浜市立大学でなにが起こっているかYABUKI's China Watch Room 内)

「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う声明

平成15年11月28日
横浜市立大学名誉教授・教授等有志
代表:名誉教授 伊豆利彦 教授 矢吹 晋

・・・・・そもそも大学の将来という重要な事柄が、教授会の関与を排して進められたこと自体学校教育法に抵触しかねないものであり、民主主義の原則に反するものである。行政と大学との協調と緊張という正しい関係が採れず、管理職職員とごく一部の教員によって非民主的に作成された今回の案は、いずれ大学の解体につながるものであり、この案の作成過程と内容が「学問の自由」、「大学の自治」を否定した悪例として全国に残ることを自覚しなければならない。・・・・・

2003年12月05日

学位授与・大学評価機構による都立大学評価結果概要

東京都大学管理本部が本年8月1日以降に発表した東京都新大学構想に関する請願
都立大学教員10名が11月26日に内田茂都議会議長提出した請願書。学位授与・大学評価機構による都立大学の評価結果概要(10ー11月)が紹介されている。
cf:都立大の危機ーやさしいFAQ M14

・・・・・日本では、公的な大学評価の第三者機関はまだ二、三にとどまりますが、そのひとつ、文部科学省の外郭団体である大学評価・学位授与機構では、試行的な大学評価を2001(平成13)年度から3年間行ってきました。その試行評価の最終年度である今年度、初めて公立大学にも評価の対象が広げられたのを機に、東京都立大学の人文学部及び大学院人文学系では、その「分野別教育評価(人文学系)」及び「分野別研究評価(人文学系)」の評価を受けることとしました。自己評価書をもとに専門委員による評価が行われ、この10月、11月には、その評価案概要がもたらされました。それによると、教育・研究ともに、幸い、高い評価を受けているようです。・・・・・

2003年11月04日

日本数学会声明:科学研究の国費助成のありかたについて

数学通信第8卷第3号 p71-73 (2003.11)
日本数学会サイトhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/msj6/seimei/seimei.pdf
(総合科学技術会議、日本学術振興会に送付されたもの)

日本数学会声明 2003.9.24

科学研究の国費助成のありかたについて
――科学研究費補助金を中心に――

・・・日本数学会は,国が示した改革方針を否定するものではないが,いわゆるビッグ・プロジェクトを念頭においている提言を,すべての分野に杓子定規に適用するのは,危険があることを指摘したい。

数学という分野を例にとってみると,助成は主として文部省および学術振興会の科学研究費からなされてきた。そして従来の科学研究費制度は,小規模ではあるが多様な研究が並立する数学にとっては非常に有効なものであった。このたびの提言により,資金配分の方式が大きく変わって目立たない小規模研究に対する助成が軽視されるようなことが起れば,数学を含むさまざまな基本的研究分野が打撃を受け,長期的に見ると提言がかえってわが国の研究活力をそぐ可能性がある。このような事態を未然に防ぐため,実際に基本計画を運用するにあたっては,以下の四点に十分の配慮を払うべきであるとわれわれは考える。

1. 競争原理に乗りにくい分野の存在を無視しないこと
2. 過度の資金集中が起らないようにすること
3. 重点目標とされたプロジェクトに対する厳正な事後評価を行うこと
4. 諸学会との連携を図り,第一線の研究者が行うピア・レビュー評価システムを維持すること

以上である。・・・

全文:

数学通信第8卷第3号 p71-73 (2003.11)
日本数学会サイト にも掲載
http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj6/seimei/seimei.pdf

科学研究の国費助成のありかたについて

――科学研究費補助金を中心に――

社団法人 日本数学会

「科学技術創造立国」の旗印のもと,国は1996年に科学技術基本法を整備し,科学技術基本計画では「科学技術の戦略的重点化」の項のトップとして基礎研究の推進をとりあげた。遅きに失したとはいえ,基礎研究の死活的重要性を国が明確に認めたことは,まことに喜ばしい。

さて上記基本計画においては,従来の科学技術助成は国費のばらまきだったのではないか,との批判に応える形で,国の助成のありかたに対する改革方針が打ち出された。その骨子は,

