[amp 07-06-02] 理事会の弁明、特別講演会「大学教員のモラルとコ ンプライアンスについて」、他

                                          平成19年6月2日(土)

RU教員およびAPU教員 各位

┌1───
│ 記録:理事会(07.5.25) :退任慰労金改訂の基本的考え方について
   http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/koho/kyousyokuin/kouji/taisyoku.pdf

   抜書「改訂後の退任慰労金1年当たり金額を加算した立命館の理
   事長・総長の報酬額(最大で月額約175万円)と役員でない教職
   員の給与最高額(月額約86万円)との比率は最大で200%強であ
   る。」

 ¶月曜会と衣笠フォーラムのMLにおける意見交換によると、上の数
   値は以下のような計算に基くらしい:

        理事長の報酬月額175万
           =  本棒71万円 + 役員手当45万円
              + 退任慰労金約59万(1000万/17)

        報酬年額は 175 × 17 (12 + 一時金5ヶ月) = 2975万円

    前理事長の報酬実額を知る立場にある理事会は、「最大で月額
    約175万円」というような曖昧な報告でお茶を濁すことができる
    ような状況では最早ない。

    なお、前理事長は、エクステンションセンター所長を兼任して
    おり手当がなかったとは考えられないこと、別法人とはいえ出
    資金はすべて立命であるクレオテックの取締役兼職による報酬
    を度外視すべきでないこと、比較の対象としている国立大学法
    人長の報酬額は、そういった収入を含めたものであり、立命館
    学園からの直接・間接の報酬をすべて加算した額を提示しなけ
    れば、理事会文書に何の説得力もないこと、等の指摘もあった。

    一方、「役員でない教職員の給与最高月額86万円」は、

        65歳教授本俸 694,300円 + 役職手当最高値10.5万円 + α

    で年額は 86万円 × 17 = 1462万円となる。

    参考:「同志社労組資料」 単位万円
    http://www.geocities.jp/ryannmaryu16/kyuyo01.html

     2004年度モデル年間収入
   同大 立命 関大 関学 早大 慶応 立教 中央 明治 法政
60歳 1410 1317 1419 1431 1393 1372 1393 1418 1389 1377

    2005年度モデル年間収入
   同大 立命 関大 関学 早大 慶応 立教 中央 明治 法政
60歳 1410 1246 1419 1431 1393 1290 1394 1419 1389 1332
65歳 1434 1255 1437 1466 1408 1290 1409 1420 1393 1347

   「同志社労組資料」を確認していないが、大学関係者も多数見て
    いるサイトからの情報を整理したもので、一定の信憑性がある。
    なお、「立命館が急に減っているのはボーナス1ヶ月カットになっ
    たため」という補足もある。なお、今年度も昨年・一昨年と同
    じ一時金とする回答が理事会から組合にあったようである。

  ─1a─
   「ゆにおん No 24」 07.05.29:
    「寄付すればよい」という問題では済まされない
      https://j-union.com/-/rits-union/file/html/open/07unionNo24.pdf

   ¶ 問題としている点は、

   (1) 私学助成金では、役員報酬の上限を2200万円とし、それを
     超える部分は補助金から減額されるという規則があること:
   「私立大学等経常費補助金取扱要領・配分基準」
         http://www.shigaku.go.jp/s_hojo17y.pdf

    慰労金を「報酬の後払い」と理事会が説明した以上、理事長の
    報酬年額から2200万円を引いた部分、すなわち年約800万円の超
    過部分の12年分約9600万円を補助金から減額される可能性があ
    ること。

   (2) 理事会が報酬だと説明したものを前理事長は税務署に退職金
    として申告することが京都新聞記事(5/26)[-1c-に転載]から予
    測されるが、その場合、多額の追徴を後日受ける余地を残すこ
    と。追徴を受けるのは前理事長個人ではあるが、立命館の相談
    役という重職を担う人物の「背信行為」は立命館自身の社会的
    信用を傷つけることは避けられないこと。

