2004年01月31日喜多村氏「教育のための科研費制度」を提案アルカディア学報141(2003.12.03) すでに旧聞に属するが、九月に文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」の審査結果が発表された(本紙九月二十四日付に詳報)。・・・・・この政府による競争的資金の導入はおしなべて、ジャーナリズムには積極的に評価されてきた。中にはこの施策ほど大学に強力な衝撃を与えたものはないなどと、手放しの好評で、有力紙の多くは紙面全面をつぶして派手に報道するものも少なくなかった。・・・・・このような官主導のプロジェクトによって学内で盛んに議論が行われるようになったからといって、そのことがそのまま大学の教育・研究の質の向上をうながすことになるわけではない。むしろそんな表面的な動きで、改革が進行しているなどと積極的に評価するのは、日常の教育・研究の機能について無知な外部者の浅薄な見方にすぎないのではなかろうか。・・・・・むろん教育とか研究の質が競争原理の導入によって刺激を受けて向上することがまったくないとは言えないだろう。しかし、大学同士で競争さえさせればそれだけで教育・研究の質の向上につながるわけではない。むしろ研究も教育も基本的には個人的で孤独な営みであって、競争原理によって活性化する場合もあれば、条件が整わなければかえって競争がその本質を損なう場合も大いに有り得るのである。 第一にこのプロジェクトは全学的ないし部局ベースの共同の下での大型プロジェクトを対象としており、日常的に行われている個人ベースの教育・研究が排除されてしまう。大型プロジェクトは理工系の巨大な共同研究には向いているかもしれないが、文系の学問分野ではかならずしも一般的とはいえない。繰り返すが、文系の教育も研究も基本的には個人の孤独な創意と想像力から出発する。共同研究もこれに参加する個人の力量が揃っていなくては実践不可能である。個人ベースの研究や個人による授業を一切対象としないプロジェクトは、大学教育に係わっている者からすれば現場感覚を無視したものと言わざるを得ない。tjst |1月31日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000494.html |大学政策 Comments
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喜多村和之氏「高等教育改革 ―国大と私大の関係をめぐって」連載 -
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