2004年10月24日

転載:「意見広告の会」ニュース206(2004.10.24)

Date: Sun, 24 Oct 2004 13:19:07 +0900

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
qahoujin[アットマーク]magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
*災害が相次いでおります。
 台風並びに地震の被害のあった地方の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

** 目次 **
1 真に、かつ、種々の意味で危機を迎える都立大
1−1 石原知事「今後とも時代の要請に応えた新しいプログラムを次々に世に送り出
して行くつもり」と発言
 予算を切りつめながら、どうやって新しいプログラムを次々に送り出して行くことが
できるのでしょうか。

2 大学の批判力 横浜市立大学の場合
2−1 学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)より

2−2 『カメリア通信』第30号より

***
1 22日定例記者会見での知事発言
首都大学東京が、さる9月30日に文部科学大臣から設置許可を得ました。
17年4月の開学時に設置する学部コースについては既に発表しておりますけれども、
新たに平成18年からシステムデザイン学部の中にインダストリアルアート・コースな
るものを設置し、学部の充実をはかってゆきたいと思っております。
 (中略、ここでドイツのバーハウスについて一くさり)
さらにこれも研究中ですけど、せっかくやり出したことでね、日本の環境を守るための
レインジャー、これも東京の新しい大学がある資格を与え、いろんな機能も備えたねー
……その他この他自然に関する該博な知識を必要とするといった……そういう人たちを
沢山育てて……他の県にも紹介して働いてもらいたいと思います。
同じく18年度に、東京の産業を活性化する意欲と能力をもつ人材を育成するための産
業技術大学院を設置する予定であります。
既存の大学院では教えない実践的な教育を行うことで、技術を商品開発に結びつけるこ
との出来る総合技術のリーダーや現在42万人不足していると言われている高度なIT
技術者を育成して行きたいと思っております。
 (中略)
いずれにせよ、首都大学東京は開学に向けて準備は順調に進んでおりまして、今後とも
時代の要請に応えた新しいプログラムを次々に世に送り出して行くつもりなので……高
校生や社会人の皆さんにも是非期待して……新しい教養を身に着けようと言う人がいた
ら大歓迎であります

2 大学の批判力 横浜市立大学の場合
2−1 学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)より

“官僚統制大学”化へ突き進む横浜市立大学

 出張研究で1ヶ月余りの間留守にしていたが,その間に“官僚統制大学”[1]として
の横浜市立大学の将来像がより鮮明になったようだ.この間の情報を得るのに,永岑三
千輝氏(本学)[2]や片山一義氏(札幌学院大学)[3]のホームページが大いに役に立
った.

 なかでも,(1)“公立大学(法人)で初の外国人学長(予定者)!!新たな横浜市
立大学の「初代学長予定者」が決まりました!”(9月3日)[4],および,(2)“「
副学長予定者」「国際総合科学部長予定者」「国際総合科学研究科長予定者」が決まり
ました!”(9月15日)[5]の2つの記者発表が象徴的である.相変わらず,「密室で
決定・いきなり公表・トップダウン」(東京新聞2004年2月16日付)[6]の強権的なや
り方である.“大学の自治”の根幹である教員の選挙に基づいた現行の制度の方が,は
るかに民主的で健全なことは言うまでもない.“大学の自治”を徹底的に破壊してしま
おうという横浜市当局の強い執念を感じるのは,私だけではないだろう.

 いずれの記者発表でも,“横浜市政記者,横浜ラジオ・テレビ記者 各位・・・初代
学長予定者に,ブルース・ストロナク氏(前ベッカー大学学長代行)を決定しました.
・・・”,あるいは,“・・・副学長予定者と,新たに設置する国際総合科学部の学部
長予定者及び国際総合科学研究科の研究科長予定者を,次のとおり決定しました.副学
長予定者 布施勉氏(国際文化学部教授)南睦彦氏(医学部教授),国際総合科学部長
予定者 藤野次男氏(商学部長),国際総合科学研究科長予定者 馬来国弼氏(理学部
長)・・・” とある.“・・・決定しました”となっているが,「いつ・どこで・だ
れが」決定したのかまったく不明である.

 ちなみに,後者の面々は,昨年5月の“市長改学宣言”[7]を受けて,記者発表の席
で“忠誠宣言”を行った“サイレントマジョリティー教授”[8],ならびに,その後の
「プロジェクトR」・「コース・カリキュラム案検討プロジェクト部会」等において,
学内外からの多くの反対意見にもかかわらず,横浜市当局に対して積極的に協力してき
た“積極擦り寄り派”と見なされている人々である[9].

 なお,その後,新学部(国際総合科学部)のコース長(1年任期)も上から任命され
たという[10].

 来年度に発足する公立大学法人横浜市立大学では,個々の教員の教育研究が,横浜市
当局やこれらの人々によって逐一“評価”され,再任の有無・昇任/降格等の人事・年
俸・研究費の競争的傾斜配分などに反映されることになるが,強権的で透明性を欠いた
“改革”のやり口を目の当たりにして,また,“大学から求められた役割をきちんと果
たしているかの視点が重要である”とする,どうにでも解釈可能な“評価の視点”(「
横浜市立大学の新たな大学像について03-10-29」)[11]と相まって,あらゆる状況が
一般教員の士気を阻喪させるのに十分である.とくに,教員の身分保障が失われること
で,自由な批判精神や反骨精神が大学から一掃されてしまうであろうことは,致命的で
ある[12].

