[amp 08-06-27] 間断なき学部新設政策、他

目次
 1─ (京都6/21) 立命大転籍 「学生軽視」背景に/執行部対応へ不信感も
 2─ スポーツ健康科学部の意見集約結果より
 3─「リコール理由」案(ver 08-06-24)
 4─ リコール投票に付せられた「理由」より
 5─ リコール投票サイトでの「発言」より
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立命館大学教員のみなさま
Cc:学園のみなさま

  スポーツ健康科学部新設の提案書に対し全学の意見が集約されま
  した。大半の学部や研究科や部が、提案の粗雑さと拙速を多面的
  に指摘し、深い危惧を表明していますが、常任理事会は、各意見
  集約の冒頭にあった、「趣旨はわかる」等の儀礼的文言を抽出し
  て並べ、学内の合意は概ね得たとし、2010年の新設に向けて
  予定通り計画を進めるため来週水曜日に承認する予定です。種々
  の危惧(例[2])に対しては、短いコメントを付加するだけ(例え
  ば新設に膨大な資金が必要なことは他学部の教学資源を圧迫する
  という危惧に対しては「さらに詳細な財政試算を行っていく」と
  答えるのみという調子)で済ませており、全学の多くの人が多く
  の時間を割いて吟味して気づいたことの指摘を軽視し「教学軽視
  経営優先」の大学運営が何事もなかったかのように進行していま
  す。

  実は「新学部増設」を絶え間なく行う意思が、学生軽視[1]を指摘
  された特別転籍「制度」を生んだということを、学園幹部はどこ
  まで認識されているのでしょうか。

  検証委員会報告書を見ると、過去の特別転籍の大半は、定員超過
  率が補助金カットとなるレベルには全く達していないにもかかわ
  らず、新学部設置延期の可能性があるレベルとなったときに行わ
  れています。特別転籍制度導入の主動機は新学部増設のペースが
  遅れることを回避するためであったことは明らかです。今回の特
  別転籍では次年度の新学部開設計画がなく「補助金カット」とな
  る基準を越えてしまったことが主動機であったため、事の本質が
  影に隠れていますが、「学生軽視をもたらした経営」の正体は、
  絶え間ない新学部増設を推進する学園政策にあった、ということ
  ができます。

  従って、今回の事件で立命館学園が問われていることの実質は、
  絶え間ない学部新設政策を転換する意思があるのかどうか、とい
  うことだと言っても良いほどです。しかし、教学的妥当性につい
  て全学的疑義があった「スポーツ健康科学部」を経営的観点から
  2年後に新設することを間もなく決定を予定していることは、政
  策転換の意思が学園幹部にないことを示しています。

  約15億円の経常費補助金カットのダメージを、何年爪に火を点
  せば取り戻せるのかと全教職員が暗然となっている時に、学園内
  の一部の人たちは、少なくとも40億円が必要という新学部を能
  天気に性急に新設しようとしている有様は、(学費と補助金が原
  資の)立命館の資産は一体誰のものなのですか、と問いたくなり
  ます。一部の人が、形だけの「意見集約プロセス」の手間をかけ
  るだけ、実質的には恣意的に動かせる学園資金の大きさに圧倒さ
  れています。

  絶え間ない新学部増設を他大学の後追いになっても続けている経
  営部門のマネリズムが立命館大学の急速な転落をもたらすことは
  必至です。しかし先週の6/20一般理事会は学園幹部の処分を減給
  処分にとどめました。審議中に学外理事の方々は別室で30〜4
  0分審議した後に、常任理事会が提案した処分案を認めるが、処
  分基準が明らかでないことと理事の懲戒規程を作るべきだという
  二点のコメントを附しておきたい、と述べたそうですが、学園の
  公的システムとしては、学園幹部が続投することが決まりました。
  しかし、学園幹部の続投の意思表明には、管理運営の改善やコン
  プライアンスの確立という的外れな文言が並ぶだけで、学園政策
  転換の必要性についての認識は全く感じられませんでした。

  入試政策のために全国を回っている教職員は、受験生の父母や教
  育関係者の意識の中から「立命」が消えつつあることを肌で感じ
  ています。政策転換の意思を立命館大学が持っていることが外部
  に明確に伝わわらない限り、来年2月の入試の結果は悲惨なもの
  となる状況です。従来の学園政策を断固継続する意思をもってお
  られる前理事長(現相談役)と現理事長が、学園を今後も主導す
  ることになったことが社会に与えたネガティブメッセージは致命
  的です。トップが変わっても何も変わらない、と言う人もいます
  が、ご両人が学園を去らない限り何も変わらないことは明らかで
  す。

