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国立大学独立行政法人化の諸問題: 国立大学法人制度の欠陥


8/28 櫻井充議員:質問主意書国立大学法人制度の欠陥
2/06 国立大学法人データベースサイト国立大学法人制度の欠陥
1/18 国立大学法人法凍結を求める首都圏ネットの国会要請行動国立大学法人制度の欠陥
12/27 法人化に賛成した国立大学長への謝罪と損害賠償の要求意見広告の会ニュース , 学長の権限 , 国立大学法人制度の欠陥 , 大学財政
12/19  国立大学長懇談会12/18の概要(速報)国立大学法人制度の欠陥
12/19 国立大学法人運営費交付金削減問題の結論は1月に学費値上げ・格差 , 国立大学法人制度の欠陥 , 大学政策
12/15 「脳内リベラル」への退化国立大学法人制度の欠陥
12/12 新首都圏ネット速報: 国大協臨時総会の議論について国立大学法人制度の欠陥
12/11 国大協臨時総会「学長返上要望書」採択国立大学法人制度の欠陥
11/30 教授会自治の復活と法人化へ向けての課題(名工大)学長の権限 , 国立大学法人制度の欠陥 , 大学の自治 , 大学内行政 , 法人化準備
11/14 首都圏ネットワーク声明:国立大学関係予算の削減計画について国立大学法人制度の欠陥
11/12 国大協総会と運営費交付金問題国立大学法人制度の欠陥
10/18 「中期計画は無駄」国立大学法人制度の欠陥
10/10 民主党櫻井充議員提出:国立大学法人化に関する質問主意書10/7国立大学法人制度の欠陥
10/01 強まる「文科省支配」 国立大法人法、1日施行 大学側に危機感  国立大学法人制度の欠陥
9/29 シンポジウム「大学界の真の改革を求めて」報道発表研究者から社会へ , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学の自治
9/25 国立大学法人法の読み方−ー教育研究組織体としての国立大学へ国立大学法人制度の欠陥
9/24  蔵原清人「国立大学法人と学校法人の比較検討」学校法人制度改革 , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学財政 , 大学内行政
9/19 羽田貴史「国立大学法人法の読み方」国立大学法人制度の欠陥
9/14 文藝春秋10月号:櫻井よしこ「 遠山文科相「国立大支配」の責を問う」国立大学法人制度の欠陥
9/06 自民党行政改革推進本部が廃止を宣告した独法は廃止されるのか?メディアの情報操作 , 国立大学法人制度の欠陥
9/05 石原行政改革担当大臣9/2「外部委託の比率が高い法人の存在は見直す」国立大学法人制度の欠陥
8/20 「国立大法人化 文科省支配を断ち切れ」国立大学法人制度の欠陥
8/20 国立大学法人制度下の使命国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学の使命 , 大学の自治 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
8/16 総務省が勧告強化 法人化後の国立大学も対象に学長の権限 , 国立大学法人制度の欠陥 , 大学の自治 , 大学政策 , 大学評価
8/12 櫻井よしこ氏の国立大学法人法批判国立大学法人制度の欠陥
8/04 8/1 閣議決定「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・国立大学法人制度の欠陥 , 大学政策 , 大学評価
8/02 藤田正一(北大前副学長)「「総長メッセージ」を読む」学長の権限 , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学の自治 , 大学内行政
7/27 櫻井よし子: 国立大学を潰す「遠山」文科省国会審議の形骸化 , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法

2004年08月28日

櫻井充議員:質問主意書

櫻井充参議院議員提出:国立大学法人化後の問題点に関する質問主意書
答弁書8/27は参議院サイトには未掲載。「質問1」への答弁に

国立大学の法人化は、自律的な環境の下で国立大学をより活性化し、優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む個性豊かな魅力ある国立大学を育てることなどをねらいとするものであるところ、国立大学法人への運営費交付金においても、一定の経営改善努力を求めることは必要なことと考えている。・・・・・

前文と後文をこのように結ぶ接続詞「ところ」の使いかたを練習してみた:「日本政府は国際平和を武力によらず実現する特異な使命を帯びて努力を重ねているところ、自衛隊を海外に派遣し武力で平和を維持することも必要なことと考えている」。約束と行為の齟齬を一つの文に同居させる便利な言葉である。


質問主意書 質問第一五号

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

平成十六年八月五日

櫻  井   充   

参議院議長 扇   千  景 殿

国立大学法人化後の問題点に関する質問主意書

今年度から国立大学は国の一機関から「国立大学法人」という独立した組織に変わった。大学とその各部局独自の方策をとることが容易になるなど、法人化によって改善された面はあったものの、法人化によって失ったことも大きい。大学における教育研究は日本の国力の源泉であり、これをおろそかにするような制度であってはならない。

このような観点から、以下質問する。


一 運営費交付金への効率化係数への適用について

1 国立大学法人の予算は、独立行政法人通則法による一般の独立行政法人と同様に運営費交付金等が削減されるようになっている。すなわち、毎年一%の効率化係数を乗じて、年々、研究費などが減少していくこととなる。このようなことは、国立大学法人法制定の経緯・趣旨及び同法案の国会の委員会における附帯決議などに照らして、不当と言えるものであり、大学の活力をそぐものではないか。

2 設置基準上必要とされる専任教員の給与費相当額等を対象外にするなど配慮が見られるが、十分とはいえない。国立大学協会も訴えていたことであるが、運営費交付金を義務的経費として効率化係数を適用しないようにすべきではないのか。

二 教育研究経費の実質減について

法人化によって大学の運営の在り方が大きく変わり、大学運営のコストは上昇している。例えば、訴訟に係ることが国としての対応から大学独自の対応となり、そのため各大学は保険をかけるなどして対応している。一方で大学全体の予算はむしろ減少傾向にあり、実質的に教育研究の経費が減少している。このことをどう考えているか。

また、各大学の努力に応じ増額できる仕組みとして「特別教育研究経費」の制度があるが、どの程度改善されるのかが疑問である。国立大学法人を予算面から充分に支援できる制度設計をどう考えているのか示されたい。

三 大学への評価について

大学への評価については、大学側が作成する中期計画に数値等が盛り込まれ、その達成度を国立大学法人評価委員会が評価し、さらに総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が意見を述べることとなっている。その他にも様々な組織が違う視点から評価するが、評価の視点が大学側からは必ずしも明確でないと思われる。特に、数値目標が立てにくい基礎的な研究や長期的な研究についての評価基準が明示されておらず、研究現場の懸念を招いていることをどのように考えるか。

四 教員の負担増について

中期計画の作成や様々な評価への対応などの大学運営に費やす時間が増えたことにより、教員が教育研究を行う時間が減っているが、これについてどのように考えるか。また、定員削減のために職員が削減された影響もあり、法人化後は教員の教育研究以外の負担は増える一方にもかかわらず、裁量労働制の導入で勤務時間の増加などが考慮されていない。法人化により職員の負担も増えており、教員を支援する職員の増員を図るなど、何か解決策は考えているのか。

五 時間外労働の賃金不払いについて

平成十六年七月十三日、広島大学教職員組合が、同大学に時間外労働の賃金不払いがあるなどとして、広島労働基準監督署に立ち入り調査を求める告発をしている。運営費交付金の減額により、今後、時間外労働の賃金不払いがより懸念される。四月二十二日の参議院文教科学委員会では、大学内の問題として答弁しているが、そもそも業務量を増やしたのは政府であるのに、なぜ政府が責任を持って手当てをしないのか。予算措置を含めた制度的な改善策が必要ではないのか。

六 実態の把握及び施策への反映について

以上に述べた理由により大学全体の力が落ちているとの意見があるが、国立大学法人化後の大学の実態はどれくらい把握しているのか。また、今後、アンケート等による実態の把握及びその施策への反映はどのように行うつもりか。

右質問する。

2004年02月06日

国立大学法人データベースサイト

[he-forum 6641] 国立大学法人 就業規則・管理運営規則等 データベース
Date: Thu, 5 Feb 2004 00:07:13 +0900
From: 「国立大学法人法」に反対する大学教職員交流連絡会事務局HP担当
http://www.h6.dion.ne.jp/~uni-uni/

・・・・・・交流連絡会事務局では、独法化後の国立大学や共同利用機関などで働く方々の労働条件の維持・改善と、研究・教育条件の向上のための運動に資することを願って、各大学の就業規則や管理運営規則などの各種規則の案、およびその分析、運動の状況と成果についての情報集約・分析をしてきました。

このたび、さらなる情報の交換と運動の発展をめざして、上の成果を交流連絡会未加盟の個人・団体にも広く開放することになりました。下記URLをご覧ください。http://www.h6.dion.ne.jp/~uni-uni/

掲載されている大学数・文書数ともまだまだ少なく、とりくみの事例については集約・公開に至っていない状況ですが、本フォーラムでも徐々に交流されつつある就業規則案をめぐるとりくみと成果を掲示し、交流を図れるものへ発展させる予定です。

ぜひ、本件へのご意見、サイトをご覧になってのご意見やご要望、就業規則案をめぐる皆様方の大学でのとりくみやその成果、説明会等における当局の言質類を、uni-uni@r4.dion.ne.jpまでお寄せいただければさいわいに存じます。

2004年01月18日

国立大学法人法凍結を求める首都圏ネットの国会要請行動

[he-forum 2004.1.17] 首都圏ネット:国立大学法人法凍結の国会要請行動
Date: Sat, 17 Jan 2004 22:36:10 +0900

・・・・・私達は、法成立の前提が崩壊し、さらに準備が出来ない以上、国立大学法人法制を構成する「整備法」附則第1条を当面凍結し、4月1日の国立大学法人移行を延期することが必要であると考える。その上で、国立大学法人法制全体について国会で徹底的に再検討を行うことが事態打開の最善の道である。・・・・・

詳細

国立大学法人4月移行の凍結を求めて、国会要請
2004年1月17日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

○国立大学法人法案は、与党の強行採決によって昨年の通常国会会期末ぎりぎりに成立し、昨年10月1日施行された。しかし、施行後、国会審議の過程で鋭く指摘された問題点が次々と現実化し、運営費交付金等の問題で国立大学法人法成立の前提さえ崩壊する状況となっている。こうした事態は、政府、文科省、財務省等行政府が国会における審議経過、政府側答弁、衆参両院における附帯決議等をことごとく無視したために生じたものであり、国権の最高機関である国会としては、絶対に容認できるものではないはずである。

○国立大学協会が昨年12月11日臨時総会を開催し、このまま事態が推移するならば各学長は初代学長の指名を返上せざるを得ないとの決意を表明するという異例の事態になっている。そして、1月10日の日本経済新聞が報道したように、国大協会長である佐々木東大総長が「四月を期してスムーズに法人化が行えるという見通しを持つ学長たちがどの程度いるのか、心もとない限りである。」と認めざるを得ない状況なのである。私達は、法成立の前提が崩壊し、さらに準備が出来ない以上、国立大学法人法制を構成する「整備法」附則第1条を当面凍結し、4月1日の国立大学法人移行を延期することが必要であると考える。その上で、国立大学法人法制全体について国会で徹底的に再検討を行うことが事態打開の最善の道である。

○国立大学法人法反対首都圏ネットワークは、16日、国会各会派の文部科学関係委員に対して、来る19日からの通常国会において国立大学法人移行凍結のために尽力するよう申し入れ活動を行った。以下に、要請活動に際して持参したメモランダム(一部修正)を示す。各方面での議論の参考になれば幸いである。

国立大学法人移行凍結についてのメモランダム

2004年1月16日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

1.凍結の根拠

 法案成立の前提となっていた下記の3条件が崩壊しようとしている現在、立法府としては、行政府が法成立の前提となっていた事項を実現するまで法を凍結すべきである。

(1)運営費交付金

【法成立時】運営費交付金は国の義務的経費とされ、通常の交付金と同様の収支差額補填方式で算出することとなっていた。

【現在】運営費交付金は総額決定方式に変更され、効率化・経営係数等導入によって逓減される算定ルールに切り替えられようとしている。また、裁量的経費への移行が企図されている。

