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国立大学独立行政法人化の諸問題: 国際問題


2/24 ペンタゴンの警告「温暖化はテロより危険」国際問題
2/03 田中宇氏ウェブログ公開国際問題
1/13 「なぜなら、イラクは出口のない泥沼だからだ」イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 国際問題 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
1/06 「この差は現実(現場)を見ているかどうかの差だろう」イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 国際問題
12/23 中国から日本への留学を事実上禁止する規制強化国際問題
12/22 国際政治学者と国際法学者の違いイラク戦争 , メディアの諸問題 , 学問の意義 , 国際問題 , 大学の使命
12/18 "People are now free to fight for their country's sovereignty and not Saddam"イラク戦争 , 国際問題
12/17 "その都度、人間は安易な処方箋を信じて自壊への道をたどった"イラク戦争 , 荒廃の諸相 , 国際問題
11/16 自衛隊イラク派遣、欧州で「断念」報道相次ぐイラク戦争 , 国際問題
11/05 戦闘状態の続くイラクへの自衛隊派遣を見合わせることを求める美荘町意見書国際問題
11/03 「パワーのない日本の資金」ーー田中宇の国際ニュース解説より国際問題
7/20 イラク派兵を批判する社説国際問題

2004年02月24日

ペンタゴンの警告「温暖化はテロより危険」

TUP速報261号 温暖化はテロより危険 04年2月23日

2004年2月22日(日)付 英オブザーバー紙マーク・タウンゼンドとポール・ハリス(ニューヨーク発)
 ペンタゴンがブッシュに警告:「温暖化はテロより危険!」 

・マル秘レポート、地球温暖化が暴動と核戦争を招くと警告
・イギリスは20年以内に“シベリア化”する
・脅威は世界にとってテロリズムの比ではない

Posted by tjst at 02月24日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000540.html
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2004年02月03日

田中宇氏ウェブログ公開

http://tanakanews.com/blog/

このところ世界が激動の度合いを増し、私にとっては、毎週書いている解説記事で書ききれないほど興味深い動きがたくさんある状態になっています。そこで、昨年8月から http://tanakanews.com/blog/ で短信的なウェブログを始めました。・・・
Posted by tjst at 02月03日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000498.html
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2004年01月13日

「なぜなら、イラクは出口のない泥沼だからだ」

カレル・V・ウォルフレン「アメリカからの「独立」が日本人を幸福にする」
実業之日本社, 2003.12.18, ISBN 4-408-32202-4.

・・・・・・大規模な戦争は時代遅れだということは、日本人が第二次世界大戦以降、心の底から感じてきたことだ。それだけに、日本政府がアメリカのイラク占領を支援するために自衛隊を派遣すると約束したのは、実に皮肉である。
日本の人々は、イラクに兵士を送っているほかのすべての国が、悲惨な結果をもたらすこの間違った企てに参加する愚かしさを理解するときーーそれは近いうちにやってくるはずだーーまで、自衛隊のイラク派遣が先送りされ、為政者たちがこの約束をすっかり忘れてくれることを、ただ願うだけだ。イラクへの自衛隊派遣という約束を破ることは、日本の国益に大いにかなっているのである。
なぜなら、イラクは出口のない泥沼だからだ。・・・・・・

参考:
Creative Space における抜粋(2003.12.21)
cf: カレル・ヴァン・ウォルフレン(鈴木主税訳)
人間を幸福にしない日本というシステム
新潮OH!文庫 ISBN 4-10-290008, 2000.10.10刊. (抜粋

2004年01月06日

「この差は現実(現場)を見ているかどうかの差だろう」

敬天愛人 格物致知 blog 2004.1.5

・・・・・この差はどっから来るものか、山崎氏は劇作家、中村氏は医師という立場の差だろうか。多分、この差は現実(現場)を見ているかどうかの差だろう。参院トップ当選を果たしたテレビコラムニストの舛添要一氏は、アフガニスタン戦争において、「アフガニスタンは国家の態をなしてない以上、攻撃される責任は負うべきだ」とアフガニスタン攻撃を肯定したのだが(この考え方も日本の多数派なのか)、それは山崎氏と同様に攻撃され傷つき死ぬ人々の悲惨さを想像できないのではないだろうか。 ・・・・・