A)競争原理の導入,

および

B)重点的予算配分

の二点にある。日本数学会は,国が示した改革方針を否定するものではないが,いわゆるビッグ・プロジェクトを念頭においている提言を,すべての分野に杓子定規に適用するのは,危険があることを指摘したい。

数学という分野を例にとってみると,助成は主として文部省および学術振興会の科学研究費からなされてきた。そして従来の科学研究費制度は,小規模ではあるが多様な研究が並立する数学にとっては非常に有効なものであった。このたびの提言により,資金配分の方式が大きく変わって目立たない小規模研究に対する助成が軽視されるようなことが起れば,数学を含むさまざまな基本的研究分野が打撃を受け,長期的に見ると提言がかえってわが国の研究活力をそぐ可能性がある。このような事態を未然に防ぐため,実際に基本計画を運用するにあたっては,以下の四点に十分の配慮を払うべきであるとわれわれは考える。

1. 競争原理に乗りにくい分野の存在を無視しないこと

2. 過度の資金集中が起らないようにすること

3. 重点目標とされたプロジェクトに対する厳正な事後評価を行うこと

4. 諸学会との連携を図り,第一線の研究者が行うピア・レビュー評価システムを維持すること

以上である。

第一点について言うと,競争原理は確かに効率化のために有効な手段であるけれども,応用から遠い基礎分野に対しては厳格には適用しにくいし,してはならないことである。強いて原則を貫徹しようとすると,ともすれば短期的目標にとらわれて,真に独創的な研究が軽視されがちである。それどころか基礎分野への助成そのものが大幅に減ってしまい,結果的にはわが国の研究活力の長期的衰退を招くことさえ懸念される。

第二点であるが,国家財政が危機に瀕している現在,予算の傾斜配分を行うことは当然である。国家のプロジェクトであるかぎり,重点目標の選定に政策的判断が入ることもまた是認される。しかし一般論として,研究の将来性は,それが独創的であればあるほど,従前の実績から推し量ることは困難であり,優秀な研究計画が重点研究プロジェクトの選定から洩れてしまうことはしばしば起る。逆に極めて将来性が高いと判断したプロジェクトがさしたる成果をあげないでおわることも,また起こりうる。広汎な分野に係わる,いわゆるビッグ・プロジェクトならば,ある程度,研究の将来性,重要性について客観的判断がつくことが多いであろう。だが専門性や特殊性が高い研究である場合は,適切な判断はより難しくなる。なかんずく従事する研究者が少ない研究テーマに対する目配りは,ともすればおろそかになりがちであって,個別研究者がそれぞれ独自の小規模研究を行っている分野などは,過度の重点資金配分が実施されれば補助金の大幅な減少により壊滅的な打撃を受けるであろう。

重点目標からはずれた研究への小額の補助金は,一見ばらまきと見えるかもしれないし,個々の助成をとってみれば実際無駄となるものもないとはいえない。しかしスケール・メリットがどんな分野でも機能するとは限らず,分野によっては補助の金額の多寡よりも件数のほうが重要なことも多いのであって,小額補助を一律にばらまきと非難するのは誤りである。数学に対する科学研究費助成も,一件あたりの金額は大きいほうではないが,若手研究者の萌芽的研究をはじめとする多彩な研究を支えるのに不可欠の役割を果たしている。仮に一件あたりの金額を増やして,その分件数を減らしたとすると,数学にとっては大打撃であろう。またリスクが全然ない投資というものはそもそもありえないので,仮に所期の成果が得られない助成が数パーセント程度まじっていたとしても,それは多様性を高めることによる将来への保険と考えるべきである。無駄を完全に省こうとしてリスクをとらないのは,角を矯めて牛を殺すことになりかねない。以上が第二点である。

他方重要な研究として選定され重点的資金配分を受けたプロジェクトは,ある意味で他のプロジェクトを犠牲にしているわけであって,当然説明責任が伴う。責任をもって慎重にプロジェクト選考を行うのは当然のこととして,選考基準の当否,および実際に助成から得られた成果について,事後に厳正な点検評価を行うことは絶対に必要である。特に政策的判断に基づいて採択された計画の場合は,採択の経緯と責任までも含めた評価を行うべきである。これが上に挙げた第三点である。

