Academia e-Network

国立大学独立行政法人化の諸問題: 国立大学附属学校の今後


3/13 [AcNet Letter 72] 川勝平太氏による首大称賛コラムの背景AcNet Letter , 国立大学附属学校の今後 , 情報公開法の活用 , 大学の使命 , 大学の労使関係 , 東京都の大学支配問題
10/19 奈良教育大学附属学校教職員代表の要求書国立大学附属学校の今後

2004年03月13日

[AcNet Letter 72] 川勝平太氏による首大称賛コラムの背景


Academia e-Network Letter No 72
(2004.03.12 Fri)

【1】「毎日新聞3/7コラムの問題 川勝平太氏の素性 
   都からの月報は35万1千円」
(一都民である事務局員より)
「意見広告の会」ニュース112[4] 2004.3.10 より

【2】「2.28日比谷集会のご報告ならびに御礼」
「都立の大学を考える都民の会」事務局より

【3】**本日** NHK札幌3月12日午後7時半より
「流氷レーダ廃止の波紋−大学改革と地域貢献ー」

【4】近畿附属交流集会 3/7 の概要

 【4-1】近畿内の全労働各支部書記長連絡先

【5】豊島耕一氏「学則の「目的」条項」
[he-forum 6785] Date: Wed, 10 Mar 2004

2003年10月19日

奈良教育大学附属学校教職員代表の要求書

                          2003年10月14日
奈良教育大学長 柳沢保徳殿

                         附属幼稚園教職員代表  
                         附属小学校教職員代表  
                         附属中学校教職員代表  

国立大学の法人化にあたってのわたしたちの要求(第一次分)

わたしたちは、各附属校・園において、法人化後のあるべき学校・園のすがた
及びわたしたちの労働条件について話し合いました。

その話し合いのなかで出された要望を、ここに「国立大学の法人化にあたって
のわたしたちの要求(第一次分)」としてまとめ、新法人の長に予定されてい
る貴職に要望いたします。どうかこれらのことがらの実現についてご努力くだ
さい。

なお、文面に「非常勤」「正規」「非正規」の指定のない事項は、正規職員・
非正規職員の双方に関することです。

I.全学的なことにかかわる要求として 
II.附属校・園の労働条件などについて−就業規則などに関する要求として 
III. 政府・文部科学省に対する要求として


I.全学的なことにかかわる要求として 

新法人の長に予定される職にある者として、次のことの実現について努力してください。

1.後述の「・.政府・文部科学省に対する要求」について政府・文部科学省
に要請すること。

2.学部や附属学校・園などにおける研究や実践をより発展させるために、法
人への移行や今後の大学運営にあたって衆議院・参議院の附帯決議を尊重する
こと。また、政府・文科省へも決議の尊重をはたらきかけること。

*(要望の趣旨) 法人法参議院附帯決議・1「国立大学の法人化に当
たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏ま
え、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が
図られるよう、自主的・自律的な運営を確保すること。」

同2・「国立大学法人の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、
教育研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、全
学的な検討事項については、各組織での議論を踏まえた合意形成に努め
ること。また、教授会の役割の重要性に十分配慮すること。」

同・6「運営費交付金等の算定に当たっては、公正かつ透明性のある基
準に従って行うとともに、法人化前の公費投入額を十分に確保し、必要
な運営費交付金等を措置するよう努めること。」

これらは国会決議ですから、子どもたち、保護者、国民に対して、この
決議を守っていく責任があります。

3.雇用の承継について

(1)雇用承継
本人の希望に反しない限り全教職員を国立大学法人職員として身分承継するこ
と。

(2)非常勤職員の定員化、雇用の継続の努力

(i)恒常的業務に長期にわたって就いている非常勤職員を法人の正職員として雇
用すること。

(ii)3月末で雇用期間が切れない者の雇用を承継すること。また、3月末で雇
用期間が切れる者についても、法人化を理由にした雇い止めをしないこと。

(iii)「3年限り」という任期のようなものを設定しないこと。継続して雇用
する必要のある部署については、本人の希望にそって契約の更新・継続をする
こと。

*度重なる定員削減のため、附属校・園においても、非常勤職員の働き
はますます重要になっています。そうした責務にある者が短期間で入れ
替わることは子どもたちへの教育にとって大きなマイナスです。ぜひと
も期限を切らないですむような工夫をしてください。

