2003年12月13日

「意見広告の会」ニュース71(2003.12.13)

From: 意見広告の会
Subject: 「意見広告の会」ニュース71(2003.12.13)
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都立大学に関連して次々に新しい事態が生じています。
1 4教員辞任 東京新聞12/12
2 「読売」社説
3 都議会文教委員会速報
4 都民の会シンポジウム

1 4教員辞任 都立法科大学院の危機
 4教員 相次ぎ辞任
 都立大・法科大学院

 新しい法曹養成機関として、来年四月に開学する東京都立大学法科大学院(ロースクール、中央区)について、都は十一日、出願受け付けと試験を当面延期すると発表した。大学院の専任教員に予定していた四人の教員が相次いで辞職を申し出たため。一人は都の大学改革への強い不信感を辞職の理由にしている。都は都立大など都立四大学を廃止し、二〇〇五年春に新大学を開設する大学改革を進めているが、大学側の反発の強さが異例の形で浮き彫りになった。

■出願、試験 延期決める

 全国で開学する法科大学院で、試験日程が変更されるのは初めて。

 都大学管理本部は、法科大学院の出願期間は十二月二十四日から一月七日までで、書類審査の合格者を対象に実施する試験は一月二十四、二十五両日に実施すると発表していた。
 ところが、都立大学から法科大学院の専任教員に予定していた法学部の教授と助教授の二人が十一月に退職届を提出。今月九日には法学部の別の教授二人も退職届を提出した。三人が民法、一人が行政法を担当することになっていた。
 このため都は、教員補充のために文部科学省との再手続きが必要だとして、試験などの延期を決定。十日に教員人事の差し替えについて、同省に補正申請した。
 都大学管理本部は、新しく選ぶ教員について、大学設置・学校法人審議会の審査を受け、承認後に試験日程をあらためて公表するという。開学への影響については「間に合うよう文科省と相談しながら努力している」としている。

 辞職した教授の一人は本紙の取材に対し、「都は新大学についての議論を全部ひっくり返した。その後の都の改革のやり方も、新大学の内容も、われわれの考え方と全く違う。気力がうせた。辞職は私なりのけじめのつけ方だ」と理由を述べ、都の新大学構想を強く批判した。
 また、辞職する別の教授は「辞めるのはあくまでも健康の問題で、大学改革とは関係ない」としながらも「現在の改革のあり方は、望ましくないと思っている」と話している。
 都の新大学構想は、都と四大学の学長らが昨年から検討を進めていたが、八月に石原慎太郎知事がそれまでの検討内容を大幅に変更した新構想を発表。直前まで変更を各大学に知らせない「トップダウン」の手法や教員任期制導入、大手予備校への調査委託などに対し、都立大の教員や学生らから批判の声が高まっていた。

*都の新大学、英語・PC卒業要件に 12/12別面

 二〇〇五年春に開学予定の東京都の新大学構想で、都は十一日までに、英語などの外国語のコミュニケーション能力とパソコンなどの情報処理能力について一定の基準を設け、卒業要件とする方針を固めた。実社会で役に立つ能力の養成が目的で、都大学管理本部は「全国でも珍しい取り組みでは」としている。

 同本部によると、英語を中心とした語学は、読み書きだけでなく日本人が苦手とされる会話力の向上も重視。英語の国際的な能力テストであるTOEFLやTOEICの活用も視野に入れて一定の語学力の基準を設け、卒業までにクリアすることを学生に要求する。

 パソコンなどの情報処理能力についても、能力テストなどの基準を設ける予定。

 語学授業の質の向上のために、英会話学校から講師を招くなど大学外部の力の活用も検討している。一方で、語学を含めて必修科目は設けない方針で、入学時に一定基準の語学力を身につけている学生は、語学の授業を受けなくてもよい制度とする。

2 「読売」社説 12/12

『都立大 混乱  新大学構想に教員反発 一方的な改革 再考を』
-東京都がトップダウンで進める都立の新大学構想が、大学に混乱をもたらしている?

