http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html 第155回国会 参議院予算委員会 第2号 平成十四年十月二十五日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  十月二十四日     辞任         補欠選任      泉  信也君     月原 茂皓君      谷川 秀善君     林  芳正君      松 あきら君     風間  昶君      宮本 岳志君     八田ひろ子君      平野 達男君     西岡 武夫君  十月二十五日     辞任         補欠選任      八田ひろ子君     池田 幹幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 木村  仁君                 田村 公平君                 保坂 三蔵君                 松谷蒼一郎君                 郡司  彰君                 齋藤  勁君                 山本  保君                 小池  晃君                 平野 貞夫君     委 員                 有馬 朗人君                 市川 一朗君                 大島 慶久君                 国井 正幸君                 山東 昭子君                 世耕 弘成君                 田中 直紀君                 伊達 忠一君                 武見 敬三君                 月原 茂皓君                 中川 義雄君                 仲道 俊哉君                 林  芳正君                 宮崎 秀樹君                 山下 英利君                 山下 善彦君                 朝日 俊弘君                 佐藤 道夫君                 櫻井  充君                 辻  泰弘君                 福山 哲郎君                 藤原 正司君                 円 より子君                 峰崎 直樹君                 若林 秀樹君                 風間  昶君                 福本 潤一君                 森本 晃司君                 池田 幹幸君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 八田ひろ子君                 高橋紀世子君                 西岡 武夫君                 大脇 雅子君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     塩川正十郎君        文部科学大臣   遠山 敦子君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   大島 理森君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     鈴木 俊一君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    谷垣 禎一君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)        (科学技術政策        担当大臣)    細田 博之君        国務大臣        (金融担当大臣)        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣        (規制改革担当        大臣)      石原 伸晃君        国務大臣        (防災担当大臣) 鴻池 祥肇君    内閣官房副長官        内閣官房副長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        内閣府副大臣   根本  匠君        防衛庁副長官   赤城 徳彦君        財務副大臣    小林 興起君        文部科学副大臣  河村 建夫君        厚生労働副大臣  鴨下 一郎君        厚生労働副大臣  木村 義雄君        農林水産副大臣  太田 豊秋君        経済産業副大臣  西川太一郎君        環境副大臣    弘友 和夫君    大臣政務官        内閣府大臣政務        官        木村 隆秀君        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君        外務大臣政務官  新藤 義孝君        外務大臣政務官  日出 英輔君        経済産業大臣政        務官       西川 公也君        国土交通大臣政        務官       岩城 光英君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君        環境大臣政務官  望月 義夫君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       瀬川 勝久君        総務省統計局長  大戸 隆信君        法務省民事局長  房村 精一君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        国税庁長官官房        審議官      大西 又裕君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○参考人の出席要求に関する件 ○予算の執行状況に関する調査     ───────────── 委員長(陣内孝雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求める こととし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じま すが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたし ます。  予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁速水優君 を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 予算の執行状況に関する調査についての理事会決定 事項について御報告いたします。  本日の質疑は総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は百三十八分とし、各会 派への割当て時間は、自由民主党・保守党五十一分、民主党・新緑風会四十分、 公明党十五分、日本共産党十五分、国会改革連絡会十二分、社会民主党・護憲 連合五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりで ございます。     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。  それでは、これより質疑を行います。峰崎直樹君。 ○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。  本当に今の日本の経済の問題、特に金融問題を含めて大変な難局にあると思 いますので、主要にはそちらの論戦にしたいというわけでありますが、実は昨 日の衆議院の予算委員会でも、どうもやはり第二次小泉内閣の閣僚の中に疑惑 を招いておられる、言うまでもなく農水大臣でありますが、昨日の論議をまた 参議院で大きく繰り返すつもりはありませんが、実は今この問題がなぜ問題に なっているのかといいますと、これは参議院の場ですから、ちょうど参議院の 補欠選挙が戦われています。二か所あるんですね。鳥取は亡くなられました、 一人は。もう一つは、もう一人の方は、実は参議院の議長までやられた方が実 は議席を失われたと。今回のその、お手元に資料をお配りしておりますけれど も、疑惑の在り方というのは全く私どもが知る限り実は同じパターンじゃない かと思うんです。  農水大臣、参議院議長までやられた方が自分の秘書の口利き疑惑で議員を辞 職された、その重みを考えられて今の心境をお聞かせ願いたいと思います。 ○国務大臣(大島理森君) 今、先生から元当院の議長にかかわる問題をお出 しいただきながら、そして心境いかんという御質問でございました。  私は、週刊誌等で報道されて以来、本当に真剣にまずこの問題について私自 身ができ得る事実を彼から聞き出し、そして誠実にそれを答えていくことが私 の今のまずなすことであり、そしてそれが責務だと、そういうふうな思いの中 で自分の十九年間の政治の生きざまというものを考えてみたときに、その事実 を明らかにする、彼から聞き出し報告をしていくという努力と同時に、本当に なお自分の身を律しながら事に当たっていくことがどんなに重要かということ を痛感しながら毎日を努力している状況でございます。 ○峰崎直樹君 何を今おっしゃっているかよく分からないんですが、ただ、こ れ以上、今やり始めますとまた時間が長くなります。  そこで、どうしても昨日のやり取りを聞いていて分からない点がたくさんま だ残っています。調査もされると言います。そこで、私どもはやっぱり国会の 場で、この参議院の場でも、元政務秘書ですか、そしてAさんとおっしゃる方 でまだ私どもよく分からないんですが、分かり次第、明確になり次第、参考人 をこの参議院の予算委員会の場に招致したいと思いますので、委員長、取り計 らいをお願いいたします。 ○委員長(陣内孝雄君) 後刻理事会で協議いたします。 ○峰崎直樹君 実は、総理、今の問題と併せてお聞きしたいことがあるんです が、実は、これはあらかじめ通告しないで、今朝、私のところに入ったもので すから、急遽の話になりますが、現在、福岡六区というところでも非常に選挙 戦が華々しく戦われているんだそうであります。  実は、私もこの種問題について非常に敏感にならざるを得ない立場なんです が、その福岡六区で十月二十日だそうでございますが、これは朝日新聞に載っ た記事でもございますが、このさわ荘会館というところ、久留米市にあるんだ そうですけれども、主催は自民党の福岡県連で、参加されたのは自民党のそう そうたるメンバーですね。古賀元幹事長外、あるいは衆議院議員太田誠一さん、 野中広務さん。集まられたのは福岡六区、七区内の各市町村長や正副議長さん。 この方、何とそこの場でおっしゃられたのかというと、これはどなたが書かれ たのか、こういうふうに発言されたというんです。六区の各自治体がどんな運 命をたどるのかがこの選挙で決まると、こういうふうにおっしゃったと。  私は、鈴木宗男さんも実は北海道で、今逮捕されておられますけれども、同 じように各選挙ごとに、いやこの選挙結果いかんが次のあなた方の市町村の運 命を決めますよと、もっと言えば、もっとどぎついことをおっしゃっていたと 思いますが、こういう体質というのはやっぱり変えていかなきゃいけないと、 自民党のこういう体質は変えなきゃいけないんじゃないかというふうにおっしゃ られたのは小泉さんじゃないかと思うんですね、首相になられたとき。この点 についてどう思われるか、またこの点についてどう対処されるか、お聞きした いと思います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 選挙になりますと、自民党でも民主党でも どの党でも、命運を決するとか、この人によって変わるとか、いろいろ言うん じゃないですか。 ○峰崎直樹君 ちょっと聞き捨てならないんですが、国会議員というのは正に 国全体のことを考えなきゃいけないんですね、もちろん地域を愛する気持ちは あると思うんですが。どうしても今の発言は、余り一国の総理の発言として私 どもは納得できません。  これ以上、私どもは時間ありませんので、経済問題に追及していきたいと思 いますが、是非こういった点について改革をしていただくようにお願いしたい と思います。  さてそこで、最初に小泉総理にお尋ねしますが、金融担当大臣を替えられま した。なぜ替えられたんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 経済、財政、金融、現下の状況におきまし ては一体的に運営した方が分かりやすいであろうし、また竹中大臣のいろいろ な考え方も私は支持しておりますし、経済財政諮問会議という場でいろいろ議 論しております。  そういう中におきましても、全体をにらみながら、この際、総合的に金融も 経済も財政もにらみながら対策を練った方が有効ではないかと思いまして、竹 中大臣を起用いたしました。 ○峰崎直樹君 総理は、かつて私が金融問題、いろいろ専門家の意見を聞いて きたのに、言っていることが正反対なんだと、専門家の中でもそうだし、大臣 の中でも恐らくそうだと思う、その見解、どっちが正しいかは最後は総理が決 断するしかないんだと、こうおっしゃったんですね。  そうすると、今、竹中さんの見解を支持すると。そうすると、だれの見解は 取らなかったんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、だれの見解を取る取らないにしても、 最終的には内閣で一致して決めるわけですから、今、その取りまとめに竹中大 臣が、その直接の責任者として様々な意見を伺っていると。それを踏まえて判 断したいと思っております。 ○峰崎直樹君 それでは、柳澤金融担当大臣のどこが問題だったんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、いろいろ柳澤大臣も今まで努力を していただきました。各政党におきましても、そのときの情勢によってどうい う人を起用するかというのはトップの判断でしょうし、私も自らの判断で、こ の際は竹中大臣が適切だと。だれがいいとかだれが悪いとか、人事権者として そういうことは言わない方がいいと思います。 ○峰崎直樹君 ちょっと矛盾していませんか。総理は一内閣一閣僚と言ってき たんじゃないんですか。その一内閣一閣僚として一年半も任命しておられて、 そしてだれがいいかどうかというのは、それはおれが任命権者だから勝手に決 めるんだと。それなら、一内閣一閣僚と言わなきゃいいじゃないですか。どう なんですか、そこは矛盾ないですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 一内閣一閣僚というのは、できるだけ閣僚 というのはくるくる替わらない方がいいということでありまして、基本線とし ては私はそれは今でも変わりません。そんなにくるくる替えるべきものじゃな いと。 ○峰崎直樹君 それでは、なぜ一年半もやられた方を今回替えられたんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは私の判断でやりました。 ○峰崎直樹君 説明になっていませんね。その根拠はどこにあるんですかとい うことを聞いているんです。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは最初に答弁したんです。総合的に判 断した方がいいから。 ○峰崎直樹君 総合的では全然分からないんです。金融政策をめぐる論点で、 どういう点が問題で、どういう点を変えようとしたのかを答えてください。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 竹中大臣は不良債権処理を加速した方がい いという考えであります。同感であります。 ○峰崎直樹君 じゃ、柳澤大臣は加速をさせないと言っていたんですか。それ とも、不良債権を、その処理はしないと言っていたんですか。どうなんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは柳澤大臣も不良債権処理に努力をし ておられました。その間いろいろな事情がありまして、考え方とか手法とかい ろいろあるでしょう。総合的に判断して、竹中大臣が今までの経済、財政、金 融、総合的に見ながらこの事態に対処できるなという観点から、竹中大臣を起 用しました。 ○峰崎直樹君 もう一つ、別の観点から聞きましょう。金融と財政はなぜ分離 したんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それもよく言われますが、大蔵省の時代に 金融と財政を分離しました。経済財政、財務省、違います。混同しないでくだ さい。 ○峰崎直樹君 混同はしていません。財務省は依然、厳然としてあるわけです からね。しかし、財政政策も含めて総合的に提案する。  そうすると、経済財政諮問会議というところはトータルとして日本の経済、 財政を見るわけですね。そして今度は金融政策も。そうすると、財政政策も金 融政策も両方実は竹中大臣に任せたということになりませんか、一面。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大蔵省時代に財務大臣と金融部局、名前が 変わりましたけれども、財務大臣と金融担当大臣を一緒にしますと、それは大 蔵省に戻ったという言い方も言えるかもしれません。しかし、今回は違います。 ○峰崎直樹君 しかし、私どもはどうしてもそこのところが納得できないです ね。財政政策で、この間、骨太方針の中に、もちろん財務大臣の見解も入って いるでしょう。しかし、財政政策も金融政策も全部あるでは、一点になって、 竹中大臣に任せたということになりますね。そういうふうに考えられませんか。 みんなマスコミはそうとらえていますよ。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) マスコミのとらえ方は違っております。 ○峰崎直樹君 この問題はまた引き続き進めたい、このままやっていると水掛 け論になりますから、また更に進めていきたいと思いますが、いずれにせよ、 もう一つ実は総理に聞いておきたいことがあるんです。  二月危機、三月危機、野党の諸君あるいはマスコミの諸君はみんないつも危 機だ危機だと言うけれども、危機は起こらなかったじゃないですか、こう言い ましたですね。確かに、二月はいわゆる株価対策でもって少し動いたかもしれ ない。しかし、危機でない危機でないとおっしゃるんだったら、今の日本の金 融機関の不良債権問題も含めて淡々と進めていったらいいんじゃないんですか。 そういう考えをずっと持っておられたんじゃないんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 危機というのは人によって取り方が違いま すが、金融危機対応会議を開くのを危機というんだったら危機じゃないと。し かし、平時でもない。その点はいろいろ字義の解釈でありますが、いわゆる政 治家として、総理として、危機だという場合には金融危機対応会議を開くとい うこともあり得ます。しかし、そこ、金融危機対応会議を開く時期ではないと。 ○峰崎直樹君 この問題についてまた、後でまた不良債権問題進めたいと思い ますが、そこで今度は金融分野緊急対応戦略PTの中間取りまとめの経過につ いてお尋ねしたいと思いますね。  まず総理にお尋ねしますが、二十一日の夜に総理と福田官房長官、竹中金融 担当大臣、伊藤内閣府副大臣、高木金融庁長官、そして後ろにおられる丹呉総 理大臣秘書官、ここで竹中さんの出された案について総理はどういう判断をさ れましたか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 基本方針として了承しました。その線に沿っ て手続、段取り、うまくやって、今月中にまとめてくれという指示をいたしま した。 ○峰崎直樹君 福田官房長官にお尋ねしますが、その後、これは会議、何名か で終わった後に、高木金融庁長官と丹呉秘書官と三名で何かお話しなさったこ とはございますか。 ○国務大臣(福田康夫君) メンバー、よく分かりません。ただ、高木長官と 話はいたしました。 ○峰崎直樹君 じゃ、高木長官とどんなこの問題について話をされたんですか。 ○国務大臣(福田康夫君) 金融行政のことについて説明を受けました。 ○峰崎直樹君 事務方からどんな話をお聞きになったんですか。 ○国務大臣(福田康夫君) 話の内容について一々御説明申し上げる必要はな いと思います。 ○峰崎直樹君 ここでは話すことができないとおっしゃるんですね。  じゃ、次の日、竹中大臣、自民党八役に説明されましたね。そのとき了承を 得られないで、善後策の協議のために官邸を訪れられましたね。そのときには どなたに相談されたんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) まず、誤解があるといけませんので。了承を得る、 得ないというような会合ではまず自民党の役員会ではございません。論点につ いて今詰めておりましたので、その論点についてお話をして御意見を伺うとい うのが当初からの目的でございました。  その後、官邸に行ったかどうか、ちょっと急に聞かれましたので定かに覚え ておりませんが、恐らく日程の調整等々で官房長官にお目に掛かったのかなと、 定かではございませんが、そのように思います。 ○峰崎直樹君 これ今、参議院の予算委員会を開いているときに、中間報告が 発表されないままに議論せざるを得ないんですよ。二十二日、了承を得て発表 する予定だったんでしょう、二十三日。二十二日の夕方、官房長官、どんな指 示出されたんですか。 ○国務大臣(福田康夫君) 私の方から指示を出したという記憶はございませ ん。  ただ、いつ、どういうふうに、竹中大臣もよく私、お会いしますので、いつ、 どこで、どういうふうな話をしたか、今ここで思い出せません。 ○峰崎直樹君 それでは、大切なこの予算委員会で集中的に議論しなきゃいけ ない大きな課題が、中間報告が公的に出ない。この二十三日に発表見送りとい うのはどなたが決めたんですか。これは竹中さんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 論点の整理を進める過程でいろんな方に御相談を いたしました。論点そのものに加えまして、やはりそれに関連する諸政策、例 えば雇用の問題、セーフティーネットの問題、中小企業対策の問題、やはりそ ういうものと併せて出す方が国民及び市場に対するメッセージとしては適切で あろうというふうな御意見を賜りました。そういった御意見を受けて、私自身 で、これはやはり混乱を招くことを避けるためにも、部分的に発表するのでは なくて最終的に総合的なものを出す方がいいというふうに判断をいたしました。  昨日の予算委員会の審議でも、やはりこれは総合的なものが必要だという御 意見をたくさんいただきましたので、私の判断は正しかったと思っております。 ○峰崎直樹君 総理、予算委員会を私たちがやる大きな課題というのは不良債 権問題だったでしょう。当然これ中間報告が出されるという前提の下で私たち は議論しなきゃいけないのに、それが出てこなかったんですよ。この責任とい うのはどこにあると思いますか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 予算委員会というのは、経済、外交、あら ゆる問題議論していますね、予算以外の。いろんな議論あると思いますよ。 ○峰崎直樹君 総理、ちょっとひどくないですか。  だって、この金融国会ですよ。国会の所信表明演説で、この金融問題を含め て不良債権問題の早期化を図る、大臣まで替えて、兼務させてまで提案された んじゃないですか。それが今の答弁だったら、私、これ以降質問できませんよ。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 金融国会というのはだれが名付けているの か分かりませんけれども、予算というのは国政全般について議論するんじゃな いんですか。 ○峰崎直樹君 名付けた、それはだれが金融国会と名付けたかというのは別で すよ。しかし、どういうことで今度の国会に臨もうとされたかというのは所信 表明の中に明らかじゃないですか。  ちょっと私、これ以上もうあれだったら、もうちょっと、総理の認識だった ら、この予算委員会で質問できませんよ。できません。(発言する者あり) ○委員長(陣内孝雄君) 御静粛に願います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、できるできないは質問者は御自由で すけれども、内外国政全般情勢、いろいろ議論できると思いますよ。 ○委員長(陣内孝雄君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕 ○委員長(陣内孝雄君) 速記を起こしてください。  質疑を続けてください。 ○峰崎直樹君 私どもは審議しないと言っているんじゃないんです。中間報告 を出しますよと、その上で私たちはこの審議日程が入ったんです。ところが、 中間報告、私の責任で取りやめましたと。しかし、我々からすれば、中間報告 が当然出てくるものとして審議しているわけです。本当にじゃ、この中間報告 なるものはないままに、じゃ中間報告の質問していいんですか。できないんで はないですか。(「だれに質問している」と呼ぶ者あり)それじゃ、総理でい いです。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 中間報告を出すとは決めていませんよ。今 月中に取りまとめると言っているんですよ。 ○峰崎直樹君 私どもは記者会見を通じて、一回中間報告を出し、そして月内 には最終報告を出すということを聞いておりますよ。報告されている。  竹中大臣、それ間違いありませんか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 総理からは月内に報告を出せというふうに、これ は命令として受けております。その過程でできれば中間報告をしたいというこ とは申し上げました。  しかしながら、今申し上げたような情勢で、金融の問題というのは委員御承 知のようにやはり大変微妙な問題でございますから、その金融のものだけ先に 出ると混乱が生じるかもしれないといういろんな方々の御意見を伺いながら、 最終的に総理の御命令に従って月末にしっかりしたものを出そうというふうに 考えたわけであります。 ○峰崎直樹君 しかし、いずれにせよ、中間報告を延ばされたという事実は私 は非常に責任が重い、そのことは指摘をしながら、続けて質問したいと思いま すが。  さてそこで、次に、不良債権と言われているものがこの間銀行では約九十兆 近く処理されたと言われていますね。まだ依然として増え続けていると。そう すると、不良債権と言われているものはなぜ起きているのか、その不良債権と いうものが今どんな性格のものなのか、この点についてどのように、大臣、竹 中大臣。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 銀行から見た不良債権というのは、銀行はお金を 貸して金利を稼ぐわけで、元本も返してもらうわけですけれども、それがビジ ネスでありますが、そういうビジネスの目的にきちっと稼働していないノンパ フォーミングなものであるということに尽きると思います。  それがどうして生じるのか、これはいろんな要因があると思います。例えば、 デフレの中でビジネスが悪化して、それが不良化するものもあるでしょう。し かし同時に、これまでの検査の中ではなかなか見えてこなかったものが更に厳 しい特別検査等々をしてより明確になってきたものもあると。そうした中で不 良債権がとりわけ過去一年増加したものであるというふうに思います。  ただ、いずれにしても重要なのは、このデフレと不良債権の悪循環を絶たな ければいけない、そのためにも不良債権処理を一段と進めて、それによって金 融仲介機能を回復してデフレ克服に努めることが大変重要であるというのが基 本的な認識であります。 ○峰崎直樹君 そうすると、過去の土地投機の失敗に基づくバブル時代の不良 債権処理というのは、これはもうあらかた終わっていますか、どうですか。竹 中大臣。 ○国務大臣(竹中平蔵君) これは個別の債権の話でありますから、先ほど申 し上げましたように、それが正しく認定されているかどうかも含めて、正確な 判断をするというのは大変難しいと思いますが、少なくとも、その九〇年代の 最初にどかっと価格が落ちたことによってその瞬間に発生してきたものという ものの処理はかなり進んでいるというふうに認識をしています。 ○峰崎直樹君 かなりいっている。ただ残っているんですね。よく言われてい る、不況三業種と言われていますね、不動産、ゼネコン、それから流通ですね、 こういったところはまだ依然としてそういうものが残っているというふうに認 識されていますか。どうですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) それは、バブル崩壊というのを単に何か外的な ショックによる資産価格の低下と見るのか、より深刻な日本の構造的な劣化を 反映したものかと見るかに懸かっていると思います。その構造的な劣化を反映 したものという意味に関しては、まだそういうものはやはりあると考えなけれ ばいけないということに思います。 ○峰崎直樹君 どうも私どもが地域を歩いていますと、この三業種の方々、特 に大手企業に対しては物すごく怨嗟が強いんですよね。  この間、債権放棄だとかデット・エクイティー・スワップだとか、こういう ふうにして大手企業のそういうゼネコンとか流通メーカーとかそういったとこ ろは、その債権放棄をされる、そういう形で救われていく。ところが、中小企 業の皆さんは、一千万、二千万の取立てでどんどんつぶれていく。これは不公 平じゃないですかという声をよく聞くんですよ。  その意味で、こういうことに対して、一体、産業側からもちょっと私は話を 聞きたいと思っているんですよ。扇大臣、それから経済産業担当大臣ですね、 どのようにお考えになっていますか。