145回-参-本会議-18号 1999/05/07 ○国務大臣(小渕恵三君) 三重野栄子議員にお答え申し上げます。  まず、大学の今日的存在意義についてお尋ねがございました。  大学教育の普及に伴う多様な社会的要請に対応するため、今後は、教養教育 の提供を重視する大学、専門的職業能力の育成に重点を置く大学、最先端の研 究を指向する大学など多様で個性的な大学が求められますが、いずれの大学に ありましても、幅広い視野を持つ人材を育成するとの理念を基礎に置くことは 極めて重要であると考えます。  大学の自治の今日的意味についてのお尋ねでありました。  教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度としての大学の自治は今日に おいても尊重されなければならないと考えますが、教育研究や社会との関係の 変化等の今日的要請にこたえ得るよう、大学が開放的かつ積極的に、また自主 的、自律的に意思決定を行い得る仕組みを整備することが求められていると考 えております。  次に、高等教育財政についてお尋ねがありました。  我が国の大学等の高等教育機関が、すぐれた人材養成と学術研究の推進につ いて期待される役割を十分果たすことは、将来にわたる我が国の発展と国際的 貢献の上でも極めて重要な課題であります。このため、大学等の教育研究条件 の改善など高等教育関連の予算には十分配慮してまいりたいと考えます。  我が国の教育制度についてお尋ねがありました。  今日、未来を担う子供たちに、自然を慈しむ心、助け合う心、社会的倫理 観、多様な生き方を尊重する考え方、生きる力等をしっかり身につけ、心身と もに健康な人間に育てることは極めて重要な課題と考えております。このよう な考え方に立ちまして教育改革を着実に進めてまいりたいと考えます。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕 ○国務大臣(有馬朗人君) 三重野栄子議員にお答え申し上げます。  第一に、これまでの大学運営の評価についてのお尋ねでございますが、大学 運営に当たって教育研究に関する自主性は尊重されるべきものであり、学部教 授会はそのための重要な審議機関であると考えます。しかし、これまでの大学 運営では、学部教授会と学長、学部長、評議会などとの役割分担や連携協力が 必ずしも十分でなく、本来、大学が持っている教育研究の総合的な力を十二分 に発揮することができにくい点があったと考えております。  第二に、大学の自治との関係についてのお尋ねでございますが、今後の大学 には、各大学全体としての教育研究の目標、計画を明確化した上で、学内の各 機関の機能分担と連携協力により、大学としての合理的で責任ある意思決定の 体制をつくることが求められております。  今回の法案では、評議会や教授会の審議事項を法律上明確化することなどに より、教育研究に関する大学の自主性を尊重しつつ、大学が組織体として総合 的に機能を発揮することが可能になり、大学の自律性が高まるものと考えてお ります。  第三に、運営諮問会議への学生参加についてのお尋ねでございますが、運営 諮問会議は、大学が社会からの意見を聴取し、社会的存在としてその責任を明 らかにするとの観点から設けられる機関であります。  学生につきましては、学外者に該当しないことでもあり、運営諮問会議への 学生参加については、その設置の趣旨になじまず、予定していないところでご ざいます。  第四に、大学運営への学生のかかわり方についてのお尋ねでございますが、 大学の運営については、その最終的な責任者である学長が評議会の意見を踏ま えつつ大学としての意思決定を行うものであり、教育を受ける立場にある学生 が大学の意思形成に参画することは適当ではないと考えております。  しかしながら、各大学の判断により、授業の内容、方法の改善や学習環境の 整備などについて、学生による授業評価や学生に対するアンケート調査などを 通じ、その希望や意見を取り入れ、教育研究活動を改善していくことは極めて 望ましいことと考えております。  第五に、大学情報の開示についてのお尋ねでございますが、大学は公共的な 機関であり、大学の教育研究活動に対する情報を社会に対して提供することは 大学の社会的な責務であります。  今回、国立大学につきましては、社会に対する国立大学の説明責任をより明 確にする観点から、教育研究等の状況の公表について定めることとしておりま すが、公私立大学につきましても国民にとって関心が高いと考えられる情報を 社会に提供していくことを制度上明確にするよう考えております。  第六及び第七の問題でございますが、教養教育の現状認識と教養教育の重要 性の周知方策についてのお尋ねでございますが、教養教育に関しましては、例 えば学際的、総合的な内容の科目を設けるなど、各大学において独自の努力や 工夫も見られるところでございますが、一方で教養教育の軽視が進んでいるの ではないかとの指摘もあります。私もこれを心配しております。  社会の高度化、複雑化等が進む中で、教養教育の重要性が増しており、各大 学におけるカリキュラムの工夫、改善、全学的な取り組みの積極的推進を促し てまいりたいと考えております。  第八に、学部教育の目的についてお尋ねでございますが、学部教育は、いわ ゆる課題探求能力の育成を重要視しつつ、教養教育及び専門分野の基礎、基本 を重視した教育を行うことにより、専門的素養のある人材として活躍できる基 礎的能力や生涯学習の基礎等を培うことを目的といたしております。これは、 四年間の修業年限の間における正課活動のみならず、教科外の活動も含めて幅 広く人間性を培うことなどにより達成することが期待されております。  以上、お答え申し上げました。(拍手)