【解説】運営費交付金が国の義務的経費であることを示す根拠として、以下のような主張がなされていた。

・「国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(整備法)第3条によって学校教育法第2条第1項が改正され、国立大学法人を国と同義のものと位置づけている。従って、国立大学の設置者は国とみなされる。

・学校教育法第5条は経費の設置者義務を明記しており、国立大学に必要な経費の準備は国の義務というこれまでの仕組みはかわらない。
これは、遠山文部科学大臣(当時)の答弁「法人化後も国として必要な財源措置を行うことといたしておりまして、国を設置者とすると提言することによって法人化後も国立大学に対する国の責任を明示しようとした検討会議の最終報告の趣旨は実現されているものと考えております。」(2003年6月26日参議院文教科学委員会)によって確認されています。また、松田総務省行政管理局長の答弁「国が設立する法人、かつ財源措置が国によって義務づけられている、そういう法人でございます」(同前)でも国の義務が明示されている。

【資料】
◎国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)
第3条 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

第2条第1項中「国」の下に「(国立大学法人法第2条第1項に規定する国立大学法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む。以下同じ。)」を加える。
◎学校教育法
第5条 学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。

(2)中期目標・中期計画

【法成立時】中期目標・中期計画の作成主体が大学であることが確認されており(衆議院附帯決議第4項、同参議院第5項)、大学の自主性確保については、国会審議においてくりかえし政府側がそれを保証する旨答弁したところである。

【現在】2003年12月18日開催の国立大学法人評価委員会第2回総会(www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/001/03121901/002.htm)によって「達成状況を示すための指標(数値指標を含む)」の設定が部局ごとにも求められる事態になっている。このような修正要求を文部科学大臣が認め、各大学に指示する事態となれば、国会答弁ならびに附帯決議に明瞭に反する。

(3)適法的移行

【法成立時】文部科学省は04年4月1日までにはすべて準備が整い、適法的に移行できると答弁している。

【現在】労働基準法に基づく就業規則(関連規程を含む)と労使協定、労働安全衛生法に基づく労働環境整備など法人移行に必要な法定事項について3月31日までに準備が完了する目途はほとんど全ての大学で立っていない。また、法人化後における管理運営・財務会計の設計など、法人の基本的骨格に関することがらについて、ほとんどすべての大学で学内議論がようやく始まったに過ぎない。このような現状は、「万事にわたって膨大な史上最大の仕組みの見直し作業を大学に求める一方で、制度の確定に必要なルールの実質的な決定が遅れ、時間面でのリソースが絶望的にひっ迫していることにある。(中略)総じて、学生を含めると数十万人に上る関係者がいるこの膨大な改革を行うにしては移行過程全体の責任体制は非常にぜい弱であり、それこそ薄氷を踏む思いであると言わざるを得ない。四月を期してスムーズに法人化が行えるという見通しを持つ学長たちがどの程度いるのか、心もとない限りである。」(日本経済新聞1月10日)という佐々木東大総長の言葉に端的にあらわれている。

2.凍結の必要性

(1)上記の前提条件1が崩壊したまま、国立大学法人へ移行し、かつ国立学校特別会計システムが廃止されるならば、国立大学の財政は破綻する。

(2)前提条件2が無視されたまま、中期目標・中期計画の策定がなされるならば、大学の自主性が無視され、法人法精神ならびに附帯決議に背反する事態が生じる。

(3)現状では、労働基準法、労働安全衛生法等に規定される諸条件が04年4月1日までに整備される状況ではない。

3.凍結すべき条項

上記のことから、本年4月1日に国立大学が国立大学法人へ移行することを当面凍結することが最も適切な措置であると考えられる。4月1日移行は国立大学法人法には規定されておらず、「国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」附則第1条によっている。従って、同条を国会による議決があるまで凍結するという最小限の措置によって、最悪の事態を回避することが可能となる。

【資料】
◎国立大学法人法
第3条
別表第1に規定する国立大学法人及び別表第2に規定する大学共同利用機関法人は、準用通則法第17条の規定にかかわらず、整備法第2条の規定の施行の時に成立する。
2  前項の規定により成立した国立大学法人等は、準用通則法第十六条の規定にかかわらず、国立大学法人等の成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。

◎国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)
第2条 次に掲げる法律は、廃止する。
1 国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)
2 国立学校特別会計法(昭和三十九年法律第五十五号)
附則
第1条:この法律は、平成十六年四月一日から施行する。

4.凍結解除条件

凍結解除は法成立の前提条件確保が確認される時とする。具体的には、

(1)運営費交付金が国の義務的経費と位置づけられ、かつその算出にあたっては収支差額補填方式が採用されること

(2)中期目標・中期計画策定にあたって大学の自主性確保が確認されること

(3)労働基準法、労働安全衛生法等、国立大学法人に適用されるべき法律に照らして準備が可能であると判断されること

なお、国立学校特別会計は年度単位で執行されているので、凍結期間は最低1年となろう。

2003年12月27日

法人化に賛成した国立大学長への謝罪と損害賠償の要求

意見広告の会ニュース77より 山口大学事務職員50代係長 から法人化に賛成した国立大学長へのメッセージ

・・・・・学内外の反対を押し切り、賛成した学長として組織に対して謝罪と損害賠償を考えるべきです。

法人化に賛成した学長殿 
                                       
                   山口大学事務職員50代係長
 
数千人の意見広告の会や全大教や法人化反対の政党のいろいろの行動が国会での法人化法案に付帯決議を生みました。

微力ですが、私も意見の会に賛成しも数万円の広告費をカンパしました。全国の同志結集で全国紙に数回にわたり、数千万円の経費を掛けて意見を述べました。

付帯決議で、悪化の歯止めがつけられたかに見えましたが、財政面で政府与党・財務省の恒常的な予算削減計画は、財政の停滞状況に導き、大学が財源を集中したほんの一部の分野しか陽が当たらないこととなります。

今までの国立大学では毎年の定員削減計画により大変苦しんだ計画に匹敵する最悪の恒常的な予算削減計画です。

数大学の学長は、国大協で反対の意見を述べられ、危険であることの警鐘を鳴らし続けられたと報道されています。 

法人化に賛成した学長又は、意見を述べなかった学長は、直ちに行動を起こすべきです。現在要望書を提出したとしていますが、この計画が決定されたら、長期にわたり各大学に数億円以上のの減額が予定されていると報道されています。

民間会社なら社長の判断ミスで、組織に多大な損害を与えた場合は、辞職する例もあります。

これは、恒常的な予算削減計画を乗り切るために収入減を授業料等の大幅値あげでカバーするするしか方法がなく、国民に対して国立大学の良さを捨てたに責任もその学長にはあると思います。

この1月に恒常的な予算削減率計画が決定がされたら、学内外の反対を押し切り、賛成した学長として組織に対して謝罪と損害賠償を考えるべきです。

各大学は、恒常的な予算削減計画が決定されると、血のにじむような計画をこの4月から検討しなければなりません。

教職員は、定員削減計画で教職員が減り恒常的な長時間勤務となり体調を崩す教職員も増大しています。この悪夢を恒常的な予算削減計画が更に増幅させることは、間違いありません。

法人化に賛成した学長、及び了解を与えた学長は、行動するべきです。

2003年12月19日

国立大学長懇談会12/18の概要(速報)

国立大学長懇談会の概要について(速報)
2003年12月19日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

・・・・・こうした説明に対し、40分程度の質疑応答の時間が設けられた。そこでは、
○河村大臣の言う文科省本来の姿勢と遠藤局長の説明による文科省の現実の対応とは違っているのではないか、
○1か月遅らせていったい何が変わるのか、
という批判が出された。また、共同通信12月18日記事によれば、
○効率化で浮いた予算を教育研究の質向上につなげるのが法人化の趣旨なのに、吸い上げられては話にならない(電気通信大)、
○基礎研究が衰退する(横浜国立大)、
と係数の導入自体に反対の意見も出た。さらに、
○国が高等教育のグランドデザインをどうするのか、という問題を正面から提起すべきだ、
との意見も出されたと聞く。・・・・・

国立大学法人運営費交付金削減問題の結論は1月に

共同通信 12月18日(木)18時57分 結論は1月に先送り 国立大の予算削減問題

国立大学法人の運営費交付金を毎年2%削減(約200億円の削減ーー国立大学生数50万で割れば、毎年約4万円学費値上げ)する財務省の方針について、文科省が国立大学長を説得する会議だったが、結論は1月に延期。国立大学協会は12月12日の臨時総会 で、運営費交付金削減ルールに対しては「全国立大学長辞任」でもって抗議する趣旨の決意 を表明している。
 しかし、20年以上前から着実に進められている高等教育費受益者負担政策が続く限り、国立大学教職員が公務員であったために存在していた「法的歯止め」が非公務員化によって消滅した以上、運営費交付金削減、すなわち学費値上げ、が加速することは不可避である。それを阻止しようというのであれば、国民的支持があるとは思えない「高等教育費受益者負担政策」そのものを批判しなければならない。
 学費問題基礎文献:

塚田広人氏「市場経済システムと教育制度ー教育費負担原則、とくに高等教育と国立大学の授業料の負担方法をめぐってー」
1998/9,11山口経済学雑誌第46巻第5号、第6号(pp.19-43)(pp.65-98)

2003年12月15日

「脳内リベラル」への退化

豊島耕一氏「脳内リベラル」への退化 週刊金曜日2003.12.12掲載 抜粋

・・・・・それどころか、この文書(「中期目標・中期計画」)作成の過程にまで文科省が介入した疑いが濃厚である。

 すなわち、逆に大学が「あらかじめ、文科省の意見を聴き、当該意見に配慮」したと思われる。その結果、多くの大学の文書に見られるのは、学長の権限拡大や産学共同偏重など、文科省に気に入られそうな項目のオンパレードである。

 その一方で、大学のかかえる本当の問題点や、危険な兆候についての関心は無いに等しい。たとえば、学校教育法は教授会を「重要な事項を審議する」機関と定めているが、その権限を骨抜きにする事態が進行している。それへの警戒心はほとんど見られない。・・・・・

大学教員には自らをリベラルだと思っている人は多いだろうが、行動を避ける単なる「脳内リベラル」になっていないだろうか。

2003年12月12日

新首都圏ネット速報: 国大協臨時総会の議論について

独行法反対首都圏ネットワーク速報 国大協臨時総会の議論について 2003.12.12

・・・・・ 臨時総会では、理事会の要望書を全会一致で採択した(共同通信速報)。また、2005年度以降の問題をいま決めるべきではない、時間をかける必要がある、といった意見や、原則的な立場を貫いて文科省・財務省に訴えるべきである、といった意見が出され、今後の対応については国大協執行部に一任することが決定されたと言われる。 
・・・・・
12月20日には、財務省の原案が決定され、12月24日には閣議決定が行われる予定である。運営費交付金の問題は重大な局面を迎えている。国大協がいかなる具体的行動を起こすのか、注視されたい。

2003年12月11日

国大協臨時総会「学長返上要望書」採択

共同通信ニュース速報[2003-12-11-19:10]によると、本日(2003.12.11)国大協臨時総会が開かれ、理事会が8日に文科省に提出した抗議書 を全会一致で採択したそうだ。しかし、財政上は国立大学法人と独立行政法人との違いはないという見解は2年前から財務省が公式に表明 していることであり、それは多くの人が何度も警告してきたことである。法人化の機会を逸しまいという人たちが国大協を操縦して国会の審議中にはその点には故意に触れないようにしてきたのであろう。文科省に対し「約束が違う」というような類のことを言うべきときではなく、まもなく「独立した法人」となるのであるなら、日本社会に向けてコクリツ大学だけではなく日本の大学全体への支援を要請すべきであろう。

2003年11月30日

教授会自治の復活と法人化へ向けての課題(名工大)