それと竹中大臣も併せてこの点について お聞きしたいと思います。 ○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  確かに、そういう意味では中小企業に対して厳しい現状がございます。そう いう中で私どもとしては、中小企業に対してはセーフティーネット網を拡大を しながらその穴を埋めていくということをやっております。  一つのデータの中で、中小企業に対する民間金融機関の貸出しというものが 九四年ぐらいを一〇〇にすればそれが七十数%、二十数%下がっていると、こ ういう実態があります。  ですから、そういう中で、本当に厳しい状況の中で、特別保証制度ですとか あるいは一般保証制度と、こういうのをやってきました。さらに、我々はこう いう厳しい状況の中で、この臨時国会には中小企業信用保険法、これを改正さ せていただいて、もっと柔軟に中小企業に対応するような努力をしていかなきゃ いかぬと、このように思っております。 ○国務大臣(扇千景君) 今、峰崎議員がおっしゃいますように、私たちは一 番大きな課題を今抱えております。おっしゃるとおり、不良債権処理というこ とに関して一番大きな影響を受けるであろう業界を我々は見ております。けれ ども、これは民間のことですから、私たちが合併しなさいとか、そういうこと はなるべく私たちは言わないように、民間のそれぞれの選択というものを大事 にしていきたいと思っておりますけれども、大体今まで、そうですね十一か月 ですか、そうです十一年ですね、十一年連続で地価の下落が続いております。 そのために、見ていただいたら分かるように、あらゆるところでバブルの崩壊 後、本当に仮死状態の土地、土地が生かされてないというのを目にいたします。 また、現実でございます。  それをいかに活性化する、そのためには税制も、あるいはあらゆる面で土地 の活性化を図っていかなきゃいけないということで、今、竹中大臣が、あらゆ るセーフティーネットを入れてとおっしゃったのは、我々にとっては一番大き な問題ですので、不良債権処理のときには一番そのセーフティーネットを我々 は大事にしていただかなければ、中小企業が私たちはみんな大きな痛手を受け る。そして、不良債権処理とともに一番打撃を受ける業界と、そしてその業界 の中で日本でないとできないという技術を持ったものまで私はつぶしてしまっ たのでは日本の将来がなくなるので、何としてもそのセーフティーネットを十 分考慮し、今日も峰崎議員等々から有意義な御意見がいただければ、セーフ ティーネットを我々としては堂々と入れていただくように主張していきたいと 思っております。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 両大臣の御指摘のとおり、借り手の側、貸手の側、 双方一体化、一体となった対応が必要であるというふうに強く思っております。 ○峰崎直樹君 ちょっと平沼大臣、流通メーカー、卸売メーカーのところの再 編成というのは余り進んでいないんじゃないんですかというその指摘、返って いない、答えがないんです。その点はどんな産業側の努力がされていたのかな と。  それから、今、地価の下落とおっしゃいましたですね。いい機会ですから、 扇大臣は地価はなぜ下落し続けていると考えているのか、その点、続きを。 ○国務大臣(平沼赳夫君) 流通業に関しましては、消費の低迷の中で売上げ が五年連続前年割れ、こういう状況でありまして、厳しい状況に置かれており まして、経営不振の流通企業、更には経営破綻に至る企業も急激に増えている ことは事実であります。  こうした状況において、今の流通業というものの状況は三つの類型に分ける ことができると思います。  一つは、具体的に名前を出しますと、マイカル、そごうのように、経営計画 の目標を達成できずに民事再生法、会社更生法等の下で法的整理に移行するケー ス、これがございます。例えば、マイカルは負債が一兆七千億ございまして、 今、更生計画を作成中であります。そごうは負債が一兆八千億でございまして、 これは再生計画に基づいて再生中であります。  二つ目の類型は、例えばダイエーのように、金融機関の支援の下で当該企業 自らが再生計画を作成して経営再建に努力しているケースであります。これは、 有利子負債が一兆六千億ございましたのが今の段階では一兆二千億と、こうい うところまで減ってきております。  もう一つの類型は、ウォールマートと提携した西友のように、他の流通業界 と提携して生き残りを図るケースがございます。  こういった様々な取組が行われているわけでございますけれども、私どもと しては、非常に流通業というのは影響が多いわけでございますので、こういう 不良債権処理というのは、こういう類型の中で進めていく中で、応援できると ころはしっかりと応援していかなきゃいけないと、このように思っています。 ○国務大臣(扇千景君) 峰崎議員に私が先ほど申しましたように、地価が十 一年、商業地も住宅地も下落しております。けれども、一時のような土地神話、 土地さえ持っていればもうかるといった時代が過ぎてしまった。バブルがはじ けた。ですから、土地に対するインセンティブがみんな下がってきたんですね。 ですから、私は、今、土地持っていたらもうかるということがほとんどなくなっ た、むしろ外国の人たちは土地を買いに来ている、下げ止まりだと思っている ところもあります。  それともう一つは、固定資産税が、バブルのときに土地が高かったから固定 資産税も高かったと。固定資産税が高止まりしているということも私は大きな 原因だろうと思います。  けれども、我々は、そういう意味で今後、土地というものの流動化を図ると いう意味で、小泉内閣で特区というものも作って、規制を外して、今の仮死状 態の土地に酸素を吹き込んで生き返らそうというのが今の小泉内閣の政策です ので、やっぱり土地を持っていてももうかりはしないけれども、活性化すると いうことが経済の再生に資すると思っております。 ○峰崎直樹君 どうも扇大臣の答弁はよく分かりませんが、そこで小泉首相、 金融担当大臣を替えられた。不良債権処理が遅い。逆の立場で言えば、不良債 権を残している産業、そちらの方の産業を担当されている大臣の側、もちろん これ、自由主義経済ですから、行政が何でもやっていいということではないに しても、そちらの側が全然、ほとんど進んでいない。  今お話聞いていて、流通でマイカルとかそごうの問題は聞きましたけれども、 私自身は、やはり供給過剰が続いているんじゃないのか、それがなかなか整理 されていかないんじゃないのか。それは、後で日銀に聞きますけれども、ゼロ 金利というものの中で生かされているんじゃないのか。銀行が追い貸ししてき たんじゃないのか。こういう実は、金融担当大臣の責任を問うとすれば、実は 産業で引っ張ってこられたお二人が、実はこれは前の森内閣のときだったでしょ うか、あるいはそのずっと前からでしょうか、産業と金融一体で再生しなきゃ 駄目だというふうに言ってきたんですよ、ずっと政権は。そのことの責任はど のように小泉首相は考えておられるんですか。なぜ続けてそのいわゆる大臣を 替えられなかったんですか。その点、どうなんでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 人事の点については人事権者に任せていた だきたい。人からとやかく言われる筋合いはないと思っています。 ○峰崎直樹君 総理、今日の答弁聞いていますと、私が、いわゆる問題がある から、この問題があるのになぜ、片や金融担当大臣は更迭をされ、そしてお二 人を残されているけれども、どうもこれは産業、金融一体を考えたときに、小 泉内閣ちょっとこれは不公平じゃないですかなというのが、私、別に柳澤さん の肩を持って言っているわけじゃないんです。どうもしかし、今のやろうとす る政策からすれば少しおかしいんじゃないですかと言っているんです。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政策論からいえばそれは理解できます。供 給過剰、産業再編、不良債権処理と産業再生、企業再生、一体で考えなきゃな らぬ、当然であります。しかし、人事について、あの人を替えるがいい、この 人をなぜ替えるか、それは人事権者に任せていただきたい。 ○峰崎直樹君 ちょっと取り付く島もないですね。分かりました。  それじゃ、次にお伺いします。  先ほど竹中大臣が、不良債権が処理しても処理しても続くというのは何かと、 実はデフレという問題があるとおっしゃいました。  そこで、総理大臣にまず基本的な認識をお伺いしたいと思います。デフレに 対してはどうされようとしているんでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) GDPの実質成長率は上がっているんです けれども名目成長率は下がっている、こういう点についてやはりデフレ懸念が 強い、これを克服しようということでやっているわけですが、デフレの理由と なりますと、原因となりますと一様じゃないと思います。  ともかくバブル以降、米ソ体制が壊れた、社会主義体制が市場経済体制へ入っ てきて、労賃の安いところからどっと市場経済に入ってきた理由でもあるでしょ う。供給過剰という面もあると思います。いろいろあると思います。非常に世 界の動きが密接に、遠い地域もすぐ情報が入ってくる。  いろんな面があると思いますが、難しい時代でありますけれども、それだけ に産業の面からも金融の面からも、それから情報の面から、それから世界市場、 いろんな観点から見なきゃならないと思いますが、ともかく十倍、二十倍の開 きのある賃金格差の中で同じ製品を作るという状況で競争をしていかなきゃな らない日本企業の苦労も並々ならぬものがあると思います。  いろんな要因があると思いますが、そういう点をよく見ながら、少しでも、 実質成長率は上がっているのに名目成長率が下がっている、この状況というも のをどう見るか。この点についても、単に不良債権処理、金融面からだけじゃ なくて、供給面、需要面、両方から見なきゃならない問題だと私は認識してお ります。 ○峰崎直樹君 小泉総理の経済に対する見方というのを詳しく聞こうというふ うには余り思っていなかったんですが、聞きたいのは、このデフレというのは 困ったものだな、まずいと、じゃデフレをこれは絶対に阻止するんだという立 場に立たれるのか。それとも、これは、デフレはどうも今の世界的な流れから 見てもちょっとこれは、阻止するということはしたいけれども、ある意味では 阻止しようがないかもしれない、その前提の上で物事を組み立てなきゃいけな いかもしれない、デフレ対応をしなきゃいけない。どちらなんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これはなかなか経済、今までいろいろ見て いますと、理論どおりにいかない面が随分あると思います。現時点で私はデフ レ阻止しなきゃいけないと思っていますが、長い目で見ますと、これだけの財 政赤字を抱えたらインフレになるというのが学者から見れば当然の状況ですよ ね。これだけたくさんの借金を抱えていたらば、なぜインフレが起こらないの か、不思議だと。これだけ、三百六十円から三百円になって、二百円になって、 百五十円を円が切ったらほとんど壊滅的、輸出産業は打撃を受けるだろうと言 いながら、全然受けない産業も日本にはたくさんある。なかなか経済というの は理論どおりにいかないなと思うんですが。  つい十年前までは賃金が下がっても物価が下がった方がいい、土地は下がれ という声で充満していたんです。私は三十年前に初めて当選しましたけれども、 現役の政治生活の中に物価が下がる時代なんて来ると思っていませんでしたよ。 いかにインフレを抑えるかばっかりだった、二十年近く。それが、今逆に物価 を下がるのを抑えようというんでしょう。こういうことを見ると、非常に政治 の難しさ、経済というのが生き物だ、理論どおりにいかないというのを今痛感 しておりますが、それだけに難しい状況ですが、現時点においてやはり私はデ フレを阻止すべきだと思っております。 ○峰崎直樹君 それで符節が合ったんですが、一昨日、公明党の荒木議員が本 会議で質問されました。そうすると、日銀が今やっておられるゼロ金利、そし て潤沢に提供し、そして消費者物価指数をゼロ以上にしたいと。これを支持す るということをおっしゃいましたね。ということは、これは形を変えた要する にインフレターゲットじゃないかというふうにも言われたんです。総理は、そ ういうことを意識されてそのインフレターゲットを自分は支持していると、こ ういうお考えなんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは専門家の日銀総裁あるいは竹中大臣 の方がいいと思いますが、ターゲットといっても定義がいろいろ人によって違 いますね、インフレターゲット。日銀総裁はゼロ以上にすると言っているんで す。それはもうインフレターゲットだと言う人もいますけれども、日銀総裁に 言わせるとどうなのか、ちょっとそれは聞いてみないと分かりませんが、とも かくやっぱり物価はゼロ以上にしようという、そういう努力をされているとい う点については私は評価しております。 ○峰崎直樹君 それでは、今同じ質問を三人の方にまた私、したいと思います。 すなわち、デフレは阻止しようとされるのかどうなのか、それからインフレター ゲットということを認められるのか認められないのか。塩川大臣、それから日 銀総裁、最後に、じゃ竹中大臣、その順番でお答えください。 ○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、インフレターゲットという名前は使って おりませんけれども、従来から言っておりますのが、平成九年度の物価水準、 これに復活さすべきであると。そのことが日本の経済の一番安定した物価水準 になるということを思っておりますので、それに向かっての努力をしておると ころです。 ○参考人(速水優君) デフレ対策としては、やはり私どもは、物価というの は経済の体温でございます。したがって、過去を見ましても、景気が良くなっ ていけばしばらくすれば物価は上がっていくと。デフレ脱却のためには、まず 日本経済を活性化して民間需要を高めていくことが必要だと思います。  インフレターゲットの問題につきましては、日本銀行は、経済をできるだけ 早期に持続的な成長軌道に復帰させて物価がマイナス基調から脱却できる状況 を実現するために中央銀行として最大限の努力を続けているわけでありまして、 そのために現在の状況の下でインフレターゲティングを導入することはやはり 適当でないと思っております。  インフレターゲティングというのは金融政策の透明性を高めるというねらい はございます。これを達成する手段やメカニズムの裏付けを伴って初めて意味 を持つものであります。今、金利がゼロに達しまして、さらに様々な構造改革 が金融緩和の効果を制約しておるわけでございます。そうした中でインフレター ゲティングを採用すると、政策への信頼や市場への悪影響など、むしろ弊害の 方が大きくなってくるんじゃないか。  私どもは、今、総理も言われましたように、インフレ率が安定的にゼロ%以 上となるまで現在の思い切った金融緩和の枠組みを続けるということを宣言し て、デフレ脱却への強い決意を明らかにしておるわけでございます。現在のこ うした状況の下では、この宣言の下で思い切った資金供給を継続していくこと が私どもの今の効果的な任務だというふうに思っております。 ○国務大臣(竹中平蔵君) デフレは世界的な傾向であり、大変難しい問題で ありますが、やはり政策当局としては、これを克服する努力を強くしなければ いけないというふうに思います。  インフレターゲティングにつきましては、日本銀行は物価がゼロ以上に戻る まで努力を続けるということですから、これを緩やかな物価目標と見ることも できますが、これについては様々な意見があると思います。  いずれにしても、インフレターゲティング等々の問題については様々な専門 家の間でも議論があることから、これを更に議論を深める必要があるというの が立場でございます。 ○峰崎直樹君 竹中大臣、私ども、新聞紙上しか見ていませんが、あなたは日 銀総裁にインフレターゲット取りなさいよ、取ってくださいということをおっ しゃっていませんか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 今も申し上げましたように、こうした問題につい て議論を深める必要があるのではないかということを申し上げておりますけれ ども、取ってくださいなどと申し上げたことはございません。 ○峰崎直樹君 そうすると、どうも共通しているのは、CPI、消費者物価指 数がゼロ以上になるように日銀、今努力していると、それをみんなが支持して いると、こういうところですか。  それじゃ、お聞きします。日銀総裁、いつまでにこれを達成するんですか。 もう一年半たちました。これが長ければ、ずるずるずるずる行けば、このいわ ゆるゼロ金利状態が非常に悪影響を私は別の面でもたらすと思うんですよね。 いつまでにそれは目標を立てられるんですか。物価の責任は日銀にあるんです よね。 ○参考人(速水優君) いつまでという期限を言われても困るわけですけれど も、とにかく構造改革が進展して、民間の需要が伸びてきて、それで経済は成 長していくわけですから、大体、物価というのは経済の成長に大体一年遅れて 上下するものです。物価の、総理がよく言われるように、改革なくして成長な しと。成長なくしてインフレ、デフレの解消はないと私は思っております。 ○峰崎直樹君 日銀総裁、もう一問、じゃやります。  いわゆる今進められておられるリザーブ、すなわち資金供給を潤沢にするこ とを、どういう形でそれがゼロ%まで上がっていくという根拠になるんでしょ うか。どういう手法でゼロまで持っていかれようとしているのか、もう一度改 めてお聞きしたい。 ○参考人(速水優君) 今、金融市場に対して流動性の供給は極めて潤沢にやっ ておりますし、金融市場では流動性は十分行き渡っているわけです。したがっ て、市場は非常に安定的、株だけは動いておりますけれども、海外の要因で。 これをやっぱりどういうふうにこれから持っていくかというのは、民間需要が 出始めて、銀行の貸出し、銀行の信用仲介機能などが活発化していって貸出し も増えていく、そういうようなことが起こってきて初めて景気は良くなってい くんだと思います。景気が良くなってきて初めて物価も少しずつ、もう少し上 がっていくんじゃないかというふうに私どもは見ているわけです。 ○峰崎直樹君 これ以上はまた財政金融委員会で議論したいと思います。  さてそこで、今度は中間報告の中身に、まだ我々に正式に提示されていませ んけれども、新聞などで見る限りにやらせていただきたいと思うんですが、そ の前に、各種新聞に、大手行十二行と竹中大臣がやり取りされた議事録が出始 めたんですよ。中を見ると、何か貸しはがし、これをやりますと貸しはがしし ますよと、要するに中小企業から貸しはがしますよという銀行の何か、ある発 言があったように聞いているんですが、そんな事実ございましたですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) これは当局と経営の責任者がフランクに意見交換 をした場でありますので、その議論の中身についてはコメントを差し控えさせ ていただきます。 ○峰崎直樹君 コメント、要するにこれはオフレコにしてくれというふうにおっ しゃったそうですが、私、委員長、これは重大な問題なんで、是非このやり取 りの議事録を当委員会に提出していただけないでしょうか。 ○委員長(陣内孝雄君) 後刻理事会で協議いたします。 ○峰崎直樹君 それじゃ、竹中大臣、これからその中間報告の中身に入りたい と思うんですが、たくさん、三項目に分けておられますね、自己資本比率、そ れから厳格な査定と。特に今一番問題に私、全部問題なんですが、いわゆる自 己資本の中身なんですけれども、一体、この自己資本の中身は、今お手元に資 料をお配りしておりますね。一番最後に「大手行の正味自己資本比率」と、私、 こういう数字を作ってまいりました。もう時間もありませんので、これをごら んになって、その大手行の正味自己資本比率というのは相当脆弱だねと、こう いうことについてどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお聞きしたい と思います。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 自己資本比率の算定は厳格なルールに基づいて行 われているわけでありますけれども、それが市場、マーケットからはどう評価 されているかということと併せて考える必要があるという観点に立っておりま して、そういったことを含めて、今最終報告に向けていろいろと議論をしてい るところでございます。 ○峰崎直樹君 何かぬかにくぎ打っているような感じするんですよね。要する に、中間報告が我々に、表に出ていない、だから責任持っても答えられない、 中間報告についてはこれ議論をせざるを得ない。本当に、竹中案で本当にこれ 不良債権問題というのは加速されていくということをじゃちょっと説明してい ただけませんか、この場で、中間報告のエッセンスを。分からないですよね、 今お話聞いていただけでは。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 竹中案というのが何を意味しているのか、そうい うものがマスコミで、しかもいろんな内容で報じられておりますけれども、そ ういうものがあるわけではございません。  中間的な論点、何を議論すべきかということを整理していた段階で、正にそ れを今議論して詰めているところでございます。 ○峰崎直樹君 そうしたら、これほとんど議論できないですね、これは。しか し、世上ではこれが株価に影響するだとかいろんなことで議論になっているわ けですよ。全くそれじゃこれ、金融問題についてこの予算委員会で一番大切な ものが議論できないという、最初に申し上げたことがこういう形で出てくるじゃ ないですか。一体、私たちは何を中心にして議論したらいいんでしょうかね。 竹中大臣、責任持って答えてください。もう一回、その内容についてエッセン スはお話しできませんか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 当初、就任した当時から示した三つのポイントを 重視しながら議論を進めております。  それは、資産査定をより厳格にする必要があるのではないか、自己資本は十 分か、同時に銀行経営におけるコーポレートガバナンスをどのように発揮して いくか。一つ一つの問題を取り上げて議論するとむしろ議論を誤る可能性があ りまして、それをトータルの全体の仕組みとして示す必要があるというのが基 本的な立場でございます。そうした点も含めて、今最終的に、総理の御命令に 従いまして月末までに全体的な姿を示すように努力をしているところでありま す。 ○峰崎直樹君 これ本当に私ども、実は今日はテレビが入っているんですね。 全国民が注視しているんですよ。そのときに、実は中間報告に基づいて審議を しようと思ったら、いや、それはまだ決まっていないから議論できないと言う。 しかし、市場ではそれが流布していろんなことが出ている。この責任は、つま り中間報告を先送りしたことに伴ってこれ起きているんじゃないんですか。総 理、この責任、どう思われますか。そのことを聞いて私の質問を終わり、補足 討論をお許しいただきたいと思います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、竹中大臣が言われた三点、この基本方 針に沿って、それに伴う総合的な経済対策は政府挙げて取り組んでいこうとい うことであります。かなり新聞等には論点が出ております。こういう点がいろ いろ憶測を呼んでいるんだと思いますけれども、最終的な取りまとめは月末で あります。 ○峰崎直樹君 終わります。 ○委員長(陣内孝雄君) 関連質疑を許します。佐藤道夫君。 ○佐藤道夫君 佐藤でございます。  総理に対していささか基本的なことをお尋ねしたいと思いますので、中には 無礼な質問だとお考えになることもあろうかと思いますけれども、腹を立てる ことなしに穏やかにお答え願えれば有り難いと、こう思っております。  最初に、拉致問題を取り上げます。  今朝の新聞に大きく出ておりましたが、五人戻さず永住帰国、永住させると いう見出しで、五人というのは今回の帰国者でありまして、戻さずというのは 北に戻さないという意味だろうと思いますね。日本に永住させると。これは、 私は今回帰国した人たちの意思を確認した上でそういう政府の判断だったのか と思いまして新聞を読むと、ああ、初めて聞きました、大変驚いておりますと いうのが大体帰国者たちの話、談話ですね。確認もせずにこんなことをしたん だろうかと。  本人のためになればという思いがあったんだろうけれども、いずれにしても、 民主主義国家においては国民の意思、彼らも国民ですから、国民の意思が最高 に尊重さるべきであることは間違いない。政府がこうしろ、ああしろと言う問 題ではないんですからね。本人たちに率直に聞けば、まだ気持ちが固まってお りません、しばらく考えさせてくださいというところが本音、あるいは北に対 する思惑もあってそういう答えになるだろうと思います。  そこで、私、そういう一概に取決めをしてしまわないで、北に対して、今回 の帰国者、その家族、あるいは日本にいる家族、これを自由往来、日本に行っ たり北に行ったりして、そして考えて、ああ、やっぱり自分は日本がいいと、 家族を引き連れて日本に帰りたいという人は帰国させると。中には、ふるさと、 二十数年も住んでいると、今、私のふるさとは北ですからここで頑張りますと いう人だっているわけなんでしてね、そういう意見もくみ上げて対応を決めて いくべきではないのかと。北がどう出るか分かりませんけれども、そう私は思 いました。いかがでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私も、基本的には佐藤委員の方向で将来自 由に往来できればいいなと思っております。ところが、今、国交が正常化され ておりません。自由に行き来できません。そういう中で、今回初めて拉致され た方々が帰って、家族の方々と懐かしい対面をされ、くつろいだひとときを過 ごしておられる。  私は、前から、できるだけ御家族の意向を尊重して北側と対応したいという ことでやってまいりました。家族の方々、それぞれ事情が違います。拉致され た方の事情も違います。そういう点も含めまして総合的に勘案した上で、私は、 このまま日本に今帰国された方が滞在して、でき得れば残されたお子さんたち、 家族も日本に帰国してもらった方がより好ましい状況じゃないか、それについ て政府が決めないで勝手にどうぞということと、これから大事な交渉再開、控 えております。政府として対応を決めて北朝鮮側にしっかり要求を、主張を述 べて働き掛けた方がいいかと。そういう事情も考えまして、家族の事情、それ ぞれ個別の事情も総合的に勘案した上でやはり政府で決めて対応した方がいい ということで、帰国を延長して、今後、北朝鮮側に働き掛けていきたいと思っ ております。 ○佐藤道夫君 この問題に関連して、余り議論されていないんですけれども、 千数百名と言われておる日本人妻、彼女たちもやっぱり死ぬ前に一度ふるさと の山を見たい、墓参りもしたいと、こう思っているんだろうと思います。あれ もやはり彼女たちも自由往来の対象に入れて、元々は日本人だったわけですが、 向こうが地上の楽園だと宣伝に引きずり込まれ、だまされたような形で向こう に行ってしまったと、やはりふるさとに一度死ぬ前に帰ってくる権利ぐらいは 人間として当然あるんじゃないかと。これも是非、日朝交渉で議論してほしい と思います。  それから、ついでですけれども、この前の日朝首脳会談、あれはたかだか時 間にして三時間ぐらいで終わってしまったんですね。  金正日という人はなかなか会わないんですよね。今まで会った各国の首脳と いうのは、プーチン大統領その他三人ぐらいしかいない、たしか総理は四番目 だったと思う。大変な光栄といえば光栄、冷やかしですけれども、になるんだ ろうかという気もいたしまして、もう少し時間を掛けて、最低十時間ぐらいは 掛けていろんな問題を議論すべきではなかったのかと。核問題もありますし、 拉致問題もちろんありますし、そういう問題を取り上げて議論すべきだったと 私は思っております。  今の日本人妻の問題も大変大事なことだと思っておりますので、そういうこ とをざっくばらんに議論することがこれからの二十一世紀の首脳会談、そうい うものだろうと。外務官僚が作ったペーパーに乗っかって形式的なやり取りを しているだけじゃなしに、酒でも飲みながらくつろぎながらいろんな話をして ほしかったなと、こう思いますけれども、いかがでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) できれば今の北朝鮮と日本の関係が敵対関 係から協調関係になって、そういう酒でも酌み交わして国交正常化して仲良い 関係になればいいなと思っておりますが、現時点において、酒を酌み交わして 一杯やりながらにこにこ話し合うような状況には私はないと判断いたしました。 ○佐藤道夫君 総理が日ごろおっしゃっている改革ということも、この首脳会 談を改革する、これだって大事な改革だと私思っておりますよ。  それから、あの国は鉄のカーテンを張り巡らして、自国民の出入りもさせな い、だから脱出者が出てきたりする、もう少しあなた考えなさい、もはや二十 一世紀でしょうと。そういう示唆を与える、教えてやる、これだってあなたの 大変大事な仕事だったと私今でも思っておるわけであります。拉致問題は以上 にいたしまして。  これまた基本的なことですけれども、政治倫理の確立ということでありまし て、自民党政権下で、大体日本の政治は自民党がずっと政権を握ってきたわけ ですけれども、二、三年置きに大規模な汚職事件、世間が大騒ぎになる、一体 何だと。本当に嫌になるというふうに国民は率直に思っていることであろうと 思います。  昔は、昭和電工事件、造船疑獄事件、売春汚職事件、もう言うのも嫌になる ぐらい、ロッキード事件、リクルート事件。最近では、KSD事件、それから 政治家と秘書の問題、政治家の金、鈴木宗男議員の問題。もう本当に嫌になる でしょう。よく総理をやっておられますなという気もする。  国民は、私もそうですけれども、さっそうと去年小泉さんが登場しまして、 そして国民の、改革改革ということを言った。