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国立大学独立行政法人化の諸問題: 任期制の諸問題


5/23 再任拒否の処分性を認めた韓国大法院の判決任期制の諸問題
4/01 井上事件京都地裁判決文 2004.3.31任期制の諸問題
3/02 3・28講演とシンポジウム「任期制・年俸制導入と評価制度は大学と教育をどう変えるか」大学評価 , 東京都の大学支配問題 , 任期制の諸問題 , 不当な支配に直面する横浜市立大学
2/28  京都大学井上事件(再任拒否)裁判の経過報告(3月31日の判決へ向けて)任期制の諸問題
12/07 横浜市立大学名誉教授・教授等有志声明:「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う研究者から社会へ , 大学の自治 , 大学界の自治 , 任期制の諸問題 , 不当な支配に直面する横浜市立大学
11/29 週刊新潮 12/4: <教授追放!「京大医学部」を揺るがす「白い巨塔」事件>任期制の諸問題
11/27 井上一知教授の京都地裁宛陳述書/京大再任拒否事件任期制の諸問題
11/25 任期制の恣意的運用ーー放送大学1988年任期制の諸問題
11/22 大学の教員等の任期に関する法律をめぐる国会議事録の整理任期制の諸問題
11/14 (週刊朝日2003-8-29) 成果主義の「崩壊」 給料と直結やめた1部上場企業も荒廃の諸相 , 人事 , 大学における不当解雇 , 大学の労使関係 , 大学評価 , 任期制の諸問題
10/23 神奈川新聞社への横浜市立大学教員組合書簡メディアの情報操作 , 地方独立行政法人制度 , 任期制の諸問題 , 不当な支配に直面する横浜市立大学
10/07 大学改革案における教員任期制の導入に関する横浜市立大学商学部教授会意見大学の自治 , 大学の労使関係 , 地方独立行政法人制度 , 任期制の諸問題 , 不当な介入 , 不当な支配に直面する横浜市立大学
10/03 「全員への任期制導入」案へ横浜市立大学商学部教授会が反対の意志表明へ大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 任期制の諸問題

2004年05月23日

再任拒否の処分性を認めた韓国大法院の判決

韓国大法院2004年4月22日宣告トウ7735「教員再任用拒否処分取消」について、神戸大学大学院法学研究科の阿部泰隆教授が解説。京大井上教授再任拒否事件にも言及。

韓国大法院2004年4月22日宣告トウ7735 教員再任用拒否処分取消

主文:原審判決を破棄し、事件をソウル高等裁判所に差し戻す

理由:「旧教育公務員法(1999・1・29の法律5717号で改正される前のもの)第11条第3項、旧公務員任用令(2001年12月31日の大統領令第17470で改正される前のもの)第5条の2第2項が国・公立大学に勤務する助教授は4年以内の任期を定めて任用することを規定することによって原則的に定年が保障される教授等の場合と差をおいているのは、任期が満了したとき教員としての資質と能力を再度検証して任用することができるようにすることによって定年制の弊害を補完しようとするところにその趣旨があるため、任期を定めて任用された助教授はその任期の満了で大学教員としての身分関係が終了するというべきである。

しかし、大学の自律性及び教員地位法定主義に関する憲法規定とその精神に照らし学問研究の主体である大学教員の身分は、任期制で任用された教員の場合も、一定の範囲内で保障される必要があり、たとえ関係法令に任用期間が満了した教員に対する再任用の義務や手続き及び要件等に関して何ら規定をおいていなかったといえども、1981年以来、教育部長官は、任期制で任用された教員の再任用審査方法、研究実績の範囲と認定基準、審査委員選定能力等を詳細に規定した人事管理指針を各大学に示達することにより再任用審査に基準を設けており、これに従って任用期間が満了した教員らは人事管理指針と各大学の規程による審査基準によって再任用されてきており、その他任期制で任用された教員の再任用に関する実態及び社会的認識等、記録に示された種々な事情を総合すれば、任期制で任用され、任期が満了した国・公立大学の助教授は教員としての資質と能力に関して、合理的な基準による公正な審査を受けその基準に適合すれば特別の事情がないかぎり再任用されるとの期待を持って再任用いかんについて合理的な基準による公正な審査を要求すべき法規上又は条理上の申請権をもつものとすべきであり、任命権者が任期が満了した助教授に対して再任用を拒否する趣旨で行った任期満了の通知は上記のような大学教員の法律関係に影響を与えるものであり行政訴訟の対象となる処分に該当するというべきである。

大法院判決が、任期制にもかかわらず、再任拒否を処分と認めた理由は、大学の自律性、教員地位法定主義に関する憲法規定等に照らし、学問研究の主体である大学教員の身分は、任期制で任用された教員といえども、一定の範囲内で保障される必要があるという点にあり、学問の自由を害しないことは明らかとする京都地裁判決との違いに愕然とする。

また、この判決は、再任用の義務や手続及び要件に何ら規定がなくても、教育部長官は人事管理指針を示していること、これまでの再任用に関する実態などを理由に、再任用について、「合理的な基準による公正な審査を受けその基準に適合すれば特別の事情がないかぎり再任用されるとの期待を持って再任用いかんについて合理的な基準による公正な審査を要求すべき法規上又は条理上の申請権をもつものとすべきであり、」「任期満了の通知は・・・処分に該当する」という。これは、法規がなくても、条理上の申請権があるとか、合理的な基準による公正な審査を要求するということで、まさに私見とも一致する。

京都地裁は、再任審査基準が内部基準であり、職務上の基準にすぎないとするが、これはおそらくは、憲法は眼中になく、実定法の条文だけ見るいわゆる制定法準拠主義の発想であり、法治国家の考え方を逆用して、法律が不備な場合には一切救済しないという放置国家に陥っているものである。しかし、法律が不備な場合には、憲法に遡って考えるのが法律解釈学の常道である。そうすると、法律が不備なら、その法律が憲法に適合するように解釈するとか、憲法に適合するようにしないと違憲との解釈(韓国の憲法不合致判決)を行い、行政訴訟の対象となるように、「処分性」を認めるべきことになる。韓国の判例はこのような常識的な法解釈手法をとっているのである。京都地裁の判決は、法解釈の基本を知らないものである。

二  再任基準と救済などを求めた韓国憲法裁判所の違憲判決

旧私立学校法第53条の2第3項、違憲訴願(2003年2月27日、2000憲パ26全員裁判部)

[決定要旨]

ア. 教育は個人の潜在的な能力を開発せしめることによって個人が各生活領域において個性を伸張できるようにし、国民に民主市民の資質を育ませることによって民主主義が円滑に機能するための政治文化の基盤を造成するだけでなく、学問研究等の伝授の場となることによってわが憲法が指向している文化国家を実現するための基本的手段となっている。教育・・・のような重要な機能に照らし、わが憲法第31条は学校教育および生涯教育を含めた教育制度とその運営、教育財政および教員の地位に関する基本的事項を法律で定める(第6項)ことにしている。したがって、立法者が法律で定めるべき教員の地位の基本的事項には教員の身分が不当に剥奪されないようにすべき最少限の保護義務に関する事項が含まれるのである。

イ. (1)この事件法律条項は、任用期間が満了する教員を特別な欠陥がない限り再任用すべきか否かおよび再任用対象から排除する基準や要件およびその事由の事前通知手続に関して何ら指針を設けていないだけでなく、不当な再任用拒否の救済についての手続に関しても何ら規定を設けていない。それ故この事件法律事項は、停年までの身分保障による大学教員の無事安逸を打破し研究の雰囲気を高揚するとともに大学教育の質も向上させるという期間任用制本来の立法目的から外れ、私学財団に批判的な教員を排除すること、その他任免権者個人の主観的目的のため悪用される危険性がかなり存在する。第1に、再任用いかんに関する決定は人事に関する重要事項であるため教員人事委員会の審議を受けるべきであるが、その審議を経ない場合や形式的な手続だけを経る場合が多く、はなはだしくは教育人事委員会においては再任用同意があったにもかかわらず特別な理由もなしに最終任免権者によって再任用が拒否されもした。第2に、この事件法律事項が再任用の拒否事由および救済手続について何ら言及していないため、私立大学の定款が教員の研究業績、教授能力のような比較的客観的な基準を再任用拒否として定めず恣意的に介入できる漠然とした基準によって再任用を拒否する場合には被害教員を実質的に救済できる対策がない。第3に、絶対的で統制されない自由裁量は濫用を呼び寄せるということは人類歴史の経験であるという点でみるとき、恣意的な再任用拒否から大学教員を保護することができるように救済手段を備えることは、国家の最小限の保護義務に該当する。すなわち、任免権者が大学教員をなぜ再任用しようとしないのかという理由を明らかにし、その理由について当該教員が解明すべき機会を与えることは適正手続の最小限の要請である。第4に、再任用審査の過程における任免権者による恣意的な評価を排除するため客観的な基準で定められた再任用拒否事由と、再任用から除外されることになった教員に自己の立場を陳述し評価結果に異議を提出できる機会を与えることは、任免権者にとって過度な負担にはならず、ひいては再任用が拒否される場合にこの違法いかんを争うことできる救済手段を設けることは、大学教員に対する期間任用制を通じて追求しようとする立法目的を達成するにあたっても何ら障害にならないというべきである。

