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                              第二次公開質問状



                              平成13年6月8日

北海道大学総長
中村 睦男 様


          独立行政法人化問題を考える北海道大学ネットワーク


 公開質問状につき、ご回答ありがとうございました。昨日、全学に報告致しました。
内容を検討致しました結果、新たに質問すべき点が出て参りましたので、再度、質問
させて頂きます。


【前回の質問(1−2)】独立行政法人化の詳細がある程度決まり実質的議論が可能 
な段階となりましたが、学内で議論する場としてどのようなものをお考えでしょう 
か。
【ご回答】「部局長会議および評議会が全学的な議論の場であると認識しておりま 
す。」

【質問(4ー1)】部局長のみによる議論は、法人化問題検討WGの議事録を見る限 
り、 大学運営者の立場から、文部省対策や大学外部の狭い批判意見への応対に終始 
しており、教育・研究の現場の意見や、学生や職員等の種々の立場の視点からの議論 
はほとんどありません。そのような議論を、全学的な議論であるとすることは、大学 
自治に関する認識に重大な思い違いがあるように思います。「部局長会議および評議 
会が全学的な議論の場である」と考えられる理由をもう少し詳しくご説明ください。
【質問(4ー2)】また、仮に「部局長会議および評議会が全学的な議論の場であ 
る」とお考えであったとしても,そのことが先生が総長として、独立行政法人化とい 
う極めて重要な問題について、全学的な議論を喚起「しなくてよい」理由にはなり得 
ないと考えます.全構成員に「各自責任を持ってしっかり考えよ」と訴える方が極め 
て自然ではないでしょうか.そのことにより部局の自治を侵害されたと感じる大学人 
はおそらく一人も居ないと思います.今,敢えてそれを「しない」理由を是非お聞か 
せ下さい.

【前回の質問(2)】法人化についての学内コンセンサスを実際に確認する作業が 
6月12・13日の総会までに終わらない場合には、学内手続が未了として北大の態 
度を保留して頂けるでしょうか。
【ご回答】「これから先も新たな状況の変化が予想される中にあって、本学の法人化 
問題検討ワーキンググループが取りまとめた「法人化問題に関する中間報告」を重要 
な参考資料として活用してまいりたいと考えております。」

【質問(5)】ご存知のように6月1日の理事会後の記者会見で、国大協会長は理事 
会でも配付しなかった個人的文書「要旨」*aを配付し、記者はそれが国大協の文書で 
あるとして国大協が法人化の方針を明らかにしたという趣旨の報道が行いました  
*b。この個人文書は、現在国立大学全体で批判され疑問視されている、特別委員会の 
「法人化の枠組」部分だけを要約したものであり、本学の法人化問題検討ワーキング 
グループによる「法人化問題に関する中間報告」を重要な参考資料として活用した場 
合に到底容認できないものですので、先生は総会で北大学長として当然、国大協会長 
の独断による6月1日の意見表明を国大協のものとして認めないよう発言されるのと 
思っておりますが、その通りでしょうか。もしも、ご発言されるお積もりがないとす 
れば、国大協会長の「要旨」が、本学のワーキンググループの中間まとめの趣旨に照 
らして認められる理由を、ご説明ください。

【前回の質問(3)】学生・院生への説明もなしに、法人化容認を決めることは、教 
員学生間の信頼関係を損ない兼ねないと思います。学生・院生に対する全学的説明会 
を開く御予定はあるでしょうか。
【ご回答】「各部局における議論が先決であると考えております。」

【質問(6)】北大としての独立行政法人化についての考えを各部局で学生・院生に 
説明することは、説明の食い違いが生じ混乱を招くものと思います。また、独立行政 
法人化を直接経験する可能性のあるのは1〜2年次の学生であり、いまだ所属が確定 
していない者も多くいます。先生が北大総長として学生全員に対して全体的状況を説 
明されるのが自然であり先決ではないか、と思いますが、敢えてそれをされない理由 
をお聞かせください。

以上につき、時間が迫っておりますので6月11日(月曜日)までに御回答下さいま 
すようお願い致します。回答は公表させて頂きます。
尚、御回答は、北大ネットワーク世話人の一人である服部昭仁(アドレス、電話番号
は下記に記載)宛にお願いいたします。