  理事会の決定は、ご両人の名誉と学園の名誉のために、自らの意
  思で立命館学園を去る機会を用意した、ということだと感じてま
  す。そのことに気づいていただくために、学園内から辞任を求め
  る声が高まっていくことが、ご両人にとっても学園にとっても、
  重要だと思っています。一つの方法として、先週から「リコール
  投票実験」http://ac-net.org/rtm/recall (学外からは
  id,passwd: rtm) を行っています。投票理由[4]や、発言[5]をい
  くつか紹介しました。より精密なものに改善して「正式に」実施
  することも検討しています。趣旨[3]に賛同され、呼びかけ人に加
  わっていただける方は、発行人宛にご連絡をよろしくお願いしま
  す。

 ┌1───
 │京都新聞 2008.6.21
   立命大転籍 「学生軽視」背景に/執行部対応へ不信感も
   http://ac-net.org/rtm/recall/doc/080621-kyoto-shinbun.html
   http://ac-net.org/rtm/recall/doc/080621-kyoto-shinbun.pdf

  (解説)立命館は特別転籍問題で、理事長、総長らの処分を決め
    た。15億円以上の補助金減額も「授業料値上げはしない」と
    学生への配慮を示すが、問題の根本はこれまで学生を軽視し、
    学内の異論を封じ込めてきた執行部の対応にある。学生、教職
    員、そして社会から失われた信頼を取り戻すのは容易ではない。

    立命館は当初、「学生の教育条件(環境)確保のため」と特別
    転籍を説明したが、常任理事会がまとめた学内文書は定員超過
    の問題点に学生の不利益を明記していなかった。文部科学省の
    指摘どおり、補助金不交付を逃れる便法として繰り返されてき
    たのは間違いない。

    検証報告書は、学生を多様に評価する入試による「不本意入学」
    の多さも特別転籍の背景としたが、「複雑入試で受験者を増や
    している」と教育関係者から批判がある。今回の特別転籍で、
    「立命館は教育より経営優先」の印象が強まったことは否定で
    きない。

    キャリア教育や留学プログラムへの高評価など、関西私大の中
    でも全国レベルで学生の吸引力がある。しかし立命館大の「学
    風」にあこがれて入学する学生が、今どれだけいるのか。学生
    たちは総長自らの説明を強く求めている。学生の不信感に大学
    は危機感を持つべきだ。

    一方、教職員からは執行部退任要求が出ている。執行部が「な
    ぜ転籍実施を決めるときに意見を出さなかったのか」などと反
    論するが、川本相談役らの退任慰労金倍増決定(今年3月)の
    撤回要求を封じ込めるなど、この間の執行部の強硬対応こそ学
    内議論が機能しない大きな理由だ。

    特別転籍の舞台となった生命科学部などの新設や大阪府南部の
    高校との関係強化など、執行部は拡大路線を進めるが、立命館
    が目指す学園像について学内全体で一致できていないのは事実。
    川口総長は会見で、「コンプライアンスだけでなく、学園の管
    理運営のあり方まで学園内で議論したい」としたが、過去の責
    任を不問とした今回の処分をみても、風通しのよい学園づくり
    への道筋は見えてこない。(社会報道部 稲庭 篤)

 ┌2───
 │「スポーツ健康科学部(仮称)・スポーツ健康科学研究科(仮称)
   の基本構想」の意見集約結果について」(6/11常任理事会)より

   ○産業社会学部の意見より

  「カリキュラムのあり方と関連して、特に専門科目におけるプロ
    グラム内容が拡散し過ぎており、これで本学の強みを十全に発
    揮できるのか、そもそもこれだけ広い領域の科目担当者を実際
    に確保できるのか、といった発言も教授会でなされた。」

   ○政策科学部の意見より

  「特例的な授業形態による不均衡の防止

    スポーツ健康科学部(仮称)の教育システムの特色(26頁)
    では、学生の国際大会への遠征や課外活動に対応したオンデマ
    ンド型授業やクオーター制の導入が提起されているが、これに
    ついて、他学部での授業形態との整合性をどのようにはかるの
    かが明らかでない。課外活動はスポーツにかぎらず、多くの学
    生が勉学の時間の合間を使って進めているのであり、当該学部
    の学生にのみこのような措置をとることは、学部間の均衡を欠
    くことになり学生間での不公平感を招来する。当該学部のみに
    対する特例的な授業形態は慎むべきであり、またこういった形
    態の授業を各学部へ広げる意向であれば、新学部創設に先立っ
    て各学部での議論が必要である。」