2003年12月23日

中国から日本への留学を事実上禁止する規制強化

blog::TIAO: 貝と成り交わりを避け、貝殻と化しては見向きもされない・・・中国留学生の受入れを躊躇うべきではない 2003.12.23
今年6月の中国留学生による一家四人殺害事件以降、日本に留学するには300万円の貯金証明が必要になったという。外資系企業で働く優秀な若者でも月給が10万円であるという中国から日本への留学は事実上禁止されたようなものではなかろうか。これを長期的な「安全保障」に関わる問題としてとらえる視点は鋭いーー日本の指導者層にはそれがないのであろうか。

・・・・・今後、10年、20年後には中国はもっと多きな存在とアジアでの地位を高めるだろうし、日本はアメリカと中国の間で難しい選択を余儀なくされる時代が必ずやって来る。その時に、中国の指導部に日本をよく知った人材がいるかどうかは大きなポイントになる。かつての孫文や魯迅、周恩来のように日本と日本人への理解をもてる人材がいて欲しい。

ということでは、「中国留学生の受入れ問題」というのは日本の「安全保障問題」でもあるということができるのじゃないだろうか。なにもミサイルや鉄砲でハリネズミのようになるだけが安全を保障することではないはずだ。

Posted by tjst at 12月23日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000399.html
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2003年12月22日

国際政治学者と国際法学者の違い

[mathfp 939] (2003.12.22) より転載
イラク戦争と国際法 講師 明治大学法学部 小倉康久  記録 柳原二郎
2003年9月24日(水) 17:15‐19:00 千葉大学総合研究棟6階609号室

・・・・・私たちが、イラク戦争・アフガン戦争・9.11テロ などについて情報を入手する場合、テレビ、新聞などのメディアを通すことがほとんどだと思う。メディアに登場する学者や専門家のほとんどは国際政治学の方々が多く、国際法学の専門家はほとんどいない。そこでまず、国際法学と国際政治学の違いについてお話する。
 端的に言って、国際法学では「合法か違法か」を問題とするが、国際政治学では「妥当かどうか」を問題にする。
 たとえば、日米同盟があるから、北朝鮮の脅威があるから、あるいはフセイン政権が独裁的で人権を侵害しているからなどの理由から、イラク攻撃に賛成するのは妥当だったとか、妥当でないと、というのが国際政治学の観点である。
 これに対して、国際法学の観点では、米英のイラク攻撃が合法か違法かという問題になる。妥当性を強調しても、違法な行為が合法な行為に変わるものではない。もっとも、合法だからすべて妥当だというわけではないし、違法だからすべて不当だというのでもない。例外的に、法的には違法でも人権の立場から妥当だと見る場合もある。・・・・・

詳細:

小倉さんからのメッセージ

自衛隊のイラクへの派遣(派兵)が、現実のものとなってきましたが、
どちらの勢力(右にとっても、左にとっても)にとっても、
重大なことだと思います。
後に日本の歴史の転換点と位置づけられかもしれません。
そういうつもりで、日本国民は行動していかなければならないと思います。

追伸:記録を取って頂いた柳原先生には、よろしくおつたえください。

明治大学法学部  小倉 康久

############### 秋の数学会での講演録 ###############


イラク戦争と国際法
講師 明治大学法学部 小倉康久
2003年9月24日(水) 17:15‐19:00 千葉大学総合研究棟6階609号室

はじめに:イラク戦争の考え方と国際法の特殊性

私たちが、イラク戦争・アフガン戦争・9.11テロ などについて情報を入手する場合、テレビ、新聞などのメディアを通すことがほとんどだと思う。メディアに登場する学者や専門家のほとんどは国際政治学の方々が多く、国際法学の専門家はほとんどいない。そこでまず、国際法学と国際政治学の違いについてお話する。

端的に言って、国際法学では「合法か違法か」を問題とするが、国際政治学では「妥当かどうか」を問題にする。

たとえば、日米同盟があるから、北朝鮮の脅威があるから、あるいはフセイン政権が独裁的で人権を侵害しているからなどの理由から、イラク攻撃に賛成するのは妥当だったとか、妥当でないと、というのが国際政治学の観点である。