(転送時に連絡先は略)

註
*a) 国大協総第57号 2001.6.5
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/601-nagao-doc.html

*b-1) 6/2 Nikkei Net 2001年6月1日
「国立大法人化、外部識者も運営に参加」

 国立大学協会(国大協、会長・長尾真京大学長)は1日、理事会を開き、国立大を 
法人化する際の組織や人事など制度の基本的な枠組みをまとめた。大学の自主性、自 
律性の確保を目指す一方、学外の識者を大学運営に参加させ、国からの予算配分に業 
績評価の結果を反映させるなど、社会の要請にも配慮した内容になっている。今月 
12日に開く国大協総会に諮る。
 国大協の設置形態検討特別委員会がまとめた「法人化の枠組み」は、法人の執行機 
関として学長、副学長などで構成する役員会を設置。重要事項の決定に際しては評議 
会の議決を経ることとし、必要に応じて外部の識者で構成する運営諮問会議に意見を 
求めることとした。役員に学外の識者を加えることも可能としている。
 専攻や学科の改廃は大学の裁量にゆだね、予算の使い道の自由度を高めることを提 
言。教職員の給与も成果・業績を反映させることを求めた。大学の教育・研究の評価 
には、各大学の自己点検を尊重するよう求める一方、国からの運営費交付金の算定に 
は評価結果を反映させる仕組みが必要とした。

*b-2) 6/2東京新聞
「法人化の推進明言
国大協会長、民営化論を批判
 国立大学協会(会長・長尾真京都大学長)は一日、理事会を開き、大学運営に学外 
者の参画を進めることなどを盛り込んだ法人化案を了承した。会見で長尾会長は「国 
立大学が自ら競争的環境を実現する改革を行う決心をしたと言ってよい」と述べ、法 
人化を進める方針を初めて明らかにした。 民営化については「国益を考えると軽々 
しく言うべきでない」と批判しており、今後、法人化を軸に文部科学省との調整が進 
められる可能性が濃厚になった。 法人化案は、国大協の特別委員会がまとめた。十 
二日に開かれる総会で報告される。 長尾会長は「(独立行政法人の枠組みを定め 
た)通則法に比べて、はるかに良い制度設計になった。民営化してはどうかという意 
見があるが、日本全体の学問、教育に大きな損失を招く」と、“民営化論”を批判。 
副会長の中嶋嶺雄東京外国語大学長も「モンゴル語やスロベニア語を国立以外で継続 
的に教えていけるだろうか」と、国が設置する法人になる以外に選択肢がないことを 
強調した。

*b-3) 6/2朝日新聞 朝刊

「国立大学の法人化案まとめる 国大協、運営に学外識者も

 国立大学協会(会長・長尾真京都大学長)は1日の理事会で、国立大の法人化案を 
まとめた。大学運営に学外の識者を加え、教職員に業績給を採用し、基準は各大学で 
定めることなどを提示した。12日の総会で了承される見通しだ。

 国大協は、法人化が、自律性を拡大し教育研究の質を高める契機になりうるという 
考えに立ち、「高等教育への国の財政支出の拡大」「大学の自主、自律性の拡大」 
「社会に開かれた大学」という基本方向を示した。

 行政事務の効率化を目的にした独立行政法人通則法とは別に、国立大学法人法を制 
定して、一般の独立行政法人と異なる法人とするとした。通則法は法人の長は主務大 
臣が任命するとしているが、学長は外部の意見を反映しながら学内の評議会が選考す 
るとした。

 さらに具体的な枠組みとして
 ▽業務、経理を国民に毎年公開
 ▽学長への勧告権を持つ外部識者で組織する運営諮問会議を設置
 ▽専攻、学科など大学の判断で再改編
 ▽教職員の身分は国家公務員型を基本に検討
 ▽職員の任免は学長権限、教員の任用、昇進は教授会の審議に基づき学長が行う
などを提示した。
 一方、収入は国からの資金と授業料などを基礎とするとしており、「民営化」は 
「議論の視野に入っていない」としている。」