[amp 08-07-11] 国際関係学部教授会声明、法学部教員声明、他

立命館学園教職員の皆様へ

─目次──────────────────────────────────
  1─ 法学部教員声明 2008.6.26
  2─ 国際関係学部教授会・学部長声明 2008.6.24
     特別転籍問題に関する6月20日の理事会決定について
  3─ 特別転籍問題に関する学生、院生への産業社会学部教授会アピール 2008.7.1
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 6月20日の一般理事会での不適切な幕引きは、多くの教授会を
  激怒させたうようです。翌週に、教授会声明やそれに準ずる声明
  がいくつか出ています。教職員組合のサイトにほぼ全部が記載さ
  れていますが、教授会としての意見表明である国際関係学部の
  6/24文書【2】、教授会声明に準じる法学部教員6/26声明【1】は
  歴史的文書と思いますが、初めて公開されたようです。こういっ
  た各学部教授会のメッセージが10日も経てようやく全学園の構
  成員に公開されるという状況は何とかならないものでしょうか。
  なお、産業社会学部は教授会の名で7月1日に学生と院生に対し
  メッセージ【3】を発しています。今回の特別転籍問題に深くかか
  わる総合理工学院では、転籍を追認し同時に転籍応募締切(4/7)
  の延長はしないことを確認した4月8日の第一回教授会以降は代
  議員会しか開催されておらず7月22日の定例教授会での審議は
  全学園から注目されているかも知れません。

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 特別転籍に関する衣笠の各学部の学生自治会大会(出席者千名規
  模)で種々の声明(いくつかは組合教職員サイトに掲載されてい
  ます)が採択され、多くの学生自治会が学園トップの退陣を求め
  ました(常務会と常任理事会の区別をしていない声明もあり、も
  う少し勉強して欲しいとは思いますが)。それに対する報復措置
  でしょうか、学友会費徴収代行(と、たぶん、入学時の入会手続
  き代行)廃止を、今週の常任理事会は学部長理事の反対がある中
  で決定したそうです。反対があったのですから投票を経て決定し
  たはずだと思いますが、その票数を公表すべきと思います。

 大学が学生自治会会費徴収代行をやめ、それと同時に、入学時の
  学生自治会入会手続き代行もやめたため、学生自治会が即座に消
  滅した事例を見たことがありますが、同様な事例は多いと推測さ
  れます。大多数の学生と学友会の間にある大きな溝は重い問題で
  すが、それは学友会が消滅しても良いということにはならないよ
  うに感じます。

 ーーーー 

  私大連盟の不適切支出に関する前号の記事に関連して、ある方か
  ら次の指摘がありました。それは、長田理事長が私大連盟に役職
  辞任を申し出た6月12日( UNITAS Hot news 166 参照)は文科
  省が私大連盟の不審な会計処理を再調査した6月9日・10日
  ( 読売新聞7/4参照 )の直後である点です。中央教育審議会大学
  分科会臨時委員、大学基準協会会長等の辞任届けが6月12日前
  後であったとすれば偶然の一致かもしれませんが、李下に冠を正
  してしまった以上、私大連盟の不適切支出の責任を回避するため
  に先手を打った、という批判は不可避です。

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 │立命館大学法学部教員声明   2008年6月26日
   https://j-union.com/-/rits-union/file/html/open/appeal-law.pdf

   去る6月4日、学校法人立命館は、生命科学部における特別転籍
   措置の不適切さを文部科学省から強く指摘され、私立学校振興・
   共済事業団により、平成20年度経常費補助金の25%減額が決
   定された。この結果について、本学をはじめ立命館学園全体が社
   会からの信頼を著しく損なったことを、真摯に受け止めなければ
   ならない。とりわけ、高等教育・研究機関に相応しい公正さや品
   格を求められている本学についていえば、今次の結果は、大学と
   しての社会的責任に背くものであると言わざるを得ない。

   このような事態に至った責任の一端は、法学部教授会にもある。
   すなわち、特別転籍が入学者選抜の透明性・公平性を欠くという
   問題性を強く意識することができず、転籍を追認した教授会もそ
   の責めを免れない。在学生、そして転籍学生に対する責任を、教
   授会構成員である我々一人ひとりが自覚し、今後、高等教育機関
   の構成員に相応しい姿勢を示していく所存である。