(2) 以上見たように、客観的な基準で定められた再任用拒否事由と再任用から除外された教員が自己の立場を陳述できる機会、そして再任用拒否を事前に通知する規定等がなく、ひいては再任用が拒否された場合、事後にそれに対して争うことができる制度的装置を全然設けていないこの事件法律条項は、・・・大学教員の身分の不当な剥奪に対する最小限の保護要請に照らしてみるとき、憲法第31条第6項において定められている教員地位法定主義に違反する。

(3)この事件法律条項の違憲性は上に見たように、期間任用制それ自体にあるのではなく再任用拒否事由およびその事前救済手続、そして不当な再任用拒否に対して争うことができる事後の救済手続に関して何ら規定をしないことによって再任用を拒否された教員が救済を受けることができる途を完全に遮断したところにある。ところが、この事件法律条項に対して単純違憲と宣言する結果をもたらすために、単純違憲決定に代り違憲不合致決定をするのである。立法者はできる限り早早期に、この事件法律条項所定の期間任用制により任用されてその任用期間が満了した大学教員が再任用を拒否された場合に事前手続およびそれに対して争うことができる救済手続規定を設けこの事件法律条項の違憲的状態を除去すべきである。

三 違憲判決後の再任ルールの設定

韓国憲法裁判所が指摘した問題は、審査基準、事前手続、行政救済の必要である。そこで、大統領令が改正され、昨年学則が改正された。これは大要次のようである。

教育公務員法第11条の2は、契約制任用を大統領令で定めることができると定めた(1999年1月29日、本条新設)。これを受けて、教育公務員任用令(大統領令第4303号)第5条の2[大学教員の契約制任用等]第1項は、副教授以下の任期制を定めた(この細目は第5章注(13)参照)。任期は、専任講師2年、助教授4年、副教授6年(中には定年まで身分保障のある副教授もいる)、教授(任期なし)の範囲内で契約で決める。

ここでは、給与、勤務条件、業績および成果、再契約条件および手続、その他大学の長が必要と認める事項を定めることとなっている。そして、大学の長は大学人事委員会の審議を経て第1項の規定による契約条件に関する細部的な基準を定める(2001年12月31日、本条改正)となった。これは私立学校でもほぼ同様である。

再任審査は、任命権者(大学の総長、学長)が教育人事委員会の審議を経て行う(1999年8月31日、本項新設)。この人事委員会はソウル大学の学則によれば、3人(なお、新規採用では5人)の審査委員を選出する。

ここで、早大法学部助手李斗領氏が朴正勲副教授から入手して翻訳したソウル大学と法学部の規定によれば、再任審査における評価の基準は、研究実績、教育実績、奉仕実績(学内、学外)、教育関係法令遵守及び教授の品位として、それぞれ一定の割合が定められている。それは学部毎に定めるが、ソウル大学法学部の場合には、それぞれ40%、40%、10%、10%である。このほかに、受賞等を特別考慮事項として5点を加算することがある。研究実績については、助教授(任用期間4年)に必要な論文数は2点であり、副教授の再任(任用期間6年)の際には3点を満たさなければならない。論文には、秀(5)、優(4)、美(3)、良(2)、可(1)の評点がつけられ、教育実績は、修士・博士の輩出実績(修士1人13点、博士1人15点等)と学生からの講義評価により数字で示される。人格はセクハラなど重大なものを意味し、阿部はというと、大丈夫と一笑に付された。このように機械的に計算し、70%以上を満たせば、各学部人事委員会から学長に再任の推薦がなされる。

これはそれなりに客観的な判定が行われるしくみである。こうして初めて合憲であろう。無記名投票で、新規採用と同じような審査が行なわれた京大再生研とは大違いである。

Posted by tjst at 05月23日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000600.html
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2004年04月01日

井上事件京都地裁判決文 2004.3.31

井上事件 京都地裁判決 2004.3.31

      主       文
1 原告の本件訴えのうち,別紙記載の部分をいずれも却下する。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。
 (別紙)
一 被告京都大学総長に対し,以下の裁判を求める部分

1 被告京都大学総長が平成14年12月20日付でした原告を京都大学再生医科学研究所教授として再任しないとの処分を取り消す。

2 被告京都大学総長は,原告に対し,平成15年5月1日付で発効する原告を京都大学再生医科学研究所教授として再任する旨の処分をせよ。

二 被告らに対し,以下の裁判を求める部分

3 原告と被告らとの間において,被告京都大学総長が平成10年5月1日付でした原告を京都大学再生医科学研究所教授に昇任させる処分に付された「任期は平成15年4月30日までとする」との附款が無効であることを確認する。

全国国公私立大学の事件情報
京大再任拒否事件裁判京都地裁不当判決、「任期制の恐ろしさ」を全国に知らしめた!

Posted by tjst at 04月01日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000575.html
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2004年03月02日

3・28講演とシンポジウム「任期制・年俸制導入と評価制度は大学と教育をどう変えるか」

横浜市大問題を考える大学人の会主催

市大・都立大「改革案」、民間企業・前国公立研究所の経験、国立大学独法化の検討、外国の大学での経験、からの報告と討論日 時:3月28日(日) 13時20分−16時30分 (開場:13時)
場 所:情報文化センターホール (6階、Tel.045-664-3737)
1.開 会(13:20)
2.講 演(13:25−14:25)

(1) 阿部泰隆(神戸大学大学院法学研究科教授)
「大学教員任期制の法的政策的検討」

(2)永井隆雄(AGF行動科学分析研究所所長)
「成果主義賃金と大学」 

3.シンポジウム(14:30−15:30)
 松井道昭(横浜市立大学商学部教授)
 田代伸一(東京都立科学技術大学教授)
 廣渡清吾(東京大学社会科学研究所教授、前副学長、ドイツ法)
 平野信之(独立行政法人研究機関研究室長)
 日下部禧代子(跡見学園女子大学教授、前参議院議員・元文部政務次官)
 福井直樹(上智大学教授、元カリフォルニア大学教授)

4.討 論(15:40−16:20)
5.閉 会(16:30)

主催:「横浜市立大学問題を考える大学人の会」
連絡先:関東学院大学経済学部久保研究室、
 Tel:045-786-7071, e-mail: UGN14301@nifty.com
共催:横浜市立大学を考える市民の会、都立の大学を考える都民の会、横浜市立大学教員組合、東京都立大学・短期大学教職員組合

横浜市立大学と東京都立大学の「改革案」で示された、新しい大学の人事制度(任期制、年俸制、学外者が入った人事委員会、教員の評価制度、理事長職の新設等)は全国の大学や教育に影響を及ぼすように思われます。これらの人事のあり方について、知の生産のあり方や研究・教育の自由との関連で検討する講演とシンポジウムの会を開催します。

民間企業の実情や前国公立研究所の経験、国立大学独立法人化に際しての検討、 外国の大学の経験等の話題も提供し総合的に議論します。市大学長、都立大総 長他当事者もお招きする予定です。大学と研究・教育の将来にとってまだ議論 が尽くされていない重要な問題です。是非ご出席の上討論にご参加下さい。

2004年02月28日

京都大学井上事件(再任拒否)裁判の経過報告(3月31日の判決へ向けて)

http://poll.ac-net.org/2

京都大学井上事件(再任拒否)の経過報告
(3月31日の判決へ向けて)