 「慎重な収支計画の策定

    表30(42頁)に挙げられている必要施設・設備(しかも、
    「他大学との比較において優位性を持った施設・設備」)をみ
    れば、学園として膨大な投資が発生することは必須である。ま
    た、新たに招聘する専任教員によっては、必要となる人件費も
    高額になる可能性もある。そのような財源措置が可能なのか、
    それは既存の学部・研究科の研究・教育、さらには教職員への
    人件費を含め、削減によるマイナス影響ははないのかが強く懸
    念される。本構想の具体化へ向けては、慎重な収支計画を早急
    に検討すべきである。」

 ○文学部の意見より

   「学園全体に対するネガティブな影響はないのか

     スポーツ系の学部を擁する大学では、ややもすれば「勉強しな
     くて良い、勉強ができない」学部を持つことによって、他学部
     の学生にとっての修学意識の低下を招いたり、学生同士の連帯
     感を損なったりする現象があるという指摘が、教員の前任校・
     出身校での体験からなされた。」

  「入試に対するネガティブな影響はないのか

     文学部では、スポーツの特別選抜入試において、教員のおこな
     う面接が全く形式的なものとなっていて、我々が大学教員とし
     ての見識を持って高校生を面接・評価できるものとなっていな
     いことに関して、多くの教員が違和感と不満を持ち続けてきた。
     つまり、大学のクラブと高校の間ですでに「合意」ができてい
     る信頼関係を、「単なる一教員」の意見で破壊してはいけない
     という「指示」が面接教員に対して出されているからである。
     今回、このような学部ができることによって、大学としての選
     抜を形骸化した入試がますます強固なものとなる可能性が高まっ
     たことに対し、大いなる危惧を覚える。」


 ┌3───
 │「リコール理由」案(ver 08-06-24)

  「6月20日に立命館幹部は記者会見し、特別転籍実施は経営を
    優先し教学を軽視したものであったことを認め謝罪し幹部の減
    給処分を発表した。

    しかし、この不祥事は、経営的判断を教学的判断に優先させる
    学園幹部の確固とした信念の帰結として生じたものである。1
    千億円に近い金融資産を蓄えながら教室等の教学施設費、食堂
    等の厚生施設費、人件費・図書費等の経常的教学経費を可能な
    限り節減する一方、学園財政への負担が極めて大きい新学部増
    設を、明確な教学的意義がなくとも、経営的視点からから次々
    と行っている財政政策は、本学園の日常的教学活動から物的資
    源・時間的資源を奪い、教学現場を担う教職員の徒労感は日々
    増大し志気の消散は止めどない状況である。当然ながら、学生
    にとっての「学びの環境」の劣化も進行している。

    十数年来の外的発展過程が、教育研究部門の経営部門への隷属
    化なしには実現しなかったことも学内では周知のことである。
    特に、2005年の私学法改正に便乗して理事長権限を決定的
    に強めた時より利益を優先する露骨な活動が始まり、学園外の
    当事者からは憎しみを買い、事情を知る第三者からは顰蹙を買
    いはじめていたが、この事件を契機に、経営優先学生軽視の大
    学、という評価が日本社会全体に広まってしまった。高い水準
    を志す大学としては致命的ともいえるこの評価を覆すことがで
    きる日がくるのかどうか、立命館大学構成員は呆然とした思い
    の中に日々を送っている。

    この十数年の量的学園発展で得たものと失ったものとを見定め、
    「改革のフロントランナー」立命館が行った「大学改革」を真
    似するかのように日本の諸大学が東奔西走する中で、立命館が
    教学と経営の新しい調和を見いだし日本の諸大学に提示するこ
    とができれば、失った評価を上回る高い評価を得るに時が来る
    であろう。

    しかし、ここまで偏った教学と経営のバランスを適正なものに
    戻すのは容易なことではなく、重点を極端に教学側に置かない
    かぎりバランスが回復する見込みはない。学園の急激な量的発
    展過程の中で経営部門への教学部門の隷属化をもたらし、学校
    法人としての質を今回のような不祥事を産むほどまでに劣化さ
    せた前理事長と現理事長との罪は功を上回るものであり、今後
    も両者が大きな影響力を持ち続ける限り、教学と経営のバラン
    スを回復することは不可能であると判断し、われわれは、川本
    前理事長(現相談役)と長田理事長の退陣を求める。それ以外
    に学園再生の途をわれわれは知らない。」

 ┌4───
 │リコール投票の際に付せられた「理由」より
   http://www.ac-net.org/rtm/recall/

   これまでの集計:
    * 川本相談役辞任要求:111 票
    * 長田理事長辞任要求:111 票

  [147]  (相談役と理事長の辞任を要求)

   立命館の教職員が営々として築いてきた本学園に対する信頼・評
   価を台無しにし、誇りを傷つけた責任はきわめて重い。それ相応
   の責任をとるのが首脳部のあり方というものだ。現場の教職員の
   意見を聞かず、経営優先、トップダウンで暴走してきたことの矛
   盾は、特別転籍だけでなく、本学園の運営のあちこちに噴出し、
   組織の劣化が深刻化しているのではないか。もっと深いところか
   らの「検証」が必要だが、現在の首脳部にそれを求めるのは無理
   である。現場の総意を代表する首脳部に交代してもらう他はない。