   そのうえで我々は、理事長・総長をはじめとする学園執行部に対
   し、事態の解明に向けて、また今後同様の問題が生ずることの無
   きよう、特別転籍にかかわる詳細かつ精確な事実を学園全体に対
   して明らかにするよう求める。とりわけ、特別転籍を判断する過
   程での意思決定のあり方に関しては、学園内外で強い疑念がもた
   れている。中でも、予め結論を先取りし、教授会等の教学機関に
   形だけの審議を急がせた学園執行部の姿勢は問題である。その点
   に関わる事実経過、実質的な意思決定の契機、および実質的な意
   思決定の権限と責任の所在を明らかにし、再発防止に向けた適切
   な検証が可能であるように、必要な情報すべての誠実な開示を学
   園執行部に対して強く要求する。文部科学省および 私立学校振
   興・共済事業団による前述の決定においても、立命館の「学校法
   人としての管理運営」が「適正を欠いている」ことが本質的な理
   由となった点に鑑みれば、なおさらのことである。

   我々は教育に携わる者としての初心に立ち返り、大学のもつ崇高
   な社会的使命を改めて自覚し、ただちに信頼の回復に取り組んで
   いく所存である。そして、この取り組みの成否は、学園全体が思
   いをひとつに合わせ、未来に向けた大胆な自浄努力ができるかど
   うかにかかっている。だが、全学の思いが現在の学園執行部のも
   とに一丸となって結びつくかは、甚だ疑問である。

   転籍問題が発覚して以降の学園執行部の対応は、当事者意識が極
   めて乏しく、社会常識の欠如を人々から指弾されてもやむを得な
   いものであった。第一に、転籍問題に関与した学園執行部メンバー
   を委員の大半とする「特別転籍に関する検証委員会」の人員構成
   や、その結果報告の内容が自己弁明的なものにととまっているこ
   と。第二に、特別転籍についての総長の社会的説明が二転三転し
   ていること。第三に、当初の事態の発覚後も特別転籍の募集が続
   けられ、なおかつ、この募集延長が報道機関を通じてはじめて明
   らかになったこと。第四に、転籍問題から今後への教訓を引き出
   すための全学的な議論の機会を保障することなく、幕引きをはかっ
   たこと。

   今回の特別転籍の件にも如実に表れているように、教学優先の原
   則をなおざりにして経営主義的な方針を強引に押し通そうとする
   学園執行部の姿勢は、教育研究機関としての本来の姿を忘れ、社
   会や学生から期待される大学のあるべき方向性をもはや喪失して
   いると言わざるを得ない。

   以上、我々は、今後極めて厳しい状況において学園を担う上で不
   可欠な信頼関係を、残念ながら現在の学園執行部との間に見いだ
   すことはできない。問題は、コンプライアンスの確立という観点
   からの単なる管理運営の見直しに矮小化できるものではない。新
   たな体制のもと、学園の信頼を回復し、民主的な大学創造を推し
   進めることを、我々はここに決意するものである。

                             以上

   ※ 2008年6月17日、特別転籍問題をめぐる臨時の法学部・
   法科大学院連合教授会が開催され、そこでの議論を受けた同日の
   法学分教員集会での討議をふまえて本生命の草案が作成された。
   6月24日、法学部教授会に先立って開催された法学部教員集会
   において、同草案が審議のうえ決議された。
    法学部教授会に所属する教員全57名中、6月24日の教員集
   会に出席した者は46名、本声明への賛成者は以下の43名、そ
   のほか、反対1、保留2であった(なお、教員集会に参加できな
   かった教員の中からも、その後3名の賛成者があり、以下に含め
   たことを付記しておく)。

  赤澤史朗  安達光治 石橋秀起 石原浩澄 臼井 豊 宇野木洋 
  大平祐一  岡野八代 葛野尋之 倉田 玲 倉田原志 小堀眞裕 
  小山泰史  佐藤敬二 佐藤 渉 須藤陽子 徐  勝 高橋直人 
  竹濱 修  竹治 進 多田一路 谷本圭子 田村陽子 出口雅久 
  遠山千佳  徳川信治 徳久恭子 中島茂樹 中村康江 浪花健三 
  西村めぐみ 二宮周平 樋爪 誠 堀 雅晴 本田 稔 正木宏長 
  松尾 剛  宮井雅明 宮脇正晴 村上 弘 望月 爾 本山 敦 
  山田 希  山田泰弘 山本 忠 渡辺千原 (五十音順)


