==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
Number of access to this page since 2001.6.27...[an error occurred while processing this directive]

http://www.moj.go.jp/SHINGI/000906-1.html

1 法制審議会商法部会第146回会議 議事録 2 3 4 第1 日 時  平成12年9月6日(水) 自 午後1時30分    5                   至 午後3時51分 6 7 第2 場 所  法曹会館「高砂の間」 8 9 第3 議 題   今後の商法改正について 10 11 第4 議 事 (次のとおり) 12 13               議         事 14 15 ● 予定の時間になりましたので,法制審議会商法部会の第146回会議 16 を開催いたします。 17 18  本日は,御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございま 19 す。 20 21  さて,前回,平成12年1月21日の商法部会以降,委員及び幹事に異 22 動がございましたので,新たに委員又は幹事に就任されました方々を御紹 23 介させていただきます。          (委員・幹事の異動紹介省 24 略) 25 26  本日は,事前にお手元にお届けしました商法部会資料番号1の「今後の 27 商法改正について」に基づきまして,今後の商法改正について,見直しの 28 指針,具体的な改正検討事項,及び今後の作業日程等について御審議をい 29 ただきたいと存じます。同資料は,今年4月以降の会社法小委員会におけ 30 る審議を踏まえまして作成したものでございます。 31 32  審議に入る前に,前回の商法部会で御審議をいただき,法制審議会総会 33 で了承されました会社分割法制の創設等を内容とする「商法等の一部を改 34 正する法律案要綱」に基づく商法改正法が,さきの第147回通常国会で 35 成立しましたので,○○幹事から,その間の経緯等について御報告をお願 36 いいたします。 37 38 ● 前回の商法部会で御審議をいただきました「商法等の一部を改正する 39 法律案要綱」に基づく改正商法案,これは要綱に基づいて法律案を作成し 40 たわけでございますけれども,これにつきましては,さきの通常国会にお 41 きまして5月24日に成立いたしました。それから5月31日に公布とい 42 う運びになりました。 43 44  基本的には,要綱に基づく商法改正法案が承認された形でございますけ 45 れども,ただ2点,議員修正がございましたので,その点について御紹介 46 申し上げます。 47 48  1点は,会社分割に伴い,分割会社から新しく設立される会社,若しく 49 は営業を承継する会社に承継されるべき権利義務,これは分割計画書とか 50 分割契約書の記載事項ということで,承継すべき権利義務を明らかにする 51 ということにされておりました。これにつきまして,承継すべき権利義務 52 の例示として,雇用契約というものを条文上に明らかにしたという改正で 53 ございます。 54 55  更にもう1点は,分割に際しまして,分割会社において労働者の意見を 56 聞く機会を確保するという観点から,分割をする会社は,分割計画書等を 57 会社に備え置くべき日までに,雇用契約の承継に関して個々の労働者と協 58 議をすべきものとするという規定が設けられた,この2点でございます。 59 60  これらは,いずれも会社分割に伴いまして影響を受ける労働者の保護を 61 図るという観点から,特に議員修正によって追加されたものでございます。 62 63  それから,さきの通常国会におきましては,もう1点,モントリオール 64 条約について承認が得られましたので,これについても簡単に御説明して 65 おきます。 66 67  これは,昨年5月,国際民間航空機関ICAOが,外交会議を招請いた 68 しまして,そこで採択しました国際航空運送に関するモントリオール条約 69 に係るものでございます。この条約は,国際航空運送規制に関する私法的 70 な規制を内容とするワルソー・システムを整理統合し,近代化するもので 71 ございます。特に重要なのは,旅客が死傷した場合の運送人の責任限度額 72 を撤廃したことでございます。そのほか,本条約は,貨物等の滅失などの 73 場合の運送人の責任等についても合理化を図っておりますが,参考資料7 74 にその内容が出ておりますので,詳細はそれで承知していただきたいと思 75 います。以上でございます。● よろしゅうございますか。何か,質問等 76 ございますか。 77 78  それでは,本日の議題である「今後の商法改正について」の審議に入り 79 たいと存じます。 80 81  まず,商法部会資料番号1の「今後の商法改正について」,及び事前配 82 布いたしました参考資料に基づき,会社法小委員会での審議の結果等につ 83 きまして,○○幹事の方から御説明をお願いいたします。 84 85 ● それでは,御説明申し上げます。 86 87  まず最初に,配布の部会資料の番号1ですが,この取りまとめの経緯に 88 ついて御説明申し上げます。 89 90  政府におきましては,昭和50年6月,会社法改正に関する問題点,こ 91 れは法務省民事局参事官室名で公表いたしましたが,この問題点の公表以 92 降,会社法の全面的な改正作業を続けてまいりました。その間,法制審議 93 会の商法部会におきましては,精力的に御審議をいただき,数次に及ぶ改 94 正に関して商法等の改正要綱案の御決定をいただいたところでございます。 95 96  この商法の全面的な改正作業につきましては,先ほど御紹介いたしまし 97 た会社分割法制の創設を内容とする商法等の改正法が成立したことにより, 98 一部中小会社法制に関する事項等につき積み残しがございますが,当初に 99 掲げられた検討事項のうち,重要な項目については一応の検討を終えたこ 100 とになるのではないかと思います。そこで,会社法小委員会におきまして 101 は,この機会に,これまでの改正の経緯を振り返り,当初,改正検討事項 102 とされていながら積み残された事項,その間に国会における審議に際して 103 立法課題として政府に対する改正要望のあった事項,その他各種団体等か 104 らの要望事項等を踏まえまして,現在の会社法が新しい世紀にふさわしい 105 会社法に生まれ変わるために行うべき会社法制の見直しについて,今後ど 106 のような事項を取り上げて検討していくべきかについて審議を行ってまい 107 りました。 108 109  この間,7月11日には保岡法務大臣から,事務当局に対して,会社法 110 制の大幅な見直しの指示がございました。法務大臣からは,現在の社会経 111 済情勢のもとで企業の競争力の確保,高度情報化社会への対応,資金調達 112 手段の改善,企業活動の国際化への対応などという視点から,会社法制を 113 大幅に見直す必要があるとして,特に次期通常国会への法案提出が予定さ 114 れております社債等の決済制度の見直し及びコマーシャル・ペーパーのペー 115 パーレス化を除き,今後2年,したがいまして平成14年の通常国会への 116 法案の提出をめどとして,法案作成の検討をするようにとの指示がされた 117 ところでございます。会社法小委員会では,法務大臣からの事務当局に対 118 する指示の内容等をも踏まえて審議を行い,今回,本資料である「今後の 119 商法改正について」を取りまとめた次第でございます。 120 121  中身でございますが,まず本資料第1の「基本的な方針」は,ただいま 122 申し上げました法務大臣の指示等をも踏まえ,平成14年の通常国会への 123 法案の提出を目途に,四つの視点から検討を行うこととしております。ま 124 た,社債決済制度の見直し及び短期資金調達制度の整備につきましては, 125 証券取引がグローバル化し,国際的な証券市場間の競争が激化する中で, 126 金融資産の多様な運用及び企業等の円滑な資金調達の場としての証券市場 127 を,より安全で効率的なものにするという観点から,早急な整備が急がれ 128 ております。現在,金融庁と共同して,平成13年の通常国会への法案提 129 出を目指すこととしております。 130 131  商法典の現代語化につきましては,まずこれらの実質的な内容の検討を 132 先行させ,その後,平成16年の通常国会への法案提出を目指すこととし 133 ております。 134 135  次に,第2の「見直しの視点」につきましては,現在,会社法制が直面 136 する諸問題を幾つかの大きな視点から整理したものでございます。 137 138  まず,第1の「企業統治の実効性の確保」でございますが,企業の国際 139 的な競争が激化し,また国際的に整合性のとれた制度の構築が求められる 140 中で,株式会社の経営の効率化とともに,その業務執行の適正を図ること 141 により,企業統治の実効性を確保し,また国際的に整合性のとれた制度を 142 構築するという観点から,会社の機関の在り方,会社情報の適切な開示の 143 在り方等について検討するというものでございます。 144 145  この企業統治の実効性の確保という視点は,法務大臣の指示における企 146 業の競争力の確保という視点にも対応し得るものだと考えております。会 147 社法小委員会においては,企業統治の実効性と企業の競争力は必ずしも同 148 義ではないという指摘もございましたが,ここは企業統治の実効性の確保 149 が企業の競争力の確保にもつながるという理解で,より広く企業統治の実 150 効性の確保という視点を掲げたものでございます。 151 152  第2の視点が,「高度情報化社会への対応」でございます。コンピュー 153 タ・ネットワークの普及,情報技術の革新,商業登記制度に基礎を置く電 154 子認証制度の整備,電子署名制度の整備等により,経済社会の高度情報化 155 が急速に進展する中で,株主総会の運営,株主の議決権の行使,株主総会 156 議事録等会社関係書類の保存,会社情報の開示の方法等の在り方について 157 も,高度情報化社会に対応した効率的かつ確実な方法等について検討をす 158 るというものでございます。 159 160  第3が,「資金調達手段の改善」でございます。企業の資金調達方法に 161 おける間接金融から直接金融への移行,新規企業の資金調達の需要の増大, 162 株式等の証券についての店頭市場の整備等に伴い,企業の資金調達に関す 163 る環境整備が求められる中で,株式,社債,コマーシャル・ペーパー等に 164 ついて資金調達の円滑化,証券の流通性の確保等の観点から制度の見直し 165 をするというものでございます。 166 167  第4点が,「企業活動の国際化への対応」でございます。今,申し上げ 168 ました1から3までの視点に基づき,商法会社法制を見直すに際しては, 169 国際的に整合性のある制度の構築について検討する必要があるということ 170 でございます。また,この観点からは,我が国において活動する外国企業 171 の増加に伴い,これらの企業と取引をする者を保護するための商法上の諸 172 規定についても見直しをする必要があるということでございます。 173 174  第5が,「商法典の現代語化」でございます。我が国の商法典は,明治 175 32年に制定された法律であり,片仮名の文語体で表記されております。 176 現在では使われていない用語も使用されているということで,このような 177 商法典の表記を分かりやすい平仮名の口語体に改めるというものでござい 178 ます。 179 180  次に,第3は,以上述べました見直しの視点から,改正を検討すべき事 181 項として会社法小委員会において指摘があったものを整理したものでござ 182 います。これらの具体的な改正検討事項は,昭和50年以来の検討で積み 183 残された事項,これは資料の2,それから20から22までを後ほど御覧 184 いただければと思っております。それから,国会審議において立法課題と 185 された事項,これは資料3に取りまとめております。更に,関係各界から 186 の改正要望事項,これは資料4,5及び8に明らかにされております。こ 187 れらについて,会社法小委員会における審議を踏まえて検討の対象とすべ 188 きものとして取り上げたものでございます。 189 190  まず,「企業統治の実効性の確保」に関して,会社の機関の在り方でご 191 ざいますが,会社の機関の在り方につきましては総論的な課題として,ま 192 ず会社を公開会社と非公開会社という一定の基準で区分し,それぞれの種 193 類に応じて機関の在り方を見直すべきではないかという指摘があります。 