2004年10月03日

「意見広告の会」ニュース196 (2004.9.27)

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
** 目次 **
1 種々の意味で危機を迎える都立大 
  「都立の大学を考える都民の会ニュース」8号 全面掲載
    タイムリーなニュースとなりました。

2 相次ぐ東京都の教育統制
 2−1 東京都立高:日の丸・君が代、生徒指導に職務命令 2校長
     毎日新聞記事
 2−2〈集会報告〉9.23どうなるの?杉並の学校

 2−3 「日の丸・君が代訴訟(1)―事実経過を中心として」

1***都立の大学を考える都民の会ニュース***
**入会など返信はganbare_toritudai@yahoo.co.jpまでお願いします。***
都立の大学を考える都民の会ニュース8号(2004年9月23日)

−−目次−−
1.首都大学東京の設置認可について
2.都民の会11月14日集会のご案内と呼びかけ
3.最近の動向と主な資料(前回ニュース以降)
4.「都民の会」リーフレットの配布お願い(再掲)
5.関係論文・書籍紹介

■1■ 首都大学東京の設置認可について

 9月21日、国の大学設置・学校法人審議会は、都立の4大学を統合し
、来年4月の開設をめざす「首都大学東京」の設置を認めるよう文部科学
大臣あてに答申しました。これにより、「首都大学東京」が9月末に認可
される見通しとなりました。
答申に当たって、審議会が付けた留意事項は以下の5点です。なお、こ
のほかに公表されていない「その他意見」が3点ある模様です。
1.既設大学の教育研究資源を有効に活用し、統合の趣旨・目的等が活か
されるよう、設置者及び各大学間の連携を十分図りつつ、開学に向け、設
置計画(教員組織、教育課程の整備等)を確実かつ円滑に進めること。
2.名称に「都市」を冠する「都市教養学部」の教育理念を一層明確にし
、これにふさわしい特色を持つ体系的な教育課程の編成に一層の配慮をす
ること。特に分野横断型の「都市政策コース」や「都市教養プログラム」
等、要となる科目群の教育内容について独自性が十分発揮されるよう、そ
の充実を図ること。
3.関係組織間の適切な連携の下、単位バンクシステムや学位設計委員会
等の新たな試みが円滑かつ有効に機能するよう努めること。
4.学生の選択の幅を拡大するコース制等を導入するに当たっては、大学
設置基準第19条に掲げる教育課程の体系的な編成に十分留意すること。
また、学生が科目等の選択を円滑に行えるよう、きめ細やかな履修指導体
制の一層の充実を図ること。
5.平成18年度開設に向けて構想されている新たな大学院については、
新大学の趣旨・目的等にふさわしいものとなるよう十分に配慮した上で、
その構想を可及的速やかに検討し、示すこと。

■2■ 都民の会総会ならびに11月14日集会のご案内と呼びかけ

 私たち「都立の大学を考える都民の会」も、昨年11月1日の結成以来
、早いもので一年が経とうとしています。皆さん、本当にお世話になりま
した。つきまして、この間諸状況の様子をみるために、当初予定の3月か
ら延期しておりました総会を、この1年の節目を期に、来る11月14日
(日)に開催することにしました。
 また、同日、総会にあわせて、「このままでいいのか?都立の大学」と
いうテーマの集会も開催します。この集会では、12月都議会での新大学
定款論議を前に、「本当にこんな大学の設置を認めていいのか?」という
点での一致を求めて、学内の各諸団体から発言を求め、あわせて、学外の
都内・都政の各領域で起こっている諸問題についても短い報告をいただき
ながら、学内の取り組みを学外から応援していくことを考えています。そ
れに加えて、この間学内諸団体・個人間で、意見表明や取り組みについて
若干の「不協和」や「齟齬」が生まれているかにみえる状況に対して、都
民の立場から改めて、「立場や意見は異にしていても都立の大学の良質な
蓄積を守り、また学生・院生の権利を守るという点で一致を」との声を届
ける会にもしたいと考えています。
 みなさん、どうぞふるってご参加ください。

総会+「このままでいいのか? 都立の大学」集会
日時
11月14日(日)
 午後1:00〜4:00 集会
 午後5:00〜6:30 総会
場所
三省堂ホール(東京都新宿区西新宿4-15-3 三省堂新宿ビル内)
(新宿駅西口から徒歩15分。都営地下鉄大江戸線都庁前駅から徒歩5分