4.大学の民主的運営について

(1)学長選出

学長選出にあたって多くの構成員による投票制度を創設し、大学運営に対する
要求・意見を幅広く反映させるよう努力すること。

*法人法では、研究教育評議会と経営協議会の代表が学長選考会議をつ
くると定めています。しかし、この2組織だけで法人の長を選ぶべきで
はありません。大学の自主性を守るためにも、多くの構成員による投票
制度を創設すべきです。「学長選考会議」は、多くの構成員による投票
の結果を踏まえて議論し、決定していくべきです。

(2)理事の任命高い見識をもった人物を選ぶと共に、選任理由を公表するこ
と。

(3)財政

(i)財政は構成員に公開し、議論の機会を多様に保障すること。とりわけ、運
営交付金の交付について詳細に明らかにすること。

(ii)民主的運営のため、教授会でも財政について審議し、経営協議会、並びに
大学法人はその結果を尊重すること。

5.基本的労働条件の維持・改善について−とりわけ、就業規則などに次の精
神や事柄を盛り込んでください。

(1)労働条件の改善
(i)労働条件の不利益変更をしないで就業規則を策定すること。

*移行期における労働条件の不利益変更は労働基準法の悪用となり、そ
れが労基法第1条(ii)に反することであることが国会などで指摘されて
いるところです。

(ii)公立校・園教員との人事交流を円滑にすすめるために、給与やその他の労
働条件について格差をなくすこと。

*近年における奈良県との人事交流の実態からも明らかなように、公立
学校・園から赴任者を得ることは容易なことではありません。それぞれ
個別な理由もあると思われますが、非公務員となり身分が不安定になる
こと、給与などの労働条件が低水準であること、1学級あたりの子ども
の人数が多いこと、教育研究会や研究出版、教育実習など授業以外の実
践課題が多いにもかかわらず教員数が少ないことなどは共通した理由で
す。
 奈良県・2003年度 幼稚園 教諭一人あたりの園児数=13.6人
            小学校            =16.5人
            中学校            =14.1人
このままでは、「公立へ転勤する人はあっても、来てくれる人はいない
だろう」という“声”のとおりになりかねません。これは、教育研究や
教育実習の充実にとって重大な問題です。労働条件を公立校・園の水準
に近づける努力を強く求めます。

(2)対等な労働契約

労働基準法の適用により、教職員と法人との関係が対等な契約関係となること
を踏まえて就業規則を策定すること。

(3)非正規職員

非正規職員は、正規職員に比して労働時間が短いだけであり、労基法などの労
働関係諸法の適用を受ける労働者であるので、「短時間労働者の雇用管理の改
善に関する法律(パートタイム法)」にのっとり、就業形態や勤務条件を定め
ること。

*年次休暇制度や解雇予告など、適法な規程にしてください。また、
「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生
活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措
置に関する指針(厚生労働大臣 2002.1)」に、「労働契約の形式上期
間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない
契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児休業及び介
護休業の対象となるものである、、、以下略」とありますから、この点
にも充分考慮してください。

「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、、、」の「常時10人」
について、ある労基局の判断では、「雇用保険対象となる週20時間以
上の労働者」ということです。「実質的に異ならない状態」については、
労基局や労働監督署の判断も仰いで、適正に運用してください。

(4)解雇
(i)本人の意に反した解雇を行わないなど、解雇についての規程を職場(組合)
との合意の上で明確に規定すること。
とりわけ、国家公務員法第78条に記されている「予算の減少による廃職や過
員を事由にした解雇」については、法人化前と後とでは前提としての大学制度
が異なるので、これを転用しないこと。

*今年6月に成立した「労働基準法の一部を改正する法律」で、就業規
則の絶対的必要記載事項に「解雇の事由」を含むことが決まり、普通解
雇などの事由について就業規則に具体的に記しておかなければならなく
なりました。

