==> 国立大学独立行政法人化の諸問題

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国立大学教職員のみなさまに

 国大協は、さる6月14日の総会において、文部省が設置を予定している国立大学独立行政法人化「調査検討会議」への参加を決定しました。 文部省が、独法化に向けて一方的に設定したレールの上に、国大協がすんなり乗るとは思っていなかったのですが、予想外の結果になりました。
 ルールも決まっていない、このような会議への参加を性急に決めるようでは、蓮實会長がどのように否定しようとも、今後は自民党、文部省ペースで国立大学の行政法人化が進むことは避けられないのではないでしょうか。

 かかる事態を深く憂慮し、このたび、以下の要望書の賛同者を募って、国大協会長に提出することにいたしました。

 ご賛同くださいます方は、末尾の書式にご記入のうえ、7月20日(木)(1次集約期限)までに下記返信先にご返送くださいますようお願い申し上げます。

 多くの方のご賛同をお待ちいたします。(なお2次集約は8月20日の予定です)

   2000年7月10日

 呼びかけ人
  秋葉 繁夫(横浜国立大学)   石川 濶 (帯広畜産大学)  
  伊吹 紀男(京都教育大学)   岩崎 稔 (東京外国語大学) 
  大内 定 (北海道教育大学札幌)岡田 知弘(京都大学)    
  岡部 恒治(埼玉大学)     岡本 嘉六(鹿児島大学)    
  荻野富士夫(小樽商科大学)   奥  忍 (和歌山大学)   
  鍵山 茂徳(鹿児島大学)    亀山 統一(琉球大学)    
  刈田啓史郎(東北大学)     栗田 禎子(千葉大学)     
  纐纈 厚 (山口大学)     近藤 学 (滋賀大学)    
  近藤 義臣(群馬大学)     酒匂 一郎(九州大学)     
  庄 建治朗(名古屋工業大学)  高塚 龍之(岩手大学)
  高橋 敏能(山形大学)     竹森 正孝(岐阜大学)       
 
  立石 雅昭(新潟大学)     玉木 尚之(高知大学)    
  辻下 徹 (北海道大学)    戸田 清 (長崎大学)    
  豊島 耕一(佐賀大学)     中里 博 (弘前大学)    
  中野 敏男(東京外国語大学)  野田隆三郎(岡山大学)    
  橋本 修輔(宮崎大学)     浜本 伸治(富山大学)     
  平野喜一郎(三重大学)     平野 公孝(宮崎大学)    
  広瀬 信 (富山大学)     福田 雅章(一橋大学)    
  本庄 春雄(九州大学)     松田 正久(愛知教育大学)  
  丸山 博 (室蘭工業大学)   森  透 (福井大学)    
  湯淺 精二(大阪大学)     吉田 省三(長崎大学)

        返信先  岡山大学環境理工学部 
               野田 隆三郎
            TEL・FAX 086-251-8472
                   e-mail noda@math.ems.okayama-u.ac.jp
   

        2000年7月   日

国立大学協会長 蓮實重彦殿

 国立大学協会会則第28条に基づき、国立大学教職員   名共同で 以下の要望書を提出いたしますので、会員に回付されますとともに、関係 委員会においてご検討くださいますようお願いいたします。

要 望 書

国立大学協会は、さる6月14日開催された総会において、文部省が設置 を予定している「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に参加 することを決定しました。  各大学内に、独立行政法人化に対する根強い反対意見があるなか、十分な 審議を尽くさないまま、文部省、自民党の圧力に屈する形で、独法化を前提 とした「調査検討会議」への参加に踏み切ったことは、きわめて遺憾なこと と言わねばなりません。  私たちが何よりも危惧することは、「調査検討会議」に正式に参加すれば、 そこにおいて決定されることを拒否することは事実上不可能であり、結局は 独立行政法人通則法を骨格とする法人化の受け入れに繋がらざるを得ないで あろうということです。  蓮實国大協会長は14日開かれた総会後の記者会見において、「調査検討 会議」への参加が独法化受け入れを意味するものでないことを強調し、さら に「最終的に全く理想的な形態がそこに成立しなければ、その後新たな問題 が起こるだろう」とまで述べておられますが、これらは、何の担保・保障も ない以上、中味のない空証文に終わる恐れが強いのではないでしょうか。  そもそも、文部省が独法化に向けて一方的に設置する「調査検討会議」へ の参加の是非さえ余裕をもって判断できないようで、どうして今後、国大協 の主体性を期待できるのでしょうか。  国大協が、6月14日の会長発表第一項にあるように、「国立大学の設置 形態に関して、これまで表明してきた態度を変更する必要があるとは認識し ていない」というのであれば、「調査検討会議」への正式参加を取りやめる 以外にありません。  いま国大協にとって大切なことは,文部省の中の一組織に性急に加わるこ とではなく,広く国民にこの問題の本質を理解してもらうための組織的努力 を開始することではないでしょうか。  その一つは「独立行政法人」に代わる案を国民の前に提示することである と考えます。ぜひ会長発表第二項にある「設置形態検討特別委員会」におい て、全大学関係者の英知を集めて、真に大学の独立を確保する国大協独自の 案づくりを進めてください。そして本格的な選択肢を広く国民に提示し,そ の判断を仰ぐべきです。私たちもそのための協力を惜しみません。  以上、要望いたします。
 
 上記の要望書に賛同いたします。
  所属大学・学部
  お名前
   要望書を公表する予定ですが、その際お名前を出してよろしいですか
                       (可  不可)
 

「国大協への署名運動」(he-forum 1093,Reform 2986)の呼びかけ人に加わっているものとして、少し発言させて頂きます。

国立大学の独立行政法人化を最後に決定するのは国会ですが、そこに到るプロセスの無数のステップで、小さな選択が積み重なっていきます。6月14日の国立大学協会総会で、独立行政法人化の詳細を決める調査検討会議に国立大学協会として参加することを全会一致で決めました。 この選択の意味は各学長の解釈に委ねることになっているそうです。一般の国立大学教員が関与可能な最終段階とも言える選択であったと思うのですが、国立大学内部の大半の者が何も知らされることもないままに、このような灰色の選択が行われてしまいました。

それから一月近く経ち、この機会を活かすことに関心が移っている方も多いようです。しかし、会議参加が、独立行政法人通則法ベースの法人化を容認する行為であることは、言葉でいくら否定しても否定しようもないことです。重要なステップにおいて、明確な意思決定を避けて灰色の選択をして譲歩したことは、今後の種々の交渉の場での国立大学の発言力を弱めることになると危惧されます。

こういった灰色の選択を積み重ねた末に最後に空から「決定」が降ってくるが誰にも責任がない−−こういった経緯が、これまでの流れを外挿すると予想されます。大学教員を主とする、わずか12万人余の社会が、自らの行く末にかかわる問題について意思決定をひたすら避けて成り行きに任せる姿勢を取り続けるならば、日本社会の行く末に深刻な影響を与えずには済まない、と暗澹たる思いがしています。

国立大学内部には閉塞感が蔓延していると聞きますし実際にそれを感じることも少なくありません。<今の「ニセモノのアカデミズム」を養護することになる「独法化反対」に与することもできない>というメールも最近頂きました。しかし、これまでも繰り返し申してきましたが、既得権の厚い壁の前に、内部からの解決がどれほど困難に見えても、地道に壁を穿ち風化させ崩していく努力を積み重ねることを放棄して外から一気に壁を破壊してもらおうとする誘惑、これには何としても抵抗しなければならない、と思います。

2000.7.11 辻下 徹[reform:02992]より