2004年10月26日

転載:「意見広告の会」ニュース207[2004.10.26]

Date: Tue, 26 Oct 2004 00:02:39 +0900

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
qahoujin[アットマーク]magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。

** 目次 **
1 真に、かつ、種々の意味で危機を迎える都立大
1−1 「クビ大COE」はなぜ阻止されねばならなかったのか
     東京都立大学経済学部 戸田裕之
1−2 東京都による大学破壊の実証的研究: 現在の都立大学教員流出状況
      首大非就任者の会

2 大学財政危機打開をめざす国会内ポスターセッション
7th Circular 10/24
      国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

***
1−1「クビ大COE」はなぜ阻止されねばならなかったのか
              東京都立大学経済学部 戸田裕之

2003年7月,近代経済学グループ注1が文部科学省21世紀COEプログラムの一拠点に採択
されたことの前提には,当時公式に計画されていた「新都立大学」と現在の都立大学と
の間に十分な継続性が存在するであろうという当然の見通しがあった。ところが,その
直後の8月,東京都はそれまでの公式計画とはまったく異なる大学「改革」構想を発表
した。この構想に基づく新大学なるものが東京都立大学とは完全に異質の「大学」であ
ることは,「首都大学東京」(以下「首大」と略称)の姿が東京都によって具体化されて
いくその後の過程で明白になった。

新奇なことと価値あることはむろん同義ではない。「実学」「地場の利益」の掛け声の
もと,「一地方」東京に直接の利益をもたらすことのみを追求しようとするのが,この
首大の理念である。他方,学問一般の発展に対する基礎的な貢献については,一切その
価値を認めようとしない。すなわち,首大は,人類の公共財としての学術知識の発展に
寄与するという大学本来の使命を放棄し,他者の成し遂げた基礎的研究の成果に寄生す
るだけの存在として構想されているのである。

もし仮に東京が世界の「一流都市」のひとつとして認知されたいと望むのであれば,そ
のような貧しい心性を露呈することに益があろうはずもない。また,首大構想は,過去
における東京都自らの公的資金投入の成果である都立大学の学問的資産を適切に評価し
継承することを拒絶する。それらの学問的資産が将来に亙って生み出すはずの「投資収
益」を無条件に放棄しているのである。目先の「利益」にとらわれて長期的視野を欠く
,実に狭隘な発想というほかない。

私を含めて近代経済学グループ構成員の多くは,このような首大への就任を微塵も望ま
ない。実際,首大構想が姿を現した昨年度のうちに,早くも16名中3名が抗議の意思の
もとに他大学への転出を決意している注2。都立大学経済COEはそこに属する研究者の人
的構成を前提として採択されたものである。事業推進者の大半が首大へ移行しない以上
,「世界的な研究教育拠点(COE)としての継続的な活動」を目指すこの事業が速やかに
中止されねばならないことは当然である。COE採択の根拠となった諸条件をもはや満た
すことのない組織に対して,国の公的補助金を投入し続けるような浪費が行われてはな
らない。

ましてや首大がCOE事業を引き継ぐことなどあってはならない。上述のように,東京都
は都立大学が築いた学問的資産を適切に評価し継承することを放棄した。その設置者に
よって設立される首大が,まさにそのような評価を経て採択されたCOE事業を継承する
資格を持たないことは明らかである。また,21世紀COEプログラムの目的は,首大の矮
小な自己中心主義とはまったく相容れないものである。「持続可能な世界的研究教育拠
点」の形成事業をまかされるのは,現在世代だけでなく将来世代に対しても便益を生み
出す公共財としての学問の発展に貢献しようという高い志を持つ大学でなければならな
い。

このように,都立大学経済COE事業を今後も継続することには一片の正統性も存在しな
い。それにもかかわらず,さまざまな思惑と打算から,組織の見せかけの継続性を取り
繕い,事業継続正当化のための理由を捻出し,首大へのCOE 移行を企てる動きが過去何
ヶ月かの間に見られた。今回の「COE辞退」は,受動的・消極的な判断の産物などでは
なく,そのような動きに抗する多くの努力と断固たる意志をもって実現した「クビ大CO
Eの阻止」である。真摯に学問に取り組む現在と将来の研究者すべてに向けて,このこ
とを最後に明らかにしておきたい。