また、もちろん法人には「予算の減少による廃職や過員を事由にした解
雇(国公法第78条)」は当てはまらないわけですが、これを準用した
り転用したりしないよう求めます。おりしも、6月に改正された労基法
では、それまで判例として確立していた解雇権乱用制限が、「解雇は、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場
合は、その権利を濫用したものとして無効とする」として法定化されま
した。

組織の改廃や過剰人員を事由とする解雇は、一般企業においてもまった
く許されているわけではありません。支店や生産工場を閉鎖するような
場合は、他支店などへの配転や早期退職制の実施などが常識であり、即
解雇という規則は常識的ではありません。

組織の改廃即解雇ということでは、職員との合意形成や大学発展のため
の共同体制づくりは難しくなります。解雇用件の規定にあたっては、労
基法を遵守し、職員との合意形成に努めてください。

(ii) 以下の項目に該当する期間・事由では解雇できないとすること。

◇運営費交付金の減少による廃職や組織の縮小

◇業務上負傷し、または疾病にかかり、療養のため休業する期間、及びその後
30日間。

◇女性教職員が産前産後で休暇を取る期間、及びその後30日間。

◇労働基準法、ないし就業規則で認められている休職、休暇、休業をとったと
いう理由。

(iii)解雇理由に不服のある場合は、不服申し立て委員会に不服申し立てがで
きるとすること。

(5)給与

(i)全体として、移行に際して不利益変更にならないこと。

(ii)移行の年度も現行の水準を下回らない昇給・昇格を保障し、不利益変更
がないこと。

(iii)時間外に勤務した場合は、適法な額を支給すること。

(iv)全学的な議論を行うことなく大幅改変を行わないこと。

(6)評価

(i)公正な評価方法の開発と透明性のある運用を行うこと。

(ii)評価結果を処遇に結びつけないこと。

*真に改革的で発展的な評価制度をつくるうえでの大原則は、(i)基準が
合理的であり、構成員が積極的に支持するものであること、(ii)透明性
があり、すべての審査内容を公表するしくみであること、です。この2
点が守られないシステムは、教育を発展させるどころか後退させます。

教育現場における効果的な評価システムについて学究的検討を重ね、世
に誇れる評価制度の確立を求めます。

(7)女性の昇格・昇進
女性に不利となっている人事査定を、公正で透明なものとすること。

*現在、全国的な実態として、女性の事務職員は係長以上のポストにつ
きにくいという状況があります。より公正で透明な人事査定を求めます。

(8)能力主義・成果主義

(i)公正な評価方法と透明性のある運用について議論を尽くすこと。

(ii)人事における能力主義・成果主義を強化しないこと。

*教育現場には人事考課制度はなじみません。

(9)退職金

(i)退職金の支給水準が現行以上とすること。

(ii)他機関との勤続年数通算のしくみを確立すること。

(10)休息
休息時間について、現行水準を実質的に下回らないように保障すること。

*いまは労働時間内に30分の休息時間があります。しかし、労働基準
法は最低の基準を定めたものであるため、同法は、労働時間内の休息時
間を保障していません。現行水準以上の休息時間を就業規則などに明記
してください。

(11)特別休暇
有給の休暇について、現行の種類・水準を下回らないこと。

*産前・産後休暇、育児休業については、とくに実態にみあったものと
してください。奈良県では少子化傾向が著しく出生率は1.21(20
02年・少ない方から3番目・全国平均1.32)です。そのため、県
も少子化対策として「結婚ワクワク 子どもすくすくプラン」を策定し、
企業・行政・県民が連携して活動を推進しています。

教育系大学にとって、こうした施策に積極的に呼応することはだいじな
責務ではないでしょうか。空洞化し孤立化する子育て・教育を改善し、
奈良県が子育て・教育の先進県になるために、諸制度の充実を求めます。

(12)育児休業・介護休業
育児休業・介護休業について、現行水準を下回らないこと。

(13)任期付き教員の育児休業・介護休業
「育児・介護休業法」に準じて、任期付き教員にも育児・介護休業を保障すること。

*いまは任期付き教員も育児休業と介護休業をとることができます。し
かし非公務員化された場合に適用される「育児・介護休業法」は、期限
付き雇用の労働者には適用されません。法の運用の改善か、大学の就業
規則による保障を求めます。

