2003年09月14日

「国立大学法人評価委員会令」に対する意見

文科省募集:国立大学法人評価委員会令の制定に関するパブリックコメント
へ2003.9.14 に送付したサイト管理者の意見

独立行政法人制度における政府の強い諸権限が、国立大学法人制度にも残さ
れた。それが国立大学の発展を阻害することがないようにするためには、国立
大学評価委員会において、政府から十分に独立した審議と判断が行われことが
不可欠である。そのため、以下のような規定が必要と思われる。

■ 委員構成・選出法・任期・再任について

(1)各界(初等・中等教育,学術研究者,学生・院生・父兄、産業界、市民、
ジャーナリスト、法曹界等)を代表する委員数を政令で指定し、各界からの選
出・推薦等に基づいて文部科学大臣が委員を任命する。

(2)委員の任期を中期目標期間より長くして、目標策定と評価の双方に関わ
れるようにするか、あるいは、目標策定と評価のいずれかに関われるように、
任期を3年〜5年とする。

(3)委員の再任は不可とする。分科会の委員も同様である。理由は、少数の
者が長期間委員に留任する場合に、国立大学法人評価委員会と政府との距離が
近くなり、判断の独立性が損われていく懸念が大きいからである。

(4)分科会等の委員は評価委員会が人選する。

■ 委員会運営について

(5)重要事項の決定は、無記名の多数決により決定する。分科会も同様にす
る。

(6)委員会運営についての提案等は、委員長だけでなく委員も可能とする。

(7)審議は公開とし、議事録はテープリライトに基づく詳細なもの数週間以
内に公開する。

■ 委員の調査検討活動のサポート体制について

(8)各委員が、それぞれに知見に基づいて独自の調査をし情報を収集・整理
できるよう、秘書を常勤雇用できるようにすると共に、調査等の経費が十分支
給されるようにする。経費使途と委員報酬等を公開する。

補足:委員数が20名とすれば数億円程度で可能と思われるので是非実現して
ほしい。この程度の規模の経費を節約することは、評価委員による独自の調査
活動を不要とする方針であるとの誤解を受けるであろう。

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結語

第三者による大学評価は大学の向上に一定の効果はあるが、評価結果を資源配
分・改廃判断等に直結させた場合には、大学における諸活動が評価を強く意識
したものに組織化されることとなり、真の学術的活動が弱体化することが、評
価と資源配分の連動を20年余り続けてきたイギリスの大学関係者によりしば
しば証言されている。こういったことが周知されていたためであろうか、主務
省が評価と資源配分・改廃判断とを共に行う独立行政法人制度を国立大学に適
用することは適切ではないことが広く認識されていた。

こういった状況下で、やや強引に導入が決った国立大学法人制度では、独立行
政法人制度とは異なり、国立大学法人評価委員会が第三者評価機関として設置
され、大学評価・学位授与機構による教育研究の評価を尊重して評価を行うこ
とになった。

ここで「第三者」という修飾語は「大学からの独立性」だけではなく「政府か
らの独立性」という意味をも強く担っていると了解されていることは経緯から
明らかであり、もしも、独立行政法人評価委員会と同様に、政府に従属したも
のとなるならば、独立行政法人制度を大学に直かに適用した場合と同様の欠陥
を国立大学法人制度は持つこととなる。

しかし、提案された政令案では、「委員は、大学又は大学共同利用機関に関し
学識経験のある者のうちから、文部科学大臣が任命する」となっていて選定法
が明確に規定されていないために、任命者である文部科学大臣が実際の選定者
にもなる可能性が大きい。「学識経験のある者のうちから」という制約はつい
ているが、このような選定法では他の独立行政法人評価委員会との違いはなく、
また、種々の審議会の委員の選定法との違いがあるようには思えない。したがっ
て、委員の指名を文部科学省以外の者が行うような委員会設計が不可欠と思わ
れる。

以上

tjst |9月14日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000146.html |国立大学法人法 , 大学評価 , 法人化準備
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