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国立大学独立行政法人化の諸問題: 国立大学法人法


11/15 「国立大学法人法化に関する質問主意書」への政府答弁書国立大学法人法
10/18 国家公務員採用 II 種試験「図書館学」区分の廃止国立大学法人法
9/29 シンポジウム「大学界の真の改革を求めて」報道発表研究者から社会へ , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学の自治
9/24  蔵原清人「国立大学法人と学校法人の比較検討」学校法人制度改革 , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学財政 , 大学内行政
9/22 河村健夫文科相「国立大学はどう変わるのか 」9月2日国立大学法人法
9/14 「国立大学法人評価委員会令」に対する意見国立大学法人法 , 大学評価 , 法人化準備
9/06 文科省募集:国立大学法人評価委員会令の制定に関するパブリックコメント国立大学法人法 , 大学政策 , 大学評価
9/03 櫻井充議員の質問主意書と小泉純一郎首相の答弁書国立大学法人法
8/21 北大学長への公開質問状国立大学法人法
8/20 国立大学法人制度下の使命国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学の使命 , 大学の自治 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
8/14 法人化移行関連資料国立大学法人法
8/07 国大協第16回特別委員会 2003.7.25国立大学法人法
8/02 藤田正一(北大前副学長)「「総長メッセージ」を読む」学長の権限 , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法 , 大学の自治 , 大学内行政
8/01 文部科学省高等教育局主任大学改革官の視点 学長の権限 , 国立大学法人法 , 大学の自治 , 大学政策 , 大学内行政 , 大学評価
7/27 櫻井よし子: 国立大学を潰す「遠山」文科省国会審議の形骸化 , 国立大学法人制度の欠陥 , 国立大学法人法
7/24 7/25『国立大学法人法の粉砕をめざす、交流+懇親+決起集会』国立大学法人法
7/24 行政を代弁して憚らない記者達メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 国立大学法人法
7/22 「法を守る」とは何かが問われているメディアの情報操作 , 国立大学法人法 , 司法制度の形骸化
7/21 国立大学独立行政法人化問題週報 No118 目次国立大学法人法 , 法人化問題週報
7/11 来年4月から道内7国立大*独立法人に期待と不安国立大学法人法
7/10 国立大学法人法の成立国立大学法人法

2003年11月15日

「国立大学法人法化に関する質問主意書」への政府答弁書

桜井充議員が10/7 に提出した第二回目の「国立大学法人法化に関する質問主意書」 への政府の答弁書(内閣参質157第8号)

第一回目の質問と答弁

| 質問主意書 五の4  答弁書「八の2について」の中で、「各職員
|の人事上の希望聴取については例年行っているところであり、今般、
|特別に全職員から希望を聴取する考えはない。」としているが、人
|事上の希望聴取が今年度既に終わっている大学がある。こうした大
|学の場合には、国立大学法人法が制定された以上、改めて希望聴取
|を行うべきではないか。

答弁:
「国立大学の法人化に伴い、国立大学の職員が公務員でなくなることについては、かねてより周知しているところであり、文部科学省としては、特別に全職員の希望を聴取する考えはない。なお、国立大学の職員の人事については、任命権者が、各職員の 人事上の希望等を勘案しつつ、適材適所の観点から行うものであると考えている。」

|質問主意書 六 東京都立四大学の統廃合について

答弁:
「東京都が設置した大学の再編・統合に係る検討の方法等については、設置者である東京都が主体的に判断すべきものであり、現在、設置者である東京都において検討が進められているところであることから、その検討の方法等について、政府として指導を行う考えはない。」

Posted by tjst at 11月15日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000293.html
他の分類:国立大学法人法

2003年10月18日

国家公務員採用 II 種試験「図書館学」区分の廃止

人事院<記者発表資料>:国家公務員採用 II 種試験「図書館学」区分の廃止について

人事院は、国家公務員採用 II 種試験「図書館学」区分について、平成16年度試験から廃止することとした。
 国家公務員採用 II 種試験「図書館学」区分については、合格者の採用先のほとんどが国立大学、大学共同利用機関又は高等専門学校となっており、平成16年4月1日に予定されているこれらの組織の国立大学法人化等の後は、同区分からの採用が見込まれないことから、廃止することとしたもの。・・・・・

Posted by tjst at 10月18日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000230.html
他の分類:国立大学法人法

2003年09月29日

シンポジウム「大学界の真の改革を求めて」報道発表

独法化阻止全国ネット報道発表.2003年9月29日

           多分野連携シンポジウム
       「大学界の真の改革を求めて」について

             主催者代表
             国立大学独法化阻止全国ネット事務局長  豊島耕一

われわれ国立大学独法化に反対する4団体(全国ネット,新首都圏ネット,意見広告の会,アピールの会)は,実施が迫る国立大学の「法人化」について,その問題点,これまでの反対運動の意味,そして大学界の真に意味のある改革とは何かを考える標記のシンポジウムを,9月27日,東大構内で開いた.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/news/multisympo927.html

これは,次のような目的を持ったものである.
(イ)近年にない規模と多様性をもって展開されたこの運動を,幅広い立場から,総合的,多面的,論争的に吟味・総括し,記録すること.
(ロ) 制度の実施という状況のなかで独法化にどう立ち向かい,学問の自由と大学の自治を守り,あるいはどう築いていくかを討論すること.また,この制度は公立大学をも飲み込もうとし,さらに私大も,政府が認める評価機関による評価が義務付けられた.このような政府・官僚主導の激変のなかで,大学関係者と市民による高等教育の自律的な改善の可能性について考えること.

52名*の参加者の過半数は国立大学の教職員,学生であるが,国会議員2名,議員秘書1名,韓国教授労働組合2名,国立大学長,元学長各1名,私大・公立大から8名など,多様な人々が集まった.また,日本の大学問題についての本を書いたアメリカ人研究者,山内恵子衆議院議員,それに全大教からメッセージが寄せられた.

午前,午後,合計6時間にわたって多様な報告と熱心な討論がなされた.

まず,主催者団体などによる運動の総括が5人から述べられた.冒頭,全国ネットの豊島は,法案阻止運動がなぜ敗北したかについて,この問題が憲法と教育基本法に反するものであるとの認識が大学関係者にほとんどなかったことなど,5点にわたって分析した.

首都圏ネットの小沢は,「論点集」を作って議員に質問の材料を提供するなど,終盤での国会ロビー活動について説明した.また,かなりの程度まで成功した,メディアにこの問題を取り上げさせるための努力について述べた.

次いで「アピールの会」の池内は,大学内に限られている運動を,多くの著名人の賛同意見などを使って一般に広げていったことを,「意見広告の会」の野村は,最終版での世論形成に重要な効果を上げた意見広告運動について説明した.

千葉大学の独法化問題情報センターの安田氏は,ネット上で飛び交う情報があまりにも大量なため,教職員がむしろ情報不足に陥っている状況を改善するために,重要な情報を選び出して提供する活動について説明した.これは同大学でいくつか出された教授会などの意見表明のベースを与えたのだと思われた.

共産党参議院議員の林紀子氏は,参院審議において,「労働安全衛生法」の問題での追及などを説明した.さらに,教育基本法改悪問題が今度の国会で重大な局面を迎えるだろうと述べた.

社民党の山内恵子衆議院議員秘書の広瀬氏は,国会議員と大学関係者の間の認識の壁の問題について意見を述べ,また議員のメッセージを紹介した.

鹿児島大学大学の前学長,田中弘允氏は,2000年頃の国大協内部の状況や,そこでの独立行政法人化に対する自らの批判活動について述べた.関連して現職学長である宇都宮大学の田原博人氏が発言したが,国大協の会議の雰囲気がどのようなものかを十分想像させるものであった.

続いて,「改革」と称する行政による強権的介入と,それによるリストラが目論まれている横浜市大,東京都立大の深刻な状況が,両大学の同僚から説明された.教授会無視や秘密主義は両者に共通する特徴のように思われる.

韓国教授労働組合副委員長の朴巨用 (パク・コヨン) 氏は,「軍事政権の山を越えたら新自由主義の川が待っていた」との表現で,政府が導入を目論む「国立大学運営に関する特別法」について批判的に紹介した.これは大学の民主主義と自治を無視し,授業料の値上げを招くなど重大な問題を含むとのことである.