(新宿駅から見て、都庁を過ぎて新宿中央公園を通り抜けた向こう側です
。)
*追って、チラシも準備します。まとまった部数をご入り用の方は、事務
所までファックスもしくは、会あてにEメイルにてご連絡ください。

■3■ 最近の動向と主な資料(前回ニュース以降)
 9月初旬の世話人会で、会の賛同団体でもある教職員組合の方々から、
この間の動向について少しまとまった報告をいただきました。すでにそれ
以降で、設置認可の答申などの新たな状況も生まれていますが、今号の「
最近の動向」は、その際の報告記録をもとに編集しました。
(なお設置認可に関する教職員組合の見解については以下のリンクを参照
ください)http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/0924.htm

1)7月以降の動向について
 7月13日に文部科学省から「新大学」の早期認可見送りとの内示があ
った。その直後に大学管理本部幹部の人事異動があった(山口一久本部長
、大村参事などが異動)こともあり、「早期認可見送り」という事態への
対応に混乱が生まれた。その中で、本来何の関係もない、昨年の賃金確定
闘争での組合役員への処分軽減を理由にした、研究費の懲罰的「執行停止
」などの問題も起きた。
 文部科学省から提示された認可見送りの正式な理由は、4月提出書類と
7月時点での教員配置計画とのズレが大きく、審査の前提が崩れている(
から審査はしない)ということ。既に学部での教員配置が25名不足してい
たとの情報は公になっているが、「不備」はそれだけではない。公表され
ていないが、大学院担当教員でも数十名、非常勤講師では百数十名の「ズ
レ」があったようだ。そこで文科省としては7月提出書類(実態)に即し
て4月提出書類を書き直せ、という指導になった。
 教職員組合の観測では、「経済財政諮問会議」や経済産業省、総務省な
どからの「規制緩和」圧力のもとで、文科省、設置審は、理念や制度上の
問題点を十分認識はしていたが、「書類上の不備」として処理したのでは
ないか。
 8月26日、27日には「大学説明会」が開催された。26日は南大沢
で開催され参加者は1500名、27日は日野でも行われ参加者は1200名だっ
た。合計で2700名で多く見えるが、例年のオープンキャンパスには都立大
学だけで大体5000名の参加者があるので、事実上例年の半分の参加者とい
うことになる。「新大学」の都市教養学部の文系の説明には前田法学部長
が立った。「人文、法のコースでやることは基本的にはいままでと変わら
ない」「経済はより実践的なことが学べる」というような説明をしていた
。「経済学」が学べなくなってしまったことについてはほおかむり。全国
36万人が受験したベネッセの模擬試験では、「新大学」の経営学コース
を志望とした人は全体の中でたった2人しかいなかったという。これも受
験生からの「新大学」への評価だろう。
 研究費の半分近くをカットした上での、「傾斜配分」の先行的試行の問
題では、結局ほぼ申請通りの執行が認められることとなったので、結果と
しては当初想定されていたよりは「実害」は少なくなった。しかし、これ
を「試行」させてしまったことは重大な問題。来年度以降、より露骨な研
究誘導や懲罰的予算配分が行われるのではないかと懸念している。

 2)9月以降の状況・見通しについて
 「新大学」を運営することになる「公立大学法人」の定款の問題が、9
月以降一つの焦点になる。現在これを総合的に批判する文書を準備してい
るところ。都議会に提案されるのは12月になるだろう。
 現時点の案では「新大学」の法人役員はほとんど新宿にいることになる
。だから実際にそれぞれの大学のキャンパスで見かけることはほとんどな
い、という状況になると思う。
 設置認可については、9月13日からの週に内示があるだろうと言われ
ている。ただ9月に認可が下りなかった場合、理工系の大学院入試は大き
な打撃を受ける。ただ、教員のほうで「首都大学東京」の大学院への進学
を薦めても、学生のほうが「いや、行きたくありません」と答える例も出
てきている。

