[amp 08-07-21] 初芝学園との提携問題、他

立命館学園教職員の皆様へ

  初芝学園との提携の是非について議論が行われていますが、初芝
  学園は「新採用の教員は学園が常勤講師として1年間雇用。2年
  目にグルメ杵屋の正社員となり、学園に出向する形で5年間教員
  を務める。7年目以降は、出向期間を更新して学園での勤務を続
  けるか、自主退職かのどちらかとなっていた」【1a】そうで、教
  員361名中の1/4がこの方式で雇用されていたそうです。立
  命幹部が理想的と感動しそうな教員雇用形態ですが、初芝学園は
  職業安定法違反(違法な人材派遣)で2月に労働局から指導を受
  けました【1a】。

 理事会が配布した資料には初芝学園の財務的不正については言及
  があり解決済とありますが、違法な雇用形態を長年とってきた事
  実については言及がなく、当然ながら、この問題にたいして初芝
  学園の理事会が現在どのような見解をもっているかも不明です。
  その点を明らかにして議論をし直す必要があります。

 教員を粗末に扱ってきたという強烈な印象を社会に与えた初芝学
  園と、あらゆる雇用形態において労使紛争が絶えない本学園との
  提携は、教員軽視の法人同志が意気投合した、という図になりま
  す。立命の信用度や学園としての品格など全く考慮しない、近視
  眼的で短絡的で即物的な入試政策は、学園の未来に大きな障害を
  種々残していくことは、誰が考えても明らかなことです。

「走りながら考える」ことが必要な時もあると思いますが、四半世
  紀ものあいだ走りながら考えているうちに、惰性で「走り続ける」
  だけになってしまい、走り続けるためには後追いでも人真似でも
  何でもよい、というところまで本学園は来てしまったようです。
  惰性は余りに大きく今回の大転倒事故後も「疾走のための疾走」
  はとまりそうもない気配も濃厚です。しかし、この機に、四半世
  紀の疾走の慣性に抗して立ち止まり静慮し新しい次元をもつ学園
  政策を創造できれば、今の規模に相応しい風格ある学園に脱皮で
  きる可能性も出てきそうですし、それが最良の入学政策となるこ
  とは明らかなことです。

─目次──────────────────────────────────
  1─ 初芝学園との提携協定締結についての諸学部教授会意見
 1a─ 読売8.2.21 うどん店社員→出向で学校教員 大阪初芝学園に是正指導/労働局
  2─ 第24回月曜会報告 危機状況の立命館:学生と教員の意見交換7/14(月)
  3─ kinugasa-forumより転載:「寄付金政策文書」への注意喚起
─────────────────────────────────────

 ┌1───
 │初芝学園との提携協定締結についての諸学部教授会意見

 理工学部教員会議(7/15)としての意見より「立命館学園自体の管理
   運営が立て直されるまでは提携を延期するか、立命館の名前を冠
   することや理事派遣を止め  岩田学園等のように連携コースに
   留めるべきである。」

 国際関係学部教授会(7/8)意見より「国際関係学部は、現時点での
   提携の締結に反対し、前理事長退任後の初芝学園の学園運営が
   「正常化」したと判断する具体的な根拠について、また初芝学園
   が立命館大学に依存することなく校舎新築等を実行できる財政力
   をもっているか否かについて、常任理事会に対して改めて詳しい
   説明を求めます。

 政策科学部教授会意見(7/8)より「 (前略) 

   ○学校法人立命館として本年6月20日に出した「特別転籍に関
   するお詫びとご報告」において示された「教職員の創意と意見を
   学園運営や改革の内容に反映させていく丁寧な議論とコミュニケー
   ションを、よりいっそう重視しながら、管理運営の枠組みや意思
   決定のあり方などを改革してまいります」というのは、本学にとっ
   て重大な決意文である。本提言に関しても、このような姿勢で臨
   まなければならないのはいうまでもない。

  そのためには何よりも構成員が慎重に話し合いができるように常
   任理事会として丁寧で必要な情報を提示しなければならないであ
   ろう。(中略)

   ○本提言のような学部教育にきわめて大きな影響を与える案件に
   ついて、教学部や学部教授会を通すことなく推し進めていくとい
   う姿勢は容認できるものではない。関係各部局での丁寧な議論の
   積み重ねによって慎重に審議されなければならない。(中略)

  ※前回提出した集約文書、ならびに今回の上記の点が解決され
   ていないっかぎりは、政策科学部としては本提言に反対である。」


 ──1a──
 うどん店社員→出向で学校教員 大阪初芝学園に是正指導/労働局
    読売(東京朝刊)2008.02.21 

「学校法人「大阪初芝学園」(本部・堺市)で、前理事長が社長を
  務めていたうどん店などの外食チェーン「グルメ杵屋」(本社・
  大阪市)の社員を教員として出向させており、この雇用形態が、
  出向を名目とした違法な人材派遣にあたるとして、大阪労働局が
  学園と同社を職業安定法違反で是正指導していたことがわかった。
  学園と同社は「対応を検討したい」としている。