解説部 中西茂

 新大学は、五学部の都立大、単科の科学技術大と保健科学大、短大の四つを統合・再編、法人化して二〇〇五年度の開設を目指している。公立大は、国立大の後を追って、横浜市立大や大阪府立大などでも法人化の準備が進む。少子化や財政難もあって、存在意義が問われるのは、どの自治体も同じだが、大学がひしめく東京ではなおさらだ。

 都は今年八月、「新しい大学の構想」を発表、四大学を都市教養学部、都市間強学部など四学部に再編する方針を示した。「大都市の課題に対応した学部再編」という。

 この構想に、都立大の教員や学生が反発した。都自身が二年前異に大学改革大綱を策定しており、これをもとに進行中だった教員中心の検討を無視したからだ。都が進めた学識経験者の検討は非公開で、学長らに内容が伝えられたのは、発表の一時間前だった。

 都はさらに、教員配置案や今後の協議内容を口外しないことへの同意書の提出を教員に要求。現在も、同意書を提出しない教員を多数抱えながら、カリキュラムづくりをする奇妙な状態が続いている。

 都の方針変更には、「これまでの日本にはない新しい大学を作る」と公約して、この春再選された石原知事の意向がある。石原氏は、教員の反発を、「学者というのは古い人が多い」と切り捨てる。

 都大学管理本部の大村雅一参事は、「先生方中心の議論が現状温存に流れた」とするが、検討メンバーの一人で、社会的注目度の高い研究を手がける理学部の教授は、「二年間、どうすればいい先生を呼べるか、どうすれば外部資金を得られるか、考えに考えてきたのに」と反発する。

 大学側が問題にするのは、都の一方的な手法だけではない。学問が高度化する中、大学院の設計を後回しにした点も、不信を招いた。学生が高く評価する伝統的な少人数教育も弱める。都が比較するのは主に私大だ。語学教育の外注も否定しない。教員の全学的な任期制も、都は経営上の観点からの導入を強調する。

 一定の自立した経営が求められる法人化には、効率的な運営も必要だが、都の新構想には安上がりの大学作りが透けて見える。

 都が示した「都市教養学」とは何か、といった根源的な問いかけもある。「自治体が大学を持つ必要があるのか」という声も聞かれる時代だ。限られた財源の中、教育・研究の内容を絞り込み、「役に立つ大学」を印象づけたいと都が考えるのは、大学側がこれまで、実績をアピールしきれなかった裏返しでもある。

 とはいえ、大学の評価は一朝一夕でできるものではない。現在の教員の実績を的確に評価し、現在の学生の意思を尊重してこそ、新大学もスタートできる。学制は新大学を担う立場にもなる。

 自治体には高等教育行政の専門家は少ない。人材流出を招かないためにも、都は、現場の納得を得ながら改革を進めるべきだろう。学生や研究者の疑問や不安にも「説明は大学の責任」と突き放さず、真摯な姿勢を示してほしい。

3 12/12文教委員会  傍聴者より

今日の文教委員会では自民党の4人の議員が4教授批判をぶち上げ、大学管理本部は責任追及については検討中としつつ、当面は16年度法科大学院開設に全力を尽くすと答弁しました。

これに対して共産党、生活ネット、自治市民の3会派は、法科大学院への就任承諾書は6月に提出されたものであり、直接の責任は8月1日に大学や都民・学生に対する約束を反故にした大学管理本部にあると主張。公明、民主は立場を明確にはしませんでした。

また4教授のなかには、これまで各種審議会等で東京都に多大の貢献をしてきた教授もおり、知事・管理本部の手法はこうした都にとっての功労者さえをも排除する強引なものであるとの批判が出されました。

大学管理本部が4教授への責任追及に言及したのに対して、ある会派の議員から4教授には退職の自由があるはずだとの指摘がなされましたが、大学管理本部はこれにはまともに答えませんでした。4 教授に対する懲戒処分等は法的に不可能なことは明らかですが、無理を承知で政治的な目的をもった「責任追及」をしてくる可能性もあり、予断を許しません。

この日の委員会では、そのほか都市教養学部構想の河合塾への委託問題、都立大学の在籍年限の打ち切り問題、任期制・年俸制問題についてやり取りがありましたが、議員側の突っ込み不足と大学管理本部の形式的な答弁がめだち、十分にかみ合った議論とはなりませんでした。

また東京都産業科学技術振興指針と新大学との連動について自民党の議員による質疑が行われ、東京都の新大学構想が産業界および自民党の強力なバックアップにより推進されていることをうかがわせるものでした。

