[amp 08-07-14] BKC月曜会7/14、一時金訴訟公判7/10原告意見陳述、ほか

立命館学園教職員の皆様へ

  先ほど全学配信された組合緊急ニュースにより、学費代理徴収中止はまだ常
  任理事会で決定されていないことがわかりました。しかし同ニュースによる
  と、それにもかかわらず、先週金曜日に学生担当常務理事と学生部が学友会
  幹部を呼び出し「学友会費の代理徴収の中止はほぼ決定した」と告げたそう
  です。特別転籍問題の真因は、常任理事会を無視した常務会の暴走にあると
  ほぼ全構成員が理解していますが、幕引きのときの「反省」後も何の変わり
  もなく常務会は暴走し続ける意思を堅持していることが証明されたようです。
  リコール投票実験サイト(http://www.ac-net.org/rtm/recall/)でも理事長や
  相談役の解任だけでなく常務会そのものの解体が不可欠だという意見が少な
  くないですが、このような事件を聞くと、それ以外に学生優先への方向転換
  の途はないのではないか、と思います。

─目次──────────────────────────────────
  1─ BKC月曜会7/14午後5時半より: 危機状況の立命館:学生と教員の意見交換
  2─ 7/15 立命館の危機を克服し新たな学園創造をめざす大集会
  3─ 第3回立命館学園一時金訴訟公判7.10 原告意見陳述 斎藤敏康教授
   1 業務協議会の性格と意義、2 私学助成と「特別転籍」問題
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 ┌1───
 │BKC月曜会:  危機状況の立命館:  学生と教員の意見交換
   7月14日(月) エポック立命 309号室 5:30

   特別転籍問題を契機として経営偏重教学軽視の理事会のトップダ
   ウン暴走に対する学園全体の不信感の高まりによって教学現場各
   所で教職員による理事会退陣決議が出されるにいたっています。
   特に、最近いくつかの学部学生自治会(文学、産社、映像)総会に
   おいて理事会退任要求やそれに近い責任追求の決議が(殆ど満場
   一致で)出されるようになってきました。

   ここにおよんで、理事会「指導部」は(学部長理事の反対を押し
   切って) 学生自治会費の代理懲収をやめるという報復的暴挙に出
   たそうです。

   これまで、特にBKCでは、学生と教職員の間で暴走迷走する理事
   会にどう対処するべきか、議論する機会がありませんでした。本
   日急ですが、月曜会としてそういう機会を設けたいと思います。
   立命館の危機状況に関心をもたれる学生、教職員の皆さんにお集
   まりいただき、偏狭で視野の狭い独裁的理事会が支配する立命館
   に民主主義を取り戻す為に我々はなにをすべきか議論できればと
   考える次第です。

   注: 決議資料は  http://j-union.com/-/rits-union/

   月曜会とは

     月曜会はBKCの真の教育改革を目指す加入退出自由な学部横断
     的教職員フォーラムで政治的目的をもつ組織ではありません。
     しかしここ数年の理事会による学園の独断独善的運営は立命館
     の財産ともいえる自由闊達な教職員の活力を萎えさせ、大学に
     大きな知的損害をもたらしている事を強く危惧しています。

                  ( 世話人: 池田研介、 藤岡 惇、 三浦正行 )

 ┌2───
 │7/15 立命館の危機を克服し新たな学園創造をめざす大集会
   詳細:https://j-union.com/-/rits-union/

   案内ビラより:
  **「集会に向けて一言(メールまたはfaxで)お寄せ下さい」**
    E-mail:rits_union@yahoo.co.jp
    FAX:075-465-8201

    日時:7月15日(火)18:30開場 19:00開会
    場所:立命館大学(衣笠) 以学館1号ホール
    主催:大集会実行委員会
    事務局:立命館大学教職員組合書記局

 ┌3───
 │第3回立命館学園一時金訴訟公判原告意見陳述 2008年7月10日
    「立命館学園一時金訴訟をすすめる会」ブログより転載
     http://ameblo.jp/rits-soshou/entry-10115850300.html

  立命館学園一時金訴訟をすすめる会副代表/原告団副団長  
  斎藤 敏康(2008年度立命館大学教職員組合副執行委員長)

 はじめに

 被告側「準備書面」に対する反論は原告側の準備書面においてな
  されておりますので、私はここでは、立命館の「業務協議会」の
  性格と意義について、及び本年3月から4月にかけておこりまし
  た「特別転籍」問題等について陳述させていただきます。

 1.業務協議会の性格と意義

 被告側「準備書面(1)」を拝読して、違和感を覚えることのひとつ
  は、一時金が毎年業務協議会(以下、業協と略)での多数回に渡
  る交渉を経て決められていたと認識されていることであります。
  私たち原告の「規範意識」論は、労使双方が予め結論を承知した
  上で「交渉の真似事の茶番劇を演じていた」と主張するに等しい
  かのような叙述も見られます。