194 また,参考資料2「商法・有限会社法改正試案」で取り上げられました中 195 小会社法制に関する積み残し事項についても,見直しを行うべきではない 196 かという指摘がございます。それから,機関相互間の権限分配につきまし 197 ては,これはアメリカ型の執行役員制度の導入をもにらんだ大幅な権限分 198 配を行うのか,経済界等から個別的に要望のございました利益処分案の承 199 認,取締役の報酬の決定等,これらを個別的に見直すのかという問題がご 200 ざいます。 201 202  会社の機関の在り方に関する各論としましては,まず株主総会に関して, 203 相互持ち合いの解消,機関投資家,外国人株主の増加等を背景に,株主総 204 会の特別決議の定足数の充足が困難になってきているという指摘がござい 205 ます。これは,資料14で御理解いただきたいと思います。したがいまし 206 て,その見直しを求める意見があるほか,基準日の制度の期間制限を廃止 207 し又は緩和する,株主提案権の行使期限を繰り下げる等の要望が,主とし 208 て経済界から出されております。 209 210  また,取締役制度の在り方につきましては,これは監督責任と執行責任 211 とを分離するという観点から,さきに述べましたけれども,執行役員制度 212 の導入の可否が問題とされております。それから,社外取締役を導入する 213 前提として,取締役の会社に対する責任を過失責任とすべきではないかと 214 いう指摘もあります。更に,現在の総株主の同意を要するとされておりま 215 す取締役の責任免除の要件,これを緩和すべきではないかという指摘もご 216 ざいます。 217 218  代表訴訟制度については,制度がよりよく機能するための改善策を検討 219 する必要があるのではないかとの問題提起があるところでございますが, 220 現在,議員立法の方向で検討がされている事項でございますので,その動 221 向を十分に見守る必要があるという指摘もございました。 222 223  次に,監査制度の在り方につきましては,先ほど述べました執行役員制 224 度の導入に伴う取締役会の監督機能の回復と関連いたしまして,現在の監 225 査役制度をどうするかという我が国の商法の根本にかかわる問題が一つご 226 ざいます。また,監査役の機能の回復という観点から,社外監査役の社外 227 の要件を厳格化し,また社外監査役の員数を増加すべきではないかという 228 指摘もございます。最近の大型倒産の訴訟事例等において,会計監査人の 229 監査が必ずしも適切に行われていないのではないかとの指摘もあり,その 230 責任追及の在り方等を見直す必要があるのではないかとの意見もございま 231 した。 232 233  次に,企業組織の再編成のための法制度の整備に伴い,完全親子会社が 234 増加し,今後ますますその数が増加することが予想されますので,このよ 235 うな完全親子会社をめぐる問題点もクローズアップされてきております。 236 完全子会社に対する完全親会社の監督体制が十分に確保されているような 237 場合には,子会社の監査制度について,例えば常勤監査役の設置の強制の 238 規定を適用しないこととすることができないか,また,親子会社間におけ 239 る取引について,開示を充実させる一方で,取締役の承認を要するとする 240 自己取引に関する規制の適用を排除することができないかという問題指摘 241 がございました。 242 243  次に,現行のストック・オプションにつきましては,その付与対象者を 244 拡大すること,ワラント型のストック・オプションの付与について,株主 245 総会の普通決議で足りるものとすること,株式買取請求権の行使の結果会 246 社が取得した株式を付与の対象とすること,付与決議において,付与対象 247 者の氏名及び付与数を株主総会の決議事項から外すこと等の要望が出され 248 ているところでございます。 249 250  次は,会社の計算及び開示の在り方でございます。まず,会社の計算に 251 ついては,総論的な問題として商法の計算規定と証券取引法に基づく会計 252 原則との調整をどのように行うべきかという指摘がございます。それから, 253 個別的な問題としましては,自己株式の資産性を認めるべきか,子会社株 254 式に持分法を適用するか,のれんの償却期間を延長するか,試験研究費等 255 の繰延資産性を見直すか等の問題が指摘されているところでございます。 256 257  また,さきの通常国会において,議員立法で2年間の延長が決まった資 258 本準備金による株式消却制度に関連しまして,これを商法上の制度として 259 恒久化するかどうかについて,国会の附帯決議におきまして,この2年間 260 の間に検討するようにという課題が課せられているということで,これも 261 検討事項として取り上げております。 262 263  次に,開示制度の充実でございますが,これはコーポレート・ガバナン 264 スが機能するための不可欠の前提でございます。これについては,子会社 265 の財務状況を親会社の計算書類にどのようにして反映させるかという観点, 266 及び子会社を利用した利益操作により親会社の配当可能利益が不当に拡大 267 されるような事態を排除するという観点等から,情報開示の在り方の見直 268 しが求められております。また,昭和56年の商法改正の際に積み残され 269 ました商法上の連結決算情報の開示を要求するかどうかにつきましては, 270 今申し上げました観点から,その採否について検討すべきではないかとの 271 指摘があったところでございます。 272 273  また,開示の在り方につきましては,このような開示の対象を中心とす 274 る検討事項とあわせて,高度情報化社会の到来に対応し,その開示方法の 275 見直しが問題とされております。ここに掲げております計算書類のインター 276 ネットを利用した登記所公開の制度の問題でございます。平成2年の要綱 277 でも,計算書類の登記所公開は取り上げられておりますが,当時は中小会 278 社を中心に,会社の負担が重くなることなどを理由とする反対があり,更 279 に関係各界の理解を深めた上で実現する必要があるとして,立法化が見送 280 られました。国会審議の際には,この制度の導入が政府提出法案から落ち 281 たことに対する批判があり,附帯決議においてその実現を図るようにとの 282 課題が示されたところでございます。自己責任の原則が機能する環境整備 283 の一環として,会社の信用情報の開示が求められており,また諸外国の開 284 示制度とも整合する制度の整備が求められているところでございます。 285 286  次に,「高度情報化社会への対応」という観点からの検討事項について 287 御説明申し上げます。ここに掲げた事項は,現在産業新生会議,IT戦略 288 会議,規制改革委員会等で早期の実現が求められている事項でございます。 289 290  まず,会社関係書類の電子化でございますが,これは平成7年に政府が 291 公表しました「規制緩和施策の検討状況の中間的公表について」,この中 292 において,商法上も商業帳簿等を電磁的記録によって保存することは可能 293 であるとの法務省参事官室の見解が示されております。また,平成10年 294 3月には,株主名簿,計算書類等についても電磁的記録によって保存する 295 ことは可能であるとする,当時の担当官の見解が公表されております。商 296 法上,会社関係書類の電子化を実現する際の問題点は,ここに指摘がある 297 とおりでございますが,特に問題となる商法上署名が要求されている書面 298 については,暗号を利用した一定の電子処理手続である電子署名をもって 299 商法上の署名とすることができるかどうかというのが問題となります。ま 300 た,会社関係書類の電子化を認めるときは,電子化された書類を電子申請 301 の際の添付文書とすることが可能になりますが,一方,紙による申請につ 302 いては,電子文書をどのような形で添付することになるのかについての手 303 当てが必要になると思われます。 304 305  (2)の株主総会の改善でございますが,株主総会の招集通知を電子的 306 に行うことについては,積極的に検討すべきことになると思います。これ 307 に関連して,商法上,株主に対する他の通知規定,また株主以外の者,例 308 えば,債権者等に対する催告通知等の規定につきましても,あわせて電子 309 的に行うことを認めるかという点を広く検討する必要がございます。 310 311  議決権の電子行使につきましては,単に現在の書面による議決権行使の 312 電子化を実現するだけでなく,書面による議決権行使,ひいては電子的に 313 議決権を行使できる会社の範囲の見直しを行う必要があるのではないかと 314 いう問題指摘がございます。そうなりますと,この点は株主総会の在り方 315 についての基本的な考え方についても見直すことになります。また,欧米 316 諸国におきましては,株券が金融機関等によって保有されていることが多 317 く,議決権行使の委任状の電子化を認めることとされておりますが,この 318 点についても検討をする必要がございます。 319 320  テレビ会議システムによる株主総会の開催は,株主が全国に分散し,そ 321 の数が数十万人に及ぶ会社もございますが,そのような会社においては, 322 もはや本店所在地1か所で株主総会を開催するということは不可能であり, 323 複数の招集地での株主総会の開催を認め,その間をテレビ会議システムで 324 結ぶことができることとすべきではないかとの問題指摘でございます。 325 326  電子的方法による公告ですが,商法上の公告の方法としましては,現在 327 は官報及び時事日刊紙によるとされておりますが,これに加えてホームペー 328 ジ等の電子媒体による公告を認めるかどうかとの問題指摘でございます。 329 ただ,これにつきましては,いわゆるディジタル・デバイド,すなわち電 330 子的にアクセスができない者が存在するという点について,どのような配 331 慮が必要かという点も検討しなければならないという指摘がございました。 332 333  次に,「資金調達手段の改善」に関する検討事項について御説明申し上 334 げます。 335 336  まず,株式制度の改善です。この点につきましては,IT関連のベンチャー 337 企業を中心に,株価が異常な高値をつけているということから,その流動 338 性を高めるために株式分割を行うに際して,現在の純資産基準,1株当た 339 りの純資産額は5万円未満となることができないという現在の純資産基準 340 による制限が障害となっているという指摘がございます。この観点から, 341 この制限を撤廃すべきであるとの要望が経済界等から出されております。 342 これに関連しまして,株式の単位規制を見直すかどうかがまず検討の対象 343 になります。また,このような1株の単位を見直すことは,必然的に単位 344 株制度の見直しにもつながります。昭和56年に経済界からの強い要望に 345 よって,額面株式の単位を5万円とした際に導入された単位株制度につき 346 ましては,平成2年改正の際に,その終結について検討されたという経緯 347 がございますが,当時は証券業界等の反対もあり,見送られたようでござ 348 います。これを終結させるのか,その場合にはどのような方法によるのか, 349 またこれに伴って生じる端株主の保護についてはどのような手当てをする 350 のか等が検討課題となります。これに関連しまして,1株当たりの純資産 351 額を5万円とするための株式併合の制度も見直すことになるものと思われ 352 ますし,ひいては額面株式制度自体の存在意義がなくなるのではないかと 353 いうことで,その見直しにもつながるものでございます。 354 355  授権資本制度につきましては,現在,その制限を及ぼすことが必ずしも 356 合理的ではないとの指摘がある株式分割の場合の授権資本枠の制限につい 357 ての見直しがまず問題となります。この点につきましては,昭和61年の 358 「商法・有限会社法改正試案」におきましても,「株式分割の場合には, 359 授権資本枠が分割比率に応じて当然に拡大することとする」との案が示さ 360 れており,株式併合の場合とあわせて検討すべき課題とされております。 361 また,株主総会の特別決議が要求されている譲渡制限会社における新株発 362 行の場合には,そもそも授権資本枠の制限は不要ではないかとの指摘がご 363 ざいました。 364 365  次に,譲渡制限会社における定款自治の範囲の拡大は,例えば無議決権 366 株式の議決権復活猶予期間等について,定款自治によりこれを延長するこ 367 とを認めることができるかというような問題でございまして,商法の規定 368 の強行法規性を緩和することを認めるかどうかという観点からの問題指摘 369 でございます。 