山口二郎氏「イラクへの自衛隊派遣に反対する」
山口二郎氏(北海道大学教授)「イラクへの自衛隊派遣に反対する」 山陽新聞 2003.12.7
・・・・・本当にイラクの復興のために、日本が人道的な協力をしたいならば、異教徒、異民族から攻撃を受け、大きな犠牲を出したイラク人の立場に立って、治安の回復や民生の安定のために何が必要かを考えることから始めるべきである。そして、そのためには、アメリカに対する軍事的な支援と、イラク人に対する人道的な支援とを峻別し、大義のない戦争を支持したことに対する反省から話を始めなければならない。 今の日本を支配しているのは、アメリカがどんな失敗をしても常にアメリカに追随することが日本の国益になるという思考停止の対米協調論である。小泉首相が国民に対する説明責任を果たしていないのは、この思考停止の故である。しかし、思考停止のまま自衛隊をイラクに派遣し、不幸にして犠牲者が出たならば、外交・安全保障をめぐる国論の分裂は深刻なものとなるであろう。今からでも遅くはない。日本がリスクを負っても国際平和や人道支援のために行動するのはどのような場合か、そうした意思決定を行うさいにはどのような手順を踏むのか、国会の場で十分な議論を行うべきである。
tjst
|12月23日
|URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000396.html
|イラク戦争