今回の井上事件では、多くの教官・一般市民の皆様方から心暖まるご支援を賜り、心より感謝いたしております。

昨年は、京都地方裁判所(京都地裁)宛の要望書へ、実に多くの方々からご署名やメッセージをいただき、まことにありがとうございました。

京都大学ではつい最近、尾池和夫先生が新しい総長になられ、“優秀な研究者が大学に残っていられる仕組みさえあれば、基礎研究はちゃんとできる。彼らに不必要な手出しをしないことが京大の伝統です。”との見識ある発言をしておられます。今回の事件の真相を解明し、大学の自治を取り戻し,京都大学の名誉を回復するために、是非、御尽力願いたいと思います。

裁判の経過についてご報告いたします。

その後、京都地裁の御裁断により、先般(平成16年)2月18日には井上教授に対する証人尋問が行われました。傍聴席は井上教授のお人柄を慕う多くの患者さんを始めとして、関係者の方々、一般の方々、メディアの方々などで満員になり、中に入れずに外で見守ってくださった方々が多数に及びました。

一時間に及ぶ主尋問でついに井上事件の全貌が公にされました。すなわち、再生医科学研究所前所長の画策により不当・違法な再任拒否が行われたその実態が、包み隠さず細部に至るまで、リアルタイムで明らかにされたのです。被告側は、大学の自治の名のもとに行われた違法な実態・事実の呈示に対して、何の反論もできませんでした。さらに、被告側からの反対尋問は、質疑応答を含めて、被告側に与えられた30分の時間の三分の一、わずか10分が費やされただけの短い時間でした。これは、井上教授には何の非も無いので、被告側は何の質問をしてよいのかわからない、すなわち、まともな質問を探すことができないのがその理由でした。その証拠に、次元の低い、内容に乏しい質問ばかりがなされましたが、井上教授の、何の曇りも無い正当な返答により被告側は一方的に圧倒され、誰が見ても被告側の負けでした。

今回の井上教授の本人尋問で、流れが大きく変わりました。

傍聴席にお見えになられた方々は容易に事件の真相を理解することができ、“井上先生の勝利を確信した、”あるいは、“井上先生が勝利しないといけない、”との強い気持ちを抱かれたようです。私達も今回の尋問の結果、井上教授勝訴への確信を持つに至りました。

いよいよ判決の日がやってまいります。勝訴を信じて疑わない私達にとっては、この日が本当に待ち遠しい日です。それは、3月31日です。以下に詳細を示します。

判決;平成16年3月31日午後4時
    京都地方裁判所101号法廷

記者会見; 平成16年3月31日午後4時30分〜午後5時30分
     京都弁護士会館地下大ホール

なお、主尋問の最後に井上教授の陳述が認められ、井上教授による陳述が行われましたので、その時の陳述書を添付いたします。

京都地方裁判所101号法廷は、京都地裁で最も広い法廷ですので、是非、多くの方々にご参集いただきたいと存じます。大学の自治の崩壊を防ぐために、そして、学問の自由を守るために、社会正義を信じて敢然と立ち上がられた井上教授に対する暖かいご支援のほどを、今後ともに、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

        有志代表  京都大学名誉教授 村上陽太郎
              神戸大学法学研究科教授 阿部泰隆

Posted by tjst at 02月28日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000542.html
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2003年12月07日

横浜市立大学名誉教授・教授等有志声明:「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う

いま横浜市立大学でなにが起こっているかYABUKI's China Watch Room 内)

「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う声明

平成15年11月28日
横浜市立大学名誉教授・教授等有志
代表:名誉教授 伊豆利彦 教授 矢吹 晋

・・・・・そもそも大学の将来という重要な事柄が、教授会の関与を排して進められたこと自体学校教育法に抵触しかねないものであり、民主主義の原則に反するものである。行政と大学との協調と緊張という正しい関係が採れず、管理職職員とごく一部の教員によって非民主的に作成された今回の案は、いずれ大学の解体につながるものであり、この案の作成過程と内容が「学問の自由」、「大学の自治」を否定した悪例として全国に残ることを自覚しなければならない。・・・・・

2003年11月29日

週刊新潮 12/4: <教授追放!「京大医学部」を揺るがす「白い巨塔」事件>

週刊新潮 2003.12.4

教授追放!「京大医学部」を揺るがす「白い巨塔」事件

・・・・・・名門中の名門、京都大学医学部で「白い巨塔」を思わせるような事件が起きていた。今年4月ま で再生医科学研究所の教授だった井上一知氏(58)が、昨 年、外部評価委員会で教授に再任すべき、という評価を 得たにもかかわらず、教授21人で構成される協議員会が 再任を拒否。井上氏が京大総長を相手取った訴訟を起し ているのだ。教授"追放"という異例の出来事に京大内で は、今や、「昭和の滝川事件、平成の井上事件」(京大 関係者)と、称されている。・・・・・・

関連ページ:http://poll.ac-net.org/2

Posted by tjst at 11月29日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000310.html
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2003年11月27日

井上一知教授の京都地裁宛陳述書/京大再任拒否事件

京都地裁宛2003.9.2: 井上一知氏陳述書より

・・・・・何回も再任拒否の理由を書面で示していただくように求めましたが、返答をいただけませんでした。一流の専門家により、満場一致で再任可と決定された外部評価委員会の結論をないがしろにする理由をいろいろ探してみても、結局、書面に記載して公にできるような理由が見当たらなかった、すなわち公平な立場の第三者が見て納得できるような理由が見当たらなかったのでしょう。

こういう人の道をはずれることが、なんのお咎めも無く平気で世の中をはびこってはいけないのは当然でありますが、残念なことに、現状では何のお咎めも無く、しかも憲法で保障されているはずの救済の道を、京都大学内においてはまったく見いだせませんでした。そこで、真っ当な人の道を求めるために、公正で気高い御見識と御裁断を信じて裁判の道を選択いたしました。・・・・・

Posted by tjst at 11月27日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000306.html
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2003年11月25日

任期制の恣意的運用ーー放送大学1988年

大学教員の任期制を考える引用集 より

任期制と恣意的運用の問題−−放送大学の事例から−−

・・・・・当時の理事長は『この制度は裁判官の採用と同じように形式的なもので、発動することはないから、安心してほしい。先生たちはチューターのような役割で各領域の中心となり、いろいろな先生をお呼びしてよい教材をつくってほしい。任期制にこだわらず、放送大学に骨を埋めるつもりで頑張っていただきたい』とわれわれを説得した。
 公式の場での理事長の説明で納得できる内容なので、任期制についての不安は解消した。それに、筆者は、他の大学はともあれ、放送大学では大学の性質上、緩やかな形での[p.19]任期制の導入はやむを得ないだろうと思っていた。……
 放送大学では教員を再任する手続きとして、専攻ごとに該当する教員の業績などを審査して、再雇用が適当かどうかを決め、その結果を学長に報告し、学長は評議会に再任の可否を問う形をとることになっていた。そして、該当する三人について、それぞれの専攻ごとに審査が行われ、『適』の結論が得られた。そして、三人を含めて、学内では再雇用の問題はクリアした雰囲気だった。
 一九八八年五月に学長から呼び出しを受けた。評議会で筆者の業績を説明するのに不明のところでもあるのかと出向いてみると、『理事会の中に先生の再雇用に反対する動きがある。研究者としてのキャリアに傷がつくといけないから、再雇用を辞退してはどうか。その代わり、私立A大学にポストを用意した』という内容だった。
 文字どおり寝耳に水だった。評議会に反対があるという話は聞いていなかったし、放送大学教授として、やることはきちんとしてきた自信がある。それだけに、再任拒否は理解できなかった。話のあったA大学に不満があるわけではないが、それこそ筋がちがう。そう考えて、再任を評議会にかけてほしいと頼んだ。・・・・・
(深谷昌志「任期制導入の問題点は何か」)