370 371  そのほか,株式制度につきましては無議決権株式の発行限度枠の拡大, 372 所在不明株主の株式の会社による売却の制度の導入等が問題として取り上 373 げられております。 374 375  次に,(2)及び(3)の社債制度及びコマーシャル・ペーパーの制度 376 について申し上げます。 377 378  社債制度につきましては,現在,社債の転々流通の阻害要因となってい 379 るのではないかとの指摘がある現行の社債登録制度を廃止し,株券の保管 380 振替制度に倣って口座振替えによる権利の移転を認める決済制度を認める 381 べきではないかという観点から,その具体的な方法及びDVP,資金と証 382 券の同時決済の実現の方法等が問題とされております。この点は,資料1 383 6に問題点の所在が明らかにされております。それから,コマーシャル・ 384 ペーパーにつきましては,当初は社債とは別個に,一つの振替制度を整備 385 するという方向での検討がされておりましたが,その後,有価証券の決済 386 制度について全面的な見直しの動きが早まり,コマーシャル・ペーパーに 387 ついても,例えばこれを短期社債として位置づけ,社債とあわせて統一的 388 な決済制度を構築すべきではないかという指摘があり,現在,その在り方 389 について検討を行っているところでございます。この場合には,コマーシャ 390 ル・ペーパーの実質が短期の社債であるにもかかわらず,現在,商法の社 391 債に関する規制がないということから,現行の社債に関する規定の適用排 392 除の可否等が検討の対象になるものと思われます。 393 394  次に,4の「企業活動の国際化への対応」について申し上げます。 395 396  これは,独立の項目というか,これまで述べてきました視点に基づき, 397 商法を見直すに際しては国際的に整合性のとれた制度の構築を目指すべき 398 であるとの問題指摘でございます。この点に関しましては,現在,EU諸 399 国におきまして我が国と同様の観点から,会社法制の見直しが進んでおり 400 ます。資料13に,その間の経緯が明らかにされております。これらの国 401 の改正作業の動きにも十分に留意しながら,今後見直しを行っていくべき 402 であるという指摘があるところでございます。また,我が国におきまして, 403 例えばインターネットなどを利用して取引を行う外国企業等について,現 404 在の商法479条では十分に対応し切れないのではないかとの指摘があり, 405 新たな事態に対応できる消費者保護の仕組みを考えるべきではないかとの 406 指摘があるところでございます。 407 408  最後に「商法典の現代語化」につきましては,これを取り上げること自 409 体には全く異論がありませんし,既に商法現代語化研究会において,現代 410 語化のための作業が進められております。むしろ問題は,実質的な改正事 411 項が相当あり,その対応を迫られる中で,どのようなタイミングで,どの 412 範囲で商法の現代語化を行うかということであろうかと思います。本資料 413 では,まず2年をめどに実質的な改正を行った後,現代語化のための改正 414 を行うというスケジュールが示されております。また,現代語化の方法に 415 つきましては,商法典全部を一度に現代語化するのか,商法中の会社編及 416 び有限会社法をあわせて,例えば諸外国に倣って「会社法」という独立し 417 た法律として現代語化を行うのかということが問題となります。また,こ 418 れに関して関連法律についての処理も問題となるところでございます。 419 420  以上が資料1の説明でございます。 421 422 ● それでは,「基本的な方針」,「見直しの視点」,「具体的な検討事 423 項」につきまして,これから御議論をいただきたいと存じます。 424 425  まず最初に,基本的な方針としまして,商法部会における検討スケジュー 426 ルが述べられております。コマーシャル・ペーパーのペーパーレス化につ 427 きましては,社債決済制度の改善とあわせて,次の通常国会への法案提出 428 を目指す,会社法制の大幅な見直しに基づく改正法案の提出が平成14年 429 春の通常国会,そして現代語化につきましては平成16年春の通常国会は 430 どうか,そういう提案がなされているわけでございます。作業量を考えま 431 すと,相当にハードな検討作業が必要になるかと思いますが,現在の会社 432 を取り巻く社会経済情勢を考えますと,やむを得ないところではないかと 433 考えられます。この点につきまして御意見を伺いたいと存じます。いかが 434 でございましょうか。 435 436 ● 会社法についてはこういうスケジュールでやらざるを得ないのかと思 437 いますが,本日の配布資料の中に,モントリオール条約の批准の案件も配 438 られておりますが,その関連で,航空の方のモントリオール条約をフォロー 439 すべく,海上旅客運送についても2年後には新しい条約ができる見込みで 440 ございますので,そういうものは,このスケジュールの中で「商法の改正 441 について」と言われておりますと実質商法改正の部分は会社法以外はやら 442 ないということを意味するのかどうか,既に船主責任制限法の改正の問題 443 も問題提起がされておりますが,そのまま置いていかれているというよう 444 なこともありまして,会社法制についてはこのスケジュールで大変結構だ 445 と思いますが,ここで言っていることは,それ以外のことはこの期間はや 446 らないよということも同時に言っているのかどうかということをお聞きし 447 たいと思います。 448 449 ● 必ずしもそうではないと思いますけれども,事務局からお願いいたし 450 ます。 451 452 ● ここに掲げておりますのは,先ほどこういう資料を作成した経緯で申 453 し上げましたとおり,特に会社法制を中心として現在の社会経済情勢のも 454 とで各界から要望の強い点についてどう対応していくかという観点から, 455 現在出されている要望事項を取りまとめたということでございます。これ 456 とは別個に,船主責任制限法とか海上旅客運送に関する法制とかいうもの 457 の改正の問題が,もちろん条約との絡みでいずれまた検討の俎上に上がっ 458 てくるであろうということは認識しております。それはまた,個別に関係 459 省庁とも連携をとりながら対応していくことになるのではないかと考えて 460 おります。 461 462 ● そういうことで御了承いただけますでしょうか。−−ありがとうござ 463 いました。 464 465  ほかにございませんでしょうか。 466 467  もし御意見なければ,個別的な事項に入ってよろしゅうございますか。 468 469 ● 本日の議題でございます「今後の商法改正について」,経済界に籍を 470 置く委員の一人として,三,四分意見を述べさせていただきます。 471 472  今回の商法改正については,先ほどの資料の「基本的な方針」にありま 473 すとおり,企業統治の実効性の確保,高度情報化社会への対応,企業の資 474 金調達の改善,及び企業活動の国際化への対応という視点から,商法,特 475 に会社法制の大幅な見直しを行い,平成14年通常国会への法案の提出を 476 目途に検討を行うとされておりまして,保岡法務大臣からも同趣旨の御発 477 言を承っております。経済界といたしましては,今回の一連の動きを高く 478 評価させていただいており,この商法部会での今後の審議の状況に大きな 479 期待を持っておるところでございます。 480 481  現在の日本経済の内外の環境の変化は,極めて急速なものがございます。 482 今後の日本経済の新生を図り,一層の発展軌道に乗せるためには,その前 483 提としての重要なインフラである企業法制の改革の更なるスピード化が求 484 められていると私どもは認識いたしております。 485 486  変化は多面的に起こっております。第1に,経済のボーダーレス化に伴 487 う国際整合性のある法制の対応,第2に,経済構造の変化への対応,加え 488 て第3には,IT革命への法制面の対応が急務となっておるわけでござい 489 ます。その中で,経済界の抱えている企業の法制上の課題は数多くござい 490 ますが,その主要項目は,恐れ入りますが提出しております資料,左上に 491 「産業新生会議提出資料」と書いてあるもののとおりでございます。この 492 資料は,去る8月31日に総理官邸で行われました産業新生会議に,産業 493 側の委員として私から提出し,説明させていただいたものでございます。 494 495  その中で,アンダーラインを引いております4項目,まずCP等のペー 496 パーレス化,これは直接金融への流れ,及びIT化への対応でございます。 497 それから,先ほどもお話がございましたけれども,株式の純資産額基準, 498 1株5万円以上の撤廃。これは,直接的には株式の分割,間接的にはより 499 多くのべンチャー創出への対応でございます。それから3番目,インター 500 ネットを利用した総会運営及び法定公告,会社情報の開示等,これは国際 501 化並びにIT化への対応でございます。4番目,ストック・オプション制 502 度の見直し。これは人材確保・育成,制度としての国際的な整合性の対応 503 でございます。これらについては,私どもとしては明年の通常国会までに 504 前倒しで実現していただきたい旨,強く要望いたしました。 505 506  また,資料の2ページの最上段に記載されております代表訴訟制度の見 507 直しについては,別途議員立法で取り扱われる方向であると承知しており 508 ますが,政府においても格別の御支援をお願いしたい旨,申し上げた次第 509 でございます。 510 511  この8月31日の会議におきましては,森総理並びに関係大臣から,前 512 向きに検討する旨の答えをいただき,次回,10月開催予定の産業新生会 513 議において,具体的な項目についてスケジュールを含めた御回答をいただ 514 くことになっております。 515 516  以上,企業法制上の課題について,経済界の立場から最近の状況を報告 517 させていただきましたが,今の時代,企業を取り巻く環境は,その構造改 518 革の面においても,グローバル化の面においても,更にIT化への対応に 519 ついても,かつてない著しい変化の中にありますことについて,重ねて御 520 理解を賜りますようお願いいたしまして,私の発言とさせていただきます。 521 ありがとうございました。 522 523 ● 一部の項目については特に早急にという御要望でございましたが,こ 524 の点について何か……。 525 526 ● ただいまの○○委員の御意見と重複しないように注意いたしまして, 527 私も感じたところを少し述べさせていただきたいと思います。 528 529  今回のいただきました資料,「今後の商法改正について」は,私ども経 530 済界で要望しております株主総会制度や,取締役会の責任の在り方なども 531 含めました広範かつ緊急な課題が網羅されておりまして,会社法の大改正 532 にふさわしいものであると感じました。短い期間によくおまとめいただい 533 たものだと,深甚なる敬意を払いたいと考えております。特に今回の検討 534 事項の中で,会社の区分に応じた機関の在り方が挙げられておりました。 535 資本主義とのかかわりの視点から,会社の在り方を議論することは大きな 536 意義があるものと考えられます。 537 538  一,二,要望させていただきたいと存じます。一つは,近年,直接金融 539 の環境整備が進みまして,また資本市場の国際化,持ち合い株の解消といっ 540 た流れの中で,各社の株主構成が大きく変化している,このような経済状 541 態を踏まえました会社規制について,是非今後御検討をいただきたいと存 542 じます。 543 544  もう一つは,ただいま○○委員もお触れになったのですけれども,保岡 545 法務大臣は,必要な項目は前倒しで進めるというふうに発言されていると 546 伺っております。是非,早い改正を求める産業界の声に耳を傾けて御議論 547 いただければと考えた次第でございます。以上でございます。 548 549 ● この点について,いかがでしょう。御意見ございませんでしょうか。 550 551 ● 現在の経済情勢を考えたときに,経済界のそういう強い御要望がある 552 ことは理解できますし,政府の会議でもそういう議論があるということは 553 承知しておりますが,ただ先ほど御指摘のあった中で,CPについては既 554 に来年の通常国会を目指して改正作業をするということで進めております 555 し,それ以外の会社法のいわば根本にかかわり得るような問題点,幾つか 556 挙げられたのはいずれも根本にもかかわり得るような問題だと思いますの 557 で,それについては会社法制全体の中で本来改正すべきであって,一部を 558 つまみ食い的に繰り上げ改正することはなるべく避けるべきではないかと 559 考えております。 