2003年07月30日

島田三喜男「新聞は戦争責任を忘れたのかーーマスメディアの体制化の一考察」

日本の科学者Vol 38 p408-413

「朝日」は敗戦直後の1945年8月23日,社説「自らを罪するの辯」
を掲げた.<言論機関の責任は極めて重いものがあるといはねばな
るまい><いはゆる「己れを罪する」の覚悟は充分に決めてゐるの
である><特に吾人言論人の罪たるや容易ならぬものがある>
と自
らを断罪した.さらに11月7日,宣言「国民と共に立たん」を発表.
社長をはじめ全重役,論説主幹など最高幹部の総辞職を明らかにし,
<国民をして事態の進展に無知なるまま今日の窮境に陥らしめた罪
を天下に謝せんがためである><今後の朝日新聞は,・・・常に国
民とともに立ち,その声を声とするであろう>
と宣言した.この原
点に立ち返ることを望みたい.

「読売」はどうか.『読売新聞百年史』をひもといても,戦争犯罪
を読者に謝罪する項目がないことに驚かされる.正力松太郎社長の
<戦争中,軍は新聞を作戦に隷属するものとしていた.これに従わ
なければ廃刊にされたのだ>
という言葉が記録されているだけだ.
1945年10月25日の社説<新聞への断罪><罪は万死に値する>
書いているが、これは争議中の労組が「生産管理」中に書いた社説
だったとして,社史には掲載されていない.同紙としての読者への
謝罪はない.これは同紙の開き直りではないか.

歴史に学ぼうとしないこの無責任性が,同紙の「右傾化」を支え,
権力への擦り寄りを許している.

個人情報保護法案に対する新聞界の一致した反対も、「読売」がた
ちまち政府に加担して崩れた.日本の新聞は権力の圧力によってよ
りも,このままでは自らの「肥満体質」によって自滅する.

新聞の発行部数を調査・公表するABC協会の調べによると,大手
紙の発行部数(朝刊)は「読売」1020万部,「朝日」832万部,
「毎日」396万部,「日経」307万部,「産経」202万部(02 年上半
期).これらの大部数を維持するための販売,広告の「商業性」が,
過当競争を招き,政財界の圧力を呼んでいる.読者を信頼して民主
的言論の責任を全うしようとするか,体制に寄り添って「商業性」
に傾斜するか.正念場を迎えている.」

tjst |7月30日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000047.html |メディアの情報操作
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