名古屋工業大学 職組ニュース 号外13 2003年11月28日発行

教授会自治の復活と法人化へ向けての課題

名古屋工業大学職員組合 執行委員会

11月26日開催の教授会において、7月9日付けの学長声明は国立大学法人法成立に際しての附帯決議を踏まえていないので7月14日の教授会決定は取り消す旨の動議が、表決により、賛成122、反対68、保留10、無効0で可決された。この結果、柳田学長は辞意を表明し、議事半ばで教授会を退席した。

 本学が法人化に向けて乗り越えるべき課題の山積みされている時期に、学長の辞任という事態を迎えたことは極めて遺憾である。しかし、7月14日以降の法人化準備過程に照らしてみると、本学は、法人体制への移行という決定的瞬間に、構成員自らが直接に学長を選ぶことのできる最後の機会に遭遇し、その将来を自己決定できる幸運にめぐまれたとも言い得る。・・・・・

 本学が当面する課題は、大きくは二つある。第一は、学長選挙を公明正大に行い、このことを通して名工大の将来像を教職員が共有することである。第二は、学長選挙と並行して、法人化の準備作業を進めることである。この法人化の準備作業は、この間の学長専断体制に対する反省を踏まえれば、学長指名の委員ではなく、教授会において選出された委員から構成される各種委員会によって原案が作成され、教授会で議決する手続きが踏まれるべきであろう。

 国立大学法人体制は、経営組織と教育研究組織の分離を特徴としている。そして、独立行政法人の組織原理の機械的適用は、教育研究組織に対する経営組織の優位に結果する。しかし、正にこの点が国会審議で問われたところであり、大学の特殊性として教育研究組織を優位に置くことが附帯決議によって求められたものと言える。その保障は一重に、法人設計を現在の大学が自主的に行い得るところにある。臨時執行部と教授会には、この自覚の下に、必要なあらゆる手立てを講ずることが期待される。・・・・・

2003年11月14日

首都圏ネットワーク声明:国立大学関係予算の削減計画について

独行法反対首都圏ネットワーク声明:国立大学関係予算の削減計画について 2003.11.13

・・・・・総会では、「学内の反対意見を抑えてきたのに、こんなことなら法人化反対と言いたいぐらいだ」(東京外国語大)、「予算が減るとは考えていなかった」(岩手大)、「ほかの独立法人とは違う前提だったはず」(名古屋大)、「学術が軽視されている」(横浜国立大)と反発が続いたという(共同通信11月12日配信記事)。また、「法人化を受け入れたとき、このような事態は予想されたはずだ」という批判的発言をする学長もいたと聞く。・・・・・

驚いたと言う学長がいたことには驚いたが、文科省も国大協幹部も 予測していたことだ。

2003年11月12日

国大協総会と運営費交付金問題

[he-forum 6369] より

首都圏ネット事務局です。

11月12日の国立大学協会総会に関連し、重要な情報を入手しましたので、お知らせいたします。

一、国立大学協会総会は、11月12日10時より、オリンピック記念青少年センター(代々木)国際会議室で開催される。また、同日15時30分より、国立大学長等会議が開催される。

二、国大協総会においては、資料1(『日本経済新聞』11月11日付朝刊)のとおり、運営費交付金に関わる極めて重大な問題が議題となる予定である。

三、これに関連して、資料2のように、すでに11月4日に国立大学協会佐々木毅会長から各国立大学長にあてて問題点を指摘する文書が配布されている。

四、われわれは、国立大学法人法に関する議論の中で、運営費交付金に関する財務省の論理を指摘するとともに、文部科学省の対応と説明の問題点を批判してきた。このたびの財務省の方針は、資料3に掲げた衆参両議院の附帯決議にも反するものであり、国立大学の今後のあり方にも重大な影響を及ぼすものである。

五、われわれは、国立大学協会が、このような財務省の論理に対し、毅然とした反対の立場を表明することを求めるとともに、文部科学省がいかなる立場を取るのか、批判的に注視したい。

六、なお、日本経済新聞の報道の末尾では、運営費交付金に関して2004年度予算のみが保証されているかのような記述が見られる。これは附帯決議の趣旨と合致しないものであることを付言しておく。

資料1;日経記事より:国立大学予算 総額抑制へ財務省打診 文科省判断で配分
資料2;国立大学協会会長から国立大学長へ
資料3:衆議院附帯決議(2003年5月16日)
    参議院附帯決議(2003年7月9日)


資料1

国立大学予算 総額抑制へ財務省打診 文科省判断で配分

 来年四月に法人化する国立大学に対する予算の配分方法について、文部科学省の裁量に委ねる方法に変更し、大学予算の総額を抑制する方式の検討が行なわれていることが十日明らかになった。これまで制度や法律で定められていた国立大の予算配分システムを見直すもので、財務省が文科省に打診している。十二日の国立大学協会の総会でこの方針が説明される予定だが、学長らの反発などで総会の混乱も予想される。

大学側は反発も

 国立大学を中心とする国立学校の歳入は二〇〇三年度予算で約二兆八千億円。このうち授業料収入や付属病院収入、産学連携等収入など自己収入は四五・六%で、のこる五四・四%は国の一般会計からの繰り入れに依存している。

 この繰入金は、人件費など必要不可欠な経費に充てられる「義務的経費」と呼ばれ、使途は限定された上、制度や法律を変更しないと金額を変えられない。文科省によると、国立大は繰入金の九割以上を人件費に充当しているという。

 財務省は大学が法人化後、繰入金が独立法人への「運営費交付金」へ切り替わることに伴って、交付金を各省庁が政策的に配分できる「裁量的経費」へと予算の性格を変えるよう文科省側に打診した。

 裁量的経費は来年度政府予算では二%削減されるなど今後とも抑制傾向が見込まれることから、今後の国立大学予算の段階的縮小につながる可能性がある。

 財務省側は「大学より先に独立行政法人なった組織に配分している予算も同じ性格。国立大だけ特別扱いできない」(幹部)としたうえで、「文科省全体として歳出を二%カットすればいいわけで、国立大への予算を削減したくなければ、他の分野への予算をカットするなど、やり繰りすればいい」(同)と説明。

 これに対し、文科省側は「国立大の歳出は人件費の割合が非常に高く、他の独法とは同様に扱うべきではない」(幹部)と義務的経費としての性格を維持するよう要求している。

 国立大の関係者からは「法人化は国の行財政改革とは別の観点で議論されてきたはず。今になって政府からはしごを外された思いだ」などと憤りの声も聞かれるほか、交付金が裁量的経費となれば、予算減は避けられず、各国立大は現在作成中の期間六年の中期目標や中期計画の原案づくりの修正を余儀なくされる。

 国立大学法人法は運営費交付金について、〇三年度予算の実績を維持する旨の付帯決議をしており、〇四年度予算に大きな変化はないもよう。財務省側の方針が実際に反映されるのは〇五年度予算からとなる見通し。

資料2

各国立大学長殿    2003年11月4日

前略 国大協の活動については常日頃ご協力いただき、ありがたく存じております。

さて、10月31日の理事会においても取り上げられましたが、国立大学法人に対する運営費交付金をめぐっては目下われわれの気になる動きが目立ってきております。運営費交付金は「裁量的経費」であるから概算要求基準に従ってカットしようとか、他の独立行政法人にならって効率化係数を設定しようとか、われわれにとっては座視できない議論が関係者の間で行われているように聞いております。

会長、副会長は関係各所に赴き、国立大学法人の独自性や法案成立の経緯からしてこうした経費削減は受け入れられない旨を既に繰り返し述べております。しかし、一番重要なのは会員大学の御意志であり、それを外に見える形で率直に示していただくことが最も大事であると考えます。そうした場としては次回の総会しか機会がございません。次回の総会ではこの件につき、相当の時間を割く予定にしておりますので、この点何卒ご賢察の上ご出席下さいますよう、異例ながらお願い申し上げます。

草々

国立大学協会会長
佐々木 毅

資料3

衆議院附帯決議(2003年5月16日)

六 運営費交付金等の算定に当たっては、公正かつ透明性のある基準に従って行うとともに、法人化前の公費投入額を十分に確保し、必要な運営費交付金等を措置するよう努めること。また、学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、適正な金額とするよう努めること。

参議院附帯決議(2003年7月9日)

十二 運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性・透明性を確保するとともに、各法人の規模等その特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。

2003年10月18日

「中期計画は無駄」

渡邊氏の日記風雑記 より:Diary of 2003/10/15 より:週間現代10/25号「勝っているトップはここが違う」のう信越化学工業の金川社長のインタビューの紹介

・・・・・もうひとつ.「社外取り締まり役に任せるな」という節で,「日々現場で起こっていることを知らない社外の人間に,経営の方向など決められるわけががない.」という意見もあります.
大学も同じことでしょう.

2003年10月10日

民主党櫻井充議員提出:国立大学法人化に関する質問主意書10/7

質問第8号
 国立大学法人化に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十五年十月七日
櫻 井 充
参議院議長 倉 田 寛 之 殿
───────────────────────────────
 国会での審議の時間が十分に取られなかったことや、前回の質問
主意書の答弁 が不十分であるために、なお国立大学法人法の条文の
意図が不明なものや、条文間の整合性に問題がある場合が見受けら
れるので、質問を通し、明らかにしていきたい。以下質問する。

一 国立大学の通常の教育研究活動について
二 準用される独立行政法人通則法第三十四条について
三 国立大学法人の評価について
四 国立大学における労働問題について
五 本年九月二日付け国立大学法人化に関する質問に対する答弁書について
六 東京都立四大学の統廃合について
───────────────────────────────

http://ac-net.org/dgh/03/a07-sakurai.php

一  国立大学の通常の教育研究活動について

1  現在の国立大学で行われている通常の教育研究活動は、国立
大学法人の業務を規定する国立大学法人法第二十二条にある七項目
のいずれにも該当しない。通常の教育研究活動は、国立大学の業務
であって、国立大学法人の業務ではないと考えてよいか。

2  もし、国立大学で行われている通常の教育研究活動が、国立
大学の業務であって国立大学法人の業務でないならば、中期目標と
中期計画に通常の教育研究活動に係る内容は含まれないはずである。
しかし、本年七月下旬に各国立大学に対し、中期目標・中期計画に
記載すべき内容として文部科学省が指示したものは、国会審議で問
題となった昨年十二月の指示と実質的には同じものであり、国立大
学における通常の教育研究活動全体に係る詳細な内容が含まれてい
る。これでは、文部科学省は国立大学法人を介さずに直接国立大学
の業務を指示することにならないのか。また、国立大学と国立大学
法人とを別にすることにより国立大学が政府から直接管理されるこ
とを防止できる、という制度設計の意義が失なわれるのではないか。

3  もし、国立大学で行われているすべての教育研究活動が国立
大学法人の業務であるとすれば、国立大学と国立大学法人とを区別
したことには、国立大学に対する国の財政的負担が免除されたこと
以外にどのような意義があるのか。

二  準用される独立行政法人通則法第三十四条について

参議院文教科学委員会(本年七月八日)の審議において総務省の田
村政志政府参考人は、「勧告の対象となります国立大学法人の主要
な事務及び事業とは、・・・一般的には、中期目標、中期計画に記
載される主要な事務事業程度のものを想定しておりまして、これに
は大学本体や学部等の具体的な組織そのものは含まれないと考えて
おります。」、「総務省の評価委員会が勧告を行うに当たっては、
法案第三条の規定の趣旨を踏まえ、必要な資料等の提出等の依頼は
直接大学に対して行うのではなく、文部科学大臣に対して行うこと
とすることを検討中でございます。」と述べている。

