2003年08月05日

「都立の新しい大学の構想について」に対して抗議する

1)「都立の新しい大学の構想について」の内容について

「まったく新しい大学」を標榜しながら、その内容は、「都市」、
「教養」等、さんざん取りざたされてきたキーワードのつぎはぎと、
「観光・ツーリズム」、「メディア・アート」、「産業系デザイン」
等、各種専門学校等でなされてきた教育の「剽窃」に過ぎない。結
局、予算削減、大学教職員の労働条件の悪化をねらいとする「改悪
案」そのものであり、本質的な「改革」の名に値するものは、どこ
にも見当たらない。

2)「都立の新しい大学の構想について」が出された経緯について

組合は大学管理本部主導で策定された「大学改革大綱」に反対して
きた。それはそれとして、今までの大学「改革」案は、きわめて不
十分ながらも、大学側が意向を表明する場が設けられ、そこでの意
見を多少なりとも踏まえて作成が進められてきた。しかし今回出さ
れた「構想について」は、執行部を含め当事者である大学を完全に
閉め出した「密室」で作成され、大学側に何の相談もなくいきなり
出されたものである。もし今までの「改革」案に問題があるという
のなら、問題があると考えた側が大学側とひざを突き合わせてどこ
に問題があるのかを話し合った上でその解決をはかるべきである。
これまで検討されてきた大学「改革」は、都立4大学の統合・改組
であった。今回発表された「都立の新しい大学の構想について」は、
当事者である大学にひとことの相談もなく出され、手続き的にも正
当性があるとは到底認められない。大学管理本部は、このような乱
暴なトップダウン方式で、大学改革が本当にうまくいくと考えてい
るのであろうか。

3)一方的な賃金・労働条件の変更は認められない

 「都立の新しい大学の構想について」では、教員の任期制や年棒
制の導入と業績主義の徹底が盛り込まれている。また、「大学改革
大綱」とは、全くことなる学部構成とそれに伴うキャンパス配置も
発表された。教員の任期制や年棒制の導入、新たなキャンパス配置
に伴う勤務地の変更などは、賃金・労働条件の著しい変更であり、
労働組合との協議すら開始しない段階で、一方的に発表することは
許されない暴挙である。大学管理本部に対して、厳重に抗議する。

4)政治的、社会的、法的問題について

7月1日参議院総務委員会における「地方独立行政法人法案」の採
決にあたり、以下のような付帯決議がなされた。

 二、地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条
件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎
通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。

. 六、公立大学法人の設立に関しては、地方公共団体による定款の
作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可等に際し、憲法が保障す
る学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、大学の自主性・
自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずること。

新構想は新大学の根幹をなす学部構成や、教職員の労働条件等につ
いて、当事者である大学側の意向を形式的に聞くことさえせずに出
されたもので、以上の付帯決議の趣旨に違反することは明白である。
「地方独立行政法人法案」や「国立大学法人法案」の国会審議で指
摘された問題点を、全く顧みないものであり、大学関係者のみなら
ず、良識ある多くの国民・都民の批判は免れることができない。以
上の点から、私たち都立の大学に働く教職員は、「都立の新しい大
学の構想について」の撤回と、都立4大学教職員との協議と合意に
基づく、新大学設立準備を、強く求めるものである。

tjst |8月05日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000067.html |荒廃の諸相 , 国会審議の形骸化 , 大学の自治 , 地方独立行政法人制度 , 不当な介入
Comments

問題を分解して考えよう。これらは,筆者が在職する国立大学についてもいえる内容を含む。

ゞ軌蕕筝Φ罎砲鰐誼里弊亳尭蛤杣圓,勝手にそれまでの当事者による検討内容をほごにしたのは,無謀のきわみだと考える。

∈眄難と少子化から,大学組織を縮小しないと運営できなくなるのは確か。もっとも,国家業務として大学の短期的経済性を度外視し,授業料も無料化するというような劇的な路線変更をするならば,話はまた変わる。

縮小すべき学科は,第一には入試倍率が低い分野というのが,筆者の考えるところである。しかし,どこを縮小するかという議題になると,各学部,学科,講座などの既得権益の攻防戦になり,まとまらないのも事実。とくに文学系は,何百年も前に成立したテキストを扱うせいか,なはなだ動きが鈍く,それがかえって既得権益を守る方向に働いている。

な験愀呂良床舛,短期的には行えないという点については譲ってもよい。筆者もそういう研究にも手を広げているので,それは理解できる。しかし,そういう逃げ口上をつかいつつ,定年までろくに研究成果も出さず,学生も育てず,「食い逃げ」をする税金泥棒が存在するのも事実。定年時に業績評価をし,不振な者には退職金を出さないというペナルティを科す,という自浄作用がなければいけないのではないか。

Posted by: 杉谷 隆 at 2003年11月03日 01:47

都立大学教職員組合 御中
 長谷川宏 様

前略
 新聞報道を見て、一体どうなっているのか、とお持っていました。
 教職員組合や長谷川先生の抗議や批判の声、今回の構想発表に至る一方的な都庁のやり方に関する経過情報は、実に驚くべきものであります。
 横浜市大も、現在、改革案が寝られておりますが、「横浜市大のあり方を考える懇談会」(橋爪大三郎座長)がまとめた案も、商学部・国際文化学部・理学部を一つの国際教養学部にまとめるという乱暴な案で、市大では「市民の会」http://www8.big.or.jp/~y-shimin/、「大学人の会」などたくさんの組織が、反対運動を立ち上げています。
 都立大学と市立大学の大学人・都民・市民が連帯して、こうした乱暴なやりかたを阻止する必要がありますね。

 ご奮闘を期待します。

横浜市大
永岑三千輝
 

Posted by: 永岑 三千輝 at 2003年08月06日 13:43

分類「 荒廃の諸相, 国会審議の形骸化, 大学の自治, 地方独立行政法人制度, 不当な介入」の記事より

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