これに対して、国際法学の観点では、米英のイラク攻撃が合法か違法かという問題になる。妥当性を強調しても、違法な行為が合法な行為に変わるものではない。もっとも、合法だからすべて妥当だというわけではないし、違法だからすべて不当だというのでもない。例外的に、法的には違法でも人権の立場から妥当だと見る場合もある。

次に、国際法の特殊性に注意しなければならない。国内法では違法行為があれば警察が介入し裁判を経て処罰される。これに対して国際法では各国家は平等に主権を持ち、それらの上位に君臨し支配する超国家的機関がない。裁判制度も不備であり、国際司法裁判所もあるが、それが機能するのは関係双方が提訴に合意したときだけであり、裁判になることは少ない。さらに、裁判があって違法と認定されたとしても、処罰などの、法の執行は難しい。国内法と対比すれば、処罰などの規定のないのは法ではないという批判もあり、国際法は、法体系としてまだまだ未熟だと言わざるを得ない。

このように国際法は、なお甚だ不備なものではあるが、従来国家の権利とされていた戦争が、現在の国際法では禁止されているように、国際法をもっと発展させることが国際平和のために重要だと思われる。

イラク戦争に適用される国際法には、大きく分けて (1) jus ad bellum(ラテン語:ユス アド ベルム)、 (2) jus in bello(ユス イン ベロ)という2つのカテゴリーがある。

(1) jus ad bellum は武力行使に訴えることの規制であり、どういう場合に戦争(あるいは武力行使)が合法であるかを定めている。具体的には、国連憲章が該当する。この観点からイラク戦争の合法性が問題となる。

(2) jus in bello は、武力行使の方法の規制であり、国際人道法(International Humanitarian Law)(捕虜を虐待してはならないとか、一般市民を攻撃してはならないなど、武力紛争に際して残虐さを軽減し、人間としての尊厳を保護するために設けられた一連の国際法規の総称。1971年赤十字国際委員会がこの名称を使い始めた)、具体的にはハーグ陸戦条約、ジュネーブ諸条約、1977年のジュネーブ諸条約及び1977年の2つの追加議定書、対人地雷禁止条約などが該当する。毒ガスなどの化学兵器使用禁止(害敵手段)、放送局への攻撃規制(攻撃目標)、捕虜の扱いなどを規制する。 (1) による武力行使の合法性に拘りなく、(2) は守られなければならない。

I なぜイラクは大量破壊兵器(核兵器、化学兵器、生物兵器)の保有が禁じられているのか?

1 核拡散防止条約(Treaty on the Non-proliferation of Nuclear Weapons: NPT)
加盟国 188カ国(含イラク)、 非加盟は インド、パキスタン、イスラエル、(北朝鮮)など。

内容は
・米英仏露中以外の国の核兵器の保有・開発を禁じる。
・非核兵器保有国には、原子力の平和利用について技術支援が行われる。
・非核兵器保有国は原子力国際機関 IAEAの査察を受け入れる。
・核兵器保有国には、核軍縮交渉を誠実に行う義務がかせられる。

NPT6条 各締約国は、核軍備競争の早期停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下に於ける全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する。

2 国連決議

・安保理決議687(1990) 湾岸戦争の停戦条件として、大量破壊兵器(核兵器、化学兵器、生物兵器)の保有、開発を全面的に禁止する。

 以上のように二つの理由から、イラクは核兵器の保有が禁止されているのである。しかし、NPT や国連決議に違反したからと言って、即、武力行使が容認されるわけではない。

II イラク戦争の合法性 … jus ad bellum からの検討

1 国際法は戦争に関してどのように規定しているか?

(1) 基本原則 戦争を含めあらゆる武力行使及び威嚇の禁止(国連憲章2条4項)

国連憲章2条4項すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使をいかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

(2) 武力行使禁止の例外

a. 個別的・集団的自衛権(国連憲章51条)

国連憲章51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置を取るまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。またこの措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く機能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

イラク戦争に関していえば、国連憲章は、武力攻撃の発生(an armed attack occurs)を要件としていることが重要である。潜在的な武力攻撃の可能性に対して、自衛権を発動するという、いわゆる先制的自衛(pre-emptive self-defence)は認められない。そのような例として、1981年のイスラエルによるイラク原子炉攻撃や、2002年9月に発表された米国国家安全保障戦略(テロには抑止がきかないから予め攻撃しておく、ということ)があるが、これらはいずれも合法とは認められない。

