142回-参-本会議-29号 1998/05/22 ○橋本敦君  次に、独立行政法人制度の問題であります。  これは、国民生活にかかわる公共の分野を国の事業の効率的な実施の名で切り 捨てる仕組みを進めるものであります。政府は、これまでも地域住民や労働者の 反対を押し切って国立病院の統廃合を強引に進めてきましたが、その国立病院を 初めとして、最終報告では数百にも上る国立の機関、研究所について、そこで働 く人々の意見を十分に聞かないまま独立行政法人の対象リストに挙げました。こ れに対して、労働者や関係者から大きな批判が上がっているのは当然でありま す。なぜ当該機関関係者からの聴取を含め、具体的な調査を行わなかったのです か。  今日、地震対策や環境問題、あるいはO157などの感染症を初めとして、食 糧、食品の安全問題など、国民の科学技術と研究に寄せられる期待はますます大 きくなっています。衆議院の論議では、国立試験場研究機関を初めとして、国立 大学なども独立行政法人の対象であることを政府は認めました。さらに、小里総 務庁長官は、気象庁の事業も、法案成立後具体的に検討すると答えています。し かし、これらの研究は、効率性と採算性などの企業論理で成り立つものではあり ません。国立試験研究機関でこそ可能な組織的、長期的、そして創造的な研究が 必要不可欠ではありませんか。  にもかかわらず、企業会計原則を導入し、効率性を第一義的目標とする独立行 政法人化は、結局、これらの国ならではの必要な研究や国民生活部門の事業を切 り捨て、国の責任放棄につながるものと言わなければなりません。総理の見解を 伺います。 ○国務大臣(橋本龍太郎君) 次に、独立行政法人についてのお尋ねがございました。  独立行政法人制度は、一定の公的な事務事業について弾力的な組織、業務運 営を可能とし、効率性だけではなく、質や透明性の向上を図ろうとするもので あります。  また、独立行政法人化の対象業務につきましては、行政改革会議ではさまざ ま論議が交わされましたが、具体的に確定はせず、今後の作業に資する見地か ら、会議の論議で取り上げられたものを整理して掲げるにとどめております。  国立試験研究機関についても御意見をいただきましたけれども、国立試験研 究機関への独立行政法人制度の導入につきましては、議員御懸念のように、効 率性のみを追求し、基礎研究を軽視するというものではありません。各研究機 関の多様性を尊重し、自律性、柔軟性及び競争性を高める、こうしたことを通 じて基礎研究を含む試験研究機能の一層の向上を図るものと考えております。  国の責任等についてもお触れがありましたが、独立行政法人制度は、一定の 公的な事務事業について、目標管理や評価などの仕組みを通じ、効率性の向上 とともに国民の求める質の向上等をも実現するものでありまして、必要な場合 には運営費の交付等所要の財源措置を行うなど、国としての責任も的確に果た していくことになります。