 この誤解は、失礼ながら立命館の業務協議会の性格と意義を理解
  されず、世間一般の「団体交渉」とあまり変わらないものと考え
  ておられるところに発していると思われます。

 茶番劇どころか、私たちは毎年の業協で極めて真剣な議論を積み
  重ねてまいりましたが、そのテーマはもっぱら高等教育をめぐる
  情勢であり、文科省の大学政策であり、また本学の教学政策や、
  職場の業務水準の向上についてといった事柄であって、賃金・一
  時金については、それらの議論をやりつくした上で、必要かつ妥
  当な水準を労使双方で探り合うというものでした。ここ20年間
  にわたる業協を録音した140巻に及ぶテープを苦労して聴いていた
  だいた私たちの弁護団には(机の抽斗の奥で眠っていたウォーク
  マンが久しぶりに役に立ったというお話も伺いましたが)、その
  ことをよく理解していただいたと思います。

  なぜ、立命館の労使交渉では賃金が第一テーマにならないのか、
  なぜ「団体交渉」ではなく業協という形で春闘がおこなわれるよ
  うになったのか。それは、理論的に言えば、立命館が運営経費の
  大部分を学生の学納金に依頼している私立大学であることと関わっ
  ているのだと思われます。国家予算によって経費を調達される国
  立大学に比べて私学経費の大部分は、そこで学ぶ学生(父母)が、
  彼らに施される教育の対価として支払うものであって、その関係
  は極めて直接的です。それは、比喩がいつも不完全であることを
  前提に言えば、大学生が高校生相手に二時間の家庭教師をして五
  千円の謝礼を得るという関係の直接性に比肩するものかと思われ
  ます。しかし私学が家庭教師と異なるのは、学生が支払う学費は
  彼自身が受ける教育の対価であるだけではなく、それ以上に日本
  の高等教育の75%を占める私学の教育と学術研究を支える経費
  でもあるという点です。これほど多額の高等教育経費を直接国民
  から調達している国は日本以外にはなく、日本の私学はその点で
  公教育・研究が私的経費によって荷われるという矛盾の焦点に立
  脚しているといえます。

  したがって私たちは、高等教育研究機関である立命館の教育・研
  究水準を維持発展させながら、同時に、学費負担者としての学生
  にどのような教育を施すのか、学生の要求にどのように答えるの
  かという課題に誰よりも真剣に切実感をもって取り組まざるをえ
  ないのです。そのために世界と日本の教育情勢を分析し、教育、
  研究、業務の現状を点検し、立命館らしい特色のある教学政策に
  ついて議論してきました。また公開されたその議論を通じて多く
  の教職員が大学・学園の教学政策の策定に参画し、政策を理解し、
  職場や個々人の目標や課題に対する意識を高めたのです。こうし
  て業協は全学を挙げて教学政策を遂行するために、ボトムからの
  合意形成をはかる上で極めて重要な役割を果たしてきました。

  その中で、賃金交渉はどのような位置を占めていたのか。私学は
  特色ある教育研究を通じて多くの学生を迎え入れる、そのことに
  よって経営的な発展も期待されるわけです。つまり良い教育研究
  が良好な財政状況を実現する(これも業協での議論を通じて定式
  化された原則ですが「教学が財政を支える」のです)という前提
  のもとで、賃金は、達成された教育成果への評価、及びこれから
  の課題遂行のために教職員に要請される努力への期待値として表
  現されるものであったと言うことができます。ですから私たちは
  労働・生活条件を改善するためにも真剣に教育政策論議に取り組
  んだし、その議論を踏まえてベース・アップの要求も時に激しく
  行いました。しかし一方、公教育の安定的維持のためには大学経
  営にも安定性が求められ、従って学校会計基準も学校経営の安定
  に配慮した制度設計がなされておりますし、一般に教職員の賃金
  も企業のように業績の如何によってボーナス支給額が比較的大き
  な幅で上下するといった構造にはなっていないと思われます。従っ
  て私たちの賃金要求は、年度毎の情勢の違いはありますが、概し
  て言えば、大学の経営業績の向上に対応したベア・アップ要求が
  主体であり、一時金は例えば大手10私大平均からの落込みを補完
  する手段等として位置づけられてきました。そして大学側もまた、
  年度ごとの余剰金(経常利益)の還元や、教育業績評価のために
  一時金を短期的に大幅に上下させるような賃金政策は取っていま
  せんでした。その結果として、立命館の一時金は比較的長期に渡っ
  て6.1カ月+10万円前後の水準に安定していたのであり、そこに教
  職員の「期待権」が成立するひとつの根拠があるのだと思われま
  す。