560 561  その理由の一つは,やはりさっき言いましたように,それぞれの問題に 562 ついて会社法の根本問題にかかわり得るわけでありますから,そこだけ取 563 り上げて,そこだけを改正するということはやや不適当に思いますし,あ 564 るいはその他の重要な制度にかかわってくるところもありますし,また技 565 術的にもそれぞれ非常に相互関連性がございますので,そこだけを取り上 566 げるというのはなかなか難しいところがあるのではないかというふうに思 567 います。 568 569  会社法改正という作業は,我が国の企業の根本的な在り方にかかわって 570 くるものでありますから,改正を急ぐべきことは確かでありますが,余り 571 にも短視眼的な改正をすべきではないのではないかというふうに思います。 572 573  また,問題にもよりますけれども,1年なり半年なりを繰り上げて改正 574 しなければ,すぐに非常に決定的に問題を生じるということが多いとは必 575 ずしも思えないのではないか,むしろある部分だけを取り上げて改正作業 576 をしますと,結果的にいわば作業がダブることにもなりますし,最初の改 577 正作業の後で,それを前提に次の改正をすることになりますから,その間 578 の調整等の作業も必要になってくるわけでありまして,むしろそういった 579 つまみ食い的な改正を途中でやるということは,全体としての改正のスピー 580 ドアップを図ることの妨げになるおそれがあるのではないかという感じが 581 しますので,一般的にいえば余りつまみ食い的な改正をすべきではないと 582 いうふうに考えます。 583 584 ● この点,ほかに御意見ございますでしょうか。 585 586 ● 今,○○委員の方からお話がありましたが,今回の改正が非常に抜本 587 的なものであって,非常に広範なものと考えているということで,これは 588 これまでの会社法小委員会においても私の方からも,通産省の方からもむ 589 しろそういうことで広範に項目を入れてくれというふうにお願いをしてこ 590 ういうふうになっているということでございまして,これはこれで非常に 591 感謝するところでございます。ただし,やはり経済の実体というのが日々 592 非常に早く変化しているということも事実でございまして,我々の方にも 593 経済界からのニーズというのは非常に強く伝わってくるところでございま 594 す。そういうようなことも受けまして,森総理のもとで産業新生会議とい 595 うのが設置されて,これまで2回開催をされてきておりまして,そこで今, 596 ○○委員,それから○○委員の方からも発言があったような項目が非常に 597 強く,ほかの委員からも出てきているということも承知をしているところ 598 でございます。もちろん,そういうようなものはこれからの抜本的改正の 599 項目の中にも入っておりますし,そこでも議論されていくということは承 600 知しておりますけれども,ただやはり,今のグローバル経済のもとでの競 601 争というのは非常に早いものでございまして,2年後の改正を仮にやった 602 としまして,それが実際の株主総会で使われるのは3年後になってしまう, 603 3年後の6月になってしまう,2003年の6月になってしまうというお 604 それがあるということも,また事実であります。3年間というのが,本当 605 にそれが日本にとって取り返しのつかない期間になりはしないかという懸 606 念というのがあるのもまた分かるところでございまして,そういうことも 607 含めまして,これから産業新生会議の議論も続くわけでございますし,そ 608 ちらの方の議論とも調整をしながら,この前倒しの問題というのは少し議 609 論が続くものだというふうに考えております。 610 611 ● ほかに御意見ございませんか。 612 613  それでは,事務局の方から意見をお願いいたします。 614 615 ● このスケジュールの話は非常に重要な話でございまして,ただスケジュー 616 ルの話はもう少し御議論いただいた方がいいと思っておりますが,例えば 617 先ほど○○委員の方から御要望のあった点でございますけれども,一つは 618 株式の純資産額規制で,この紙によりますと,恐らく先ほど私が御説明申 619 し上げましたようにべンチャー企業を中心に株式分割の際の純資産額基準 620 の撤廃だけを前倒しでという要望かなと理解しているわけです。実はそこ 621 が,先ほど○○委員の方からお話がございましたように,商法の規定が単 622 体でぽつんとあるわけではなくて,218条の規定は当然会社設立時にお 623 ける株式発行額,それから株式の額面額の規制を前提として,つまり5万 624 円未満の発行はできないとして,発行してその次の日に株式分割をしてし 625 まったら,これは何のために最初の5万円未満の発行はできないという規 626 制をしたのか分からなくなる。そういうことで,もともとの最初の発行規 627 制,単位の規制のところの検討抜きに,分割のところだけの純資産額の規 628 制だけをとりあえず撤廃するという改正は,恐らくこれは難しいと思いま 629 すし,そういう改正をやったら,恐らく諸外国からも余り高い評価が得ら 630 れないというか,むしろ場当り的な改正だという批判を受けるのではない 631 かと考えております。 632 633  この話は,先ほども御説明申し上げましたとおり,要はもう額面株式制 634 度自体を廃止する,それから単位株制度,これも当然単位規制を前提とし 635 たものでございますから,徹底すればそれも終結するというところまで行 636 き着く可能性が非常に高いものでございまして,実はむしろ経済界として 637 は,例えば額面株式の廃止とか単位株制度の終結という点についても,こ 638 れもやむなしというところまでのコンセンサスができているかどうか,こ 639 のあたりは十分に我々としても意見を伺っておく必要があるだろうと思っ 640 ております。 641 642  と申しますのは,今申し上げたことに加えて,昭和56年改正当時は, 643 正に経済界の非常に強い要望があって5万円ということに単位を引き上げ 644 ましたし,単位株制度というものを設けたわけでございますので,当時あっ 645 たような要望というのは,ベンチャーのところはともかく,会社一般につ 646 いてもその点は必要ないということになったのかどうか,こういう点をや 647 はり十分に検討する必要があるだろうと思っております。 648 649  それから,株主総会のIT革命に対応した運用をできるような改正をと 650 いう点については,我々もできるだけ早い時期に実現したいということで 651 考えているわけですけれども,もちろんこれは会社の側だけの利便のため 652 にやるということではなくて,株主の代表者というのはこの場にはおられ 653 ないわけですけれども,株主としてもそういうことを要望するということ 654 はあるかもしれないわけでございまして,株主の多数が要望したときには, 655 会社としてもそれに対応するような体制をつくるとか,そういうことが可 656 能かどうかということが一つ問題になるだろうと思います。それから,特 657 に先ほどの繰り返しになるかもしれませんが,招集通知と議決権行使とい 658 う非常に限定された場面だけを手当てするのかというところが問題になり 659 ました。商法上の通知というのは招集通知に限らず,株主に対していろい 660 ろな場面がございますし,さらには債権者等に対する催告等が要求される 661 場面がございますから,高度情報化社会への会社法制の対応という観点か 662 らは,それを全部見直していく必要があるのではないかと考えられます。 663 664  それから,議決権行使については,実は現在の会社法は書面決議ができ 665 るのは大会社のうち株主数が1,000人以上の会社という,非常に限定 666 した形になっております。これは,基本的にはやはり本人若しくは代理人 667 が出てきて,株主総会で議論をして,株主総会の意思を決定していくとい 668 う基本的な思想に基づいているのだろうと思うわけですが,先ほどから御 669 指摘があるような定足数の問題とか,株主に対して一応出頭の機会を与え 670 ればそれでいいじゃないかという意見もあり,こういうところまで考えま 671 すと,場合によっては書面による議決権行使を広く会社一般に認めていく 672 ということもあり得るわけでございまして,それに合わせてそういう書面 673 による議決権行使を今度は電子メールを使ってやるということまで広げて 674 いくことが考えられます。こうなると,もう正に株主総会制度の基本的な 675 考え方まで改めるということになるわけですが,恐らくここはそこまで検 676 討した方が,長い目で見ると我が国の会社法制にとっては非常に意味のあ 677 ることだろうと思っております。 678 679  個別的に言いますといろいろあるわけでございますけれども,ストック・ 680 オプションにつきましても,子会社とか関連会社の役員,従業員を拡大す 681 るということであれば,現在ストック・オプション制度はその会社にとっ 682 て有能な人材の確保,それから業績向上のインセンティブという観点から 683 認められたということの説明趣旨自体も,少し見直さないといけないだろ 684 うと思いますし,取締役の忠実義務等との整合性にも注意を払う必要があ 685 ります。更に今度は報酬制度との関連をどう考えるか,親会社が子会社の 686 取締役に報酬を与えるような形になるのか,その場合,賃金払いの原則と 687 いう問題が実はストック・オプションのときには当然十分検討されなけれ 688 ばいけなかったわけですけれども,そこでの議論を再度ここで誘発すると 689 いうことになると思いますので,ちょっと細かく議論をしていくと,今申 690 し上げたような点についてきちんと整理をして,改正を進めていくという 691 ことがやはり必要じゃないかと考えております。 692 693  それにしましても,経済界の方で非常に改正を急ぐという要望について 694 は,我々も十分理解しているところでございますし,今回の2年というの 695 も,法務大臣の御指示がございましたけれども,実質はもう恐らくあと1 696 年ちょっとしかないわけでございます。その間には,具体的な内容を早い 697 段階で明らかにして,パブリック・コメントに付して,そして経済界を含 698 む関係各界から御意見をいただいて,更に意見を集約していく,こういう 699 機会も全く抜きにしてというわけにはいかないだろうと思っております。 700 そうなりますと,あと1年半ぐらいの期間でというのが,経済界として絶 701 対に待てないのかどうかというあたりについて,少し御検討,御意見をい 702 ただけると有り難いと思っております。 703 704 ● 確かに経済界は不便だと思っておられることはあるのでしょうけれど 705 も,それはありとあらゆる手段を使って,なりふり構わず現行法のもとで 706 やろうとしても,どうしてもやれないものなのかどうかという点もあると 707 思います。およそ現行法のもとでも,ある手を使えばやれるのに,それは 708 格好悪いとか,そういう発想でいる限りは,やはりそもそもスピードとい 709 う点ではおくれても仕方がないのではないかという気がします。 710 711  例えば,株式の純資産額規制の撤廃なんていうのでも,これは無額面株 712 式にして,株主割当増資をうんと低い値段でやれば,単位が小さくできる 713 わけです。私,大学院で演習をしておりまして,ベンチャー・ビジネスの 714 話をしたのですが,そうやったら幾らでも単位を小さくできるじゃないか 715 と言ったら,ある社会人の学生が,それは業界で禁じ手と言われています 716 と。だれが禁じ手と言っているのですか。業界でそう言っているだけであっ 717 て,なりふり構わずあらゆる手を使ってやって,それでもというならばそ 718 れは急がなければいけないのかもしれませんが,幾つかの会社が問題であっ 719 て,しかも現行法のもとだってやろうと思えばやれるということについて, 720 そんなに急いで改正をする必要があるのかどうかということは,私は疑問 721 でありますし,また勝手に自分たちでそれは禁じ手であるとか何とかいう, 722 そういう商慣行が問題ではないかというふうに私は思います。 723 724 ● 中身に入ると,審議の予定を狂わせることになるのかもしれないので 725 すが,今,行われた議論との関連で,特に○○幹事の方からの回答につい 726 て,若干疑問がありますので申し上げておきます。 