ただし、武力攻撃発生という要件は、損害の発生を意味するものではないから、損害が発生しなくても、攻撃の着手があった段階で自衛権を発動することができる。

 自衛権行使の要件としては、国連憲章の規定に加えて、慣習法や判例によって認められたものがある。それがその状況下で必要なものであること(必要性)、相手の武力に対し均衡しており、過度に大きな反撃ではないこと(均衡性)、攻撃された時点での措置であること(即時性)、従って、以前攻撃されたからと言って10年後に攻撃することは認められない。

b.軍事的強制措置(国連憲章7章)

安全保障理事会は、軍事力の行使を決定する権限を有している。

国連憲章39条 安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。国連憲章41条(経済制裁などの非軍事的措置)国連憲章42条 安全保障理事会は、第41条に定める措置では不十分であろうと認め、又は不十分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟の空軍、海軍、又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。

・軍事的強制措置が行われるまでの手順はつぎのようになっている

安保理による侵略行為の存在の決定→軍事的強制措置の決定→国連軍の創設→国連が軍事的強制措置を発動
☆朝鮮国連軍や国連平和維持軍などは、これに該当しない。

・湾岸戦争以降の慣行としては、安全保障理事会は個々の加盟国に武力行使を許可する権限を有するという説が主張されている。

c. その他の例外
・旧敵国条項(国連憲章53条1項後段、107条)、民族解放闘争、国内問題

・人道的介入【humanitarian intervention】… NATO 軍によるコソボ空爆

2 アメリカ・イギリスの主張(イラク戦争をどのように合法化しているのか?)

(1) アメリカの主張: 安保理決議678(1990)、687(1990)+自衛権に基づいて合法だという(フライシャー報道官の言明)。

(2) イギリスの主張: 安保理決議678(1990)、687(1990)、1441(2002) に基づくという(ゴールドスミス法務長官の言明)。1441の最後に「この問題に引き続き取り組むことを決定する」となっており、武力行使の決定は行われていないといえる。これが根拠薄弱なことはアメリカでさえも、この1441に依拠していないことからもわかる。

・これら米英の主張がいずれも根拠薄弱なことは、米英スが武力行使を認める新決議の採択を求めていたことからも明らかである。

※ ここで述べたことに関係する安保理決議について:
・安保理決議678(1990) … 湾岸戦争における武力容認決議 「その地域における国の平和と安全を回復するために、必要なあらゆる手段をとる権限を与える」

・安保理決議687(1990) … 停戦決議

・安保理決議1441(2002) … イラクの安保理決議の不履行を認定。

III jus in bello からの検討
1 国際人道法の概要

(1) 基本原則

a. 無差別攻撃の禁止
・無差別的効果を有する兵器の使用禁止
・戦闘員と非戦闘員を区別できないような戦闘方法の禁止
・軍事目標主義 … 攻撃目標は軍事目標に限定される(しかし軍事目標とは何かの定 義がなく、リストもない。放送局やダム、原発などは攻撃目標から除外されるべきだと思われるが必ずしも明白ではない。日本はジュネーブ議定書に加入していないが、危険な原発の多い日本は加入して欲しい、と私は思う)。

b. 不必要な苦痛を与えることの禁止

「不必要ノ苦痛ヲ与フヘキ兵器、投射物其ノ他ノ物質ヲ使用スルコト(ハーグ規則23条e)」は禁止されている。ここで不必要な苦痛というのは、兵器の使用によりもたらされる軍事的効果に比較して、その使用によって引き起こされる苦痛が大きいことである。

戦争の目的は、敵の軍事力を弱めることにあるから、その必要を超えて苦痛を与えたり、また将来に亘って苦痛を与えることは禁止されているのである。例えば、劣化ウラン弾は放射能が残って将来に亘って苦痛・損害を与えるものであり、またレントゲンでも見えないような材料で人を傷付けるものや、クラスター爆弾のように多くの不発弾をばらまくものもこの立場からは禁止される可能性がある。

兵器の許容性の判断は

i 人道法の基本原則と

ii 特定の兵器を禁止する条約(対人地雷禁止条約、生物毒素兵器禁止条約、化学兵器禁止条約、ダムダム弾禁止宣言など)