アレゼール日本の岡山茂氏は,フランスの大学改革について説明した.予算の費目自由化や「中期目標」など,日本の「法人化」と見かけ上似たところもあるが,しかしフランスでは政府と大学との「対等な契約」とされており,「目標」も日本のように政府が定めるものではない.

教育法が専門の成嶋隆氏は,「法人法」が教育基本法10条(教育への不当な支配の排除)に違反するものであることを,限られた時間ながら詳細に論じた.10条のみならず,6条2項(教員の身分保障),3条1項(機会均等)にも反する疑いがある.

フロアからは,工学院大学の蔵原氏が,国立大学法人制度における「法人」と「大学」の事実上の一体化は,従来の学校法人制度と全く異質であると指摘した.異常に強力な学長権限と相俟って,大学制度全体に重大な悪影響を及ぼす恐れがあると述べた.

時間の都合で最後のセッションで発言した民主党参議院議員の櫻井充氏は,この問題で国民世論を喚起できなかったから敗北したのであり,それは大学側からのわかりやすい説明が不十分であったためだと述べた.また,今後,制度運用における対応のありかたなどについて述べた.

討論の時間は不足し,これからの運動の展開についての具体的方針が打ち出されるまでには至らなかったが,参加者一同,この制度の重大な問題性を再認識し,また国際的な視野でこの問題をとらえることができた.教育基本法改悪反対運動との連携の重要性も認識され,教育の自由,大学の自由を回復し発展させる運動のためのより総合的な認識が共有されたと思われる.

今回のシンポジウムで得られた知識と理解,そして人々の新しいネットワークが,大学という文化の創造において,大いに力を発揮すること期待したい.

なお,いくつかのレジュメ,メッセージは全国ネットホームページで公開している.また,シンポジウムの全内容は,近日中に出来るだけ詳細に公表する予定である.

*受付の名簿による.

840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部  豊島耕一
toyo@cc.saga-u.ac.jp
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp

2003年09月24日

蔵原清人「国立大学法人と学校法人の比較検討」

東京高等教育研究所検討会03/09/20(改定版)

国立大学法人と学校法人の比較検討

蔵原清人(工学院大学)

国立大学の法人化が行われることになった。これが多くの問題を含んでいることはすでに多くの方々から指摘されているとおりである。ここでは国立大学法人と私立学校の学校法人との制度設計と運用問題を中心に比較検討を行いたい。国立大学法人の発足・準備と平行して学校法人制度の見直しが進められている。私立学校関係者としては、国立大学法人の特徴を理解しておくとともに、現在の学校法人制度の長所と課題を十分把握して、学校法人制度の見直しに対処していく必要がある。


1、全体的問題
2、組織の比較
 1)学長(理事長)および他の役員の地位
 2)法人の機関
3、財政
 1)設置者の財政負担
 2)収益事業
 3)企業会計の原則
 4)利益等の取扱
4、国立大学法人の影響と課題

1、全体的問題

設立に関しては、国立大学法人は法律によって行われるとともに、必要な資金は国が出資するという点では、これまでの制度と大きく変わることはない。しかし法人制度としてみるとき、設置者としての法人と設置される学校とは区別がなく一体化している点に十分注意を払う必要がある。現在の学校教育法では、設置者と、設置される学校は明確に区別されており、その点で国公私立の間での差異はない。今回の国立大学法人制度はこの原則を崩すものであり、今後の学校法人制度の検討にも大きな影響を与えることが予想される。

 次に運用に関しては、中期目標を文部科学大臣が大学に示し、大学はそれに基づいて中期計画を作成して文部科学大臣の認可を受けること(期間は6年、通則法では3〜5年)、中期計画期間終了時の検討を行うこと(法第35条による通則法第35条の準用)、学長は文部科学大臣が任命すること(ここでは国立大学法人の申し出によって)など、かつてなく文部科学大臣の統制下におかれることになる。しかも職員は非公務員型とすること(通則法では国家公務員)などまったく身分的保障は与えられていない。大学内部においては学長のワンマン体制であること、経営協議会の委員の二分の一以上は学外者とすることなどである。


2、組織の比較

1)学長(理事長)および他の役員の地位

国立大学法人では学長の権限が著しく強い。すなわち学校教育法の定める学長としての「職務を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する」(第11条第1項)これは私立学校における学長とは異なり、理事長を兼務するものに相当する。しかし私立学校の理事長よりもはるかに権限は強い。

まず、法第10条では、「役員として、その長である学長及び監事二人を置く」とあり、同条第二項で「理事を置く」ことが規定されている。(別表に人数は規定)。理事の役割は「学長の定めるところにより、学長を補佐」することが中心である。「学長及び理事で構成する会議」(役員会という)が置かれるが、これは学校法人の理事会に相当する位置にあるが、権限の面では学長の諮問機関にすぎない。(以上、第11条)しかも任命は学長が行う(第13条)。このように学長は本来、代表権と決定権を持っている。

学校法人の場合は、「役員として、理事五人以上及び監事二人以上を置かなければならない」。そして理事のうち一人は理事長となる。(私立学校法第35条)この場合、代表権は第一義的には理事全員が持っている。その上で寄付行為によって制限することができる。理事長は「学校法人内部の事務を総括する」ことが基本であって、設置する学校に関しては限定された権限しか持たない。「学校法人の業務は・・・理事の過半数をもって決する」ことが基本である(私立学校法第36条)すなわち、学校法人の意志決定は理事の合議によるものである。この他、理事の選任に関しての要件が定められている。

国立大学法人の監事は、意見を出すのは「学長又は文部科学大臣」に対してであって、経営協議会などに出すことは規定されていない。これに対して学校法人の場合は評議員会に報告しあるいは評議員会の招集を請求することができるのである。後者は自治的に問題を解決する手順が保障されているが、前者では学長(理事長)が無視した場合は文部科学大臣に意見を出す他はないことになる。これは文部科学大臣が任命することになっている面からは当然といえるが、それだけに監事は自治的な位置づけが与えられていないといわなければならない。

学校法人の役員には選任条件として同族に関する制限がある。国立大学法人の場合は経営協議会に学外者を二分の一以上とするという規定だけで、何ら制限はない。

2)法人の機関

国立大学法人では経営協議会と教育研究評議会が置かれ、両者とも学長が議長になり主宰する。それぞれ審議機関である。したがって学長が決定するときにこれらの機関の決定により何らかの制限をするということは認められていないのである。前者のメンバーは委員といい、後者は評議員という。この呼称の違いの理由はわからないが、現在の全学評議会の呼称を引き継いだと思われる。

 経営協議会は学長及び学長指名の理事・職員(いわば学内委員)とこれまた学長任命の学外有識者よりなり、後者は2分の1以上でなければならない。つまり学外委員中心の機関である。これは、経営に関する事項、予算及びその執行、決算に関する事項、組織運営に関する自己点検評価に関する事項などを扱う。

教育研究評議会は学長及び学長指名の理事、主要部局の長、学長指名職員によって構成される。ここでは学内者が主体であるといえるが、理事は学外者でも任命は可能であるから(そもそも学長も学内者とは限らない)学内者だけで構成されるとは限らない。ここで扱う事項は経営以外の事項であるが、現在教授会で行っている事項を含む。

 学校法人の場合は、法人機関としてこのような2分法はとっていない。評議員会だけである。評議員会は理事長の諮問機関であるが、寄付行為によって議決を要することとすることが認められている。この場合は評議員会は決議機関となる。(これは学校法人によって財団法人的な運営をすることと社団法人的な運営をすることを自らの意志で決めることができることを意味している。

 これに対して国立大学法人の場合は財団法人的運営に限られているのである。これは国の財産を本質的には委託して運営させるという構想から必然的に帰結する制度設計であろう)しかし予算や組織、運営等に関わる事項も含まれており、学校法人の評議員会で扱う内容とくらべて非常に広く包括的である。学校法人の評議員会は財政的な問題、法人としての運営に関する事項であって、教育や研究の内容については当然であるが扱っていない。これは学校法人と学校法人の設置する学校は制度上区別され(人格の有無ではない)、学校で行われる教育研究に関わるものは学校の自主性が保障されているからである。