所信表明の、私、第一声として、 今の問題を取り上げて、本当に今まで申し訳なかった、国民の政治不信を招い た、しかし自分が総理大臣になったからにはそうはさせない、今までこうやっ てこんな不祥事が起きた原因がどこにあるのか、その対策はどうあるべきか自 分なりに真剣に考えて、こういう案を出す、国民の皆さん是非ともこの点を考 えていただきたい、なお自民党の諸君、その他政党のほかでも中でもそういう 問題があるのかもしれませんけれども、政治家として国会議員として自分のこ の提案を本当に真剣に受け止めてもらいたいということを言うんだなと思って いたら、一言も言わなかったんですよね、なぜか知りませんけれども、あの当 時はね。  自民党の有力議員の中には、政治家に倫理は要らない、政治家はどれだけの 仕事をしたかによって値打ちが決まるんだ、政治家に倫理を求めるのは八百屋 で魚を求めるがごとしと言う人もいます。倫理倫理で飯が食えるか、スズムシ じゃあるまいしと。こういうことも言って、その人たちが今でも自民党にそれ なりの勢力を及ぼし……(発言する者あり)うるさいよ、少し。及ぼしている と思うと、なかなかその中で不祥事というのはなくならないような気もすると 思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、今本当に御指摘されたように、次々 と不祥事が起こって残念であります。  倫理が要らないと、私は、その政治家の言葉もある面においては痛烈な批判 と同時に一つの彼独特の、諧謔といいますかユーモアといいますか、発言だと 思いますが、私は、どの立場にいようとも倫理というのは一番大事なものだと 思っています。経営者においても政治家においても役人においても事業家にお いても、どんな商売をする人にしてもサラリーマンにしても、一番大事なもの だと思っています。  要は、この不祥事を見ていると、法律守らないんですね。法律はいつも整備 されても、結局、法律を破っているんですよ。これが問題だと。法律を守って いれば何にも不祥事は起こらなかった。法律の裏をかいて破っている。だから、 どんな法律を作っても守らないだろうと、破ってもばれないだろうと、こうい うのがおかしいんじゃないかと。  私は、こういうことを見ても、本当に法律を守るべきだと。それが倫理の前 提だと。法律以前のこともたくさんあると思いますが、まずは法律を守ってほ しいと強く言いたいですね。 ○佐藤道夫君 法律を守ることも基本ですけれども、同時に、やっぱり議員一 人一人の心構えの問題だろうと思います。法律を作ってもすぐ抜け穴を探す、 それが今、慣例みたいになっておる。政治に金が掛かる以上は仕方がないんじゃ ないかと。運の悪いやつ、頭の悪いやつが捕まると、我々はもっとうまくやっ ているよと。こういうような風潮を一掃するにはどうすべきかということを真 剣に考えていただいて、そうして次期国会辺りで所信をきちっと述べていただ ければと思います。  そこで、今問題になっているのは政治家と秘書の問題。  これはかつて井上参議院議長、それから加藤紘一議員秘書の問題、本人たち は一切知らないと、秘書が勝手にやったんだと、こういう弁解でしたが、常識 的に考えまして、秘書と議員というのは一心同体ですから、議員が何を考えて いるのかさっぱり分からねえというような秘書ならもう秘書の資格はないと、 こう言ってもいいわけで、うちの秘書が何人かおるけれども何をやっているの かさっぱりおれには分からねえと。分かるとまたいろんな疑惑が出てくるから わざと知ろうとしないんだと、そういう気持ちかもしれませんけれども。  そんなことは常識上あり得ないことで、自分の足で、いつも周辺で何がごちゃ ごちゃごちゃごちゃいろんな業界の連中と話をしていると、もし知らなければ、 おまえ何やってるんだということを聞いても、その場で聞いてもいいわけです し、それからほかの秘書から、あの秘書はおかしいですよ、業界のやつに先生 の名前を使って裏道へ金を集めていますよと。うわさというのはもうすぐ跳び 跳ねるわけですからね。その場合にどう対処するかと。ちゃんと対処している んだろうと私は思いますけれどもね。  ただ、実際、刑事事件にするには秘書がきちっと自白しないと議員を処罰す ることはできませんから。それで、井上ケース、それから加藤ケース、なかな か検察の手が入らなかったのかなという気もしないわけじゃないんですけれど も。  本当に国会議員、そのつもりで、自分の秘書が何をやっているかと四六時中 目を光らせて。大体、その目を光らせなきゃいかぬような者は秘書にしなきゃ いいんですからね。顔を見れば分かるでしょう、それぐらい。ああ、これは立 派だ、そうですよ、ああ、これは立派だと、秘書にしておいてもいいんだと。 何かこれは後ろめたいなというのは辞めさせればいい、それだけの話ですから。  そこで、この問題について、もう少し真剣に秘書の問題も考えてほしい。何 か汚職が起きると、何しろ秘書が秘書がと、私は知りませんと、こういうこと を言っている。それで世の中通るんだろうかということで、総理と、それから 後ろにおられる大臣の、農水大臣の所見を、所見というのか、御自分の問題で すからね。目を光らせたが分からなかったと、本当にあの秘書はうまいことやっ ていたと。それから、口を利いて一銭ももらっていないと。ただで過ごすよう な世の中じゃないですからね。あれだけの仕事を、口利きをしたら相応の収入 が、裏金が入っているわけですけれども、その辺についてもやっぱり目を光ら せるのが議員の仕事だろう、任務だろうと、私はこう思います。ちょっとお願 いします。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 後ほど大臣には答弁してもらいますが、秘 書の選任というのは本当に難しいと思います。顔だけじゃ分からないんですよ ね。  それで、かつて西ドイツの首相の一番信頼する秘書が東ドイツのスパイだっ たということがあったでしょう、もう一番長年の片腕という。だから、こうい うことを見ると、恐ろしいぐらい、人間を見るということは。首相のもう最も 信頼する秘書がスパイだったというのは、終わって後になって分かるというぐ らいですから、人を見極めるというのは本当に難しいなと。  私、だから、秘書を採用するときには本当に怖いんです。だから、できるだ け秘書は少なくしようと思って、だから普通の人より私は秘書は少ないと思い ますけれども。それだけに、よく日ごろから秘書の動きなり自分の考えなりと いうのはよく意思疎通を図る必要があると思っております。 ○国務大臣(大島理森君) 今、佐藤委員が様々な観点から御指摘と御注意と 所見をお話しされました。  今、報道され、また御質問いただいている前秘書官に対して、そういううわ さとかそういうものがなかったのか、そういうものを含めておまえはどう思う のかということでございますが、十九年間、私自身を支えていただきまして、 信頼をいたしておりました。  今年の五月、六月ごろ、ある新聞社の方から御忠告あるいはこういう話があ りますということを初めて伺いました。早速呼びまして、私は国対委員長をやっ ておりましたが、厳しく、こういうことの話があるけれども、家を買ったのも 初めてそこで分かったんですが、そういうことを厳しく問いただしたところ、 一切そういうことはございません、ただし家は買いましたということでござい ました。十九年間の信頼の中でその言葉を私はそのときに信じ、その後御指摘 がありましたから、今一生懸命調査しております。  先ほどお話もございまして、自らの生きざまを振り返りながら身を律して行 うと、そういう中には私自身、秘書との在り方についてもっともっと勉強しな きゃならぬ、また反省もしなきゃならぬ点も率直に言ってあったのかもしれな いなという思いで、今、佐藤委員のお話を伺っておりました。 ○佐藤道夫君 率直に言いまして、勉強するとかそういう問題じゃない。人を 見る目、これを養うと。政治家というのはそういうものでしょう。この人を選 挙運動者として使っていいのかどうなのか、いつもそういう面で人とぶつかっ ているわけですから。人を見る目を養う、人を見るのが優れている、そういう 人が政治家になっているわけですから。どうかこれからもそういう目で周辺の 人を見てください、大体すぐ分かりますから。威張るわけじゃないけれども。 人間というのはそういうものですから。  それから、次の基本的な問題というのは集団的自衛権行使でありまして、日 本は、歴代政府が集団的自衛権は憲法違反である、行使できないと、個別的自 衛権は行使できると。例えば、日本と韓国が同盟を、攻守同盟を結んで、日本 が攻められた場合に韓国が日本に応援に来る、それから韓国が攻められたら日 本が今度は韓国に応援に行く、それは憲法上できないんですよということでずっ と来ているわけで、私も、そういう説、一つの説として評価はできると思って いたわけですけれども。  今度はそこにおられる石破議員が防衛庁長官に就任して、御存じだったでしょ う、彼は年来の集団的自衛権合憲論者でありまして、いろんな会合でそういう 話をする、それが新聞に報道されたりもしている、それから物を書いたりもし ている。中身を読みますと、言葉は良くないかもしれません、口を極めて政府 を非難攻撃している。ちんちくりんな議論を立てて、論理を立てて、一体何だ と、全くの明らかな間違いだと、そこまではっきり言っておる。これも政治家 の信念、熟慮に熟慮を重ねて、自分は集団的自衛権については合憲論だと、政 府の考えは取るべきではないと、こう思っていた。なるほどねと私も聞いてい たわけですけれども。  今度、入閣されたんですね。私の周辺にいる法律家たちは、あれ、小泉内閣 が方針を変えたんだと。彼を担当大臣にしたということは、集団的自衛権を認 める方向で動き出しているんだと。そういえば、アフガニスタンのときも、日 本の自衛隊はインド洋上でぐるぐるアメリカの艦船の周りを回っているだけで、 一体何だ、あれはという話もあって、有事立法の際にもどうしてアフガニスタ ンまで自衛隊が乗り込んでいかないんだというふうな議論もあったように記憶 しております。  そういうことで、小泉内閣、方針を変えたのかと、こういうふうに世間が見 るのは当然といえば当然。それならば、きちっと国民に説明してくれと。石破 君を今度防衛庁長官にした、それについてはこういう背景、事情もあるんだと、 集団的自衛権はこれから認めることにしたと。でも、それも一向にそういう話 も出てこない。  石破長官の談話が新聞に出て私はぎょっとしたわけですけれども、今までは 合憲論だったが内閣に入った以上は違憲論ですよ、しようがないでしょうと。 内閣の一員として閣議の、内閣の方針に従うだけです。こんなこと一体許され るんですか。くだらない話じゃないんですよ。違憲論が、違憲だ、合憲だとい うことで、もう国じゅう割れるような議論をしている。彼はもう合憲論の先頭 に立って頑張っている。それがある日ころっとこっちに変わりますよと。  政治家のモラル、倫理が問われる。いや、それ以上に、それ以上に、私、人 間性を疑ってもいいと思うんですよ。今までこうだこうだと言っていたら、あ る日突然こういうふうに変わっちゃったと。何で変わったと。いや、ちょっと 村役場から重要な、重要というのは、くだらない地位でももらったことがあっ て、その建前もあって役場の方針に賛成しただけなんだ、辞めたらまたこっち に戻るよと。石破さんも、多分、閣僚を辞めたらまた合憲論に戻るんでしょう ね。不思議としか言いようがない。  そこで、まず任命した総理大臣の考えをお聞きしたい。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 憲法解釈論はいろいろあります。また、時 代を超えてその解釈にも幅なり違いが出てくるでしょう。私は石破防衛庁長官 の就任前の議員個人としての考えも知っております。そういう中で、今回の閣 僚は小泉内閣の方針に従ってくれるという前提で選任いたしました。  議論は議論として、今の内閣において集団自衛権を行使するということで閣 僚になってもらったわけではありません。自由民主党も党是として憲法改正な んです。自民党が政権を取ったら憲法を改正するのかと。しかし、政治状況を 見てそういう状況じゃないと。将来の課題として、政党として主張するのは結 構だと。  自民党の中にも憲法改正論者、ほとんどです。私も憲法改正論者なんですよ。 しかし、今は総理大臣として、長年の憲法改正論者だったから憲法改正を政治 課題にのせろという状況にはないと見ているから、これはそれとして、今の、 私の内閣の今の時点において私は憲法改正というものは政治課題にはのせない と。現行憲法の枠内でできるだけの自衛権と国際協調を果たしていくというこ とでやっております。  そういう点から考えれば、私は、石破防衛庁長官が、自分は自分の考えとし て、小泉内閣の閣僚として、小泉内閣の方針に従って現在の防衛をしっかり担 当の任にあって頑張るんだということは私はいいことだと思っております。 ○佐藤道夫君 町を歩きながら、あるいは仲間の集まりなんかで、おれも憲法 をこの点改正した方がいいと思っているんだよなと、そういう話とこれは訳が 違うんですよ。  彼は、国会で政府に対する質疑まで行って、なぜ合憲論を認めないのかと厳 しく政府を追及している。もう公的発言と言ってもいいわけです、国会内の発 言ですからね。そういう人がいきなり角度を変えて、いや政府の方針に従うよ と。そんな軽いものなんですか、政治家の言動というのは。私、不思議でしよ うがない。先ほど言いましたけれども、人間性そのものが問われていると言わ れてもいいわけですよ。  そこで、石破長官、簡潔にお答え願えればと思いますよ。 ○国務大臣(石破茂君) お答えを申し上げます。  人間性を疑うという御指摘がございました。私も足らざるところ多い人間で ございますから、自分が人間性において十分だなどと思ったことは一度もござ いません。ただ、政治家のモラルという御指摘が先ほど来、先生からございま す。  私は、モラルとか道徳とかいうことが自分が胸を張って言えるほど立派な人 間だと思ったことはありませんが、ただ一つ、自分がやったこと、言ったこと が本当に国家の利益に己の利益を優先させていないかという問い掛けはいつも しておるつもりでございます。自分が私の利益を国家の利益に優先して考えた ことは今日一日なかっただろうか、今やっていないだろうかということは常に 問い掛けておるつもりでありまして、私はそれが政治家としてのモラルであろ うというふうに考えておる次第でございます。  集団的自衛権につきましてのお尋ねでございますけれども、私は、閣僚が政 府の見解、解釈に従うのは、これは当然のことであるというふうに思っており ます。  かてて加えて申し上げれば、先般の外交防衛委員会でもお答えをして、二重 のお答えになれば恐縮でございますが、例えばテロ特措法というものがござい ました、PKO法というものがございました。私は、これを議員立法でやった らどうなるだろうかということで立法を試みた人間の一人であります。そのと きに、今の現行憲法の解釈、すなわち集団的自衛権は国際法上保有をしている が、憲法九条の制約、つまり我が国を防衛するため必要最小限という言葉は先 生御案内のとおりであります。したがって、行使できない、できないです、し ないではありません、できない。  その中で、ぎりぎり一杯でこの解釈の中でどこまでできるだろうかという作 業をいたしてみました。つまり、私どもがお預りしております外交と安全保障、 特に安全保障というものは、これは理念の世界もございますけれども、本当に 我が国が平和であり、安全であり、独立を保つということに私どもは政府とし て責任を負っておろうかと思います。そのときに、今の憲法の解釈、当然守っ ていかねばならない解釈の中でどこまで一体できるんだろうかという作業は誠 実にやってみる必要があるだろうと思っています。本当にそれで日本の国の安 全が、平和が保たれるかどうか、それを憲法の解釈の範囲内で精一杯やってい く、これは私は必要なことであろうと、かように考えておる次第でございます。 ○佐藤道夫君 率直に言って、全然納得できないんですよ。  それならば、日ごろから、万が一政府の一員になったら自分の今のこの説は 捨てる、それも国民の皆さん了解してくださいと。選挙演説を聞いて、立派な 人だ、集団的自衛権、ああ私もあの説に賛成だといって投票した人が一杯いる わけですからね、その人に対する大変な裏切りでしょう。政治家の言動という のは、ですから慎重にも慎重を期すべきだと。当たり前のことですけれども、 何か持って回ったような言い方で、結局、大臣になりたいから従来の考えをちょ こっと言わないことにしたと、それだけのことじゃないのかというふうにも思 えます。この問題はまた機会を見て、大変大事な問題ですから、議論したいと 思っております。  憲法には、確かにおっしゃるとおりいろんな問題があるわけでして、大いに 国会内でも議論をして、改めるべき点は改めると。  私、いつも言っているのは私学助成金。私立大学に政府の公金が入っていま すね、あれ憲法八十九条ではっきり禁止が書いてある。ところが、政府、特に 法制局の説明なんかを聞くと、許認可権限、私立学校の、政府に、内閣に、国 にあるから、あれはもう公の支配に属しているんだと。こんなばかげたことな いでしょう。私立大学、日本に一つもないことになるんですよ、みんな公立だ と。  ですから、本当に私立学校が金がないと運営ができないという現実があれば、 それを受け止めて、あの八十九条を改正してから公金を支出するというのが法 治国家として当たり前のことですけれども、日本というのは法律と建前、法律 は法律作っておいて知らんぷりして、現実はもうどんどん先行していく。  今の自衛隊だってはっきり、陸海空軍その他一切の戦力はこれを保持しない と憲法九条が書いているんですよ。学生なんかよく、あの自衛隊、あれは何な んでしょうか、先生教えてくださいと。私も答えるすべがない、そんなことは 小泉総理に聞けと、こう言っておるんですけれども。いずれにしろ、憲法につ きまして、もう二十一世紀ですから、真剣に議論して、改めるべき点は改める というふうな方向で考えていくべきではないかと、こう思うわけであります。  最後になりましたけれども、ワールドカップの思い出をもう一度話をさせて ください。  あのとき、若い者たちが集まって、顔を塗って、そろいのブルーのユニホー ムを着て、日本日本、わっしょいわっしょいとやっていましたね。テレビを見 ていると、目が輝いて顔も紅潮して、あれ初めて生まれ育った日本、なるほど 日本は我々の祖国なんだと彼、彼女はそう考えたんじゃないでしょうか。私は そう思いました。これが愛国心だと。愛国心というとすぐ、いや、軍国主義、 特攻隊だと、ああ聞くも嫌だという人が多いようですけれども、生まれ育った 土地を愛する、当たり前のことなんですから、これは。それから、自分を生ん で育ててくれた親を愛する、学校に行ったらまず教育の基本、人間の在り方を 教えてくれた学校の先生を敬愛する、これが教育のすべてだろうと思います。  何か今度、教科書できちっと愛国心を教えるようにしたいという話が漏れ承っ ていますけれども、改めて教えるまでもなくて、やっぱりああいうことを端緒 として、もう一度我々も愛国心とは何だということを考えてみようではないか と、そういう気もしているわけですけれども、いかがでしょうか、この点。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いい御意見を聞かせていただきました。  私もあのワールドカップのサッカーを見まして、日本人が顔に日の丸の、何 というのか、化粧というんですか、いろんなペインティングというんですか、 やってこれほど、日の丸を見ると嫌悪感を感ずるという人が一方でいる中で、 若い人たちは全然そんなの気にしなくて、サッカー、日本を応援していた。わ けてもまた、外国人選手に対しても惜しみない拍手を送っていた。ああ、いい ことだなと思って眺めておりましたし、こういうスポーツを通じて愛国心が、 やっぱり人間というのは自然にわき、にじみ出るのかなという気もいたしまし たが、同時に、やはり今の日本に住んでいることの日本人としての意識という ものは、自然に出てくるものと、やっぱりしかるべき人から、日本に生まれて 良かったな、その国に生まれて、自分一人で生活しているんではない、やっぱ り現在の自分というのは、単に生きている、一人で生きているわけじゃないし、 むしろ過去のいろんな先人、死んでいる方の影響も大きく受けているんだ、長 い伝統の上に自分たちは立っているんだ、生活しているんだという面も、いい 先輩から、あるいはいいしかるべき人から教えられないと分からない面もたく さんあると思います。  そういう面も含めて、総合的にやはり日本人としての誇りと希望が持てるよ うな教育も必要ではないかなと思っております。 ○佐藤道夫君 最後になりますけれども、いい話の裏には嫌な話が必ずあるわ けで、あの宮城スタジアム、二百八十億か何か掛けて今回のために、ワールド カップのために造って、三試合だけ使って後はもうほうり投げてあると。非常 に仙台から離れたところにあるものですから、仙台の人がそんなところまで試 合を見に行くとは思えない。これからの予定はどうなるんだと聞いても、さあ、 それが問題です、なるようになるんでしょうかと植木等みたいなことを言って 終わりと。  あれ全部で、全国に造ったやつが十か所ありますから、三千億、四千億の巨 大な赤字を生んでいる。これが日本の財政、政治の無責任ということなんです よね。フランスやアメリカなんかは、ワールドカップ、造ったのは施設は一つ だけ、あとは従来のやつにちょっと手を加えて間に合わせたと。それが当たり 前なんですけれども、日本はやっぱり、市町村が争うようにして、おれは立派 なものを造ろう、そうだそうだと、政治家が口を利いて造れ造れと。そして、 終わってみたら、たった三試合でもう御用済みでしょう。(発言する者あり) 今、いいじゃないかという話もありましたけれども、とんでもないことですよ、 三千億というのは膨大な金ですからね。  これについて、時間ですから、最後に御意見を承りまして、終わりにいたし ます。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この競技場の問題は韓国側ともよく話して いるんです。サッカーだけで終わってはもったいない、いかに今後、有効にこ れが利用されるような方法を考えなきゃいかぬ。単なるサッカーだけじゃない、 あるいは日韓の交流、青少年の交流、あるいは世界各国との交流にこの競技場 を有効に使う方法を考えるべきだと思っております。 ○委員長(陣内孝雄君) 以上で峰崎直樹君の質疑は終了いたしました。(拍 手)     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 次に、松谷蒼一郎君の質疑を行います。松谷蒼一郎 君。 ○松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございますが、最初に、日朝外交交渉につき ましてお伺いをいたしたいと思います。  九月の十七日に日朝首脳会談がピョンヤンで行われました。その際、大変驚 くべき悲痛な事実、すなわち八人の拉致された被害者が死亡していたという大 変悲痛な事実がございました。そのことで国民は衝撃を受けたわけであります が、しかし私は、そういう事実はありましたが、小泉総理の英断によって、決 断によってこの首脳会談が行われ、その結果としてこういった事実が判明した わけであります。そういう意味で、事実は事実としながら、やはり私は総理の すばらしい決断を大変評価をしております。そのことが小泉内閣の支持率の上 昇にもはっきりと表れておりますし、国民もそのことは評価をしているという ように思います。  この日朝首脳会談をどういうような時点で総理は決断をされ、どういう判断 に基づいて決断をされたのか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どういう時点というのは、月日ということ については私は定かに覚えておりませんが、昨年来から交渉を通じまして、こ の拉致の問題ははっきりと交渉のテーブルにのせなきゃいかぬと、あいまいな 形では駄目だということから、過去、現在、将来にわたる問題についていろい ろ先方の状況なり感触を当たってみようということで交渉を外務省は続けてき たわけであります。  ある時点で、この拉致の問題はもう事務的なレベルでは限界があると、トッ プ同士で話し合わないとどうしても、これ以上の情報も出ないし、交渉も進ま ないということになってまいりました。そして、日本の立場をそれじゃ整理し てよく考えようと。この日本の要求が満たされるならば私はいつでも行くとい う指示を外務省に出しておりました。その指示がいつだったかというのは覚え ておりません。  そして、そういう前提の下に交渉を積み重ねておりまして、結果的に七月、 今年の七月の下旬でしたか、日朝の外相会談があったと思います。その段階で、 どうやら北朝鮮も本気だなと。また、日朝赤十字会談等、あるいは局長級会談 でしたか、そういう、積み重ねてきて、いよいよもうこれ以上は一歩も進みま せんという段階で、私はそれではということで決断したわけであります。 ○松谷蒼一郎君 その決断によって、現在五人の家族が日本においでになって 郷里の人々に大変喜ばれております。  ただ、八人の方が亡くなったという衝撃的な事実と併せて、実はもう一つ衝 撃的な事実がありました。新聞報道でありますが、それは、ケリー国務次官補 がピョンヤンに参りまして姜錫柱第一外務次官と会談をした際、北朝鮮は米朝 間の合意の枠組みを交わしたにもかかわらず核開発を継続をしているという事 実であります。  このことについては、日朝首脳会談、九月十七日にありましたが、それより 以前に総理が事実を知っていたのかどうか。もし知っていたとすれば、そのこ とを十七日の日朝首脳会談の中で、金正日総書記に対してそのことをきちっと ただしたのかどうか。それに対して相手はどうだったのか。そのことについて 伺いたいと思います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 核の問題に対する情報等につきましては、 アメリカ側と密接に情報交換をしておりました。それは、九月十七日に私がピョ ンヤンに行く前から情報提供は受けておりました。どの程度の情報かというこ とは、アメリカ側の事情もありますから差し控えますが、そういう点を踏まえ て日朝首脳会談に臨んだわけであります。安全保障上の問題は日本としても決 しておろそかにしないし、むしろ拉致の問題、安全保障上の問題等を含めて総 括的に議論をするという前提で行ったわけであります。  そういう中において、核の問題、それから国際協定の問題、ミサイルの問題 という議論をしまして、ともかくあの平壌宣言に盛り込まれたように、国際法、 国際協定を遵守するということが盛り込まれたものですから、これは当然、今 後北朝鮮が責任ある国際社会の一員になるためには、この約束が誠実に履行さ れるということが前提でありますので、今後の交渉でも私は大変重要な意味を 持ってくるものと思っております。 ○松谷蒼一郎君 拉致の問題は大変大きな問題であります。しかし、核開発の 問題というのは、これはまた安全保障上極めて大きな問題。ミサイルの問題も あります、その他不審船、工作船、いろいろありますが、その中でも特に重要 な問題は私は核開発の継続の問題だろうと。世界唯一の被爆国として、我が国 が核被害によって大変な悲惨な歴史を負うております。そのことを総理として は背に負った上で、やはり今後の外交交渉の中で、この問題だけは米国あるい は韓国と歩調を合わせながらきちっとした対応をすべきであるというように思 います。  今度は今月の末、二十九日にマレーシアですか、国交正常化交渉が行われる と聞いております。この点につきましてきちっとした指示をやはり総理からし ていただきたいと、かように思いますが、いかがでございましょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 核の問題は安全保障上の問題として重大な 関心を持っております。それはアメリカだけじゃありません。むしろ日本、韓 国の方が強い懸念を申していると言っても過言ではございません。  今回の交渉におきましても、拉致の問題を片付ければ正常化になるのかとい う懸念を一部で持つ向きがありますが、そうではありません。安全保障上の問 題、それも含めて交渉しなきゃならない問題でありますので、その点はしっか りと受け止めて交渉に臨んでいきたいと思います。 ○松谷蒼一郎君 外務大臣にお伺いをいたしますが、核開発の継続の問題につ きましては、これは米朝間の合意された枠組みの問題でありまして、このたび のような姜錫柱第一外務次官の発言が事実であるとすれば、これは明らかに違 反であるということになります。そうしますと、KEDOへの拠出金は当然打 ち切るべきと思いますが、この点はいかがでございますか。 ○国務大臣(川口順子君) KEDOといいますのは、委員おっしゃられまし たように、合意された枠組みに基づいての取決めで行われているわけですけれ ども、これ自体は北朝鮮の核の開発を進めることを防止をするという意味で重 要な役割を果たしていると思います。これは日本、韓国、そして米国が中心に なってやっておりますので、この点につきましては日米韓で密接に連携をして 進めていきたいと考えております。 ○松谷蒼一郎君 当然、それは日米韓で十分連携を取りながら協議して行うべ き、それは当然でありますが、しかし我が国の外交上の立場、意思というもの はそれは明確に打ち出すべきであると思うが、重ねていかがでございますか。 ○国務大臣(川口順子君) 現在、合意された枠組みを廃棄するという形には、 北朝鮮の方からも米国の方からもそういうことになっていないという状況でご ざいます。この合意された枠組みの上にKEDOは乗っているということでご ざいますので、そういった事態の進展を見ながら、連携をしながら進めていき たいと考えております、対応していきたいと考えております。 ○松谷蒼一郎君 やっぱり外務大臣は、外務大臣、我が国の外交交渉の言わば トップでありますから、きちっとした姿勢というものは示すべきであると思う んですよね。そういうものがないからどうしても官邸中心の外交交渉になって しまうということも言われるかもしれません。やはり、外務大臣としては外務 省の立場というものの中で日本の国益をきちっと追求すべきであると思います。 それ以上の質問はいたしませんが。  そこで、拉致問題に移りますが、法務大臣に伺いますが、今度帰国された曽 我ひとみさんにはお嬢さんが二人いらっしゃると。現在、国籍はどうなってい るのか。それから、横田めぐみさんの娘さんも間違いなく横田さんのお嬢さん だということが遺伝子鑑定ではっきりしたと。