国立大学独立行政法人化の諸問題
国立大学独立行政法人化阻止全国ネットは、2003-01-22 に、この記事における誤報の訂正を要求した。
[asahi.com 2003-01-16-00:15]
’03発想転換―産学から社学連携へ 

朝日新聞ニュース速報

 国立大学に統合の嵐が吹き荒れる。その中で単科大学として生き残ろうとする
 大学がある。北海道の帯広畜産大だ。

 教員150人、学生約1200人。規模は並みの高校よりも小さい。自前の博
 士課程を持ちたいという願いはついにかなわず、他のいくつかの国立大学と獣
 医学、農学の連合大学院を作っている。

 この大学が昨年秋、生命科学分野で文部科学省が研究予算を重点配分する28
 カ所の拠点研究機関の一つに選ばれた。

 認められたのは、原虫病についての研究実績だ。原虫は細菌より複雑な病原微
 生物で、家畜だけでなく人間にも病気をひき起こす。代表的なのがマラリアだ。
 これが自信となって、小さな大学には統合しかないという悲観論が弱まり、専
 門の単科大学だからこそ価値があるという主張が学内外で力を持ってきた。

 国内で牛海綿状脳症(BSE)が見つかったときの記憶も残る。確認の検査は、
 初め帯広畜産大にしかできなかった。

 「食肉の衛生にかかわる分野ではアジアでトップ」と鈴木直義学長はいう。肉
 や乳製品の生産性向上と安全を専門に研究する大学が日本に一つは必要とも言
 い続け、社会との結びつきを志向している。

 来年4月から国立大学が独立法人化される。どの大学の準備も手探りだ。「国
 立大学法人へと名前が変わるだけ」というさめた見方もあれば、法人化の影響
 を「危機」と受け止める大学もある。

 確かなのは、大学が社会との付き合いを真剣に考えざるをえなくなったことだ。
 法人化されれば、社会から認められない大学は存立の基盤を失いかねない。
 これまで、大学はみずからを取り巻く社会に関心を持たず、社会も大学で何が
 行われているのかに関心を払わなかった。

 東京大学の佐々木毅学長はこれを「大学と社会のすみ分け」と呼ぶ。
 戦前のエリート養成型を第1世代とすれば、戦後の大衆化された大学は第2世
 代である。世代は替わっても、「すみ分け」は続いた。いま、大学は第3世代
 に突入したと佐々木氏はみている。

 産学連携が盛んに叫ばれ、共同研究センターなどが次々誕生している。しかし、
 大学に求められているのは産業との連携だけではないのではないか。
 3年前、東大の板生清教授が内外の大学人や企業と共に、微小な端末から無線
 で信号を受ける情報システムを開発しようと非営利法人「WIN」を立ち上げ
 た。

 野生動物の生態調査から障害者が安全に行動できる社会環境づくりまで応用範
 囲は広い。この事業の標語は「社学連携」つまり社会と大学の連携という新語
 だ。

 改革の荒波の向こうから、少子化という大学にとって本当の危機もやってくる。
 だが、こうした努力で大学が存在意義をみずから示せば、新しい地平は開ける。

[2003-01-16-00:15]