 ┌2───
 │特別転籍問題に関する6 月20 日の理事会決定について
   https://j-union.com/-/rits-union/file/html/open/appeal-ir-kyojukai.pdf
                           2008 年6 月24 日 国際関係学部教授会
                                           同 学部長 高橋 伸彰

 1. 6 月20 日 の理事会において、特別転籍問題とそれに伴う文部
  科学省の補助金削減処分に関する立命館大学の見解および理事に
  対する処分が決定された。理事会決定は、「学校法人立命館と立
  命館大学の刷新を図っていく」決意を述べており、その方策の一
  つとして、コンプライアンスの実行のための学外有識者を加えた
  委員会の設立をあげている。また、それとは別に,ガバナンスの
  見直しのための学内委員会の設置も予定されている。

  国際関係学部は,1993 年度に2 名の特別転籍の送り出しを行い、
  1999 年度には政策科学部から19 名の特別転籍を受け入れるなど、
  特別転籍に深く関わってきた。また,今年度の生命科学部での特
  別転籍の実施について承認を求められた際に、明確な意見表明を
  行わなかった。これらの機会に際して教育機関としての立場を貫
  徹できなかったことについて、教授会として、深い反省を表明す
  る。

 2. 理事に対する処分の妥当性についてはさまざまな見解があるが、
  今回の対応と処分に対する社会的評価は、最終的には、本学が具
  体的にどのような刷新の努力を行っていくかによって決まること
  となるであろう。今や本学の動向には社会の厳しい目が注がれて
  いる。本学がその社会的責任を遂行し、教育研究機関としての信
  頼の回復をはかるためには、今回の問題で厳しく批判された、学
  園の拡張やそのための資金の獲得を半ば自己目的的に追求する傾
  向を改めるとともに、そのような傾向を助長してきた学園のガバ
  ナンスのあり方についても,抜本的な見直しを行わなければなら
  ない。

  「大学人に相応しい行動倫理に基づく対話と討論を重視し、オー
  プンな討議それ自体の保証と旺盛な政策論議への参加を促す組織
  運営の努力を行っていく」「真理を探求する場、人間形成をおこ
  なう場、教育研究を通して社会に貢献する場として学園を活性化
  させるための努力を行う」という決意を実践し、教育研究優先の
  原則に立ったガバナンスを確立してゆくためには、さしあたり、
  以下の点が重要である。

 (1) 特別転籍問題に関して、学生・教職員に対する説明と謝罪の場
  をできる限り速やかに設定すること。またその場においては、大
  学からの一方的な説明だけにとどめず,出席者(とりわけ学生)
  とのていねいな対話を行うこと。

 (2) 設置が予定されている二つの委員会で、理事会の運営に関わる
  すべての問題について徹底した検討を行うとともに、その検討結
  果について全学討議の機会を保証すること(ガバナンスに関する
  学内委員会は、学部長理事中心の構成とすべきである)。

 (3) 教学優先の原則を貫くため、教学問題における学部長理事およ
  び各学部教授会の役割の重要性を再度確認し、「学部長会議」を
  常任理事会における教学問題の正式な議決機関に位置づけるなど
  の具体的な制度改革を行うこと。

 (4) 常任理事会メンバーでない理事が「常務会」に常時出席して影
  響力を行使するという不正常な事態をなくすこと。常任理事会の
  議題設定手続きを明文化し、「常務会」に代えて,規程に定めら
  れた運営機関を設置すること。

 (5) 大学財政の運営における公開性・透明性を強化し、教育研究上
  の意義が不明瞭な支出については大胆な見直しを行うこと(これ
  は15 億円の補助金削減処分が学生や教職員の教育研究・生活条件
  の悪化につながらないようにするための保証ともなる)。

 (6) 常勤監事の選任に際しては、監事の理事会からの独立性の確保
  に特段の注意を払うこと。監査制度の強化が教職員のオープンな
  討議を萎縮させることにつながらないよう、内部監査規程につい
  て改めて見直しを行うこと。