 しかし、国立大学法人法の成立した翌日の七月十日付けの科学新
聞に、「・・・総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、各
府省が必要だと主張しても独自の判断基準で不必要とした場合には、
主務大臣に廃止勧告をする方向で検討していることが明らかになっ
た。個別事業の改廃のみならず、法人そのものについても廃止勧告
する。・・・法制度論上、来年四月に発足する国立大学法人も対象
となるため、業務の効率性のみで教育や研究を評価し、大学が廃止
される可能性もある。・・・ 同委員会は、各府省の独立行政法人
評価委員会による第一次的な判断を前提に二次的判断をするのでは
なく、各法人の年度評価と中期目標期間終了時の評価を独自に行い、
自ら直接判断する。また、勧告を行う際は、局所的な改廃を求める
のではなく、法人の主要な事務・事業を把握し、その具体的改廃措
置の検討を集中的・重点的に行い、法人ごと改廃を求める。中期目
標期間の終了時、通常であれば五年目に勧告を行い、二年以内には
勧告の内容を具体化するよう求める。・・・現在の法律では、来年
四月に発足する国立大学法人も同委員会の評価対象となる。同委員
会の視点で評価した場合、二十年後には国立大学法人自体が存在し
得なくなる可能性もある。・・・」との記事がある。

 この記事が事実であるならば、国立大学の設置のもととなる国立
大学法人が同委員会の主観のみでその存否が決まってしまい、学問
の自由が脅かされかねない。右国会答弁からすれば、総務省の政策
評価・独立行政法人評価委員会による独立行政法人評価の見直しは、
国立大学法人は適用外とすべきではないか。

三  国立大学法人の評価について

国立大学法人法が成立して以降、国立大学評価を自ら行う政府機関
が二つ増えた。

1  本年八月一日に閣議決定された「中期目標期間終了時におけ
る独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」においては
「主務大臣は、予算編成の過程において、審議会(総務省政策評価・
独立行政法人評価委員会)による勧告の方向性等の指摘の趣旨が最
大限いかされるように見直し内容を検討し、概算要求を行った見直
し案に対して所要の修正を加えた上、予算概算決定の時までに、行
政改革推進本部に説明し、その議を経た上で決定するものとする。
その際、行政改革推進本部は審議会の意見を聴かなければならな
い。」とあり、今まで、独立行政法人の改廃等について主務省と総
務省だけで最終的判断を下していたものに、行政改革推進本部が最
終的判断に直接関与できる形に変更することを政府は決定したが、
この「見直しについて」では国立大学法人もその対象になるのか。

2  また、本年八月十八日付けの日本経済新聞では、「国の総合
科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)は、来年四月に法人化する
国立大学の運営方法について、科学技術振興の観点から独自評価を
開始する。若手研究者の活用や任期制導入など研究開発の進め方な
どを評価し、公表する。国の研究費の三分の一が国立大に流れてお
り、科学技術政策を企画立案する立場からチェックする。国立大の
評価は、総合科技会議の評価専門調査会を中心に実施する見通し。
詳細は今後詰める。全大学を一律の尺度に照らして評価するのでは
なく、『ユニークな手法を取り入れる大学をプラス評価していきた
い』(総合科学技術会議の有識者議員)という意見が出ており、人
材の流動化につながる任期制導入や産学連携などが評価項目になり
そうだ。」とあるが、この内容は事実か。

3  以上の二つの新しい評価機関を加えると、国立大学法人を評
価する公的・準公的機関数が左記の六つとなる。

(1) 独立行政法人大学評価・学位授与機構

(2) 国立大学法人評価委員会(文部科学省)

(3) 政策評価・独立行政法人評価委員会(総務省)

(4) 行政改革推進本部

(5) 総合科学技術会議(内閣府)

(6) 経済産業省(三菱総研と河合塾に委託)

このように多数の政府機関が、資源配分に直結する国立大学評価を
行うことは、国立大学を評価で疲労困させるだけでなく、国立大学
における教育研究活動の自律性を著しく損ない、国立大学は短期間
に活性を失う懸念がある。特殊な科学技術政策の実現は競争的資金
を通してのみ行うべきであり、政府内部で複数の省庁が国立大学を
直接評価することは極力抑制し、総合的な評価のみに限定し、国立
大学の偏らない健全な発展を期すべきと思うがいかがか。

4  国立大学法人評価委員会は、国立大学からだけでなく、政府
からも十分独立しているという意味での「第三者性」を持つことが、
法人化後の国立大学が健全に発展するために不可欠と思われる。し
かし、内定した文部科学省の国立大学法人評価委員会令では、委員
の選任方法についての規定がなく、審議会委員の任命と同様に、事
務局の裁量に委ねられており、この委員会の文部科学省からの独立
性は低く、「第三者性」が乏しい。これは、政府からの独立度を増
すという国立大学法人法の趣旨と相いれないのではないか。

5  また、文部科学省が評価委員会の事務局となって実質的に評
価を行うことがないように、各評価委員に調査検討のための十分な
予算(人件費を含む)を配分し、独自の調査と検討を行い評価がで
きるようにすべきと思うが、そのような措置を行うつもりはあるか。

四 国立大学における労働問題について

1  標準教員数に基づいて標準運営費交付金に人件費が算定され
るため、国立大学の諸活動を実質的に支えている多数の非常勤職員
の人件費は特定運営費交付金によることになる。この特定運営費交
付金については、平成十七年度以降は効率化係数が掛かり、一定の
比率で毎年減額されることが予想される。しかし一方で、大学の職
員の大多数はいわゆる「サービス残業」を余儀なくされ、労働基準
法の下では違法状態にある。長年継続してきたこの矛盾について政
府が責任を取ることなく、国立大学法人の労使関係に国立大学職員
の人件費の問題の解決を委ねてしまうことは無責任ではないのか。

2  厚生労働省は、労働基準法の一部を改正して、裁量労働の対
象となる業務として「学校教育法に規定する大学における教授研究
の業務(主として研究する業務に限る。)」を追加しようとしてお
り、九月十日付けでパブリックコメントを募集している。「主とし
て研究する業務」に就く教員はほとんど存在せず、このような中途
半端な施策はかえって国立大学の労働現場を混乱させるだけである。
通常の業務と異なる大学における業務に、労働基準法の体系を小手
先の修正で無理に適用しようとしても、結局は違法状態を発生させ
ることは不可避である。労働基準法の体系とは別に、大学における
労働に関する基準法のようなものを設け、その中で教職員の権利や
義務を規定すべきと考えるがどうか。

3  国立大学法人法の施行により、国立大学には十月一日から法
人移行の準備をする権限が付与され、大学は就業規則、労使協定の
作成準備を進めることになる。これに対して各大学の職員団体は来
年四月以降にようやく労働組合として認められるため、それまでは
団体交渉権すら無い。これに関しては、参議院の附帯決議があるの
みであり、新たな労使関係を構築すべき時期としては著しく労使の
平等を欠いている。早急に法を改正する等、しかるべき整備をすべ
きではないか。

4  大学全体における専任教員と非専任教員の待遇格差問題を政
府として調査し、その解決の検討をしているか。国立大学法人や私
立大学に対し、政府として、その解決について勧告する予定はある
か。

五 本年九月二日付け国立大学法人化に関する質問に対する答弁書
について

1  答弁書の「二について」の中で、「各国立大学法人の教員数
を標準教員数にまで削減すべきことを求めるものではない。」、
「平成十五年度末における各国立大学の教員数を踏まえ、標準運営
費交付金及び特定運営費交付金により必要な人件費は確実に措置し
ていくこととしている。」とあるが、研究所等の多い国立大学では、
標準教員数は現在の半数程度になってしまう。したがって、教員枠
の財政基盤の半分程度が毎年度見直され、六年ごとに大きく見直さ
れることとなる。これは、私立大学における学生・教員比に国立大
学のそれを近づけることにならないのか。

2  答弁書「三の1について」の中で、「教育公務員特例法(昭
和二十四年法律第一号)は、公務員である国立又は公立の教員等に
ついて、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の特例を定
めたものであり、法人化に伴って公務員ではなくなる国立大学の教
員に対しては教育公務員特例法の規定の適用は無くなるものであ
る。」としている。単にそういう理由であるとすれば、国立大学法
人法の中に、教育公務員特例法の内容を記載することは可能である
と思われるが、そのようにしなかった理由は何か。

 また、詳細な規則は大学ごとの自主性に委ねるべきだとしても、
教育公務員特例法の中で、教育基本法の趣旨に沿った人事条項は記
載すべきではなかったか。

3  答弁書「四の1について」の中で、「各国立大学そのものの
設置根拠については国立大学法人法で定められていることから、国
立大学法人法第十一条第二項四号に基づいて当該国立大学を廃止す
ることが決定されたとしても、直ちに当該国立大学が廃止されると
いうこととなるものでない」旨述べている。それならば当初の原案
段階にはなかった、国立大学廃止を役員会の審議事項に加えた理由
は何か。大学外部者が過半数を占める役員会にそのような権限を持
たせることは、大学に対する「脅迫手段」を役員会に与えるもので
はないのか。

4  答弁書「八の2について」の中で、「各職員の人事上の希望
聴取については例年行っているところであり、今般、特別に全職員
から希望を聴取する考えはない。」としているが、人事上の希望聴
取が今年度既に終わっている大学がある。こうした大学の場合には、
国立大学法人法が制定された以上、改めて希望聴取を行うべきでは
ないか。

5  答弁書「十二について」の中で、「国立大学法人への移行に
伴って生じる雇用保険料や会計監査に必要な費用等の義務的な経費
については、運営費交付金の算定において対応していくこととして
いるが、国立大学法人の予算全体においてはこの他にも増減要因が
あることから、運営費交付金への算定により直ちに国立大学法人に
対する国の財政支出が増加するものとは考えていない。」としてい
るが、この「増減要因」の「減」となる要因としてはどのようなも
のを想定しているのか。

6  答弁書「十三の2について」の中で、「中期計画の記載事項
については、・・・学部や研究科における個々の具体的な教育研究
活動について記載を求めるものではない。このように、中期計画の
記載内容は個々の教員の教育研究の具体的な在り方についての記載
を求めるものではなく、憲法第二十三条及び教育基本法(昭和二十
二年法律第二十五号)第十条の規定との整合性を欠くものではな
い。」、「なお、大学が自ら具体的な教育研究内容を中期計画に記
載することを希望する場合にはこれを否定するものではないが、中
期計画において個々の教員の教育研究の具体的な在り方の記載がな
ければ運営費交付金を受けられない制度とはなっていない。」とし
ているが、当方からの質問の趣旨は、個々の教員ではなく、学部や
学科等の組織の教育研究の内容や方針の記載が要請されていること
が問題である、と指摘したものである。もし、学部や学科、研究施
設の教育研究内容の記載まで不要であるならば「特定運営費交付金」
の積算はどのように行われるのか。

7  前問に関連して、文部科学省が七月末に指示した中期目標・
中期計画の記載事項に「教育上の基本組織」という項目があるが、
これは国立大学が自らの長期的計画に従って独自に判断すべきこと
であり、政府の種々の評価機関が教育上の基本組織の設置そのもの
を評価対象とし、その存廃等を判断することは、「教育行政は、こ
の自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立
を目標として行わなければならない」とする教育基本法第十条に明
白に違反するのではないか。

六 東京都立四大学の統廃合について

地方独立行政法人法について、衆議院総務委員会(本年六月三日)
の附帯決議の五に「公立大学法人の定款の作成、総務大臣及び文部
科学大臣等の認可に際しては、憲法が保障する学問の自由と大学自
治を侵すことのないよう、大学の自主性、自律性が最大限発揮しう
る仕組みとすること。」とあり、また、参議院総務委員会(本年七
月一日)の附帯決議の六に「公立大学法人の設立に関しては、地方
公共団体による定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可等
に際し、憲法が保障する学問の自由と大学の自治を侵すことがない
よう、大学の自主性・自律性を最大限発揮しうるための必要な措置
を講ずること。」とあるが、本年八月以降、東京都立四大学の統廃
合の検討過程から現在の都立大学関係者が排除され、大学の自主性・
自律性は損なわれている。これについて、国会審議における答弁及
び地方独立行政法人法の附帯決議を尊重し、文部科学大臣及び総務
大臣は、都立大学改革において大学の自治を尊重するよう東京都を
行政指導すべきではないか。

右質問する。

2003年10月01日

強まる「文科省支配」 国立大法人法、1日施行 大学側に危機感  

北海道新聞 教育・文化 2003.10.1

2003年09月29日

シンポジウム「大学界の真の改革を求めて」報道発表

独法化阻止全国ネット報道発表.2003年9月29日

           多分野連携シンポジウム
       「大学界の真の改革を求めて」について

             主催者代表
             国立大学独法化阻止全国ネット事務局長  豊島耕一

われわれ国立大学独法化に反対する4団体(全国ネット,新首都圏ネット,意見広告の会,アピールの会)は,実施が迫る国立大学の「法人化」について,その問題点,これまでの反対運動の意味,そして大学界の真に意味のある改革とは何かを考える標記のシンポジウムを,9月27日,東大構内で開いた.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/news/multisympo927.html

これは,次のような目的を持ったものである.
(イ)近年にない規模と多様性をもって展開されたこの運動を,幅広い立場から,総合的,多面的,論争的に吟味・総括し,記録すること.
(ロ) 制度の実施という状況のなかで独法化にどう立ち向かい,学問の自由と大学の自治を守り,あるいはどう築いていくかを討論すること.また,この制度は公立大学をも飲み込もうとし,さらに私大も,政府が認める評価機関による評価が義務付けられた.このような政府・官僚主導の激変のなかで,大学関係者と市民による高等教育の自律的な改善の可能性について考えること.