 3)学内状況について
 今年の春くらいから4大学の教員の中で、「新大学」への対応をめぐっ
て「違い」がはっきりしてきた。転機となったのは2、3月の「意思確認
書」をめぐる攻防。ここで都立大執行部や人文学部では、新大学で人文学
部を専攻としていかにして存続させるか、また、オープンユニバーシティ
所属も含めて全教員をいかにして大学院所属にするか、を中心課題として
追求した。管理本部の側もこの時期「強硬姿勢」を強めるとともに、一方
で「人文の要求を飲むよ」という形で様々な揺さぶりをかけてきた。部分
的譲歩を得た一方で、大学全体の運動が分かりにくくなり、現状評価を巡
る教員たちの認識の「一種のずれ」が生まれてきた。紆余曲折があったが
、経済COEグループの新大学からの「排除」や、法学部での相次ぐ「非
就任」の意思表明などが一つの流れとなり、現在それらの教員が中心とな
って「首大非就任者の会」として活動を活発化させている。あるいは、現
状を管理本部に対する大学側の一方的な妥協ととらえて批判する声もある

 実際は7月には認可されなかった。認可が下りなかったこと自体は大学
内外の批判、運動の反映ではあるが、一方で、そのために学内の教員の意
識のずれ状況がそのまま続いていくことになってしまった。
 現時点で「新大学」への対応をめぐって、教員は大きく3つくらいのグ
ループに分かれている。
 ひとつは先ほど触れた「首大非就任者の会」で、よい「首大」などあり
得ないとする立場。「新大学をよりましなものにする」というスタンス自
身を批判している。
 次に「開かれた大学改革を求める会」の有志グループ。ここは新大学開
設の「1年延期」を明確な方針として掲げている。
 これらのグループは数としては少数ではあるが、その主張は共感する教
員は多いと思う。また、次の「四大学教員声明の会」とも重なっているメ
ンバーが多い。
 これまで一番多くの教員をカバーしてきた「四大学教員声明の会」は、
基本スタンスとしては「新大学」をよりよいものにしていこうというもの
。その中で一つの選択肢として「開設の1年延期」もあり得るとしている
。ただ先に見た状況の中で、四大学教員声明の会は具体的な行動が取りに
くくなっている。特にこの会を中心的に支えてきた理工系の教員の中で、
「嫌だな」「納得できない」と思いつつも、様々な理由で入試も含めた新
大学発足のための準備を進めて行かざるを得ないということがその背景と
してある。
 大多数の教員は、この「四大学教員声明の会」の立場に近いと言えるだ
ろう。大事なことは、主張の違いはあっても、相互に非難や中傷がなされ
るわけではなく、少なくとも現時点では、互いに協力、協同しようという
姿勢を誰もが持っていることだと思う。
 このような状況の中で教授会は非常に機能しづらい状態になっている。
新大学の準備作業は実務段階に入っているので教授会の議論をパスして行
われる状況になっている。現大学に関わること以外の、新大学に関して何
かスタンスや立場・意見を明確にしなければならないような議題は扱いに
くい状況である。

■4■ 「都民の会」リーフレットの配布ご協力お願い(再掲)

 前号でもお知らせしました「都民の会」による都立の大学改革に関する
リーフレットは、まだいくらか残部があります。皆さんの周囲でおおいに
配布拡大してください。カラー刷りで大変綺麗な出来です。ご一報いただ
ければ早急に手配しますので、下記の要領でご連絡下さい。

◇配布拡大方法:
 都民の会事務所・事務局あて、FAXかE-mailにて、「送付あて先」と「
送付枚数」をお知らせ下さい。1週間程度でお送りします。後日、送料分
程度のカンパを振り込んでいただけると幸いです。(毎週木曜日が事務作
業日ですので、その直前に連絡いただけると速やかにご送付できます)

■5■ 関係論文・書籍紹介
・ 大串 隆吉(東京都立大学人文学部教授)「法人と大学との一体化は
、学校教育法の否定ではないのか?」(東京都立大学・短期大学教職員組
合『大学に新しい風を』第3号)
http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/newwave3.doc

・ 人見 剛(東京都立大学法学部教授・図書館長)「地方独立行政法人
法と公立大学法人化──東京都の大学「改革」を中心に──」(『労働法
律旬報』1582号4〜10頁)
http://www.kubidai.com/modules/xfsection/article.php?articleid=14

・ 人見 剛「東京都による大学「改革」の法的問題点」(『法律時報』76
巻3号74頁〜79頁)
http://www.kubidai.com/modules/xfsection/article.php?articleid=13