に則ってなされる。

(2) 国際人道法に違反した場合

・国家の責任
ハーグ条約(陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約) 3条 前記規制ノ条項ニ違反シタル交戦当事者ハ、損害アルトキハ、之カ賠償ノ責ヲ負フヘキモノトス。交戦当事者ハ、其ノ軍隊ヲ組成スル人員ノ一切ノ行為ニ付責任ヲ負フ。

・個人の処罰 国際刑事裁判所(ICC)、国内裁判所、国連の設置するアド・ホック裁判所(旧ユーゴ国際刑事裁判所、ルワンダ国際刑事裁判所)、戦勝国の設置する国際裁判所(東京裁判、ニュウルンベルグ裁判)などによって裁かれる可能性がある。

2 アメリカ・イギリス軍の戦闘行動

(1) クラスター爆弾、燃料気化爆弾、劣化ウラン弾等の使用

・これらの兵器の使用を明示的に禁止する条約はない。国際人道法の基本原則に照らして兵器の許容性が判断される。空中から広い範囲に爆弾を浴びせ、不発弾も多くて後々まで危険が残るクラスター爆弾(無差別的効果)、破壊力の巨大な燃料気化爆弾(無差別的効果)、後々まで放射能被害の残る劣化ウラン弾(不必要な苦痛)等は国際人道法に抵触する可能性がある。

(2) 民間人に対する損害

・軍事目標だけを狙うべきである。放送局しかも外国のそれ(アルジャジーラ)を攻撃するのは違法である。

・付随的被害 軍事目標のまわりの被害はある程度は許容される。
攻撃される側も、軍事目標のまわりの住民を避難させるなどの義務がある。

(3) 自爆攻撃

・戦闘員が戦闘中に敵兵士に対して自爆攻撃を行うのは違法ではない。しかし民間人に
扮して自爆攻撃するのは違法である。

(4) 捕虜のテレビ放映

ジュネーブ第3条約13条 捕虜は常に人道的に待遇しなければならない。抑留国の不法の作為又は不作為で抑留している捕虜を死に至らしめ、又はその健康に重大な危険を及ぼすことは禁止し、かつこの条約の重大な違反と認める。特に捕虜に対して、身体の切断又はあらゆる種類の医学的若しくは科学的実験で、その者の医療上正当と認められず、かつ、その者の利益のために行われるものでないものを行ってはならない。(2) また捕虜は、常に保護しなければならず、特に、暴行又は脅迫並びに侮辱及び公衆の好奇心から保護しなければならない。(3) 捕虜に対する報復措置は禁止する。

アフガン戦争で、連行されるタリバン兵士の映像が放映されたことはジュネーブ条約に違反する可能性がある。

(5) フセイン大統領の暗殺を目指す攻撃(個人の暗殺を目指すのは違法ではないか?)
フセイン大統領は、軍の最高司令官であるから軍事目標であり合法である。

2 戦闘終結後の米英軍のプレゼンス(駐留) 戦闘終結宣言後も米英軍はイラク領内に駐留し続けているが、国際法的に評価するとどうなるか?

・国際法的には、jus in bello の規定する問題で、軍事占領に該当する(ハーグ規則42条)。jus in belloはjus ad bellumにおける武力行使の合法性を前提としないのであるから、イラク戦争の合法性は前提としない。軍事占領は、武力行使の一形態として位置づけられる。

・軍事占領の場合、占領国にも法的義務が課せられる(ハーグ規則43条、ジュネーブュネーブ第4条約55条1項など)。占領地域の法令遵守、秩序維持、医療や食料の提供義務など。

ハーグ規則42条 一地方ニシテ事実上敵軍ノ権力内ニ帰シタルトキハ、占領セラレタルモノトス。占領ハ右権力ヲ樹立シタル且之ヲ行使シ得ル地域ヲ以テ限トス。 43条 国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶対的ノ支障ナキ限、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ。ジュネーブ第4条約 55条1項 占領国は、利用することができるすべての手段をもって、住民の食糧及び医療品の供給を確保する義務を負う。特に、占領国は、占領地域の資源が不十分である場合には、必要な食糧、医療品その他の物品を輸入しなければならない。

