2003年10月11日

北陸大学:授業のない教員の解雇を表明

北陸大学教職員組合ニュース198号(2003.10.7発行)
http://www2.neweb.ne.jp/wc/hussu/031007_198.htm

「平成15年10月6日に組合執行委員会が行われました。すでにご存知のように、法人理事会は、今回の「未来創造学部」の設置に伴い、あらたに「総合教育センター」を設けます。そして、現外国語学部、現法学部の学生の卒業とともに、総合教育センターの教員で薬学部、新学部に授業のない教員は解雇すると団交で明言しています。これはいわゆる整理解雇にあたり、大学の財政状況に問題のない現在、法的には認められない不当解雇です。

しかし、法人理事会はそのような違法行為を強行する姿勢をまったく変えていません。執行委員会ではこの問題により有効に取り組むため、「雇用対策専門委員会」を立ち上げることを決定しました。専門委員会は、上部団体や全国の大学の組合組織と連絡を取り合って情報を収集し、さらに組合の顧問弁護士との綿密な連携のもと、法人の不当解雇に対抗していくことになります。・・・・・」

北陸大学教職員組合ニュース197号(2003.9.2発行)より団体交渉の記録
http://www2.neweb.ne.jp/wc/hussu/030902_197.htm

組合:「未来創造学部」という学部名称の文科省への提出はしているのか。また、いつごろ認可が確定するのか。
法人:提出はまだ行っていない。ただ、了解はもらえるという感触がある。9月半ばごろまでにはっきりするはずだ。
組合:カリキュラムは、密室で作られ、今回初めて一般の教員に公開された。そして、今、種々の欠陥を多くの教員に指摘されている。変更する気はないのか。また、今、示しているカリキュラムはすでに文科省に提出してあるのか。
法人:カリキュラムを変更する気はない。カリキュラムはまだ文科省に正式なものとしては出してはいない。しかし、今、示しているものでOKという内諾は得ている。それを変えることはしない。だいたい、変えたら失礼になる。
組合:法学部での説明会では、カリキュラムを作ったのは、河島学長、三浦学長補佐、園山外国語学部長、萩原法学部長という説明があったが、そのとおりか。
法人:そうだ。
組合:カリキュラムに明らかな欠陥があり、それを教員にも組合にも指摘され修正を求められても、カリキュラムを変える気はないのか。
法人:ない。新学部は、新しい方針でやるのだから、今の学部でこうだからと言ってもらっても困る。頭を切り替えてほしい。今日、団交の場に来たのは、理解をしてもらうために来たので意見を聞いて修正するために来たのではない。
組合:教職課程を作らない理由をはっきりさせてほしい。
法人:新学部が発展していくためには、まず社会に認知してもらわなくてはならない。成果を上げ、社会に受け入れてもらうためには、今は教職課程はいらない。
組合:教職課程があったら、なぜ新学部の教育の成果が上らないのか?
法人:新学部では新学部の成果を上げることに専念しなければならない。
組合:3年後に授業がなくなる教員が出てくるという説明だが、それは解雇ということか。
法人:雇用の終了ということだ。
組合:解雇ということか。
法人:そういうことになる。
組合:就業規則のどの項目が適用されるのか。
法人:第21条第7号(規模の縮小などの事由により勤務を必要としなくなったとき)を適用する。同条第8号(天災・事変その他やむを得ない事由のため、事業の継続が不可能となったとき)、同条第9号(その他前各号に準じるやむを得ない事情があるとき)も可能性としてはある。
組合:整理解雇と考えていいか。
法人:実質的にはそうなる。
組合:解雇という場合、その解雇の正当な理由がなければ解雇はできない。現在、財政状態は問題ないか。
法人:今は問題ない。
組合:新学部のカリキュラムでは、たとえば第2外国語が朝鮮語のみなので、このまま事が進めば、ドイツ語やスペイン語の教員が解雇されることになる。英語を専攻とする学生を置いた学科において、ドイツ語やスペイン語も学びたいという学生は当然いるし、高校生の目から見た学部の魅力という点でも、ドイツ語やスペイン語は残すべきだ。それでも、スペイン語、ドイツ語をカリキュラムに入れず、専任の担当教員を解雇する、というのはまったく正当性がない。さらに、財政的に問題がないと言っておきながらの解雇だから明らかな不当労働行為である。しかも、複数の教員の問題となるだろうから集団訴訟という可能性もある。今回のカリキュラムを変更なしで強行すれば、我々はそういう行為に追い込まれざるを得なくなる。それでもカリキュラムの変更はしないのか。
法人:しない。



解雇は合理的理由がなければ無効:労働基準法改正
 法人側は新学部の設立により、「やめてもらうことになる教員」が出てくると公言しています。5月に設立された「薬学部刷新準備委員会」、「新学部設置準備委員会」の規程においては、委員会では「(教員の)身分の得喪」に関する事項も扱う、として、まったく一方的に委員会の一存で教員の解雇が可能であるかのようになっていますが、解雇というのは、そのような簡単なものではありませんし、理事会の都合でいつでも自由にやれるというものでもありません。労働基準法を遵守しなければなりません。

 解雇については、これまでも正当な理由がなければ無効でしたが、それが、今年度の労働基準法の改正により、明文化され、次のような条項が労働基準法に加わりました。

第18条の2 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 ここにきわめて明快に規定されているように、経営者は、「客観的に合理的な理由」を提示し、「社会通念上相当である」と認められなければ、解雇を行うことは違法行為となるのです。

 特に、今回の新学部の設立に関する解雇は団交でも法人側が認めているとおり「整理解雇」にあたり、この整理解雇については、さらに厳しい要件を満たさなければ経営者は解雇を行うことができません。それは、一般に「整理解雇の4要件」として社会的に広く定着したものです。

整理解雇にあたっては、以下の四つの要件のいずれが欠けても、経営者の解雇権の濫用となり、解雇が無効となります。つまり、すべての要件を満たさなければなりません。

整理解雇の4要件

1.人員整理の必要性

余剰人員の整理解雇を行うには、相当の経営上の必要性が認められなければならない。

2.解雇回避努力義務の履行

期間の定めのない雇用契約においては、解雇は最後の選択手段であることを要求される。役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等によって、整理解雇を回避するための相当の経営努力がなされ、整理解雇に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。

3.手続の妥当性

整理解雇に当たって、手続の妥当性が非常に重視されている。労働組合と十分協議を行ったかどうかも重視される。関係する情報を開示しているかどうかも重要である。必要な説明・協議、納得を得るための手順を踏んでいない整理解雇は、他の要件を満たす場合であっても無効とされる。

4.被解雇者選定の合理性

まず人選基準が合理的であり、あわせて、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。

 以上の要件がすべて整ってはじめて整理解雇は認められます。この整理解雇の4要件に照らせば、現在法人理事会が新学部設置に伴って行おうとしている解雇はまったく無効となることは自明です。もし、それでも法人理事会があえて違法を承知で確信犯として行うとなれば、組合も全面的に戦うことになります。 

tjst |10月11日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000196.html |大学に関連する訴訟 , 大学の自治 , 大学の労使関係 , 大学界の自治 , 不当な介入
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