  業務協議会の性格、及びそこにおける賃金・一時金交渉の位置づ
  けとはそのようなものであったということを、被告弁護団にもぜ
  ひ理解していただきたいと思うのです。

 2.私学助成と「特別転籍」問題

  高等教育の公共性にも拘わらず、それを賄う経費が私的セクター
  から調達されるという矛盾の上に成り立っている私学・立命館は、
  更にそれにも拘わらず長く「相対的低学費」を標榜してもまいり
  ました。これは言うまでもなく国民の教育権、教育の機会均等と
  いう憲法的原則への、一私学からの限界をはらんだ接近でありま
  した。そしてこの矛盾を打開するために、立命館は特に早くから
  熱心に私立大学への国庫助成を求めてきた歴史がございます。

  それだけに、今回の「特別転籍」が、私学補助金不交付を回避す
  るために、新入生を補助金の計数としてのみ捉え、入学試験の公
  正性を損なう措置であったとして、さまざまな社会的非難を浴び
  ましたことは、私学助成運動の積極的推進者であった立命館に対
  する国民、市民の期待と信頼を裏切る行為であったと言わねばな
  りません。

  立命館大学は、今回のような学部を越えた新入生の転籍措置を90
  年代から3回に渡って取ってきたことも事実です。しかし、今回の
  特徴は99年に作成されたマニュアル文書に基づき、常任理事会が
  法令に違反して、教授会の頭越しに生命科学部新入生の転籍等を
  決定・実行していることです。しかも自ら設定した期日までに必
  要な数に達しなかったとして、延長の措置を取り、4月16日に謝罪
  会見をした際にもその事実には口をつぐんでおりました。それら
  の結果、文科省からは何項目にも及ぶ管理運営の不適切を指摘さ
  れ、08年度の助成金25%(15億円超)を削減されるという処分を受け
  るにいたったのです。

  それにも拘わらず長田理事長らは、文科省からは法令違反を指摘
  されてはいない、法令違反で処分されたものではないとして、自
  らに減給を課することで事を済まそうとしております。しかし私
  はこの場ではっきりと申し上げますが、教授会の権限を無視して
  転籍を決定・実行したことは学校教育法施行規則第144条に違反し
  ております。長田氏らは、事後的に教授会の追認を受けたのだか
  ら違反しているわけではないという事のようです。長田氏らのコ
  ンプライアンス感覚はその程度のものかと思いますが、それなら
  ば募集延長の件はどこの教授会の承認・追認を得て行った事なの
  でしょうか。そして募集とその延長は一連の措置であって切り離
  せるものではありません。また私学助成金の削減は私学助成法第
  5条5号の規定に該当した(つまり違反した)ことをもって行わ
  れたのであって、今回文科省が法令に基づかない処分を通達して
  きたということではまったくありません。

  ここで思い出されます事は、これも残念な事件でありましたが、
  昨年3月、理工学部のCOEプログラムによる共同研究において研究
  費の不正使用が明るみに出て、900万円の私学補助金がカットされ
  た際に、長田理事長をはじめとする常任理事会は研究に関わった
  二名の教員をそれぞれ契約解除、懲戒解雇いたしました。厳しい
  処分でありました。今回は同じく法令に違反して、単純に比べれ
  ばCOEの150倍に上る損害を発生させておきながら、結果に対して
  相応の責任を取ろうとしない姿勢はあまりに非常識な態度と言わ
  ざるを得ません。

  長田理事長や川本相談役は長く立命館で働いて来た方々です。で
  すから、現在では長田氏や川本氏に批判的な多くの教職員の中に
  も、個人的には両氏に対して深い思い出を持つ人は少なくありま
  せん。かく言う私もまた長田豊臣先生の受講生でした。当時、大
  学に入学して間もなかった私は、文学部で19世紀アメリカ「帝国」
  の興隆を講じられた長田先生の講義を通じて、トマス・ホッブス
  の大著「リヴァイアサン」の世界に誘われました。長田先生の学
  識に対する敬意を、私は依然として胸底に留めております。しか
  し最近、日本私立大学連盟において不正常な経理が発覚し、財務
  担当常務理事であった長田氏の管理能力が問われている事件を含
  めて、長田先生の大学経営者としての資質と能力、とりわけ重大
  な誤りに対して潔く責任を取ろうとしないその態度には深い失望
  を感じております。

  私は、長田先生ら大学トップが自ら責任を深く自覚され、潔く職
  を辞されることを求めるとともに、理不尽な一時金カット問題を
  解決し、更に度重なる一連の不祥事を招いた立命館の「ガバナン
  ス」のあり方を抜本的に転換すべきことを訴えまして、本公判に
  おける陳述といたします。」