(14)休職・復職

(i)本人の同意なしに休職させることができるのは、次の場合に限ること。

◇結核性の病気による休職・・・・・・3年間(2年間有給)
◇結核性の病気以外の心身の故障・・・3年間(1年間有給)
◇刑事事件に関し起訴された場合・・・裁判所に係属する間

(ii)次の各号に該当する場合は、本人の申し出により有給で休職できるとすること。

◇公務災害による長期療養・・・・・・完治に要する期間
◇人事院の指定する公共施設での学術に関する調査、研究、指導の業務に従事
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3年以内
◇科学技術に関する国と共同して行われる研究などの業務に従事
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3年以内
◇災害で生死不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3年以内
◇公務上の災害で生死不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3年以内
◇組合専従休職・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・通算5年以内

(iii)復職は、原則として休職前の役職に復帰するとすること。

(15)配置換・転籍

(i)当人の事情を踏まえること。

(ii)職種をまたがる配置換・転籍をおこなわないこと。
     

(16)出向

(i)出向にあっては使用者が変わるのであるから、当人の同意を必要とすること。

(ii)労働条件の後退をさけること。

6.安全・衛生について

(1)労働安全衛生法その他の関係法令を遵守し、教職員が安全に就労できる
環境を整えること。

(i)給食調理場や授業や実験をおこなう教室の気温を適切にするための予算
措置をすること。

(ii)職員の談笑質・休息室の整備にとりくむこと。

(iii)同78・79条にそって、上記のことなどに関する改善計画書を作成
し、職場に示すこと。

(2)教職員の健康増進と危険防止のために必要な措置を講ずること。

(i)定期健康診断を実施すること・・・健康診断は労働時間に含めること。
個人情報の管理を徹底すること。

(ii)人間ドック受診のための援助をすること。

(3)職場の安全性の点検を日常的におこなうこと

7.業務上の災害について
労働基準法および労働者災害補償保険法にのっとり、適法な規程を設けること。

8.不服申し立て制度について

(1)人事院の管轄下から外れることに鑑み、教職員にとって不利益な決定や
処遇があった時のために不服申し立て委員会を設けること。

(2)不服申し立て委員会は、原則として次のようなしくみとすること。

(i)委員の構成

大学教員・・・1〜2名選出。
事務職員・・・2名選出。
附属学校教員・・各附属より1名選出。
労働者代表・・1名選出。

(ii)任期は1年とすること。

(iii)委員会は委員長を互選で決めるものとすること。

(iv)委員長は申し入れがあったら2週間以内に委員会を招集しなければなら
ないものとすること。

(v)委員会は結論を必要関係機関に具申しなければならないものとすること。

(vi)その他、必要な事柄について、別途規定するものとすること。

*企業においては、労使共同での委員会を設けているところが一般的で
す。また、専門部会資料のあちこちに、「国家公務員法や教育公務員特
例法の例による」という文言がありますが、それらの法律は法律全体と
して機能しているものですから、それらの例によるのであれば、不服申
し立て制度など重要なしくみについては併せて取り込むことが必要だと
考えます。

労使協定として設けることも含めて、誠実な対応を望みます。

9.生活と権利を守る労使関係の構築について

(1)職場や組合との誠実な交渉

(i)職場や組合との交渉を誠実におこなうこと。

(ii)就業規則などの作成にあたっては、早期にその案を示して構成員の意見
を聴取し、その実現に最大限努力すること。

*参議院附帯決議・21「法人への移行に際しては、『良好な労働関係』
という観点から、関係職員団体等と十分協議が行われるよう配慮するこ
と。」とありますから、この国会決議を尊重する立場にたってください。

(2)過半数代表制の公正な運用
就業規則への意見反映、労使協定締結のための過半数代表制を公正に運用すること。

(3)組合加入妨害の禁止
教職員の組合加入を妨害しないこと。

*組合加入を妨害するなど、正当な組合活動の妨害は違法行為です。

(4)正当な組合活動の保障

(i)正当な組合活動を制限するような内容を就業規則に盛り込まないこと。

(ii)とりわけ、「服務に関する規程」については、労働基準法施行規則第5
条の「労働契約に明示すべき労働条件」に含まない事項であることから、こ
れを就業規則に入れないこと。