 学校法人で特徴的なことは評議員に卒業生を必ず含むとされている点である。これは実態として私立学校の運営やサポートには卒業生の力が大きく関わっているのであって、国などが財政的支出をしない以上、卒業生の関わる部分が大きな位置を占めていることの反映である。国立大学法人の場合は、単に学外者を含めるというだけで、実態的には大学の活動を大きく支えている卒業生を含めることの明文規定はない。

3)教授会の問題

国立大学法人法には大きなトリックがある。それは第1条の目的と第2条の定義の齟齬である。第1条では「国立大学を設置して教育研究を行う国立大学法人」とし、第2条では「この法律において「国立大学法人」とは、国立大学を設置することを目的として、この法律の定めるところにより設立される法人」としている。これは明らかに異なる定義である。すなわち第1条によれば教育研究を行うことも国立大学法人の業務に含まれる。

 第2条の定義は、私立学校の場合と同様である。私立学校法では、「この法律において「学校法人」とは、私立学校の設置を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人」(第3条)とされている。したがって定義だけを見れば、国立大学法人は国立大学を設置する法人であり、学校法人は私立学校を設置する法人であって、この点には何ら齟齬はない。しかし国立大学法人法全体を見れば、国立大学法人は設置だけでなく、教育研究を行うことも明らかに業務として含まれている。

 このことがなぜ問題かというと、現在の制度は設置者と設置される学校を区別しているという大原則があるからである。これは「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する」(学校教育法第5条)とともに、教育研究は学校自体が責任を持って進めることを保障するための規定である。これは学問の自由、教育の自由を保障するための制度の一つといえる。特に大学の場合は教授会の自治の保障が問題である。

 学校教育法第59条では、「大学は、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定されている。このことと、国立大学法人の教育研究評議会の審議事項の中に、学則(国立大学法人の経営に関する部分を除く。)その他の教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項、教員人事に関する事項、教育課程の編成に関する方針に係る事項などなど(第21条第3項)は、まさしく大学にとっての「重要な事項」ではないだろうか。国立大学法人法では直接教授会についての規定はないが、こうした形で教授会の権限を制限しようとしていることに十分な注意が必要であろう。

3、財政

1)設置者の財政負担

先にふれた設置者経費負担の原則からすると、国立大学法人は設置者として経費を自ら負担するということになるのだろうか。この場合、国の財政支出は「法令に特別の定めのある場合」ということになるだろう。それとも国の支出が通例と考えるならば、国は事実上の設置者ということになる。この点では実態と法令の関係が大きな問題となる。

私立学校の場合、国庫助成の合憲性をめぐって今日なお議論が蒸し返されている。このことからすれば、国立大学についても国庫支出の是非について議論が起こる可能性を否定できない。あるいはその議論を回避するために中期目標の指示、それに基づく中期計画の承認が制度化されることで、「公の支配に属」す(憲法第89条)こととしたのかもしれない。しかしそれは大変見当違いの対応である。そもそも1条校は公教育機関なのであるから、それ自体で「公の支配に属」しているのである。

2)収益事業

学校法人の場合は収益事業を行うことができ、その利益を学校運営の資金として使うことができるとされている。しかし国立大学法人の場合は、会計処理において利益又は損失の処理の仕方が規定されているのであり、その事業全体がいわば収益事業となるものである。(法によって準用される通則法による)学校法人の場合は教育関係以外の事業も認められるが、国立大学法人の場合は教育研究の活動を通して収益活動を進めるということになる。これでは会計処理上、本来の業務と教育研究に関する業務の区別はつけられないだろう。

3)企業会計の原則

準用される独立行政法人通則法によれば、企業会計原則によるとしながら具体的な内容については何ら規定がなく、文部科学省令で定めるとされる。

4)利益等の取扱

国立大学法人法第32条第3項の規定によれば、「残余の額を国庫に納付しなければならない」とされている。私立大学の場合はそういうことがないのはもちろんであるが、解散にあたっても残余の財産は教育事業に使われるための手順が厳密に定められている。利益を還元することのないように、制度設計がされているのである。

 国立大学法人の解散は別に法律によって定めるとしており、何らかの理由によって国立大学法人が廃止されるとき、それまでその大学が使用していた土地建物などが他の国立大学などによって引き継がれるという保障はないのである。国庫に回収されることは十分にあり得ることである。この意味では国立大学法人はあくまでも国の事業としての大学の委託を受ける存在であることになるだろう。すなわち特殊法人型の組織である。

4、国立大学法人の影響と課題

すでに地方公共団体に関しては地方独立行政法人法が公布され、来年4月より施行されることになった。これにより公立大学の独立行政法人化が加速されるだろう。

 私立大学に関しては大学設置・学校法人審議会の小委員会での検討が進み、「学校法人制度の改善方策について」の中間報告が8月7日に出された。これは理事会の権限を著しく強めようとするものである。そしてあわせて教授会の諮問機関化が要求されるだろう。

 したがって日本の学校制度、特に設置者のあり方、設置者と設置される学校の関係が全面的に見直されることになる。それは大学における学問の自由と自治がどうなるか、教育行政との関係はどうなるかが注目される。そのなかで日本の大学と高等教育全体に関わる制度設計についての検討と提案が求められよう。

2003年09月22日

河村健夫文科相「国立大学はどう変わるのか 」9月2日

http://www.tspark.net/autoweb/tspark/sbbs/id0163.php

Posted by tjst at 09月22日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000157.html
他の分類:国立大学法人法

2003年09月14日

「国立大学法人評価委員会令」に対する意見

文科省募集:国立大学法人評価委員会令の制定に関するパブリックコメント
へ2003.9.14 に送付したサイト管理者の意見

独立行政法人制度における政府の強い諸権限が、国立大学法人制度にも残さ
れた。それが国立大学の発展を阻害することがないようにするためには、国立
大学評価委員会において、政府から十分に独立した審議と判断が行われことが
不可欠である。そのため、以下のような規定が必要と思われる。

■ 委員構成・選出法・任期・再任について

(1)各界(初等・中等教育,学術研究者,学生・院生・父兄、産業界、市民、
ジャーナリスト、法曹界等)を代表する委員数を政令で指定し、各界からの選
出・推薦等に基づいて文部科学大臣が委員を任命する。

(2)委員の任期を中期目標期間より長くして、目標策定と評価の双方に関わ
れるようにするか、あるいは、目標策定と評価のいずれかに関われるように、
任期を3年〜5年とする。

(3)委員の再任は不可とする。分科会の委員も同様である。理由は、少数の
者が長期間委員に留任する場合に、国立大学法人評価委員会と政府との距離が
近くなり、判断の独立性が損われていく懸念が大きいからである。

(4)分科会等の委員は評価委員会が人選する。

■ 委員会運営について

(5)重要事項の決定は、無記名の多数決により決定する。分科会も同様にす
る。

(6)委員会運営についての提案等は、委員長だけでなく委員も可能とする。

(7)審議は公開とし、議事録はテープリライトに基づく詳細なもの数週間以
内に公開する。

■ 委員の調査検討活動のサポート体制について

(8)各委員が、それぞれに知見に基づいて独自の調査をし情報を収集・整理
できるよう、秘書を常勤雇用できるようにすると共に、調査等の経費が十分支
給されるようにする。経費使途と委員報酬等を公開する。

補足:委員数が20名とすれば数億円程度で可能と思われるので是非実現して
ほしい。この程度の規模の経費を節約することは、評価委員による独自の調査
活動を不要とする方針であるとの誤解を受けるであろう。

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結語

第三者による大学評価は大学の向上に一定の効果はあるが、評価結果を資源配
分・改廃判断等に直結させた場合には、大学における諸活動が評価を強く意識
したものに組織化されることとなり、真の学術的活動が弱体化することが、評
価と資源配分の連動を20年余り続けてきたイギリスの大学関係者によりしば
しば証言されている。こういったことが周知されていたためであろうか、主務
省が評価と資源配分・改廃判断とを共に行う独立行政法人制度を国立大学に適
用することは適切ではないことが広く認識されていた。