  以上の二点が立命館に与える有形無形のダメージは深刻なもので
  ある、という組合の指摘は的確なものと思われる。

 ─1b──
  関連資料:
    私立学校の振興に関する行政評価・監視結果に基づく勧告
    −高等教育機関を中心として− 2002年12月 総務省
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/021217_1a.html

 「私学事業団では、現行の減額基準額について、理事等役員の場合
   は特殊法人の総裁クラス、専任教員の場合は東京大学及び京都大
   学の総長クラス、専任職員は国立大学の事務局長クラスのそれぞ
   れの年間給与額を参考として設定したものであるとしているが、
   上記の専任教職員の給与の実態等からみて、その設置根拠は国民
   の納得を得ることが難しいと考えられる。」

  ¶ 理事会説明は、総務省の見解と真っ向から対立する。

   なお、文部科学省への次のような勧告もある:

  「文部科学省は、経常費補助金のうち一般補助につき、その適正
    な配分を図る観点から、次の措置を講ずるよう私学事業団を指
    導する必要がある。1)収入超過額による減額調整については、
    多額な収入超過額を計上するなど経営の健全性が十分確保され
    ている学校法人が設置している私立大学等について、一般補助
    を更に大幅に減額する方向で見直すこと。(以下略)」

  立命館の経営行為が私学全体の振興にダメージを与えることにな
  る懸念は大きい。

 ─1c──
   報道:京都新聞(07/5/26)「退任慰労金の一部寄付 立命館前理事長」
   http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007052600012&genre=C4&area=K1C

 「学校法人立命館(京都市中京区)前理事長の川本八郎相談役
   (72)が、1億2000万円に倍増させたことで教職員から批判を
   受けている高額の退任慰労金について、「一部を立命館に寄付す
   る」と、25日に開かれた定例理事会で表明したことが分かった。
   立命館は、批判との関係については否定している。

   立命館によると、川本相談役は、理事会の席上、支給された退任
   慰労金1億2000万円のうち、税金などを引いた8800万円
   の中から、3000万円を「学生のために使ってもらうため、立
   命館に寄付したい」と説明したという。

   川本相談役は今年1月末、約12年間務めた理事長を退任して相
   談役に退き、前総長の長田豊臣氏が理事長に就任した。その後、
   理事会が3月に理事長と総長の退任慰労金を2倍にするなど規定
   を改定したため、大学の教員を中心に「教職員の1時金を削減し
   ながら、高額の慰労金は問題だ」などと批判が集まり、見直しを
   求める声が高まった。

   さらに、大学の教職員125人が、一時金の削減分の支払いを求
   める大規模訴訟を年内に起こす準備を進めている。

   立命館広報課は、「川本相談役は当初から寄付をしようと考えて
   いた。批判を受けて決めたのではない」と説明している。」


┌2───
│意見転載: [ml-bkc-mf 111]  総合理工学院
   Date: Fri, 01 Jun 2007 13:37:08 +0900
   全文:http://ac-net.org/rtm/No/226

  抜書:

 「総合理工学院設置委員会の設置について」(5月9日常任理事会)
   という文書(このメールの後半に添付しました)において、総合理
   工学院設置委員会及び総合理工学院具体化検討委員会の委員構成
   が発表されていますが、これについて月曜会等で議論された形跡
   がありませんので、問題提起をさせて頂きます。

 1. 総合理工学院設置委員会の構成は、相も変わらず金太郎飴のよ
   うに、どの委員会にも名を連ねる人々の名が列記されているが、
   この委員会の任務は、理事会文書の(1)〜(5)にあるように、従来
   の教授会機能を新制度の下でどのようにしていくかという制度設
   計にある。そのような委員会に総務担当常務理事や財務担当常務
   理事、財務部長が参加する必要があるであろうか。このことは、
   職制事務職員が委員として参加するのみならず幹事会メンバーで
   もあるということととも相まって、教授会機能を事務機構の統制
   下に置こうとする意図を明白にしたものと読みとれよう。