<以下、再掲>
 東京都立大学・短期大学教職員組合・新首都圏ネットワーク編『都立大
学はどうなる』(発行・花伝社 定価: 税込840円)のご案内
 都民の会賛同者限定のお得な購入方法 → 発行元の「花伝社」に電話
・FAX・Eメイルにて購入希望をご連絡下さい。その際、「都民の会賛同者
」である旨明示されれば、送料無料で発送されます。代金は、書籍に同封
されている振替用紙でお支払い下さい。請求は、振込手数料分があらかじ
め差し引かれた額となっています。これは教職員組合の取り計らいによる
「都民の会」賛同者限定割引です。
花伝社連絡先 → TEL 03-3263-3813 FAX 03-3239-8272
E-mail kadensha@muf.biglobe.ne.jp

以上

「都立の大学を考える都民の会」
ganbare_toritudai@yahoo.co.jp
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/index.html

2−1 東京都立高:日の丸・君が代、生徒指導に職務命令 2校長

 卒業式や入学式での「日の丸・君が代」問題で、東京都立の2高校の校長が教職員に
対し、生徒が「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱するよう指導を義務付ける
職務命令を出していたことが、分かった。都教委は昨年10月、教職員本人に起立と斉
唱を義務付ける通達を出し、従わない教職員を懲戒処分の対象にしているが、生徒の行
動で担任教員らを処分する職務命令は全国で初めて。

 職務命令を出したのは、10月2日に創立80周年記念式典を迎える深川高(江東区
)と、同じ日に開校式を予定している新設の千早高(豊島区)の校長。今月下旬、教職
員全員に「学習指導要領に基づき、適正に生徒を指導すること」とする職務命令書を手
渡した。これにより、生徒が大量に起立しなかった場合、担任らが地方公務員法違反と
して懲戒処分の対象となる。都教委は今月、都立学校の校長らに対し、「生徒指導」を
盛り込んだ職務命令を出すよう口頭で指示した。

 これに対し、都高等学校教職員組合は「処分を前提に生徒の内心の自由に踏み込み、
来春の卒業式に向け、強制しようとしている」と批判している。

 都教委は今春、卒業式や入学式での不起立などを理由に、教職員約230人を減給や
戒告処分にし、嘱託教員ら9人の雇用を取り消したほか、生徒への指導不足などを理由
に校長ら67人を「厳重注意」などとしていた。【奥村隆】

毎日新聞 2004年9月27日

2−2〈集会報告〉9.23どうなるの?杉並の学校 
文責:山本

9月23日の集会は、事前に呼びかけた区議会文教委員会の区議〈10名全員に呼びか
けました。〉から出席いただけた2名。
教育委員会・文教委員会を退職後継続して傍聴し続けている元教員。
杉並区中学校教員1名。小学校教員1名。品川区教員からの報告1名。
中学校保護者1名。
の7名から現状の報告をしていただき、その後参加者〈教員・区議<他区含む>・保護
者〉49名による話し合いを行いました。

−−−−−−
1.「自由」という名のもとでの強制

「学校希望制」という形であたかも保護者や子どもが学校を「選べる」という選択制
を導入し、杉並区は3年たった。この破綻の結果がまず、今回の「学校規模適正配置」
だ。つまり、「希望制」の結果、生徒が増えすぎた学校の現場は混乱する。今回、中学
2校・小学校2校の学区割りを狭くして、これに対応しようという。

大規模校の中学教員は、「現在、40人学級で1年5・2年4・3年5クラス編成。
しかし、本来この学校は4・4・4学級の3学年編成の施設。プレハブでの対応になっ
ている。これについて今回の学区変更によって解決されるのか?という問いに対しても
、行政側は、『一連の流れが収まらないとわからない』という。そもそも、学区を狭め
るといっても、学校希望制はそのまま(抽選にて30名⇒10名限定に変更)で解決でき
るのか?」破綻している学区の自由化を断固認めないところにまず行政に無理がでる。

