[amp 07-08-10] 教職員組合執行委員長から「部次長一同」への回答

平成19年8月10日(金)

立命館学園教職員 各位

「職員部次長一同」名で、職員部次長有志が教職員組合委員長へ送付した要 請書(http://ac-net.org/rtm/No/243)が学園広報で全構成員に紹介されました ので、組合のメールニュース (2007.8.7) でリンクが公開された組合委員長回 答書の全文を転載いたします。

ゆにおん No 61 (2007.8.3発行) より転載

https://j-union.com/-/rits-union/file/html/open/07unionNo61.pdf

                                           2007 年8 月3 日

  職員部次長の皆様
				       立命館教職員組合連合
				       執行委員長 稲葉和夫


		       要請書に対する返信

  7月20日付の部次長の皆様からの私宛要請書を拝読いたしました。

  私は、過去4 回組合の役員経験(1988年執行委員、1995年委員長、
  2000年副委員長、2005年職場委員)の中で、現在部次長職に就かれ
  ている幾人の方とは一緒に組合の仕事をさせていただきました。
  ご存知のように当時の活動は学生・院生を中心に据えて大学の将
  来を一緒に考え、研究教育発展のための条件を整えていくという
  学園創造であったはずです。そのような営みは今も当時とは変わ
  ることなく、そのような意識で今年度も役職についています。組
  合の理事会に対する論調が変わらざるを得なくなったのは、近年
  の理事会トップ層による意思決定の変容にあります。その最も端
  的な一例が、今年3月23日一般理事会における「退任慰労金倍増」
  の決定です。学費や、税金を原資とする多額の補助金によって運
  営されている私学において、このような決定を行った理事会に対
  し、社会的説明責任を果たすよう繰り返し求めてきました。そし
  て、退任慰労金の「返還」ではなく、退任慰労金倍増という理事
  会決定を「撤回」するよう、繰り返し要求してきました。しかし、
  これまでの理事会による説明は、私達の疑問を解かないばかりか、
  ますます深めるものでしかありませんでした。

  そのような状況の中で、今回の決定に対して学生・父母に対して
  事実を知らせることは当然のことですし、学生諸君の学生大会で
  の決議文、父母から組合に届いた手紙の内容は物事の本質を的確
  に捉えているといえます。残念ながら、私達が学生・父母を悪戯
  に煽ったかのような指摘をいただいている点は、学生諸君、父母
  の方々の意見、判断がいかにも稚拙であるような見方をしている
  ことになってしまいます。ようやく、学生諸君には7 月21 日付一
  斉メールで総長名での文書が配布されましたが、到底納得のでき
  るような内容とはいえませんし、父母への説明が行われたとも聞
  いていません。

  私に対する「要請書」の中で言及されている匿名電話などの「言
  葉の暴力」は、それがいかなる理由に基づくものであれ容認でき
  るものではありません。そのような事態が一刻も早くなくなるこ
  とを願っています。

  私としては一刻も早く今回の事態に対する納得のいく説明と適切
  な処理が何よりも必要で、これを教訓として学園にとってふさわ
  しい意思決定のあり方をもう一度考え直すことが最も重要だと考
  えます。

  幾つかの民間企業でも明らかなように、社会的にも説明できない
  問題を内部で隠し続け、後に収拾が困難な事態に陥ったケースが
  あった一方、問題をいち早く公表し従業員の努力によって一定の
  時間の経過の後、社会的信頼を回復した企業もありました。学園
  内の出来事を学生・父母に知らせることを通じて社会に知れ渡る
  ことは、一時的に痛みを伴うことは確かですが、今回の問題に対
  して早い時点で適切な処理が行われなかった以上、社会化という
  過程を避けて通ることはできません。私達教職員組合は、問題の
  所在を学生・父母に知っていただき、教職員がともに協力し合っ
  てこの事態を乗り越える努力をすることこそが、私達の責務であ
  ると考えています。

  この間、前理事長(現相談役)が、退任慰労金の中から3000万円
  を学園に寄付する旨の報道がありましたが、退任慰労金問題の本
  質が学園ガバナンスという組織の問題である以上、これで私たち
  の疑問を解消することはできません。退任慰労金を受け取った個
  人の問題ではなく、退任慰労金倍増の決定を行った組織の問題こ
  そ問われなければいけないのです。とはいえ受け取った方々はい
  ずれも学園運営の最終的な決定判断に大きな責任を有している方々
  ですから、学園トップの責任という視点は、それによって曖昧に
  できないことも言うまでもないことです。前理事長(現相談役)
  の自宅に退任慰労金問題について抗議する匿名の電話や手紙が何
  件も届けられる事態となっていることについて、私たちはこうし
  た行為を是認するものではありません。しかし、理事会がこうし
  た抗議の声が寄せられる事態の重さを真摯に受け止め、意思決定
  の責任者として相応しい社会的説明責任を果たすことを求めてい
  きます。

  部次長の方々も今回の退任慰労金について現場の教職員の声を聞
  く機会がありましたら、単に個人の問題ではなく学園の意思決定
  のあり方が問われていることをご理解いただけるはずです。個々
  の職員の現場の状況も知らず、また知ろうともしない部次長は論
  外として、教職員の現場の状況に理解を持ち学園の将来を真剣に
  考えている心ある部次長の方々は、教職員組合の今回の運動をご
  理解いただいていると私達は確信しています。だた、現状の意思
  決定方式の中では、心のある部次長の方々が学園の本来の有様に
  ついて率直な意見・批判をすること自体が非常に困難であるのか
  もしれません。私達は、そのような心ある部次長の方々が、会議
  において率直な意見を出すことができるような風土を作り出すこ
  とこそが、学園の意思決定において真のリーダーシップを発揮す
  ることにつながると考えていますし、そのような方々を支えるこ
  とにいかなる努力も惜しみません。


  今回は、「部次長一同」という肩書きでお手紙をいただきました
  が、理事会事務局を構成されるような肩書きでの要請文は、ご本
  人の善意な意図とは別に、不当労働行為として認定されることを
  危惧していますし、ご本人のご意見も充分に反映されない面もあ
  るかと思いますので、今後、組合役職経験者あるいは元組合員と
  して、個々人の方々と忌憚のない意見交換をさ せていただきたい
  と考えております。
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