2003年09月09日

「衆議統裁」の蔓延

独立行政法人化政策が現実性を帯びた1999年以来、約百の国立大学の約千の部局の中で、反対決議をした部局 の数は十もあっただろうか。多くの大学の多くの部局長は教授会の議長として「議論は大いにしてもよいが議決はしない」という議事運営に固執したと推測される。

戦時中の大政翼賛会中央協力会議では「衆議統裁」と呼ばれる議事運営法がとられていた。これは「議論させるが最後は総裁がすべてを決定する」という方式で、約千名の部局長が法人化問題について採用した方式と全く同じものである。このような一糸乱れぬ挙動は中央からの何らかの指示なしにありえることだろうか。

なお、1924年生まれの若槻泰雄氏は「日本の戦争責任ー最後の戦争世代から」(原書房 1995 ,ISBN 4-562-02683-9) (2000年に小学館ライブラリーとして改訂版 が出る)の第9章「いったい学者、評論家たちはなんといっていたのか」(下巻p179)の中で、中学4年生の公民の時間に「衆議統裁」が日本独特のすばらしい制度であると教えられたとき「衆議統裁と部下の意見を良く聞く独裁者とどこがちがうのか、私は何遍質問してみてもどうしてもわからなかった。」と書いている。

「衆議統裁」のGoogle 検索結果はわずかに3件 であり、ほとんど死語だが、長(おさ)のリーダーシップの美名のもとで、「衆議統裁」は着実に現代日本の大学を覆いつつある。

なお、上の検索にある新藤久和氏(山梨大学教授)「QC7つ道具」 の最後のページで「十分議論を尽くして,最後はリーダの決断に任せるやり方を「衆議統裁」といいます.」として、「衆議統裁」を高く評価している。

tjst |9月09日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000135.html |学長の権限 , 荒廃の諸相 , 大学内行政
Comments

まさに同じことが、この間、横浜市立大学でも行われました。大学改革案に関して、教授会の決議を上げるなどという性格のものではない、とプロジェクトR(幹事会)案を教授会で議論はさせるが、そしてその結果としての意見書を提出させる(場合によっては無視も可能なシステム)だけ、という意思決定システムを学長(事務局責任者)が部局長に伝え、大学の自治、教授会の自治に反するものとして、問題になっているところです。
 教授会などが、明確な問題点を議論を経てまとめる、ということは一種の決議だと思いますが、「決議」という形式にこだわり、なんとかそれをおさえようという学長(事務局責任者)の態度が見られます。
 そんな押さえつけでは、真の意味で生き生きした発展的な改革など出来ないと思うのですが。

Posted by: 永岑 at 2003年09月10日 11:18

分類「 学長の権限, 荒廃の諸相, 大学内行政」の記事より

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