こういった状況下で、やや強引に導入が決った国立大学法人制度では、独立行
政法人制度とは異なり、国立大学法人評価委員会が第三者評価機関として設置
され、大学評価・学位授与機構による教育研究の評価を尊重して評価を行うこ
とになった。

ここで「第三者」という修飾語は「大学からの独立性」だけではなく「政府か
らの独立性」という意味をも強く担っていると了解されていることは経緯から
明らかであり、もしも、独立行政法人評価委員会と同様に、政府に従属したも
のとなるならば、独立行政法人制度を大学に直かに適用した場合と同様の欠陥
を国立大学法人制度は持つこととなる。

しかし、提案された政令案では、「委員は、大学又は大学共同利用機関に関し
学識経験のある者のうちから、文部科学大臣が任命する」となっていて選定法
が明確に規定されていないために、任命者である文部科学大臣が実際の選定者
にもなる可能性が大きい。「学識経験のある者のうちから」という制約はつい
ているが、このような選定法では他の独立行政法人評価委員会との違いはなく、
また、種々の審議会の委員の選定法との違いがあるようには思えない。したがっ
て、委員の指名を文部科学省以外の者が行うような委員会設計が不可欠と思わ
れる。

以上

2003年09月06日

文科省募集:国立大学法人評価委員会令の制定に関するパブリックコメント

高等教育局高等教育企画課 平成15年9月5日  
提出期限 :平成15年9月17日(水)
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2003/03090501.htm

2003年09月03日

櫻井充議員の質問主意書と小泉純一郎首相の答弁書

国公私立大学通信9月3日号

【一】 今後の国立大学の入学金・授業料について 

【二】 国立大学に対する標準運営費交付金について

【三】 教育公務員特例法の非適用について

【四】 国立大学法人の業務について

【五】 文部科学省による行政指導の強化への歯止めについて

【六】 文部科学省設置法は、国立大学法人法成立前に中期目標の作成
を文部科学省が指示することの根拠となり得たのか

【七】 文部科学省令の制御について

【八】 国立大学法人職員の非公務員化について

【九】 国立大学法人化は「効率化・重点化」により、日本の高等教育
  の規模を縮小させる意図が明確であるが、小泉総理が主張して
  いる、教育なによりも重視する「米百俵の精神」に反しないか。

【十】 法人化後の国立大学における労働安全衛生法適用問題について

【十一】 国立大学での会計システムの準備作業への予算措置について

【十二】 法人化のための費用はどのように手当されるか

【十三】 中期目標を大臣が定めることについて

Posted by tjst at 09月03日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000124.html
他の分類:国立大学法人法

2003年08月21日

北大学長への公開質問状

北海道大学学長
中村睦男 殿
                    2003年8月21日

               独立行政法人化問題を考える
               北海道大学ネットワーク 世話人会

              公開質問状

新しい情勢に当たり、国立大学法人法に対する基本的態度及び北大の当面の運営に
ついておたずねします

  2003年7月9日に国立大学法人法が成立した直後、学長は北大のホームページ
に「国立大学法人法の成立にあたって」(2003年7月18日づけ、以下、学長声
明と称する)を公表し、国立大学協会や文部科学大臣の見解を紹介しつつ学長の意図
を述べられました。しかし、学長声明は、国会審議において国立大学法人法案の種々
の欠陥が明らかになったことについて触れていません。

審議初日の4月3日に、衆議院本会議代表質問で、民主党と会派を組んでいる無所
属の山口壮議員は「国家百年の計を誤りかねない悪法である」と批判しましたが、成
立するまでの3ヶ月間に、衆参両院の委員会において、法案の諸々の欠陥が明らかに
され、文科省側の答弁は混乱し、何度も発言の撤回と陳謝が繰り返されました。その
中で、与党側は、審議を打ち切り事実上の強行採決により無修正で成立させたのが、
私たちの今後のありかたを規定する国立大学法人法です。

この法律に基づく法人化の準備は、余程の慎重さをもって進めないかぎり、審議で
明らかにされた多くの問題点が直ちに大学本来の諸機能を損ない始めるでしょう。そ
れゆえに、私たちは、無理なスケジュールの下で、法人化に向けた準備が突貫工事の
ように進められていくことを強く危惧しています。

そこで、北大での法人化準備が慎重かつ十分な透明性のもとに進められることを願っ
て、下記の質問をさせて頂くことに致しました。ご多用のところ恐縮ですが、21世
紀の大学の方向性を左右する重大な時節に当たり、誠意をもってお答え下さいますよ
う、お願い申し上げます。

回答は2003年9月5日までに書面(E-mail回答を含む)にていただきたいと存じます。

質問1. 国会審議で一貫して最大の問題になったのは、文部科学省が中期目標を策
定し中期計画を認定するというシステムが大学の自治を損うのではないか、という点
でした。6月10日の参議院文教科学委員会審議では、2002年12月に文科省が各大学に
対して中期目標・中期計画の附属資料作成について詳細な指示をしていたことについ
て、遠山大臣と河本副大臣が事実と異なる答弁をしたことが問題となり、審議がストッ
プしました。半月あまり後の6月26日に遠山大臣が「謝罪」して委員会審議が再開さ
れましたが、謝罪の内容は、指示を出したわけではないが各大学が指示と誤解したこ
とは遺憾だ、という弁解でした。

誤解だったとは言え、自主性が大幅に制限された設定の中で作成された、2002
年度に北大が作成した中期目標・中期計画案とその附属資料をそのまま採用すること
は、文科省による大学のコントロールを甘受し、大学の自治を自ら放棄することを意
味するだけでなく、国会審議における国民を代表する方々の議論を無視することです
ので、一度白紙に戻して北大独自のものの作成に着手しなければならないと思います
が、学長のお考えはいかがですか。

質問2.学長の権限が非常に強くなる国立大学法人法と符節を合わせるかのように学
長は最近、学内における学長のリーダーシップをたびたび強調し本学におけるトッ
プダウンの運営体制を標榜されています。他方、2001年初頭に実施された学長選挙に
際して当北大ネットワークが各候補者に行った質問に対し、学長は、「大学のあるべ
き未来像」に関しては「大学の全構成員の総意をくみ上げることのできる、機能的で
かつ透明な管理運営体制を築いて行かなければなりません」、「合意形成システム」
については「大学の存在基盤が研究者の自由に基づく部局自治の原則にあることを忘
れてはならないと考えます。」と、文書回答を寄せておられます。加えて、学長は、
国立大学の法人化問題にふれて、2001年1月17日に北大を語る会の主催による事実上
の学長選挙立ち会い演説会において、たとえ大学の設置形態がどうなろうとも大学の
自治は守る、と明言されました。また、2002年4月9日に行われた北大教職員組合代
表との懇談の記録が同教職員組合によって公開されていますが、その中で、国立大学
が法人に移行するに当たり教育公務員特例法の対象からはずれるが、憲法がある限り
学問の自由は守れる旨、回答されています。

国立大学法人法の下で教育公務員特例法が適用されなくなることにより、「大学の
自治」に意義を与えている「構成員の自律的活動」が大幅に損なわれることが予想さ
れますが、学長は、トップダウン体制下で「構成員の自律的活動」を守り強化するた
めに憲法はどのような効力を持つとお考えでしょうか。また、その効力はどのような
具体的方法によって現実化される、とお考えでしょうか。

質問3.学長は、大学運営における透明性やアカウンタビリティーの重要性を度々強
調しておられます。北大ネットワークとしても、大学を発展させていくためには運営
の透明性は何ものにも増して重要だと考えています。 つきましては、今後の法人化
準備の過程で(1)2004年4月までの各準備項目ごとのタイムスケジュール、(2)就業規
則案、(3)教職員の過半数代表者の選出方法に関する案、(4)法人大学の運営に関わる
組織図・組織案、(5)役員人事案(中央官庁や産業界から役員を迎える場合には、天
下りや産学癒着を避けるための選定基準案)などを出来るだけ早期に全学に公表し、
かつ事態が進展するたびに、全学に伝え、全学的な吟味を受けるようにすべきと思い
ますが、学長のお考えはいかがでしょうか。