  本学部は、常任理事会に対して、これらの課題の遂行において必
  要なリーダーシップを発揮するよう強く要請するものである。

  以 上


 ┌3───
 │特別転籍問題に関する学生、院生への産業社会学部教授会アピール
   https://j-union.com/-/rits-union/file/html/open/appeal-ss-kyoujukai.pdf

            2008年7月1日 産業社会学部教授会

  学生、院生の皆さん

 6月4日、文部科学省より学校法人立命館に対して、生命科学部の特別転籍
  と関わり、今年度の私立大学等経常費補助金を25%(役15億円)減額す
  る処分が下されました。学生、院生のために日々働いている教職員にとって、
  この度の処分は誠に残念でなりません。15億円という額は産業社会学部に
  おける学生役1200名から1500名分の学費に相当する莫大なものです。
  金額だけの問題ではありません。特別転籍問題から生じている事態は、新聞
  報道等にも見られるように、立命館大学(院)での学びと成長に期待を膨ら
  ませ、正課、課外活動、進路就職活動の領域で活躍・奮闘している学生、院
  生の努力に冷水を浴びせたばかりでなく、卒業生を含め、大学、学園に対し
  計り知れない不名誉と損害を与えています。

  そもそも特別転籍は入試の公平性の観点からみて不適切な措置でありました。
  産業社会学部は過去になされた特別転籍の折に反対の意見表明を行っておら
  ず、教授会として深く反省しなくてはなりません。同時に、文部科学省は今
  次の決定に際して、特別転籍に対する教育的合理性の欠如とともに、「学校
  法人としての管理運営も適正さを欠いている」と結論づけています。法人の
  管理運営の不備は学部の範囲を超えるものではありますが、学生、院生そし
  てご家族が抱いたであろう憂慮の念に思いをはせるならば、適正さを欠いて
  いる法人の管理運営の不備は学部の範囲を超えるものではありますが、学生、
  院生そしてご家族が抱いたであろう憂慮の念に思いをはせるならば、適正さ
  を欠いている法人の管理運営を正常なものとするために教授会としても力を
  発揮しなくてはならないと考えています。

  産業社会学部教授会は6月17日の教授会で特別転籍に関する問題を長時間
  にわたり審議しました。また、教授会終了後の教員集会では教員団声明を作
  成することで合意し、学外研究者や全学役職者を除く教授会構成員の9割近
  い75名の総意により6月17日付けで「生命科学部特別転籍問題等に関す
  る産業社会学部教員団声明」を策定いたしました。

  以下のアピールは特別転籍問題をきっかけに生じている事態を踏まえ、産業
  社会学部教授会として学生、院生の皆さんに伝えておきたい事柄を記したも
  のです。

 1.学生、院生の学びと成長のために力を尽くします

  なによりも、産業社会学部教授会は教職共同の観点から事務局とも連携し、
    学生、院生の学修に関する種々の要求に対して真摯に耳を傾け、よりよい
    授業、研究指導、進路就職支援等の促進に向けて引き続き力を尽くしてい
    きます。

 2.よりよい大学づくりに向けて学生、院生との協力共同関係を大切にします

    立命館大学は平和と民主主義の教学理念に基づいて大学づくりに邁進して
    きましたが、その際、大学づくりの重要な担い手として学生、院生を位置
    づけ、全学構成員自治の名のもとに大学(院)の教学を発展させてきまし
    た。全学協議会、五者懇談会、研究科懇談会等は大学が学生、院生の要求
    を真摯に受け止めながら課題を確認していくうえで欠かせない場となって
    います。産業社会学部教授会は学生、院生を大学づくりの重要な担い手と
    して位置づけ、学生、院生との協力共同を大切にしていきます。

 3.法人ガバナンスの適正化に向けて力を尽くします

 「立命館憲章」では、学園の運営にあたり、立命館は「自主、民主、公正、
  公開、非暴力の原則を貫き、教職員と学生の参加、校友と父母の協力のもと
  に、社会的連帯を強め、学園の発展に努める」ことが謳われています。産業
  社会学部教授会は、理事会が「立命館憲章」の精神を踏まえ、教学優先の立
  場に徹するよう学生、院生とも連携して力を尽くしていきます。」