II.附属校・園の労働条件などについて−就業規則などに関する要求として 

新法人の長に予定される職にある者として、次のことを就業規則などに明記す
るよう努力してください。

1.採用
(1)採用については、附属学校の意思を尊重し、学長が任命すること。

(2)試用期間は3ヶ月とすること。
     
*試用期間の長さは当事者の合意に委ねられ、一般常識的には2〜3ヵ
月となっています。また、最高裁判例(試用期間の運用)でも、「解約
権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し、社会通
念上相当として是認されうる場合にのみ許される。」とされています。

人事院規則には「条件付任用期間」の定めがあります。しかし、教員に
ついては、教育基本法第六条に「教員の身分は、尊重され、その処遇の
適正化が期せられなければならない」と規定されていることや、教育公
務員特例法の趣旨に照らして、慎重に運用されてきました。

こうした点から、解約権留保については教育系大学としての見識にかなっ
た運用を求めます。

また、定めをおくときには、「短縮することができる」「設けない場合
もある」「地方自治体などの職員から大学の職員となった者については
この限りでない」などの運用規程も策定してください。

2.昇格・降格

(1)昇格・降格の基準をふくむ人事についての運用事項を明確に示すこと。

(2)附属学校・園や本人の意思を尊重すること。

(3)本人が希望する場合は、教頭を勤めている者が教諭に降格できるとすること。

*全国的には例があるし、文科省も前向きなのではないかと思われます。

【朝日新聞・9.13・一部改め】 文科省は、校長や教頭が自ら望ん
で降格する「希望降任制度」の実施状況も調査。今年4月現在で制度が
あるのは19教委。昨年度は16教委で計49人が利用。校長から教頭
への降任はいなかったが、校長から教諭への降任は2人、教頭から教諭
への降任は44人、その他3人。

(4)(3)以外の降格については、国家公務員法第78条に準じておこなう
こと。ただし、同条が本人の意に反して降格・免職できるケースの例としてあ
げている、「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生
じた場合」については、法人化前と後とでは前提としての大学制度が異なるの
で、これを転用しないこと。

(5)本人に不服がある場合は不服申し立てできる制度を設けること。

3.定年

60歳とすること。

4.給与・手当

(1)給与・手当

(i)教職調整額(4%)や地域調整手当(3%)などを含め、給与の種類や率
を現状維持すること。また、幼稚園教諭については、小・中との権衡上必要な
措置を講ずること。

(ii)義務教育等教員特別手当にあたるものを設けて、月例給の6%相当額とす
ること。幼稚園教諭も6%とすること。

*「義務教育等教員特別手当」は、はじめ4%でスタートし、後に6%
に増額、その後再び4%に減額されたままになっています。全国小学校
校長会も、「義務教育等教員特別手当の額を引き上げ、定率とされたい。」
と文科省に要求中ですし、多くの団体が6%への回復運動をすすめてい
る最中です。

また、参議院附帯決議・22「公立の義務教育諸学校の教職員の処遇につ
いては、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員
の人材確保に関する特別措置法を今後とも堅持し、国家公務員に準拠す
る規定が外されることにより同法の趣旨が損なわれることがないよう、
十分配慮すること。」とあります。法規定から外れても「人材確保に関
する特別措置法を今後とも堅持」すべきであるとしているのですから、
この附帯決議は、国立大学法人の附属学校・園にもそのまま当てはまる
ものです。また、附属学校・園教員としての職責を考えると、公立校・
園以上の手当が支給されてしかるべしと考えます。