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注1 日本では,歴史的経緯から世界標準の経済学を「近代経済学」と呼ぶ。
注2 都立大学経済COEの研究主題は,「ゲーム理論的制度設計の観点から金融市場の課
題を分析する」ことであった。転出を決めた3名中2名はゲーム理論分野の研究者である
。つまり,核となる研究者から流出が始まったのである。(もちろん,彼らの判断は研
究者として当然であり,より良い研究環境でその実力を発揮できることは,社会厚生上
も望ましい。) 世界中のまっとうな研究者たちによって,首大が今後どのような存在と
見なされることになるか(既に見なされているか)を示唆する象徴的な事例といえよう。

1−2 東京都による大学破壊の実証的研究: 現在の都立大学教員流出状況
                
           首大非就任者の会

このページでは、都立大学における教員流出状況を随時更新してお伝えする。具体的に
は、25名だけが首大への就任拒否をしたわけではない の調査時点 (7月) における 転
出(予定)者数 (B2) にその後転出が決定した教員数を加え、下表の 転出(予定)者数 (B
2) [およびその結果として 流出数 ® と 流出率 (RR)] を更新する。

ここで注目する 転出(予定)者数 (B2) の増加は、すべて首大就任承諾者の中からの転
出決定数であることに注意されたい。就任承諾書非提出者はすでに 非承諾者数 (D) と
して流出数に算入済みであるから、非提出者の転出が決定しても下表の数字は変化しな
い。

なお、ここでは「転出」という言葉を他大学への転出以外の退職 (抗議辞職等) も含む
意味で使う。また「転出の決定」とは、都立大学の各学部教授会においてそれが正式に
決定されることと定義する。実質的には転出予定であっても、割愛手続きを経ての転出
ではなく退職の道を選んだ場合などのように、教授会審議の対象にはならないケースも
考えられる。その場合には 転出(予定)者数 (B2) にはカウントされないので、表の流
出率はその分だけ実態を過小評価していることになる。

前段落で述べた「転出」の定義により、通常下表の更新は毎月の教授会後ということに
なるだろう。流出状況に変化があった場合には、このページにコメントを追加すること
によって、読者にお知らせする。また、最も最近変化した 転出(予定)者数 (B2) は、
赤色で表中に示すことにする。

下表は、25名だけが首大への就任拒否をしたわけではない と同じ形式で、人文・法・
経・理の4学部について現在の教員流出状況を整理したものである。表の詳しい見方に
ついては、25名だけが首大への就任拒否をしたわけではない のPDF版またはHTML版の第
3節を参照していただきたい。

**「表」などは以下をご覧下さい。
http://www.kubidai.com/modules/xfsection/article.php?articleid=18

大学財政危機打開をめざす国会内ポスターセッション
7th Circular
法人化経費と非常勤職員の処遇改善経費の推定値
を出しました!+11月1日と2日の予定について。

2004年10月24日
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

(1) 法人化経費の全国大学の総額(推計)は、およそ350億円。非常勤職員の処遇改
善経費(推計)は、およそ320億円。批判的検討をお願いします。
 法人化にあたって新たに発生した経費および、“同一労働・同一賃金”の原則に反す
る非常勤職員の処遇改善経費の推計値を出しました。法人化経費の全国大学の総額(推
計)は、およそ350億円。非常勤職員の処遇改善経費(推計)は、およそ320億円、とな
りました。
 補正予算請求の基礎とするためには、推計値は可能な限り現実に近いものにしなけれ
ばなりません。そこで、推計値とその推計方法を公表し(このCircularに資料として添
付)、皆さんによる批判的検討をお願いすることにしました。

(2) ポスターについて
 ポスターは、.櫂好拭璽札奪轡腑鵑某涌を派遣される大学にあっては、ハード・コ
ピーを、11月1日朝9時までに衆議員会館第1会議室に持参してください。また、⊃涌
を派遣せず、ポスターのみ出展される大学に当たっては、東大職組までメールにてデー
タを、10月29日(金)午後4時までに送付するか(toushoku@u.email.ne.jp)、あるい
は、ハード・コピーを東大職組に(〒113-0033 文京区本郷7-3-1)、10月29日(金)
午後4時までに送付してください。