質問4.2003年5月14日の衆議院文部科学委員会で厚生労働省の担当官は、法人の大
学に対して労働安全衛生法等の適用を免除することがあるかという平野博文議員(民
主)の質問に、「労働安全衛生法が適用になれば、免除ということは、何らかの法定
事項がない限りはそういうことはない」と答えています。

この答弁のとおり、2004年4月1日から労働基準法、労働安全衛生法等が厳格
に適用されますが、果たして北大はそれらの法律が定める諸条件を2003年度内に
完全にクリアーすることができるのでしょうか。明確にお答え願います。
--
服部 昭仁(Dr. Akihito Hattori )
北海道大学大学院農学研究科

Posted by tjst at 08月21日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000098.html
他の分類:国立大学法人法

2003年08月20日

国立大学法人制度下の使命

国立大学関係者 各位

国立大学法人化関連法が成立し国立大学制度が廃止され国立大学法
人制度に移行しますが、大学に適用する場合の独立行政法人制度の
欠陥が実質的には除去されませんでしたので、余程の「奇跡」がな
い限り、国立大学制度が実現していた諸機能は徐々に失なわれてい
くでしょう。この点について幻想を持たず、また国立大学法人制度
の官制サバイバルゲームの迷路に自失せず、学問と教育の規範を今
迄以上に鮮明にし、社会貢献においてもその規範を墨守し、大学の
使命について社会と大学が認識を共有する時が来ることを辛抱強く
待つことーーこれが国立大学法人制度下におかれる者が担う使命の
重要な部分を成すものと思います。

「学問と教育の規範」の根幹には、知識の体系性・一貫性・全体性
を重視すること、しかしどの理論にも懐疑の余地があり、そのこと
が学問の発展の源泉である、という姿勢を堅持し、理論・価値観・
世界観の多様性を尊重し先入観・非寛容を憎むこと、があると思い
ますが、1998年に全世界の高等教育関係者が確認した規範は、
ユネスコ高等教育世界宣言「21世紀の高等教育に向けての世界宣言:
展望と行動」
に詳細に記載されています。

その中で、「高等教育の使命と機能」の第二条「倫理的役割、自律
性、責任、および先見的機能」に、「倫理的・文化的・社会的問題
に関し、責任を自覚した上で、完全に独立した発言ができなければ
ならない。それは社会が自ら問題を考慮・理解し、その解決のため
に行動するのに必要な一種の知的権威を行使することである。」
「社会・経済・文化・政治の絶え間ない潮流分析に基づき、予測・
警告・阻止のための焦点を提示することによって、批判的および先
見的機能を増進させなければならない。」「その知的能力と道徳的
威信を行使し、ユネスコ憲章にうたわれた平和・正義・自由・平等・
連帯を含む普遍的価値を守り、積極的に広めなければならない。」
等が記されています。

間も無く国会で審議されると予想される教育基本法の改変は、もし
も決まれば初等中等教育の性格を根底から変質させるものです。国
立大学の法人化は余りに身近な問題であったために発言を控えた方
も多かったようですが、教育基本法改変問題については一定の距離
があって発言しやすいのではないでしょうか。大学界全体が、この
問題に責任があることを認識し、種々の立場と角度から自由に議論
し「知的権威を行使する」ことは、大学界の存在理由の一端を社会
に明示する良い機会になると思います。

辻下 徹

追伸.

国立大学法人法案の廃案を求める意見広告、特に、3次・4次の
「有料報道」は、国立大学法人制度の問題点を広く日本社会に伝
える効果がありマスメディアにも一定の影響力を持ち続けることが
期待できます。(数日前にNHKが朝のニュースで国立大学の法人
化について取り上げましたが、地域貢献と産学連携の取りくみを詳
しく紹介した後で、国立大学法人化により基礎研究が衰退する可能
性もあるという趣旨のコメントで締め括っていました。なお、地域
貢献や産学連携を過度に追求することが地方移管や民営化の勧告を
招きかねない、という独立行政法人制度の本性には触れていません
でした。)

なお、この「有料報道」は、呼び掛け人の一部の方が高額の負担を
決意されて実現したものですが、意見広告の会の会計報告(8月8
日)では、かなりの赤字が記載されていました。「有料報道」が、
今後の国立大学法人法に関連する政令・省令等の内容や施行状況に、
一定の影響力を持ち続けると評価されるかたはぜひカンパをお願し
ます。

・郵便振替口座『「法人法案」事務局』
00190−9−702697

・銀行口座 東京三菱銀行 渋谷支店
口座番号 3348763 口座名 法人法案事務局

・連絡先:houjinka@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
------
* http://ac-net.org/dgh/03/610-ikenkoukoku.html
http://ac-net.org/dgh/03/701-ikenkoukoku.html

2003年08月14日

法人化移行関連資料

北大サイト :国立大学長会議法人化関連配付資料(PDF ファイル)

国立大学法人法案の国会審議経過

国立大学法人法案に関する国会における審議の概要
#文科省による33ページの国会審議の要約

国立大学法人移行に伴い各大学が行う主な人事関係事項

施設整備の概要(案)

Posted by tjst at 08月14日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000089.html
他の分類:国立大学法人法

2003年08月07日

国大協第16回特別委員会 2003.7.25

新首都圏ネットワークサイト関連資料

(内容)
第16回議事次第
第16回議事メモ
資料1:名簿
資料2:中期目標
資料3:授業料
資料4:審議経過
資料5-1:審議抄録目次
資料5-2審議抄録

#資料2についての審議の記録に「12月段階で示された資料と基本的部分は同じなので、大きな問題はないと判断される。」という法制化対応グループ幹事の発言や、「6頁「4」の分量の目安が無くなったが何枚でもよいということか」という質問に対する「具体的分量は削除したが、考え方の基本は同じである。」という高等教育企画課長の回答などがあるが、これらは、12月段階で文科省が国立大学に中期目標について詳しく指示をしていたことが批判され,同文書の回収を表明した国会審議での経緯を無視するもので、国会を愚弄するもののように思うが如何。

Posted by tjst at 08月07日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000076.html
他の分類:国立大学法人法

2003年08月02日

藤田正一(北大前副学長)「「総長メッセージ」を読む」

(国公私立大学通信 2003.8.1)

中村総長にはまず、国大協臨時総会直後に「総長メッセージ」をホームペー
ジ に掲載されたことに敬意を表したい。本メッセージは大枠に於いて「国立大
学法人化についての国立大学協会見解」の視点を基本に、文科大臣の挨拶を解
説し、最後に本学の取るべき姿勢について述べたものであるが、総長自身の考
え方が見えなくも無い。法人化に向けて、大学の利益代表ともなる総長として、
発言できることはかなりの制約を受けると考えられる。自大学の不利になるよ
うな発言は控えたいと言うのが多くの大学長の思いであろう。が、言わざるを
得ないこともある。「国大協見解」に於いても、そのような思いが集約されて
いるような気がする。このような理解の下で「総長メッセージ」は読まれるべ
きであろう。私の独断と偏見による本メッセージの読みは以下のようなもので
ある。

まず、国立大学法人法を『国が設立し、責任をもって財政措置を行うことを前
提としている独立行政法人制度を活用しながらも、大学の教育研究の特性を踏
まえた基本的な枠組みを明確に位置付けた独自の法人制度であり、学問の自由
を守り、大学の自主性、自律性が尊重される制度である』と位置づけた文科大
臣の挨拶を額面通りに評価していることについて批判する人もあるが、これは
ここで大学としては額面通り取るべきで、特に後段「学問の自由を守り...」
については、このような「言質」を取ったことを記述しておくことは重要であ
る。 ただし、中村総長が何の疑問も主張もなく大臣挨拶を額面通り評価した
わけで無いことはメッセージ後段で、「学問の自由に基づく大学の自主性・自
律性が尊重される法人制度になるかどうかは、その運用の実際にかかわること
であり、...」と、最初の部分は文科大臣の挨拶文とほぼ同じ言い回しを用
いて、その実現にはこの法律の運用が重要であることを主張していることで分
かる。裏返して言えば、法律家である総長がこの法律は運用次第ではとんでも
ないことになるということを指摘していることになる。その危機感から国大協
も運用に付いての要請文を出さなければならなかったのであろう。国大協の構
成員が諸手をあげて大学法人法に賛成したのでは無いことは、「国立大学法人
化についての国立大学協会見解」に付帯されている40以上の小項目からなる
「国立大学法人制度の適切な運用について(要請)」にうかがえる。