(iii)人事交流促進の点からも、全体として、公立学校・園の水準を確保する
こと。

(iv)人事考課制度は教育現場にはなじむものではないので、業績給・手当は、
ボーナスの勤勉手当のみとし、その場合の支給格差をできるだけ小さくするこ
と。

(v)非正規職員についてもボーナスを支給すること。

(vi)教員特殊勤務手当は公立学校・園の水準にすること。クラブの引率費、指
導費についても、現行を下回らない範囲で別途定めること。

(vii)公立校・園からの人事交流者の初任給決定に当たっては、前歴計算によ
るだけでなく、公立校・園での給与月額を下回らないとすること。

(viii)住宅手当のうち、自宅を所有している教職員への月額1,000円の支給に
ついては、それを維持すること。

(ix)時間外勤務を命じた場合の割増賃金については、労使間で充分な合意を築
くこと。

(2)退職手当

(i)現行の水準を維持すること。

(ii)公立校との人事交流の観点から、勤続年数が連続して計算されるとすること。

5.人事考課制度

導入しないこと

6.労働時間、休日

(1)労働時間

(i)始業時刻・就業時刻は、各職場の実態に合わせて、教職員の意見を尊重し
て別途規定すること。

(ii)個々の教職員の始業時刻、終業時刻の管理は各学校・園の管理職が責任を
持つとすること。

(iii)職責遂行のために通常の勤務地を離れて労働した場合も、職場管理職の勤
務時間管理により、労働時間に含めることができるとすること。

(iv)職場の実態に合わせて休憩・休息時間を設けること。また、休息時間を現
行水準を実質的に下回らないように保障すること。非正規職員についても、正
規職員に準ずること。

(v)原則として、所定労働時間を超えた労働及び休日労働を命じないとするこ
と。

(vi)法定労働時間を超える労働があらかじめ予想される場合には、労働協約な
どに前もって定めること。

(vii)特別な形態による労働が必要な場合には、労使協定などに前もって定め
ること。

*変形労働時間制を導入する場合も教職調整額(現行相当額)を支給し
てください。「変形」にしたとしても年間の総労働時数は今と変わらな
いわけですから、教職調整額の減額や不支給は労働条件の不利益変更に
なります。変形労働時間制の導入により教職調整額(相当額)が支払わ
れなくなるようなら、労働協約・労使協定には応じられません。

(viii)申請があった場合には、育児時間、部分育児休業、部分介護休業を認め、
勤務時間を短縮すること。

(ix)妊婦の労働時間軽減について各職場の労働実態を考慮した規定を設け、代
替員も確保すること。

(2)以下の日を休日とすること。

(i)国民の祝日

(ii)次の場合

◇「国民の祝日」が日曜日にあたる時の翌日。
◇前日及び翌日が「国民の祝日」である日。
◇12月29日から1月3日まで。

(iii)毎週の土曜日、日曜日。

7.休暇

(1)現状を維持すること。

(2)以下のことについて実現・改善すること。

(i)年次休暇−正規職員については、採用年度当初から20日間とし、20日
を限度として当該年の翌年に繰り越せるとすること。

非正規職員についても、労基法にのっとり適法に規定すること。また、正規職
員の水準に近づけること。

1時間単位の取得も可能とすること。

(ii)産前休暇−8週間とすること。また、産後休暇との一体化をはかること。

*現在の附属校・園における労働の実態から考えると、産前休暇6週間
では母子ともに危険な状態に陥る可能性があります。また、学校・園の
職場は他職種の職場と比べて妊娠・出産における異常の割合が高いとい
う報告もあります。過去において産休前に特別休暇を取得した例を調べ
るなど、実態把握に努めてください。

また、国家公務員は産前6週間・産後8週間ですから、予定日より出産
が早かった場合は産前休暇は短くなります。その点、奈良県の教職員に
は出産休暇として16週間が保障されており、出産日いかんにかかわら
ず16週間の休暇がとれます。産前・産後を一体化した制度にしてくだ
さい。