この場合の、横田めぐみさんの お嬢さんの国籍はどうか。 ○国務大臣(森山眞弓君) 曽我ひとみさんの二人のお嬢さんの国籍でござい ますが、日本では昭和六十年一月一日から新しい国籍法になっておりまして、 二人のお嬢さんのうち、上の長女の方はその前にお生まれになって、次女の方 はその後ということでございますのでちょっと適用が違うんでございますが、 前に生まれられました長女の方は法務大臣に届け出るということによりまして 日本の国籍を取得することができるという状況でございますし、また、改正後 に生まれられた次女の方は出生によって日本国籍を取得しているということに なるわけでございます。  それから、横田めぐみさんのお子さんは、ずっと若いですから、改正後でご ざいますので、出生と同時に日本国籍を取得しているということになるわけで ございます。 ○松谷蒼一郎君 曽我ひとみさんの長女は申請が要るんですか。申請は要らな い。 ○国務大臣(森山眞弓君) これから手続といたしましては、長女の方の方、 前の法律の適用のころに生まれられた方は法務大臣に対する届出によって日本 国籍を取得するということになるわけでございますので、法務省において発行 いたしました国籍取得証明書を添付して国籍取得届書というのを市町村役場に 提出するということによって戸籍に記載されるということになります。  また、その後の、法律改正後に生まれたお子さん方は、出生によって日本国 籍を既に取得しているということになりますので、出生届書を市町村役場に提 出することによって戸籍に記載されるということになるわけです。 ○松谷蒼一郎君 いずれにいたしましても、まだ生存者がいるかどうか分かり ませんが、こちらに帰国された五人の家族の方あるいはそのお嬢さん、これは 日本人なんですね。  それで、手続は若干要るかどうか分かりませんが、日本人が永住帰国だとか 一時帰国とかいうのは本当はおかしな話だと思うんです。永住帰国という表現 が報道されているんですが、これは報道の問題かもしれませんが、被害者は日 本人であり、永住帰国という考え方は適当でないと考えますが、官房長官、い かがですか。 ○国務大臣(福田康夫君) 御指摘のとおりでございまして、日本人である拉 致被害者について永住帰国という、そういう用語を使用するというのはこれは 正確ではないと考えております。  ただ、この言葉が使われておりますのは、もう二十数年も長い間、北朝鮮で 生活基盤を有しておると、こういうふうなこともございますし、そういうこと を念頭に置いて慣用的に使用しているということで、いずれにしても政府では 拉致被害者について永住帰国という言葉は公式には使用しておりません。 ○松谷蒼一郎君 政府においてはそういう表現は使用していないと、それは当 然であります。大変立派な答弁だったと。  いずれにしましても、北朝鮮はこれまで全部うそだったんですよね。拉致な んかしていない、行方不明者、それは分からない。分からないじゃなくてちゃ んといたんですからね、ピョンヤンの近くに、市内ですか。そういううそばっ かり言って、それで今度は平壌宣言で、日朝首脳会談ではきちっとした宣言文 書に署名した。果たしてこれも実行するのかどうか。その辺は、やっぱりきちっ とした外交交渉の中で北朝鮮に対してその実効を担保していく必要があるとい うように思います。  なお、現在の、今の話ですが、被害者は日本人であるし、これは明らかに犯 罪行為によって北朝鮮に拉致をされた。であれば、これは原状復帰をすべきだ と。被害者本人や家族の意見というのはあるかもしれませんが、私は、それと は別に、国家としての意思として、そういう犯罪行為に対しては断固として、 日本にその生活の拠点を構築し、そして定住地にとどめさせるべきだと思いま す。それは、家族の意思がとか被害者の意思とか希望とか、そういうこととは 別に、犯罪行為のあった国から、日本国として、国家の意思として、それは当 然日本に定住させ、その後で、家族がやっぱり北朝鮮が懐かしいから行きたい とか、そういうことは旅券を、パスポートを交付して行ってもらえばいいんで、 まずは原状復帰すべきであると思いますが、総理、いかがでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 昨日、家族の皆さん、帰国された方々も日 本にとどまっていただきまして、一、二週間日本に滞在して北朝鮮に帰るとい うことではなくて、残されたお子さんたちも日本に帰国した状況で今後のこと を考えようということを決めたわけであります。  そして、将来自由に行き来できるようなことになれば、それこそいつでも行っ たり帰ったり好きなようにできるわけでありますから、そういう環境を、まず は帰国された被害者の皆さんがじっくりと判断できるような環境を作っていく ためにも、今、日本にいた方がいいだろうということで判断したわけでありま す。言わば、将来できれば、今御指摘のように、自由に行き来できるような状 況に持っていければなと思っております。 ○松谷蒼一郎君 ただいまの総理の答弁のとおりでありますし、今日の新聞に 大きく一面に報道されておりましたが、まず国家の意思として我が国にとどめ させて、その後は家族が行き来すること、それは被害者の、あるいは家族の意 思にかかわることだと。そういう意味で、私はやっぱり今回の決断というのは 大変正しかったというように思います。小泉総理の決断は、外交問題について はすばらしく決断が正しい。経済問題が若干あれかと思いますが、これは後ほ ど同僚議員の林芳正議員より質疑がありますので、よろしくお願いを申し上げ ます。  ところで、曽我ひとみさんは、最初の十一人でしたか、拉致被害者と言われ た、その中の名簿には入っていなかったというように思うんですね。日朝首脳 会談で初めて北朝鮮側から提示された。そういうようなケースがほかにもいろ いろあるんじゃないかと思うんですが、それらについての情報というのは警察 が調査しているのかどうか、いかがですか。 ○国務大臣(谷垣禎一君) 現在のところ十件十五名と、北朝鮮による日本人 拉致容疑事案というのが一応現在までの捜査の、警察の結論でございます。  しかしながら、今お話がありましたように、それ以外にも北朝鮮が関与して いないとは言い切れない事態があるのではないかと我々見ておりまして、今そ のために必要な調査、捜査を行っているところでございます。  そして、これを進めていきますにつきましては、警察だけではなかなかでき ないところがございまして、内閣官房や外務省、そのほかの関係諸機関と十分 連携を取っていかなければなりませんので、そういう連携を密にした上で最大 限の努力を払うべきものと思っておりまして、国家公安委員会としても警察に これを督励しているところでございます。 ○松谷蒼一郎君 是非、警察としてはこの問題については徹底的に調査究明を していただきたいというように思います。あるいは五人の家族の方がこういう 幸せな状況の中であるのを、北朝鮮側でおれもいるんだぞというようなことで、 私もいるんだということで、ただあそこはなかなか情報が伝わらないから分か らないかもしれませんが、そういう悲惨な境涯にある方がいらっしゃるかもし れません。是非、それは国としてやはり調査を徹底して行うべきであるという ように思います。  ところで、先ほど総理のいろいろな決断について私どもは大変な評価をして いると。ただ、こういう外交交渉の中でどうも外務大臣の顔が見えないんじゃ ないかと。日朝首脳交渉の九月十七日も外務大臣が日本にいらっしゃらなかっ たんじゃなかったかな。専ら田中局長、アジア大洋州局長が官房長官ないしは 総理と直接に話をしながらこういう重大な外交交渉を行っているというように 聞いています。それは事実かどうかは分かりませんが、それじゃ外務大臣は要 らないんじゃないかということになってしまいますね。  私は、外務大臣の能力はよく分かりませんが、しかし答弁は大変にお上手で ありますから、答弁どおりに能力があるかどうかというのは分からないけれど も、しかしやはり一国の外務大臣というのは極めて重要な閣僚であります。そ れは、首相官邸と常時連絡をきちっと取る必要はあるけれども、局長が直に官 房長官あるいは総理と協議をし、外務大臣がそのことについて事後に知らされ るというような姿はやっぱり良くないんじゃないかと思いますが、いかがです か。 ○国務大臣(川口順子君) 私の顔が見えないとおっしゃられたその根拠がど こにあるかなと思って伺っておりましたら、九月十七日の総理訪朝の折に私が 日本にいなかったということだということでございまして、そういうことであ れば外務大臣としては逆に外務大臣としての仕事が務まっていないということ であると私は考えております。  外務大臣が、よその国の外務大臣を見ますと、恐らく一年のうちの半分は外 国で外交をやっているということでございます。それに比べると、日本の外務 大臣はむしろ外に出ているということが非常に少ないというのが現状であると 思います。  この北朝鮮との国交正常化の話といいますのは、これは外交交渉だけの話で はございませんで、正に拉致の被害者の方が、あるいはその家族の方が日本に 戻ってどのようにその中で定着をしていくかということも問題でございますし、 あるいは核、安全保障、工作船といったような、そういった安全保障上の問題 もあるわけで、これは正に政府全体としてやるということですから、そういう 意味で関係の閣僚会議もできて対応しているということでございます。その中 で、外務省としては外交交渉を扱うという立場から、これは一生懸命に全力投 球をしているということでやっているわけでございます。  ですから、外務省としてその役割を果たしつつやっているわけで、その過程 において、あるいはこの日朝の、総理の訪朝につながる前の段階から、私はこ の件については指示を与え、報告を受け、やっているわけでございます。  そういう意味で、私は総理に任命をしていただいた以上は外務大臣の仕事を きちんとやっているつもりでございますし、もちろん私も完全な人間ではござ いませんから様々な御批判はあろうかというふうに思います。それにおいては 十分にそれを甘受をする、そして正すべきところは正すという姿勢は持ってお りますけれども、外務大臣としての仕事というのは世界の大臣と比べても非常 にたくさんのことがあるわけでございまして、いなかったということで、ある いは官邸に私ではなくて田中局長が行ったということをもって見えないという ことを言っていただくということは、私としては心外でございます。  なお、田中局長について言いますと、私は外務省の局長が前に向いて積極的 に仕事をしていくというのは非常にいいことだと思っておりますので、そうい う形で外務省の仕事が外に見えるというように私としてはできるだけしたい。 それが、正に外務省が強い外交をやっているということを国民の方に理解をし ていただくゆえんであると思っております。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 川口外務大臣は非常に官邸と密接に連絡を 取っていただきまして、外国のいろいろな会議にも積極的に出ていってもらい たいと。その指示に従って、よく外国の首脳とも信頼関係を築き、やってくれ ております。  できれば国会も、本来だったら今日もAPECへ行ってもらいたかったんで す。しかし、国会があるから許してくれない。私は、何のために副大臣設けた のかと、当初はそういうことであったのじゃなかったのかと。  外務大臣、今もうすごいですよ、国際会議。できるだけ外務大臣に出席して くれという要請がたくさんあるんです。そういう中にあって、日本にいないか ら官邸と連絡がないとか、外務省は仕事をしていないとかいうことは全く当た らないと思う。私も信頼しておりますし、能力においても見識においても十分 外務大臣の職責を果たしてくれていると思っております。 ○松谷蒼一郎君 まあ総理がそういうふうにおっしゃるんですから、それ以上 は申し上げませんが、しかし大方の見るところ、別に官邸に行かないからとか 九月十七日にどこかに行っていたからとか、そういうことだけで言っているわ けじゃないですよ、それは。やっぱり全般を眺めながら言っているわけで、やっ ぱりその点は外務大臣としても大いに今後、今、総理が申し上げられたように、 大きな総理の信頼があるわけですから、密に官邸とも話し合いながら外交交渉 を進めていっていただきたいというように思います。  それは外国に行くことも大事だけれども、やっぱり重要な問題、日朝交渉の ような大きな問題のときには外務大臣の姿が見えれば我々も外務大臣やってい るなというような思いにもなるわけでございますから、そこはひとつ今後大い に努力をしていただきたいというように思います。  田中局長を呼んでいましたが、もうこれ以上は質疑しても余り意味がありま せんので、田中局長に対する質疑は取り下げたいと思います。  ところで、次に景気対策に移ります。  景気対策全般につきましては、私どもの同僚議員の林芳正議員よりこの後質 疑がありますので、概略についてお聞きしたいと思いますが、竹中大臣にお伺 いいたしたいと思いますが、不良債権処理ばっかりが言われている。さあ不良 債権処理がどうだ、自己資本比率がどうだ、そんなことばっかり、会計法上の 問題みたいなこと。BISの規制によって、あのBISの規制というのは、要 するに我が国がバブルのころに、アメリカの自己資本比率が、いや失礼、日本 の銀行の、都市銀行の自己資本比率が三%に満たないと。にもかかわらず、景 気は大変いいと。それに対して、アメリカと英国が結託して、あれはスイスの バーゼルですか、その会議の中で自己資本比率を高めると。アメリカは八%以 上だ、あるいは一〇%だということで、八%という線を引いた。  私は、今の日本経済がこういうような状況になったのはなぜかというのはな かなか難しいと思うんですが、少なくとも十年か十五年ぐらい前は、ジャパン・ アズ・ナンバーワンといって、日本の経済は世界に冠たる経済大国であると言 われていた。それがいつの間にかこういうような状況になった。そのきっかけ は何だったのかという思いがあるんですが、それは別として、不良債権処理と いうのは、そういう会計法上の問題とかなんとかであるならば、それはあくま で手段であって目的じゃないと思うんですよ。目的は、景気を良くして我が国 の経済成長率を高めていくということではないかと思うんですが、いかがでしょ うか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のとおりだと思います。  銀行の機能、金融仲介機能がもっとしっかりと発揮されてお金がしっかり回っ て、企業が安心してお金を借りられて事業活動ができるようになること、正に 銀行の基盤を強くして企業、産業を強くすること、これが私がやろうとするこ との目的であるというふうに思います。 ○松谷蒼一郎君 あっさり御答弁ございましたが、そういう点から、余りあっ さり答弁されたのでちょっと、もう少し、これからの景気回復の道筋はどうい うふうになるのかも含めて御答弁いただきたいと思いますね。 ○国務大臣(竹中平蔵君) これは骨太の方針以来一貫した考え方であります けれども、残念ながら、日本はやはりそのイノベーションの力といいますか、 生産性を高めるようなそういう供給側の力が弱ってきた、これを、需要をうま くコントロールしながら、この供給力を強めて持続的な経済発展が可能なよう にするということだと思います。  その過程では、したがって四本柱の改革はどうしても必要である。金融シス テムの改革、規制の改革、それと歳出と歳入の改革、税の改革を含むわけでご ざいますけれども、そういうことを総合的にやっていくことによって供給サイ ドを強くする、その過程で、需要面にも重要な配慮を行いながら、委員御指摘 のように、銀行から安心してお金を借りられて、銀行も企業も強くなっていく と、そういう姿を描いているわけであります。 ○松谷蒼一郎君 不良債権処理が進めば銀行はどんどんどんどん貸し渋りをな くしてお金も中小企業にもどんどん回すかというと、そうでもないような気も するんですが、いかがですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) そこは極めて御指摘のように難しい問題であると 思います。  例えば無理やり、例えばですけれども、自己資本比率を高めろというような ことを、それだけが無理やり降ってきましたら何をするかというと、銀行は当 然資産を圧縮するだろうと思いますから、その過程でいわゆる貸し渋り、貸し はがしが起こるというようなことは、これは絶対に避けなければいけない。し かしながら、不良債権をいつまでも抱えていると、リスクを持っているわけで すから新たな貸付けができない。正に今そういう状況が見えているわけで、そ こを非常に微妙に狭い道を歩みながら銀行と企業を健全化していくということ が正に今考えているところであります。 ○松谷蒼一郎君 今、金融問題ばっかりが大きな問題になっておりますが、私 たち選挙区、私は長崎県ですが、に帰りますと、融資よりは仕事がないんだと、 要するに需要だと。需要だと、個人消費がなかなか動かないとなれば、これは 個人消費に代わって財政出動するしかないんですね。したがって、現在の景気 を良くしようとすれば、金融システムの改善は当然でありますが、併せてやっ ぱり補正予算とかあるいは減税とか、そういうものを一体的に総合的に打ち出 す必要があるというように思います。  これについては、今日は日銀総裁においでになっていただいておりますが、 日銀総裁は、金融問題だけではないんだと、政府こそよく頑張ってやれという ことを九月の十八日ですか、記者会見でお話しされた。それは何に関連してそ ういう記者会見をされたかというと、その前の日ですかね、十八日ですかね、 日銀が銀行保有株式を買い取るという決断をした。で、これだけでは景気は良 くなるわけじゃありませんよと、併せていろいろな対策も行わなきゃならない と、こういうような発言であった。  私は、日銀としてはやや異例の発言で、政府の経済政策にも注文を付けたと いうように受け取る向きもあるようでありますが、私はそれはそれで、それは 日銀の総裁は何も通貨の番人だけじゃなくて景気を良くするために大いに汗を 流す必要があるんですから、私は立派な発言だったというように思いますが、 その真意についてお伺いいたします。 ○参考人(速水優君) 九月十八日に日銀が銀行の保有している株式を買い取 るということを発表いたしまして、その後、具体的な案を進めて今年内には買 取りが始まると思っております。  この銀行の保有株式の買取りというのは、株価を上げるとか、あるいは流動 性をもっと広くするとかいうことでなくて、あくまでも金融機関の保有株式と いうのが多過ぎるんです。それが下がってきますと自己資本が減ってくるんで すね。そういうことにほっておけばなっていくということで、金融システムの 安定化のためにまず日銀だけでできる、これはもちろん財務省や金融庁の認可 が要るんですけれども、できることをやろうということであれを始めたわけで す。  金融機関は、今非常に大きく動く、しかも世界的に影響を受けながら動いて いく株を少し持ち過ぎていると思うんですね。海外の大国で持っているのはド イツだけです。ドイツと日本。日本の場合は株数でいっても全体の三七、八%、 四割弱を銀行が持っているわけですね。ですから、しかも去年から時価評価に なりましたから、非常に決算に影響してくると。右肩上がりのときは含み益で すけれども、今は含み損になっちゃうんですね。含み損になれば自己資本を食っ ていくわけなんです。それは困ると、そういうことになったら金融システムの 不安が起こるというふうに思いましたのであれをやったわけで、この二兆円と いう買入れ総額少ないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、私ど ものやれるところは二兆円ぐらいのところが限度であって、六兆ぐらいが銀行 のいわゆる自己資本を上回って持っている株数、株式なんですね。そのうち二 兆ぐらいを一年以内で日銀が買って、それを時価で買って、それをじっと持っ ていて、五年ぐらいは少なくとも持って、そこから先で適当に処分していこう と思っております。 ○松谷蒼一郎君 これは今お話ありましたように、二兆円だと東証一部上場の 株式時価、当時ですが、総額の一%に満たないということなんですね。したがっ て、もしこれをその他のデフレ総合対策と併せてやっていこうというならば、 もう少し大きな額で発動すべきじゃないかと思うんです。  これはまだ発動されていないんですね。いつごろ実質的に発動があるのか、 それも一挙にやるわけじゃもちろんないだろうと思いますが、どのくらいの年 限にわたっておやりになるんでしょうか。 ○参考人(速水優君) 今、具体的な方法、ことを進めておりまして、年内に は買取りが始まると思います。  そして、どうして二兆円なのかというのは、先ほど申し上げましたように、 金融機関の保有している株が多過ぎると、これを減らすというのが目的であっ て、株価を上げるとかあるいは流動性を増やすとかいうことでございませんの で、そこはちょっと御理解いただきたいと思います。 ○松谷蒼一郎君 竹中大臣に伺いますが、ただいま日銀総裁の答弁に関連して くるわけですが、やはり日銀としても、不良債権処理の問題だけじゃなくて、 そういうような株式の買取りを行うとか、銀行保有株式の買取りを行うとか、 いろいろな方式を打ち出していこうとしている。したがいまして、経済財政諮 問会議の担当大臣としては、いろいろな政策をどんどん軒並みにしかもスピー ディーに打ち出していく必要があると思うんですね。  だから、不良債権処理についての加速策を今月末に発表すると併せて、補正 予算あるいは財政出動、減税、そういうようなことも今月の末には発表をする というようなことになるんでしょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 正に政府、日銀が一体となって日本経済活性化の ための総合的な政策を取らなければいけないという強い考えを持っております。 同時に、それは総理からの御指示でもございます。  だからこそ、今御指摘のように、金融システムの改革に併せまして、歳出、 歳入の改革、これは歳入の改革は先行減税を行うということも既に表明してお りますし、さらに規制改革、それを、今までの方針をより大きく、より早く、 より分かりやすくという方針の下に今議論を進めております。そういった、同 時にセーフティーネット等々にも配慮をして総合的な考え方を是非取りまとめ たいと思っております。  しかしながら、補正予算に関しては、今臨時国会での提出というのは考えて はおりません。 ○松谷蒼一郎君 今、金融の問題もさることながら需要だということを先ほど も申し上げましたが、経済というのは生き物でいろんな意見がたくさんある。 例えばケインズ派もあればアンチ・ケインズ派もある。  いろんな意見が交錯していますが、しかしやっぱり今一番求められているの は、合わせ技でやっていかなきゃならぬのじゃないかと。それはやっぱり財政 出動であり減税である。減税はいろいろな事情によって多少遅くなる可能性は あるかもしれませんが、しかし財政出動はこの臨時国会の中に補正予算を提案 していただければ済むわけで、そういうようなことも含めて是非基本的な問題 としてお考えをいただきたいと思います。  現在は、景気の問題については、大変非常事態であるというように思います。 総理は、国債発行額三十兆円枠にこだわっているようなこだわっていないよう な、よく分かりませんが、こだわってはいらっしゃらないと思いますが、私は こだわる必要はない、まず景気を良くしていけば、これは国債の発行額も少な くて済んでいくわけであります。  以前、大変景気が厳しい状態の中で、住宅や不良資産や、そういうものが塩 漬けにして大変大きな問題になって、この国会の予算委員会でも政府側は大変 厳しい質疑を受けました。ところが、一年か二年して景気がぱっと良くなって、 バブルの入口だったのかもしれませんが、それによってもう何十とあった不良 資産、何万戸とあった住宅公団の住宅が一遍に解消してしまった。わずか一年 で解消。だから、景気のそのスピードの大きなエネルギーというのは大変なも のだというように思うんです。  だから、今はまず景気を良くすること、そのためにあらゆる方策を総動員す ること、それにはやはり今は需要だと思うんです。それで、需要は何といったっ て財政出動だ。去る参議院の本会議におきまして、青木幹事長が代表質問で、 君子は豹変すべきだということで発言があった。是非総理も豹変、豹変でなく てもそういうような非常事態に対応する適切な施策を出していただきたいと思 いますが、いかがでございましょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 三十兆円枠にこだわるとかこだわらないと いう問題じゃないんです。それは普通、財政状況を見れば、去年私が就任した 時点において税収は五十兆円見込まれていたわけですよね。国債発行は二十八 兆円程度でしょう。そして、もう累積債務四百兆円を超える、利払い費だけで もう二十兆円近い、こういう状況で、それで三十兆円枠でなぜできないんだと。 当たり前のことでしょう、普通の考えから見れば。  そういうことから、私は、何でもかんでも借金してやればいいもんじゃない と。この十年間、借金して減税してどうだったのか。全然効果なかったじゃな いかということから、私は、もっと歳出見直したり、財政出動もう限界がある んじゃないかということから、もう根本的な構造に問題があるからということ で、行財政改革始め役所がやらなくてもいいことをやり過ぎている、もっと民 間にゆだねていけばいいんじゃないか、国が余り地方に干渉し過ぎる、もっと 地方の自主性や個性を生かすべきじゃないかという方針でやっているんですよ。  だから、私は、この三十兆円枠というのは一つの方針であって、こだわると かこだわらないの問題じゃないです。財政規律という観点から、枠をはめない、 全部やりなさいと言ったら、もうやりたいことばかり出してきます。幾らあっ てもお金足りません。かといって、じゃ増税するのか、増税反対。税制改革と 言えば、今でも全部減税要求ですよ。  景気が良くなった。今まで、それじゃ景気が良くなったから、自然増収上がっ たから、その自然増収を今までの借金の返済に回していればよかった。そうじゃ なかったでしょう。景気が良くなって自然増収が上がってくれば、これは税の 取り過ぎだから減税に回せ、公共事業に回せ、それで失敗してきたじゃないで すか。この轍を踏むまいということで、やっぱり財政規律というのは大事だ。 今これだけ借金があって、借金の返済で二十兆円近くが何の新規の政策需要に 使えない。もし今までの借金返していれば、二十兆円どんな事業にも使えるん ですよ。  そういうことを考えると、私は、今三兆円とか四兆円国債発行して景気が回 復するんだったらすぐ出しますよ。しかし、出した途端、国債暴落する、金利 は上がる、景気の足を引っ張る、そこも考えなきゃいかぬということで、財政、 金融両面を見ながら、本当の根本的な行財政改革、金融改革、税制改革、歳出 改革、そして規制改革、この本質的な王道を行かなきゃ今のこの長い停滞は打 破できないということでやっているんです。  しかし、経済は生き物であります、今言ったように。これから状況を見なが ら、世界的なデフレ傾向になっている、日本の状況だけじゃない、世界の情勢 も見なきゃならないということから、私は必要な対策はやります。そういう点 におきましては、経済は生き物ですから、大胆かつ柔軟に対応すると。しかし、 財政規律という点は常に頭に置いておかなきゃ、結局、国債発行というのも将 来の若い世代に税金のツケ回しです。その点もよく考えなきゃいかぬ。 ○松谷蒼一郎君 総理のお考えはそのとおりだと思いますが、是非適切にやは り非常事態の場合には対応していただきたいと思います。  ところで財務大臣、最初、総理もお話しされていたんだが、通常、国債が増 発されて、財政収支、赤字がどんどん膨らんでいく。インフレになるんですよ ね。これがインフレにならなくてデフレになると、これはどういうことでしょ うか。 ○国務大臣(塩川正十郎君) これは妙な現象ですね、確かに。それほどやは り経済の冷え込みがあるということと、それから資金需要がないということな んですね。そこがやっぱりこの循環が、おっしゃるように、通貨がこれだけ発 行されて国債が発行されていったらインフレにならなきゃならぬものが、いわ ゆる古い借金の返済に回っちゃっているということ、そこが一番問題なんだろ うと思います。 ○松谷蒼一郎君 財務大臣のお考えを承りました。──今、総理が竹中大臣に も聞いたらどうかということで、竹中大臣、どうでしょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) これは難しくて、いろんな要因がありますから、 余り単純化すると誤解を招くかもしれませんが、諸外国になくて日本にある一 つの大きな要因は、やはり国債を国内でファイナンスできていると。つまり、 非常に分厚い貯蓄があって国内でファイナンスできている。通常ですと、そこ でやはりファイナンスできなくて、結局、通貨価値が暴落する、通貨価値が暴 落するからインフレになると。そういうメカニズムが幸いにして今のところ日 本には働いていない。しかし、高齢化とともにこの貯蓄が減っていくというと ころに今の財政赤字の非常に難しい重大な問題があるというふうに思います。 ○松谷蒼一郎君 次に、規制緩和について伺いますが、規制緩和というのはな かなか各省庁の抵抗があって厳しい状況にあろうかというように思います。そ の中で、経済構造改革特区を今度設けてやろう。これはなかなかいい考え方だ と思うんですよ。地域単位に規制緩和をし、規制を外し、そこで実験的にその 効果を見てみる、効果が良ければそれを全国ないしは拡大をしていくと。そう いうやり方は、私はなかなかすばらしい考え方だと思います。  今度は、構造改革特区の担当大臣に大変な腕力の持ち主であります鴻池大臣 が就任をされました。これについてのお考え方、今後の方針等についてお伺い いたしますと同時に、現在までの提案はほとんどが地方公共団体なんですね。 民間事業者からの提案がほとんどない。これはやはり問題じゃないかなという ように思いますが、いかがでありますか。 ○国務大臣(鴻池祥肇君) 先生のお地元の長崎の出島、一六二三年に有力町 人二十五人が造り上げて、黒船が来るまで約二百年間続いたと。そういう発想 も勉強の対象にいたしておるわけであります。  なかなか、この規制というものには歴史とかそれなりの理屈とかいうものが、 正しくもあり正しくもないところで随分きちっとあるわけでございますけれど も、なかなかこれが緩和することができない。