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国立大学独立行政法人化の諸問題: noblesse oblige


12/30 国際平和ミュージアム館長:自衛隊派遣の閣議決定を厳しく批判noblesse oblige , イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 大学の使命 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
12/28 池澤夏樹氏「自衛隊の派遣は大きな間違いであるとぼくは考えます。」noblesse oblige , イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
12/27 横浜市立大学長に辞職を勧める手紙noblesse oblige , 大学の使命 , 大学の自治 , 不当な支配に直面する横浜市立大学

2003年12月30日

国際平和ミュージアム館長:自衛隊派遣の閣議決定を厳しく批判

自衛隊のイラク派遣閣議決定についての立命館大学国際平和ミュージアム館長見解 2003.12.10
ウェブログ「低気温のエクスタシーbyはなゆー」 >時事&社会問題>
立命館大学国際平和ミュージアムと日本平和学界について!経由

政府は、2003年12月9日の臨時閣議で、イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊派遣の基本計画を閣議決定した。戦争中の国への武装部隊の派遣計画であり、私は、これを厳しく批判する。・・・・・

(4)私は、こうした動きが、憲法や教育基本法の「改正」に向かう流れの中で起こっていることを憂慮する。国連憲章をも超えると言われる「不戦原理」を基調とする平和憲法を「押し付け憲法」「腰抜け憲法」と中傷する人々が、日本を「戦争のできる国」に変えようとする流れの中で、今次決定が行われていることの意味は重大である。私は、「平和・共生外交基本法」の制定を中心に、アメリカや北朝鮮を含むすべての国々との対等・平等・互恵・不可侵の平和的国家関係を結ぶことを基調とする「無事づくりの安全保障政策」こそが必要であると確信している。

2003年12月10日
立命館大学国際平和ミュージアム・館長  安斎育郎

2003年12月28日

池澤夏樹氏「自衛隊の派遣は大きな間違いであるとぼくは考えます。」

パンドラの時代 No 4 池澤夏樹氏「ロバは撃つべきか」より

・・・・・人を殺せる道具を手にして、疑心暗鬼の状態で、見知らぬ人々の前に立つ。
 日本の兵士はそういう状況の中へ送り込まれようとしています。・・・・・
・・・・・ 日本国憲法の前文と第九条は、国家の運営に暴力を用いないという宣言です。
 第二次大戦で数千万の死体を積み上げたことへの反省、見知らぬ者を殺し、家族を殺され家を焼かれたことへの反省から、日本人は国の運営に暴力を用いないと決めた。

 この宣言は後に少しずつ歪められ、結局のところ日本はまた軍隊を持つことになりました。

・・・・・

 親の体験はなかなか子供には伝わりません。まして孫にとっては遠い話。
 血まみれ焼けこげの死体が目の前に転がっていたなんて、あまり聞きたい話ではない。
 今、世の中は享楽に満ちています。そういう社会を日本人は築いてきた。

 だけど、その先で暴力は待っているのです。

・・・・・

 政治家が軽い言葉をやりとりしたあげく、自分たちは戦乱の地に送り出される。
 殺されるかもしれない。殺すかもしれない。
 どういう時にどう行動すればよいか、基準がない。
 これは戦争なのか、戦争ではないのか、最も大事なこの点があまりに曖昧で、何をやってもやらなくても、後で非難されそう。

 政治家はアメリカの方しか見ていません。具体的な判断は現場に押しつける。いざとなったら逃げる気でいる。
 これは軍隊のありかたとしても不幸なことです。
 シビリアン・コントロールが悪い形で機能している。

・・・・・

人を殺せる道具を手にして、疑心暗鬼の状態で、見知らぬ人々の前に立つ。
 日本の兵士はそういう状況の中へ送り込まれようとしています。

・・・・・

日本人もまた異文化に対して無知で不器用です。
 戦後58年間、われわれはアメリカしか見てきませんでした。
 だから、日本の兵士はアメリカ軍の失敗をそのまま踏襲することになるでしょう。
 イスラムを知らず、武力によって社会を壊された人々の恨みを理解せず、民衆に支えられたレジスタンスの威力を知らないまま、戦地に送られる。
 現地について最も詳しいNGOの人たちの意見を容れる気配もない。