IV イラク特別措置法、我が国の対応について

1 イラク戦争の合法性

特措法1条では、イラク戦争を「安保理決議678、687、1441 に基き国連加盟国が行った行為」として国連決議に基づく合法的なものとしている(米英とほぼ同様の理由)。

2 自衛隊派遣の法的根拠

受入れ国の同意なしに軍隊を派遣することはできない、のが国際法の原則である。しかし現段階では暫定政権も自衛隊受入れを表明してはいない。政府は安保理決議1483 を根拠としているが、これは米英軍を占領軍と認め、国際法上の義務、責任を果すよう要請したもので武力行使の合法性を承認したものではない(ジュネーブ諸条約、ハーグ規則の遵守を要請)。

3 自衛隊の武器使用

・旧政府残存勢力が自衛隊を攻撃することは、合法的な戦闘行為であり、これに反撃することは自衛あるいは正当防衛ではなく、同格の戦闘行為にあたる。

4 非戦闘地域と戦闘地域

・国際人道法上、旧政府残存勢力がイラク全土において戦闘行為を行うことは合法である。従って、非戦闘地域と戦闘地域の区別は、国際法上の概念ではない。

最後に、自然科学と法律について

私は核兵器、核軍縮の問題を扱っているが、兵器の性能などを考えるには自然科学者のご協力が不可欠である。また自然科学者も法律の枠内で生活しておられるのだから、法学者と自然科学者が緊密な関係を持つことは大切だと考えている。

参考文献

国際法学会編『国際関係法辞典』三省堂
藤田久一『新版 国際人道法(再増補)』有信堂高文社
藤田久一『戦争犯罪とはなにか』(岩波新書)
最上敏樹『人道介入 −正義の武力行使はあるか−』(岩波新書)
松井芳郎『テロ、戦争、自衛 −米国等のアフガニスタン攻撃を考える−』東信堂

質疑応答(質問に対する講演者の回答をまとめて書きました)

1(国連は無力だ、ということについて)

国連は無力だ、役に立たない、とよく言われるが、しかし何も無かった頃に比べれば僅かでも弱小国の意見が強大国の行動を掣肘するようになっている。国連を育てて行くことが現実的だと思う。

2(米英は、イラク攻撃は戦争ではないからにハーグ条約など国際法の制約を受けないと言っているがどうか、またイラク人の自爆攻撃が非難されるが法的にはどうか)

国連憲章では、戦争という言葉は使わず、「武力行使」という言葉を用いており、実際の武力行使を禁止しており、宣戦布告などなくても適用される。

3(イスラエル軍の自治区への侵攻と、パレスチナ側の反撃テロについてはどうか)

イスラエルの侵攻は明かに違法であり、パレスチナ側の民間人へのテロも違法だ。

4(違法な武力行使にも国際人道法は適用されるのか)

たとえ、国際法上違法な戦争であっても、武力行使である以上、人道法は適用される。

5(違法な戦争で被害を受けた場合、戦争を起した者に賠償請求できるか)

原爆は違法な兵器だとしてアメリカを訴えた人がいたが、日本の裁判所は「個人が他国を相手に賠償請求訴訟を起すことはできない。訴えはもっともだが、それは日本国政府がが代って請求する事項だ」として却下した(下田事件判決)。しかし、個人が戦争被害について国を相手に訴えられるかどうかについては、それを認める学説も存在している。

6(戦争裁判について)

 戦争犯罪が、すべて裁かれるとは限らない。特に、自国の兵士を、自国政府が裁くことは難しい。しかし、ベトナム戦争のときのソンミ村事件の裁判があるように、不可能なことではない。世論やジャーナリズムが重要になってくる。

7(劣化ウラン弾について訴えることはできるか)

 国際刑事裁判所には、メールなどでいろいろ訴えが来ているようだ。この問題は、可能性としては、国際保健機関(WHO) が国際司法裁判所に訴えることもできるだろう。

8(国連軍の行動について)

平和維持軍は軍事的強制措置ではない。受入れ国が同意してはじめて派遣できるのだ。

記録:柳原二郎

2003年12月18日

"People are now free to fight for their country's sovereignty and not Saddam"

[aml 37070] Fwd: [iraq-action:8207] FW: フセイン拘束後のイラク より
イラク女性のブログ http://www.riverbendblog.blogspot.com/