 この法律の運用の重要性に次いで総長は「大学側がなすべきことは、自主的・
自律的に自らの改革を行っていくことであります。 」としている。法的制約
の中でも、学問の自由、大学の自治の幅を自ら狭めることなく、大学は主張し、
行動し、既成事実を積み上げ、この法律の「緩やかな運用」を定着させようと
いう主張と私は解釈する。法律の運用は多くの場合、前例が重要であり、でき
たばかりの法律では、これからの運用が前例となって行くのであるから、悪し
き前例を作らぬ様、細心の注意と、大学の主張を認めさせる努力が必要である。
大学法人法の問題点を指摘しつつも当面の現実的対応策としてはそのような手
に出るより他あるまい。

 驚くべきことに行政改革に端を発した今回の大学法人化論議には「大学にお
ける教育研究の質的向上」と言う大学改革に最も重要な視点が欠落していた。
経済窮乏の時とは言え、国立大学の統制強化や経営効率化、経済界への貢献を
主眼とするあまり、教育研究の質をおろそかにすることは、国家100年の向
後に憂いを残す。学問の自由を守ることの重要性とともに、このことについて
は私もインターネットや学内の会議等で3年前から何回か指摘してきた。大学
法人化の審議にあたった国会議員に対して送ったファックスでも主張してきた
が遂に法案には考慮されなかった。論議の終盤になって国大協も本学もようや
くこのことに意を砕くことができるようになったと見える。総長メッセージに
は、「法人移行の準備とともに、本学が従来から取り組んできている改革に
「新たな視点」を加えて、推進する必要があります。新たな視点のキーワード
になるのが、「真に学生のための教育」および「世界水準の研究」でありま
す。」と書かれている。国大協見解にもこれらのことが書かれている。この両
者の追求は、経営効率化を目指す今回の法人化の精神とは相容れないところが
あり、遅きに失した感があるが、大学の基本に戻って検討し、主張することが
必要である。そして、その(特に教育の)検討の中に、大学の最大の構成員で
ある学生の代表を加える必要があると私は思う。

 最後に、「部局の都合や関係教員の都合で、北海道大学として必要とされる
教育改革を 阻止しないことが肝心と考えています。」という文言は「部局の
自治」に基づいた大学運営に親しんだ我々にはかなり厳しい響きを持って受け
取れるが、また、「部局のエゴ」が本当に北海道大学として必要な改革を実行
する上で障害になってきた事実も見逃せない。また、これまでの大学運営の様々
な局面で、総長のリーダーシップが必要とされた場面は少なく無い。従来のよ
うな本学の意志決定システムでは総長のリーダーシップは極めて取りにくく、
即断即決の必要な時に機を逃してしまうことがすくなかったとは言えない。総
長が大学の総意を代表すると言うシステムでは、本学の総意集約のために相当
の準備がいる。行政の不意打ち的な手法には対処できない。また、本学として
戦略的に取り組むべき課題についても超部局で大所高所に立った企画が必要で
ある。部局の自治に基づくボトムアップのシステムはもちろん温存しつつ、トッ
プには責任の所在と、責任の取り方(リコール制等)を明確にして、必要な権
限を委譲することも必要では無かろうか。

以上、私の解釈が的を得たものかどうかは明らかでは無いが、総長のメッセー
ジを深読みしてみた。これから国立大学は猛スピードで法人化対応に走るであ
ろう。目先の利益に惑わされず、大学としてのあるべき姿をきちんと踏まえた
フィロソフィーのある制度設計としていただきたいものである。大学が法人化
の流れに抗しきれなかった主因は、このフィロソフィーの(主張の)欠如にあっ
たと私は思う。」
------------------------------
#(関連記事:渡邊信久氏サイト日記風雑記7/22「総長メッセージ」

2003年08月01日

文部科学省高等教育局主任大学改革官の視点 

『文部科学教育通信』2003年7月28日号 No.80 特別寄稿 
「国立大学法人法の成立の意義と今後の課題」
文部科学省高等教育局 主任大学改革官 杉野 剛

抜粋
大学界全体の運営革命も射程においていること
「法人化の意義の第四は、この改革が、国立大学にとどまらず、公立大学、私
立大学のマネジメントにも影響を与え、我が国の大学制度全体の活性化に繋が
る可能性を持つ、という点である。日本の大学のマネジメントは、設置形態の
違いを越えて意外なほど共通の課題が多い。過度のボトムアップ・システムに
よる硬直的・分散型の大学運営、社会に対する情報公開の意識の低さ、外部か
らの業績評価に対する異常なまでの臆病さ、大学のトップ人事や教員人事の閉
鎖性、教員以外のスタッフの能力を活かしきれない運営体制、等々。こうした
点で、国立大学の法人化が、大学マネジメント改革の大きなうねりとなること
を期待している。」

今後のリストラの責任は大学に
「法人化後は、学内での難しい意見調整や厳しい意思決定を文部科学省の査定
に委ねるという形で外部に責任転嫁することができなくなるので、組織の新設・
拡大、経費の抑制、不要ポストの削減といった学内資源の再配分の決定は、厳
しい反発を招く決断であっても、大学自身の手で決着をつける自主・自律の体
制を確立しなければならない。」

2003年07月27日

櫻井よし子: 国立大学を潰す「遠山」文科省

週間新潮 2003.7.17 p146-147 連載コラム 日本のルネッサンス第76回

「確実に日本の力を削ぎ落としていく国立大学法人化法
案が、7月8日参議院文教科学委員会で可決された。・・・
この法律で、日本の知の拠点である国立大学の教育、研
究は自滅していくと幾千もの教授たちが語る。

・・・東大理学部教授の松井孝典氏もそのひとりだ。教
授は地球の起源と成り立ちを説いた新理論を、1986年、
『Nature』誌に発表、世界の注目をあびた気鋭の学者で
ある。・・・

「本当に重要なのは、くだらない研究をいかにやらない
かです。一流かどうかは、ここでわかれます」

くだらない研究とは、ある種の見当がつき、経費も大よ
そ予想できるような研究である。プロの研究者なら目を
つぶっていても書けるつまらない研究が、法人化された
大学で幅をきかせるようになるのは風に見えている。意
味ある研究は退けられ、近視眼的研究と考え方のみがは
びこっていくなかで、官僚は580にのぼる理事、監事職
に天下り、1500から2000万円近くの高給を食む。遠山氏
はじめ文科官僚らがこの国の大学を食い潰していくの
だ。」

2003年07月24日

7/25『国立大学法人法の粉砕をめざす、交流+懇親+決起集会』

■日時:7月25日(金)午後6時から8時まで
■場所:東京大学本郷キャンパス生協第2食堂
最寄駅:営団地下鉄千代田線 根津駅
    営団地下鉄南北線 東大前駅
    営団地下鉄丸の内線 本郷三丁目駅
■会費:1000円(現物、現金のカンパ大歓迎です)
主催:国立大学法人法案阻止/教育基本法改悪阻止・共同行動委員会
連絡先:電子メール renrakukai@u.email.ne.jp


「国立大学法人法案を阻止するたたかいは、7月9日の参
議院・本会議での法案可決・成立で、一つの節目を迎え
ることになりました。

この間、国立大学法人法案を阻止し、廃案を求めるさま
ざまな運動は、各大学における教職員組合の活動を基盤
としながら、多様な組織、団体、有志、個人によって担
われてきました。また、法案に反対する文化人や知識人、
衆議院・参議院の野党各会派の国会議員諸氏とも深く連
携することにより、特にこの三ヶ月余りの国会における
たたかいは、急速に世論を動かしてきました。

法人法は成立しましたが、たたかいは継続し、むしろこ
れからが"本番"とも言えます。

そこで、法人法案に反対し、その廃案を求めるさまざま
な運動に関わってこられた全ての方々に向けて、下記の
ような『国立大学法人法の粉砕をめざす、交流+懇親+
決起集会』を企画しました。