 突然プレス公表された「ゆびとま」(正式名称「杉並区学校ゆびとま情報収集手続き
」)は、教員に願書を配布し、志願者はこれに異動希望をその理由を沿えて提出、受け
入れ校の校長がこれを承認したら、異動希望が承認されるというもののようだが、いか
にも人事権を握りたがっている杉並区長らしい。果たしてこれが、実際にできるのかど
うかも疑問だが、これも教員に「自由に選べますよ」といいながら「校長の言うとおり
やります。」と宣言させる強制力になる。
 都立高でも2年前から学区が自由化されたが、その際、受検希望者は志望校に「自己
PRカード」を書かせるようになった。これも子どもが「学校の特色」にあわせて自分
を描きだすことを強制されるものだ。

 さらに、小中一貫校の構想も出てきている。
すでに、この構想が具体化している品川区では、「平成18年・19年に2校づつ開校
」という計画
だそうだが、そこでははっきり2校は進学重視のエリート校、1校が「特色ある学校」
1校が「基本の学校」と差別化を打ち出す。都立高校の改革路線と同じだ。
また、すべての科目で学年の前倒し授業カリキュラムを組むそうだ。公立校でいわゆる
受験はできない。ならばどうやって選別するのか?結局「選ぶのはあなたですよ。」と
いいながら選別の枠組みに「自ら」組み込むことを強制される。
ちなみに、品川区の学校説明会で、区教委の指導主事は「この学校は生活指導上問題あ
る子どもがいるとは想定されていません。」と言明したという。幼稚園児のうちからそ
んなことわかるのか?

杉並区の小中一貫校の候補と噂される学校に通う保護者は言う。
「『小中一貫校になるというが、本当か?』と問えば『まだそれはわからない。』と、
情報は閉ざされる。噂だけが先行することで返って保護者は不安になり、戸惑い、入学
を控えようという者も多くなる。品川のようなエリート校を作るのなら、普通の地元の
子どもはどうなるのか?保護者としては地元の子どもの入れる学校をまず望みたい。」
「上の子が中学にいたのは6年前、土曜日も授業があり時間ものびのびしていた。けれ
ど、今回様子ががらりと変わった。“自由”というが、本当に子どもは解放されている
のか?」

2.子ども不在の効率主義

 今回「学校規模適正配置」とされる学校規模に満たない学校は順次統廃合の対象とな
る。「適正規模に満たない」とは、40人学級は変えず、小学校6学年12学級、中学
校9学級に満たない学校をいう。この数字を機械的に当てはめれば、杉並区では小学校
は1/4、中学校は1/3の学校が姿を消すことになる。今回「統合」(行政は統廃合とは
絶対いわない。)対象校は小学校で若杉小を杉5小へ「統合」。しかも敷地面積が広く
駅に近い若杉がなくなり、わざわざ狭い敷地の杉5小への「統合」である。そこには、
「土地が高く売れる」というご都合主義が読み取れそうだ。若杉小は現在1クラス24
名〜30名の成員で非常に学級運営はうまくいっているが、「統合」すれば、40人ぎ
りぎりのクラス成員になってしまうという。

 中学校は神明中を廃止し、隣接校の3校に振り分けるという。しかし、この件を調べ
始めているという保護者の指摘によると、5年後の児童数は神明中はかえって増える推
定数字が出ているということ。この保護者は、上の子どもで都立荻窪高校の統廃合問題
に直面している。そこで見えてくることは、校舎老朽化などの根拠の提示方法が、都立
高校の統廃合の提示とまったく逆だそうだ。(具体的には、ちょっと手元に資料がなく
いえません。すみません。)いずれも、統廃合は「始めに金勘定ありき」の発想で、子
ども不在は明らか。少子化の今だからこそ、まず30人学級を実施してほしいものだ。

この統廃合は、学校にとっては、学区自由化のもと、学校の努力・特色化で生徒の確保
をし、何とか統廃合対象校にならないよう努力することが強制される。中学の教頭は小
学校へ「営業」に奔走することがさらに促進される。教員は学校のアピールになること
ばかりを考えることになる。子どもが見えない。

3.企業論理に「学んだ」競争原理

 基本的に、学区自由化も「ゆびとま」方式も教員や学校間に持ち込まれた競争原理と
いえる。さらに子ども間にもこの競争原理は持ち込まれる。小学校の早い時期から(な
んと1年から導入という学校もあるという!)習熟度別クラス編成、少人数指導の導入
である。基本クラスとしての少人数学級は認めないまま、教員に子どもに松・竹・梅の
ランクをつけていく。