・・・・・The question that everyone seems to be asking is the effect it will have on the resistance/insurgence/attacks. Most people seem to think that Saddam's capture isn't going to have a big effect. Saddam's role was over since April, many of the guerilla groups and resistance parties haven't been fighting to bring him back to power and I think very few people actually feared that.
 Political analysts and professors in Iraq think that Saddam's capture is going to unite resistance efforts, as one of them put it, "People are now free to fight for their country's sovereignty and not Saddam."・・・・・

 あなたが聞きたいことはわかる。このこと、サダムの捕縛で、今後、抵抗、暴徒、 攻撃はどうなるかーでしょう? ほとんどの人は、サダムが捕まったってたいした変 化はないと考えている。サダムの重みは、4月以降、無くなっている。ゲリラ・グ ループ、抵抗政党は、サダムを返せと戦いを続けているのではない。わたしが思う に、実際にそんなことが起こると思っている人はいない。
 イラクの政治学者や教授たちは、サダムの捕縛は、抵抗勢力を団結させると考えて いる。彼らの一人はこう述べた。「もうこれで、人々は自分たちの国の主権のために 闘えるのだ、サダムのためでなくて」(翻訳 池田真理さん)

Posted by tjst at 12月18日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000370.html
他の分類:イラク戦争 , 国際問題

2003年12月17日

"その都度、人間は安易な処方箋を信じて自壊への道をたどった"

中村哲 『「アフガン復興」のその後 』北海道新聞2003.12.16 夕刊
ーー「ブーム」の結末に悲憤 収まらぬ大旱魃、治安最悪、難民のUターンーー

・・・・・・そこで語られる「自然」とは、しばしば虚像であり、森羅万象さえ操作できるという科学技術への過信がある。かくして人権や自由と民主主義という「自明な大義」さえ、時代の共有する迷信の一部であると気づくのは困難でなくなった。私たちはとんでもない時代に生きているのだ。

過去にも閉塞の時代はあった。その都度、人間は安易な処方箋を信じて自壊への道をたどったのである。今より百年後、私たちが過去を壊したり、賛美したりしたのと同じように、現在が裁かれる時がくるだろう。しかし、時を超え、場所を超え、変らぬものは変らないだろう。美しいものは美しく、神聖なものは神聖であり続けるだろう。幸不幸も同様である。

私たちの思想や思考もまた、錆びてしまった。だが、自省のない暴力や経済への信仰が力を持つのは恐ろしい。破局は既に始まっている。心ある若者たちの健全な感性を尊重したい。「後世畏るべし」「新しい酒は新しい皮袋に入れよ」ーこれは二千年前の賢人たちの言葉である。(なかむら・てつ=医師、ペルシャワール会 代表)

関連リンク:

言問い亭2003.11号
第272号 −− 米軍ヘリがペシャワール会工事現場を機銃掃射 −− 2003.11.13

言問い亭2001.10号
第225号 −− 難民にすらなれない人たち −− 2001.10.11

・・・・・ 「今度こそ、危険な地帯に日の丸を掲げたい」などと興奮している小泉総理に申し上げたい。「日の丸は17年も前から、危険地帯に何本も立っていたんですよ。ただ、あなたにはそれが見えなかっただけだ。九州男児・中村哲さんの爪の垢でも煎じて飲め!

 第228号 −− ペシャワール会訪問記 −− 2001.12.11

2003年11月16日

自衛隊イラク派遣、欧州で「断念」報道相次ぐ

asahi.com 03-11-15 自衛隊イラク派遣、欧州で「断念」報道相次ぐ

自衛隊のイラク派遣をめぐる日本政府の判断をめぐり、欧州で「取りやめた」「先送りした」などとする報道が相次いだ。・・・・・

この記事についての神浦氏のコメント (11/16)

・・・・・ナシリアで発生した大規模テロ直後の延期なので、欧州には日本が臆病になったと見えてしまう。これも「イラクに安全なところがある」式の論理を掲げた日本政府の無責任さが招いた結果である。軍隊を出すのに安全だから出す式の論理は通用しない。・・・・・

cf: イラク派遣準備開始(11/15)

Posted by tjst at 11月16日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000297.html
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2003年11月05日