小泉総理の構造改革、規制改革 というものが余り進もうとしていない部分があるわけでありまして、これを、 今、正に委員がお述べになりましたようにどこか一点風穴を開ける、パイロッ トケースを作っていくと、それで、よりよきことであればこれをいい意味で飛 び火をさせていくと、こういう構想であると私は承知をいたしておりますので、 今後とも、第一弾が終わりました、そしてプランを作っておりますけれども、 来年の一月十五日に向かって、第二次の募集、提案を受け付ける、このような 段取りをいたしているところであります。  ただいま、また御指摘ございましたように、二百四十九の提案が第一回目あ りました。締切りのとき二百四十九、そのうちの十八しか民間からの提案があ りません。残りは全部都道府県、市町村からの提案でありました。  私も、担当を命ぜられましたので、できるだけPRをして民の活力、民の提 案を受けたい、このように思っておるところでございますので、是非とも御理 解をいただきまして、御支援をいただきたいということをお願い申し上げる次 第であります。 ○松谷蒼一郎君 東京都ではカジノの特区を設けようというような意見もある。 ただ、その提案はどうもなされていなかったみたいですが。  これは、先進諸国では、カジノというのは決して不潔な場所ではなくて、大 変規律正しく清潔で、公的な形で運営されている。しかも、東京都の試算によ れば、ちょっと数字忘れましたが、何千億の経済効果があると、こういうふう に言われておりますが、今、カジノ特区についての提案はあるんですか。 ○国務大臣(鴻池祥肇君) カジノの提案は、実は五件ございました。具体的 に県名、地名を言いますと、宮崎、それから岐阜、大阪、加賀、そして東京は 荒川区でございました。都からは出ておりません。  今、委員おっしゃいましたように、この地球上でカジノオーケーと言ってやっ ているところが百十二か国ございます。アメリカは、ユタ州とハワイ州を除い たすべてでやっておる。ニュージャージーという州では、参考に聞いていただ きたいんですけれども、四百三十億円の粗利益があると、三千人ぐらいの雇用 が創出されている。こういうことを考えれば捨てたものじゃないなというふう に思うわけでございますけれども、ただこれは、地域の意思が、やはり住民の 意思、県民の意思が、合意がある程度できてこないことにはなかなか難しいこ とではないかと思います。  もう一つは、これ、刑法にかかわることでもございますので、特区担当とす れば、いろいろこれから関係者の意見、あるいはいろんな、見学をしたりしな がら、実は私カジノ行ったことないんです、松谷委員は非常にお強いそうです けれども。経験を積みながら方向付けをしていきたい、このように考えておる ところであります。 ○松谷蒼一郎君 先日、経済関係の主要なメンバーの方との会合の際に、経済 界の主要な方から、トップの方から、これはカジノは大いにおやりになった方 がいいんじゃないかと。ただ、東京がいいかどうか、それは地域性があるんだ ろうと。例えば、四国とか沖縄とか、そういうようなところのお話がありまし た。  それはそれとして、やはり決しておかしな構想では私はないと。あらゆる政 策を動員しながら経済対策をやっていく、その上での一つの試みであったとい うように理解していただいていいんじゃないだろうかというように思います。  最後に、時間がなくなりましたが、市町村合併について片山総務大臣に伺い たいと思います。  平成十七年三月までには、市町村合併については二年半を切ったわけであり ます。その取組の状況あるいは関係省庁との連携の状況等についてお伺いいた します。 ○国務大臣(片山虎之助君) どうも、大変時間が押しているのにわざわざ御 質問賜りましてありがとうございました。  今、市町村合併は全国的に大変盛り上がっておりまして、どこの地域に行っ ても最大の課題ですよ、デフレや景気や不良債権処理もありますけれども。是 非この大きな流れを実りあるものにしたいと、こう思っておりまして、今、全 国では約八割の市町村が合併の検討に入っています。それで、合併の手続で法 定協議会というのを作るんですが、これに参加しているのが五百を超えていま す。それから、都道府県が合併支援地域といって指定しているのが八百を超え ているんで、是非、与党三党が言うように十七年の三月末までに千を目指して やりたいと、なかなか千にはなりませんけれども。  そこで、今までは自主的な合併だということで総務省も都道府県もちょっと 後ろに寄っておったんですよ。私は、もうあと二年半ですから、一歩踏み込ん でどういう更なる具体的な応援ができるか、それをやっていかなきゃいかぬと、 こういうふうに思っております。  これは何でやるかといいますと、二年前に地方分権一括推進法が施行になり まして、相当の権限が地方に下りてきた、あるいは国の関与が少なくなった、 機関委任事務はなくなって自治事務と法定受託事務になった。ほとんど自治事 務になったんですよ。ただ、しかし、それは県までなんですね。市町村まで下 りていないんですよ。地方自治というのは、市町村を強くして、住民に身近な ところで、そこで自己責任、自己決定でやらせるということなんですよ。その ためには、市町村を強く大きく元気にして、そこに権限を下ろし、財源を与え、 いい人間も、人材も入ってくるような、市町村中心で動くようなことをせにゃ いかぬと。そのためには、今の規模、能力じゃ駄目なんで、その規模も強くし ようと、こういうことなんで、地方分権のためなんですよ。  ただ、首長さんや議員さんは現状でどうにかやれますから現状でいいじゃな いかと言うけれども、やっぱり子や孫のために地域の将来考えてくださいと、 こう言っておりまして、是非、十七年三月を一つのゴールにして頑張ってまい りたいと思いますので、ひとつ長崎県においても御声援を賜りますようによろ しくお願いいたします。 ○松谷蒼一郎君 確かに、今、大臣からのお話のように、地方へ参りましてい ろいろな会合に出た場合、この町村合併の話が一番大きな話題になるんですよ。 それで、特に苦労しているところがやっぱりいろんな意見を出してまいります が、やはり私は、地方の活性化のためには、正に景気対策と同じでありまして、 大臣、渾身の力を込めてこの事業の実施のために力を尽くしていただきたいと 存じます。  ただ、合併できなかった小規模市町村、これの取扱いはどんなふうになるん でしょうか。 ○国務大臣(片山虎之助君) そこで、市町村の再編が終わりましたら、次は 私は府県制度だと思っている。それから、府県と大都市ですよね。政令指定市 が、さいたま市が今日の閣議で決めましたが、来年の四月から政令市になりま す。十二が十三になる。あと、後に続こうというところはたくさんありますか ら、そうなると、大都市と府県の関係を見直す。府県制度そのものを見直す。 百三十五年も今の府県制度、続いていますからね。  それから、もう一つは、合併できなかったところをどうするのかと。ただ、 これだけITが進んで、交通事情が良くなっているんですから、私はかなりで きると思うんだけれども、しかしどうしても残るところをどう扱うかはこれ大 きな課題なんで、やっぱりそれは規模、能力に応じた権限や財源しかそこには なかなか付与できないんじゃなかろうかと。普通のところは、いろんなことを やっても、そこはある程度限定的なことにならざるを得ないんじゃなかろうか と。それを補完するのが、府県がやるのか隣の大きな市がやるのか、その辺は 考えなきゃいかぬと、こう思いますが、今、第二十七次の地方制度調査会でそ のことを検討してもらっていまして、来年の三月までに中間報告をいただくこ とになっておりますから、それをいただいた上で十分閣内で検討してまいりま す。 ○松谷蒼一郎君 最後に、冒頭に戻りますが、本日、総理はAPECの会議に 向けてメキシコへ御出発されるというように聞いております。APECの会議 において、是非、日朝首脳会談の問題、とりわけ核開発の疑惑の問題について 十分米国あるいは韓国と協議をしていただきたいと、かように存じますが、最 後によろしくお願いを申し上げます。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今晩、この予算委員会が終わりますと、メ キシコAPEC会議に向かって出発いたしますが、その際にはブッシュ大統領、 金大中大統領、私、いわゆる日米韓の三者協議、予定しております。その席で、 今後も日朝交渉に当たりまして、日本としてはアメリカ、韓国と密接、緊密な 協力の下に当たっていきたいと。特に安全保障上の問題、この点については米 国、韓国、重大な懸念を持っておりますので、その点も踏まえて、日本として は総合的に、包括的に日朝交渉に当たっていきたいと思います。 ○松谷蒼一郎君 以上で私の質疑は終わりますが、関連質問は林芳正先生にお 願いをいたします。 ○委員長(陣内孝雄君) 関連質疑を許します。林芳正君。 ○林芳正君 自民党の林芳正でございます。  先輩の松谷先生から関連のお時間をいただきましたので、先ほど予告をいた だきましたけれども、経済問題に絞ってお聞きをしたいと思います。  先ほどの本会議で我が幹事長青木先生から総理にちょっと厳しく聞こえるよ うな御質問もありましたが、後々いろいろと聞いてみますと、仲がいいからけ んかをするんだということでありましたので、私も竹中大臣とは長いお付き合 いでありますから多少厳しいことを申し上げるかもしれませんが、そういう趣 旨であるというふうに御理解をいただきたいと思います。  最近、市場の関係者が面白いことを言っておりまして、竹中さんが金融担当 大臣を兼ねることになったときにいわゆる竹中ショックというのがあって、そ れは大部分は過大な報道による誤解もあるんではないかと思いますが、イメー ジというものが今の時代に非常に大事で、市場があのときに何をかぎ取ったか という中の一つに清算主義ということを掲げる人がいます。清算というのは、 清く、算数の算で、全部破産して清算してしまう、リキデーショニズムという ことでございますが。  これは実は、フーバー大統領というのがアメリカにおられまして、このとき の実は経済政策を決定していたのがアンドリュー・メロンという財務長官がお られまして、大臣よく御存じだと思いますけれども、その人の経済政策は、雇 用を清算し、株式を清算し、農民を清算し、不動産を清算せよ、ともかく経済 から腐敗を一掃せよというようなものであったというふうに受け取られたと。 それがその後どういうふうになったかというのはもう大臣よく御存じのとおり でありまして、その後、ニューディールということにつながっていくわけでご ざいます。  そこで私は、長いお付き合いの中で竹中大臣は決して清算主義者ではない、 その一端は、後で時間があればお聞きをしますが、日銀の方にインフレターゲッ トのようなことも御提案をなさっている、マクロの方にもきちっと目配りをさ れておるわけですが、若干あのチームのスタートのときにそういう清算主義の 部分が色濃く出たためにどうもマーケットがそういう反応をしたんではないか と、こういうことが言われております。そういう意味で、今回、不良債権の処 理だけではなくて経済の再生という部分をトータルで出していただく、先ほど 松谷先生からも御指摘があったことですが、そのことが非常に大事なんではな いかというふうに基本的に思っておるわけでございます。  そういう意味で、この一週間の報道を見て、いろんな専門家でないような方 がおっしゃっているのは、竹中大臣にもうちょっとうまくやってもらいたいけ れども、銀行の方も何にもできない、何にもしないというのもいかがなものか なというのが、正直な見ていらっしゃる方の感想ではないかと、こういうふう に思いますので、トータルで是非いろんなことを出していただきたいと。  せっかく伊藤副大臣という、もう経済産業部会長をおやりになった再生のプ ロが今、竹中大臣を支えていらっしゃるわけですから、是非相まって、トータ ルのパッケージを出していただきたいと思います。  その上でお聞きをしてまいりますけれども、まずは、一番話題になっており ます公的資金の注入ということでございますが、預金保険法百二条によります と、我が国又は当該金融機関が業務を行っている地域、国全体か地域、両方で あるわけですけれども、その信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそ れがあると認めるときは、総理が議長をやられる金融危機対応会議の議を経て 資本注入を行うということで、今はこれしかないわけでございます。  この三月までは御存じのように健全化法というのがございましたから、個別 銀行の健全化ということでお金を入れることができたということでございます ので、今の法律ですと、やはりシステミックリスクというものを認定をしない と入れられない仕組みになっておりますから、個別の銀行で起こったことがや はり全体のシステミックリスクだということに法解釈上なってしまって、それ が逆に市場にインパクトを与えてしまうというおそれが私はあると思いますの で、ここは非常に慎重に、できれば、党の実は対策委員会のペーパーにも入っ ておりますけれども、やはり健全化法を復活させるというか、法的に必要な措 置は取っていただいてから個別のことはやっていただくという方がベターなの ではないかと思いますが、この点で大臣の御解釈をお聞きしたいと思います。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 冒頭で私が清算主義者じゃないということをきちっ と御指摘いただきまして、大変ありがとうございます。その上で、御指摘のよ うに、トータルとしてのしっかりとしたパッケージを出せるように、各方面と も協議をしながら努力をしたいと思います。  御指摘のその法的な枠組みに関しましては、実は、これも最終的にどのよう な不良債権処理策の枠組みを考えるかという中で実はしっかりと議論すべき項 目であるというふうに思っております。  ただ、いずれにしましても、今、委員御指摘のように、今の枠組みの中です べてやれるかということに関しましては、これは御専門家が御指摘のように幾 つかの問題があるということは重々承知しておりますので、それと当面の問題 とその先にある問題、時間のスパンもやや長く取りまして、どういうやり方を 取っていくのがベストかということをこの月末の報告の中には、基本的には、 基本的な考え方はやはりお示ししなければいけないというふうに思っておりま す。 ○林芳正君 是非そこのところは慎重にやっていただきたいと、こういうふう に思います。  午前中は五十四分まででございますので、もう一問だけお聞きをしたいと思 いますが、税効果会計が非常に問題になっておるわけですが、これはちょっと 議論の混乱が私はあると思っておりまして、ちょっと細かい話になるんでござ いますけれども、二つのことがあるわけでございます。  まず、五年分を計上するということを一年分にしてはどうかという話と、全 額算入できるのを例えば一〇%にしようと、この二つのことが報道されておる わけですが、最初の五年を一年にするというのは、これは企業会計の基準であ ります。二つ目のティア1に入れる算入額を一〇%にするというのは、これは 実は自己資本比率というものを計算するためのやり方でございますから、金融 庁が所管する法律の告示ということになっていまして、二つの、法律的には違っ た性質のものなんでございます。そういう意味で、その告示の方は確かに行政 の行為ですから、大臣がやるということになればこれは法律上できるというこ とでありますが、一方、企業会計というのは、企業会計審議会、また財務会計 基準機構という日本版FASBと言われるものを作って、そこで御審議をいた だいて、パブリックコメント等いろいろ聞きながら、最終的にじゃこれをどう しよう、何年から適用しようという、こういう手順があるわけでございます。  そういうような中で、この基準をもし見直されるということであれば、そう いう手続をきちっと踏んでいかれるということがやはり大事であると思います し、期の途中で例えば変えるということは、非常に法的な安定性も欠くという ふうに思われますので、告示の方も、なかなかこれはあしたからこうだという わけにはいかないと思いますが、この件に関して大臣の見解をお聞きしたいと 思います。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 新聞等々でいろんな考え方が報道されております が、繰り返し申し上げますけれども、今、まだ議論を詰めております段階で、 数字のこと、やり方等々、まだそういうことは何も決まっているわけではござ いませんので、あくまでこれは一般論として申し上げるしかないんであります けれども、基本的には、やはり企業会計原則というのは大変これまでの英知の 上に、実績の上に積み重なっているものでありますから、この企業会計原則を 今回の不良債権処理の加速の段階でどうこうするということは、これは私は考 える必要はないというふうに思っております。これは企業会計原則の問題では ない、これは専門家によって、専門家として引き続き議論していただければよ い問題なのではないかと思っております。  問題は、手続的に非常にしっかりされたもので今まで計算してきたものが、 先ほども申し上げましたように、その資本性について、マーケット等の中から は、本当に今まででいいんだろうかという疑問があるということもこれまた事 実なのだと思っております。  そうした観点から、手続としての、これはもうやはり継続性も整合性も重要 でありますから、その制度的な正当性の問題と経済実態の間でどのような適切 な判断がなし得るかということを今慎重に検討している段階でございます。 ○林芳正君 ありがとうございました。是非ここは手続をきちっと取っていた だいて、途中でルールが変わるというようなことにならないように是非お願い したいと思います。  午前中の質疑はこれで終わらせていただきたいと思います。ありがとうござ いました。 ○委員長(陣内孝雄君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩します。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会 ○委員長(陣内孝雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算の執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行いま す。林芳正君。 ○林芳正君 ありがとうございます。  午前に引き続きまして、引き続きちょっと細かい点になるかもしれませんけ れども、大事な部分を、この不良債権の処理につきまして、また経済再生につ きまして聞いてまいりたいと思います。  時間も残り少なくなってまいりましたので、答弁は長くて結構でございます が、質問は簡潔にいたしたいと思います。  オフバランス化というのはよく言われております。もうこの何年かで銀行は 七十兆円ぐらい直接償却をやって銀行のバランスシートから外に出したと、こ ういうことになっておりますが、その中で一部、実はバランスシートから外れ ているんですが、まだ銀行がその債権者であると。債権者、債務者関係がその まんまという、テクニカルタームを使うと怒られますが、直接部分償却と言う そうでございますが、まだ十兆弱ぐらいあるんではないかというようなことが 指摘をされております。  企業再生というのは銀行からよその方に債権者を移していくというのが一つ のポイントで、我々もオフバランス化イコール債権者が銀行からほかの人へ移 ると考えておったわけですが、実は七十兆の中にそれぐらいのポーションでこ ういうものがあるということについて大臣御存じだったか、また御存じの場合 はその見解、これからどうしていくべきかということをお聞きしたいと思いま す。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 大変御専門的な御質問だと思います。概念上は私 も私なりに整理しているつもりでありますけれども、いわゆる部分直接償却の お話かと思います。  オフバランス化というのは、バランスシートから取り去るわけだけれども、 それは企業そのものは何らかの形でバランスシートに残っているので債権債務 関係はまだ続いていると、いわゆるしっぽがまだ残っているというような意味 かと思います。  しかしながら、これは実質破綻先以下のものであるということから、多分も うすぐなくなるはずのものについて部分直接償却が認められているというふう に解するならば、やはりこれもオフバランス化であって、重要なことはその債 権債務の関係ができるだけ早くこれを完全に正にバランスシートからなくなる ようにするということが、これは償却会計上は望まれるということなのではな いかと思います。そういうものがあるということは承知しておりますし、そこ はきっちりと場合によっては区別をしなければいけないのかもしれません。  ただ、オフバランス化であるということは、これは間違いないのではないの かなと思います。 ○林芳正君 今回、再生のプランも一緒に出していただくわけですから、オフ バランス化でいいという今お話でしたけれども、やっぱり望むべきは破綻懸念 先以下であっても外に出していただくと、債権者を変えていただくということ が私は大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、よく言われておりますのは、結局これをやると、どんどんどんど ん貸し渋りがまた進行するんではないかと、こういうふうに言われております。  先ほど大臣も松谷先生の質問に対して御答弁もあったわけですが、私はやっ ぱり大口債権者、例えば数千億とかそれぐらいのところでラインを切って、そ このよりたくさんのところについてやるというような考え方というのが必要で はないかと、こういうふうに思います。業務純益がありますから、業務純益の 中で中小の方の再生というのはもう必要であればできると思いますけれども、 何千億という大きなところがやはりスタックをしているんではないかと、こう いうふうに思うわけでありまして、そこが一つと。  それからもう一つは、逆に不良債権の比率を何%という目標を出すという話 もありますけれども、私はこれは積極的に評価するところがあると思うんです。 それは、比率というのは、例えば何%というふうにすれば、不良債権を減らし ていってこのパーセントを達成するのも一つでありますけれども、通常の債権 ですね、もっと貸出しをたくさんやれば同じ不良債権の量であってもパーセン トは落ちるわけであります。こっちの面からやっぱりパーセントというのは正 当に評価をしていくべきではないかと、こういうふうに思いますけれども、今 の二つについて、大臣、いかがでございましょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、その全体にどのようにしていくかと いうことに関しましては、今のような御指摘も含めまして月末の結論の中ではっ きりと明示していきたいと思いますが、要は、今の二点のうちの第一点は、中 小企業の金融に対していろんな問題が起こらないような配慮を組み込んでいく べきではないかと。これはもうそのとおりであろうと思います。  そもそも、やはり当面は主要行に焦点を当ててこの問題を考えるべきで、リ レーションシップバンキングは別だというふうな建前で議論を進めております し、また、その貸しはがし・貸し渋りホットラインを作ると申し上げましたが、 今日じゅうにもそれは動き出す体制になっております。  目標値をどう決めるかということも重要なポイントでありますが、今の委員 の御指摘は、目標値を決めるに当たっては資産圧縮が起こらないような目標値、 むしろ資産を積極的に貸し付けるような目標値を作るのが賢いやり方だと。こ れは全くそのとおりだと思っております。 ○林芳正君 意見が一致して安心しましたけれども、もう一つ、よく言われて おりますあのDCF。これ、何かアメリカから来て黒船のように言われておる わけです、ディスカウント・キャッシュ・フローという。ただ、かみ砕きます と、しごく当たり前の話でもありまして、今から再生をする企業は来年どれぐ らいもうかりますかね、再来年どれぐらい収入がありますかねというのを見通 しを出して、それを現在価値に引き戻すというだけでありまして、そういうふ うに実は言ってもらうといいんですが、何かDCFとかいうアメリカのやり方 でどんどん切りまくるんだと、こんなようなイメージがあるものですから、そ こをよく説明していただきたい。  そして、RCCが債権を買い取るときの時価にしたときに実はこの話はもう 出ていまして、RCCが買い取るときにDCFを使うということは当時の議事 録にも出ていると思います。ですから、これは、採用するというのはやり方に よってはいいと思いますけれども、どういうふうな基準にするか、そして、今 まで過去のやり方をやっていた人に途中で、先ほども言いましたけれども、急 にやり方を変えるというんではなくて、例えば選択制にするとか、そしてDC Fを採用している人はそれを明示してもらうと、こういうようなやり方がある と思います。そうすると、見ている人も分かりますから。  そういうふうに、押し付けではなくて、銀行が選べるとか、自主的な努力を 尊重するという考え方については、いかがでございましょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) まず、DCFの考え方は、御指摘のとおり、これ はある意味で当たり前の考え方でありまして、これはある有名な経営者の言葉 ですが、これができないような人は経営者になってはいけないんだと、そうい うこともあるぐらいごく当たり前のことなのだと思います。  また、一部の銀行ではやっていることでありますし、御指摘のRCCでもやっ ていることだと思いますので、誤解のないような形でこういうものが適正にや はり資産評価に取り入れられていくということが好ましいと思っております。  その際のルールの継続性との整合性をどのように取るかということも含めま して、最終報告の中できっちりと結論を出させていただきたいと思います。 ○林芳正君 きちっと誤解のないように御説明をしていただきたいと思います。 選択させるということがポイントになると思います。  それから、RCCについては報道もいろいろあるようでございますけれども、 この買取り価格というところがやっと時価になって、この時価買取りによって 今年から随分値段が上がってきているわけですが、公的資金をいろいろ活用す るという議論の中で、せっかく大事な税金を使うんであれば、私は、RCCに ある再生勘定に幾らか交付国債なりを積んでいただいて、最終的には赤字になっ ても仕方がないというのはもう決まっているわけですから、それを幾らまでと いう枠を作ってもいいんではないかと。銀行に入れるよりはそっちの方が私は 有効に、先ほども言いましたけれども、銀行から外へ出すという意味で大事な んではないかと、こういうふうに思いますし、細々とながらUFJとメリルリ ンチのようなファンドができてきました。別に外資だからできる、日本の人は できないんだというわけではなくて、きちっとUFJというのが入って、こう いう再生をできる仕組みができてきておりますので、ここをきちっと見ていた だきたいと。  そして、RCCは元々はサービサーから、要するに債権回収する人から始まっ ているので、どうしても弁護士さんがたくさんいて、清算したところはどんど んどんどん取り立てる、こういうイメージがあります。弁護士さんが多いのも 確かでございます。ですから、今言われているような政策投資銀行と一緒にな るというのも大変な話ですけれども、ビジネスの人が、再生させるという方の 人がどんどん入ってきてもらうし、RCCで全部やらずに、RCCに集めたや つをもう一回外へ出してファンドを組むという、これを主流にしていただきた いと、こういうふうに思いますが、以上、いかがでございましょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) RCCの機能を建設的に強化していくという委員 の御指摘は全くそのとおりであると思います。つまり、どうしても回収という イメージが非常に強いわけですけれども、本来、回収、売却、再生、それがや はりきちっとトータルとして力を発揮しなければいけないのだと思います。  しかし同時に、今のいろんな不良債権加速策を我々が考えている中で一番実 は難しいと思うのがここであります。特に再生について、日本に本当に再生の 専門家をどのぐらい集められるかということも含めて、相当やはり新しい仕組 みを考えて強化していかなければいけないということに私たちも突き当たって おります。  御指摘の、しっかりと資産を回転していって有効に資産を使ってもらえるよ うにするというのがこの不良債権処理加速の本来の意味でありますので、そこ は是非しっかりと議論を詰めたいと思っております。 ○林芳正君 ありがとうございました。  是非、今検討される、今から決めるんだということでありましたが、私が申 し上げたようなのは割と皆さんがそうではないかと思っておられる線でござい ますので、是非そういう線を中心に御検討していただきたいということを重ね てお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、再生の話まで行きましたけれども、不良債権の処理をするに当たっ てはやはり需要の方、先ほどからどんどん話が出ておりますけれども、これだ けでは、言わばがんができたのでがんを手術するだけでございます。ですから、 輸血をしたり体温を上げたり養生してもらったり、この部分が非常に大事になっ てくるわけでございまして、その中の一つは、もうかねてから議論をされてお られます、速水総裁、今日来ていただいておりますが、やはり金融政策、マネ タリーポリシーというのがまだやっていただけることがあるんではないかと。  インフレターゲットというと、インフレにするのかと、こうすぐ話になるも のですから、物価安定目標というふうに言い換えますと、日銀法の二条に、日 銀の目的は何か、物価を安定させることであると書いてあるわけでございます。 インフレファイターであると同時にデフレファイターであってもらわなければ ならないわけでありまして、今の状況は物価の安定と言えるかというとそうで ないわけであります。ですから、新しい日銀法の下で日銀は独立されたわけで ございますから、目標は政府と一緒になって、竹中さんの言葉をかりればアコー ドにしていただいて、しかしその手段については我々は一々言わない、とにか く安定させてくださいということが私は望ましい姿だと。  