この「集会」に、この間のたたかいの様々な思いを持ち
寄り、経験を互いに交流し、懇親と連帯を深め、今後の
「法人法の粉砕」をめざす決起の場としようではありま
せんか。

この「集会」には、野党各会派の国会議員の方々にもご
案内をお送りしています。関係諸団体の皆さんからのご
参加を、広くよびかけるものです。」

Posted by tjst at 07月24日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000026.html
他の分類:国立大学法人法

行政を代弁して憚らない記者達

朝日新聞2003年7月21日 社会部 長谷川 玲 記者
「自立に向け意識改革をーー法人化される国立大学」
報道機関から政府広報紙への大手紙の退化を証明する歴史的記事といえるだろう。大学関 係に長く携わっていて文科省とも知己の多い「族記者」の一人なのであろうか、 毎日新聞2003年6月23日付の横井信洋記者のエセー「国立大学教員よ甘えるな」と同じ趣旨の内容であることにも驚きを覚える。どこまで政府の肩を持てば気が済むのであろうか。大手紙(読売・朝日・毎日)のみが示す余りに偏った記事は、安く土地を譲ってもらった政府への負い目 を証明してしまっていると言えるのではないか。なお、都立大学の長谷川宏氏が長文の公開質問状を長谷川玲記者に送っている。)

2003年07月22日

「法を守る」とは何かが問われている

--「法人法」国会通過に際しての声明 --
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/statement722.html

国立大学独法化阻止全国ネットワーク世話人会
(事務局長 佐賀大学理工学部教授 豊島耕一)

2003年07月21日

国立大学独立行政法人化問題週報 No118 目次

Weekly Reports  No.118 2003.7.21
http://ac-net.org/wr/wr-118.html
総目次:http://ac-net.org/wr/all.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[0] 内容紹介

 [0-1] 与野党の談合が推測された国対政治
  [0-2] 最大の功労者はマスメディア。
 [0-3] 諸問題の基盤をなす構造的問題の解決が大学復興の近道
 [0-4] 国公私立大学通信の転載

[1] 7/9 12:30 am 国立大学法人法案に対する議員別投票結果
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/vote/156/156-0709-v001.htm

[2] 宮脇磊介「騙されやすい日本人」
新潮文庫, 2003.3.1 発行、ISBN 4-10-116421-5
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/4101164215
--
[0] 内容紹介

[0-1] 与野党の談合が推測された国対政治

国立大学法人法が7月9日に参議院本会議で可決されました[1]。

この週報は、国立大学の独立行政法人化政策の問題性を大学内外に
理解してもらうことを主目的として2000年3月に発刊を始めた
ものでしたが、最後の段階では、当事者である国立大学関係者自身
の意見表明などの行動を喚起する方に時間をとられ、大学外のみな
さまに訴える余裕がなく、残念でした。

前号を発行した6月16日以降、参議院文教科学委員会での審議が
紛糾し、会期末の6月18日までには成立せず、国立大学法人法案
等は廃案または継続審議となるべきものでした。しかし、会期延長
の中で、実質的な審議がないまま、委員長の職権による強行採決が
行なわれ、可決されました。本会議では賛成131反対101で、
与党議員の中でも棄権が9名あるというきわどい結果でした。しか
も、23項目もの付帯決議がなされ、国会自身が「欠陥法案」であ
るという註釈付きの可決となりました。

百年の一度の大改革にたいしても、数を頼む与党の無責任で粗雑な
政権担姿勢が、国会対策委員会による議事運営[2]に現れていたと
感じましたが、最終的には、野党の一部の「談合」的姿勢にも、失
望は禁じえませんでした。


[0-2] 最大の功労者はマスメディア。

旧文部省が1999年に国立大学を独立行政法人化する方針に転換
したときから、国立大学全体が独立行政法人化を既定事実として法
人化対策に終始しようとしていたことに、当事者意識の希薄さに編
集人は驚きました。また、独立行政法人化で大学の自主性が増すと
いう政府見解を執拗に報道しながら、その問題点は一切報道しよう
としないメディアの偏向に驚きましたーー国立学校設置法・国立大
学特別会計法・教育公務員特例法などの法によって運営的・財務的
な独立性がかなり保障されている国立大学制度を廃止し、政府の強
い管理下に大学を置く、という点を一切報道しようとしなかったの
です。

これらのことに危惧を頂き、主に大学関係者に対し、慣れない広報
活動を行ってきましたが、焼け石に水のようでした。マスメディア
により毎日数千万人にばらまかれる偏った情報の効果を、週に一回、
千数百人に配布するメールマガジンの情報で打ち消すことなど、で
きようがはずはありません。(その点で、4月以降に野村さんが中
心となって行われた4回にわたる意見広告は多大な効果がありまし
た。)

国立大学法人法可決の最大の「功労者」はマスメディアです。その
功の中心にいた「文教族記者」の一部が、教員あるいは理事として
国立大学法人に「天下る」ことは必至でしょう[2]。


[0-3] 諸問題の基盤をなす構造的問題の解決が大学復興の近道

今後は、国立大学法人制度の「白紙」の部分を文部科学省と国立大
学協会が協力して埋めていくのでしょう。しかし、国立大学協会が
政府の言いなりの存在であることが、この4年間の行状により、そ
してなにより、法案公表から可決までの4ヶ月間の沈黙により、白
日の下に曝されましたので、政府が国会の委任を受けて思いのまま
に国立大学法人制度を作っていくことを妨げるものはもはや何もな
いでしょう。

長期的に種々の弊害の発生が予期されている国立大学法人制度への
移行が断行されたのと同じような問題は、種々の分野で起きていま
す。問題の解決を阻む諸政策が一部の人たちの利益のために実現さ
れることを可能にする構造が存在することの方が、ここの問題より
深刻ですが、特に、情報支配に伴う重い責任への自覚がマスメディ
ア界全体に欠如していることが深刻な問題です。

マスメディアによる情報支配を無効化するための技術的契機はすで
に準備されていますが、ここでも問題となるのは情報の「信頼性」
や「質」です。これを組織的に確保するためには、大学関係者の多
岐わたる取組みが必要となります。そのような活動を通して、荒廃
した日本の復興が可能となる土壌が形成されていけば、大学の存在
意義は明確となり、場当たり的な大学政策の連発で疲弊し荒廃が進
んでいる日本の大学界全体の復興は、おのずとなされることでしょ
うーー夢物語のようですが、そういった社会全体の行く末とリンク
した長期的なビジョンを大学界内外で多くの人が共有しなければ、
大学の復興などありえないと思います。


[0-4] 国公私立大学通信の転載

今後は「国公私立大学通信」を配信させて頂くことにします。これ
は、「国立大学独立行政法人化の諸問題」サイトのウェブログの見
出しとリンクを紹介するものです。(編集人)

2003年07月11日

来年4月から道内7国立大*独立法人に期待と不安

<視角触角>来年4月から道内7国立大 独立法人に期待と不安
北海道新聞朝刊全道 掲載日:2003/07/11

 国の直轄から独立法人に移行する国立大。国会で九日成立した国立大法人法などに基づき、北大をはじめ道内七大学も来年四月から国立大学法人となる。これまでにない大変革に、期待と不安が交錯する関係者。キャンパスはいったいどう変わるのか。
(報道本部 岩本進)