 学園と同社によると、新採用の教員は学園が常勤講師として1年
  間雇用。2年目にグルメ杵屋の正社員となり、学園に出向する形
  で5年間教員を務める。7年目以降は、出向期間を更新して学園
  での勤務を続けるか、自主退職かのどちらかとなっている。同社
  に戻って働くことはないという。

 同社の椋本彦之前社長が学園理事長を兼務していた2000年度
  から始め、07年度現在、出向教員は96人おり、全教員の4分
  の1を占める。給与はいずれも学園が払っているという。

 厚生労働省などによると、出向はグループ会社内や研修目的など
  の場合に認められる。学園と同社には資本関係はなく、出向を終
  えて同社に戻った例はないことから、同労働局は実態は労働者供
  給事業にあたると判断したとみられる。

 学園は「少子化で、学園が経営難となった場合でも、グルメ杵屋
  の社員なら雇用の場が保障される」と説明している。

 同学園は1937年5月設立。初芝高校(堺市)など大阪、和歌
  山で八つの小、中、高校、幼稚園を経営している。」

 ┌2───
 │月曜会報告 第24回 危機状況の立命館:  学生と教員の意見交換7/14(月)
     [ml-cm-bkcmf 880]  24回月曜会報告 より転載
     Date: Sat, 19 Jul 2008 16:23:44 +0900

    火曜日の全学集会につなぐ為に、月曜日に急遽学生諸君および
    月曜会会員に参加をよびかけるという、準備もへったくれもな
    いぶっつけ本番ヤケクソ気味の会合で、はたして会が成立する
    かとさえ思われたのですが、呼びかけに応じて急遽集合した20
    名あまりの学生、院生と教員の間で、今立命館で起きている事
    やそれへの対応、BKC自治会の現状等を巡って熱い議論が交わさ
    れました。

    ************************************************************

    ●学生側から大学の運営のしくみと一般、常任理事会、学部長
    理事の機構的役割や常務会なる組織等について突っ込んだ質問
    があり、大学運営組織の問題点が殆どの学生に知られていない
    という指摘あり。

    ●BKC自治会運動が衣笠でのそれに比して不活発な(移転に伴う)理
    由の歴史的いきさつ。BKC自治会の下に各学部自治会があり、
    BKC自治会が衣笠各学部自治会各々と対等といういびつな関係に
    ある。この関係改善が必要だが、サポートするべき学生の
    activityがBKCでは歴史的に低く、問題である事。

    ●衣笠での学生総会への多人数学生の参加はオリター団の活躍
    に負うところが多い。

    ●衣笠と比してBKCでは自治会-教員や自治会-組合の相互作用が
    伝統的に弱い事。その為に転籍問題等に関しても自治会内部で
    の議論が不活発であった事。BKC自治会は代議員制をとっている
    事も関係する?

    ●BKC自治会より常任理事会で唐突に自治会費の代理懲収拒否の
    議論が行われ奥田理事からその説明(正確には恫喝?)を受けた事。
    これまで代理懲収(年額1.8億)による自治会の懲収金管理に「業
    務監査室」が「監査」(でました!こういう所にこういう使いか
    たをするのである!!)  自治会の同意の下に監査を行ったが、そ
    の結果が学生部からまったく提示されないまま、一方的に「問
    題あり自治会に解決不可能」という判断の下に常任理事会での
    議論がなされており、まったく不当であり、それに対する反論
    を理事会に意見書として提出した事が報告された。理事会側は
    代理懲収の代わりに自治会費1.2億を補填しようとも言ってるら
    しく、要は最近各学部自治会で相継いで出されつつある退任決
    議に恐れをなして、理事会に従順な御用自治会化しようという
    策動である。

    これに対し教員側から理事会へのへの強い批判が噴出しました。

    自治会活動は学生の民主教育のもっとも重要な要素のひとつで
    ある。学生側に多少の財政的失策があっても、財政にアマチュ
    アの学生をそのわずかな失策をネタに自治会活動の足をひっぱ
    る理事会は教育機関たる大学の風上にもおけない組織である。
    将来、民主社会の主役たる学生を育成する事の意義をまったく
    理解できない、学生を管理の対象としか考えないどうしようも
    ない三流大学理事会である。

    米国では学生が自律的に運営する学生政府の存在、それへの支
    援はそれなりの評価を受る大学の当然の義務と考えられており、
    民主教育の重要な一環と考えられている。本学理事会にはそう
    いう意識が根底的に欠落しており教育組織を運営する資格がな
    い。

    等々

    ●その他学生の感想

    ・理事会の経営偏重が今回の特別転籍に現象したことを知る学
      生も多く関心も高いが不満がまとまる核がない。

    ・次々何の脈絡もなく製造される新学部が理事会の経営偏重主
      義と結び付いている事を知ってなるほどと了解した。こうい
      う理事会が上にいる事を知り非常に失望した。