そういう意味で、物価安定目標、消費者物価指数は上方バイアスがあると、 こういうふうに言われております。消費者物価指数が一というのは本当の物価 はゼロぐらいだと、こういうことでありますから、今の消費者物価指数でいえ ばやはり一か二ぐらいの上方の物価安定目標というのは必要だ、特にこの非常 時にいろんなことを同時にやっていく上では日銀にも決断をお願いしたいと、 こう思いますが、速水総裁、いかがでございましょうか。 ○参考人(速水優君) 御指摘のように、物価の安定というのは、日本銀行の 理念として日銀法二条にはっきり書かれております。私どもも、物価の安定を 通じて経済の健全な発展に資するということが金融政策の理念だというふうに 心得ております。  ただ、先ほども申し上げましたように、物価というのは経済活動の体温であ りまして、様々な経済活動の結果として現れるもので、過去の例を見ましても、 平均的には景気が良くなってから一年ないし二年経過して物価が上がっていく というのが普通の状況だと、傾向だと思います。  日本銀行は、経済をできるだけ早期に持続的な成長軌道に復帰させて、物価 がマイナス基調から脱出できる状況を実現するために、中央銀行として最大限 の努力を尽くしてまいりたいと思います。  今、おっしゃるインフレターゲティングということにつきましては、今、私 どもは、金利がゼロまで行っておりますし、様々な構造問題や金融緩和の効果 を制約しているわけで、そうした中でインフレターゲティングを採用をいたし ますと、政策への信頼や市場への悪影響など、むしろ弊害の方が大きくなって しまうおそれがあります。  日本銀行は、既にインフレ率が安定的にゼロ%以上となるまで現在の思い切っ た金融緩和の枠組みを続けると宣言して、量的緩和をやっておるわけでござい ます。これでデフレ脱却への強い決意を明らかにしたつもりでおります。こう いった現在の状況の下では、こうした宣言の下で思い切った資金供給を継続し ていく方が分かりやすく、また効果的ではないかと考えております。 ○林芳正君 いつもその御答弁は聞いておるわけでございますが、こういう事 態になってきて、今から政府、日銀も合わせて、全体で最後の大手術をやろう というときでございますので、今おっしゃったように、ゼロになるまでやり続 けますというのは確かに効果がある政策だと私も思っておりますが、一歩進ん で、いついつまでに必ず物価安定を達成しますと、これが物価安定目標と私が 申し上げている意味でございまして、じゃ、物価がゼロに戻るまで、デフレが 続くときはずうっと十年でも二十年でも今のやつを続けるんですかと、逆にお 聞きすればそういうことになるわけでございまして、今の段階で更に御答弁と いうのは期待できないと思いますからそれ以上お聞きしませんけれども、もう 本当にちまたにそういう声があふれているということを是非、総裁、また日銀 の皆さんには御認識いただきたいと思います。(発言する者あり)  何かコメントがありましたら。同僚議員からもいろいろお声があるようでご ざいますから、総裁、いかがでございますか。 ○参考人(速水優君) 日本銀行は経済をできるだけ早期に持続的な成長軌道 に復帰させたいと思っております。物価がマイナス基調から脱却できる状況が 実現するために、中央銀行として最大限の努力を続けるのが今の私どもの使命 だと思っております。  経済が様々な構造問題を抱えております。思い切った金融緩和にもかかわら ず、企業の投資や家計というのは支出が十分ではないと思うんです。民間の需 要を引っ張り出すというのが今一番大事なことだと思っております。そのため に、総理以下、構造改革問題を今一生懸命やっておられて、そういうものが出 始めますと、私どもの量的緩和、たくさん出しました流動性が経済の成長を支 えていく、押し上げていくことになっていくんだろうということを期待してお る次第でございます。 ○林芳正君 分かりましたとはなかなか申し上げられないわけでございますが、 是非、今後更なる中での検討をお願いしたい。  消費者物価指数の上方バイアスというのは日銀自体もおっしゃっていること でございますから、せめてその分は、今の時間軸の政策でもゼロを一にすると いうやり方は、バイアス分だけでも上に持っていくということは私あり得ると 思いますので、是非御検討をお願いしたいと思います。  そこで、金融政策ばかり頼っていてもいけませんので、最後に財政政策につ いてもお伺いをしなければならないと思うわけでございます。  松谷先生からもお話があったように、今、総理は三十兆の枠についていろい ろとお話がございました。私もやはり何かの数値目標でもって財政規律をきちっ としていくということは大変大事だと、こういうふうに思っております。  党で行革をやっておりまして、去年、総理がああいうことをおっしゃってい ただいたおかげで、実は特殊法人に対するいろんな支出というのを一兆円削る ことができたわけでございます。やはりそういう目標があって、だからみんな やるんだということにならないと、横並びで切るというのはなかなか難しいと いうことはよく分かるわけでございます。  したがって、何かの目標はなければいけませんけれども、この三十兆円とい うとらえ方というのは今のトータルのパッケージの中では若干足かせになるん ではないか、こういうふうに思うわけでございまして、実は中期の目標で、経 済財政諮問会議でプライマリーバランス、これはマーストリヒトでEUもやっ ているやり方でございまして、今年入ってきたお金と今年使うお金を取りあえ ずバランスさせよう、借金を新しく作らない、こういう考え方であります。二〇 一〇年ぐらいだったと思いますが、そこまでにプライマリーバランスを達成す るというのを出されておるわけでございます。そして、税収の方も多年度で税 収中立にしようという考え方。ですから、財政の方も、出す方も多年度でプラ イマリーバランスに持っていくという考え方で、その中で二年、三年の間は機 動的にやる、こういうふうに転換をしていただきたいと、こういうふうに思い ますが、総理、いかがでございましょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) プライマリーバランスをいかに時間を掛け て健全化、目標していくかというのは今でも立てているんです。早急にやろう とは思っていません。現在、税収で一般歳出を賄うといったらもう大幅に国債 発行削減しなきゃならない、それは分かっています。だからこそ、一〇年度で すか、先を見越して、そこに向けて少しでも財政の健全化に向けて努力してい かなきゃならないという方向でありまして、方向としては今、林議員御指摘の とおりのことなんです。決して性急に、あるいは財政再建至上主義とか緊縮路 線という見方も一部には出ていますが、むしろそれ以上に、こんな遅くていい のかと一方から言われるぐらい非常に幅のある長期的な視点でやっているとい うことを御理解いただきたいし、確かにプライマリーバランスの視点というの は重要であると思っております。 ○国務大臣(塩川正十郎君) おっしゃったように、林さんは恐らく長期的な あるいは中期的な計画を立ててプライマリーバランスを達成しろと、こういう 趣旨だろうと思っております。  プライマリーバランスを二〇一〇年ということでプラスにしたいということ は、昨年六月の骨太の方針の審議のときに出てきたことで、それが二〇一〇年 にしたんです。その当時、つまり二〇〇一年のときにはマイナスの四・三なん であります、プライマリーバランス、マイナスの四・三。これをすっと現在の ペースでいきまして、一般歳出予算ですね、これを三つの区分にして、公共事 業を三%ずつ毎年下げていく、それから裁量的経費を毎年二%ずつ下げていく、 そして義務的経費をこのまま置いて、一応は義務的経費も若干は下げていくが 現在のままにしていく、そして交付税等を現状のままで、あの当時は十六兆で ございましたが、そのままの状態でいくとするならば、二〇〇六年になります とマイナス二・二になるんです。そして、二〇一〇年になりますとマイナス一 ぐらいになってくると。そこが一つの二〇一〇年と言うた根拠なんでございま して、これを目標にやっていきたいと。  そうしますと、毎年、一般歳出予算をこれから大体三ないし四%は削減して いかざるを得ないという状況になってくると、こういうことでございまして、 国会の協力もいただきたいと思っております。 ○林芳正君 ありがとうございました。  是非、今の経済を前提にするわけではなくて、大きな手術をやっていただく わけですから、経済が成長して増収ということも入れながら機動的に対応して いただきたいというふうに最後にお願いをしたいと思います。総理に是非フー バーにならずに、この午前中に申し上げましたけれども、日本経済の再生を是 非、最終的には総理が責任者でいらっしゃいますからお願いをいたしまして、 私の質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○委員長(陣内孝雄君) 以上で松谷蒼一郎君の質疑は終了いたしました。 (拍手)     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 次に、風間昶君の質疑を行います。風間昶君。 ○風間昶君 公明党の風間でございます。  まず、本日午前中に同僚の国会議員が暴徒によって刺殺されました。正に、 暴力による言論の封殺、民主主義に対する挑戦であります。怒りを感じるわけ でありますけれども、二時間少したった今現時点で、事実の確認と捜査状況を 国家公安委員長、質問通告しておりませんが、お願いをしたいというふうに思 います。 ○国務大臣(谷垣禎一君) 本日午前十時三十分ごろ、石井紘基議員が世田谷 区の自宅から出てこられたところを暴漢によって包丁で刺殺されると、極めて 凶悪な事件が発生いたしました。直ちに病院に運ばれたわけでありますが、十 二時五分に死亡を確認した次第でございます。  石井議員の御冥福を心からお祈りしたいと思っておりますが、今警視庁にお きましては犯人の早期検挙が第一だということで徹底した捜査を行っておりま すが、現時点におきましてはまだ検挙したという報告は受けておりません。  以上でございます。 ○風間昶君 速やかに犯人逮捕に全力を挙げていただきたいことを心からお願 いを申し上げる次第でございます。  それでは次に、今国会においては特殊法人等の独立行政化法案も主要な論点 でありますけれども、これにつきまして日本育英会についての質問をしたいと いうふうに思います。  先日、日本育英会の奨学生であります国立大学の大学生からお手紙いただき ました。  きぼう21により毎月奨学金をいただいておりますと。家計の状況は厳しく、 奨学金によって大学での勉強生活は支えられているといっても過言ではありま せんと。高校三年のときに奨学生として予約をしたにもかかわらず、大学に入 学した一年目、初年度に支給される奨学金は夏以降でありますと。大学一年の とき、八月に、四月からの五か月分の奨学金をまとめてもらいましたと。初年 度は学費だけじゃなくて入学金も納入しなければならないので、少しでも親の 負担を軽くしたいと、入学してからの必要な出資を奨学金に頼ろうと思いまし たが、支給が開始されておらないでそうもいきませんでしたと。そして、大学 二年次以降は、四月分の奨学金は、五月に四月分と五月分と二か月まとめて支 給されました。  しかし、一番お金が必要な時期は四月というふうに彼はおっしゃっています。 特に教科書の購入代でございます。この方は薬学部ですから専門課程に進む上 での教科書のことをおっしゃっていると思いますが、いずれにしても教科書購 入代だけで五万円を超える年もあります。奨学金の支給されない月に教科書代 だけでかなりの出費というのはかなり厳しいですと。年度初めの奨学金支給開 始時期を早くならないのでしょうかというお手紙をいただきました。  奨学生の立場に立ってみれば、だれが貸してくれるのかというよりも、むし ろ貸し出してくれる条件の方が、時期と、その方が問題であります。要するに、 火事場に全焼してその後消防車着いても何にもならないのと同じことになりま す。  奨学金の支給が遅れることで退学も余儀なくされるという学生がいるという ことも、少ないですが、事実であります。奨学金の支給前倒しというのは、こ れは予算の措置はもう決まっているわけですから予算を改めて組む必要はない わけで、来年度からでも実施可能な改革ではないかというふうに私は思います。  そういう意味で、その職員の方々の皆さんにもまた苦労を掛けることになり ますけれども、全国の奨学生、奨学金をもらっている学生さんが大変喜ぶわけ でありますから、このことについて是非やっていただきたいというふうに思い ます。  この御答弁次第によっては独法化法案についても考えなきゃならないことに ならないように、文部科学大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。 ○国務大臣(遠山敦子君) 学生にとりまして奨学金の支給の方法ないし額は 大変関心があると思いますし、私どももいろんな工夫を今までやってきており ます。  今、伺いますと、予約採用の人が七月というのは、私どもといたしましては、 聞いておりますところでは、予約採用の際には、三月末の試験で入りまして、 四月に若干の手続を経て五月には支給されるというふうに考えております。も ちろん、在学採用ということで、入ってからの手続には若干掛かりますので、 これは夏ということもございますが、もし予約採用の人が本当に七月というこ とでは、これは大きな問題だと思います。これは是非改正したいと、改正とい いますか改善をしたいと思っております。  それから、全体として前倒しをということでございますので、必要な事務手 続あるいは過たない形での手続等要ると思いますけれども、御質問の趣旨に沿っ てこれは大いに努力をすべきだと思っております。  それから、大学等への入学時等には、今お話しのように教科書購入費など一 時的な費用がかさみます。そこで、来年度概算要求におきまして、新たに有利 子による一時金制度を要求中ではございます。そんなことも援用しながら、是 非とも学生の願いあるいは要望に的確にこたえてまいりたいと考えます。 ○風間昶君 もう一つ学校の問題でございますが、子供が一日の大半を過ごす 生活の場が学校であります。と同時に、学校というのは地域コミュニティーの 核とも言えると思います。ある意味では地域の象徴的な建物でありますから、 だから本来、学校というのは、ただ単に教育の場というだけじゃなくて、例え ば環境の問題についてもエコやあるいはバリアフリーや、あるいは防災の観点 から施設整備というのはなされる必要があるというふうに思います。  そこで、この間、昭和五十六年前に建てられた学校、全国の学校の耐震診断 がなされて、今年発表されましたけれども、耐震診断が済んでいるのはたった 三割にしかすぎないと。公立学校全体で耐震の建物に問題があるというふうに 指摘されたのが四割というふうにデータが出ました、文部科学省から。  非常にそれは、私は、文部科学省も緊急調査を計画しておられるようであり ますけれども、本来学校は地方自治団体が管理すべきところであろうかと思い ますが、お金が地方自治体にはないと。私も個人的なことですけれども、七人 の子供を育てておりまして、一番下の子はまだ中学生ですから、この問題は大 変重大な関心を持っているわけでございます。  我が党では、今、学校耐震補強工事について、国の補助率をかさ上げしてい ただくための議員立法を今準備中でありますけれども、これに関して一つ提案 をさせていただきたいと思います。  総理、これ御存じでしょうか。この小ちゃなシールですけれども、これはベ ルマーク。もう大臣の皆様方は、子供のときあったでしょうけれども、切って 集めて学校に持っていった記憶があると思います。このベルマークの点数に応 じて、これを学校に持っていって学校が物を購入すると、そのうちの一〇%が へき地の学校の教育施設費に回る仕組みになっています。昔、こんな透明な色 ではなくて、たしか黄色っぽい色でしたが、これ三点のベルマークシールです けれども。  このベルマーク運動も、実は昨今の景気が悪い状況の中で協賛企業がだんだ ん少なくなってきていまして、へき地への学校施設費として寄附される額は年 間一億程度ぐらいしかないということで、ベルマークを切って集めるというこ と、作業、まどろっこしい部分はありますけれども、私はクレジットカードと 提携するとかといったようなことも考えて、現実にこれやっているのはベルマー ク財団って民間なんです。民間ベースで学校の教育施設の充実を図っているわ けでありますけれども、これを利用して学校の耐震構造の補強を進めてはどう かというふうに私は思うんですけれども、一考すべき問題だと思うんですけれ ども、どうですか。 ○国務大臣(遠山敦子君) ベルマークの運動につきましては、昭和三十五年 に発足したわけでございますけれども、学校、PTAあるいは協賛企業などの 主体的な取組で年々盛んになってまいっております。  本年の四月にベルマークのポイントが累計で二百億点、これは二百億点とい うことは二百億円でございますけれども、これがそういう額に達したわけでご ざいますけれども、ただ、毎年の集まる額は大体六億から七億ということでご ざいます。ということで、なかなか耐震性のところまで行かないかと思います けれども、ただ、この運動は確かに子供たちのそういう問題についての関心も 高めますし、地域の協力も得るというふうなこともございまして、意義がある と思います。  私どもとしましては、耐震性の問題についてはそれはそれでしっかり対応し ながら、ベルマーク運動についても、これは民間の財団がやっておりますので、 先生の御趣旨をお伝えしながら一緒にそういう問題についても促進できればと 考えております。 ○風間昶君 それでは、午前中からも議論になっておりました不良債権処理問 題について伺いますけれども、いずれにしても、銀行は不良債権の処理をして いると思うんですけれども、国民の方には見えていません。新規に不良債権が どんどこどんどこ増えていって、結果的には不良債権は減っていないし、貸出 し総額に占める不良債権の比率がこの数年上昇基調です。銀行の経営者の中に は、株価の下落スピードが予期せぬほど速かったとか、担保の不動産の下落が 止まらないから不良債権が増えたとか、ある意味では銀行の経営者の自らの経 営失敗を棚に上げて政府の方に責任転嫁している部分もあるように見受けられ ます。昨日の衆議院でも、また午前中の議論でも、悪循環にやっぱり入ってい るなという気がします。  そこで、やっぱり銀行の経営者が、一部の特定の企業に、株価だあるいは不 動産だってそういったものを頼って厳格な審査しないで野方図な貸付けを行っ てきたということが問題であると私は考えております。去年の十二月の経済財 政白書においても、わざわざ五十四ページも割いて不良債権が日本経済に与え る打撃、影響を論じております。  そこで竹中大臣に伺いますけれども、悪循環という側面はあるにしても、デ フレの深刻化によって銀行の不良債権が増えたというよりは、銀行の不良債権 処理の先送りの方が、私はデフレが深刻になっているんじゃないかというふう に思うんですが、大臣としてはどう思いましょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 午前中も申し上げましたように、ここはやっぱり 一種の悪循環といいますか、鶏と卵のような関係があることは否定できないと 思います。しかしながら、どこでその悪循環を断ち切るかということになると、 やっぱりこの不良債権のところで断ち切るというのが一番重要であると思いま す。  委員、今御指摘され掛けましたけれども、なぜデフレかというと、これは需 要側の要因、供給側の要因もありますが、やはり私は金融的な要因というのが 非常に大きいと思う。それは、日銀がマネーサプライを増やしても銀行で詰まっ ているのでマネーが結果的に増えない、この銀行をしっかりさせることがデフ レ対策としてはやっぱり大変重要なポイントになってきていると思います。 ○風間昶君 経営者の責任をどう問うていかれるのかということについてはど うでしょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的に、トップたるもの、やはりいろんな問題 に対して大きな責任を負っているというのが基本なのだと思います。  しかし、もちろんバブルのときの融資して焦げ付いたのが今の人の責任かと いうと、これはやはりそんな単純なものではないと思いますし、私としては、 やはりしっかりと経営していただく責任、この経営に対する責任というのをしっ かりと負っていただけるようにする、それが正にガバナンスの問題であります が、この点が一番重要であると思っております。 ○風間昶君 私、北海道出身ですから申し上げますけれども、北海道拓殖銀行 が結果的にはつぶれたわけですけれども、このとき政府は何もしてくれなかっ たんですね。つまり、公的資金を投入しなかったわけです。これは、北海道拓 殖銀行がつぶれたというのは、もちろん経営者責任もあるんだけれども、東京 で四大バンクが同時につぶれるというぐらいの衝撃がありまして、拓銀は当時、 道内の優良企業で、本当に私の同僚もかなり行ったわけですけれども、最後の 最後まで手助けしてくれたのが山一だったんですけれども、山一もつぶれてし まった。  だから、当時のことを考えますと、今の銀行で拓銀やあるいは山一よりももっ と悪い経営内容がある銀行だってあるはずであります。国民の声から、そんな 状況の銀行だったら要らないんじゃないかというのを、声に出しては言ってい ませんけれども、素朴に感じていらっしゃる人もいます。そんな銀行を救うた めに金をつぎ込むんだったら、中小企業にもっと融資してよという声も随分来 ています。  今回、再びこの公的資金の導入をされようとして決断をされているわけであ りますけれども、やっぱり経営者の責任も明らかにして、すべて普通株により 私は出資すべきであるというふうに思います。そして、国の持つ普通株が五一 %を超えていくような一時国有化ということも隣の韓国がドラスチックにやっ たわけでありますから、そういう改革をすることがまた一つは私は大事じゃな いかというふうに思いますが、竹中大臣のお考えを伺いたいと思います。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 誤解のないように申し上げますが、公的資金をど うするかというのは一つの結果でありまして、そういうことを決めているとか そういうことではございません。  また、銀行を救うということが目的でないことは、これはもう明らかであり ます。しっかりとした銀行になってもらって、その決済機能という一つの社会 インフラを持っているがゆえに、そこにしっかりしていただいて、経済を立て 直すというのが目的だということでございます。そのためにも、どういう形で ガバナンスを発揮してもらうことが重要かと。これは先ほど経営者の責任とい う言葉も使われましたし、今も株の持ち方というお話もありましたが、そういっ たガバナンスをどうするかという、全体の中でしっかりとした結論を出したい と思っております。 ○風間昶君 不良債権の処理の過程で避けて通れないというのは、いわゆる三 十社とも言われる問題企業群をどうするかということもあると思います。特に 建設、不動産、流通の三分野が、バブル期の不動産投資というよりも投機に失 敗してその後遺症を引きずっている例が非常に多く見られるわけであります。  したがって、不良債権処理の過程でいわゆる三十社問題にどう対処する方針 かということと、もう一つ、先ほどからインフレターゲットの議論があるわけ でありますけれども、竹中大臣も、デフレが問題なんだからインフレを誘導す る方がというような趣旨だと私は思いますが、言及されたことがあると思いま すけれども、インフレの制御というのはそんな簡単にできるものなのかと私は 思うわけであります。そういうことを含めますと、インフレターゲットという ことに関してどのような方針で臨まれるのか。大臣にこの二点、お伺いしたい と思いますけれども。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 三十社というお話がありましたが、何が三十社か というのも具体的にはよく分からない問題でありますし、個別のコメントは差 し控えさせていただくべきだと思っております。  ただ、いずれにしても、この主要な債務者について、これは銀行の債権と企 業の債務は裏腹の関係にあるわけでありますから、同時に問題を解決していく 仕組みを作る、それが例えばRCCの活用等々含めて考えることが大変重要で あるというふうに思っております。  インフレターゲットについては、先ほどからも少し議論が出ましたが、私は やはりこれは正面から議論を深めてみるべき問題であるというふうに考えてお ります。技術的にいろんな問題がありますけれども、我々が今抱えている政策 的な悩みに向かってどのようにこうした考え方が生かせるのか、これはやはり 議論を深める必要があると思っております。 ○風間昶君 いずれにしても、不良債権の処理、待ったなしです。総理も、こ の二年間、平成十六年までが政府にとっても日本経済にとってもある意味では ラストチャンスと考えるわけでありますけれども、その二年間での最終決着に 向けて、総理の御決意を伺いたいと思いますが。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 十六年度中に不良債権問題を終結させると いう前提の下に、竹中大臣を今中心にして今月中に対策を取りまとめると。そ の前提に不良債権処理を加速させるということを言ってきましたけれども、も ちろんこれは、よく不良債権処理加速すればいいというものじゃないという議 論がありますが、根っこにこの不良債権問題があるんだと。経済再生あるいは 産業再生、これ当然の対策だと私は思っています。しかし、その根っこが不良 債権処理なんだということから、不良債権処理を加速させると言うとデフレ加 速だと。これ前から繰り返してきた議論です。それ伴った対策を今月中に取り まとめるということで、目標どおりきちんとやっていかなきゃならないと決意 を更に固めております。 ○風間昶君 総理今おっしゃったように、今月中に政策を発表される予定とい うことでありますが、その内容の発表をめぐっては議会軽視という問題もあり ました。そしてまた、昨日は衆議院で問責決議まで提出するというのもありま した。それは改革を停滞させるだけで何のメリットも私はないと思いますけれ ども。  そこで、委員長にお願いがあります。  一連のこの政策が出そろったとき、不良債権問題に関する集中審議を是非行っ ていただきたいと思います。竹中プロジェクトの木村剛さんにも来てもらって、 あるいは銀行の方にも来てもらって、どっちが正しいのか、国民がきちっと見 える形で議論の展開を、言い分がどうなのかということも見極める必要が私は あると思います。  是非これは緊急にやっておかなきゃいけないのかなというふうに思いますの で、委員長に御判断をお願いしたいというふうに思います。 ○委員長(陣内孝雄君) ただいまの風間君の要求につきましては、その取扱 いを後刻理事会において協議することといたします。 ○風間昶君 経済が非常事態にあるのに政界には言いっ放し症候群が蔓延して いるという声をこの間中小企業の経営に悪戦苦闘している友人が言いました。 要するに、今国民が政治に求めているのは当事者能力ではないんですか、言いっ 放しの評論だけで事態は一向に前に進まない、現場主義をきちっとやっぱり見 極めて、そして政治を行ってほしいという声を、是非そういう意味で、政治家 は評論家であってはいけないということを私たちは肝に銘じなきゃならないと いうふうに思っております。  そこで、もう時間もありませんので、中小企業に対する支援策をお伺いしよ うかというふうに思いましたが、一つ、下請の法というのがありますが、そこ で製造業、修理業のみが規制をされている業種であって、他の業種は法律が適 用されていません。そのため、親企業による下請いじめというのも実はあるわ けで、したがって下請法を改正していくことを私たちは考えなければならない というふうに思っておりまして、特にその下請業種指定に範囲を拡大するよう なことも考えていってはどうかと思いますが、このことについて平沼大臣の御 見解を伺いたいと思います。 ○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、下請業に対する過酷な今の状況というの はあるわけでございまして、これに対しては、下請業に対しては親企業がちゃ んと配慮をしてやるような、そういう措置は取っておりますけれども、しかし 現下の厳しい状況の中でそういったところも更にしっかりと私は見直していか なければならない、そういう基本的な考え方で今の現下の厳しい状況に対応し ていかなければならないと、このように思います。 ○風間昶君 終わります。 ○委員長(陣内孝雄君) 以上で風間昶君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。 ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  今日は、総理に、国民の暮らしと景気について総理がどうお考えか、お聞き したいというふうに思っています。  まず始めに、九七年、九兆円の負担増をきっかけにして経済悪化いたしまし た。それから五年間、暮らしと景気がどれだけ変化をしたか見てみたいと思う んです。  国税庁にお聞きしたいんですが、民間企業の平均給与は一体どう変化してい るでしょうか。 ○政府参考人(大西又裕君) 民間企業の平均給与についてのお尋ねでござい ますが、国税庁が実施しております民間給与実態統計調査によりますと、一年 を通じて民間企業に勤務された給与所得者の一人当たりの平均給与は、一九九 七年、平成九年が四百六十七万円、二〇〇一年、平成十三年が四百五十四万円 となっており、この両年を比較した場合、十三万円の減少、パーセントで申し ますと、マイナス二・八%となってございます。  以上でございます。 ○小池晃君 総務省にお聞きします。  従業員数と失業者数、これはどうなっているでしょうか。 ○政府参考人(大戸隆信君) 従業者数につきまして、五年ごとに実施してお ります事業所・企業統計調査の結果から見ますと、直近の調査は平成十三年、 二〇〇一年でございますけれども、六千十九万人でございます。その五年前の 一九九六年の調査では六千二百七十八万人ということで、二百五十九万人の減 少となっております。  さらに、完全失業者でございますけれども、直近の十四年、二〇〇二年の八 月で申しますと、完全失業者数は三百六十一万人、完全失業率は五・四%、そ の五年前の平成九年の平均ですと、完全失業者数は二百三十万人、完全失業率 は三・四%となっております。 ○小池晃君 警察庁にお聞きします。  自殺された方の数は一体どうなっているでしょうか。 ○政府参考人(瀬川勝久君) 一九九七年、平成九年の自殺者総数は二万四千 三百九十一人、二〇〇一年、平成十三年の自殺者総数は三万一千四十二人であ ります。自殺の原因、動機はもとより複雑なものでありまして一様に断ずるこ とは難しいと考えておりますが、警察において経済・生活問題が主たる原因、 動機であると推定した自殺者数は、平成九年が三千五百五十六人、平成十三年 が六千八百四十五人でございます。 ○小池晃君 主な指標を並べてみますとこうなってくるわけです。(資料を示 す)  民間企業の平均給与は十三万円減少をいたしました。それから、勤労者の可 処分所得は一世帯当たり毎月三万二千円減少をいたしました。それから、従業 員数は二百五十九万人、こう減っているわけであります。  その一方で増えたものは何かというと、失業者数、これは百三十一万人増え ました。五七%の増加であります。それから、自己破産した人は年間十六万人 を超えている。九万人もこれ増えています。自殺者は七千人近く増加をした。 三万人を超えています。そのうち、経済苦で自殺する人は年間三千人近く増え て二倍になっていると。  このほかにも、企業倒産は二千件以上増えている。生活保護は、これは厳し い締め付けがやられていますけれども、それにもかかわらず三五%増加をして おります。  昨年の国民生活基礎調査、厚生労働省の調査では、生活が苦しいとお答えに なった世帯は五一・四%、ついに半数を超えたわけです。しかも、こうした傾 向は小泉内閣になってから更に加速をしています。  例えば、民間給与の減少は五年間で十三万円ですが、昨年一年間だけでこれ 七万円減っているんですね。それから、失業者は小泉内閣になってから十七か 月連続して増えているんです。失業、倒産、自己破産、そして自ら命を絶つ、 本当に胸の締め付けられるような話だと思うんです。  私、こういう国民の暮らしというのは大変厳しい状況にあるのではないかと いうふうに思うんですが、総理はどういう御認識か、お答えいただきたいと思 います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今の数字に表れておりますように、大変厳 しい状況だと思います。こういう厳しい状況をできるだけ早く脱却するために 全力を尽くさなきゃいけないと思っております。 ○小池晃君 おっしゃるように、正に危機的な、私大変な状況だと思うんです。 こういうときに社会保障の負担を増やす、これはどうなるか。これはやはり暮 らしと景気に深刻な打撃になると思うんです。これは政府も分かっていると思 うんですね。と申しますのは、例えば政府は年金の物価スライドを凍結する法 案、これ二〇〇〇年から毎年出しました。  厚生労働省にお伺いしたいんですが、その提案理由、一体どういう趣旨だっ たでしょうか。 ○政府参考人(吉武民樹君) 公的年金制度の在り方でございますとか、ある いは物価スライドの特例措置を講じた場合の財政影響を考慮いたしますと、本 来は物価変動に応じて年金額を改定するのは原則でございます。  ただ、平成十二年度から十三年度、十四年度までの三か年度につきましては、 当時の社会経済情勢にかんがみ、物価スライドの特例措置を講じてきたもので ございます。しかし、特例措置の実施に当たりましては、これに伴う財政影響 が生じますので、これを考慮いたしまして、次期財政再計算までに後世代に負 担を先送りしないための方策について検討を行い、その結果に基づいて所要の 措置を講ずると、この旨が特例法の中に規定をされておりまして、これに基づ きまして将来所要の措置を講ずるということになっているところでございます。 ○小池晃君 いろいろおっしゃいましたけれども、端的に言えば、年金切下げ しなかったのは景気を配慮したから、そういうことですね。 ○政府参考人(吉武民樹君) 物価が下落しているという状況もございました が、例えば一方では、公務員給与につきましてはマイナスの改定はございませ んで、公務員の場合で申し上げますと、いわゆる定期昇給もあるという、こう いう状態を総合的に検討をいたしまして、先ほど申しました社会経済情勢全般 を検討いたしまして、それぞれの年度で判断をしてきたということでございま す。 ○小池晃君 当時の国会答弁はもっと明快だったんですよ。当時の副大臣、こ う言っているんです。もし、物価に合わせて年金を切り下げれば、大変な、消 費者のマインドを一層冷やしてしまう、家計にも更に苦しさをもたらしていく、 デフレスパイラルを避けるためにも、そうした事態をやむにやまれず今回も回 避させていただいた、今年の三月はこう言っていたんです。  それなのに、来年度のこの社会保障の負担増は一体どうなっているかといい ますと、医療保険は、これはさきの国会で強行採決までして、十月から既にお 年寄りの負担は増えている、来年四月からは健保本人は三割負担であります。 保険料も引き上げる、そういう方向だと。年金は物価スライド凍結が解除され て、引き下げようという、そういうことになっている。そして、介護保険は来 年、三年に一度の保険料の見直しの年だと、引き上げようとしている。雇用保 険料も引上げの方向だと。これ、四つ合わせると、合計で大体三兆円超える負 担増になるんですね。これだけの負担を増やせば私は結果が見えていると思う。  だって、今年、厚生省が説明したものに照らしていっても、当然消費マイン ドを冷え込ませる、家計に打撃を与える、デフレスパイラルを引き起こすとい うことになると。ましてや、景気悪化は去年より深刻なわけですから、こんな ときに社会保障の負担を増やすべきだろうかと。私は率直に言って、これは私 には到底それは正しいとは思えないんですけれども、総理はいかがお考えでしょ うか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いかなる国民に対する政府のサービスも国 民の負担によって成り立っているわけであります。特に社会保障だけではあり ませんが、社会保障、年金、医療、介護等につきましても、これはお互いの支 え合い、お互いの負担によって成り立っていると。そうなりますと、物価がま さか下がるときはないだろうと当時思われたころに、年金の受給者に対してこ れは物価スライドにしようと、歓迎されたはずであります。これは当然物価が 上がれば年金も上がるからいいことだ、いいことだと、ほとんどの方が賛成し たと思います。そのときには物価が下がれば下がるのも当然だと思っていたん ですけれども、物価が下がると、これは年金受給者に対してはいろんな事情が あるから下げるのをやめようといって、三年間、下げるのを停止しました。  今、保険料もそうでありますが、そうすると、これは例えば患者負担引上げ にしても保険料引上げにしても、なしにしますと、結局国庫で面倒を見よと、 公費で負担しろという話になってきます。国庫で面倒を見ろ、公費で負担しろ ということを分かりやすく言えば、税金で負担しろということであります。ど こで増税をしなきゃならないのか、どこでそれでは歳出をカットしなきゃなら ないのかという問題が出てまいります。  しかも、少子高齢化であります。黙っていても年金受給者も増えてまいりま す。お年寄りは増えていきます。逆に、今若い世代、かつてに比べて赤ちゃん の出生数も半分以下になっています。この人たち、今、支え合いですから、高 齢者も若い世代もすべてが支え合っているんです。高齢者だけ手厚くしましょ うよというと、若い人これ負担してくれよということになります。それも嫌だ となると、じゃ増税だという。これも嫌だと。  こういう難しい状況に合わせて、お互いやっぱり高齢者も若い世代もみんな で支え合って社会保障サービスを受けていこうという考えから成り立っている ことも御理解いただきたいと思います。 ○小池晃君 総理、私は今日は、そういう社会保障の将来像も含めて、そのこ とを議論をしようと言っているんじゃないんです。そのことで意見の違いがあ るというのは、この間何度も議論させていただいて分かっているんです。そう いうことではなくて、この経済危機を打開するために今何をなすべきか、あら ゆることをしなくちゃいけないというふうに総理もおっしゃっていると思うん ですね。  その場合に何をなすべきか、本当に真剣に考えるべきじゃないか。これを言っ ているのは共産党だけじゃないんです、何も。例えばニッセイ基礎研究所の経 済見通し、これを見ますと、私たちの指摘と同じことを指摘しています。四つ の社会保険の負担増が、これ年金だけじゃないわけですよ、これ集めると相当 な規模になりますと。「来年度の景気動向からすれば急速な負担の増加は景気 悪化の引き金になりかねない。」というふうに指摘しております。そして、経 済全体を見て調整することが必要なんじゃないか、そう提言しているんですね。 私はこれ当然の意見だと思うんです。  是非、私、総理にこうした声に耳傾けて、やはり真剣に再検討すると、これ は景気を回復させるということを本当に最優先で考えるのであれば私は真剣に 検討すべきことだと思うんですが、いかがでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 様々な意見があるのは承知しております。 しかし、恐らくそういう考えの背景には将来消費税を引き上げろという考えが あるんじゃないでしょうか。私は、それもまた反対があるんじゃないか。いろ いろ多面的に考えなきゃならないと思っております。 ○小池晃君 いや、そんなこと言ってないでしょう。消費税引き上げるなんて ことは一言も私は言っていませんよ。今の経済危機をどう打開するか。私、総 理にはこの今の負担増の深刻さというのが余り分かっていらっしゃらないよう に思います。  今回の社会保障の負担増というのは、高齢者とかあるいは病気を持つ人に重 くのし掛かる。今回それだけじゃないんですね。今回の特徴というのは、現役 世代の保険料が軒並み上がってくるというのが特徴であります。来年から医療 も年金も、保険料、総報酬制になる。これ、ボーナス、どんと保険料が掛かる んですね。現在、医療と年金でボーナス保険料は一%弱であります。ところが、 これが一挙に一〇%を超えていく。ボーナスの比率が高いと、この負担は物す ごく重い仕組みになっているわけであります。  モデルケースで、私、計算してみました。(資料を示す)これ、計算結果な んですが、例えば四十歳でサラリーマン、四人家族、月給三十五万円、ボーナ スが年間四か月と、こういう場合であります。  こうした人の年間の保険料が来年は、医療は四万六千九百円増えます。年金 で八千八百九十円、雇用保険で八千四百円増える。介護保険で三千二百九十円 増える。合計で六万七千四百八十円、大幅な引上げになるわけですね。  これは、言ってみれば労働者の負担だけじゃないんですよ。これ、保険料は 企業も折半しておりますから、これは同じだけ企業にも負担になっていくわけ です。例えば、仮に一人六万七千円として、百人規模の企業であれば六百七十 万円、日本の企業、日本じゅうの企業にそういう負担が掛かってくるという仕 組みになっている。  おまけに、これだけじゃないわけですね。下にもちょっと書きましたけれど も、増税の計画もある。総理は参議院本会議で、増税計画、否定されませんで した。配偶者特別控除、特定扶養控除。このケースで配偶者特別控除が廃止さ れればプラス三万六千九十五円の増税になる。合わせると十万三千五百七十五 円の負担増ということになってくる。  これはお子さん小さいケースですから、お子さんが高校生、大学生だとする と、更に特定扶養控除も廃止されてもっと負担増が大きくなるわけです。しか も、これは健康な人の場合なんです。もし、病気があったり介護をしている人 がいれば、ここに医療保険の窓口負担や介護費用が掛かってくると。もっと負 担増がかぶさる。これ、労働者にも企業にも、私、大変重い負担増になる。  こうしたことを来年やれば、景気悪化に更に拍車を掛けるんじゃないか。総 理、そのようにお考えになりませんか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 厚労大臣にお答えいただいた方がいいかも しれませんが、私は、これも低所得者にはそれなりの配慮はされておりますし、 今のボーナスの保険料の徴収におきましても、これは年収にした方がいいとい う方が多かったんじゃないでしょうか。なぜならば、ボーナスの多いところだ け負担が少ない、月給のだけやると、ボーナスの出るところはどっちかという といい企業じゃないのかと。そういうところの負担が少なくて、月給が多い、 ならした方がいいということから年収ベースになったんじゃないですか。一部 だけ取り上げて負担が多くなったというよりも、私は、大方の人は月給とボー ナス別にするよりも、年収、総合的にやった方が公平だという形で直したんで すよ。  そういう点でありますから、私は、じゃその負担をなくした場合にどこでこ の持続的な社会保障制度を維持するかという問題も出てくるんです。その点も やっぱり考えてもらわなきゃいかぬなと。 ○国務大臣(坂口力君) 今その表を拝見をいたしまして、にわかにその表の 数字信じ難いんですが、その中で三十五万円の、そして四か月のボーナスとい うことになっていますが、普通四か月はないんですね。厚生年金の計算でも三・ 六か月なんですよ。総報酬制にしましたら、来年はマイナスになるんです。決 してプラスになりません。  また、医療にいたしましても、政管健保ですと、我々計算しているのは一・ 九か月、せいぜい二か月ですよ、四か月もありません。そうしますと、増える としたら一万四、五千円私は増えるかなというふうに思っています。  そうした、それから、雇用の問題につきましても、これは多分一・六まで引 き上げた数字になっているんだろうと思って、この十月から一・四にはなりま すけれども、一・六まで引き上げるかどうかは、それはまだこれからでござい まして、そんなこと決めておりません。介護も一・九か月のボーナスで計算を しますと、ごくわずかな、百円か二百円かというぐらいな程度の上昇でござい まして、それは四か月ということにしたがためにできた数字であるということ を申し上げたい。 ○小池晃君 この四か月というのは決して特殊なケースじゃないですよ。百人 以上の企業であれば、ボーナス今四・六ですよ、年間で。  これは私、今おっしゃっていることが正に問題だと思うんです。というのは、 今までの社会保障の負担増というのは、これは率直に言って低所得者ねらい撃 ちでやってきた。大変弱っている。今回は、そこだけじゃなくて、こういう中 堅のサラリーマンにも負担広げたということになるわけですよ。四か月という のは決して特別じゃないですよ、平均的なサラリーマン。そういう場合で大き な負担が掛かってくる。これが私は景気に大変深刻な影響を与えるんじゃない かと。  社会保障の将来像の問題は意見の違いがあると、さっきこう言っているんで す。今この時期に、こういう階層の人たちにこれだけの負担増をかぶせるとい うやり方が、現下の経済局面において私はとても妥当なやり方とは思えないん ですよ。今やるべきことなのですかということを総理にお聞きしているんです。 知恵を絞ってこれ回避すべきじゃないかと私申し上げているんです。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 総合的に経済活性化策を考えているんであっ て、今、負担増ばっかりと言いますけれども、税制改革一つ取ってみても、経 済活性化、それはやっぱり企業にも元気よく働いてもらわないと雇用が減る、 企業を活性化するためにはどうしたらいいかと。さらに、税制全体の中で、個 人の問題、配偶者の控除の問題についても、今女性が社会に進出しているとい う問題もあります。そういう点から、配偶者特別控除という制度についてどう 考えればいいかという全体の中で考えているんであって、今言った医療と年金 と雇用と介護だけが経済活性化策じゃないんです。  全体の税制改革、歳出改革、金融改革、そして規制改革、そういう中で経済 活性化を図っていくことによって企業も元気が出てくる。元気が出てくれば人 も雇う。持続可能の成長軌道に乗れば給料もだんだん上がってくるだろうと。 そういうことによって、お互い、今のような社会保障制度も持続可能な制度と して発展できるだろうという観点から考えているんであって、一部だけ、今こ の負担上がる部分だけ、しかも何か月、特定の、月給三十五万円と。確かに全 体からやれば平均かもしれませんけれども、低所得層に対しては医療費にして も格別な配慮をしている。生活保護世帯には歳出から資金が提供されている。 そういう全体の仕組みをやっぱり見て考えなきゃいけない問題じゃないかと思 います。 ○小池晃君 全体の仕組み見て言っているんです。低所得者には耐え難いほど の負担が既に押し付けられているわけです。生活保護はどんどんどんどん締め 付けを強めているじゃないですか。そういう中で更にこういう中堅層にまで負 担を広げるということが、私は経済政策としては妥当ではないということを申 し上げている。  しかも、将来将来というふうにおっしゃいますけれども、私、本当に政府は 将来のことをまともに考えているんだろうかと。来年のことだってまともに検 討していないと思いますよ。だって、この負担増、理由は全部ばらばらなんで すよ。医療と雇用保険は保険財政悪化しているから上げるんだ、介護保険は三 年ごとに見直さなきゃいけないから上げるんだ、年金は物価が下がっているか ら給付を下げるんだと、もうばらばらの理由なんですよ。これ四つ合わせてど うなるかというのをまともに検討している節がないんですね。  例えば、私、九月九日の経済財政諮問会議の議事録見て驚きましたけれども、 ここでは、民間議員の本間大阪大学大学院教授が、介護保険料や失業保険料の 引上げなど考慮していなかったものもあると言っているんです。要するに、四 つ合わせてどれだけ負担が増えるかというのは考えていなかったと正直におっ しゃっている。これだけの負担増を、総額三兆円を超える負担増を押し付けな がら、これがどれだけ日本の経済に四つ合わせて影響を与えるか考えていなかっ たというんですから、私は本当に無責任だというふうに思う。  しかも、年金の問題に立ち戻りたいんですが、現役世代だけじゃありません。 年金の問題どうかというと、物価スライド凍結解除すると実際はどれだけ年金 が減額されるか、ちょっと数字をお答えいただきたいんですが。 ○政府参考人(吉武民樹君) お答え申し上げます。  年金の物価スライドにつきましては、年金法の原則どおりの取扱いにいたし ますとマイナス二・三%という形でございますが、平成十五年度の厚生労働省 の概算要求全体といたしましては、平成十四年度政府経済見通しにおきます物 価下落率でございます〇・六%分で計算をいたしております。この計算を基礎 といたしますと、国民年金を夫婦二人で満額十三万四千円を受給されている方 にとりましては月当たり八百円の減額となります。それから、夫婦お二人で厚 生年金の標準的な年金額の二十三万八千円を受給されている方にとりましては 千四百三十円の減額となります。 ○小池晃君 二・三%の数字言ってください。 ○政府参考人(吉武民樹君) 厚生労働省といたしましては、二・三%そのも のを急激に引き下げるのはいかがという、こういう考えでございます。それを まず申し上げておきたいと思います。  仮に、二・三%というお尋ねでございますので、仮に二・三%引下げという ふうになりました場合の減額幅は、国民年金、先ほど申し上げましたケースで 三千八十円、厚生年金で五千四百八十円でございます。 ○小池晃君 過去にまでさかのぼって物価スライドをすれば、国民年金で月額 三千八十円、厚生年金で月額五千四百八十円と。  年金の金額を引き下げるということは、これ年金制度始まって以来のことだ と思うんですが、それでよろしいですね。 ○政府参考人(吉武民樹君) 物価スライド制につきましては、例えば昭和四 十八年の年金改正で物価スライド制が導入をされています。この時点で申し上 げますと、例えば物価が五%以上上がったときに引き上げるというような原則 でございましたけれども、その場合でも、例えば三%引き上がったときには細 やかに引き上げようという努力をいたしております。  それで、物価が今まで下落をいたしましたのは、この四十八年以降で申し上 げますと、平成七年、それから先ほど申し上げました十一年、十二年、十三年 でございますが、平成七年の場合で申し上げますと、物価の下落率は〇・一% でございます。  それで、年金額の改定をいたしますと、ある程度、受給者の方は非常にたく さんおられまして、そのための事務指導というような点もございまして、こう いう点も含めまして、平成七年には引下げを行わないという特例法を出してお ります。  それから、先ほど申し上げました十一年、十二年、十三年の四か年でござい まして、平成十五年度に物価スライドによります一定程度の年金額の引下げを 行いました場合には初めてというケースでございます。 ○小池晃君 これ制度始まって以来のことなんですよ。三年間物価スライドを 凍結してきた、その理由は景気が悪いから。もっと景気が悪くなった今になっ て、どうして凍結解除するのか。これ支離滅裂じゃないですか。どうですか。 ○国務大臣(坂口力君) 確かに、過去三年間におきましては、物価のスライ ドによりまして減少するのを抑えてまいりました。これは物価が確かに下がっ たからでございますが、しかしその生活状態等も勘案をして停止をしてきたわ けでございます。  しかし、今回は物価が下がっただけではなくて、いわゆる働く人の賃金も下 がってきたと。現在保険料を納めてくれている人たちの賃金が下がってきて、 この人たちも大変非常に御苦労をしていただいている。ですから、高齢者の皆 さん方もそのことを配慮をしていただいて、そしてその物価の下落、〇・六な ら〇・六%分はひとつ御辛抱をいただきたい、そういうふうに思っております。 ○小池晃君 景気が悪いから考慮したのに、景気がもっと悪くなったら元に戻 すと。これ景気が悪化しているから現役賃金が下がっているわけですよ。それ を理由にして年金を下げれば、ますます景気が悪くなる。現役世代の賃金も更 に下がっていく。これ私、どう考えたって悪循環だと思うんです。特に高齢者 は、所得に対する消費支出を示す消費性向、これ高いわけであります。総務省 の家計調査では、勤労者世帯の約七割に対して高齢者世帯は一〇〇%を超えて いる。すなわち、年金減ると即消費の減少に結び付くわけですよね。これ経済 に占める年金の割合高くなりつつあります。  例えば、家計消費支出全体に対する年金の割合、島根県では一六・五%、高 知一四%、秋田は一三・七%。こうした地域は、地域経済、年金削減は地域経 済を直撃するわけです。  これ、年金の物価スライドの凍結解除は、これも高齢者の生活をいじめるだ けではなくて、痛め付けるだけではなくて、私は地域経済にも打撃を与えると。 これ、断固やるというふうにおっしゃるわけですか。総理、お聞きします。こ れでも断固やるというふうにおっしゃるんでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、物価スライド制を上げた時点から、 物価が上がれば年金も上がる、物価が下がれば年金も下がる、当然のごとく受 け止められていたのを停止していたんです、いろんな配慮で。それで今回、今 言ったように、物価も下がっているけれども賃金も下がる、高齢者だけじゃな いと、この社会保障を支えているのはむしろ若い世代だと、若い世代の負担と いうものも考えなきゃいかぬということからやったのであって、私は、この部 分だけで消費に影響があると、それは若干影響はあるでしょう、これがすべて ではないと思っております。 ○小池晃君 私、認識が甘いと。これ高齢者だけじゃないんですよ、年金の物 価スライド凍結解除の影響というのは。これは、例えば障害者の年金も下がる んです。それから母子家庭の児童扶養手当にも連動するんです。原爆被爆者の 手当にも連動するんです。影響を受ける人は三千万人ですよ。どうしてこれが 小さい影響なんですか。私、これは深刻な打撃を与えると思いますよ。  理由は、今まであれこれあったと言うけれども、景気が悪いから今まで配慮 していたんです。それを、景気がより一層悪化したからそれを理由に引き下げ る。私は、今までの政府ですらやらなかった、坂道を後ろからけ落とすような やり方じゃないですか。こんなやり方は、私は、今の経済状況を考えれば、国 民に対してきっぱり、やめます、安心してくださいと、これが政治の役割じゃ ないですか。総理、是非決断していただきたい。いかがですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、こういう厳しい状況の中でも政府 は社会保障に一番税金を使っております。それは、やはり社会保障というのは、 国民がお互い、給付の裏には負担がある、お互い支え合おうということでやっ ているわけでありますので、賃金も下がる、物価も下がる、景気も悪いという 状況でありますけれども、何よりも私は、年金、医療、介護、この社会保障制 度は将来も持続可能な制度として維持、発展させていきたいと思います。今だ け考えて破綻させて将来増税すればいい、若い人に税を負担させればいいとい う状況にはあると思っておりません。 ○小池晃君 将来、持続可能と言うけれども、国民の暮らし、今危機的なわけ です。そこの立て直しなくしてどうして明日に希望を持てるんですか、どうし て将来があるんですか。将来、抜本改革、もちろん必要ですよ。しかし、この 現下の景気、経済危機をこれは何としても立て直すということは必要だろうと。 経済財政諮問会議では九月になってようやくこの負担増の重大性に気が付いて いる。民間議員が減税規模を拡大しようと言ってきた。ところが、中身は結局 ごく一部の大企業向けなんですよ、減税と言ったって。そして、与党からは今 日もデフレ対策の大合唱だと。  これね、私、どう考えたって納得できない、理解できない。だって、これは 一方で冷房を入れながら、寒くなり過ぎたから慌てて暖房を入れようと、こん なものだと思うんですね。だったら、すぐに私は冷房を切るべきだと。真っ先 にやるべきことは、三兆円の社会保障の負担増をこれを撤回する、増税計画は しないと国民に宣言をする、それじゃないですか。これが最も私は今この局面 において効果的なデフレ対策だ、景気対策だと考えますが、総理、いかがでしょ うか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、共産党は借金をするなという態度 だったんじゃないですか。これは将来どうなるんでしょうか、そうしたら。  今それなりの、保険料も上げるな、そういう決められた今までの制度も変え ろという形で今のを考えて、じゃ、もっとこのまま借金を増やせというのか。 それは共産党取れないでしょう、借金し過ぎだと今批判しているんですから。 そういう中で、じゃ、どこを歳出カットするのか。これ、全部必要だと言うで しょう。恐らく防衛費をカットしろと言うのかもしれないけれども。  それだけで、防衛費は五兆円弱、社会保障費は十七兆円を超えている。医療 費だけでも七兆円を超えている。こういう状況の中で一番、困った中でも日本 は福祉関係に一番最も税金を使っているんです。そういう点もやっぱり考えて もらいたい。 ○小池晃君 今、肝心なことを言わなかった。公共事業五十兆円あるじゃない ですか、そこにどうしてメスを入れないんですか。  共産党共産党とおっしゃるけれども、自民党の舛添要一参議院議員は週刊誌 でこう言っているんです。今の小泉内閣のやり方はアクセルとブレーキを同時 に踏むようなやり方だ。私と同じことを言っているんです。共産党が言ってい るんじゃない。国民の暮らし支えてこそ経済の再生だと、そのことを訴えて、 私の質問を終わります。 ○委員長(陣内孝雄君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 次に、西岡武夫君の質疑を行います。西岡武夫君。 ○西岡武夫君 質問に先立ちまして、本日、石井紘基議員が暴漢に襲われて逝 去されたというニュースが伝わりました。いかなる理由があろうと、このよう なことが許されていいはずはございません。心から哀悼の念を表して、その真 相究明に内閣としても一日も早くその解決のために取り組まれるように、そし てまた、これを契機として、更なる日本の社会から暴力を排除するために御努 力されることをお願いを申し上げる次第でございます。  今日は、小泉総理に御質問を申し上げますので、ほかの閣僚の方の御答弁は、 別に軽視しているわけではございません、総理のお考えを、基本的なお考えを お聞きするので、総理だけに御答弁をお願いをいたしたいと思います。  まず、総理の政治手法についてお尋ねをいたします。  これは、どうも総理の政治手法は、かねてから御主張になっておられます我 が国の、首相公選という言葉もちょっと言葉の使い方としてはおかしいと思う んですけれども、そういう方向を念頭に置いた政治手法のような感じが私には してならないんです。  政党政治、議院内閣制の下で、今、日本の政治は動いているわけでございま すから、もちろん総理が衆知を集めて、いろいろな識者、国民の皆さん方の声 を聞いて、それに基づいて判断をされ、最終的に政治が決定し責任を取る、こ れはもう当然やるべきことでございますけれども、どうもその政党政治のとこ ろが抜けているという感じが随所に見られるわけでございますけれども、その 点についての総理のお考えをまずお尋ねをいたします。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現在の小泉内閣は、自民党、公明党、保守 党の皆さん方の御協力によって、三党連立体制のままで、形で政策推進に努め ております。現にこの一年半、すべて三党の御協力によってやってきて、それ ぞれ政策実現に寄与してきていただいたと思います。  時に与党内におきましてもまた我が自民党内におきましても、私と反対の意 見も出てきます。それは、西岡議員もかつて自民党におられたころから私ども と大分やり合った仲で、総務会長の時代にはさんざん議論を重ねた仲だから御 存じだと思います。全く相反する議論を何十時間も重ねて、最終的にはうまく まとまっていくのが自民党だと。今もそうですね。最初は私と全く相反する方々 が、結論はどうですか、全部協力してくれますよ。時に痛烈な批判、批評、自 民党の議員だって、さらば小泉純一郎と言うぐらいの人が結構いるんです。 じゃ、本当にさらばしているのかというと、そうじゃない、言うことは言う、 しかし政党人として協力すべきところは協力する。