727 728  それは,何に関してかというと,産業新生会議提出資料の中の「株式の 729 純資産額規制の撤廃」とくくって1個で出していると,○○委員が言われ 730 たように,この中には根本的な問題も含まれてしまうので,これを一括し 731 て全部やろうとすれば,確かにそう簡単にはいかないよという結論になる。 732 これは何が問題かというと,問題を一つにくくったところに問題があるわ 733 けで,それについては法務省の方で用意していただいたペーパーも,5ペー 734 ジの「資金調達手段の改善」のところでは,株式制度の改善で,株式の単 735 位規制の見直しで(ア)と(イ)に分けている。ある問題はある意味では 736 後の問題と関連しますが,技術的な問題と基本的な問題とが絡んでくるけ 737 れども,(イ)の問題は,実はある時期なかったのですね。そして,商法 738 改正した結果,これで規制はなくなったと私は論文書いたのですが,そう 739 したら法務省はあわてて,分割の場合についてもみんなこの規制を一定の 740 範囲のものに見合うようにしなければいけないという直しをやったから, 741 結果がこうなっているわけなんで,ここのところ,(イ)に関する限りは, 742 これは技術的な問題で,これに関する規定を取ってしまえばそれを済む話 743 で,これは本質の問題ではない。むしろ本質からいえば,ない方が本質に 744 適している,今の規制がない方が本質に合っている。しかも,後の方に来 745 ると額面株式制度の廃止で,これを維持する必要があるかないか,これを 746 額面株式制度をどう認識するかの問題ですけれども,これだって額面の持っ 747 ている役割というのは何かといったら,最初の発行のときの枠はこの範囲 748 でやりましたよという記録以上のいかなるファンクションも持たないのだ 749 という認識に立てば,こんなものやめちゃってもいいじゃないかと。それ 750 は昔から言われているわけで,今,○○委員が言われたように,無額面株 751 式出せるのだから無額面株式出せばいいじゃないかということにもつながっ 752 てくるわけですけれども,これを額面株式というわけの分からんものをイ 753 ンシストしたのは,実は証券取引の必要上,あるいは配当の見せかけのパー 754 センテージを高く示したいとか,そういう経済界の要望があってこれを残 755 しているのであって,自分たちの都合のいいところは目をつぶっちゃうと 756 いうのは,通常の場合なんですけれども,これそんなに難しい問題なのか, 757 どこかで腹をくくってくれればどっちかに割り切れる問題,そう本質の問 758 題じゃないのじゃないかという気がするわけで,それがあたかも全部重要 759 な株式の制度の本質に関する問題であるかのごとくコメントされたので, 760 ちょっと私の立場から一言申し上げたわけです。 761 762 ● 私が先ほど申し上げましたのは,今,日本の産業界,経済を取り巻く 763 多面的な変化に対する御理解を是非とも皆様方にお願いしたいということ 764 を前提に発言させていただいているわけです。 765 766  さっき私の提案いたしました4項目について,○○幹事一々否定の発言 767 をされましたけれども,非常に私は不本意ですね。議論をしていただきた 768 いのであって,幹事役である○○幹事が一つ一つ否定をなさると,もう取 769 りつく島もないということになってしまうので,そうではなくて,御議論 770 いただきたいと,今日この場でなくても,小委員会その他でということを 771 是非お願いしたい。 772 773  それから,すべて商法の総合的な仕組みと関連がある,それは分かるの 774 ですけれども,例えば一つの例でございますけれども,株主総会のネット, 775 メールの問題を言っておりますが,本来は株主総会の定足数の問題が,企 776 業の国際化,外国人株主等の増加によって問題になってきているけれども, 777 それをどうこうということは,それこそ商法の基本的な問題であろうと思 778 いますから出していないわけでして,今度IT戦略会議の中で出てまいり 779 ますIT基本法だとか,その関連の法律と並行していかなければ問題です 780 けれども,これだけならば解決できるし,しかも商法全体の仕組みと関連 781 がないとは言えませんけれども,単独として取り出せるのじゃないかとい 782 うふうな意味で御提案をしているのでありまして,繰り返して申し上げま 783 すけれども,経済のグローバル化,IT化等々の流れに対する,その変化 784 に対する御理解を是非お願いしたい。重ねて申し上げておきます。 785 786 ● ベンチャー企業の株,1,000万円で売り出したのが6,000万 787 円に上がったという事実があるということを,東証のマザーズでそういう 788 例があったということを聞いております。そのときに,今の問題が提起さ 789 れたわけですけれども,この前の新聞を見ましたら,ある企業はその場合 790 に,先ほど○○委員がおっしゃったように,株主割当てで無額面株式で発 791 行という手を使ったと,努力すればやれないものではないとその社長がおっ 792 しゃったという新聞記事も見ておりまして,正に今ここで議論されたこと 793 が新聞ざたにもなっているというふうに感じたわけでございますが,実務 794 界の御意見も十分にそういった事情もあるということで理解しております。 795 今後の審議に当たって参考にさせていただきたいと思います。 796 797  この点はそういうことでよろしゅうございましょうか。 798 799 ● 先ほど,○○委員の方からお話がありました株主代表訴訟制度の改正 800 問題,これは○○幹事の方からもお話がありましたけれども,議員立法の 801 動向を注視していこうということでございますけれども,次期通常国会に 802 向けて議員立法の動きがあるときに,当法制審議会としては,それの足を 803 引っ張るとか,そういうふうなことがあってはいけないのだろうというこ 804 とだと認識しておりますので,政治によるそういう動きに対して法制審議 805 会が水を差すような動きはすべきではないということを一言申し上げてお 806 きたいということでございます。 807 808  それから,繰り返しになりますけれども,株式分割のときの5万円基準 809 でありますとか,ストック・オプションの付与の問題,このあたりは何も 810 ほかのものに連動する問題ではなくて,ごく単純に改正できる問題じゃな 811 いか,困っている会社がいっぱいあるのであれば,直ちに改正してやろう 812 というのが私どもの役目だろうと,こう強く思うものですから,それだけ 813 補足させていただきたいと思います。 814 815 ● ほかに御意見ございますか。 816 817 ● 内容については,今いろいろ御議論が出ているのですが,私はこの法 818 制審議会の商法部会での改正の作業の進め方について質問をさせていただ 819 きたいと思います。 820 821  私は,まだ委員になりまして日が長くないものですから,商法部会の法 822 律改正についての作業の手順について正確に理解していないかもしれない 823 のですが,今まで理解しているところによりますと,小委員会で御検討を 824 いただいて,それを部会に上げていただくというような形でやっていると 825 思うのですが,それがある限定されたことでしたらそれでいいのかも分か 826 らないのですが,今回のように非常に多岐にわたって改正項目があります。 827 そして,今も御議論が出ておりますように,非常に改正を急いでほしいと 828 いう御要望が一方ではありますし,また一方ではそれは目先のことだけ, 829 言葉は悪いですが,そのことと同時に全体との兼ね合いといいますか,全 830 体におけるその問題の位置関係なども見て,根本的な改正にわたるところ 831 もあるので慎重にしなければならない事項もあるというような御回答もい 832 ただいていると思うのです。そうしますと,例えばこういう非常に多くの 833 項目にわたっているものを,作業チームをそれぞれに組んで,そして検討 834 をして,それを小委員会なら小委員会でまとめていただくというような, 835 そういうやり方をお考えなのでしょうか。どういう改正作業を具体的にお 836 考えなのでしょうか。そういうところをお尋ねしたいと思うのですが。 837 838 ● 大変貴重な御示唆をいただきまして,ありがとうございます。 839 840 ● やり方の問題が出ておりますけれども,この部会資料にもありますよ 841 うに,見直しのめどを2年としておりますのは,先ほどから御発言があり 842 ますように,企業を取り巻く社会経済情勢の変化の速さにより短い期間を 843 設定されているというふうに理解しております。今,御指摘がございまし 844 たように,商法部会の前段階として,現在会社法小委員会というのがござ 845 いますが,これが月1回のペースで開催しております。現在の会社法小委 846 員会の月1回のペースで検討を進めていくということでは,これだけの範 847 囲の検討事項を,法案提出を目指すというふうにされました平成14年に 848 間に合うように検討を進めるというのは,これは相当に困難であろうとい 849 うのは御指摘のとおりであろうと思います。 850 851  これは,実は最後に申し上げようと思っていたのですが,この点につき 852 ましては基本的に会社法小委員会というものがございますけれども,その 853 会社法小委員会の前段階としまして,小委員会での議論のために個別的な 854 検討事項についてどういう問題点があるのか,具体的な問題点を明らかに 855 する,それから関係する資料を準備する,更に小委員会での議論を活発に 856 していただくために,小委員会での審議のための一応のたたき台のような 857 ものを作成する,こういうことを目的として研究会というものを立ち上げ 858 ております。これは,むしろ事務局である法務省が予算措置を講じて,公 859 益法人である商事法務研究会に委託してやる,そしてその資料を小委員会 860 にお上げして御議論していただくということにしております。 861 862  現在,この研究会につきましては,実は三つの研究会,分科会というも 863 のを立ち上げておりまして,第1分科会で会社の計算及び開示の在り方, 864 第2分科会におきまして会社の機関の在り方,第3分科会におきまして株 865 式制度の在り方をそれぞれ検討していただいております。もちろん,ここ 866 での検討結果は,今申し上げましたようにすべて会社法小委員会に報告さ 867 れて,そこで正式に議論いただくということになります。先ほど申し上げ 868 ましたように,非常に短期間の審議ということであり,それぞれの分科会 869 につきましては月に2回から3回のペースで検討を進めていくということ 870 でございまして,そういう形で何とか当初の目標とされた時期に間に合う 871 ように対応していきたいと,このように考えているところでございます。 872 873 ● 1点だけ,先ほど○○委員が御指摘になりました点に関連して申し上 874 げさせていただきたいと思います。 875 876  ○○委員が,現在株主代表訴訟について議員立法の作業が進んでいるの 877 で,それを妨げるようなことを法制審議会としてはすべきではないという 878 御指摘だったと思いますけれども,法制審議会としても,先ほどの検討事 879 項の中で取締役の責任に関する規制がどうあるべきか,例えば責任免除の 880 要件はどうあるべきか,そういうことを検討しているわけでありますので, 881 それと代表訴訟制度の見直しが場合によって不整合になり得るとか,技術 882 的に何か問題を起こし得るというようなことがあれば,これは法制審議会 883 として,自分のやっている作業との関連でどう考えるかというようなこと 884 を意見を申し上げることはあってしかるべきではないかと思います。その 885 ほかに,個々の委員の人が個人の意見を言うのは,無論また別であります 886 けれども。ですから,全く触れるのはけしからんとまで言う必要はないの 887 ではないかというふうに存じております。 888 889 ● よろしゅうございましょうか。 890 891  それでは,見直しの視点として取り上げました5点につきまして,御意 892 見をお伺いした上で,各視点ごとに具体的な改正検討事項について御議論 893 をお願いするという形で進めたいと思います。 894 895  まず,見直しの五つの視点について,いかがでしょうか。法務大臣の指 896 示との関係でいいますと,本資料では視点の第1が「企業統治の実効性の 897 確保」とされ,法務大臣指示では「企業の競争力の確保」とされているよ 898 うですが,先ほどの○○幹事の説明では,企業統治の実効性の確保は企業 899 の競争力の確保にもつながるということで,このような見直しの視点の立 900 て方でも問題ないということでございます。