52名*の参加者の過半数は国立大学の教職員,学生であるが,国会議員2名,議員秘書1名,韓国教授労働組合2名,国立大学長,元学長各1名,私大・公立大から8名など,多様な人々が集まった.また,日本の大学問題についての本を書いたアメリカ人研究者,山内恵子衆議院議員,それに全大教からメッセージが寄せられた.

午前,午後,合計6時間にわたって多様な報告と熱心な討論がなされた.

まず,主催者団体などによる運動の総括が5人から述べられた.冒頭,全国ネットの豊島は,法案阻止運動がなぜ敗北したかについて,この問題が憲法と教育基本法に反するものであるとの認識が大学関係者にほとんどなかったことなど,5点にわたって分析した.

首都圏ネットの小沢は,「論点集」を作って議員に質問の材料を提供するなど,終盤での国会ロビー活動について説明した.また,かなりの程度まで成功した,メディアにこの問題を取り上げさせるための努力について述べた.

次いで「アピールの会」の池内は,大学内に限られている運動を,多くの著名人の賛同意見などを使って一般に広げていったことを,「意見広告の会」の野村は,最終版での世論形成に重要な効果を上げた意見広告運動について説明した.

千葉大学の独法化問題情報センターの安田氏は,ネット上で飛び交う情報があまりにも大量なため,教職員がむしろ情報不足に陥っている状況を改善するために,重要な情報を選び出して提供する活動について説明した.これは同大学でいくつか出された教授会などの意見表明のベースを与えたのだと思われた.

共産党参議院議員の林紀子氏は,参院審議において,「労働安全衛生法」の問題での追及などを説明した.さらに,教育基本法改悪問題が今度の国会で重大な局面を迎えるだろうと述べた.

社民党の山内恵子衆議院議員秘書の広瀬氏は,国会議員と大学関係者の間の認識の壁の問題について意見を述べ,また議員のメッセージを紹介した.

鹿児島大学大学の前学長,田中弘允氏は,2000年頃の国大協内部の状況や,そこでの独立行政法人化に対する自らの批判活動について述べた.関連して現職学長である宇都宮大学の田原博人氏が発言したが,国大協の会議の雰囲気がどのようなものかを十分想像させるものであった.

続いて,「改革」と称する行政による強権的介入と,それによるリストラが目論まれている横浜市大,東京都立大の深刻な状況が,両大学の同僚から説明された.教授会無視や秘密主義は両者に共通する特徴のように思われる.

韓国教授労働組合副委員長の朴巨用 (パク・コヨン) 氏は,「軍事政権の山を越えたら新自由主義の川が待っていた」との表現で,政府が導入を目論む「国立大学運営に関する特別法」について批判的に紹介した.これは大学の民主主義と自治を無視し,授業料の値上げを招くなど重大な問題を含むとのことである.

アレゼール日本の岡山茂氏は,フランスの大学改革について説明した.予算の費目自由化や「中期目標」など,日本の「法人化」と見かけ上似たところもあるが,しかしフランスでは政府と大学との「対等な契約」とされており,「目標」も日本のように政府が定めるものではない.

教育法が専門の成嶋隆氏は,「法人法」が教育基本法10条(教育への不当な支配の排除)に違反するものであることを,限られた時間ながら詳細に論じた.10条のみならず,6条2項(教員の身分保障),3条1項(機会均等)にも反する疑いがある.

フロアからは,工学院大学の蔵原氏が,国立大学法人制度における「法人」と「大学」の事実上の一体化は,従来の学校法人制度と全く異質であると指摘した.異常に強力な学長権限と相俟って,大学制度全体に重大な悪影響を及ぼす恐れがあると述べた.

時間の都合で最後のセッションで発言した民主党参議院議員の櫻井充氏は,この問題で国民世論を喚起できなかったから敗北したのであり,それは大学側からのわかりやすい説明が不十分であったためだと述べた.また,今後,制度運用における対応のありかたなどについて述べた.

討論の時間は不足し,これからの運動の展開についての具体的方針が打ち出されるまでには至らなかったが,参加者一同,この制度の重大な問題性を再認識し,また国際的な視野でこの問題をとらえることができた.教育基本法改悪反対運動との連携の重要性も認識され,教育の自由,大学の自由を回復し発展させる運動のためのより総合的な認識が共有されたと思われる.

今回のシンポジウムで得られた知識と理解,そして人々の新しいネットワークが,大学という文化の創造において,大いに力を発揮すること期待したい.

なお,いくつかのレジュメ,メッセージは全国ネットホームページで公開している.また,シンポジウムの全内容は,近日中に出来るだけ詳細に公表する予定である.

*受付の名簿による.

840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部  豊島耕一
toyo@cc.saga-u.ac.jp
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp

2003年09月25日

国立大学法人法の読み方−ー教育研究組織体としての国立大学へ

羽田貴史(広島大学高等教育研究開発センター教授)
教育学術新聞平成15年9月10日アルカディア学報133より

国立大学法人法(2003年7月)の成立で、国立大学は法人格を持つことになった。これは間違いなく日本の大学史の画期的な出来事である。明治初年の学制以来、大学は政府から自立した存在であり、財政資金を得て独立すべきという意見が政府部内において根強くあった。130年目にして課題は果たされたとみることもできよう。

しかし、この制度が、政府から自立した大学の姿を顕現したかというと、きわめて疑わしい。大学の自己責任を拡大するように見えながら、一方では中期目標・計画に対する文部科学大臣の決定・認可権を明示し、かえって政府の関与を強化しているようにも見え、今後、いずれに結着するか不透明である。この不透明さ・両面性は、法人化の位置づけが政府部内で一元化しておらず、大学の自立性を確保する財源の規模と形態が不明確だからである。この不透明さは法人法にも現れており、統一的な大学像を描くことは難しい。

たとえば、国立大学の設置者は国であるとするのが昨年三月に出された『新しい「国立大学法人像」について』の基本原則であり、国立大学側はこのことを強く要望していた。

財政責任が設置者に帰属する原則(学校教育法の設置者負担主義)のもとでは、政府が設置者であるほうが財政関与は明確になる。法律の立案過程で示された国立大学側の意見では、国の財政責任の明確化を最大限重視し、目標・計画に関する政府の権限をその論拠としていた節さえある。しかし、閣議決定した法案は、国立大学法人が国立大学を設置することとし(第二条(1))、その思惑は外れた。反面、設置者が法人であることで、管理責任が明確になり(設置者管理主義)、国立大学の自立性は強化されたともいえる。しかし、管理責任を負うのが法人であるなら、なぜ、同法三十条以下で文部科学大臣が中期目標を定め、中期計画の認可を行う事前統制権を持つか不明である。

関連する政省令や国立大学法人評価委員会など、法人制度の構築はまだ完了していないので、これらの論点を解消する法整備がされていくであろうが、制度設計のアクターが多様で矛盾を含もうとも、解釈と運用は一元的でなければならず、その意味で、国立大学法人法のコンメンタール(注釈)が求められる。

矛盾の一例を挙げると、この法律で規定する「業務」概念がわからない。第二十二条は、国立大学法人の業務の範囲を規定し、「一、国立大学を設置し、これを運営すること」、「二、学生に対し、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うこと」、「三、当該国立大学法人以外の者から委託を受け、又はこれと共同して行う研究の実施その他の当該国立大学以外の者との連携による教育研究活動を行うこと」など七項目を掲げているが、この中に、国立大学における恒常的な教育研究活動が含まれているとは読めない。第三号にしても、委託研究と当該国立大学以外の組織や個人との連携による教育研究活動を定めているのであり、通常の教育課程に基づく教育活動や、教員が国立大学の財源によって行う基礎的研究活動を業務として規定しているのではない。

したがって、第三十条第一項は、文部科学大臣が国立大学法人に達成すべき業務運営に関する中期目標を定めるとし、第二項で「教育研究の質の向上に関する事項」などの中期目標を定めるとするが、ここにいう教育研究が、文部科学省が提示した「中期目標・中期計画」の項目のように、大学の教育研究活動全体を対象にしているとは、どうしても読めないのである(まさか国立大学の運営が教育研究活動を意味する?)

また、「中期目標・計画」に教育上の基本組織として学部・研究所などを記載することになっているのも不思議である。なぜなら、中期目標に関する第三十条にも中期計画に関する第三十一条にもこれらの組織に関する記載を定めておらず、政省令による委任関係もないからである。

そもそも国立大学法人法は、「国立大学を設置して教育研究を行う国立大学法人の組織及び運営」(第一条)を定める法律であって、教育研究組織としての国立大学の組織を定める法律ではない。同法で定めている業務も、法人の業務であって、教育研究組織である国立大学の活動を直接定めるものではない。私立大学の場合でも、私立学校法は、学校法人についての組織・運営を定めている法律であって、教育研究組織である大学は、学校教育法など関係法令に基づき、各法人が学則によって定め、設置認可を受けることで制度化される。同じように、国立大学法人でも、設置者としての法人と教育研究組織としての国立大学とが分離されている以上、法人法の枠組みが規定するのは、あくまでも法人の運営(経営)についてである。従来、国立学校設置法及び同法施行規則によって、国立大学の設置と学部・研究所・附属施設など教育研究組織と運営(教学)を定めていたが、同法が廃止された以上、当該法人によって定めうるものであり、必要があれば、改めて設置認可作業を行って確定するということになろう。

つまり、法人の設置作業及び法人による国立大学の設置作業ということになる。法人と国立大学が分離している以上、法人による国立大学の設置作業が手続きとして存在するはずである。その手続きがなく、目標・計画策定が法律の成立以前から先行し、その中で大学の基本組織を定めるやり方は、長期的な視野で運営すべき大学組織を短期的な評価にさらす危険性を孕むことにもなる。学部・研究所という組織は硬直的になりやすい。いったん設置認可されたらよほどのことがない限り変更できない現状も困りものだが、目標と計画に根拠を置くような定め方も良いとは思えない。このように形式的に法文を読むと、現在の中期目標・計画の内容と外れてくるのだが、いったいどのような読み方をすればよいのだろうか。本来は、国会の逐条審議による政府説明が公権解釈のべースとなるが、細かい議論はなされていない。法律学者が出番と喜ぶのか、頭を抱えるのか、どちらであうか。

