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国立大学独立行政法人化の諸問題: 国会審議の形骸化


8/05 「都立の新しい大学の構想について」に対して抗議する荒廃の諸相 , 国会審議の形骸化 , 大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 不当な介入
7/27 櫻井よし子: 国立大学を潰す「遠山」文科省国会審議の形骸化 , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法
7/26 イラク特別措置法可決における与野党談合?メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 国会審議の形骸化
7/22 黒田清「批判ができない新聞」メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 国会審議の形骸化 , 天下り , 本の紹介

2003年08月05日

「都立の新しい大学の構想について」に対して抗議する

1)「都立の新しい大学の構想について」の内容について

「まったく新しい大学」を標榜しながら、その内容は、「都市」、
「教養」等、さんざん取りざたされてきたキーワードのつぎはぎと、
「観光・ツーリズム」、「メディア・アート」、「産業系デザイン」
等、各種専門学校等でなされてきた教育の「剽窃」に過ぎない。結
局、予算削減、大学教職員の労働条件の悪化をねらいとする「改悪
案」そのものであり、本質的な「改革」の名に値するものは、どこ
にも見当たらない。

2)「都立の新しい大学の構想について」が出された経緯について

組合は大学管理本部主導で策定された「大学改革大綱」に反対して
きた。それはそれとして、今までの大学「改革」案は、きわめて不
十分ながらも、大学側が意向を表明する場が設けられ、そこでの意
見を多少なりとも踏まえて作成が進められてきた。しかし今回出さ
れた「構想について」は、執行部を含め当事者である大学を完全に
閉め出した「密室」で作成され、大学側に何の相談もなくいきなり
出されたものである。もし今までの「改革」案に問題があるという
のなら、問題があると考えた側が大学側とひざを突き合わせてどこ
に問題があるのかを話し合った上でその解決をはかるべきである。
これまで検討されてきた大学「改革」は、都立4大学の統合・改組
であった。今回発表された「都立の新しい大学の構想について」は、
当事者である大学にひとことの相談もなく出され、手続き的にも正
当性があるとは到底認められない。大学管理本部は、このような乱
暴なトップダウン方式で、大学改革が本当にうまくいくと考えてい
るのであろうか。

3)一方的な賃金・労働条件の変更は認められない

 「都立の新しい大学の構想について」では、教員の任期制や年棒
制の導入と業績主義の徹底が盛り込まれている。また、「大学改革
大綱」とは、全くことなる学部構成とそれに伴うキャンパス配置も
発表された。教員の任期制や年棒制の導入、新たなキャンパス配置
に伴う勤務地の変更などは、賃金・労働条件の著しい変更であり、
労働組合との協議すら開始しない段階で、一方的に発表することは
許されない暴挙である。大学管理本部に対して、厳重に抗議する。

4)政治的、社会的、法的問題について

7月1日参議院総務委員会における「地方独立行政法人法案」の採
決にあたり、以下のような付帯決議がなされた。

 二、地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条
件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎
通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。

. 六、公立大学法人の設立に関しては、地方公共団体による定款の
作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可等に際し、憲法が保障す
る学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、大学の自主性・
自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずること。

新構想は新大学の根幹をなす学部構成や、教職員の労働条件等につ
いて、当事者である大学側の意向を形式的に聞くことさえせずに出
されたもので、以上の付帯決議の趣旨に違反することは明白である。
「地方独立行政法人法案」や「国立大学法人法案」の国会審議で指
摘された問題点を、全く顧みないものであり、大学関係者のみなら
ず、良識ある多くの国民・都民の批判は免れることができない。以
上の点から、私たち都立の大学に働く教職員は、「都立の新しい大
学の構想について」の撤回と、都立4大学教職員との協議と合意に
基づく、新大学設立準備を、強く求めるものである。

2003年07月27日

櫻井よし子: 国立大学を潰す「遠山」文科省

週間新潮 2003.7.17 p146-147 連載コラム 日本のルネッサンス第76回

「確実に日本の力を削ぎ落としていく国立大学法人化法
案が、7月8日参議院文教科学委員会で可決された。・・・
この法律で、日本の知の拠点である国立大学の教育、研
究は自滅していくと幾千もの教授たちが語る。

・・・東大理学部教授の松井孝典氏もそのひとりだ。教
授は地球の起源と成り立ちを説いた新理論を、1986年、
『Nature』誌に発表、世界の注目をあびた気鋭の学者で
ある。・・・

「本当に重要なのは、くだらない研究をいかにやらない
かです。一流かどうかは、ここでわかれます」

くだらない研究とは、ある種の見当がつき、経費も大よ
そ予想できるような研究である。プロの研究者なら目を
つぶっていても書けるつまらない研究が、法人化された
大学で幅をきかせるようになるのは風に見えている。意
味ある研究は退けられ、近視眼的研究と考え方のみがは
びこっていくなかで、官僚は580にのぼる理事、監事職
に天下り、1500から2000万円近くの高給を食む。遠山氏
はじめ文科官僚らがこの国の大学を食い潰していくの
だ。」

2003年07月26日

イラク特別措置法可決における与野党談合?