いずれにしましても,このよ 901 うな視点の取り上げ方について御意見いただきたい,そういうことでござ 902 います。 903 904  このような大項目でよろしいかという問題と思いますが,よろしゅうご 905 ざいますか。もしそれでよろしいということであれば,個々の問題に入ら 906 せていただきます。 907 908  それでは見直しの視点については御賛同いただいたと思いますので,個々 909 の視点ごとに改正検討事項についての御議論をお願いしたいと存じます。 910 911  まず,第1の視点の「企業統治の実効性の確保」につきましては,大き 912 く会社の機関の在り方と会社の計算及び開示の在り方が取り上げられてお 913 ります。この点について,このような取り上げ方でよろしいか,あるいは 914 追加すべきことがないかといった点について御意見いただきたいと思いま 915 す。 916 917  相当網羅的に取り上げられておりますので,追加すべき事項はもうない 918 ということでよろしゅうございましょうか。 919 920  それぞれの問題についてはいろいろ議論もこれから出てくることになる 921 と思いますけれども,項目としてはこんなところでよろしいということで 922 コンセンサスが得られたということにさせていただいてよろしゅうござい 923 ましょうか。−−それでは,そういうことにさせていただきます。 924 925  次に,第2の視点,「高度情報化社会への対応」に関する改正検討事項 926 につきまして御議論をお願いいたします。ここでは,会社関係書類の電子 927 化,株主総会の改善及び電子的方法による公告等の問題を取り上げ,高度 928 情報化社会に対応した効率的かつ確実な方法を可能にするための制度の整 929 備をすべきではないかという問題提起がなされておりまして,このような 930 個々の問題が列挙されているわけでございます。 931 932 ● 実は勘違いをいたしまして,第1点目の論点の方でございますけれど 933 も,情報の開示のところでございます。 934 935  インターネットを利用した計算書類の登記所の公開ということが論点と 936 して入っておりまして,これまでも委員の方からお話のあったIT革命の 937 中で,中小企業の観点でございますけれども,ディジタル・デバイドの懸 938 念というものが大変あろうかと思いますので,この流れというのを受けと 939 めていかなければいけないのじゃないかという立場で考えなければいけな 940 いと思っておりまして,関係する団体等にも検討を依頼をしたいと思って 941 おります。ここで先ほど○○幹事の方からも説明があったように,論点, 942 正に重要な項目だと思うものですから,その辺について,まだすぐにどう 943 こうということではないのですが,中小企業の立場も踏まえた検討を,先 944 ほど分科会というお話もございましたけれども,そういったところでもい 945 ろいろ御意見も集約されていく過程があろうかと思いますので,これから 946 またそういう場合に御説明させていただく機会をつくっていただければと 947 思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。 948 949 ● ディジタル・デバイドという問題は,中小企業もそうですし,例えば 950 一般の株主でもアクセスできる人とできない人と,どちらが多いのか,私 951 にはよく分かりませんが,そういう問題も常にあるかと思いますので,そ 952 の点も検討していただきたいと思います。 953 954 ● 私も,すぐ2番に飛んでいくと思わなかったものですから誠に済みま 955 せんけれども,完全親子会社における機関の在り方の中で,自己取引規制 956 の見直しと書かれていますけれども,通常自己取引の場合は,完全親子会 957 社間においては利害の衝突が全くないということで,自己取引規制の適用 958 はないのだということで,実際そういうふうに運用されていると思うので 959 す。ここで「自己取引規制を見直すか」と書いていますのは,完全親子会 960 社間の問題というよりも,もう少し広くて,子会社でありますとか,グルー 961 プ会社間の中での取引の問題だと,こういうふうに広く理解してよろしい 962 のかどうか,完全親子会社間における自己取引規制の見直し問題というの 963 は,余り論点として挙がってこないのではないかと思うものですから,ちょっ 964 と確認したいと思いまして。 965 966 ● 私,これを見ましたときに,これは今日ここで議論することではない 967 と思いますけれども,完全親子会社の自己取引は規制しなくてもいいとい 968 うことですけれども,それぞれ親会社の債権者,子会社の債権者がいまし 969 て,それにとりましては利害関係がありますので,その債権者との関係は 970 どうなるのだろうかという疑問を持ちましたので,そういった点もここで 971 御検討いただくということになるのではないかと私は理解しましたが。 972 973 ● 御指摘として,完全親子会社に限らず,親子会社関係があるところで, 974 取締役が双方の会社の取締役を兼ねているというときに,265条の自己 975 取引規制,場合によっては競業禁止の話も出てくるかもしれませんが,そ 976 ういうところについて,特に自己取引規制について承認を要するという今 977 の規制を維持する必要があるかどうかということだろうと思っております。 978 どこまでこの問題が対象とする範囲を広げるかということは,更に検討さ 979 せていただきたいと思います。 980 981 ● ほかにございませんか。 982 983 ● 私は全く分からないからお伺いするわけですけれども,1の方でイン 984 ターネットを利用した計算書類の登記所公開とか,あるいは2の方でも電 985 子的方法による公告とか,電子媒体による公告を認めるかとか,そういう 986 ものが出てきますが,認めるかとか,あるいはそういうあれを義務化する 987 かどうかというときには,それをやったら従来のやつはやらないというこ 988 とですか。要するに,私のようなアクセスする手段も持たなければ能力も 989 ないやつは,もう今後このような問題には立ち入るなと,こういう趣旨で 990 しょうか。 991 992 ● その点,先ほどのディジタル・デバイドの問題として検討するという 993 ことになるかと思います。 994 995  具体的には,そういうアクセスがいいかどうかということを,例えば招 996 集通知等であれば,一応そういうことを株主に照会するという手続は必要 997 になるのじゃないでしょうか。 998 999 ● 今後検討されるときに,私のような無能力者もいるということもお忘 1000 れなく。 1001 1002 ● それでは,先に進ませていただいてよろしゅうございますか。また後 1003 で御意見いただいても結構ですから。 1004 1005  第3の視点は,「資金調達手段の改善」でございます。企業の資金調達 1006 における間接金融から直接金融への移行,ベンチャー・ビジネス等新規企 1007 業の資金調達の需要の増大,ナスダック・ジャパン等株式等についての店 1008 頭市場の整備等に伴い,資金調達の円滑化,投資家の保護等の観点から, 1009 株式制度,社債制度,コマーシャル・ペーパーの制度等についても見直し 1010 が必要とする事項があるのではないかということから,検討事項が記載さ 1011 れております。この点について,このような検討項目でいいかどうか,御 1012 意見いただければと思います。 1013 1014 ● 3の「資金調達手段の改善」の中で,幾つか譲渡制限会社について触 1015 れていただいているのは大変結構なことだと思います。具体的には6ペー 1016 ジのオの(イ)とカのあたりですけれども。もちろん,書いてあることに 1017 必ずしも中身に賛成というわけではありませんけれども,これは今後議論 1018 されるということだと思いますが,せっかく譲渡制限会社,定款で株式譲 1019 渡制限を定めた会社ということだと思いますけれども,それの資金調達に 1020 ついて触れていただいているので,本当はもっと大事なことがあるのじゃ 1021 ないかということを一つだけ申し上げたいと思います。 1022 1023  ここに書いてあるのは,ベンチャー企業等を考えているのだと思うので 1024 すが,現在の新株発行等の手続は,全く公開会社しか考えていないのです 1025 ね。典型的には,280条の4第2項に,割当期日をその2週間前に公告 1026 しろという規定がありますが,あれ定款で株式譲渡制限を定めた会社につ 1027 いて,公告費用をかけさせて,2週間待たせる実益があるのかということ, 1028 だれが考えたってないのじゃないかと私は思っているのです。しかし,現 1029 在はこうなんですね。それをしないと,株主割当増資ができない。そうい 1030 う根本的な問題があるということも御認識いただきたいと思います。 1031 1032 ● 大変有益な御意見をいただきまして,ありがとうございました。 1033 1034  それでは,第3の視点でまだこれからも御議論いただきたい思いますが, 1035 ここで休憩させていただいて,それから続けさせていただきたいと思いま 1036 す。 1037 1038  3時15分まで休憩させていただきます。 1039 1040 1041           (休     憩) 1042 1043 1044 ● 再開させていただきたいと思います。 1045 1046  継続審議として,3の「資金調達手段の改善」について,何か御意見が 1047 ありましたらお願いいたします。 1048 1049 ● 今までの会社法小委員会の議論の中でも出ておらなかったもので,そ 1050 のときに申し上げるべきだったのですけれども,実は資金調達手段の問題 1051 で,有限会社の資金調達について今回の検討事項には全く入っておりませ 1052 んが,例えば社債の発行を登記所における計算書類等の公開を条件として 1053 認めるとか,何か有限会社に対する手当ても検討される必要があるのでは 1054 ないかというふうに考えているのですが。 1055 1056 ● 先ほど○○委員からもおっしゃったように,小規模企業についての検 1057 討ということも今回行おうということですので,その一環として検討され 1058 るということになろうかと思います。 1059 1060 ● 会社法小委員会の資料にあったのですけれども,無議決権株式か種類 1061 株式か何かの弾力化というのが入っておりました。その中で,トラッキン 1062 グ・ストックも資金調達として重要な手段なので,法的手当てをお願いし 1063 たいと申し上げてきたわけですけれども,今回その項目が消えているわけ 1064 です。これを再考願えないかということが1点であります。 1065 1066  2点目は,株式の無券面化問題も小委員会の資料に入っていたと思うの 1067 ですけれども,今回そこが落とされている。これもしかし,重要な検討課 1068 題だろうと思いますのが2点目であります。 1069 1070  3点目は,資金調達とは関係しないかもしれませんけれども,何度も申 1071 し上げますけれども金庫株の問題でございまして,特に金庫株の自社株式 1072 の問題もありますけれども,とりわけ子会社となってしまった場合に,企 1073 業再編に伴っていろいろな事由で子会社化された場合に,親会社株式を持っ 1074 ている場合に相当の時期に処分しろとなっている。これが企業再編に大き 1075 な障害になっているということが,その後の経済界の議論の中でも出てま 1076 いりまして,ある上場会社を子会社化したときに,親会社の株式を大量に 1077 持っている場合に,相当の時期というのがかなり厳しく解釈されているよ 1078 うで,かなり早い時期に大量の放出ということになってしまう。そうする 1079 と,子会社としての財産面での問題が出てくる。相当の時期の処分という 1080 のは,できれば撤廃できないものだろうかどうか。意図的に株式を取得し 1081 ていくという場合ではなくて,企業再編に伴って従来から持っているもの 1082 をそのまま持つということになったときの相当の時期の処分問題というこ 1083 とについての撤廃ないしは緩和というのができないだろうかというのが, 1084 経済界の中で議論してきたときに生じてきた問題であります。あるいは金 1085 庫株一般としての解除,解禁をお願いしたいわけですけれども,それが無 1086 理だということでありましたら,とりわけそういう子会社の親会社株式所 1087 有問題について検討していただきたいという要請でございます。 