(iii)病気休暇−1時間単位の取得も可能とすること。また、非正規職員にも
規定すること。

(iv)リフレッシュ休暇−リフレッシュを目的として、勤続年数10年を迎える
年度に5日、勤続年数20年・30年を迎える年度に7日とすること。

*「リフレッシュ休暇」制度は、奈良県の教職員にはすでに導入されて
いますし、近畿圏の企業でも40%が実施している(人事院近畿事務局
 2003.7)ようです。

(v)研修休暇−あらかじめ期間を定め、特別な研修(大学院・海外など)がお
こなえるとすること。

(3)特別休暇の請求は取得開始後においてもできるとすること。

8.休業

(1)育児休業、育児部分休業、介護休業、部分介護休業をおくこと。

(2)育児休業

(i)3歳に満たない子の養育を必要とするものは、育児休業できるとすること。

(ii)期間の延長又は再度の申請も、同一の子について1回に限り可能とすること。

(iii)法人の長は育児休業を取得することにより不利益を与えないこと。

(3)部分育児休業

(i)教職員のうち、3歳に満たない子の養育を必要とするものは、部分育児
休業できるとすること。

(ii)男性教職員は2時間、女性教職員は、保育の時間30分2回と合わせて、
3時間まで、それぞれ勤務時間を減じられるとすること。

(iii)その他は育児休業制度に準じるものとすること。

(4)介護休業

(i)教職員の家族で疾病のため介護を要する者がいる場合は、介護休業できる
とすること。

(ii)「家族」は下記のように定めること。

◇配偶者
◇子・父母
◇配偶者の父母
◇同居または扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫

(iii)連続する6ヶ月までとし、休業中の代替員を可及的速やかに措置すると
すること。

(iv)期間の延長又は再度の申請は同一家族につき原則1回はできるとすること。

(v)法人の長は介護休業を取得することにより不利益を与えないこと。

(5)部分介護休業

(i)教職員の家族で疾病のため介護を要する者がいる場合は、部分介護休業
できるようにすること。

(ii)「家族」の定義は(4)(ii)に準じること。

(iii)勤務時間を2時間減じるとすること。

(iv)その他は介護休業制度に準じるとすること。

9.研修

(1)学長は、個々の教職員の研修について、それを奨励し、必要な教育・研
修の機会を保障するとすること。

*教育公務員特例法を制定するとき事務系職員などもその対象とすべき
であったと思いますが、そうした主張があったにもかかわらずそれらの
職種は対象外とされました。その結果、今日に至り、大学における附属
学校・園の職員に対する研修内容の体系化やその実施は不充分であると
言わざるをえません。

たとえば、奈良県教育委員会では栄養士に対する研修制度を定めていま
す。しかし、付小では、前任者に尋ねたり、過去の記録を調べたりする
ことが中心となっています。附属校・園における事務内容は、大学内に
あってはやや特異な内容を含んでおり、かつ教育実践とも深く関わって
いるものです。早急に体系的な研修制度・内容の確立が必要です。

(2)教職員は、附属学校・園におけるそれぞれの職責を遂行するために、
絶えず研修に努めなければならないとすること。

(3)教職員は、授業や業務に支障のない限り、校・園長の承認を得て、職場
を離れて研修することができるとすること。

(4)次のそれぞれについて制度を設け、別途細則を規定するものとする。

◇学期中の研究制度  
◇長期休業期間における研究制度
◇大学院などにおける研究制度 
◇初任者研修制度   
◇10年経験者研修制度        
◇職務上必要な免許取得のための研修制度