任期制と恣意的運用の問題−−放送大学の事例から−−

〔放送大学では〕一九八四年に開学準備のための教授が一三人採用された。定年になって来学された教授はともかく、現職の教授は、当然のことながら、任期制の導入にこだわった。無理に任期制のある大学に移る必要がないからである。
 当時の理事長は『この制度は裁判官の採用と同じように形式的なもので、発動することはないから、安心してほしい。先生たちはチューターのような役割で各領域の中心となり、いろいろな先生をお呼びしてよい教材をつくってほしい。任期制にこだわらず、放送大学に骨を埋めるつもりで頑張っていただきたい』とわれわれを説得した。
 公式の場での理事長の説明で納得できる内容なので、任期制についての不安は解消した。それに、筆者は、他の大学はともあれ、放送大学では大学の性質上、緩やかな形での[p.19]任期制の導入はやむを得ないだろうと思っていた。……
 その前年の一九八八年、初年度に採用された一三人の教授の任期が切れることになった。もっとも、一三人のうち、一〇人は七〇歳の定年を越えていたので、該当する教授は三人だった。そして、それぞれに学内外で活躍していたので、再契約はスムースに進むも[p.20]のと思われていた。三人のうちのひとりはドイツ文化の専門家で、ドイツとの交流を重ねながら、語学教育の中心として活躍していた。もうひとりは理学畑の人で、学習センター長を務めながら、文系に傾斜しがちな大学の中で理工学を支える貴重な教授だった。
 筆者は一三人の中でもっとも若い五〇代前半で、しかも、教育学関係の唯一の教授なので、責任を痛感していた。それだけに、可能なかぎり、研究に打ち込みたいと、専門にしていた児童生徒の意識調査を国際的な規模に拡大して展開した。六年の在職期間の間に、五冊の単行本のほか、学会誌などに数多くの論文を執筆した。……[p.21]
 放送大学では教員を再任する手続きとして、専攻ごとに該当する教員の業績などを審査して、再雇用が適当かどうかを決め、その結果を学長に報告し、学長は評議会に再任の可否を問う形をとることになっていた。そして、該当する三人について、それぞれの専攻ごとに審査が行われ、『適』の結論が得られた。そして、三人を含めて、学内では再雇用の問題はクリアした雰囲気だった。
 一九八八年五月に学長から呼び出しを受けた。評議会で筆者の業績を説明するのに不明のところでもあるのかと出向いてみると、『理事会の中に先生の再雇用に反対する動きがある。研究者としてのキャリアに傷がつくといけないから、再雇用を辞退してはどうか。その代わり、私立A大学にポストを用意した』という内容だった。
 文字どおり寝耳に水だった。評議会に反対があるという話は聞いていなかったし、放送大学教授として、やることはきちんとしてきた自信がある。それだけに、再任拒否は理解できなかった。話のあったA大学に不満があるわけではないが、そ[p.22]れこそ筋がちがう。そう考えて、再任を評議会にかけてほしいと頼んだ。
 筆者とは別の二人も、学長から呼び出しを受け、それぞれに別の理由をつけて、再任拒否を告げられたらしい。そして、ひとりの教授は斡旋された大学に移り、他のひとりは浪人の道を選んだ。[p.23](深谷昌志「任期制導入の問題点は何か」川成洋『だけど教授は辞めたくない』ジャパンタイムズ、1996 年より)

Posted by tjst at 11月25日
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2003年11月22日

大学の教員等の任期に関する法律をめぐる国会議事録の整理

大学の教員等の任期に関する法律をめぐる国会議事録の整理

阿部泰隆=位田央

はじめに

大学の教員等の任期に関する法律

一 任期制導入の目的、現状認識

(1)目的
(2)人材流動化の実例―放送大学、素粒子論グループの例
(3)現状認識

二 任期制は適切な手段か

(1)任期制の問題点
(2)学問の自由に関して
(3)事実上の任期制について
(4)任期制以外の手法

三 身分保障との関係

(1)米国のテニュア(tenure)制の運用、外国法制度との比較
(2)給与体系
(3)インセンティブ
(4)女性教員
(5)任期切れ後は?
(6)国家公務員法等との関係

四 任期制導入の三類型  助手の任期制は妥当か?

(1)任期制を導入する三つに類型は適切か?限定的か?
(2)なぜ教授まで対象とするのか?
(3)流動化と再任制度は矛盾しないか?
(4)助手の任期制は妥当か?

五 業績評価

(1)業績評価はどのように行われるのか?
(2)大学の教育研究活動に対する自己評価、外部評価、情報公開

六 恣意的な運用の恐れ、任期切れ教員の救済方法

(1)恣意的な運用の恐れ
(2)救済手段

七 私学の場合、労働基準法との関係、教授会

八 選択的導入と予算等による事実上の強制

(1)選択的導入の根拠
(2)選択的導入と文部省の圧力
(3)選択的導入の弊害―市場の狭さ

九 大学ではどんな再任ルールを作るべきか? 規則作成過程は? 規則の変更は?

十  労働組合との関係、団体交渉

はじめに

大学の教員等の任期に関する法律が平成9年に制定されたとき、その合憲性、
政策的な妥当性について種々疑問が示された。学問の自由を侵害し、実際上は
大学の活性化に寄与せず、混乱を生ずるだけであるということである。

 しかし、その後、6年間の間、その議論はほとんど行われずに経過した。こ
の法律は、一般には活用されていないので、あまり気にもとめずに、死せる法
と思われていたのではないか。たしかに、医学部系統では全教官に任期制を導
入しているところも増えているが、実際に、任期を理由に失職させる事件はな
かったので、それは普通は形だけと思われているだろう。

しかし、今、国立大学法人化などを契機に、全教官に任期制を導入する動き
が出てきている。そこで、今一度、この法律の合憲性、政策的な妥当性を再検
討する必要がある。

しかも、全教官の一律任期制が拡がりそうである。横浜市立大学は前教員に
任期制、年俸制を導入する方針を決定した。しかし、同大学では商学部教授会
が10月2日全教官への一律任期制導入は違法との法的な意見を提出している。
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20031002NinkiseiKyojukaiIken.htm

 たしかに、この法律は任期制を導入できる場合を限定し、しかも、職に就け
る場合に限っているから、現職の教員を全員任期制に切り替えることは違法で
ある。この意味では、この法律のしくみを正確に理解することが必要である。

 さらに、2002年12月には、京大再生医科学研究所で、任期制初の任期
切れ失職扱い事件が発生した。これは、外部評価で7人の高名な医学者が「国
際的に平均」「再任可」と評価したのに、教授会が、無記名投票で、白票も反
対に数える方法で、再任賛成が過半数に達しないという理由で、再任拒否を行っ
て、失職に追い込んだものである。さらに、もともと、任期制であることは、
この教授のポストの公募のさいには示されず、任期への同意は、発令直前にば
たばたと事務官から求められた。任期制法の下でも、任期が適法に付されたこ
とと、再任審査が合理的であることが前提で、失職になるものであって、この
任期自体が違法であり、また、再任審査が恣意的である(しかも、この再任審
査のルールは、この法律に基づく学則とそれから委任されたと見られる研究所
「内規」で規定されている)場合には、任期を理由とする失職扱いは、失職へ
追い込む失職・免職処分と解される。しかし、裁判所は、その救済に消極的で
ある。原告は執行停止を申請したが、京都地裁は失職だから、処分ではないと
して門前払いとし、大阪高裁も同様の態度を取ったので、原告は即時抗告を取
り下げざるを得なかった。目下、京都地裁で、失職処分の取消訴訟が進行中で
あるが、これでは研究の中断のため、実際上は、救済はできないし、任期制法
が狙った学問の進展を阻害する結果となることは明らかである。

 このように、この法律への疑問は解消されるどころかますます深まっている。
阿部泰隆は、別稿でこの点を検討するところであるが、そのための準備作業と
して、ここでは、国会での議論を整理することとした。

 これを見て感ずることは、国会では、野党側は問題こそ提起しているが、文
部省は、まともに答えずに、はぐらかし、これに対して野党側が徹底的に追及
しないので、問題点が十分に解明されずに終わっている。この資料は、この問
題を考える素材として役立つというつもりで、分析を始めたし、多少は役立つ
が、他面では、日本の国会では、まともな法律論を展開していないと慨嘆せざ
るを得ず、立法過程論の講義で悪しき例として参照して頂きたいという思いを
持つこととなった。

この資料は、

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KOKUMIN/www_logout?SESSION=18978&MACIE=1043336549