第四点に移る。

4月21 日付けで発表された「競争的研究資金制度改革について(意見)」において,総合科学技術会議は,公正で透明性の高い評価システムを確立するために,申請に対する評価者(レフェリー)は,資金配分機関に配属されたプログラム・オフィサーが中心となって選任すること,としている。数学に対する補助の大部分を取り扱う日本学術振興会においても,同方針に則り「学術システム研究センター」を立ち上げることとなった。

さて上記意見書の14 ページ以下では,評価者プールの形成と評価者選任に諸学会が関与することをはっきりと否定し,また利害関係者を厳格に排除することを謳っている。しかし一見公正であるこの方針が,実は大きな危険をはらんでいることは指摘しておかなければならない。

数学や理論物理など,チームというものがそれほど重要ではない分野では,研究者としてデビューしたばかりの二十代の若者が重要な貢献をすることがめずらしくない。また長年にわたる努力の末に独力で大理論をつくりあげつつある研究者もいる。若手あるいは個性的研究者は地方の研究機関など孤立した環境にあることも多く,過去に積み上げた実績がまだないことと相まって,その研究能力を評価できる者は,元の指導者や共同研究をしたことがあるものなどかなり少数に限定されよう。このように判断材料が乏しい研究を審査する場合,利害関係者を排除するとの制約をクリアしつつ,少数のプログラムオフィサーが適切な評価者を探すことはかなりの難事である。

以上は単なる例に過ぎない。数学のように,一般には小さなまとまった分野のように考えられているところでも,非専門家にとっては意外なほど多種多様な研究がおこなわれているのであって,少数の人間がとても全部をカバーできるものではない。上記の「公正な方針」を字義通りに遵守すると,プログラムオフィサーにかかる負担は重きに過ぎるだけでなく,重要な研究が正しい評価を得られない公算が高まるであろう。

こういった危険を少しでも緩和するためには,第一線の多様な研究者による公平なピア・レビュー・システムと,千差万別の研究テーマのそれぞれに対して適切な評価者を選ぶことを可能にする情報ネットワークとが必須である。そしてそうした情報ネットワークの提供者として,各分野の学会が果たすべき責任と能力は決して失われていないと,われわれは考える。従来行われてきた日本学術振興会科学研究費補助金審査員の推薦,という形そのものにこだわるものではないが,適切な評価者を選定する上で,各学会から情報と人的資源の提供を受けられるようなシステムは,是非確保しておくべきであろう。そして日本数学会も,研究者団体の責務として,公平な研究評価システムを構築するための協力を惜しまないつもりである。

2003年10月25日

石原知事への歴史学研究会委員会抗議声明

2003年10月24日

石原慎太郎東京都知事殿
山口一久東京都大学管理本部長殿

・・・・・上記のような東京都主導の強圧的・独断的な大学の再編がこのまま見過ごされた場合、独立法人化を目前とした他の国立大学をはじめ、日本全国の大学の「改革」に悪影響を及ぼすであろう。このことは、人文科学系の学術に大きな打撃を与えるものであるばかりでなく、この国の「知」のあり方全体を根底から崩壊させるものである。これは、都立4大学だけの問題ではない。「改革」に名を借りた「知」の破壊である。

 以上の三点から、本会は、現在、東京都によって進められている強圧的・強権的な大学の破壊を断じて容認しない。ここに、強く抗議する。 以上

             2003年10月24日
                      歴史学研究会委員会

声明全文:


都立4大学の廃止と石原都知事による「新構想」に対する抗議声明

石原慎太郎東京都知事殿
山口一久東京都大学管理本部長殿

 東京都は、石原慎太郎東京都知事のもと、2001年7月に都立4大学(東京都立大学・科学技術大学・保健科学大学・都立短期大学)の統合を推進する東京都大学管理本部を都庁内に設置し、同年11月には「東京都大学改革大綱」を発表した。これ以降、「東京都大学改革大綱」に沿った形で、大学管理本部と都立4大学との間で新しい大学のあり方について協議が重ねられてきた。しかし本年6月、突如として大学管理本部長が更迭され、さらに8月1日、都は自ら決定した「大学改革大綱」を何ら正当な根拠もなく突然覆した。これまでの検討体制が7 月31日をもって廃止されたことを一方的に宣言し、また、それまで自らも参加して練ってきた構想を破棄して「都立の新しい大学の構想について」(以下、「新構想」)を発表したのである。