    ・BKCの人口密度はあまりにも高い。食堂や教室等が手薄。まだ
      この上新学部を増設しようという理事会は狂気としか考えら
      れない。

    ・過ちを犯して責任をとろうともしない無責任で厚顔無恥な理
      事会が立命館を支配している事を知り、立命館に在学した衿
      持が大変傷つけられた。

    ***************************************************************
    全学集会(衣笠以学館 15日 7:00-9:00)に出席したBKC院生学生の感想
    ***************************************************************

    定員650人の以学館の部屋にあふれるくらい集り(700人以上)、
    BKCでは信じられない程激しい集会であった。次々発言を求める
    学生が相次ぎ理事会への厳しい批判があいついだ。この昂揚が
    衣笠のみで閉じているように感じられ、BKCは完全に切り離され
    ているようで寂しかった

   ●結び

    学生と教員の意見を交換する場を作ってゆくことが特にBKCでは
    重要である事に感じました。今後月曜会では機会がある度に学
    生と教職員の議論の機会をつくってゆきたいと思います。


 ┌3───
 │転載:[kinugasa-forum:0649] 寄付金政策文書
   Date: Fri, 18 Jul 2008 23:13:39 +0900 (JST)

   一時金訴訟の皆様、衣笠フォーラムの皆様

   あまり話題にはなっていないし、個別の意見集約を実施している
   と言う点では、学部教授会などでは話し合うつもりも理事会はな
   いようですが、現在配布されている寄付金政策は、率直に言って、
   詐欺だと思います。

   どこが詐欺かと言うと、学部のために寄付を集めると称して、寄
   付金の9割以上は半永久的に資産運用のために使われることになっ
   ている点です。

   信頼にあたいしない理事会が支配し、一時金もカットされた状態
   のままであれば、そもそも、教職員も寄付したくない人が多いと
   思われますが、そういう方でも、13ページの部分は読まれたほう
   がよいと思います。

   以下、問題点を挙げて起きます。

 1、信頼のない理事会に誰が寄付をするのか。

   この間の事件を、学生、親は知っており、誰が寄付をするのか。
   教職員は寄付する気にはなれないだろうし、それでもやるという
   ならば、事実上の寄付の強要がまかり通るのではないか。特に、
   職員部分では、残業代が出た分、その部分を寄付として強要され
   るのではないか。過去の寄付においても、およそ自発的な寄付と
   はいえないようなこともあった。

 2、「ベーシック」、「シンボル」といいながら、実は資産運用が目的。

   寄付の内訳は、学部など向けのベーシック、学園戦略向けのシン
   ボルという二種類にしておきながら、「各基金の運用については
   資金管理運用委員会のもと、全学一括で積極的な運用を目指す」
   (13ページ)とあるように、事実上は一つとして扱われる。また、
   基金の取り崩しは原則10%以内にすることが述べられており、事
   実上、9割以上が資産運用にまわされることになっている。

   言い換えれば、「学部のための基金なんですよ」といいながら、
   9割は全学一括の資産運用にまわされ、学部では半永久的に使え
   ない仕組みになっており、寄付者はその仕組みを知らされない構
   造になっている。これでは詐欺ではないか。

 3、運用益が何に使われるのかが不明。

   その全学一括で運用された「運用益にはついては事業にかかわる
   予算に組み込むことを基本としつつ、運用環境等に影響されるこ
   とを極力回避するため、一定の利率(2%程度を想定)で毎年度
   の事業予算を編成する」(13ページ)とかかれており、使途は
   「事業」としか書かれていない。学部に寄付されたものも、運用
   は一括なので、その分の運用益が学部にくるのかどうかも明記さ
   れていない。理事会の自由になる金となるのではないか。

 4、2%の利率を想定するということは資産運用の原則を変える
    つもりなのではないか。

   立命館は安全性を確保するために、これまで国債を中心に運用し
   ていたが、その結果、過去の運用利率は1%程度であった(過去
   の学内文書ではそう書いてあります)。ところが、「運用環境等
   に影響されることを極力回避」しても、2%を確保できると書か
   れていることは、驚くべきであろう。投資対象をこれまでの国債
   以外も想定しているのではないか。利回りの高い金融商品は安全
   性が落ちるのは常識である。投資対象を広げるつもりならば、そ
   の議論も広く行われるべきであろう。

 5、25日が意見集約となっているが、拙速ではないか。

   この寄付金政策が承認されると、早晩、学部や部課などで寄付の
   強要が行われる可能性がある。教員では学部長や執行部が目標を
   課されるであろうし、それは過去にもあったことである。そうい
   うときに、職員の上下関係ではもっと厳しい状況になるであろう。
   納得のいかない寄付が横行すれば、ただでさえ強い理事会に対す
   る不信感は増大する。相変わらず、理事会は、感情の乏しい動物
   たちで学園が構成されていると思い込んでいるようである。