の検索画面で、第139回から第141回の国会の期間を選択し、大学and教員and任
期で検索した。以下の項目が出てきたので、明らかに関係ないと思われる部分
を除いて、全てコピーandペーストでMSWordの文書に取った上で、項目毎に整
理し直し、大部になるので、できるだけ重複を避け、無駄な発言を削除した。

141 衆 文教委員会高等教育に関する小委員会 01 1997/12/03
140 参 文教委員会 18 1997/06/18
140 衆 文教委員会 20 1997/06/17
140 参 本会議 32 1997/06/06
140 参 文教委員会 15 1997/06/03
140 衆 文教委員会 17 1997/05/30
140 参 文教委員会 14 1997/05/29
140 衆 文教委員会 16 1997/05/28
140 参 文教委員会 13 1997/05/27
140 参 内閣委員会 11 1997/05/27
140 衆 文教委員会 15 1997/05/23
140 衆 本会議 37 1997/05/22
140 衆 議院運営委員会 37 1997/05/22
140 衆 文教委員会 14 1997/05/21
140 衆 文教委員会 13 1997/05/20
140 衆 文教委員会 12 1997/05/16
140 衆 文教委員会 11 1997/05/14
140 衆 本会議 33 1997/05/09
140 衆 議院運営委員会 33 1997/05/09
140 衆 文教委員会 10 1997/04/25
140 衆 文教委員会 09 1997/04/23
140 参 文教委員会 06 1997/04/08
140 衆 文教委員会 06 1997/04/02
140 参 文教委員会 05 1997/03/27
140 参 文教委員会 04 1997/03/18
140 衆 本会議 14 1997/03/05
140 衆 文教委員会 03 1997/02/19
140 参 文教委員会 01 1997/02/14
140 衆 文教委員会 02 1997/02/14

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2003年11月14日

(週刊朝日2003-8-29) 成果主義の「崩壊」 給料と直結やめた1部上場企業も

週刊朝日2003.8.29 号成果主義の「崩壊」 給料と直結やめた1部上場企業も

運用の難しさが指摘され続けている成果主義賃金制度。サラリーマンの不満は高まるばかりだが、とうとう社内の反発を抑えるため、業績評価を給料に反映させないように制度変更した企業まで現れた。運用の形骸化も指摘され、専門家から「結果評価オンリー」の成果主義は「崩壊」しつつあるとの声が出始めている――。・・・・・

 「成果主義の見直し」といえば、すぐ思い出されるのが2001年に問題が表面化した富士通のケース だ。目標管理による成果主義を進めた結果、「社員がチャレンジングな目標に取り組まなくなった」「短期的な目標ばかりが重視され、長期的な目標が軽んじられている」などの弊害が明らかになり、結果だけでなく「プロセス」も評価の対象に加える見直しがなされた。

 人事関係者の間で「富士通ショック」と呼ばれているものだが、冒頭の1部上場企業は見直しどころか制度の根幹を変えてしまったケースである。「まれな事例」というが、成果主義に詳しい国際人事研究所の太田隆次氏は、こう言い切る。

 「今後、こういう企業は増えていくでしょう。目標管理のみで個人成果を評価する成果主義は、『崩壊』に向かっているからです」 ・・・・・

人事関係者が言う。

 「経済が成長しないのに、賃金だけが年功序列で右肩上がりというわけにはいかなくなったのです。個々の企業で見ると、売り上げが伸びないなか、増え続ける人件費を減らす必要に迫られた。結局、そのツールとして使われたのが成果主義だったわけです」

 人件費削減という不純な動機で導入されたのだから、社員の側からすればたまったものではない。その欠陥ぶりはさまざまな形で語られてきたが、それは今もまったく同じだ。・・・・・

 先の国際人事研究所の太田氏が言う。

 「目標管理による成果主義を導入した企業の人事マンは、『失敗した』と総ざんげ状態のはずです。結果のみで判断するノルマ主義に似た運用に陥り、従業員のやる気が失われてしまっているからです。『個人を殺す』だけの成果主義なら即、やめたほうがいい」 ・・・・・

2003年10月23日

神奈川新聞社への横浜市立大学教員組合書簡

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/kana1011.pdf

神奈川新聞社
社長 水木初彦殿
報道部長殿
報道部 牧野昌智殿

10 月11 日朝刊記事に関して

10 月11 日貴社の朝刊が、その前日に開催された「横浜市会決算特別委員会」について、「横浜市大教員 受け持ち授業『週2日』」というセンセーショナルな見出しを付けて報道されました。この報道について横浜市立大学教員組合は、貴社に対して以下のような意思表明をいたします。

この報道は、学部での受け持ち授業数のみを強調していて、大学教員の職務の特殊性を反映しておらず、市民に対して誤解を与えかねないものです。大学教員は、卒業論文や修士論文、博士論文の指導、講義の準備、会議、各種委員会などの職務に加え、研究・論文執筆などの職務を行っているということに触れていない報道は不適切であるといわざるを得ません。横浜市民に対して多大な影響力を持つマスメディアである貴社が、このような不適切な報道を行ったことを大変遺憾に思います。

なお、この意思表明に対する何らかの回答を文書で頂けますようお願いいたします。

2003 年10 月17 日
横浜市立大学教員組合

2003年10月07日

大学改革案における教員任期制の導入に関する横浜市立大学商学部教授会意見

大学改革案における教員任期制の導入に関する商学部教授会意見
PDF:http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/sho1002.pdf
           2003年10月2日

商学部教授会

 プロジェクトR委員会は、9月26日に提出した『大学改革案の大枠整理(追加)について』と題する文書において、全教員を対象とする任期制の導入を提案しているが、任期制を導入することのメリットおよびデメリットに関する議論はともかくとして、そもそも教員全員について任期制を導入することは、現行法上ほとんど不可能であり、大学改革案においてかかる提案を行うことは、現行法における公立大学教員の任用に関する規制に抵触すると考えられる。その理由は、次の通りである。

1.現行法上、大学(学校教育法第1条に規定する大学をいう)の教員(大学の教授、助教授、講師および助手をいう)について任期制を導入することに関して法的規制を設けているのは、「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、大学教員任期法と称する)である。この大学教員任期法は、平成9年に制定されたもので、その趣旨は、大学において多様な知識または経験を有する教員相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学における教育研究の活性化にとって重要であることから、任期を定めることができる場合その他教員の任期について必要な事項を定めることにより、大学への多様な人材の受入れを図り、もって大学における教育研究の進展に寄与することにある、とされている(同法1条)。このような立法趣旨に鑑みれば、同法は、大学の教員について任期を定めない任用を行っている現行制度を前提としたうえで、以下に述べるような個別具体的な場合(大学教員任期法第4条1項1号〜3号)に限り、例外的に任期を定めた任用を行うことができることを明らかにしたものである(2003年5月16日衆議院における政府答弁)。

 2.大学教員任期法第3条によれば、公立の大学の学長は、教育公務員特例法第2条4項に規定する評議会の議に基づき、当該大学の教員(常時勤務の者に限る)について、次に述べる第4条の規定による任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは、教員の任期に関する規則を定めなければならない。すなわち、任期制を導入しようとする場合には、まず、評議会の議に基づいて任期に関する規則を定めることが必要となるわけである。

そして、このような教員の任期に関する規則が定められた場合でも、任命権者が、教育公務員特例法第10条の規定に基づきその教員を任用するときは、次の3つの事由のいずれかに該当しない限り、任期を定めることができないのである。これは、すなわち、\菽偲、学際的または総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野または方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき、⊇手の職で自ら研究目標を定めて研究を行うことをその職務の主たる内容とするものに就けるとき、B膤悗定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき、である(大学教員任期法第4条1項)。また、任命権者は、このうちのいずれかの事由に該当するとして、任期を定めて教員を任用する場合には、当該任用される者の同意を得なければならない、とされている(同法4条2項)。

 以上の各規定から明らかなように、任命権者が公立の大学の教員について任期を定めるためには、前述のように評議会の議に基づき任期に関する規則を定めなければならないほか、さらに前記 銑の事由のいずれかに該当すること、および任用される者の個別的同意が必要であり、いずれの要件を欠いても、公立の大学の教員について任期を定めることができないことになっている。そして、前記 銑の各事由の内容の解釈からも明らかなように、大学の教員全員について任期を導入することは、ほとんど不可能であり、教員全員について任期を定めた任用を行うことは、任期を定めない任用を原則としつつ、例外的に任期を定めた任用を許容するという大学教員任期法における公立大学教員の任用に関する規制に反する。