 今、自衛隊が行くことには何の意味もありません。
 イラクの人々の暮らしがよくなるわけではないし、国際社会で日本の評判が上がるわけでもない。
 得るものより失うものの方がずっと多い。

・・・・・

 自衛隊の派遣は大きな間違いであるとぼくは考えます。
(池澤夏樹 2003−12−28)

(・・・・・は引用時に省略した部分)

2003年12月27日

横浜市立大学長に辞職を勧める手紙

横浜市立大学理学部 一楽重雄教授 から小川恵一学長への手紙2003.12.22
http://edmath.sci.yokohama-cu.ac.jp/ogawa1222.pdf

小川恵一先生

先日は、総合理学での「対話集会」ご苦労様でした。実質的に先生の辞任を求める声明の署名者は、現時点で、名誉教授等21名、教授等24名となりましたので、ご報告致します。これからも、徐々にではあっても、増えてゆくものと思います。

さて、伝え聞くところによると、先日の大学改革推進本部の動きを小川先生には評議会当日まで知らされていなかったとのこと。市は学長をまったく軽視しているのではないでしょうか。教育の中味までを市が決定するということ、これは「大学の自治の侵害」そのものではないでしょうか。先日の対話集会で、「自治の侵害には、身を挺して守る」とおっしゃたのはどなただったでしょうか。ぜひとも、実行して頂きたいと思います。

今、先生が「身を挺する」とは「辞職」しかありません。

これが恐らく先生のお名前が後世に恥辱にまみれたものとならない最後のチャンスかと思います。もちろん、先生が自分の意志を貫けないのは心残りと思いますが、このままでは市は小川先生の立場もまったく考えず、どんどん、突っ走るだけであることは明白です。

多少の抵抗をしても、貪欲な権力者には意味はありません。「身を挺する」ことが必要なときが来たのです。

どうか、ご家族ともご相談され、賢明な判断をされることをお願い致します。

理学部一楽重雄

「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う声明

平成15 年11 月28 日

去る10 月29 日小川学長は、中田市長に対して「横浜市立大学の新たな大学像」を提出した。この案は大学案の形を取っているものの、その作成は教員7名、事務局員7名というごく少数の委員からなる「横浜市立大学改革推進・プラン策定委員会幹事会」で秘密裏に行われたものであり、大学の総意によるものではない。このことは、改革推進・プラン策定委員会や評議会で多くの反対意見が出され紛糾を重ねたことや、各教授会、あるいは、教員組合や教員有志の度重なる意見表明から明白である。

そもそも大学の将来という重要な事柄が、教授会の関与を排して進められたこと自体学校教育法に抵触しかねないものであり、民主主義の原則に反するものである。

行政と大学との協調と緊張という正しい関係が採れず、管理職職員とごく一部の教員によって非民主的に作成された今回の案は、いずれ大学の解体につながるものであり、この案の作成過程と内容が「学問の自由」、「大学の自治」を否定した悪例として全国に残ることを自覚しなければならない。

この案の内容自身もあまりに問題が多いと言わざるを得ない。そもそも、この案の立脚している「プラクティカルなリベラルアーツ」なる概念が不明確であり、むしろ、形容矛盾である。この案は、単に「あり方懇」の答申を精査し具体化しただけであって、まったく大学の主体性にかけるものである。

しかも、あり方懇答申の出発点となった財政上の問題の解決につながるものとも、とうてい思われない。その理由は、

1. 理学部を理工学府に改組することは、むしろ費用の増加につながる。
2. 教員全員に任期をつけ、年俸制とすることは、人件費の大幅な増加を意味する。

教員は、等価な報酬であれば、任期のない大学、研究費の保証される大学に転職するのは当然であるから、この大学像による大学では通常を大幅に上回る給与を支給しなければならない。また、直接に教員の待遇や年俸を決定するに耐えるような公正な評価を行うためには、広い専門にわたる教員に対して複数の評価委員を委嘱する必要が生じ、その費用は相当な額になる。