 8月1日以降の「新大学」の検討体制には、科学技術大学学長・保健科学大学学長・都立大学の各学部長・研究科長に対して「参加」が要請された。しかし大学管理本部は、それら学長・学部長は、「資源」としての既存の大学をよく知る個人の資格でのみ「参加」を許すとし、したがって、学部などからの意見を反映させることはおろか、検討の様子についても学内に一切公表しないことを求める、という強圧的な手段を用いた。さらに都は、都立4大学の教員全てに対し、「新構想」に包括的に賛成し、教員配置や詳細設計の内容について一切口外しないことを約束させる「同意書」の提出を要求し、「新構想」を強権的に進めようとしている。

 以上の動向は、「設置者権限」を大きく逸脱した非民主的なやり方であるのみならず、教職員・学生・院生の権利を完全に踏みにじるものである。また憲法・教育関連諸法規の認める学問の自由、大学の自治を侵すものである。民主的な法治国家である日本においては、このような蛮行は許されず、絶対に看過することはできない。

 また、以上の手続き上の問題に加え、現在示されている「新構想」の中にも重大な問題がある。

 「新構想」では、人文学部は他学部(理学部・工学部など)とともに都市教養学部に包摂され、現・人文学部に存在する英文・国文・仏文・独文・中文の文学科各専攻は消滅する。このような「新構想」が実現すれば、大学が社会的責任として担う教養教育において大きな位置を占める人文科学系の諸分野は、見る影もなく荒廃する。さらに「新構想」では、人文科学系の教員定数は現定員の半数以下という、他の学部・学科に比して極端な削減が予定されている。こうした事態が現実のものとなれば、人文科学系学科の修士・博士課程の設置に必要な教員定数を満たすことが難しくなり、大学院生の中には学業半ばで道を完全に失う者が出てくることは必至である。

 さらに、上記のような東京都主導の強圧的・独断的な大学の再編がこのまま見過ごされた場合、独立法人化を目前とした他の国立大学をはじめ、日本全国の大学の「改革」に悪影響を及ぼすであろう。このことは、人文科学系の学術に大きな打撃を与えるものであるばかりでなく、この国の「知」のあり方全体を根底から崩壊させるものである。これは、都立4大学だけの問題ではない。「改革」に名を借りた「知」の破壊である。

 以上の三点から、本会は、現在、東京都によって進められている強圧的・強権的な大学の破壊を断じて容認しない。ここに、強く抗議する。 以上

             2003年10月24日
                      歴史学研究会委員会

Posted by tjst at 10月25日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000250.html
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2003年09月29日

シンポジウム「大学界の真の改革を求めて」報道発表

独法化阻止全国ネット報道発表.2003年9月29日

           多分野連携シンポジウム
       「大学界の真の改革を求めて」について

             主催者代表
             国立大学独法化阻止全国ネット事務局長  豊島耕一

われわれ国立大学独法化に反対する4団体(全国ネット,新首都圏ネット,意見広告の会,アピールの会)は,実施が迫る国立大学の「法人化」について,その問題点,これまでの反対運動の意味,そして大学界の真に意味のある改革とは何かを考える標記のシンポジウムを,9月27日,東大構内で開いた.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/news/multisympo927.html

これは,次のような目的を持ったものである.
(イ)近年にない規模と多様性をもって展開されたこの運動を,幅広い立場から,総合的,多面的,論争的に吟味・総括し,記録すること.
(ロ) 制度の実施という状況のなかで独法化にどう立ち向かい,学問の自由と大学の自治を守り,あるいはどう築いていくかを討論すること.また,この制度は公立大学をも飲み込もうとし,さらに私大も,政府が認める評価機関による評価が義務付けられた.このような政府・官僚主導の激変のなかで,大学関係者と市民による高等教育の自律的な改善の可能性について考えること.