3.大学の教員全員が前記 銑の事由のいずれかに該当し、かつ任期を定めることについて全員の同意が得られた場合には、大学全体について任期制を導入することは、理論的にはあり得る。しかし、現在ある学部または研究組織の全ての職を、例えば,了由に該当するとして、教員全員について任期制を導入するとすれば、それは、,了由の拡大解釈であり、このような拡大解釈は、「多様な人材の確保が特に求められる」という法文の趣旨に反するのみならず、任期を定めない任用を原則としつつ、例外的に任期を定めた任用を許容するという大学教員任期法の立法趣旨にも反することになる。また、,了由の拡大解釈は、任期制の導入によって教員の身分保障の精神が損なわれることがないよう充分配慮するとする衆参両院の付帯決議にも違反する。

 4.来年度以降、公立大学法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第68条1項に規定する公立大学法人をいう)は、その設置する大学の教員についても、労働契約において任期を定めることができることになるが、その場合も、当該大学に係る教員の任期に関する規則を定める必要があるほか(大学教員任期法第5条2項)、前記第4条1項所定の 銑の各事由のいずれかに該当することが必要とされている(大学教員任期法第5条1項)。また、前述したのと同様の理由から、公立大学法人の設置する大学の教員の全員について任期を定めることは、ほとんど不可能であると解される。

 以上のように、プロジェクトR委員会が提案した横浜市立大学の全教員を対象とする任期制の導入は、現行法の解釈論としては認められないものである。もちろん、大学教員任期法第4条所定の3つの事由のいずれかに該当するときは、任期を定めることが可能であるが、これはいうまでもなく、当該3つの事由のいずれかに該当する教員について任期を定めることができるに過ぎず、プロジェクトR委員会の提案した教員全員を対象とする任期制の導入ではない。プロジェクトR委員会の提案は、公立の大学または公立大学法人の設置する大学の教員について任期を定めない任用を原則としつつ、例外的な場合にのみ任期を定めた任用を許容するという現行法上の規制に反するものと考えられる。よって、商学部教授会は、プロジェクトR委員会に対し、教員の任期制の導入に関して、関係する各法令をよく調査したうえで、慎重に検討するよう要望する。

2003年10月03日

「全員への任期制導入」案へ横浜市立大学商学部教授会が反対の意志表明へ

永岑氏大学改革日誌 より:

2003年10月2日 今日の定例教授会では、プロジェクトR(幹事会)案の「全員への任期制導入」の部分が一番の問題となった。・・・・・任期制の導入に反対する決議案(たたき台)が提出された。それを素材にしながら、各種の議論が行われた。学部長・評議員は、「反対」決議という点は避けたい、ということで、結局、決議案も参考にしつつ、教授会で出た意見を踏まえた教授会意見を取りまとめて学長に提出することになった。また、その意見を他学部にも提示して、共通の意志として表明しておこうということになった。・・・・・

5つほどの論点のうち、任期制を全ての職に適用することは、「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、任期法と略)において限定されている三つの職(「先端的、学際的又は総合的な教育研究」、「助手」、「特定の計画に基づき期間を定めて教育研究」[3])の規定を大幅に逸脱することになるという点については、異論が出なかった。

また、独立行政法人化にあたって任期制が全員に適用されるとなると、任期法第四条で必要とされているような「本人の同意」を無視することになりかねない論点も強調された。

実は、平成15年03月19日の衆議院文部科学委員会 において、次のような驚くべき質疑があり、「全員への任期制導入」は「大学の教員等の任期に関する法律」に反しないという見解を文科省は公式に表明している。

○石井(郁)委員 ですから、今省略して、流動型、研究助手型、プロジェクト型というこの三つに該当する場合についてという、これが例えば一つの大学の全学部、全学科に適用になるということは考えられますか。

○遠藤政府参考人 全部まとめてそうだと言うとそれは問題だと思いますけれども、一つ一つ子細にチェックをして、これはこういうことだから該当するんだと全部やった結果、結果として全部になるということはあると思います。
・・・・・
○河村副大臣 ・・・・・任期制を導入するかどうかというのは一義的には各大学が自主的に判断をされておやりになることでございまして、それから、任期制を導入する場合には法律上の一定の手続を課す、こうなっておりますし、本人の同意もいただくということになっておりますので、教員の身分保障というものは十分制度的な配慮がなされておるというふうに考えております。これで、全学的に任期制が導入されたということになった場合に、直ちにこれによって教員の身分が不安定になるというものでもないと私は思いますし、それによって法律違反になるという考え方には立っていないのでありますが。

以下、任期制についての質疑全文:

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
 私、今回は、大学教員等の任期制の問題で質問をいたします。
 任期制の問題をめぐっては、一九九七年の法案審議がありましたし、その審議の過程や、また法成立があるわけですけれども、その法そのものを無視して行われているような状況が出てきておりますので、きょうはお聞きしたいわけでございます。
 大学の教員の任期に関する法律第三条は、こうあるわけですね。学長は、「当該大学の教員について、次条の規定による任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは、教員の任期に関する規則を定めなければならない。」とあります。「これを公表しなければならない。」ともしているわけであります。
 そこで伺いますけれども、口頭による申し合わせで任期制を導入するとか、そしてそのもとで失職するということなどはできないはずだと思いますが、いかがでございますか。

○遠藤政府参考人 御指摘のように、この法律におきましては、任期つきの任用を行うという場合には、あらかじめ学長が評議会または教授会の議に基づいて任期に関する規則を定めて公表する、こういう手続が必要だ、こうなっておるわけでございます。
 ただ、そういう法律に基づいた任期つきの任用というのもございますが、任期法に基づかない、大学と教員との合意に基づいて、一定期間経過した後に他大学への異動等を求めるという、いわゆる事実上の任期制というものもございます。これはあくまでもその当事者間のいわば紳士協定によって行われている、こういうふうに理解しておるわけでございまして、これについての法的な拘束力はない、あくまでも紳士協定だ、こう理解しておるわけでございます。したがいまして、その紳士協定で決めた期間の経過をもって当然にその教員の身分を失職するということはないというふうに理解しております。

○石井(郁)委員 やはり国家公務員としての教員でございますから、私は、その身分の保障というのは、本当に軽々しく行うことはできないというふうに思うんですね。
 もう一点、重ねて確認ですけれども、この任期制法律、任期法と呼んでおきますけれども、第三条第一項等の規定に基づく任期に関する規則で記載すべき事項及び同規則の公表に関する省令もつけられましたよね。この二条で、任期に関する規則の公表は、刊行物への掲載その他広く周知することができる方法によって行うものとしているということで、今の御答弁では失職はできないということは確認されましたが、一方で、紳士協定はいいんだ、申し合わせによる任期制ということもあっていいんだというふうにも聞こえるんですが、しかし、申し合わせでできるのかどうかという点で言うと、やはり任期制法律があるんですから、これはできないということをきっぱり言うべきじゃありませんか。

○遠藤政府参考人 もちろん、御指摘のように、こういう法律ができたわけでございますから、その趣旨にのっとって、法律に基づいた任期制をきちんとやっていただきたい、これはそういうことでございます。
 ただ、いろいろな事情から、その任期制によらない、いわば一種の慣行といいますか紳士協定といいますか、そういうことでの任期制をやったとしても、あくまでそれは紳士協定ということでございますから、それを一概に全部禁止するというところまではしなくてもいいのではないか、こう理解しておるわけでございます。

○石井(郁)委員 やはり文科省としては大変あいまいな態度だ、あいまいな答弁だというふうに私は思うんですね。
 先ほどの失職という問題でございますけれども、これは実は大阪大学なんです。ことし助手の任期が切れたということで失職になった方が生まれたんですね。確かに、ここの大学では今、紳士協定的な、口頭による申し合わせ的な任期制を助手に入れているということがあるようです。
 それは、大学院生、これほどたくさんあって、そして院生、就職もないという中で、例えばその口頭の約束というのはこんなようですね。任期が来たら自主的に退職するとか、これが了解されなければ採用しないということを言われて採用に応じているというふうに聞いているんですけれども、それで任期が切れましたということなんです。だから、こんなことがやはり起きてくるわけですよ、口頭による申し合わせでやっていくと。重大な問題でしょう。
 私は、やはり紳士協定的にある問題をどうするかというのは一つこれとして考えてほしいんですけれども、こういう形での任期制というのはやはり無効だ、そして任期が切れたからといって失職させるなどということがあってはならないというようなことで、大学はその助手の身分を保障しなければならないと思いますが、もう一度御見解を聞かせてください。