1088 1089 ● まず,トラッキング・ストックの問題ですが,これにつきましては, 1090 いずれにしてもここに「その他」というのがありますので,この中に入る 1091 ということで考えていただいてよいかと思います。 1092 1093  現在,現行法下でもトラッキング・ストック,一種の優先株式として発 1094 行が可能であるという解釈もあるようでございますけれども,ちょっと内 1095 容について統一的に理解されているかどうかというところが一つ気になる 1096 ところと,具体的にどういう形態で株式の発行が今求められているのか, 1097 そのニーズですね,そういう点をやはり検討する必要があるだろうと思っ 1098 ております。それから,発行に当たって法制上の手当てが必要かどうかと 1099 いうことですが,仮に必要として,今どういう点が障害になっているか, 1100 そういうあたりを十分に検討しないといけないのだろうと思っております。 1101 1102  それから,株式の無券面化の話でございますが,これも要は社債とかC 1103 Pの口座振替えによる決済制度との絡みで,株式についてどこまでそれを 1104 同じようなシステムの中で構築していけるかという問題があるだろうとい 1105 うふうに考えております。 1106 1107  金庫株の話ですけれども,これも具体的なニーズというのが十分に議論 1108 されているかどうかという点がまだはっきり分からないような気がしてお 1109 りますが,いずれにしてもこれもそういう指摘があることは承知しており 1110 ますし,先ほど申し上げました分科会では一応テーマとして挙げさせてい 1111 ただいているところでございます。 1112 1113  それから,相当の時期の処分の規定を一定の場合に取り除くということ 1114 ですが,自己株の話は取得自体もさることながら,それを長期間保有する 1115 ということが大きな弊害を生むという指摘があるところでございますので, 1116 これについても十分な検討は必要だろうと思います。それで,現行法の解 1117 釈,「相当の時期」の解釈である程度対応できる可能性もあるのではない 1118 かと思っておりますので,その点もこれから御議論いただければと思って 1119 おります。 1120 1121 ● 株式の無券面化と関係しますけれども,社債制度につきましては,先 1122 ほどから言われておりますように,来年の通常国会ということを目途とし 1123 ておりますので,これは非常に緊急に解決する必要があるわけです。 1124 1125  それと,株式の無券面化との関係をどう考えるかというようなことになっ 1126 た場合に,どの程度までやれるかという問題も相当大きな問題としてある 1127 かと思いますが,その点も御理解いただきたいと思います。 1128 1129  社債の方は,これは来年の通常国会に出すという,そういうことは大前 1130 提ですね。 1131 1132 ● 社債についてももちろん考えておりますし,もともとこの資料にもあ 1133 りますように,証券の決済システムをできるだけ統一化しようという流れ 1134 で検討しておりますので,株式の取扱いについても,そういう観点からの 1135 議論をしているところでございます。 1136 1137 ● ほかにございませんでしょうか。 1138 1139  これは昭和61年の試案に出ていて,平成2年改正の際の審議では非常 1140 に議論されたところで,平成2年の改正では実現しなかった制度で,株券 1141 失効制度というのがあるのですが,これは相当程度まで詰めていたのです 1142 が,これはもうその問題,実務的には余り……。無券面化ということにな 1143 りますと株券失効というのもむだだということになるかもしれませんけれ 1144 ども,全部の株について無券面化ということまで……。 1145 1146  今の○○委員のおっしゃったことは,株は一切出さないという,そうい 1147 う意味での無券面化をお考えだったわけですか。 1148 1149 ● フランスのように,そういうふうにできればと。 1150 1151 ● そういう在り方と,会社によっては無券面化できるという,これは昭 1152 和61年の改正試案では定款で定めれば株券は発行しないことができると 1153 いうような制度がありましたし,株主が請求するときに限り発行するとい 1154 う制度もありましたし,いろいろなやり方があるかと思いますけれども, 1155 それとの関係で株券失効制度というのはもう要らないのかどうかというこ 1156 とも,当時相当詰めて議論をしましたのでちょっと気になるところですの 1157 で,もし時間があったら御検討いただければということも,私としては考 1158 えております。 1159 1160 ● そのままいくと,次は「企業活動の国際化への対応」ということになっ 1161 てしまって,発言する機会がなくなってしまうかもしれませんので,例の 1162 LLC,何度も申し上げておりますけれども,税がついてくるためにはや 1163 はり商法でそういうビークルがなければということだろうと思います。税 1164 が無理だろうから商法上やってもむだだということではなくて,まず商法 1165 の中で手当てをしていただいて,それから税の措置を考えていただくとい 1166 うことで,是非LLC,有限責任事業組合制度の創設についても,今度の 1167 三つの分科会のどの分科会に入るのか分からないのですけれども,検討し 1168 ていただければということと,あとは前から通産省の○○幹事の方から申 1169 し上げましたキャッシュ・アウト・マージャーでありますとか,一般的に 1170 現物出資の検査役制度問題をどうするのか,そのあたりも検討課題に挙げ 1171 ていただきたいということでございます。 1172 1173 ● 検査役の話は小委員会でも実は非常に頻繁に問題指摘がありまして, 1174 これは検討の対象にしないといけないだろうと思っておりますが,LLP, 1175 LLCの方は,つまり1年半の中でこれを検討するかどうかという点につ 1176 いては,他の検討事項との兼ね合いもありますし,アメリカのLLC,L 1177 LPというのが,パートナーシップとコーポレーション,すなわち組合と 1178 会社を両対局として,その間にLLP,LLCと言われて,何か非常に複 1179 雑な,いろいろな州によって異なる事業形態があるようなんですね。どう 1180 も名称的には同一の名称を使われているようですけれども,各州によって 1181 相当な違いがあるようなものですから,ちょっと具体的にどのあたりの制 1182 度を念頭に置いて導入を要望されているか,このあたりが我々として十分 1183 に把握し切っていないということです。 1184 1185  それから,恐らくこれは構成委員の個人責任を有限責任にするというこ 1186 とと,いわゆる二段階の課税を避けたいということで,今,御指摘があっ 1187 たとおり税の問題が非常に大きいのだと思うのです。今のお話からします 1188 と,例えばある団体に法人格を与えないということであれば,現行商法上 1189 匿名組合という制度がある,この匿名組合という制度ではどうしてまずい 1190 のかということも検討する必要があると思います。 1191 1192  逆に,法人格を与えながら税制上二段階の課税をしないということにつ 1193 いては,税務当局との調整が必要であると思います。ここは,そのあたり 1194 の見通しを持って動かないと,匿名組合とか,会社制度,合名・合資会社 1195 の制度がある中で,新しい制度をつくってみたけれども,当初の目的を達 1196 し得ないということにならないかどうか,このあたりの見通しはやはり十 1197 分つけた上で検討していく必要があるのではないかと思っているところで 1198 ございます。 1199 1200 ● 今のお答えでちょっと教えていただきたいのですが,匿名組合とどう 1201 いう結びつきになるのですか。匿名組合というのは,そういうファンクショ 1202 ンがあるのかな。 1203 1204 ● どの点を問題としておられるのですか。 1205 1206 ● 匿名組合というのは,出資をして,そして事業をやるのは事業主体が 1207 やるわけで,その出資の関係だけが匿名組合になって,それは外に出ない 1208 から匿名組合なんで,それだけの話なんじゃないかという気がするのだけ 1209 れども,匿名組合制度がこれにかわり得るというところがよく分からない。 1210 1211 ● 出資をするが名前は出したくない,しかも匿名組合であれば税が二重 1212 にかからない,そういうことで匿名組合という制度が利用できないのかと 1213 いう問題提起です。現行の匿名組合制度の利用について,特に一番の問題 1214 は何か,どこが利用しにくいのか,そのあたりを十分見極める必要があり 1215 ますし,もし匿名組合制度が使い勝手が悪いということであれば,場合に 1216 よっては匿名組合制度自体を見直すということもあり得るわけですね。 1217 1218 ● それもまたよく分からない。 1219 1220 ● 匿名組合の性質論を議論するということではなく,むしろ,経済界の 1221 方で今の匿名組合制度等の問題点を少し整理していただきたいということ 1222 でございます。 1223 1224 ● 平成10年の中小企業庁の方の関係でとられた投資有限責任組合でし 1225 たか,あれとはどう……。あるいは細かく言うと違うのかもしれませんけ 1226 れども,相当近いものじゃないかなという感じもして,実体が余りよく分 1227 かりませんので,そういう感じもして御意見お聞きしていたのですけれど 1228 も,それではだめでというのもちょっと御検討いただければと思いますが。 1229 現在,あれが使われているのかどうか,平成10年にできた非常におもし 1230 ろい制度だなと思って。 1231 1232  あれは,一部の人が無限責任を負うのですかね。それでほかの組合員は 1233 有限責任。基本的には何かいろいろな人が考えているのと同じことじゃな 1234 いかなと。どこが違うのかよく分かりません,その点は。 1235 1236  その点も検討してみなくてはならないかなと思っております。 1237 1238 ● それだと合資会社を考えればいいのかなと。匿名組合というけれども, 1239 組合とあそこで使っている組合という概念に,事業共同体としての組合み 1240 たいなことを考えるから間違えるので,出資をしているやつ同士の間の関 1241 係というのは全く無関係なんですね。それを,組合だから何か関係がある 1242 かのごとくに理解して,これで置き換えられるのじゃないかというのが, 1243 何か理解の間違いの始まりじゃないかという気がするものだから,ちょっ 1244 とそこのところを伺いたいと思って。 1245 1246 ● いずれにしても,もう少し検討する必要があるかと思います。ありが 1247 とうございました。 1248 1249  それでは,資金調達はこれでよろしゅうございますか。また後で御意見 1250 がありましたらお伺いいたします。 1251 1252  次に,「企業活動の国際化への対応」ということでございます。これに 1253 つきましては,特に独立の改正検討事項というよりは,1から3までの視 1254 点に基づく改正を検討するに際しまして,国際的な制度の整合性にも配慮 1255 すべきであるという問題提起であると思います。ただ,会社法小委員会で 1256 は,我が国において活動する外国企業の増加に伴い,これと取引をする者 1257 を保護するための制度について,改正検討事項として取り上げてはどうか 1258 という問題提起がなされており,この点について取り上げたらどうかとい 1259 うことでございました。例えば,現行商法の479条でしたか,代表者を 1260 定め営業所を設けるというようなこと,こういうことを前提として取引の 1261 相手方を保護するということでは不十分ではないかというような御意見が 1262 あったかと思いますが。 1263 1264 ● ちょっと別の話でございますが,先ほど,○○委員にいただいた点で 1265 ございますけれども,前の小委員会の資料で,ここは「等」がありまして, 1266 その「等」の中に含まれているのかなというふうに理解をしていたところ 1267 ですが,やはり外国企業とか,あるいは弁護士の方から我々もニーズを言 1268 われるのですけれども,キャッシュ・アウト・マージャーとか,あるいは 1269 少数株主の強制株式の買取りのような話を使って,外国企業が日本で10 1270 0%の現地法人を,既存の会社を買収するような形でつくりたいというと 1271 きに,そういう制度を使いたいという希望も聞いておりまして,そういう 1272 検討も引き続きやっていただきたいなと思っております。 