品川区ではこの習熟度別編成について、行政は「一番の成果は、教師に振り分ける“い
たみ”がなくなったことだ。」と発言したという。教員は、「少人数指導の振り分けに
追われ、成果が上がらなければ生徒に宿題を増やし、子どもはゆとりを奪われ、教員も
子どもと接する時間が奪われる」という。

 杉並区も、小学生の中学年からの一斉学力テストとスポーツテストの実施が導入され
、こどもは「たくましい」ことも求められ、データー管理される。そしてクラスで学力
テストの成果が出なければ教員の責任、学校の平均が悪ければ学校の責任とされ、「自
己責任」とされる。

小学校の教員は言う。「今、公教育が変えられようとしている。教師間、学校間、そし
て子ども。教育基本法の規定する教育の機会均等が壊されている。教員は公務員として
憲法・教育基本法を守ることを誓約しているが、それを破るようなことをさせられてい
る。」

4.民主主義の形骸化

 9月21日朝日新聞夕刊におどった先に述べた「ゆびとま」方式だが、この手続きは
ほとんど区民無視したものだった。すでに、組合ではこの問題が危惧され、9月14日
に、教育委員会とも話し合いを持ったという。そのときは、「まだ決まっていません。
」とし、もし何かあれば、教員組合とも話し合いの場を持つことを約束していた。しか
し、突然の発表。21日に教育委員会でこの問題がはじめて出され、その日のうちにプ
レス発表。区議会文教委員会は22日であった。つまり、区議会議員の討議を待たずに
決定、発表されたのでる。あまりにも区民(その代表の区議も含む)を無視したものだ
ったといえる。〈※ただし、この教員公募制は、共同通信26日付け記事によるとやは
り人事権を握る東京都と確執があるようだ。〉

 杉並区は3年前に決定(その後何点か改定)した「アクションプラン」という教育改
革方針を公表し、これにもとずく改革を行うとしている。その「プラン」にはでていな
い「地域運営学校」(学校運営協議会により学校運営を進める)という計画も、9月に
入り発表された。

これについて、区議会文教委員が問いただしたところ「『すぎなみ5つ星プラン』にで
ている。」ということ。しかし、この「プラン」は今年の8月に公表されたばかりのも
のである。計画自体が場当たり的に出されたものといわざるを得ない。

また、「教育立区」の実現をめざすとして、基本条例推進をめざす推進本部を設けると
した。そこでは本部長に区長部局(助役)を置き、副本部長を教育長とする。つまり、
教育委員会の独立性を奪い、著しく区長権限を拡大するにつながるのである。このよう
な動きは、教育基本法の改悪の方向に一致する。

6月にでた「与党教育基本法改正案 中間報告要旨」によれば、教育基本法第10条「教
育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき
ものである。2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条
件の整備確立を目標として行われなければならない。」という現行の条文を、「教育行
政は不当な支配に服することなく国・地方公共団体の相互の役割分担と連携協力の下に
行われる。国は教育の機会均等と水準の維持向上のための施策の策定と実施の責務を有
する」と変えようとしている。「教育は」という主語は「教育行政」に変えられ、「国
民全体に…」の文言は失われ、行政の「役割分担と連携協力」を強調する。まさに、こ
の先取りではないか?

ところで、学区の変更、学校の適正配置についての区の「たたき台」について、現在意
見募集がでている。これについて、区議会本会議での答弁のヒトコマが紹介された。
意見募集をしてどう反映させるのか?の質問に対して、「区民の意見については、区の
方針に沿うものについては反映させる」と答えたとのこと。
最近、東京都にしても、国にしても同様の手法が用いられるが、「アンケートに基づく
」「区民の声による」といわば<世間>の声であるかの様なポーズをとるという手法は、
無言の強制力となって市民を取り込んでいく。そして、反対意見は多数となっても圧殺
するという姿勢は、まさに民主主義の死滅であると思う。

今の杉並区の教育行政を見ていると、まさに民主主義の死滅の縮図である。
「自由」というのなら、なぜ、「君が代」を歌わない自由を認めないのか?学校の特色
化をいうのなら、なぜ、日の丸を掲げない学校、君が代を歌わない学校を認めないのか