その一方で、わずかな出費を押さえることにしかならない、

1. 一部を除いての博士課程の廃止
2. 教職課程などの廃止
3. 個人研究費の廃止
4. 研究所の廃止

などが謳われているが、これらは大学の魅力を大きく殺ぐものであり、市民の要望にも合致しない。大学の教育が研究を基盤としていることを忘れては、魅力ある大学どころか、凡庸な大学にすらなりえない。

3学部を1学部に統合することも、学部間の垣根を低くすることが目的であるとされているが、それは3学部のままでも十分可能なことであり、本来の狙いは別なところにあるのではないかと思われる。すなわち、大幅な縮小である。学生数や教員数の規模について、触れられていないこの案では、この点も明らかにならず憶測を生むばかりである。また、そのカリキュラム・コース案は、理工系を「IT」、「バイオ」、「ナノテク」とするとした点に見られるように、近視眼的な実用主義教育であり、総合的な基礎教育と基礎研究を軽視している。

このように時代の流行のみを考慮したコース設定は、それゆえにすぐに時代遅れとなり社会の要請に応えるものともならない。基礎研究があってこそ応用研究が有り得ることは、「環境ホルモン」の問題において市大自身が身を持って体験したことであった。

長い歴史によって得られて来た「学問の自由」、「大学の自治」は、変化の激しい現在の社会であっても、大学が大学であることの根幹をなすものであることに変わりはない。もちろん、このことは現在の大学の自治に問題がないことを意味するのではなく、問題解決に向けた改革を進めることは当然である。しかし、「あり方懇」座長の特異な考え方に基づいて、教員人事システムを専門家集団である教授会から取り上げ、案の言う人事委員会にゆだねるようなことは、別の大きな弊害を生む恐れが強い。すなわち、権力による大学支配である。理事長と学長を分離することによって、市長が直接理事長を任命し、その理事長が理事を任命し、その理事会で人事委員を決定するということになると、現実の人事が政治的な要因で左右されることさえ懸念される。

また,教員評価制度の項では「「大学から求められた役割をきちんとはたしているか」という視点が重要」とされているが,これは「学問の自由」を否定するものであり,大学が大学であり続けるために必要欠くべからざる「批判的精神」を自ら放棄することを意味する。これらの観点から、私たちは今回学長から市長に提出された「横浜市立大学の新たな大学像」に強く反対する。この案の作成責任者である小川学長は、まず教職員学生に対して、そして市民に対して、この案によって本当に市民の求める「魅力ある大学」が創られることになるのか、納得できる説明をする義務がある。

くしくも、創立75周年を迎えたこの時期に、大学破壊とも言えるような大学改革案を作成した小川学長は、その責任を明確にすべきものと考える。

横浜市立大学名誉教授・教授等有志代表:名誉教授 伊豆利彦, 教授 矢吹晋

呼びかけ人:中川淑郎,田中正司,蟹澤成好,一楽重雄,永岑三千輝,鈴木正夫

賛同者(12 月18 日現在):

名誉教授等(21 名) 石井安憲,吉川智教,平塚久裕,宮崎忠克,相原光,森俊夫, 多賀保志,内山守常,神田文人,佐藤経明,伊東昭雄,岩波洋造,山極晃,秋枝茂夫, 今井清一,中神祥臣,浅野洋,

教授等(24 名) 吉岡直人,笹隈哲夫,佐藤真彦,三谷邦明,松井道昭,川浦康至,市田良輔,石川幸志,山根徹也,桑江一洋,上杉忍,倉持和雄,影山摩子弥,唐澤一友,加固理一郎,本宮一男,古川隆久,平智之,今谷明,藤川芳朗