2003年07月21日

宮脇磊介「騙されやすい日本人」より

新潮文庫, 2003.3.1 発行、ISBN 4-10-116421-5
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/4101164215

#(主張の全体的方向性には、ある種の危惧を感じたが、政府の中枢近くにいた著者による、現代日本の構造的問題の全貌についての貴重な証言になっている。以下、国会運営とマスメディアに関する部分だけ紹介。)

p23 「国民の目を永田町の実態から隔離してきたカベは、いわゆる
55年体制下において限りなく有効に機能してきた。それは、与党
自民党の中での密室政治にとどまらず、与野党間の密室談合によっ
て作られたシナリオに沿った国会運営をもたらすことで、その真骨
頂を発揮する。これがいわゆる国対型国会運営、「国対政治」とい
われるものである。そして、政治記者はシナリオーー国会対策委員
会のいわゆるウラ国対で、党利党略の調整の結果まとめたシナリ
オーーを尊重して、そのシナリオにあった記事作り、紙面構成をし
てきた。・・・自民党は国会対策上、重要法案を最終的に会期内に
可決するために、いかにも野党の立場を尊重して五分五分の与野党
対決をしているかのようなシナリオを、野党と談合の上で作る。国
対委員長が、そのシナリオライターであった。政治記者は、そのシ
ナリオを作成する経緯がわかっていても、紙面で暴露するようなこ
とはしない。むしろ、時にはシナリオ作りに加担することさえあっ
たといわれる。このシナリオには、必ず、「審議拒否」が重要な意
味を有する。つまり、白熱シナリオのクライマックスである。・・・
野党は審議に復帰し、法案成立のタイムリミットにぎりぎりで間に
合う。・・・与野党談合、政治記者黙認の共同作業が生んだお決り
の展開が繰り返されていく。」
#(国立大学法人法案の審議では、与野党間は談合はなかったと信
じたいが、参議院文教科学委員会の最後2回の審議では、民主党議
員の質疑内容と態度に、その疑念を抱かせるものがあった。)

p186「 行政とジャーナリズムのとの癒着の最大の場は、つとにそ
の弊害が指摘されている記者クラブ制であろう。記者クラブは、政・
官・業いずれとの間にも存在するが、政治家と番記者との関係に次
いで癒着度が高いのは、官庁記者クラブであるといわれる。長年の
記者クラブと行政官庁との間の歴史の中で、次第に記者の独自取材
や調査報道の力が削がれ、行政官庁のいわゆる「発表もの」に依存
するようになってしまった。「新聞の官報化」は、かねてから指摘
されているところである。」

p192 「癒着によりジャーナリズムが書かないこと、ジャーナリズ
ムの腐敗である。マスメディア自身も国民も「癒着は腐敗である」
との厳しい見方で臨まないと、マスメディアのモラルハザードが進
行する。日本のマスメディアの場合には、ニュースソースとの関係
において、意識的・理性的に選択されたポリシーとしてのオープン
な協力関係と、こうした癒着とがはっきり区別して意識されていな
いために、緊張感が欠けて腐敗を生んでいるのであろう。」

p194 「私が内閣広報官の仕事をしている間に自分自身で感得した
言葉に、"毒をまわす"という語がある。・・・「魂を奪う」とか
「肝を抜く」という言葉は承知していた。「毒をまわす」とは、丁
寧に言えば「ご理解いただき、ご協力を賜る」ということであ
る。・・・毒をまわす手法は、・・・システムとしても形成されて
いる。・・・その最も有効なシステムが「叙勲」をエサに魂を奪い
虜にすることである。そのシステムの典型は、政・官が特に役所を
窓口として、政・官においてこれから実現しようとする政策に対し
て批判勢力になりかねないマスメディアの関係者・評論家・学者や
財界人などを懐柔するための段階的システムである。・・・新聞関
係では、特定の新聞社の社長が新聞協会の会長を順に務めるとになっ
ているが、会長経験者には、勲章、それも勲一等瑞宝章が授与され
るとが慣行として定着しつつある。新聞人にあっては、叙勲を辞退
した人がどれだけいるであろうか。・・・」

tjst |7月21日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000013.html |メディアの情報操作 , 荒廃の諸相 , 本の紹介
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