52名*の参加者の過半数は国立大学の教職員,学生であるが,国会議員2名,議員秘書1名,韓国教授労働組合2名,国立大学長,元学長各1名,私大・公立大から8名など,多様な人々が集まった.また,日本の大学問題についての本を書いたアメリカ人研究者,山内恵子衆議院議員,それに全大教からメッセージが寄せられた.

午前,午後,合計6時間にわたって多様な報告と熱心な討論がなされた.

まず,主催者団体などによる運動の総括が5人から述べられた.冒頭,全国ネットの豊島は,法案阻止運動がなぜ敗北したかについて,この問題が憲法と教育基本法に反するものであるとの認識が大学関係者にほとんどなかったことなど,5点にわたって分析した.

首都圏ネットの小沢は,「論点集」を作って議員に質問の材料を提供するなど,終盤での国会ロビー活動について説明した.また,かなりの程度まで成功した,メディアにこの問題を取り上げさせるための努力について述べた.

次いで「アピールの会」の池内は,大学内に限られている運動を,多くの著名人の賛同意見などを使って一般に広げていったことを,「意見広告の会」の野村は,最終版での世論形成に重要な効果を上げた意見広告運動について説明した.

千葉大学の独法化問題情報センターの安田氏は,ネット上で飛び交う情報があまりにも大量なため,教職員がむしろ情報不足に陥っている状況を改善するために,重要な情報を選び出して提供する活動について説明した.これは同大学でいくつか出された教授会などの意見表明のベースを与えたのだと思われた.

共産党参議院議員の林紀子氏は,参院審議において,「労働安全衛生法」の問題での追及などを説明した.さらに,教育基本法改悪問題が今度の国会で重大な局面を迎えるだろうと述べた.

社民党の山内恵子衆議院議員秘書の広瀬氏は,国会議員と大学関係者の間の認識の壁の問題について意見を述べ,また議員のメッセージを紹介した.

鹿児島大学大学の前学長,田中弘允氏は,2000年頃の国大協内部の状況や,そこでの独立行政法人化に対する自らの批判活動について述べた.関連して現職学長である宇都宮大学の田原博人氏が発言したが,国大協の会議の雰囲気がどのようなものかを十分想像させるものであった.

続いて,「改革」と称する行政による強権的介入と,それによるリストラが目論まれている横浜市大,東京都立大の深刻な状況が,両大学の同僚から説明された.教授会無視や秘密主義は両者に共通する特徴のように思われる.

韓国教授労働組合副委員長の朴巨用 (パク・コヨン) 氏は,「軍事政権の山を越えたら新自由主義の川が待っていた」との表現で,政府が導入を目論む「国立大学運営に関する特別法」について批判的に紹介した.これは大学の民主主義と自治を無視し,授業料の値上げを招くなど重大な問題を含むとのことである.

アレゼール日本の岡山茂氏は,フランスの大学改革について説明した.予算の費目自由化や「中期目標」など,日本の「法人化」と見かけ上似たところもあるが,しかしフランスでは政府と大学との「対等な契約」とされており,「目標」も日本のように政府が定めるものではない.

教育法が専門の成嶋隆氏は,「法人法」が教育基本法10条(教育への不当な支配の排除)に違反するものであることを,限られた時間ながら詳細に論じた.10条のみならず,6条2項(教員の身分保障),3条1項(機会均等)にも反する疑いがある.

フロアからは,工学院大学の蔵原氏が,国立大学法人制度における「法人」と「大学」の事実上の一体化は,従来の学校法人制度と全く異質であると指摘した.異常に強力な学長権限と相俟って,大学制度全体に重大な悪影響を及ぼす恐れがあると述べた.

時間の都合で最後のセッションで発言した民主党参議院議員の櫻井充氏は,この問題で国民世論を喚起できなかったから敗北したのであり,それは大学側からのわかりやすい説明が不十分であったためだと述べた.また,今後,制度運用における対応のありかたなどについて述べた.