このように考えてくると、法人が設置者となったことの意味が改めて問われているようだ。従来は、「設置権者・監督権者(文部科学省)」−「国立大学」であった国立大学の権限関係が、「監督権者(文部科学省)」−「設置権者(国立大学法人)」−「国立大学」という三層構造となったのであり、新たな構造に対応した行動様式が求められることになる。つまり、国立大学法人は、上向きに政府との関係を考えるだけでなく、設置者として財源確保をはじめ、国立大学の教育研究活動を保障する責任が生じる。経営責任とはそういうものであろう。また、大学内で従来は一体であった大学管理者が法人サイドに移行することで、教育研究組織体としての国立大学というポジションを得る。

さらに、政府も設置者ではなくなるのだから、従来よりも国立大学に対する距離は遠くなるはずである。試行錯誤はあっても、このような三者の責任関係と分担を明確にすることで、法人制度は実質のあるものとなるのではないだろうか。

(著者と教育学術新聞者の許可を得て転載)

2003年09月24日

蔵原清人「国立大学法人と学校法人の比較検討」

東京高等教育研究所検討会03/09/20(改定版)

国立大学法人と学校法人の比較検討

蔵原清人(工学院大学)

国立大学の法人化が行われることになった。これが多くの問題を含んでいることはすでに多くの方々から指摘されているとおりである。ここでは国立大学法人と私立学校の学校法人との制度設計と運用問題を中心に比較検討を行いたい。国立大学法人の発足・準備と平行して学校法人制度の見直しが進められている。私立学校関係者としては、国立大学法人の特徴を理解しておくとともに、現在の学校法人制度の長所と課題を十分把握して、学校法人制度の見直しに対処していく必要がある。


1、全体的問題
2、組織の比較
 1)学長(理事長)および他の役員の地位
 2)法人の機関
3、財政
 1)設置者の財政負担
 2)収益事業
 3)企業会計の原則
 4)利益等の取扱
4、国立大学法人の影響と課題

1、全体的問題

設立に関しては、国立大学法人は法律によって行われるとともに、必要な資金は国が出資するという点では、これまでの制度と大きく変わることはない。しかし法人制度としてみるとき、設置者としての法人と設置される学校とは区別がなく一体化している点に十分注意を払う必要がある。現在の学校教育法では、設置者と、設置される学校は明確に区別されており、その点で国公私立の間での差異はない。今回の国立大学法人制度はこの原則を崩すものであり、今後の学校法人制度の検討にも大きな影響を与えることが予想される。

 次に運用に関しては、中期目標を文部科学大臣が大学に示し、大学はそれに基づいて中期計画を作成して文部科学大臣の認可を受けること(期間は6年、通則法では3〜5年)、中期計画期間終了時の検討を行うこと(法第35条による通則法第35条の準用)、学長は文部科学大臣が任命すること(ここでは国立大学法人の申し出によって)など、かつてなく文部科学大臣の統制下におかれることになる。しかも職員は非公務員型とすること(通則法では国家公務員)などまったく身分的保障は与えられていない。大学内部においては学長のワンマン体制であること、経営協議会の委員の二分の一以上は学外者とすることなどである。


2、組織の比較

1)学長(理事長)および他の役員の地位

国立大学法人では学長の権限が著しく強い。すなわち学校教育法の定める学長としての「職務を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する」(第11条第1項)これは私立学校における学長とは異なり、理事長を兼務するものに相当する。しかし私立学校の理事長よりもはるかに権限は強い。

まず、法第10条では、「役員として、その長である学長及び監事二人を置く」とあり、同条第二項で「理事を置く」ことが規定されている。(別表に人数は規定)。理事の役割は「学長の定めるところにより、学長を補佐」することが中心である。「学長及び理事で構成する会議」(役員会という)が置かれるが、これは学校法人の理事会に相当する位置にあるが、権限の面では学長の諮問機関にすぎない。(以上、第11条)しかも任命は学長が行う(第13条)。このように学長は本来、代表権と決定権を持っている。

学校法人の場合は、「役員として、理事五人以上及び監事二人以上を置かなければならない」。そして理事のうち一人は理事長となる。(私立学校法第35条)この場合、代表権は第一義的には理事全員が持っている。その上で寄付行為によって制限することができる。理事長は「学校法人内部の事務を総括する」ことが基本であって、設置する学校に関しては限定された権限しか持たない。「学校法人の業務は・・・理事の過半数をもって決する」ことが基本である(私立学校法第36条)すなわち、学校法人の意志決定は理事の合議によるものである。この他、理事の選任に関しての要件が定められている。

国立大学法人の監事は、意見を出すのは「学長又は文部科学大臣」に対してであって、経営協議会などに出すことは規定されていない。これに対して学校法人の場合は評議員会に報告しあるいは評議員会の招集を請求することができるのである。後者は自治的に問題を解決する手順が保障されているが、前者では学長(理事長)が無視した場合は文部科学大臣に意見を出す他はないことになる。これは文部科学大臣が任命することになっている面からは当然といえるが、それだけに監事は自治的な位置づけが与えられていないといわなければならない。

学校法人の役員には選任条件として同族に関する制限がある。国立大学法人の場合は経営協議会に学外者を二分の一以上とするという規定だけで、何ら制限はない。

2)法人の機関

国立大学法人では経営協議会と教育研究評議会が置かれ、両者とも学長が議長になり主宰する。それぞれ審議機関である。したがって学長が決定するときにこれらの機関の決定により何らかの制限をするということは認められていないのである。前者のメンバーは委員といい、後者は評議員という。この呼称の違いの理由はわからないが、現在の全学評議会の呼称を引き継いだと思われる。

 経営協議会は学長及び学長指名の理事・職員(いわば学内委員)とこれまた学長任命の学外有識者よりなり、後者は2分の1以上でなければならない。つまり学外委員中心の機関である。これは、経営に関する事項、予算及びその執行、決算に関する事項、組織運営に関する自己点検評価に関する事項などを扱う。

教育研究評議会は学長及び学長指名の理事、主要部局の長、学長指名職員によって構成される。ここでは学内者が主体であるといえるが、理事は学外者でも任命は可能であるから(そもそも学長も学内者とは限らない)学内者だけで構成されるとは限らない。ここで扱う事項は経営以外の事項であるが、現在教授会で行っている事項を含む。

 学校法人の場合は、法人機関としてこのような2分法はとっていない。評議員会だけである。評議員会は理事長の諮問機関であるが、寄付行為によって議決を要することとすることが認められている。この場合は評議員会は決議機関となる。(これは学校法人によって財団法人的な運営をすることと社団法人的な運営をすることを自らの意志で決めることができることを意味している。

 これに対して国立大学法人の場合は財団法人的運営に限られているのである。これは国の財産を本質的には委託して運営させるという構想から必然的に帰結する制度設計であろう)しかし予算や組織、運営等に関わる事項も含まれており、学校法人の評議員会で扱う内容とくらべて非常に広く包括的である。学校法人の評議員会は財政的な問題、法人としての運営に関する事項であって、教育や研究の内容については当然であるが扱っていない。これは学校法人と学校法人の設置する学校は制度上区別され(人格の有無ではない)、学校で行われる教育研究に関わるものは学校の自主性が保障されているからである。

 学校法人で特徴的なことは評議員に卒業生を必ず含むとされている点である。これは実態として私立学校の運営やサポートには卒業生の力が大きく関わっているのであって、国などが財政的支出をしない以上、卒業生の関わる部分が大きな位置を占めていることの反映である。国立大学法人の場合は、単に学外者を含めるというだけで、実態的には大学の活動を大きく支えている卒業生を含めることの明文規定はない。

3)教授会の問題

国立大学法人法には大きなトリックがある。それは第1条の目的と第2条の定義の齟齬である。第1条では「国立大学を設置して教育研究を行う国立大学法人」とし、第2条では「この法律において「国立大学法人」とは、国立大学を設置することを目的として、この法律の定めるところにより設立される法人」としている。これは明らかに異なる定義である。すなわち第1条によれば教育研究を行うことも国立大学法人の業務に含まれる。

 第2条の定義は、私立学校の場合と同様である。私立学校法では、「この法律において「学校法人」とは、私立学校の設置を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人」(第3条)とされている。したがって定義だけを見れば、国立大学法人は国立大学を設置する法人であり、学校法人は私立学校を設置する法人であって、この点には何ら齟齬はない。しかし国立大学法人法全体を見れば、国立大学法人は設置だけでなく、教育研究を行うことも明らかに業務として含まれている。

 このことがなぜ問題かというと、現在の制度は設置者と設置される学校を区別しているという大原則があるからである。これは「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する」(学校教育法第5条)とともに、教育研究は学校自体が責任を持って進めることを保障するための規定である。これは学問の自由、教育の自由を保障するための制度の一つといえる。特に大学の場合は教授会の自治の保障が問題である。

 学校教育法第59条では、「大学は、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定されている。このことと、国立大学法人の教育研究評議会の審議事項の中に、学則(国立大学法人の経営に関する部分を除く。)その他の教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項、教員人事に関する事項、教育課程の編成に関する方針に係る事項などなど(第21条第3項)は、まさしく大学にとっての「重要な事項」ではないだろうか。国立大学法人法では直接教授会についての規定はないが、こうした形で教授会の権限を制限しようとしていることに十分な注意が必要であろう。

3、財政

1)設置者の財政負担

先にふれた設置者経費負担の原則からすると、国立大学法人は設置者として経費を自ら負担するということになるのだろうか。この場合、国の財政支出は「法令に特別の定めのある場合」ということになるだろう。それとも国の支出が通例と考えるならば、国は事実上の設置者ということになる。この点では実態と法令の関係が大きな問題となる。

私立学校の場合、国庫助成の合憲性をめぐって今日なお議論が蒸し返されている。このことからすれば、国立大学についても国庫支出の是非について議論が起こる可能性を否定できない。あるいはその議論を回避するために中期目標の指示、それに基づく中期計画の承認が制度化されることで、「公の支配に属」す(憲法第89条)こととしたのかもしれない。しかしそれは大変見当違いの対応である。そもそも1条校は公教育機関なのであるから、それ自体で「公の支配に属」しているのである。

2)収益事業

学校法人の場合は収益事業を行うことができ、その利益を学校運営の資金として使うことができるとされている。しかし国立大学法人の場合は、会計処理において利益又は損失の処理の仕方が規定されているのであり、その事業全体がいわば収益事業となるものである。(法によって準用される通則法による)学校法人の場合は教育関係以外の事業も認められるが、国立大学法人の場合は教育研究の活動を通して収益活動を進めるということになる。これでは会計処理上、本来の業務と教育研究に関する業務の区別はつけられないだろう。

3)企業会計の原則

準用される独立行政法人通則法によれば、企業会計原則によるとしながら具体的な内容については何ら規定がなく、文部科学省令で定めるとされる。

4)利益等の取扱

国立大学法人法第32条第3項の規定によれば、「残余の額を国庫に納付しなければならない」とされている。私立大学の場合はそういうことがないのはもちろんであるが、解散にあたっても残余の財産は教育事業に使われるための手順が厳密に定められている。利益を還元することのないように、制度設計がされているのである。

 国立大学法人の解散は別に法律によって定めるとしており、何らかの理由によって国立大学法人が廃止されるとき、それまでその大学が使用していた土地建物などが他の国立大学などによって引き継がれるという保障はないのである。国庫に回収されることは十分にあり得ることである。この意味では国立大学法人はあくまでも国の事業としての大学の委託を受ける存在であることになるだろう。すなわち特殊法人型の組織である。

4、国立大学法人の影響と課題

すでに地方公共団体に関しては地方独立行政法人法が公布され、来年4月より施行されることになった。これにより公立大学の独立行政法人化が加速されるだろう。

 私立大学に関しては大学設置・学校法人審議会の小委員会での検討が進み、「学校法人制度の改善方策について」の中間報告が8月7日に出された。これは理事会の権限を著しく強めようとするものである。そしてあわせて教授会の諮問機関化が要求されるだろう。

 したがって日本の学校制度、特に設置者のあり方、設置者と設置される学校の関係が全面的に見直されることになる。それは大学における学問の自由と自治がどうなるか、教育行政との関係はどうなるかが注目される。そのなかで日本の大学と高等教育全体に関わる制度設計についての検討と提案が求められよう。