競争と、「心のノート」や道徳の強化による子どもの心の抑制、教員の統制強化、この
徹底の向こうには何があるのだろうか?
「長崎の事件を杉並で起こしてはいけない。長崎は、心のノートを使った道徳教育を徹
底し、早くから競争原理の教育の導入をしている。その結果があの事件だったのではな
いか?」という発言が強く残った。

5.私たちになにができるか

・まず、杉並区に、いま公開されている「学校規模の適正化・適正配置」の「たたき台
」へのパブリックコメントに意見を出そう。
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/news/news.asp?news=2525
(区民・区内在学・在勤者が意見を出せます。)

・品川・杉並・練馬の意見交換があったが、これは杉並特有の問題ではない。文科省の
中教審を踏まえ、都の方針を踏まえてのことである。(自治体もやっぱり「ゆびとま」
方式!?〉今後、広く他の市区とも意見交換をしていこう。

・少子化の今だからこそ、30人学級の実現を求めよう。

・保護者・教員・市民の垣根を取り払い、今後もつながりあおう。
 時間はかかるけど、まだこんな状況を知らない保護者たちがほとんど。井戸端会議的
な話し合いでぜひ広げていこう。

  杉並の教育を考えるみんなの会
  sugimina@jcom.home.ne.jp

2−3 「日の丸・君が代訴訟(1)―事実経過を中心として」
      自由の風ネットワークから

法学館憲法研究所HPからの紹介です。
http://www.jicl.jp/now/saiban/backnumber/hinomaru.html

なお、この法学館憲法研究所のリンクは「学校に自由の風を」HPに貼ってあります。
こちらのHP紹介もしてくださっています。
(山本)

ーーーーーーーーーーー

「日の丸・君が代訴訟(1)―事実経過を中心として」
弁護士 川口 彩子さん(横浜弁護士会)
 昨年10月,東京都教育委員会は,全ての都立高等学校及び都立盲・ろう・養護学校
の卒業式・入学式・創立記念式典等の学校行事において,「国歌斉唱はピアノ伴奏等に
より行う」「教職員は国旗に向かって起立し国歌を斉唱する」などとする通達を発令し
た。そして同時に,職務命令に従わないで不起立ないし不斉唱,ピアノ伴奏を拒否した
教職員は処分することを宣言した。

 今年3月4月の卒業式・入学式には,数名の都教委職員が,不起立の教職員を監視す
るために派遣された。これまであたたかく感動的な雰囲気のもとに行われてきた卒業式
・入学式は,教職員にとっての「踏み絵」の場と変容させられたのである。

 君が代斉唱時に不起立だった教職員には「戒告」という極めて重い懲戒処分に処せら
れた。卒業式・入学式ともに不起立だった者に対しては「減給」である。この先にある
のは「免職」か。今の都教委はそれすらも辞さない構えにみえる。

 定年退職後,嘱託員として4月からの再雇用が決まっていた教員は,3月30日,新
年度のわずか2日前になって突如として解雇された。新年度の時間割も決まっていたの
に。

 今年8月には,戒告処分・減給処分を受けた教職員に対し「再発防止研修」なるもの
が課せられた。この研修では,自分の「非行」について「反省文」を書けというのであ
るが,自分の信念に基づいて行動した教職員に「反省文」など書けるわけがない。しか
しこれに先立つ6月の都議会では,自民党のある議員が教育長に「反省をしていない者
を教員として教壇に戻すことがあってはならないと考えますがいかがでしょうか」と質
問し,教育長は「研修の成果が不十分な場合には研修は終了とならず,再度研修を命じ
ることになります」と答弁する場面があった。「生徒の前に立たせない」という圧倒的
な威力をもって教職員らに「転向」をせまり,屈服させようとしていたのである。

 これに対し,研修対象者らは,都教委のやり方はあまりにも内心の自由を害すものだ
として,研修に先立ち,東京地裁にその研修命令処分の取消しとその執行停止を求める
裁判と申立てを行った。東京地裁は「現段階では研修の内容が具体的に明らかではない
」として執行停止の申立て自体は却下したが,「何度も繰り返し同一内容の研修を受け
させ、自己の非を認めさせようとするなど,公務員個人の内心の自由に踏み込み,著し
い精神的苦痛を与える程度に至るものであれば…違憲違法の問題を生ずる可能性がある
」と都教委に対し決定的な警告を与える決定を下したのである。果たして研修当日は,
裁判所の警告が効を奏し,都教委は内心の問題には一切触れることができず,研修対象
者らも「反省文」を書くことなく研修を終えることができた。