  [129] (相談役と理事長の辞任を要求)

   相談役と理事長の退任は、学園の再出発と再生のために不可欠の
   プロセスだと考えます。この二人を学園から排除しないかぎり、
   今回の問題を生み出した学園経営の構造を根本的に改めることは
   不可能です。あわせて、相談役職を設置時に遡って撤廃し(寄付
   行為をもとに戻し)、(規程の根拠を持たない)常務会を今後決
   して開会しないことを強く要求します。

  [121] (相談役と理事長の辞任を要求)

   二人ともに大学運営は、我々大学運営のプロに任せ、アドミニス
   トレーター(一般事務職員)に任せ、と公言して来たが、その3
   者が教育、研究の現場の実態を全く知らないまま、自らを過信し
   独走してきた結果が、こんにちの不祥事をもたらしたと言える。
   大学運営のプロやアドミニストレーターが本物ならば、決してこ
   うはならなかった。

   学園に恨みを持って卒業する学生や、砂を噛む思いで、退職する
   教職員を減らし、(中略)毎日、黙って学舎の無駄な冷房をきり、
   公費の無駄遣いに気を配り、悩む学生、若者に愛の手を差し伸べ
   る教職員が一人でも増える学園にしようではありませんか。法人
   が学生、教職員を大切にすれば、学園は必ず良くなります。

  [111] (相談役と理事長の辞任を要求)

   川本相談役は、長期に亘る理事長職の間に、然るべき「後継者」
   を養成出来なかったばかりか、教職員の信頼を得られないような
   人事に走り過ぎたこと。また、唐突な「退任慰労金」を取得した
   ことは、完全に信頼を失墜させた。長田理事長は、総長時代から
   数々の暴言・失言を繰り返し、学園トップとしての「品格」を完
   全に喪失させてきている。そして、「特別転籍問題」においては、
   事の重大性についての「自覚」さえも感じさせない。

  [96] (相談役と理事長の辞任を要求)

   川本氏については、独断的、専横的な学園運営に対する責任。教
   学を軽視し、一般教職員への財政上、労務政策上の締め付けと抑
   圧にたいする責任

   長田理事長については、数々の暴言、理事長としての品格の欠如、
   能力を疑うような判断による学園政策に対する責任

   なお、改悪された学長規定によって選出され、また就任後も当事
   者意識がなく、無責任な発言を繰り返している川口総長に対して
   も辞任を求める

  [88] (相談役と理事長の辞任を要求)

   二人の辞任も当然ですが、二重三重に学生や父母をだまし続けて
   いる学費システムについての懇切丁寧な説明を父母や学生にする
   こと、そして、そういう詐欺的なシステムをやめることを求めま
   す。

 ┌5───
 │リコール投票サイトでの「発言」より
   http://www.ac-net.org/rtm/recall/

  (5) 有言不実行を批判 2008.06.23

    業協では、いつも川本氏は「学園運営に責任を持つのは理事会
    であり組合ではない!」を最後に叫び、教職員の声を封殺して
    きた。著しく学園運営に批判のある今、潔く責任をとってもら
    いたい。教職員のモチベーションにかかわる。研究費の時もそ
    うだったが、川本氏だけ、いつも責任を取らないのはいかがな
    ものか。常任理事会メンバーも、まだ川本氏の顔色を伺ってい
    るようでは情けない。

  (4) 相談役職の撤廃 2008.06.23

    私たちは決して2007年1月26日の理事会・評議員会決定を忘れて
    はいけないと思います。
    http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/koho/headline/info/2007/01/yakuin.htm
    「相談役」を新設した理由は、このときの人事で一気に若返り
    を図ったので前理事長が「理事への助言、情報提供」をする必
    要があるというものでした。今回の一連の事態は、相談役によ
    る助言や情報提供が十全に機能していないということを端なく
    も示しています。このことをもってしても、「相談役」職は即
    時廃止すべきです。

  (2) 学外公職は理事長の私物ではない 2008.06.21

    学外の諸公職は、形式的には個人の職とは思うが、立命館学園
    理事長の肩書きで「配分」されているという性格が強い。理事
    長職に固執して学外公職だけを辞任した結果、立命館学園とし
    て学外への発信する機会を失ったことは学園の発展を真に考え
    ているとすればあり得ない行動である。学外公職を辞任した以
    上、理事長職も辞任しなければ筋が通らない。

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│ログ:http://ac-net.org/rtm/amp/32.html