2003年09月19日

羽田貴史「国立大学法人法の読み方」

副題「教育研究組織体としての国立大学へ」
アルカディア学報133(教育学術新聞2003年9月10日)

高等教育研究者(*)による国立大学法人法の吟味。国会で審議されているときに専門家として指摘してほしかったと感じる。

以下の趣旨の疑義(「」内は原文)は、国会での審議では議論されなかったのではないか。と言っても、中期目標・中期計画の文科省の指示が合法化されたのは、7月以降であるから、2、3番目の点は審議しようがなかったと言えるが。

(1)国立大学の管理責任を負うのが設置者である国立大学法人である以上、なぜ、文部科学大臣が中期目標を定め、中期計画の認可を行う事前統制権を持つか不明である。

(2)通常の教育課程に基づく教育活動や、教員が国立大学の財源によって行う基礎的研究活動は、国立大学法人の業務としては法人法には規定されていない。従って。文部科学省が提示した「中期目標・中期計画」の項目が、大学の教育研究活動全体を対象にしているのは不可解である。

(3)文部科学省が提示した「中期目標・中期計画」の書式に、学部・研究科等を記載することが要請されていることも不思議である。「法人と国立大学が分離している以上、法人による国立大学の設置作業が手続きとして存在するはずである。その手続きがなく、目標・計画策定が法律の成立以前から先行し、その中で大学の基本組織を定めるやり方は、長期的な視野で運営すべき大学組織を短期的な評価に曝す危険性を孕むことにもなる。」
(cf:小林正彦(東大職員組合執行委員長)「学内組織を中期目標・中期計画に載せてはならない」2003年4月30日
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030430gakunaisosiki.htm

ーーー
(*)羽田貴史氏(広島大学高等教育研究開発センター教授)の著作より:「戦後大学改革」玉川大学出版 1999 ISBN 4-472-11361-9
http://ac-net.org/kd/03/205.html#[1]

2003年09月14日

文藝春秋10月号:櫻井よしこ「 遠山文科相「国立大支配」の責を問う」

([he-forum 6238 より)
『文藝春秋』2003年10月号 大学の危機
櫻井よしこ 遠山文科相「国立大支配」の責を問う

小見出し
研究費が天下り文科官僚に食いつぶされる
官僚栄えて学問滅ぶ
教授一人百五十万円の負担
行政改革のとばっちり
立法者としての責任を取る

2003年09月06日

自民党行政改革推進本部が廃止を宣告した独法は廃止されるのか?

Yomiuri on Line の記事(2003/9/4/03:11 *1) によると、自民党行政改革推進
本部(太田誠一本部長)が、文部科学省所管の「独立行政法人教員研修セン
ター」を廃止を含め見直す方向で検討を始めたという。独立行政法人を評価し
主要な事業の廃止等を勧告する法的権限があるのは、独立行政法人通則法によ
り、主務省である文部科学省の独立行政法人評価委員会と総務省の独立行政法
人評価委員会だけである。なぜ、一政党内の一組織が改廃を判断できる権限が
あるかのような報道がなされたのであろうか。もしも、事情を知る記者が、自
民党行政改革推進本部に、それだけの権限が実質的にあると判断したのであれ
ば、それは、独立行政法人制度が最初から形骸化していることを知っていなが
ら、それを当然と考えるように伝えることにならないのか。いずれにせよ、こ
の記事は、背景と共に出来事を伝えて人々の適切な判断の材料を与えるという
「報道」とは言いがたく、むしろ、独立行政法人のどれかを廃止してみせて独
立行政法人制度の導入意義を知らしめんとする、独立行政法人制度の生の親で
ある太田氏の意地を1千万人に伝えた「広報」に過ぎないのではなかろうか。

[*1 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20030904ia02.htm]

2003年09月05日

石原行政改革担当大臣9/2「外部委託の比率が高い法人の存在は見直す」

石原伸晃行政改革担当大臣記者会見概要 平成15年9月2日(火)
http://www.gyoukaku.go.jp/minister/kaiken.html#h150902
「・・・・・外部委託の比率が高い法人等々もございますので、そういうものは法人の存在自体も、3年から5年の中期計画の後、見直していただく。そこまで踏み込んだものにしていただくように、要請させていただきました。・・・・・」

「・・・・・特殊法人というのは、一本一本法律によって設立されていますが、独法は3年から5年の中期目標を立てて、中期目標の達成具合や仕事がなくなった場合は、その法人を簡単に改組したり、なくすことが出来るわけです。・・・・・」

「・・・・・外部委託が半分以上ある法人もあるし、事業が必要ないものもあるし、民間で代われるものもあるわけですから、そのための独法化である。なぜ独法化したのか、独法化して終わりではなくて、総理の言うところの、「積極的な合理化、削減」というものがやりやすくなったわけです。・・・・・」

2003年08月20日

「国立大法人化 文科省支配を断ち切れ」

2003年8月19日付け北海道新聞社説
大学も文科省も法人化を生かすも殺すも運用次第と認識すべきだ。

渡邊信久氏のコメント
我々「反対者」は,まさに「運用次第の制度」を作ってしまうことに反対していた・・・・・

国立大学法人制度下の使命

国立大学関係者 各位

国立大学法人化関連法が成立し国立大学制度が廃止され国立大学法
人制度に移行しますが、大学に適用する場合の独立行政法人制度の
欠陥が実質的には除去されませんでしたので、余程の「奇跡」がな
い限り、国立大学制度が実現していた諸機能は徐々に失なわれてい
くでしょう。この点について幻想を持たず、また国立大学法人制度
の官制サバイバルゲームの迷路に自失せず、学問と教育の規範を今
迄以上に鮮明にし、社会貢献においてもその規範を墨守し、大学の
使命について社会と大学が認識を共有する時が来ることを辛抱強く
待つことーーこれが国立大学法人制度下におかれる者が担う使命の
重要な部分を成すものと思います。

「学問と教育の規範」の根幹には、知識の体系性・一貫性・全体性
を重視すること、しかしどの理論にも懐疑の余地があり、そのこと
が学問の発展の源泉である、という姿勢を堅持し、理論・価値観・
世界観の多様性を尊重し先入観・非寛容を憎むこと、があると思い
ますが、1998年に全世界の高等教育関係者が確認した規範は、
ユネスコ高等教育世界宣言「21世紀の高等教育に向けての世界宣言:
展望と行動」
に詳細に記載されています。

その中で、「高等教育の使命と機能」の第二条「倫理的役割、自律
性、責任、および先見的機能」に、「倫理的・文化的・社会的問題
に関し、責任を自覚した上で、完全に独立した発言ができなければ
ならない。それは社会が自ら問題を考慮・理解し、その解決のため
に行動するのに必要な一種の知的権威を行使することである。」
「社会・経済・文化・政治の絶え間ない潮流分析に基づき、予測・
警告・阻止のための焦点を提示することによって、批判的および先
見的機能を増進させなければならない。」「その知的能力と道徳的
威信を行使し、ユネスコ憲章にうたわれた平和・正義・自由・平等・
連帯を含む普遍的価値を守り、積極的に広めなければならない。」
等が記されています。

間も無く国会で審議されると予想される教育基本法の改変は、もし
も決まれば初等中等教育の性格を根底から変質させるものです。国
立大学の法人化は余りに身近な問題であったために発言を控えた方
も多かったようですが、教育基本法改変問題については一定の距離
があって発言しやすいのではないでしょうか。大学界全体が、この
問題に責任があることを認識し、種々の立場と角度から自由に議論
し「知的権威を行使する」ことは、大学界の存在理由の一端を社会
に明示する良い機会になると思います。

辻下 徹

追伸.

国立大学法人法案の廃案を求める意見広告、特に、3次・4次の
「有料報道」は、国立大学法人制度の問題点を広く日本社会に伝
える効果がありマスメディアにも一定の影響力を持ち続けることが
期待できます。(数日前にNHKが朝のニュースで国立大学の法人
化について取り上げましたが、地域貢献と産学連携の取りくみを詳
しく紹介した後で、国立大学法人化により基礎研究が衰退する可能
性もあるという趣旨のコメントで締め括っていました。なお、地域
貢献や産学連携を過度に追求することが地方移管や民営化の勧告を
招きかねない、という独立行政法人制度の本性には触れていません
でした。)

なお、この「有料報道」は、呼び掛け人の一部の方が高額の負担を
決意されて実現したものですが、意見広告の会の会計報告(8月8
日)では、かなりの赤字が記載されていました。「有料報道」が、
今後の国立大学法人法に関連する政令・省令等の内容や施行状況に、
一定の影響力を持ち続けると評価されるかたはぜひカンパをお願し
ます。

・郵便振替口座『「法人法案」事務局』
00190−9−702697

・銀行口座 東京三菱銀行 渋谷支店
口座番号 3348763 口座名 法人法案事務局

・連絡先:houjinka@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
------
* http://ac-net.org/dgh/03/610-ikenkoukoku.html
http://ac-net.org/dgh/03/701-ikenkoukoku.html

2003年08月16日

総務省が勧告強化 法人化後の国立大学も対象に

『科学新聞』2003年7月11日付

 独立行政法人については、所轄官庁が評価し事業の縮小や拡大等をすること
になっているが、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、各府省が必
要だと主張しても独自の判断基準で不必要とした場合には、主務大臣に廃止勧
告をする方向で検討していることが明らかになった。個別事業の改廃のみなら
ず、法人そのものについても廃止勧告する。現在、独立行政法人は9府省62法
人あり、10には30法人が新たに発足する。これだけの法人を公正に評価できる
のか疑念が残る。また、法制度論上、来年4月に発足する国立大学法人も対象
となるため、業務の効率性のみで教育や研究を評価し、大学が廃止される可能
性もある。

 独立行政法人通則法では、主務大臣が、各法人の中期目標期間終了時に、そ
の組織および業務の全般について検討し、その結果に基づいて所用の措置を講
ずることとなっている。具体的には、社会経済情勢等の変化に応じて、法人が
担う必要性が乏しくなった事務および事業の廃止、民営化等を行うとともに、
組織形態や業務の改善を行う。

 一方、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、各法人の主要な業務
および事業の改廃に関して必要な勧告を行うこととされている。今回明らかに
なったのは、その勧告にあたっての基本方針。

 同委員会は、各府省の独立行政法人評価委員会による第一次的な判断を前提
に二次的判断をするのではなく、各法人の年度評価と中期目標期間終了時の評
価を独自に行い、自ら直接判断する。また、勧告を行う際は、局所的な改廃を
求めるのではなく、法人の主要な事務・事業を把握し、その具体的改廃措置の
検討を集中的・重点的に行い、法人ごと改廃を求める。中期目標期間の終了時、
通常であれば5年目に勧告を行い、2年以内には勧告の内容を具体化するよう
求める。

 評価にあたっては、共通の視点と個別の法人の特性を踏まえ、各法人の業務
について大づかみの評価を行った上で、改善の必要な法人について細かく調査
する。具体的な資料やデータをもとに、同様の業務を行っている法人同士を比
較し、競争力のない方に廃止勧告する。

 共通の視点としては、(1)政策上のそもそもの目的は何ですでに達成されて
いるのではないか、(2)その事業にどのような効果があるか、(3)その事業が行
われない場合、国民生活や社会経済の安定等にどのような問題が生じるか、
(4)国が関与しない場合にどのような問題が生じるか、(5)制度上独占的な業務
の場合は、独占によりどのような効果があるか、(6)法人の設立目的と事業の
目的はどのように対応しているか、(7)行政サービスの実施コストは適切か、
(8)地方や民間に移管したらどのような問題が生じるか、(9)公務員型の場合、
なぜ公務員が担わなければならないか、(10)トップマネージメントが発揮され
ているか、(11)アウトソーシングは可能ではないのか―など。

 こうした視点で評価を行った上で、廃止、民間または地方への移管、予算の
圧縮、他の法人との統合、整理縮小なども主務大臣に勧告する。勧告された内
容はすぐに公表しなければならない。