 日の丸・君が代問題は,都教委にとっても教師たちにとっても最後にして最大の攻防
戦である。都教委はここを突破すればもはや教師たちに抵抗する力は残らないと考えて
いる。つまり全て思うがままに学校を支配できる。学校教育は普遍的に行われる。そこ
で広く子どもたちに対し一方的な価値観を注入することも可能となる。例えば「つくる
会」の教科書には「『南京大虐殺』とか『従軍慰安婦』といった嘘は一切書かれていま
せん。」とのことであるが,今年8月,東京都の教育委員7名のうち6名が,来年新設
される中高一貫校の教科書には「つくる会」の教科書がふさわしいとしてこれを採択し
た。今,教師たちが闘っている相手はまさにこの都教委である。

 2004年1月31日,都立高校の教職員228人が原告となって,都教委に対して
は,国歌斉唱時の起立義務・斉唱義務がないこと,音楽教員にピアノ伴奏の義務がない
ことの確認と,これらの拒否を理由とする処分不作為を請求し,東京都に対しては,通
達発令以来の精神的苦痛に対する慰謝料を請求する訴訟を提起した。これを私たちは「
予防訴訟」と呼んでいる。5月31日には2次訴訟が提訴され,現在原告は450名と
なっている。東京都の人事委員会においては,処分を受けた教職員が,懲戒処分の取消
しを求める審査請求を行っている。また,6月17日には,解雇された9人全員が一丸
となって解雇無効裁判を提起した。裁判には毎回,傍聴席の数を超える傍聴希望者がか
けつけ,傍聴券の抽選が行われている。入れなかった傍聴希望者のため,裁判後には必
ず報告集会を行
い,裁判の進行についての説明や原告が傍聴に来てくれた方に直に訴える機会をとって
いる。もしこの問題に興味のある方はぜひ1度裁判に来てみていただきたい。東京都の
教育で何が行われているのか,ぜひ見てもらいたい。

次回の裁判は「予防訴訟」が12月20日(月)13:30〜,「日の丸解雇裁判」が
10月14日(木)16:30〜である。

ーーーーーーーーー転載終わり
自由の風ネットワーク http://comcom.jca.apc.org/freedom/

tjst |10月03日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000626.html |意見広告の会ニュース
Comments

分類「 意見広告の会ニュース」の記事より

転載:「意見広告の会」ニュース210(2004.10.31) - 11/06
転載:「意見広告の会」ニュース209(2004.10.30) - 10/30
「意見広告の会」ニュース208(2004.10.28) - 10/28
転載:「意見広告の会」ニュース207[2004.10.26] - 10/26
転載:「意見広告の会」ニュース206(2004.10.24) - 10/24
転載「意見広告の会」ニュース205[2004.10.21] - 10/21
転載「意見広告の会」ニュース204 [2004.10.19] - 10/19
転載:「意見広告の会」ニュース No 203[2004.10.17] - 10/17
転載:「意見広告の会」ニュース202 [2004.10.14] - 10/14
転載:「意見広告の会」ニュース No 201 (2004.10.12) - 10/12
「意見広告の会」ニュース200 2004.10.08 - 10/09
「意見広告の会」ニュース199 (2004.10.06) - 10/06
「意見広告の会」ニュース 198(2004.10.02) - 10/03
「意見広告の会」ニュース195 2004.9.25 - 9/25
「意見広告の会」ニュース194 - 9/24
[AcNet Letter 71] 東京都立大学評議会見解2004.3.9 - 3/13
フランスにおける科学者・研究者たちの闘い――「研究を救おう!」をめぐる三週間の動き - 2/04
「意見広告の会」ニュース87 - 1/19
意見広告の会ニュース83号 - 1/14
法人化に賛成した国立大学長への謝罪と損害賠償の要求 - 12/27
「意見広告の会」ニュース77 - 12/27
抗議辞職した都立大四教授支持声明 - 12/24
「意見広告の会」ニュース71(2003.12.13) - 12/13
「意見広告の会」ニュース 70 (2003.12.12) - 12/13