討論の時間は不足し,これからの運動の展開についての具体的方針が打ち出されるまでには至らなかったが,参加者一同,この制度の重大な問題性を再認識し,また国際的な視野でこの問題をとらえることができた.教育基本法改悪反対運動との連携の重要性も認識され,教育の自由,大学の自由を回復し発展させる運動のためのより総合的な認識が共有されたと思われる.

今回のシンポジウムで得られた知識と理解,そして人々の新しいネットワークが,大学という文化の創造において,大いに力を発揮すること期待したい.

なお,いくつかのレジュメ,メッセージは全国ネットホームページで公開している.また,シンポジウムの全内容は,近日中に出来るだけ詳細に公表する予定である.

*受付の名簿による.

840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部  豊島耕一
toyo@cc.saga-u.ac.jp
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp

2003年09月25日

東京都立大学人文学部抗議声明 2003.9.25

抗 議 声 明

 本年8月1日、東京都はそれまでの新大学計画を突然覆し、新た
な基本構想を一方的に発表した。それ以降の新大学設立準備過程に
おいても、大学側の公式の関与をいっさい排除し、2005年4月
の開設を目途に強引に検討を進めている。新大学設置をめぐるこの
ような都の手続は、設置者権限を大きく逸脱し、憲法、教育関連法
規およびその他の諸法規に抵触する恐れが大きいと判断される。我々
はこれを深く懸念し、以下の6点について東京都に抗議するととも
に、広く社会に訴える。

1.東京都が、東京都大学改革大綱に基づき都立の4大学との緊密
な協議を経てほぼ完成を迎えていた前計画を、事前に何の説明もな
く、また日程上の無理を承知で一方的に破棄したこと。

2.これに代わって発表された基本構想の策定が、非公表の外部委
員会に委ねられ、大学はいうまでもなく都民、都議会にもまったく
知らされぬまま、秘密裏に行われたこと。また、上記計画破棄の理
由とこの新構想の必要性について合理的な説明を行わず、大学側の
質問にも答えていないこと。

3.教学面での計画実現に向けた準備委員会から、都立大学総長を
排除し、個人として委員を委嘱された大学教員も、予め基本構想に
積極的に賛同するという前提のもと、しかも厳重な守秘義務を課し
たうえで初めて参加を認めるという異常な体制を敷いたこと。

4.人文学部の教員定数に関しては、すでに前計画においてもかな
りの削減が予定されていたが、新構想においては、さらに大きな定
数削減が迫られていると聞く。このような極端な定数減は、現行の
多くの学科・専攻の維持を危うくするのみならず、過員教員の大学
院担当の有無も不明であり、在学生、特に院生に対する教育・指導
体制の長期継続が不可能になる恐れが大きいこと。また、すでに学
生・院生の間には、学習権が十全に保障されないのではないかとい
う不安と動揺が広がり始めているが、これに対し都が十分な説明責
任を果たしていないこと。

5.人文学部専攻の多くが全学の基礎教育に果たす大きな役割から
見て、提示された条件では新大学の基礎教育は極めて貧弱なものと
ならざるを得ないが、この疑念に対しあえて明らかな回答を示そう
としないこと。また、外国語を必修化しない今回の構想は、大学教
育本来のあり方からして容認できないとともに、基本理念としてう
たわれた国際化、教養重視などとも大きく矛盾すること。

6.我々は、学部・大学院を通じ、教育・研究組織としての現人文
学部の社会的評価は十分に高いと自負している。しかるに、今回の
計画に従う限り、各専攻において積み上げられてきた教育・研究の
蓄積の多くが途絶し、日本の人文系学術研究拠点のひとつが失われ
る恐れが大きいこと。

      2003年9月25日    東京都立大学人文学部

2003年09月21日

9/28「都立4大学の廃止に関する緊急シンポジウム」

「都立4大学廃止に関する緊急公開シンポジウム」実行委員会 主催

2003年9月28日(日曜日) 午後2時−5時
場所 東京都立大学教養棟 120番教室京王線南大沢駅徒歩5分

宣伝用チラシ(pdf)

都立大学は東京都にとってもう必要がないのか?