1273 1274  この点につきましては,引き続き我々の方もニーズをもう少し把握した 1275 いというふうに考えておりますので,その議論の中でまた発言させていた 1276 だきたいと思います。 1277 1278 ● 御意見として承らせていただきます。 1279 1280 ● 「等」が落ちております。 1281 1282 ● よろしゅうございましょうか。 1283 1284  それでは,視点の第5として掲げられました「商法典の現代語化」につ 1285 きましては,これを取り上げること自体には全く異論がないと存じますが, 1286 問題は先ほど御説明にありましたように,実質的な改正事項が相当にあり 1287 ます。その対応が迫られる中で,どのようなタイミングで,どの範囲で商 1288 法の現代語化を行うかということであろうと思います。御意見をいただけ 1289 ればと思います。 1290 1291  例えば,会社法を独立させて,それを先行させるかというようなことが 1292 問題点としてあったと思いますが,そういった点について御意見いただけ 1293 ればと思います。 1294 1295 ● 会社法だけ先に走らせるということについて,全く異論はございませ 1296 んけれども,会社法を先に走らせると,ほかのところは必ず大幅におくれ 1297 るだろう可能性があるということだけ申し上げておきます。 1298 1299 ● 会社法を独立させるということは,相当大きな問題だと思います。昭 1300 和7年改正で手形法を独立させたと同じような問題になるかと思いますが, 1301 その点について御意見いただければと思います。 1302 1303 ● 有限会社法がもう既に独立しておりますから,会社法を独立させても, 1304 そんなにおかしくないのではないかというふうに思っております。 1305 1306 ● ほかに御意見ございませんでしょうか。 1307 1308  以上でよろしゅうございましょうか。 1309 1310  それでは,○○委員から御発言がございます。 1311 1312 ● 先ほど,○○委員から御指摘のありました立法のスピードの問題でご 1313 ざいます。申し上げようかどうかと若干迷っていたのですが,ありていに, 1314 審議会の委員ということではなくて,所管局長として御参考までに幾つか 1315 申し上げたいと思います。 1316 1317  私どもの立場からいたしますれば,経済界から大変強い御要望があって, 1318 また法制審議会で,あるいは一般国民の立場から,あるいは株主,関係債 1319 権者の立場から見ても問題がないという改正であれば,早くすべきである 1320 ということはごもっともだと思いますし,そうしなければならないと思っ 1321 ております。 1322 1323  ただ,その前提として二つぐらいのキャパシティーの問題があります。 1324 一つは,私どもの方から言いにくいことですが申し上げますと,国会の衆 1325 議院,参議院の法務委員会のキャパシティーの問題があります。今までこ 1326 の2年間,相当程度立法が進みましたが,やはり相当その点にネックがあ 1327 るわけでして,例えば次の通常国会が9月末から開会されるとしますと, 1328 いろいろな問題から見て2か月程度だと思います。その中で,これは政府 1329 全体として大きな問題になっておりますのは少年法の改正なんですが,こ 1330 れは提出されるはずですが,これは与野党の間で相当議論があるだろうと 1331 思われます。これは法務委員会で優先的に審議されますから,これが終わ 1332 らないとほかの法案はできないということになります。それからもう一つ 1333 は,補正予算が出るかどうかという問題ですが,これが出ますと予算審議 1334 が優先ですから,それが終わるまでは一般の法案の審議はなされないとい 1335 うのが国会のルールでございます。ですから,そういう中でどのぐらいで 1336 きるかということなんですが,私どもとしては次の臨時国会には,従来か 1337 ら申し上げている国際倒産法制の整備の法案と,それから個人で破産宣告 1338 の人が非常に増大しておりますので,個人版の民事再生手続をつくると。 1339 これは,実は今週末の金曜日の法制審議会の総会で御答申いただくことに 1340 なっていますので,これを是非通させていただきたいと思いますが,2か 1341 月ですとこの2本を通すのがやっとではないかなという感じを持っている 1342 ところでございます。 1343 1344  それから,次の通常国会でございますが,今のところ私どもで考えてご 1345 ざいますのは,先ほどから申し上げておりますCPや社債,できれば株式 1346 についても口座振替えでするという,DVP(Delivery Versus Payment 1347 )を実現すると,取引の安全化を図るという意味での法案を提出いたし 1348 たいと思っておりますが,これと,それから実は地方分権の改革基本法の 1349 ときに閣議決定のときに宿題になっておりました中間法人法制が,2年以 1350 内に提出しろということになっていますので,実はこれも出したいと思っ 1351 ております。そのほか,あとは弁護士事務所の法人化という問題がござい 1352 まして,これも早急に提出しなければならないだろうと思っております。 1353 これは司法法制調査部でございますが,それがあります。それから,刑事 1354 の関係ではカード犯罪が非常にふえておりますので,カード犯罪に関する 1355 罰則の整備をするという法案がございます。あとは毎年同じような裁判所 1356 の定員法というもの。大体これが今予定している法案なんですが,実は来 1357 年は参議院選挙がございまして,6月ごろまでしか会期がないのじゃない 1358 かと思いますと,4月までは予算関連法案,予算がかかりますので,残り 1359 の2か月弱の間にそれだけ通さなければならんという問題がございます。 1360 そういう国会のキャパシティーが一つ問題があるのですが,これは私ども 1361 はいかんともし難い問題でございますので,それはそれとして受け取らな 1362 ければいけないのですが,ですから場合によっては例の成年後見に関する 1363 民法等の改正法案のように,与野党全部が賛成だったにもかかわらず,参 1364 議院では通らなかったという事態が生じることになります。ですから,そ 1365 ういうキャパシティーの問題があって,私どもとして,事務当局としては 1366 それも念頭に置かなければ法案等の仕事はできないのだということを,ま 1367 ず1点御理解いただきたいと思います。従来から会社分割についても,そ 1368 の前の株式交換,株式移転につきましても,これは非常に緊急性があるも 1369 のだということで,与野党に大変根回ししまして何とかいたしましたが, 1370 おのずから限界があるということが第1点でございます。 1371 1372  それからもう1点のキャパシティーの問題は,これは事務方のキャパシ 1373 ティーの問題でございます。先ほど言ったような案件を私どもの方で今鋭 1374 意努力しているところですが,例えば先ほどの口座振替えによる社債やC 1375 Pの問題を整備するにも,相当なまだまだ詰めが要るかなということになっ 1376 ておりまして,今のままのキャパシティーではなかなか限界があるという 1377 ことは,正直言って申し上げないといけないと思うのですが,特に私ども 1378 の方の担当者でも,いろいろ能力のある者,スタッフを育成しております 1379 が,何と言っても全体の量の問題があるということでございます。これは, 1380 私どもの努力次第では何とかなる問題でございまして,現に保岡法務大臣 1381 からも何とかするようにという御指示もございますので,これはさまざま 1382 な方法を凝らして何とかできるだけいたしたいと思っております。これが 1383 ある程度めどがつけば,また立法のスピードも上げることができるのだと 1384 いうことを御理解いただきたいと思います。 1385 1386  私どもとしてはそういうことで考えておりますが,そうしますと最終的 1387 には法制審議会の審議が非常に詰まってまいりまして,実は倒産法制の整 1388 備の場合は,民事再生法等大分前倒しをいたしましたので,倒産法部会で 1389 は大体午後1時から開会しまして終わるのが6時ごろまでかかったりしま 1390 して,それを月に3回やるとかいうような状態でずっとやっていただきま 1391 して,それで民事再生法は何とか間に合ったのですが,委員会の諸先生方 1392 にも,場合によってはそういうこともお願いしなければならない事態にな 1393 るのかなというふうに感じているところでございます。ですから,一般論 1394 として私どもとしてはスピードを上げるべきものは上げなければいけない 1395 と,こういうふうに思っておりますが,もう一つは帝国陸軍や海軍のよう 1396 に,兵力の逐次投下とか,戦線を無理に拡大するというのは効率が挙がり 1397 ませんので,そういうことも念頭に置いて,最も効率があって,緊急性の 1398 あるものに対応するのはどうしたらいいかということも考えなければなら 1399 ないということになるわけでございます。 1400 1401  いろいろ申し上げましたが,そういうことを考えながらやっているのだ 1402 ということを是非御理解いただきたいと思います。ありがとうございまし 1403 た。 1404 1405 ● 本日は,これまでの小委員会での審議を踏まえて作成しました資料を 1406 もとに,次期商法改正につきまして基本的な方針,見直しの視点,及び具 1407 体的な改正検討事項につきまして御議論いただきまして,改正の基本方針 1408 等を御決定いただきました。今後は,この商法部会での決定を受けまして, 1409 会社法小委員会における検討作業を行ってまいることになるわけでござい 1410 ます。 1411 1412  それでは,最後に今後の法制審議会の審議日程等につきまして,○○幹 1413 事の方から御説明をお願いいたします。 1414 1415 ● 先ほど御説明申し上げました研究会で準備作業をやるというのは,実 1416 はこの場面で御報告をしようと思っていたわけですけれども,先ほどお話 1417 しさせていただきましたのでここは省略させていただきます。 1418 1419  法制審議会の今後のスケジュール,大まかなスケジュールを申し上げま 1420 すと,先ほど申し上げたようなやり方で,会社法小委員会において具体的 1421 な改正検討事項についての審議を行ってまいります。本年度中,というこ 1422 とは来年の3月までですが,できれば中間的な試案を作成し,商法部会の 1423 了承を得るということになります。その上で,商法改正については常に行っ 1424 ておりますパブリック・コメント,各界への意見照会を行いまして,その 1425 意見を踏まえて要綱案の作成に入り,次の次の通常国会に向けた審議を行っ 1426 ていくということになると思います。 1427 1428  なお,法務省では,この間,コマーシャル・ペーパーのペーパーレス化 1429 及び社債決済制度の整備のための法案作成作業,これは金融庁との共同作 1430 業でございますけれども,これがございます。相当にタイトな日程で検討 1431 を行うということになります。法制審議会の委員・幹事の皆様方にも,審 1432 議会だけではなく,その内外でまたいろいろ御尽力をお願いすることにな 1433 ると思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 1434 1435 ● 先ほど,今後の立法の予定について一つだけ言い落としましたが,法 1436 制審議会で答申をいただいてまだ成立していない法案が,実は民事訴訟法 1437 の一部改正法案がございまして,これは行政情報公開法の施行がもう目前 1438 でありますので,これも早く通さないといかんというのが,日弁連等から 1439 も御要望があることでございまして,これも私どもがこれからやらなけれ 1440 ばならないというか,もうできているのですが,国会を通すべきものの中 1441 には入っているということを,先ほど落としましたのでつけ加えさせてい 1442 ただきたいと思います。 1443 1444 ● 本日は,4月以降,会社法小委員会において検討してまいりました今 1445 後の商法改正につきまして,商法部会として基本方針等を決定いたしまし 1446 た。今日の社会経済情勢の動きの速さを反映して,短期間で集中的な審議 1447 が必要になります。皆様方の一層の御協力と御理解を賜りますよう,改め 1448 てお願いを申し上げます。 1449 1450  本日は,御熱心に御審議をいただきまして,どうもありがとうございま 1451 した。これで閉会としたいと存じます。