戦闘状態の続くイラクへの自衛隊派遣を見合わせることを求める美荘町意見書

愛媛県南宇和郡美荘町 の意見書 2003.9.19
議会だよりNo 5 http://www.town.misho.ehime.jp/gyou/gikai-dayori/2003gikai/gikai2003_11_005.pdf

戦闘状態の続くイラクへの自衛隊派遣を見合わせることを求める意見書

日本政府は「イラク復興支援特別措置法」に基づき、自衛隊をイラクに派遣し、人道支援活動だけでなく、安全確保活動という、事実上の米軍の支援活動を行おうとしています。

米英軍による武力行使によって7700人を超す罪の無い市民が殺されたイラクでは、今なお占領統治が行われ、連日のようにイラク人に対する家宅捜査や尋問が行われ、米兵によって罪も無い市民が射殺される事件が後を絶ちません。

イラク人は、自らの手で民主的な選挙を実施し、国民の代表と憲法を自らの手で決めるという要求を示していますが、占領当局は、未だ国民選挙の見通しすら明らかにせず、イラクの人々から「占領軍はいらない」という声が日増しに強くなっています。

バクダッド北東部のサドルシティ(旧サダムシティ)では、シーア派住民に対する米軍の発砲を機に米軍に対する怒りが高まり、シーア派住民から「米軍は24時間以内に撤退せよ」との声明が出され、米軍はサドルシティからの撤退を余儀なくされています。

また、南部バスラでは燃料費高騰、度重なる停電に怒った住民の占領軍に対する抗議行動が頻発し、その中で米英軍だけでなくデンマーク兵士にも死亡者が出ました。国連本部に対する爆破テロは、占領状態がもはや泥沼状態になろうとしていることを示しています。イラク占領米軍司令官のいう「われわれはまだ戦争状態にあり」「イラクを戦闘地域と非戦闘地域に分けることはできない」という事態が、日を追うごとにますます進行しています。

アメリカからイラクへの派兵の要請を受けたカナダ、パキスタン、インドは「国連の主導によるイラク復興支援となっていない」ことを理由にはっきりと派兵を拒否しています。また、アメリカ国内でも米兵家族会は、ブッシュ大統領と米国会議員に対し兵士の帰国を求める運動を開始しています。

小泉首相は国会で「(自衛隊員がイラク人を)殺すかもしれない、殺されるかもしれない」「どこが戦闘地域かなんてわかるわけない」と答弁しております。また、一度はイラクへの調査団派遣を見送る決定をしたにもかかわらず、アーミテージ国務副長官から「Don't walk away(逃げないでくれ)」と迫られると、決定を翻して9月末調査団派遣を決め、すべてが戦闘地域となりうるイラクへの自衛隊員を送り出す準備を進めようとしています。このような状態の中で自衛隊員をイラクに送れば襲撃の標的になることも想定されます。

戦闘状態の続くイラクの真っ只中に自衛隊を派遣することについては、慎重なる検討のうえ、見合わせることを強く求めます。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成15年9月19日

(提出先) 内閣総理大臣

Posted by tjst at 11月05日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000277.html
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2003年11月03日

「パワーのない日本の資金」ーー田中宇の国際ニュース解説より

田中宇の国際ニュース解説:マハティールとユダヤ人 2003.11.3 より

・・・・・この点では、日本はアメリカに対して非常に従属的なので、日本の資金は中国の資金に比べて政治的なパワーが弱い。今後世界の政治混乱がさらに続いた場合、パワーのない日本の資金はしたたかな運用ができず、日本人はやがて資産を失うのではないかと懸念される。・・・・・
Posted by tjst at 11月03日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000271.html
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2003年07月20日

イラク派兵を批判する社説

■朝日新聞7月20日■ イラク派遣――小泉流八方美人の限界
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

■北海道新聞7月20日 ■ 大義と派遣  無理に無理を重ねる愚
「・・・・・イラク特別措置法案は、イラクの危険な現実によってその非現実性を証明されたと言ってもいい。・・・・・危険を承知で安全と繰り返すのは卑劣に近い。自衛隊員の生命は政権の玩具ではない。インドは二万人の派兵を予定しながら取りやめた。愚を重ねる前に再考する勇気を政府に求めたい。」

■毎日新聞7月19日 ■ イラク視察 自衛隊を送り出す政治の責任は重い
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200307/19-2.html

Posted by tjst at 07月20日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000009.html
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