 今年の8月以降、都立の大学「改革」をめぐる動きが変わってきました。2005年4月から、都立の4大学が統廃合されることはすでにマスコミ報道されてきましたが、ここにきて、都庁にある大学管理本部の本部長が入れかえられ、これまで準備してきた新大学構想がご破算にされました。そして、まったく異なったプランが突如8月に発表され、新大学概要が10月には発表されるとのことです。

 いったい、8月以降、都庁の大学管理本部では、どんな議論がなされているのか。これまでの都立の大学は、都民にとってほんとうに必要のなくなった大学なのか。「新しいタイプの大学」とは、何がどのように新しくて、それが都民にとって、どのように望ましい大学なのか。当事者である都立大学関係者は、この事態をどう受けとめ、どのように「あらたな大学づくり」を進めていこうとしているのか。

 都立の4大学のあり方について、関心をもつ多くの方々とともに、閉ざされたものではない開かれた公論の場で、都立の大学のあり方について議論していく場が求められています。

 都立の大学、そして、東京都の教育に関心を持つ、多くの方に、緊急公開シンポジウムへの参加をお待ちしています。 

● 都立4大学改革の予想される今後のスケジュール

2003年8月 新大学の構想発表
     新大学設立本部の設置
     学長予定者決定、理事長予定者決定
     名称公募・決定
    10月 新大学説明会で概要公表
     教員採用・公募、授業科目決定
    11月 学部長予定者決定
     文部科学省との事前折衝
2004年4月 設置認可申請
     開学準備、法人設立準備
    7月 設置認可

(東京都立大学・短期大学教職員組合『手から手へ』第2203号に掲載)※ より詳しい現状については、2003年
9月9日都立大学の統廃合をめぐる危機の現状
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/siryousyu_030909kikinogenjyou.htm
がわかりやすい。PDF版は
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/images/siryou_toritu4daigakunokiki.pdf

■ 報告内容 ■
(1) 都立の大学「改革」で、今何が起こっているのか 
  大串隆吉氏(公立大学教職員組合協議会副委員長) 
  乾 彰夫氏(都立大学・短期大学教職員組合副委員長)
(2) 都立大の教員から  高山宏氏(英文学)ほか
※ 指定討論には、都内各層からの発言を予定しています。

■ 日時と場所 ■
○ 2003年9月28日(日曜日) 午後2時−5時
○ 場所 東京都立大学教養棟 120番教室 >> 詳しくは以下をご参照ください。
http://www.metro-u.ac.jp/campusmap/campusmap-1.htm
○ 京王線南大沢駅徒歩5分 >> 詳しくは以下をご覧ください。
http://www.metro-u.ac.jp/access.htm

■ 資料代 1000円 (学生・院生については500円)

■ 主 催 ■「都立4大学廃止に関する緊急公開シンポジウム」実行委員会
■ 呼びかけ人 ■池上洋通(自治体問題研究所)、上原公子(国立市長)
坂元忠芳(東京都立大学名誉教授)、林量俶(埼玉大学)
【賛 同 者】
新井秀明(横浜国立大学)、荒井文昭(東京都立大学)、大石美夏(東京都立大学人文学部卒業生)、小澤浩明(中京大学)、小澤正和(東京都立大学人文学部卒業生)、加藤道子、小島喜孝(東京農工大学)、児美川 孝一郎(法政大学)、佐藤隆(都留文科大学)、佐藤広美(東京家政学院大学)、佐貫浩 (法政大学)、関口昌秀(神奈川大学)、富田充保(札幌学院大学)、長谷川裕(琉球大学)、平塚眞樹(法政大学)、廣田健(民主教育研究所)、増田正人(法政大学)、吉田傑俊(法政大学)

一人でも多くの方々に、このシンポジウムのことを、お知らせくださって、ご一緒にご参加をお願いします。

サイト紹介:石原都政の下での都立大学改革を考えるホームページ

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/

2003年09月08日

メールマガジン:サイコム・ニュース創刊号

登録と解除:http://www.mag2.com/m/0000116394.htm
創刊号

Posted by tjst at 09月08日
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