 今回明らかになった勧告の方針は、研究開発型法人の競争力を大幅に低下さ
せる可能性がある。コストや短期的な効果ばかりを求めているため、国が担う
べき基礎的な研究開発ではなく、民間研究所のような開発研究を進めた方が評
価されやすい。しかし、民間型へ開発目標をシフトしていくと「民営化すべき」
との結論に至るという袋小路に入り込んでしまう。また、委員会が法人を評価
する際、各法人にデータの提出や説明を求めるため、トップマネージメントを
発揮して運営していく前に、評価疲れを起こしてしまう可能性も高い。

 現在の法律では、来年4月に発足する国立大学法人も同委員会の評価対象と
なる。同委員会の視点で評価した場合、20年後には国立大学法人自体が存在し
得なくなる可能性もある。

 効率の良い評価を行わないと、本来の仕事ができないばかりか、社会的なコ
ストを増大させ、日本全体の国際競争力を低下させることになりかねない。

2003年08月12日

2003年08月04日

8/1 閣議決定「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・

国公私立大学通信8月3日号[1]

「一昨日の閣議で、主務省と総務省の2つの評価委員会に
よる独立行政法人の評価でも不十分である、という考え
から、内閣府にある行革推進本部自身が最終的な評価を
下すように独立行政法人制度を修正する方針が決まりま
した[1]。

国家機関の民営化か廃止かを判断するための過渡形態と
して設計された独立行政法人制度の趣旨を忠実に活そう
という方針です。したがって、独立行政法人という法人
の大半は、数年後にはなくなってしまう可能性が高くなっ
た、ということができます。

この方針が国会で承認されれば、国立大学法人にも当然
適用されますので、国立大学関係の「評価」は学内評価
と大学評価学位授与機構による評価も含めれば5段階と
いうことになります。しかも6年後に,行革推進本部か
ら民営化が適当と宣告されるのは、独立採算でもやって
いける可能性のある「大手」の大学なのかもしれません。」

----------------------------------------------------------------------
[1] 8/1 閣議決定「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・
業務全般の見直しについて」
本文 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/gyokaku/kettei/030801minaosi.pdf
概要 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/gyokaku/kettei/030801minaosi_s.pdf
----------------------------------------------------------------------
「2.対応

閣議決定の内容は以下のとおり。

(1) 独立行政法人の業務全般にわたる見直しの視点、事
務及び事業の改廃に係る具体的措置、組織形態に関する
見直しに関する具体的措置を定めるとともに、総務省の
政策評価・独立行政法人評価委員会は、業務全般にわた
る見直しの視点について、具体的な検討に資するチェッ
ク事項を勧告方針として概算要求前に作成。

(2) 見直し結果を次の中期目標期間の開始年度に係る国
の予算に反映させるため、以下の手続を実施。� 主務
大臣は、勧告方針を踏まえて見直し案を検討して予算を
要求。� 総務省の政策評価・独立行政法人委員会は、
予算に反映できるよう早期に勧告の方向性等を指摘。�
主務大臣は、国の予算編成の過程において見直し内容を
検討。� 主務大臣は予算概算決定の時までに行政改革
推進本部に見直し内容を説明し、その議を経て決定。

(3) (2)で決定した見直し内容を踏まえ、主務大臣及び
独立行政法人は中期目標・中期計画等を策定。必要があ
れば国会に法律案を提出。」
----------------------------------------
本文より抜粋

「3 独立行政法人の組織形態に関する見直しに係る具体的措置

(1) 業務の大部分又は主たる業務が廃止され、又は民間
その他の運営主体に移管された独立行政法人について、
当該法人を廃止した場合にどのような問題が生じるのか
を具体的かつ明確に説明できない場合には、当該法人を
廃止する。法人を廃止しない場合であっても、業務の大
部分又は主たる業務の廃止又は他の運営主体への移管に
伴い、当該法人の組織を大幅にスリム化する。

(2) 業務の採算性が高く、かつ国の関与の必要性が乏し
い法人、企業的経営による方が業務をより効率的に継続
実施できる法人又は民間でも同種の業務の実施が可能な
独立行政法人について、当該法人を民営化した場合にど
のような具体的問題が生じるのかを具体的かつ明確に説
明できない場合には、当該法人を民営化する。法人を民
営化しない場合であっても、業務の大部分について民営
化することに伴い、当該法人の組織を大幅にスリム化す
る。

(3) 特定独立行政法人について、その業務を国家公務員
の身分を有しない者が担う場合にどのような問題が生じ
るのかを具体的かつ明確に説明できない場合、当該法人
を特定独立行政法人以外の独立行政法人とする。」

2003年08月02日

藤田正一(北大前副学長)「「総長メッセージ」を読む」

(国公私立大学通信 2003.8.1)

中村総長にはまず、国大協臨時総会直後に「総長メッセージ」をホームペー
ジ に掲載されたことに敬意を表したい。本メッセージは大枠に於いて「国立大
学法人化についての国立大学協会見解」の視点を基本に、文科大臣の挨拶を解
説し、最後に本学の取るべき姿勢について述べたものであるが、総長自身の考
え方が見えなくも無い。法人化に向けて、大学の利益代表ともなる総長として、
発言できることはかなりの制約を受けると考えられる。自大学の不利になるよ
うな発言は控えたいと言うのが多くの大学長の思いであろう。が、言わざるを
得ないこともある。「国大協見解」に於いても、そのような思いが集約されて
いるような気がする。このような理解の下で「総長メッセージ」は読まれるべ
きであろう。私の独断と偏見による本メッセージの読みは以下のようなもので
ある。

まず、国立大学法人法を『国が設立し、責任をもって財政措置を行うことを前
提としている独立行政法人制度を活用しながらも、大学の教育研究の特性を踏
まえた基本的な枠組みを明確に位置付けた独自の法人制度であり、学問の自由
を守り、大学の自主性、自律性が尊重される制度である』と位置づけた文科大
臣の挨拶を額面通りに評価していることについて批判する人もあるが、これは
ここで大学としては額面通り取るべきで、特に後段「学問の自由を守り...」
については、このような「言質」を取ったことを記述しておくことは重要であ
る。 ただし、中村総長が何の疑問も主張もなく大臣挨拶を額面通り評価した
わけで無いことはメッセージ後段で、「学問の自由に基づく大学の自主性・自
律性が尊重される法人制度になるかどうかは、その運用の実際にかかわること
であり、...」と、最初の部分は文科大臣の挨拶文とほぼ同じ言い回しを用
いて、その実現にはこの法律の運用が重要であることを主張していることで分
かる。裏返して言えば、法律家である総長がこの法律は運用次第ではとんでも
ないことになるということを指摘していることになる。その危機感から国大協
も運用に付いての要請文を出さなければならなかったのであろう。国大協の構
成員が諸手をあげて大学法人法に賛成したのでは無いことは、「国立大学法人
化についての国立大学協会見解」に付帯されている40以上の小項目からなる
「国立大学法人制度の適切な運用について(要請)」にうかがえる。

 この法律の運用の重要性に次いで総長は「大学側がなすべきことは、自主的・
自律的に自らの改革を行っていくことであります。 」としている。法的制約
の中でも、学問の自由、大学の自治の幅を自ら狭めることなく、大学は主張し、
行動し、既成事実を積み上げ、この法律の「緩やかな運用」を定着させようと
いう主張と私は解釈する。法律の運用は多くの場合、前例が重要であり、でき
たばかりの法律では、これからの運用が前例となって行くのであるから、悪し
き前例を作らぬ様、細心の注意と、大学の主張を認めさせる努力が必要である。
大学法人法の問題点を指摘しつつも当面の現実的対応策としてはそのような手
に出るより他あるまい。

 驚くべきことに行政改革に端を発した今回の大学法人化論議には「大学にお
ける教育研究の質的向上」と言う大学改革に最も重要な視点が欠落していた。
経済窮乏の時とは言え、国立大学の統制強化や経営効率化、経済界への貢献を
主眼とするあまり、教育研究の質をおろそかにすることは、国家100年の向
後に憂いを残す。学問の自由を守ることの重要性とともに、このことについて
は私もインターネットや学内の会議等で3年前から何回か指摘してきた。大学
法人化の審議にあたった国会議員に対して送ったファックスでも主張してきた
が遂に法案には考慮されなかった。論議の終盤になって国大協も本学もようや
くこのことに意を砕くことができるようになったと見える。総長メッセージに
は、「法人移行の準備とともに、本学が従来から取り組んできている改革に
「新たな視点」を加えて、推進する必要があります。新たな視点のキーワード
になるのが、「真に学生のための教育」および「世界水準の研究」でありま
す。」と書かれている。国大協見解にもこれらのことが書かれている。この両
者の追求は、経営効率化を目指す今回の法人化の精神とは相容れないところが
あり、遅きに失した感があるが、大学の基本に戻って検討し、主張することが
必要である。そして、その(特に教育の)検討の中に、大学の最大の構成員で
ある学生の代表を加える必要があると私は思う。

 最後に、「部局の都合や関係教員の都合で、北海道大学として必要とされる
教育改革を 阻止しないことが肝心と考えています。」という文言は「部局の
自治」に基づいた大学運営に親しんだ我々にはかなり厳しい響きを持って受け
取れるが、また、「部局のエゴ」が本当に北海道大学として必要な改革を実行
する上で障害になってきた事実も見逃せない。また、これまでの大学運営の様々
な局面で、総長のリーダーシップが必要とされた場面は少なく無い。従来のよ
うな本学の意志決定システムでは総長のリーダーシップは極めて取りにくく、
即断即決の必要な時に機を逃してしまうことがすくなかったとは言えない。総
長が大学の総意を代表すると言うシステムでは、本学の総意集約のために相当
の準備がいる。行政の不意打ち的な手法には対処できない。また、本学として
戦略的に取り組むべき課題についても超部局で大所高所に立った企画が必要で
ある。部局の自治に基づくボトムアップのシステムはもちろん温存しつつ、トッ
プには責任の所在と、責任の取り方(リコール制等)を明確にして、必要な権
限を委譲することも必要では無かろうか。

以上、私の解釈が的を得たものかどうかは明らかでは無いが、総長のメッセー
ジを深読みしてみた。これから国立大学は猛スピードで法人化対応に走るであ
ろう。目先の利益に惑わされず、大学としてのあるべき姿をきちんと踏まえた
フィロソフィーのある制度設計としていただきたいものである。大学が法人化
の流れに抗しきれなかった主因は、このフィロソフィーの(主張の)欠如にあっ
たと私は思う。」
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#(関連記事:渡邊信久氏サイト日記風雑記7/22「総長メッセージ」

2003年07月27日

櫻井よし子: 国立大学を潰す「遠山」文科省

週間新潮 2003.7.17 p146-147 連載コラム 日本のルネッサンス第76回

「確実に日本の力を削ぎ落としていく国立大学法人化法
案が、7月8日参議院文教科学委員会で可決された。・・・
この法律で、日本の知の拠点である国立大学の教育、研
究は自滅していくと幾千もの教授たちが語る。

・・・東大理学部教授の松井孝典氏もそのひとりだ。教
授は地球の起源と成り立ちを説いた新理論を、1986年、
『Nature』誌に発表、世界の注目をあびた気鋭の学者で
ある。・・・

「本当に重要なのは、くだらない研究をいかにやらない
かです。一流かどうかは、ここでわかれます」

くだらない研究とは、ある種の見当がつき、経費も大よ
そ予想できるような研究である。プロの研究者なら目を
つぶっていても書けるつまらない研究が、法人化された
大学で幅をきかせるようになるのは風に見えている。意
味ある研究は退けられ、近視眼的研究と考え方のみがは
びこっていくなかで、官僚は580にのぼる理事、監事職
に天下り、1500から2000万円近くの高給を食む。遠山氏
はじめ文科官僚らがこの国の大学を食い潰していくの
だ。」