2003年08月10日

中村北大総長 最高裁の司法消極主義を批判

ー数学教育協議会第51回全国研究大会記念講演会にてー

2003年8月9日から3日間,数学教育協議会の全国研究大
会が北海道大学で開催されている。初日の記念講演会で、
中村睦男北海道大学総長が「21世紀に活きる日本国憲
法・教育基本法」という題目で話した。

この中で、「自衛力合憲説は妥当と思うが、武力行使の
目的で自衛隊を他国の領域に派遣する海外派兵は憲法上
許されないので、イラク特措法は違憲の疑いが強い。し
かし、違憲審査制が、最高裁の司法消極主義によって形
骸化しているためにイラク特措法の違憲審査ができない
ことは重大な問題である。この問題の解決には、年間4
000件の審理を抱え違憲審査をする余裕がないとも言
える最高裁とは別に、「憲法裁判所」の導入が望ましい
が、それには憲法改正が必要となり、今の政治情勢では、
それがきっかけとなって日本国憲法の重要な核が変えら
れてしまう懸念がある。しかし、実際には、憲法改正を
せずとも運用によって、最高裁の司法消極主義を克服し
て、違憲審査権を機能させることは可能である。」と述
べた。

また、教育基本法改正の流れについては、「愛国心を法
律で規定することについて十分納得のいく理由付けがな
く、考え方が狭い意味の国家主義に基いており、これか
ら益々重要になっていく国際協調から日本が離れていく
懸念がある。」と批判した。

最後に「日本国憲法は、終戦直後、米国から押しつけら
れたものであるように言われことがあるが、生存権と国
の使命に関する第25条は日本側が主張して設けられた
という経緯が象徴するように、日本国憲法は、戦前から
民権運動の長い歴史を背景として成立した日本独自の憲
法であり、日本国憲法を通してその歴史を継承する必要
がある」と強調した。(サイト管理人記)

tjst |8月10日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000080.html |司法制度の形骸化 , 大学の使命 , 日本国憲法と教育基本法の改正問題
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