(3) 国会議員会館への入館およびセッション中の連絡先について
 国会議員会館への入館にあたっては080−3427−0464に電話してください
。入館証をお渡しいたします。国会ポスターセッション期間中の連絡先も、上記の携帯
電話にお願いいたします。なお、ポスターセッション準備は、午前9時過ぎより開始し
ますので、人員を派遣される大学および団体にあっては、午前9時前に、議員会館の受
付(1日に会っては、衆議院第1議員会館、2日にあっては参議院議員会館)に集合して
ください。

資料

法人化経費 推計350億円
 「法人化にあたって新たに発生した経費」を詳しく見積っている東京大学の推計額を
基礎にして、それと各大学の教職員数や、支出総額などの比率に応じて推計しました。
この推計では、病院、理系部局の有無による保険料、労安法対策費の多寡については考
慮できていません。

国立大学法人(87大学2短大)の法人化経費概算(暫定版)
       実数 比(対東京大学) 備考
教職員数 117710 人 15.57 a 教職員数は2002年度
支出総額 23381 億円 10.91 b 支出総額は2004年度予算

                    費用(億円)   備考
コンピューターシステム・サポート経費 7.63 0.70b(min 0.05)
職員研修費用              2.80 0.18a(min 0.03)
職員採用試験実施経費           4.05   0.26a(min 0.03)
銀行手数料 10.47   0.96b(min 0.05)
保険料 201.04   12.91a(min 0.03)
法定監査法人費用 18.38   1.18a(min 0.03)
役員人件費(503名) 100.60   0.2*役員数
労働安全衛生法見合いの維持費 11.68   0.75a(min 0.03)
総費用 356.65

非常勤職員の処遇改善経費 推計320億円
 時間雇用職員および日々雇用職員の人数の出典は国大協法人化特別委員会が2002年に
作成した資料。調査年度は2001年ということでデータとしては少し古く、23,562人(日
々雇用・5,455人、時間雇用・18,107人)となっています。「法人化」の前後でどこの
大学でも削減されていると思われますので百の単位はカットして概算しました。

A)時間雇用職員(週30時間)の平均年収:約172万円
  内訳:@950円 x 120H = 114,000円 (1ヶ月の本俸)
     超勤手当て・9,500円(10H)、通勤手当・10,000円、厚生年

     事業主負担分・10,000円 
    *上記1ヶ月の合計=143,500円 (x 12ヶ月が年収)
 時間雇用の総雇用費:172万円 x 18,000人 = 309億6,000万

B)日々雇用職員(週40時間)の平均年収:約327万円 
  327万円の根拠 (時間雇用職員の年収172万円 x 1.9)
  時間雇用職員に比べて勤務時間が長いこと、一時金が年間4.4ヶ月支給さ
  れること、調整手当、住居手当が付くこと等)
 日々雇用の総雇用費: 327万円 x 5,000人 = 163億5,000万

C)非常勤職員の総雇用費: 473億1,000万円 (A + B)
D)常勤職員として同世代の労働者を雇用すると想定した場合の人件費:
  約791億2,000万円
  算定式: 時間雇用職員の平均年収・172万円 x 2 = 344万円  
  (2倍の根拠は勤務時間が1.3倍、一時金が年間4.4ヶ月支給される、調
  整手当、住居手当が付く、1年1号俸昇給が保障されている、超勤が20時
  間位やられている等々)
  → 344万円 x 23,000人 = 791億2,000万円
E)総雇用費の格差=常勤職員並み保障に必要な原資 (D − C)
   791億2,000万円 − 473億1,000万円 = 318億1,0
00万円

tjst |10月26日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000636.html |意見広告の会ニュース
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転載:「意見広告の会」ニュース206(2004.10.24) - 10/24
転載「意見広告の会」ニュース205[2004.10.21] - 10/21
転載「意見広告の会」ニュース204 [2004.10.19] - 10/19
転載:「意見広告の会」ニュース No 203[2004.10.17] - 10/17
転載:「意見広告の会」ニュース202 [2004.10.14] - 10/14
転載:「意見広告の会」ニュース No 201 (2004.10.12) - 10/12
「意見広告の会」ニュース200 2004.10.08 - 10/09
「意見広告の会」ニュース199 (2004.10.06) - 10/06
「意見広告の会」ニュース 198(2004.10.02) - 10/03
「意見広告の会」ニュース196 (2004.9.27) - 10/03
「意見広告の会」ニュース195 2004.9.25 - 9/25
「意見広告の会」ニュース194 - 9/24
[AcNet Letter 71] 東京都立大学評議会見解2004.3.9 - 3/13
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