2003年07月11日

来年4月から道内7国立大*独立法人に期待と不安

<視角触角>来年4月から道内7国立大 独立法人に期待と不安
北海道新聞朝刊全道 掲載日:2003/07/11

 国の直轄から独立法人に移行する国立大。国会で九日成立した国立大法人法などに基づき、北大をはじめ道内七大学も来年四月から国立大学法人となる。これまでにない大変革に、期待と不安が交錯する関係者。キャンパスはいったいどう変わるのか。
(報道本部 岩本進)

*重点的に新産業創出
 「世界に先駆けた成果を挙げ、新事業や新産業を創出したい」
 北大の中村睦男学長は九日、札幌市北区の北キャンパスで行われた次世代ポストゲノム研究棟のしゅん工式で、このようにあいさつした。
 来賓の町村信孝・前文部科学相は「きょうは国立大法人法がようやく成立した意義ある日。個性ある大学を目指し、ここから次のノーベル賞受賞者を出してほしい」と述べた。
 同棟は産学連携の先端研究拠点。法人化は、大学が国からの運営交付金をこうした特定分野に重点的に配分することを可能にする。
 だが、大学側は期待するばかりではない。樽商大の秋山義昭学長は「法人化を活性化の好機にしたい」と語る一方で、「うちは地方の小規模文系単科大。国は地理的、規模的な格差を考慮して評価し、交付金に反映させてくれるのか。基礎的研究が続けられるのか」と交付金削減を懸念する。
*再編統合構想再燃か
 北大は昨年七月、中村学長を委員長とする法人移行準備委を設置。文科省に提出する六年間の中期計画づくりなどの準備を急ピッチで進めている。他の大学も同様の準備に追われている。
 各大学は中期計画のほかに、非公務員となる教職員の給与や勤務時間を定めた就業規則なども整備しなければならない。「仕事は山ほどある。大車輪でやらねば間に合わない」(ある大学職員)
 旭医大、北見工大、室工大、帯畜大、樽商大、道教大の六単科大は昨年末、既存キャンパスを残しながら一法人一大学を目指す再編・統合構想を目指した。
 だが、各大学は法人化の準備が急務と判断して、統合を「断念」した経緯がある。
 法人化によって、大学は来春から「自らの権限と責任で運営に当たる」ことが求められ、本格的な競争の世界にこぎ出していく。
 六大学の中からは「めどがつけば再考も」との声もあり、法人化後に再編・統合構想が再燃する可能性も否定はできない。
*授業料値上げ懸念も
 学生や親にとって最も気にかかるのは学費の問題だ。現在の国立大の授業料は学部にかかわらず年間約五十二万円。
 文科省によると、授業料、入学金、検定料など学生納付金は、同省が標準額と上限範囲を定め、その範囲を超えない中で各大学が決める。「大学の自助努力で標準額を下回るのは構わない」(高等教育局)としている。
 同省は、具体的な標準額などの金額案を八月下旬の概算要求時までに示す方針で、「標準額は移行時の授業料が基本で、大幅に変えるつもりはない」(同)と言う。
 だが、道外では授業料値上げを検討している大学もごく一部だがある。財政難で国からの交付金の大幅増額は期待できないだけに、学生の負担増の懸念を完全にぬぐい去ることはできない。
 一方、長年論文も書かずに同じ講義を繰り返す教官も、いまは教育公務員特例法で守られ、辞めさせることはできない。だが、法人化で同法の適用除外となるため、「大学の判断次第で辞めさせられる可能性もある」(同)という。
 
【写真説明】世界的な研究が期待される北大次世代ポストゲノム研究棟のしゅん工式。法人化で期待も膨らむ。中央は中村睦男学長=9日

tjst |7月11日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000019.html |国立大学法人法
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