4 都民の会12月シンポ開催のお知らせ

「都立の大学を考える都民の会」賛同者のみなさまへ

 下記の日程で、シンポジウムを開催いたします。まわりの方々にもお知らせくださるようお願いいたします。大学管理本部案とは別に、大学独自に作成した改革構想について、茂木総長から説明をしていただく内容となっております。

都民の会事務局

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都民にむけた大学『改革』説明会
−新大学の改革構想を東京都立大学が独自に作成−
−私たちの求める都立の大学とは?−

 東京都立大学は、東京都の大学管理本部案とは別に、独自の改革構想を作成しています。
 「都立の大学を考える都民の会」では、東京都立大学の茂木俊彦総長に独自の構想について報告をお願いしました。
 あなたの意見、私たち都民の思いを出し合い、話し合いませんか。茂木俊彦・東京都立大学総長が報告みんなの思いがいきる都立の大学づくりを

とき● 12 月21 日(日) 14:00 〜 16:00
   (13:30 受付開始)
会場●東京都立大学教養部棟110 番教室
主催●都立の大学を考える都民の会

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●都立の大学を考える都民の会設立趣意書

 2003年8月以降、都立の大学をめぐる動きは大きく変わってきました。東京都の大学管理本部は、これまで都立大学と大学管理本部との間で積み重ねてきた議論や合意を一方的に破棄し、「新しいタイプの大学づくり」を強行に進めようとしています。

 私たちは、現在のような「大学改革」の進め方に、都民として強い憤りを感じています。このように強引で非民主的な「改革」の進め方に、私たちは反対します。

 もちろん私たちは、都立の大学が、現状のままでよいと考えているわけではありません。改革のプロセスがもっと都民に開かれること、その中で都民の声に大学は誠実に耳を傾けて欲しいという思いを持っています。

 しかし現在進められている「改革」は、「都民の声」を口実に進められながら、その実都民の声を全く無視して進められています。都立の大学に対する本当の「都民の声」はどのようなものなのか、そのことを私たちは、様々な立場の都民と共に丁寧に考えていきたいと思います。そのためにも、現在の東京都による一方的な「改革」を押しとどめる必要があります。

 私たちは、都立の大学に、将来に対する様々な不安を抱えながらも学問研究への取り組みを通じて社会に貢献しようとしている教員や院生、あるいは大学での学びを通じて自分自身の生き方を模索しようとしている学生、毎日の事務作業を通じて大学を支えている職員がいることも知っています。彼らはそれぞれの立場から、都立の大学を守るために様々な取り組みをしています。私たちはこのような取り組みを大学の外から応援していくとともに、都民として率直に現在の大学に対する意見・要望を伝え、都立の大学を真に「都民のための大学」とするための取り組みを進めていきたいと考えています。

■ 賛同費(会費) ■
(1) 個人参加はカンパ(1口千円、学生1口500円何口でも可)
(2) 組織参加は入会費(1口1万円何口でも可)

●賛同カンパ振込先
郵便局口座名義 都立の大学を考える都民の会
口座番号 00190−5−481324
本会の設立趣旨に賛同し、「都立の大学を考える都民の会」への
入会を希望される方は、下記の事項をお知らせください。

● お名前  ● ご所属(肩書き)
● お名前・ご所属等についての公開
(いずれかに○をつけてください)
  可  不可 一部可(公開して良い部分は      )
● 連絡先ご住所  ● メールアドレス
● その他、お手伝いいただけること、メッセージなど
「都立の大学を考える都民の会」

■ 連絡先 ■
● 〒184-8501 東京都小金井市貫井北町4-4-1
東京学芸大学障害児教育講座 高橋智研究室気付
● 〒194-0298 東京都町田市相原町4342
  法政大学社会学部 荒井容子研究室気付
              (いずれでもかまいません)
● Email ganbare_toritudai@yahoo.co.jp
● URL http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/
    index.html
●呼びかけ人 金子ハルオ(都立大学名誉教授)、清水誠(同)、
        暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)、山口昭男(岩波書
        店社長)、池上洋通(自治体問題研究所研究員)
(順不同)

tjst |12月13日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000351.html |意見広告の会ニュース , 東京都の大学支配問題
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