○遠藤政府参考人 紳士協定に基づく失職の問題につきましては、私が先ほど申し上げましたように、そのことだけをもって、期間が来たということだけをもって失職ということにはならない、こう思います。
 ただ、今の大阪大学の件でございますけれども、具体の事実関係については私どもも今まだ承知していませんので言えませんけれども、考え方としてはそういうことだと思います。

○石井(郁)委員 そこで、大臣にも御答弁いただきたいと思いますけれども、今回のケースは、具体がどうかというのも少しいろいろあるかと思いますが、私どもの聞いたところでは、要するに教員の流動化ということで任期制を入れるという話でしたから、どうもそれでもないんですね。それで、いわばリストラの対象として助手のポストを減らしていくということから出ているというふうにも聞いているんですよ。そうなりますと、なお問題になるわけですね。
 当時の雨宮高等教育局長ですけれども、こういう答弁がございました。「教員を解雇するために任期制が乱用されるというようなことはあってはならない」とありましたよね。だから、今回のケースというのは、明確な法律違反でもあるけれども、また乱用でもあるわけですよ。
 だから、このような口頭申し合わせによって任期制をどんどん広げていったり、あるいは解雇するなどということはあってはならない、これは無効だということをやはり文科省としてははっきりと言うべきだというふうに思いますが、ここは、今お聞きになっての大臣の御答弁をいただきたいと思います。

○遠山国務大臣 御質問が個別のケースを前提とした御質問でございますので、ちょっとそのケースの中身を私承知いたしておりませんので、そのことについて直接お答えいたしますよりは、任期制はそもそもということで申し上げれば、おっしゃいますように、教員の流動性を高めて教育研究の活性化を図るという方策でございまして、任期制を導入するかどうかは各大学の判断でやるわけでございますが、その導入については、法律上、一定の手続が必要でございますし、御存じのようないろいろな制度的配慮もされているわけでございます。そういったことを前提として今後はやっていただかないといけないと思っております。
 各大学は、一方では定削とかさまざまな課題を抱えていることは確かでございまして、そういう中でもできるだけ、制度の趣旨といいますか、あれはきちっと守りながら運営をしてもらいたいものだと思います。

○石井(郁)委員 今回提出の国立大学の統合の場合につきましても問題があるわけです。それからまた、法人化に向けて、今またこの任期制問題が、いろいろ各大学が動き出している、どういう動きかといいますと、やはり無限定に任期制が導入されたり、また導入されようとしているということがあるようなんですね。
 今回提出の統合問題についていいますと、九州のある医大でございますけれども、昨年三月に任期制を導入した。新規採用教員については原則として任期制をとる。現職については、同意書を配布して、同意の得られた教員から任期制に切りかえるということをやっている。ここまではそういう手続かなと思うんですが、ところが今度、ことしの四月一日から全教員を対象に任期制にするという切りかえ、そういう通知が出されているんですね。さらに、任期制にしたら研究費を上げる、アップするということまで言われている。
 それでお聞きしたいわけですが、今、現職の教員に対して、研究費を上げるから任期制にしてくれ、する、こういう財政誘導で全教員を対象にした任期制というのは導入できるのかどうかという問題でございます。御答弁をお願いします。

○遠藤政府参考人 話を二つに分けますと、一つは全教員ということでございますが、これについては、任期法で要件がいろいろ書いてございます。要件に合致し、そして本人の同意が得られれば、これは任期制の対象になるということでございます。
 もう一方、今先生がおっしゃるのは、研究費をつけるから、こういう話でございますけれども、これは、任期制というのは、やはり研究の活性化、そしていい研究をしてもらおうということでございますので、それに伴っていろいろな研究計画がある、それに対して、学内の問題として研究費を若干手厚く配分する、若干じゃなくてもいいんですけれども、そういうことは、大学の行き方、あり方として当然ある話だろうと思います。

○石井(郁)委員 この問題は、しかし任期制の審議のときを振り返ってみても、今ちょっと二つ問題がありますから、二つのことの最初の、財政の問題でいいますけれども、小杉文部大臣、こう言っていたんですよ、決して意図的に財政誘導を行おうとするつもりはないと。やはり、財政誘導でそういう任期つきポストをつくっていくということがいかに大学のあるべき姿をゆがめるかということがありますから、そういうことが大変審議になりましたよ。そして、参議院では、「任期制の導入を当該大学の教育研究支援の条件とする等の誘導や干渉は一切行わないこと。」と附帯決議もされたでしょう。
 ですから、私は今最初に申し上げた、ある大学のやり方の一つ、任期制にしたら研究費は上げるんだ、こういうことというのは、この国会審議と附帯決議からしても反していませんか。やはり好ましくないということはきちんと言うべきじゃありませんか。

○遠藤政府参考人 衆参の委員会で附帯決議をいただいておるわけでございますが、その附帯決議では、「いやしくも大学に対して、任期制の導入を当該大学の教育研究支援の条件とする等の誘導や干渉は一切行わないこと。」ということでございますから、平たく言えば、国が、その大学が任期制をとったら要するに予算措置を少し増額するよ、だから任期制をとりなさい、その大学、こういうことをしてはいけないという附帯決議だと思います。
 それは、あくまでも大学がそれをとるかとらないかの問題でございまして、今ここで問題になっているのは、大学の中で研究費についてどう配分を、大学の方針としてどうするかという問題でございますから、附帯決議とは若干違う問題じゃないかな、こう思います。

○石井(郁)委員 今はこの点ではこれ以上深入りをしないことにしておきますが、もう一点の問題の、全教員を対象にする、しかも現職の教員を対象にする、この問題は私はさらに重要な内容を含んでいるというふうに考えておりますので、伺います。
 これも九州の大学の例でございますが、一律に研究院の全教員を対象にして任期制を実施しようとしているということなんですね。先ほどの法律に戻りますけれども、この任期に関する法律第四条一項は、おっしゃったように要件をつけていますよね。「教員を任用する場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、任期を定めることができる。」一号から三号までということで、任期制の範囲を限定している。しかも、「職に就けるとき」と書いていますよね。だから、任用のときだと思うんですよ。なぜそれが現職教員に対して途中から任期制の導入ということが可能なのかということは、私はちょっと理解できませんが、いかがですか。

○遠藤政府参考人 御指摘のように、任期法の第四条では、こういう場合には、こういう教育研究職につけるときにはいいですよ、こう書いていまして、一つは、簡単に言いますといわば流動型といいますか、長ったらしいんで言いませんけれども流動型、それから研究の助手型、プロジェクト対応型、この三号に決まっているわけですね。
 したがいまして、任期制を導入しようとする職が、職といいますか、それに期待されるものがそのいずれかに該当するということであれば、当然任期法に言う任期制に切りかえていく。ただし、その場合にも、そこに具体にその職についている人がいれば、その人の同意が必要だ、こういうことだと思います。

○石井(郁)委員 ですから、今省略して、流動型、研究助手型、プロジェクト型というこの三つに該当する場合についてという、これが例えば一つの大学の全学部、全学科に適用になるということは考えられますか。

○遠藤政府参考人 全部まとめてそうだと言うとそれは問題だと思いますけれども、一つ一つ子細にチェックをして、これはこういうことだから該当するんだと全部やった結果、結果として全部になるということはあると思います。

○石井(郁)委員 それは全然、おかしいですよね。だって、何のためにこの要件を決めたんですか。この要件の範囲で任期制だということで、厳しくこれは審議したじゃないですか。そんなこと、出てきませんよ。
 これはそれこそ今後の法人化の議論の中にもっと出てきますけれども、今、法人化に向けての議論の中でも、全教員に任期制を導入するというのが始まっているんですよ。だから私も問題にしているわけで、私は、国会審議の中身からしても、そしてこの法律そのものからしても、こういうことは法律違反だというふうに考えますが、これは大臣、御答弁いただけますか。河村副大臣、いかがでございますか。