*重点的に新産業創出
 「世界に先駆けた成果を挙げ、新事業や新産業を創出したい」
 北大の中村睦男学長は九日、札幌市北区の北キャンパスで行われた次世代ポストゲノム研究棟のしゅん工式で、このようにあいさつした。
 来賓の町村信孝・前文部科学相は「きょうは国立大法人法がようやく成立した意義ある日。個性ある大学を目指し、ここから次のノーベル賞受賞者を出してほしい」と述べた。
 同棟は産学連携の先端研究拠点。法人化は、大学が国からの運営交付金をこうした特定分野に重点的に配分することを可能にする。
 だが、大学側は期待するばかりではない。樽商大の秋山義昭学長は「法人化を活性化の好機にしたい」と語る一方で、「うちは地方の小規模文系単科大。国は地理的、規模的な格差を考慮して評価し、交付金に反映させてくれるのか。基礎的研究が続けられるのか」と交付金削減を懸念する。
*再編統合構想再燃か
 北大は昨年七月、中村学長を委員長とする法人移行準備委を設置。文科省に提出する六年間の中期計画づくりなどの準備を急ピッチで進めている。他の大学も同様の準備に追われている。
 各大学は中期計画のほかに、非公務員となる教職員の給与や勤務時間を定めた就業規則なども整備しなければならない。「仕事は山ほどある。大車輪でやらねば間に合わない」(ある大学職員)
 旭医大、北見工大、室工大、帯畜大、樽商大、道教大の六単科大は昨年末、既存キャンパスを残しながら一法人一大学を目指す再編・統合構想を目指した。
 だが、各大学は法人化の準備が急務と判断して、統合を「断念」した経緯がある。
 法人化によって、大学は来春から「自らの権限と責任で運営に当たる」ことが求められ、本格的な競争の世界にこぎ出していく。
 六大学の中からは「めどがつけば再考も」との声もあり、法人化後に再編・統合構想が再燃する可能性も否定はできない。
*授業料値上げ懸念も
 学生や親にとって最も気にかかるのは学費の問題だ。現在の国立大の授業料は学部にかかわらず年間約五十二万円。
 文科省によると、授業料、入学金、検定料など学生納付金は、同省が標準額と上限範囲を定め、その範囲を超えない中で各大学が決める。「大学の自助努力で標準額を下回るのは構わない」(高等教育局)としている。
 同省は、具体的な標準額などの金額案を八月下旬の概算要求時までに示す方針で、「標準額は移行時の授業料が基本で、大幅に変えるつもりはない」(同)と言う。
 だが、道外では授業料値上げを検討している大学もごく一部だがある。財政難で国からの交付金の大幅増額は期待できないだけに、学生の負担増の懸念を完全にぬぐい去ることはできない。
 一方、長年論文も書かずに同じ講義を繰り返す教官も、いまは教育公務員特例法で守られ、辞めさせることはできない。だが、法人化で同法の適用除外となるため、「大学の判断次第で辞めさせられる可能性もある」(同)という。
 
【写真説明】世界的な研究が期待される北大次世代ポストゲノム研究棟のしゅん工式。法人化で期待も膨らむ。中央は中村睦男学長=9日

Posted by tjst at 07月11日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000019.html
他の分類:国立大学法人法

2003年07月10日

国立大学法人法の成立

国立学校制度を廃止する国立大学法人法等が2003年7月9日の参議院本会議で、投票総数232:賛成131反対101により可決され成立しました。

衆参両院とも審議が核心に到らないままの強行採決でした。文教科学委員会でも、質問への答弁がない事項を残したまま大野つや子委員長の職権により強行採決が行われました。同委員会における23項目の付帯決議は、欠陥法案と認識しながら行政の言うがままに法案を強行採決で通した与党の科を軽減するものではなく、むしろ、立法府の専門委員会としての使命遂行を軽視した与党の科を歴史的に証言したものになっています。

法案成立にいたるまでの4年間の検討過程でも、政・官・産の意思は十二分に反映されましたが、国民の意思も、教育研究の現場の意思も、真剣に問われたことはなく、多くのパブリックコメント も棚ざらし同様に放置されました。主要メディア(NHK・読売・朝日・毎日)は、国立大学法人法案の国会審議が紛糾していたことを最後まで国民に伝えませんでした。このように、国立学校制度の所有者である国民のインフォームドコンセントがないまま、国立学校制度を廃止し全国立学校を政府の受託会社に格下げする手術の断行が決定されたことは、日本の将来にとって憂うべきことです。

管理者は、「独立行政法人化は既定事実」という大学の雰囲気に疑問を持ち、また、「独立法人化で大学の自由度が増す」という政府広報を繰り返すメディアの情報操作に抗し、蟐螂の斧のようなページを作り維持してきましたが、国立大学の独立行政法人化が国会で決まり、このページの使命は終了しました。しかし、インターネットによる多様な情報交換の手段が、個々の大学を越えたボトムアップな情報機構を大学社会に形成し得ることがわかったように思います。大手メディアが支配する情報構造を通して常時おこなわれている多様な情報操作を無効とする情報システムが、これを契機として生長していきますように。




国立大学を独立行政法人化する方針が密室で「決まった」のは4年前です。


独立行政法人制度は「小さい政府」を目指す行財政改革の中で、国家機関外部化の過渡形態として設計されたもので、3〜5年毎に各独立行政法人の存続・民営化・廃止を主務省総務省が判断することになっています。定型業務を担う国家機関を想定して設計された独立行政法人制度を大学に適用することについては関係者の多くが疑念を持ち、旧文部省は2000年7月に調査検討会議を設け60名の「協力者」と共に、大学向けに独立行政法人制度を修正することを検討し、同会議は2002年3月に、国立大学法人制度設計の大枠を示す最終報告をまとめました。国立大学関係者の主要な要求をことごとく退けた報告を、国大協は同年4月19日の臨時総会において異例の強行採決で了承し、それを受け文部科学省は2004年4月法人化を目指して準備を進め、2003年2月28日に国立大学法人法案が閣議決定されました。4月3日から始まった国会審議では多くの問題点が指摘され、また、国立大学関係者から多くの反対の声が上り、会期末までに成立しませんでした。しかし、イラク派兵のための会期延長があり、7月9日に成立したことは冒頭に述べた通りです。

国立大学法人法によれば、国立大学法人と独立行政法人との違いは微小に留まる一方、学外理事を含む少人数の役員会を最高意思決定機関とするトップダウンの経営体制を義務付け、さらに学外者を過半数含む経営協議会を経営に関する審議機関としました。また、国が国立大学法人を設立し、国立大学法人が国立大学を設置することとなり、さらに、全教職員が非公務員化となりましたので、学校法人との違いは、政府補助金が最初は多いこと、政府による徹底した管理と学外者経営により大学自治が抹消されることの2点だけと言えます。

国立大学法人発足時は国が現状のまま歳費の6割程度は出資すると予想されますが、それ以外の点では、企業会計原則の導入や企業に近い経営形態にとどまらず、債券の発行も可能になるなど、非営利法人である学校法人を越えて、営利大学に近いものとなっています。

国立大学が、国立大学法人が設置する大学となり、「評価」に基づく改廃や予算額の増減が制度化されて経営基盤が不安定になるため、役員会は、企業からの寄付講座や資金援助を受け入れるために、また、志願者を確保するために、即効的成果が確実に期待できる研究活動や、人目を引く派手な教育活動を最優先することを余儀なくされます。こうして、学長も構成員も、真に創造的な経営・教育・研究活動 の持つリスクをとることは困難となり、確実に成果が上る活動が大学全体を覆い尽すことを避けることは困難となります。サバイバル的競争的環境で活性化する活動は、創造的活動ではなくロビー活動や学内での政治的闘争であり、そこでの「勝者」に必要な要素は抜け目なさと体力ですが、それは創造力とは無関係な要素であることを否定する人はいないでしょう。これでは、日本が知的社会となる道lは塞がれたも同然です。


独立行政法人化により、政府による大学の直接的コントロール強化や財界・産業界からの「使途限定出資」への依存度増大がもたらす教育・研究活動の「寡占化」・矮小化のデメリットよりは、大学教職員に意識改革をもたらすことのメリットの方が大きい、という考えが政治家・官僚・企業人・ジャーナリストの一部に見受けられました。現在の国立大学は多くの問題を抱えていますが、それは、職員の失職・降格への不安をかりたてたり、高い報酬への欲望を募らせることによる「意識改革」で解決できるような種類の問題ではありません。そのような、人の尊厳をないがしろにする手段は、問題を悪化させるものでしかありません。教育や研究などの創造的な精神活動を支えているものに関心がない人達が行ってしまった外科手術の結果は悲惨なものとなるでしょう。

現在の国策に近い分野の人達も含め、ほとんどの大学関係者は、国立大学法人化により大学の基本的機能が損われるだけでなく、本当に必要な大学改革への道が閉ざされることを再三再四警告してきました。警告が国民の耳には届かず、国立大学法人法が成立したことは、日本のために悔やまれます。

Posted by tjst at 07月10日
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000005.html
他の分類:国立大学法人法