旧態依然の与野党談合でイラク特措法が可決された、という以下
の記事が正しければ、自由・民主が合流などしても国民からの支
持などありえず、政権交代などあろうはずはない。「野党攻撃」
の世論操作の可能性はある。記事が正しくないのであれば、民主
党は、正式に抗議すべきであろう。


北海道新聞2003年7月26日付け
週末の採決 暗黙の了解 ーー野党 抵抗姿勢のアピール

「イラク復興支援特別措置法をめぐる与野党攻防の決着が26日
未明にもつれ込んだのは、秋の衆院解散・総選挙が現実味を帯び
る中、週末は選挙区に戻りたい与野党の思惑が一致した結果だっ
た。野党側は二日連続の未明の審議で抵抗姿勢をアピール。一方、
与党側は会期末の28日まで同法案を持ち越すと不測の事態もあ
り得ると計画、解散風が与野党の「談合」を成立させた。」

「やろうと思えばいくらでも長引かせられるが、日付
けが変わればいいんじゃないか。土曜、日曜(に審議する)なんて
なったら、みんなに一生恨まれる」。民主党の国対幹部は25日
午前、国会内で記者団にこう漏らした。・・・・「あまり与党を
刺激しすぎて本当の解散となっても困る」(民主党国対幹部)か
らで、同日朝の野党参院国対委員長会談でも「25日中の成立は
阻止する」と確認するにとどまり、26日未明の成立を容認、「
徹底抗戦」の旗は早々に降ろしていた。・・・・」

2003年07月22日

黒田清「批判ができない新聞」

日本との対話:不服の諸相 ロナルド・ドーア編 岩波書店 94年


黒田清
「(p.298〜 批判ができない新聞)日本のメディアは(中略)本来は現実
批判がもとにあったと思うんですが、気がついたら、批判できないよう
になっている。非常に大きいのは、政治についての批判がぎりぎりのと
ころでできなくなったことです。不幸なことに高度成長で日本の新聞社
は読者も増える、ページ数も増えるなど、いろいろなことで社屋を大き
くしなければならなくなって、特に東京で社屋の土地が無かったから、
自民党に頼んで国有地を安く売ってもらった。読売、朝日、毎日、産
経、みんなそうです。とても大きな借りを作ってしまった。だから新聞
記者が一生懸命何かを書こうと思っても、中枢のところで握手をしてい
ますから、突破できない。もう一つは、日本の新聞社の経営は、自己資
金が少ない。たとえば朝日や読売にしても、資本金は一億か一億五千
万、いま増資して三億とか五億とか、せいぜいその程度でしょう。そし
て銀行は、新聞社と手を結んでおいたらいいということで、ずっと貸し
ていた。この10年ほどで、その借入金が一桁か二桁、また増えたわけで
す。これはご存知のようにコンピュータシステムをとりいれたからで
す。そうなると金融機関に対するチェックは非常に甘くなりますね。だ
から、そのあと、土地問題、不動産問題、銀行の不正融資と、表に出て
いるのは知れたもので、さらにひどいことが金融機関をめぐってはやら
れていますよ。けれども、新聞はさわっていませんね」

(p.303)「はずかしいけれど、そう言われてもしかたないと思いますよ。
特に私は読売新聞にいましたから。読売新聞の幹部がどういう考えで新
聞をつくっているかというのは、社内に発表される社内報で知っていま
すから。それに私自身が辞める前は編集局次長で首脳会議に何年か出席
していたわけですからね。その時に驚いたのは、新聞記者、ジャーナリ
スト、マスコミの役割は−−あの人たちにはジャーナリストもマスコミ
もみんな一緒です−−政府が行政を行うのをサポートすることだ、と言
われたことです。私は三十年以上政府権力をチェックするという考え方
だったんですけれど、最後の数年は、サポートするんだとトップは考え
て紙面を作るようになっていた」