 横浜市当局は,“知の大海へ!未来へ!キーワードは「創造」”,あるいは,“21
世紀の知の世界へ新たな開国!!未来をきりひらく横浜市立大学”などと空疎なプロパ
ガンダに余念がない[13]が,“学問の自由と大学の自治”が喪失し,忠誠競争が蔓延
し,また,容易に恐怖支配へとつながる新たな横浜市立大学(“官僚統制大学”)に“
未来”はない[14].

2004年10月20日
大学院総合理学研究科 佐藤真彦

2−2 『カメリア通信』第30号より
Camellia News No. 30, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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2004年9月,10月評議会――私的報告

理学部 一楽重雄

 9月の評議会については報告をサボっていましたが,例によって報告事項のみであま
り意味のあることはありませんでした.来年度の予算について予算が厳しいので各教員
に協力してほしいとのbが事務局からありました.これに対して私は「新しい大学の計
画に対しては教授会の関与を否定してきたのに,予算の節約に関してだけ協力を求める
のは一貫していないのではないか,虫がいいのではないか」という趣旨の発言をしまし
たが,意味のある反応は得られなかったように思います.

 10月の評議会では,報告事項として8月9月10月づけの昇任,採用人事が報告さ
れました.これに関連して,私は「現在凍結されている人事がたくさんある中でこれら
が解禁された理由を教えて欲しい」と要求しました.これに対して学長は「教育上,ど
うしても必要だと判断されたもの」という意味の回答をしました.続いて,M所長から
も「いま多くの昇任人事を行うのは改革に熱心でないということにはならないか,もう
少しなのだから,待てなかったのか」という質問がありました.

 これは,このような表現ですが,質問の意図は私と同じく「解禁の基準がはっきりし
ない」ということにあるのではないかと思いました.人事の報告をよく見てみると,大
部分が昇任の人事,それも助教授から教授への昇格でしたので,私は「教育上の差し迫
った理由というのであれば,助教授から教授への昇格というのは説明できないのではな
いか,助教授も教授も教育上はほとんど同じ仕事をしているのではないか」という意味
の質問をしました.これには学長は回答せず,S副学長が「この人事は数年前からの懸
案であり,待って待ってやっと行ったものである.助教授と教授の違いは,ゼミの学生
の集まりとかいろいろあるだろう」という意味の回答をしました.私は「それではさき
ほどの学長答弁は少し違うのですね,教育上の配慮だけではないことがわかりました,
それなら,むしろよいと思いますが.」というような具合に,少々,やりとりをしまし
た.

 その中で確認できたのは,凍結解除についてはきちんとした基準がない,少なくとも
評議会には示されなかったということです.手続きについて質問したところ,各教授会
などから人事案件を学長ではなく総務課へ提出するという手続きになり,それはいまま
でと同じであるとのことが確認されました.今になってみると,もっと追求すればよか
ったと思いますが,私ばかりが発言することに気後れがする面もあり,この程度になっ
てしまいました.

 評議会が終わりそうだったので「他で言うところがないのでここで発言するが,学術
雑誌の購入の注文はもうその時期であるが,これまで個人研究費で購入していたものは
どうしたらよいのか.個人研究費ゼロであるフだから,もう,まったく注文できないの
か.対応に困っている.」と質問しましたが,これについては,岡村部長からプロジェ
クトで検討するというだけで終わりました.推進本部はこのような問題があること自体
知らなかったようです.

 「この問題に示されるように,来年からの大学についてもすでに実務を行わなければ
ならない,前から評議会で大学改革について議論すべきと言って来たが,(現在の大学
がこれに関与しないことは疑問があるが)“新”大学の人事が発表されたが,それが動
き出すのは来年ではないか,現実の問題の処理に間に合わない」という趣旨の発言をし
たところ,岡村部長から「新組織は4月を待たずに,もう機能させる」と回答がありま
した.それに対して「それなら教員個人々々の末端までの組織を早く組織しなければ,
実際問題として困る」という指摘をしておきました.

 本来,このようなことは現大学が組織としてかかわるべきものであると思いますが,
なにしろ,「評議会は“新”大学に対して権限がない,したがって,評議会では話し合
わない」というのが学長の以前の答弁で,誰もそれに異議を唱えないのでした.反対の
意志表示もせず,かと言って協力もしない,評議会は“新”大学に関与せずということ
に疑問を持つのは私だけなのでしょうか.

 今回の評議会では,S研究科長からも発言があり,「新人事が発表されたが,現在の
学生が不利益を得ないよう,引継ぎなどをきちんと行って欲しい」とのことでした.こ
れについては,誰が回答したかは記憶にないのですが「それはそのとおり,きちんとし
ます」というような回答でした.

 評議会で発表された“新”大学の人事は,現在の役職者を中心としていますが,コー
ス長や専攻長などには助教授も含まれていました.この点については,「若い人も大胆
に登用しのだ」とみるか,「引受けて手がなく,教授ではまかなえなかったのだな」と
見るかは,意見が分かれそうです.国際文化研究の専攻長,学術情報センター長につい
ては決まり次第発表するということでした.これらの任期は,他と同じく一年というこ
とでした.

 本当に“新”大学はどんなことになるのか.結局は,現場の我々教員にしわよせが来
る,そして“新”大学に期待して入ってきた学生は,大学の現実に大きな幻滅を感じる
という結果になってしまうのではないかと恐れるばかりです.

 「“大学改革”でなくて“大学潰し”」だという矢吹先生の言葉が現実になっている
ように思えてなりません.

tjst |10月24日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000635.html |意見広告の会ニュース
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