 2.総合理工学院設置委員会の下に設置される総合理工学院具体化
   検討委員会は、4月18日の常任理事会文書では、「理工系教員に
   よる」委員会であったが、今次文書では、「理工系教員を中心と
   した」委員会へと換骨奪胎されている。この委員会において理工
   系教員による制度設計が行われるとの希望を抱かせる教授会運営
   であっただけに、この変更は重大である。

   (a) 理工学部を代表する者は理工学部長であり、情報理工学部を
       代表する者もまたその学部長である。委員長はこの2人のう
       ちのどちらかがなるべきである。

   (b) 事務職員が委員として参加する必要はない。

   委員長をトップダウンで選び、事務職員を委員として参加させる
   ということは、学院構想の最初の文書にあった、学院長、副学院
   長の任命制とし、事務長を教授会の正式メンバーとするという方
   針を、この委員会の段階に置いて実現しようとするものと言えよ
   う。
   以下=> http://ac-net.org/rtm/f7/070601-rikousougougakuin.html

   ─2a─
   6月4日(月)5:00より月曜会:「総合理工学院設置委員会の問題
   点について」( 日時は変更の可能性あり )


┌3───
│ 資料:訴訟準備会関連

   賛同呼びかけ
    http://ac-net.org/rtm/f7/070518-soshou-junbikai-yobikake.pdf

   資料:「05一時金カット 春闘での6つの論点」(訴訟準備委員会)
    http://ac-net.org/rtm/f7/070518-soshou-junbikai-shiryou.pdf

   ─3a─
   ブログ「多様性の中の統一: ある政治学研究者の考え事」 (5/16)
   http://blogs.yahoo.co.jp/a_researcher_in_kyoto/49364249.html

   ¶京都新聞記事(5.16)「支払い求め教員が提訴へ立命館一時金カッ
   ト問題」へのコメント:
      「一言付け加えますと、元常務理事、元学部長らも名前を連
        ねています。いかに、現在の理事会が支持を失っているか
        というのが、露呈されています。」


┌4───
│ 記録:特別講演会「大学教員のモラルとコンプライアンスについて」
         理工学部教授会 2007.5.15

   ¶ 須知雄造弁護士(立命館の顧問弁護士の一人)による「大学
   教員のモラルとコンプライアンスについて」という特別講演会が
   5月15日の理工学部教授会後に開催された。タイトルや事前配布
   の資料に憤った人も多かったようで、多数が退席したが、「大学
   教員のモラル」についてどういう話をするのか興味があったので
   聞いてみた。

   話の主な内容は、学生から訴えられるというリスクを意識してほ
   しい、ということで、有益な話も多かったが、要するに「学生を
   見たら原告と思え」という(法人の)要望 を伝えようとした、と
   感じた。しかし学生に訴えられる頻度は交通事故に会う頻度より
   はかなり小さい、ということであった。稀少なリスクを過度に強
   調することで、学生との自然な交流が損なわれたり、各教員がそ
   れぞれの個性を活かした自由闊達な教育活動を行う雰囲気が損わ
   れることになることが危惧された。

   また、このリスクを教員が個人として「予防」できることはわず
   かで、教学機関が組織として、教学システムを裁判の角度から点
   検しておくことが必要だ、というアドバイスを何度か繰りかえさ
   れたので、個人向けに開催されたこの講演会の趣旨がわからなく
   なった。しかし、話の中で、かなり唐突に、事前配布資料にあっ
   た「大学の指導法」(児玉善仁,川島啓二,別府昭郎 編東信
   堂,ISBN:4-88713-495-9) p228のコピーにある「大学と契約関係
   にあるという自覚を持てない、持とうとしない人間は大学教師に
   なるべきではない」という部分を読み上げられたので、講演会の
   主旨が理解できた。

   契約関係は相互的なものであり、契約( とその背景にある法律
   )によって大学側も制約を受けていることを失念している運営者
   もある、と思った人も多かったはずで、この講演会は、理事会へ
   の不信感を深めるもので逆効果ではなかったか、という感想を持っ
   た。「大学運営者のモラルとコンプライアンス」という講演会は
   すでに開かれているのであろうか。

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