10.代替要員を確実に確保できるよう、予め相当額の交付金を要求すること。

*「育児休業等労働者福祉法改正案趣旨説明」で、坂口厚生相(2001.11
当時)は、次のように述べています。

<改正の目的>、、、雇用の分野における実質的な男女の機会均等や
男女共同参画社会の実現、、、少子化の背景として、仕事と子育ての
両立の負担感が増大、、、。

<代替要員の確保>事業主が育児休業中の労働者の代替要員を確保し
やすくすることは、育児休業をとりやすい職場環境の整備という観点
からも重要であると考える。

このため、平成12年度より、育児休業中の労働者の代替要員の確保
等を行う事業主に対する助成金制度を設けている、、、代替要員の確
保が進むよう環境整備に努める。

産休・育休はもちろん、病休や介休、妊婦の労働軽減については、その
代替保障がなければ実質取得できません。教育現場の実態をふまえた規
則化をつよく求めます。

政府においても、少子化対策として、こうしたことを積極的におしすす
めているときです。

11. 出張

(1)業務上また研究上の必要が明らかなときにのみ校長から出張を命じられ
るものとすること。

(2)「出張規程」を別に定めること。

12.危機管理

園児・児童・生徒の事故・負傷、火事・地震などの災害発生時などにおける危
機管理マニュアルについては、専門家も招聘してプランを作成すること。

13.災害補償

(1)業務上の災害については、労働基準法および労働者災害補償保険法の定
めるところにより、適法な補償をおこなうこと。

(2)通勤上の災害についても、(1)に準ずること。

(3)労災の内容の判定に当たっては、当人の意見はもとより、事故発生時の
状況を丁寧に調査して、客観的判定ができるよう努めること。

(4)労災の判定に不服がある場合は、不服申し立て委員会に申し立てができ
るようにすること。




III.政府・文部科学省に対する要求として 

新法人の長に予定される職にある者として、次のことを政府・文部科学省に要
求してください。

1.衆議院と参議院の附帯決議を実行すること。

2.恒常的業務に長期にわたって就いている日日雇用職員や時間雇用職員を正
職員として雇用できるように、交付金を措置すること。

*国立大学の法人化をめぐる国会審議では、この問題を正面から論じる
時間がありませんでした。しかし、非常勤職員に関する問題は重大な人
権侵害だと思います。

ヨーロッパ諸国では同一労働同一賃金が常識的原則だそうです。「同一
賃金、同一労働」、これはだれが考えても当然のことです。しかし、現実
には、正規職員とほとんど同じ仕事をしているにもかかわらず、3月3
1日だけ解雇されて4月1日から勤務再開という歪んだ形で雇用されて
いる非常勤職員が全国の大学に多数います。

日本は、全体としてパート労働者の人権問題に対する理解が低いのでは
ないでしょうか。国立ではないとしても、文部科学省が管轄する公的な
法人である国立大学法人においてこのような法律違反すれすれの実態が
続くことは、社会に対してもよくないことです。

公的法人としての社会全体をよい方向に導く責務からも、この問題の抜
本的な改善をつよく求めます。

3.運営費交付金については、現行の教育研究を確実に実施できるとともに、
現行の労働条件を確実に維持できる額を保障すること。

(1)国会の附帯決議にしたがって運営費交付金の算定基準を早急に明らかに
すること。また、研究・教育活動にとって合理的なものにするために、大学の
意見を聞くこと。

(2)一律に効率化係数を押し付けないこと。

(3)基本給などは、法人化に際しても現在の水準が維持できるようにするこ
と。また、教職調整額・地域調整手当など、支給についての法的根拠が失われ
るものについても何らかの保障をすること。

4.労働安全衛生法の基準を満たすこと。

労働安全衛生法の基準を満たすために、各大学、部局の実態調査に基づき、予
算・人員の裏付けある措置をただちに実施すること。その際、学生の安全につ
いても考慮すること。

*職場の安全や健康に関する基準は、非公務員化されると人事院規則
16-4から労働安全衛生法にかわりますが、労働安全衛生法違反は刑事罰
に処せられます。しかし、法人法案審議過程で、政府の予算措置がきわ
めて不十分であることが明確になりました。労働安全衛生法の基準を満
たさずに法人化を実施することは許されません。

また、労働安全衛生法は労働者を対象にしたものなので、学生が保護の
対象から外れています。学生の安全と健康もあわせて考慮すべきです。

5.中期目標・中期計画の策定や業績評価にあたっては、大学の自治と教育・
研究の自主性を尊重すること。

(1)文部科学省は、中期目標の設定に際し、大学法人の意向を尊重し、文部
科学大臣の意向の押し付けを行わないこと。

(2)文部科学省、総務省は、中期目標・中期計画の評価を国民に開かれたも
のにすること。

6.準備と移行に必要な予算・人員・時間を保障し、現在の大学運営の重荷と
ならないようにすること。また、移行作業のための超過勤務を最小限度にとど
め、超過勤務に対しては確実に超勤手当を支給すること。

*大学の事務職員のこの間の事務量は大変なものになっています。11
時、12時にも電燈がついているのが日常茶飯事ということです。自殺
者の出ている大学もあるようです。