しっかりと私を、小泉内閣 を支えてくれているのは、政党である自民党であり、公明党であり、保守党で ある。政党政治で今の小泉内閣は成り立っているということだと私は思ってい ます。 ○西岡武夫君 総理、そういうやり方で総理がお考えになって、自分が政権の 座に着いたときにやろうと、自分はこうしたいと、日本をこうしたいんだと、 そうお考えになったことが今行われていますか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 当初発言したとおりのことが着々と進んで おります。  まず、私が郵政民営化を過去三回の総裁選挙で主張した。正にこんなことは できるわけないじゃないかと言って、郵政公社化の法案して、公社化まではい い、民営化の議論はさせないと言ったのが自民党だったんですよ。それを堂々 としているじゃないですか。しかも、郵政公社化法案なんというのは総務会の 了承得られなかったんです。それを提出して、こんなのは廃案だと言ったのが、 何でこの通常国会通ったんですか。みんな協力してくれたんです。  道路民営化、私が総理に就任したときに、だれが道路民営化なんかオーケー しましたか。とんでもない、みんなこんなのはつぶしてやる、七月の参議院選 挙を終わって九月の自民党総裁選挙、そのときまで我慢しようと言ったのは、 結構自民党議員いたんですよ。七月の参議院選挙が去年あったから、そこまで は小泉で仕方がないかと、まあちょっとほかのよりも人気がありそうだから選 挙までは小泉を総裁で担ごうと。しかし、終わったら、九月に総裁選があるか ら、そのとき引きずり降ろせばいいと考えていた議員もいたんです。終わった らどうですか。無競争ですよ。どうぞまたやってくださいと。そして今、道路 民営化、あれほど反対したのが、民営化は今既成事実として受け入れられてい ます。  第三者委員会、国会の同意人事だと。私は、同意人事は必要としない、必要 はないと、人選は任してくれと。そんなこと言ったら、当初、そんな委員会の 人選を同意人事なんか、小泉が勝手に言っているだけだと。今年の一月辺りは、 小泉は言うだけであって、あの小泉の発言は石垣にトマトをぶつけるものだと。 私がトマトだったんだね。委員会人事しなかったらこんな法案通さないと。結 果的にどうですか。同意人事しない、人選、私に任してくれて、全部人選任し て、今、議論が第三者委員会を設けられて進んで、既に民営化は既成路線で、 民営化の組織の在り方を議論して、それを尊重すると。年末に結論が出ます。 これも異論がありません。  そういうものも含めて、特殊法人改革、住宅金融公庫を廃止すると。これも 与野党を通じて、専門家を通じて、これは民間ではできないんだ、これは駄目 だ、なくしてはというのが多数だった、最初は。住宅金融公庫を廃止すると言っ た途端、民間ではできないんだと言っていたところが、民間金融機関がむしろ 住宅金融公庫よりもいいサービスのいい商品を提供していただきました。既に 五年後には廃止することが決まっています。特殊法人、今、改革が進んでおり ます。  構造改革特区、規制改革まかりならぬと。しかし、全国で駄目なんだったら、 地方独自の特別の区を作ってもいいんじゃないかと。これも今、当然のごとく、 むしろもっとやれもっとやれという声が出てきた。これは歓迎すべきことです よ。  発言どおり、総裁選当時、就任以来、どおりに着実に進んでいます。 ○西岡武夫君 総理、お言葉ですが、郵政公社の問題は、今、公社になったば かりなんです。それを、国民の皆さん方は、郵政公社になったというふうに認 識しているわけです。それが民営化の第一歩だとは思っていないんです。そこ を誤解されてはいけないと思います。  それともう一つは、今、私は後からお話ししようと思ったんでございますけ れども、特殊法人のことをおっしゃいました。特殊法人を独立行政法人という 新しい名前を付けて、若干機構は違うようでございますけれども、本来ならば 特殊法人は、私どもは、いったん全部廃止して、どうしても必要なものがある ならば新たにこれを作る方が望ましいだろうと、そういう意見を展開してまい りました。ところが、独立行政法人という名の下に、そこに、今まで国立の例 えば美術館であるとか博物館であるとかそういうものもあったんですけれども、 それを独立行政法人というふうにして、まぜこぜにして、そして特殊法人を生 き残りを図っているじゃありませんか。これはどうなんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 特殊法人を全部廃止したらどうなるか、そ れを考えなきゃいかぬと。必要な事業もあるでしょう。百幾つあるのが今度四 十幾つかになります。その独立行政法人も、今までの特殊法人よりも更に効率 的に運営するような方法になっております。  一遍に全部廃止しろというスローガンはいいですけれども、やっぱり段階を 踏む必要があるんじゃないかと思っておりますので、いい案があったらどんど ん出していただいて、具体的に。廃止すればいいというんじゃない、どういう ふうに廃止すればということを具体的に出していただければ、よく検討させて いただきます。 ○西岡武夫君 特殊法人と独立行政法人の違いはどこにあるんですか。──い や、これは総理のお考えを。いや、総理のお考えを。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは担当大臣に任せてあります。 ○国務大臣(石原伸晃君) 事務的な話でございますので、私の方からお話を させていただきたいと思います。  まず、西岡委員は、特殊法人を独立行政法人に衣替えするんじゃないかとい うお考えが今の御質問の根底にあるのではないかと聞かせていただいておりま す。しかしながら、特殊法人、すなわち官がやらなきゃいけない仕事があるか ら特殊法人ができたんであって、その事務を全部民間に任せ切れる、あるいは 地方に任せ切ることができないので特殊法人に代わる独立行政法人というもの を考えたわけであります。  目標を管理する、ガバナンスをしっかりする、あるいは第三者委員会がその 業務を監視する。そしてまた、独立行政法人は三年から五年ごとに見直しをい たしますので、特殊法人のように一度できたら自分で業務をどんどん増やして いって、それが増殖していくようなことのないように、任務が終わったら廃止 する、そういう仕組みが独立行政法人と特殊法人との相違点でございます。 ○西岡武夫君 これは異なことを伺うんですが、独立行政法人というのは役目 が終わったらこれは廃止するという、これは総理、間違いありませんか。── いや、総理に聞いているんです。 ○国務大臣(石原伸晃君) 三年から五年ごとにしっかりと見直しをして、役 目がなくなったら廃止することができるように仕組ませていただいております。 ○西岡武夫君 それでは、総理にお尋ねいたしますが、今、国立大学を着々と 独立行政法人化するという作業が政府内部で進んでいるわけです。私は、文教 委員会等でこれに反対する議論、意見を申し上げているわけでございますけれ ども、その大きな流れはなかなか止めようがない方向に来ているわけですけれ ども、それでは、国立大学も同じように、独立行政法人と同じように何年かたっ たらば見直してどうするかということをどういうふうにお決めになるんですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は元々、国立大学が果たして九十幾つ、 九十以上も必要かと。今の大学制度を考えて、私学の果たしてきた役割も多い。 やはり国立でなきゃできないものというのはもっと絞っていいんじゃないかと いうことから、これは国立大学も見直さなきゃいかぬということで文部科学大 臣に指示しまして、これを見直しなさいということでやっておりますので、私 より文部科学大臣の方が答弁、いい答弁できると思いますので、よろしくお願 いします。 ○西岡武夫君 遠山文部科学大臣は、私も非常に、大臣、お若いときからよく 存じ上げている間柄でございますから、大臣のお考えはもう既に委員会等でお 聞きをしております。  総理にお尋ねをいたしますけれども、今盛んに教育学部というものを統合す るという今、総理のお考えに基づいているんだろうと思いますけれども、これ が進んできているようです。  ところが、よくお考えいただきたいんですけれども、日本の国というのはそ れぞれの地域の特徴がある。その中で教員養成というのが行われて、そして、 その地域をよく知っている先生が特に義務教育について教えていくというとこ ろにその地域のいろんな意味でのプラスの面があると、そういう意味で果たし ている役割は非常に大きいと思うんです。  それをいたずらに、何か統一さえして合理化すればいいんだということで一 か所に集めてしまう。例えば四国なら四国に一か所あればいいんだというよう な効率的な考えだけで教育行政を進めていいのかどうか。そこはいかがですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 文部大臣をやられた西岡代議士の御意見で すから、長年の経験あるいは見識に基づいての御発言だと思います。  その点につきましては、文部行政については私よりはるかに詳しいわけでご ざいますので、私は、専門的なものは文部科学大臣、よく科学方面の専門家の 意見を聞いて、必要な国立大学は残して発展させる、そうでないものは統合す る、あるいは廃止する、民間に移譲する、地方に移譲する、そういう点につい ては文部大臣、しっかり頑張ってくださいと言っておりますので、私より詳し い文部科学大臣に答弁させた方がより親切に答弁できるのではないかと思いま す。 ○委員長(陣内孝雄君) 遠山文部科学大臣。 ○西岡武夫君 委員長、結構です、それは。 ○国務大臣(遠山敦子君) 一言だけ。  国立大学につきましては、独立行政法人ではなくて、大学の本質に絡んで国 立大学法人ということで今、新たな組織作りに準備をしているところでござい ます。御承知のとおりでございます。  それから、教員養成につきましては、これは統合・再編ということがまずあ るということではなくて、少子化に伴いまして教員の採用の枠が非常に少なく なってきている、また教員について、社会的ないろんな問題に対応していくと いうことでカリキュラムの充実が必要である。しかしながら、今、各県にある 非常に入学定員の少ないところでは十分なカリキュラムを組めない。それはむ しろ県を越えて統合すべきことによってより充実することができるならば、統 合し再編してより充実した教員養成をしていこうということでございまして、 このことについてはまだ委員会で答弁したことがございませんので、ちょっと お答えさせていただきました。  以上でございます。 ○西岡武夫君 今、雇用の問題等も非常に大きな深刻な問題になっているわけ でございますけれども、例えば総理も御承知と思いますが、三十人学級にすべ きだという強い意見がございます。  学級数の、子供たちの数を減らせば、少ないほどいいんだとは私は決して思 いません。一定のやはり人数の中で教育が行われるということが大事だと私は 思っております。しかし、三十人学級というのは、私どもの小学校のころはた しか六十人ぐらいいたと思うんですけれども、三十人学級というのは一つの基 準としては適切な基準ではないかと私は思います。  そうなりますと、今、文部科学大臣から言われましたように、教員になられ る方が少ない、そういうようなこともあって教育学部の統合というような問題 も検討されているということですけれども、それだけで実は十万人ぐらいの教 員が必要になってくるわけです。  ですから、雇用という、まあ雇用対策で教育を考えるというのもいかがと思 いますけれども、そういう面もあるということも十分総理、お考えになってい ただきたい。これについてはいかがでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 教育の重要性というのは幾ら言っても言い 過ぎではないと思いますし、日本は教育重視でやってきましたし、これからも 教育の重要性はよく認識しなきゃならないと思っております。  三十人学級、どの規模がいいか、教科によっても違ってくると思いますが、 私のころも大体六十人ぐらいで遅番、早番がありましたね。先生が少なくて生 徒が多いから、毎週、今週は朝番、次が遅番、午前中の部と午後の部、同じ学 校であったんですよね。そういうことから比べると、もう三十人なり二十人な り、最近はクラブ活動もできないぐらい人数が少なくなってきたという状況で ありますが、一方では、それだけよく生徒の面倒を見れるといういい点もある と思います。  いずれにしても、雇用の面ということよりも教育を重視するという観点から あるべき姿をいろいろ研究する方がいいと思っております。 ○西岡武夫君 それでは、今私が提案申し上げたことに小泉総理も賛成いただ いたというふうに理解をいたします。  教育の問題にせっかく入ったわけでございますから、もう一点お尋ねをいた しますが、義務教育、これは国の責任であると。これは総理、そうお考えでしょ う。よろしゅうございますね。  私は、かねて、これはいろいろ自由民主党の時代から議論があったところで ございますけれども、義務教育については、これはすべて国の責任で行うべき であると。小学校、中学校、私は、学制の六三三四という学校制度も変えるべ きだという意見でございますけれども、現行制度の下においても、最低限小学 校と中学校は国立にしたらどうかと私は思って今日に至っております。  ところが、最近、いろいろ財政の問題も非常に厳しいということも十分私も 理解いたしますけれども、義務教育国庫負担について、今は御承知のとおりに 市町村そして県が義務教育、高等学校については責任を持っているわけでござ いますけれども、それに国から補助金が行っている。これをなくそうと、少な くしようという動きもあるようですけれども、むしろ、これは国の責任におい て行うというふうに変えるべきだと、方向としては。財源についてはどういう ふうにするかという問題がこれからあります。それは、今日そこまで触れる時 間がございませんから申し上げることは差し控えますけれども、その基本的な 考えについては、総理、いかがでしょうか。基本的だけで結構です。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 基本的に、教育というのは小学校、中学校、 国が責任を持って無学なからしめるという明治以来の伝統で日本はやってまい りましたし、教育の重要性、国が相応の義務といいますか、負担をしていくと いうのはいいと思います。  ただし、どの程度の負担が必要か、またどの程度地方の自主性にゆだねるべ きかというのはまた別の観点から議論されてもいいのではないかと思っており ますので、今回、義務教育の国庫負担金も補助金も交付税も、あるいは財源も 地方の自主性にゆだねるためにはどういう方法がいいかということを総務大臣 の下でも文部科学相の下でも検討していただいておりますので、その結論を待 ちたいと思っております。 ○西岡武夫君 私が総理にお尋ねしておりますのは、義務教育については国立 にしたらどうかということについてどうお考えかということです。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、必ずしも国立だからいいということ は思っておりません。地方独自の公的な関与もあっていいのではないか、また、 公立、国立に入らなくても私学に入って教育を受ける人がいてもいいのではな いか、国立にこだわるものではございません。 ○西岡武夫君 この問題はかなり深く議論しなければならない問題でございま すからこの程度にいたしまして、先ほど総理がちょっと触れられましたので、 そのことにも触れさせていただきますけれども、道路公団の民営化の問題であ ります。  道路公団は既にもう民営化ありきということで総理の下では進んでいるよう ですけれども、これはもう総理十分御承知のように、元々道路公団というのは、 税金だけで道路を造るというのはなかなか難しい、早急に造らなきゃいけない ということで、財政投融資の資金を使い、そして通行料もいただいて、そして 自動車を保有している方々にも相当の税の負担をしていただいて、そうしたこ とで整備してきているわけですね。ですから、これがペイされた、建設費を賄 うだけのものをもう収入として得て、それが払い終わったところは本来ならば 国道、一般の国道にすべきである、これがスタートだったと思うんです。これ を民営化するというのはどういうことなんでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、国道もあれば県道もあるし市道も あります。そういう中で、今、道路公団のままで進みますと、どれだけ債務が 増えるか分からない、どれだけ将来の国民負担が増えるか分からないというこ とから民営化が必要じゃないかという議論が盛んになってまいりまして、今、 民営化委員会を作って議論をしていただいております。  これは、年末に結論が出ますが、要は、道路公団が民営化になった場合は、 その民営化、新しい会社でどの程度道路を造ることができるかと。民営化、で すから、会社になった場合にはいろいろな採算も重視するでしょう。その場合 に、計画どおり、今、計画どおりできなかった場合は、それじゃ国費をどのぐ らい投入するのか。地方の、利用する方の地方の道路、負担をどの程度にする か。どうしても必要だというんだったらば、その観点から公費を負担しなけれ ば造れない道路もあるでしょう、それは当然であります。しかし、今のように 道路公団のままに計画どおりどんどんやっていったらもう負債がどんどん膨ら んでしまう、これでは大変な将来負担になるなということから、今、民営化議 論が出てきて、第三者委員会が作られて精力的に議論されております。  民営化したら全部道路ができなくなるなんというのは誤解でありますし、民 営化でできる部分と、できない場合はどうやって負担して造っていくかという 議論がまた今後出てくるのは私は当然だと思っております。 ○西岡武夫君 私は、道路公団を残せということを言っているんじゃないんで す。もうペイしてしまった道路については国道に編入すべきだということを申 し上げているわけです。その議論を全然飛ばしてしまっていきなり民営化とい うのは、少なくとも、我が国の基幹的な道路である高速道路網を民営化すると いう考え方が私にはどうしても納得できない。それでお尋ねをしたわけであり ます。  時間がもうほとんど迫ってまいりましたので、最後に中小企業の金融の問題 だけ、一言総理のお考えをお聞きしたいんですけれども、中小企業の金融につ いては、いまだに歩積み両建て、もう何か今では古いような言葉になってしまっ ているようですけれども、現実に私の身近で、一方で拘束預金をさせておいて お金を貸すということは現に行われているわけです。  これ、総理、どう思われますか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、私も大蔵委員会時代に盛んに議論 された問題で、これはやめるべきだという議論が前から行われているんです。 今でも残っているかどうかよくは、詳しくは分かりませんが、やはり預金者、 金を借りたい方々の事情をよく考えて、その点は、やる気を出させるような金 融機関の審査体制なり審査能力なりを磨くべきではないかなと。  資金需要に対してどう対応するかというのは、やっぱり金融機関に課せられ た責任ではないかなと思っております。 ○西岡武夫君 それでは、総理は、中小零細企業の皆さん方がお金を借りる場 合に拘束預金を要求されるということについてはやめるべきだと、そういうこ とは、というふうにお考えですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) お金を借りたい、ないから借りるのに何で 預金させるのかと、これまた不思議ですよね。ないから借りる、あるんだった ら借りる必要ないんだから。そういう面についてよく実情を考えて、ある人に は預金、あるいは信用の程度もあるでしょう。そういう点もよく実情を考えて、 できるだけ借りたい人には、また意欲のある人には、成長分野にあるところに は貸せるような、そういう対応がやっぱり金融機関に必要だと思っております。 ○西岡武夫君 時間が参りました。たくさん質問はございますけれども、これ で終わらせていただきます。 ○委員長(陣内孝雄君) 以上で西岡武夫君の質疑は終了いたしました。(拍 手)     ───────────── ○委員長(陣内孝雄君) 次に、大脇雅子君の質疑を行います。大脇雅子君。 ○大脇雅子君 初めに、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮によって拉致され、 二十四年を経て帰国された五人の方々、その御家族、そして、死亡と発表され た後もなお生存を信じて活動されております御家族の方々、私ども社民党、そ して政治家としての私自身の事実の究明や解決の取組に不十分な点があったと いうことを反省し、心からおわびを申し上げます。五人の方々の御本人の意思 が温かに尊重され、在北朝鮮のお子様共々お幸せになられることをお祈りして おります。  さて、総理は九月十七日、日朝首脳会談に臨まれ、国交正常化に向けての平 壌宣言に署名されました。一衣帯水の国との平和の確立のための友好関係を構 築するということは、北東アジアの平和構築のために喜ばしいことだと思いま す。  宣言の内容について二点お伺いいたします。  過去の清算が経済協力方式であるということは別途質問に譲りますけれども、 新聞によりますと、北朝鮮の朴龍淵外務省アジア局副局長は、国交正常化交渉 の根本は過去の清算だと明言されております。過去の清算についての認識、そ してその課題と対応について、総理、官房長官、そして外務大臣にお尋ねした いと思います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 過去の清算については、今までの交渉を通 じまして北朝鮮側は補償を強く要求しておりました。今回、日朝平壌宣言では 補償というものを取り下げました。言わば日本の主張を入れたわけであります が、今後それでは、この過去の問題と現在の問題、将来にわたる問題、これは できるだけ私は今までの敵対関係を協調関係にしたいと思っているわけであり ますが、そのためにも日朝平壌宣言の約束を誠実に履行されることが必要だと。 その後に日本としては経済協力を考えるということなんです。ですから、この 過去の清算問題もいろいろありますけれども、その点は、私は日朝平壌宣言に 盛られたとおりの形で今後交渉を進めていきたいと思います。 ○国務大臣(福田康夫君) ただいま総理から大筋お示しされたのであります けれども、この平壌宣言において日本側は、過去の植民地支配によって朝鮮の 人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、そして 痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明いたしております。その上で、国 交正常化後に経済協力を実施するということにいたしました。また、財産及び 請求権の相互放棄を行うということを基本として、これから国交正常化交渉の 中で具体的に議論をすると、こういうことにしてあるわけであります。 ○国務大臣(川口順子君) 総理及び官房長官と同じ認識を持っております。 ○大脇雅子君 次に、北朝鮮が濃縮ウランを使った核兵器開発計画の存在が明 らかになりました。日朝の平壌宣言の精神に反する重大な問題だと思いますが、 総理はこれをどう受け止められていますか。国交正常化交渉でどのように取り 上げられていくのか。アメリカは核の即刻放棄を言い、長官は対話を重視する と言いますが、実態の解明と開発中止に向けて、国交正常化の方向性を決める 重要課題であると考えます。いかが取り組まれるおつもりでしょうか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、米朝会談でも重要な議題になって おりますし、日本としても今後、安全保障上の問題、そして日朝平壌宣言に盛 られたとおり、国際法を遵守する、国際協定を遵守する、核の問題等含んでお りますので、拉致の問題、この問題、総合的に取り扱わなきゃならないと。こ ういう国際社会における懸念を払拭するように北朝鮮側に強く働き掛けていき たいと思っております。 ○大脇雅子君 核兵器の全面廃絶への道程、核軍縮会議で日本が提案した決議 が圧倒的多数で国連総会第一委員会で採択されております。北東アジアの平和 にとっての死活の問題であるというふうに考えます。  さて、米国のイラク攻撃についてもお尋ねをいたします。  アメリカでは上下両院でイラク攻撃権限を大統領に与える法律を成立させま した。そして、アメリカとイギリスは国連安保理においても、重大な結果を招 くという言葉でございますが、武力行使を容認する決議の採決を求めて提案し ております。国連総会の演説で、総理は必要かつ適切な安保理決議を早く採択 すべしと言われましたし、国連大使もそのように言われておりますが、イラク への武力行使の危険性を前に国際社会に戦争反対の空気が大変高まっておりま す。  第三次世界大戦の引き金に手を掛けることになるのではないかと危惧されて おりますが、武力とその威嚇に加担することのないよう、平和憲法九条を持つ 日本の総理として、この国連決議をどう見通されておるか、あるいは決議採択 の後、日本はどのように対応されるのか、お尋ねいたします。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、イラク問題に関しましては、国連安 保理決議、イラクの大量破壊兵器査察等、これをまずイラクが安保理決議を即 時無条件に受け入れる、決議を履行するということが一番重要なことだと思っ ております。そして、この戦争の危険あるいは大量破壊兵器の懸念、これをイ ラクが払拭する行動をいかに誠実に履行するかというためにも、私は国際協調 体制を取ることが重要だということを国連の場でも演説しましたし、ブッシュ 大統領との会談でも明確に伝えたわけであります。  今後、どういう展開になるか、予断を許しませんが、私はこのような姿勢で 日本としてもこの問題に対処していくべきではないかなと思っております。 ○大脇雅子君 是非、冷静に対処していただきたいと思います。  この点について、外務大臣、いかがお考えでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) イラクの大量破壊兵器を開発をしているという問 題は、これは国際社会全体の大きな懸念であるわけでございます。今、総理が おっしゃいましたように、イラクが無条件、無制限、そして即時に国連の決議 に基づいて査察を受け入れるということが大事でございまして、それをやって いくために新しい国連の決議を、それを採択をする、安保理で採択をするとい うことが非常に大事だというふうに思っております。我が国としてもこのため に外交的な努力をしておりますし、私も九月に国連でイラクの外務大臣と話を して、この点について受け入れるようにということを言っております。 ○大脇雅子君 是非、見える平和外交を展開していただきたいと思います。  さて、不良債権と雇用政策についてお尋ねをしたいと思います。  これまでの不良債権の処理は十年間で約九十兆、なお、デフレの発生の中で その累積不良債権残高は五十兆とも言われてまいりました。企業倒産件数も失 業率も、そしてまた自殺者の数も戦後最大という記録を塗り替えつつあります。 国民の痛みもまた戦後最大を更新しつつあると言わざるを得ません。  不良債権処理を加速した場合に、倒産そして雇用失業に対してどのような増 加のシミュレーションがあるのか、その予測値を竹中金融・経済財政大臣にお 尋ねします。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 目下、月末に向けましてどのような形で不良債権 処理を加速するかというその政策の詰めを行っている段階でございます。そう した議論を踏まえまして、今後更に精緻な議論を行っていきたいとは思います が、基本的にこうしたことの予測は、従来までもそうでありましたけれども、 正確な予測をするのは大変難しいということも御承知いただきたいと思います。 ○大脇雅子君 予測がなければ有効な手段がどうして打てるのでしょうか。見 るところ、雇用のセーフティーネットは従来型の組み直し対策でしかないよう に思われます。雇用問題は極めて地域問題になり、緊急地域雇用創出特別交付 金三千五百億というのが出ておりますが、なかなか効果が上がらない。潜在的 ニーズの事業化も行われていない、内閣に設置された構造改革・雇用対策本部 は二〇〇一年九月二十日限りで全く開かれていない、これで真剣味があるのか というふうに思わざるを得ません。  最後に、倒産と雇用の不安の解消をするセーフティーネットの構築の必要性 をどのように考えられているのか、そしてどういう政策を取られようとしてい るのか、総理の御決意、経済産業大臣、厚生労働大臣、金融・経済財政大臣に お尋ねをいたします。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 不良債権処理加速ということは、同時に雇 用対策、中小企業対策もともにするということなんです。しかし、不良債権処 理が進まない限りは経済活性化につながらないからこそ不良債権処理というの が大きく新聞の見出しにも出る、いろいろ言われているんであって、それだけ ではない、雇用対策、中小企業対策、総合対策もやるということを是非とも御 理解いただきたいと思います。 ○国務大臣(平沼赳夫君) やっぱり、経済を活性化することと地域経済の活 力を与えること、多くを申しませんけれども、産業クラスター計画なんかは非 常に順調に推移しております。そういうことで、地域産業を活性化してそこに 雇用を集める、こういうことを中心に進めていきたいと思っています。 ○国務大臣(坂口力君) 不良債権処理がやはり雇用を早く元に戻すために通 らなくてはならないところだというふうに思っております。したがいまして、 新しい角度からどのような雇用対策を打てるか、今懸命に努力をしているとこ ろでございます。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 各大臣と相談いたしまして、しっかりと取りまと めたいと思っております。 ○大脇雅子君 終わります。 ○委員長(陣内孝雄君) 以上で大脇雅子君の質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十分散会