○河村副大臣 これから国立大学も法人化してまいりますし、各大学ともその活性化にいろいろ知恵を絞っておられる段階でございまして、そうした中で、任期制の導入ということは、一つのこれからの活性化の大きな課題になっておるわけでございます。
 ただ、任期制を導入するかどうかというのは一義的には各大学が自主的に判断をされておやりになることでございまして、それから、任期制を導入する場合には法律上の一定の手続を課す、こうなっておりますし、本人の同意もいただくということになっておりますので、教員の身分保障というものは十分制度的な配慮がなされておるというふうに考えております。これで、全学的に任期制が導入されたということになった場合に、直ちにこれによって教員の身分が不安定になるというものでもないと私は思いますし、それによって法律違反になるという考え方には立っていないのでありますが。

○石井(郁)委員 私は、そういう御答弁じゃ到底納得できないんですが、これは九七年の国会審議のときにも、先ほども御紹介しましたけれども、当時雨宮高等教育局長、この問題でこういうふうに言っているんですよ。この要件をつけた、読み方の問題でですけれども、その第一号、「先端的、学際的又は総合的な教育研究であること」ということで、これはこれ自身が広がるんじゃないかということの懸念が当時ありましたからそういう審議をしたわけですけれども、こういうふうにおっしゃっていますよね。これをわざわざ例示して、「要するに多様な人材の確保が特に求められるような、そういう教育研究組織の職につけるときなんです」と。だから、特に求められる、そういう職が必要だというときになんですということで議論したし、私たちはそれが政府答弁だということで確認しているわけです。
 それで、今の問題もこれ以上立ち入ったらもっともっといろいろやりとりしなきゃいけないんですけれども、とにかく重大なのは、労働契約で行うのだから、法人化では学部、大学に一律に導入してもいい、そういう発想で事を進めようということが出ています。ある大学、これは人事制度に関する検討専門委員会、ここでは、大学の教員人事制度において任期制度を導入することはそれほど違和感はないように思われるというふうに書かれまして、全学に任期制を導入しようとしているわけですね。
 この法律に戻っても、例えば私学、そういう法人の場合でも、「前条第一項各号のいずれかに該当するとき」と。法人になっても、いずれかに該当するときに労働契約において任期を定めると、これはなっているでしょう、第五条にも。だから、法人になって労働契約でできるんだから全部できるんだ、こういう理解だって、私は、法を逸脱しているというか、非常におかしいと思います。
 要するに、この任期制の法律というのは、選択的任期制だったんですよ。選択的なんですよね、こういうところには任期制ですよという。決して、大学が丸ごと任期制だ、こういう想定はどこもしなかったんじゃないですか。それが政府の見解でもあったわけでしょう。だから、この法律どおり、選択的任期制だということについてはきちんとした見解でするべきですよ。全学的に導入、一律に全部やるんだと、しかも今言われたように現職の教員にやるんだなどという無謀なことは、到底考えられない。このことをはっきりしてください。

○遠藤政府参考人 その選択的の意味でございますけれども、一律に助手だとか教授だとか何学部だとか、こういうことじゃなくて、大学が大学の判断で、広狭いろいろな幅があると思いますけれども、いろいろなパターンで任期制を導入できる、そういう意味での、大学の自主性に任せ、大学がどういう形で任期制をやるかというのを選択するという意味での選択というふうに理解しております。

○石井(郁)委員 だから、もちろん政府として、文科省として、それを強要することもできないし、各大学だってそれを上から一律に導入することはできない、そういう意味での両方にとっての選択的な任期制であることは言うまでもないんじゃありませんか。私は、今、文科省がこの法人化を前にしてそういう態度をとっているというのは、やはり非常に問題だと思うんですよ。法律の趣旨をゆがめていますし、法律違反のことをやっていますよ。
 これは、昨年の国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議、例の調査検討会議ですね、そこで非公務員化がすっと出てきたわけですけれども、そこに文科省が提出した文書がございますよね。「国立大学の職員の身分―「非公務員型」の場合に考えられる対応例」というのをあなた方が出していらっしゃる。それを見ますと、「任期制の導入 大学教員任期法による三類型を離れた任期制の導入が可能」だと。
 これは驚きましたよ。今まで三類型で該当する任期制ということを決めて、範囲が、枠があったわけですけれども、三類型を離れた任期制の導入が可能だと。どういうことですか、これは。あなた方、みずから出したでしょう。私は、この文書というのは本当に法律の趣旨に違反すると思いますよ。そう考えませんか。

○遠藤政府参考人 法制的に御説明いたしますと、今、国会にお願いしております国立大学法人法におきましてはいわゆる非公務員型であるということでございますので、任期法の適用についてはいわば私立大学と同じになる、こういうことでございます。
 私立大学教員と任期法との関係でございますが、これによって初めて教員に任期制がつけられるということではございませんで、現行の労働法制の枠内でも任期制はとれますが、任期制で任期をつけられるということを確認的に規定したというふうに理解してございます。
 任期をつけたということについての合理性をどう判断するかという法制、何かややこしい話で恐縮でございますが、そこで、任期法に基づいた任期制でございますと、これは任期制なんだからということですべて片がつくけれども、任期法に基づかない任期制の場合については、仮に争いがありましたら、一つ一つのケースについて労働法制上どうかということが問われる。そういう違いはありますけれども、基本的には、私立大学の教員の場合につきましては任期法がなくても任期制がとれる、こういう趣旨でございますので、そういったような趣旨から、法制的にいえばどうかというと、そういうことだという趣旨だと思います。

○石井(郁)委員 時間もありませんので私もこのぐらいにしますけれども、今のは全然おかしいですよ。だって、任期法には私立の大学の教員の任期ということで、第五条にちゃんと書いているじゃないですか、これも。そしてそれは、国立大学でさっき三つの要件をつけたことと同じようにしなきゃいけないと。その場合でも、例えば規則を定めておかなければいけないとかいろいろありますけれども、その要件は一緒だと書いているんですよ。
 だから、法律のいいかげんな解釈をしてもらったら、あなた方は専門なんですから。それはきちっとやはり法律の趣旨にのっとってこの問題を見ていただきたいということを、私はきょうはそこまでで、強調しておきたいというふうに思います。
 最後、ちょっと一つだけ、時間がありますから時間の範囲でですけれども、重ねて、私たち、我が党としては、この任期制法案、本当に反対しました。しかし、やはり法律があるわけですから、法律に沿って、その範囲で行うべきだということで今質問したわけで、おきますけれども、またちょっと繰り返しの点でもありますが、予算の配分と任期制の導入というのは別問題だというのは、当時の小杉文部大臣も雨宮局長も繰り返し述べられていたんですよ、それは。ところが今、あなた方は、それもどんどん何かあいまいにしていくというようなことになっている。
 そして、法人化の中では、中期目標・中期計画の項目の中にも、教職員の適正人事ということで任期制のことが入っていく。そして、どうも、これで数値目標達成の対象にすべきだということになっていくと、結局予算とリンクしていくじゃありませんかということで言っているわけで、非常になし崩し的にこの法律の解釈がどんどんゆがめられていくという点では、私は、今きちんとすべきだということで考えているわけでございます。
 最後に、大臣の、その点でのきちんとした文科省の姿勢を少し示していただければ大変ありがたいかなと思いますが、いかがですか。

○遠山国務大臣 先ほどもお話がありましたように、やはり教員の任期制というのは、大学の活性化を図るために教員を流動化していく、流動性を高めることによって教育研究等の諸活動を活性化するというためでございます。ですから、任期制を考える際にも、そのことの理念というのをしっかり考えてそれぞれの大学で判断をしてもらうということだと思います。
 予算につきましては、これからは法人化が達成されますと運営交付金ということになってまいると思いますが、その場合には、任期制あるなしといいますよりは、その大学において教育の質がきちっと担保されているかどうかというのは、もちろんその評価においてあらわれてくることだと思っております。そのようなことで、制度の趣旨というものはしっかり体しながら、新しい法人化の際には、予算の配分等についても、それは透明性を持って運用していくべき問題だと考えます。

○石井(郁)委員 終わります。