151-衆-総務委員会-8号 平成13年03月16日 平成十三年三月十六日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 御法川英文君    理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君    理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君    理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君    理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君       赤城 徳彦君    浅野 勝人君       河野 太郎君    左藤  章君       佐田玄一郎君    阪上 善秀君       滝   実君    橘 康太郎君       谷  洋一君    中野  清君       野中 広務君    林  幹雄君       菱田 嘉明君    平井 卓也君       宮路 和明君    山本 明彦君       山本 公一君    伊藤 忠治君       大出  彰君    玄葉光一郎君       城島 正光君    武正 公一君       手塚 仁雄君    中村 哲治君       松原  仁君    山井 和則君       山村  健君    高木 陽介君       山名 靖英君    佐藤 公治君       春名 直章君    矢島 恒夫君       重野 安正君    横光 克彦君       野田  毅君     …………………………………    総務大臣         片山虎之助君    総務副大臣        遠藤 和良君    総務副大臣        小坂 憲次君    総務大臣政務官      滝   実君    総務大臣政務官      山名 靖英君    総務大臣政務官      景山俊太郎君    政府参考人    (総務省情報通信政策局長    )            鍋倉 真一君    参考人    (日本放送協会会長)   海老沢勝二君    参考人    (日本放送協会専務理事・    技師長)         中村  宏君    参考人    (日本放送協会専務理事) 松尾  武君    参考人    (日本放送協会理事)   芳賀  譲君    参考人    (日本放送協会理事)   山村 裕義君    参考人    (日本放送協会理事)   笠井 鉄夫君    参考人    (日本放送協会理事)   山田 勝美君    総務委員会専門員     大久保 晄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   左藤  章君     山本 明彦君   谷  洋一君     中野  清君   野中 広務君     林  幹雄君   伊藤 忠治君     手塚 仁雄君   松崎 公昭君     城島 正光君 同日  辞任         補欠選任   中野  清君     谷  洋一君   林  幹雄君     野中 広務君   山本 明彦君     左藤  章君   城島 正光君     松崎 公昭君   手塚 仁雄君     伊藤 忠治君     ――――――――――――― ○大出委員 民主党の大出彰でございます。  本日は、参考人の皆様、御苦労さまでございます。きょうはNHKの方々だ けに質問をする予定でございます。  きょうの質問の内容は、NHKが「ETV2001」、シリーズ「戦争をど う裁くか」という放送をいたしまして、四回の放送を行ったわけです。その放 送がなされた前後に、放送の前にはいろいろな意味で抗議があったりとか、放 送が終わってからも取材協力関係者から抗議を受けたというような報道がなさ れておりまして、私は、事件といいますか、問題について、NHKの報道の自 由が、あるいは企画担当者の表現の自由、NHKの編集権の独立というのが侵 害をされたのではないかという観点と、もう一つは、こういう問題が起こりま すと、チリングエフェクトと言いまして、萎縮効果、縮こまる効果、国民の中 に議論があるような報道をすると、いろいろうるさいとか面倒くさい、そうい うことがあるから、そういう企画はやめてしまおうというような効果が生じた りすると、企画に影響が出てしまうものですから、そういうことがないように ということも込めまして、受信者の皆さんのかわりにちょっと検証をさせてい ただきたいということで、質問をさせていただきます。  問題が一個ですので、時系列で少ししゃべらせていただきます。  問題となった放送が行われたのは一月二十九日から二月一日なんです。その 前後でいろいろ問題がありまして、報道されておるのですが、教養番組部長あ てに放送するなという団体からの抗議のファクスが送られたというのが、一月 二十日にございます。その際に、プロデューサーの責任者に対して、自宅にも 抗議や脅迫の電話がかかっていたという報道がございます。それから一月二十 七日になると、その放送に反対の団体がNHKに抗議に来た、こういうふうに なっております。 そして、いよいよ一月二十九日に第一回の報道が行われまして、その題名が 「人道に対する罪」、放送時間四十四分。一月三十日火曜日でございますが、 第二回目「問われる戦時性暴力」というタイトルで、これが四十分だったの だそうです。一月三十一日、第三回「いまも続く戦時性暴力」、これも四十 四分。それから二月一日、第四回「和解は可能か」という題名の放送、これ も四十四分。 それで一応放送が終わりまして、放送した後に、今度は二月六日になりまし て、取材協力をしたところの団体からNHKに公開質問状の提出があった。 NHKは、二月十四日が期限でしたので、第一回の回答をしているはずなの です。さらに今度は、二月十六日になりますと、出演者、取材協力者の方か ら申し入れ書というのが、抗議なんでしょうね、申し入れ書が送付された。 実はこういう問題なんです。 NHKというのは、私も昨年、質問をさせていただきましたが、受信者が受 信料を支払って支えておるわけです。その目的というのは、NHKの放送が 国や財界あるいは政治勢力から干渉されて独立性がないとすると、報道の自 由や表現の自由が侵害されて、ひいては受信者の利益も害されてしまう、そ れを防ごうということなわけです。 そうだとしますと、一部の政治勢力に屈したり、あるいはそれに配慮する形 で自主規制したりするというようなことがあってはならないと思うわけです が、まずこの点にお答えをいただきたいと思います。 ○海老沢参考人 この「ETV2001」の番組につきまして、いろいろな意 見が寄せられております。しかし私どもは、放送に出たものがすべてであると いう立場をとっております。つまり、その制作の過程、プロセスにはいろいろ な編集権の問題があります。そういう面で、私どもは一日百数十本の番組をつ くり、何百本の番組を放送しております。そういう中で、視聴者に提供したも のが我々の責任を持って対応する問題だろうと思っております。 出た番組について、いろいろな意見が出てくるのは当然であります。その意 見については我々は真摯に受けとめて、その中でいろいろ対応していかなけ ればならぬと思っております。今度の問題につきましても、そういう立場を とっております。 これは新聞でも雑誌でも、いわゆるジャーナリズムの世界ではすべて、出た ものが責任を問うものであって、我々が原稿を書き、また番組をつくった場 合にはいろいろな、デスクから、責任者からそれを直される、あるいはどう してもこれは、情報が不足しているものは補足すべきだ、そして、だめなも のは没になる、いろいろな編集のプロセスはどこの世界でも私はあると思い ます。そういう中で、この番組についても制作意図なり、公平性が保たれな い、あるいはまたこういう意見も入れなければいけないのではないかと、い ろいろな意見が出たと私は聞いております。編集に当たった責任者が、そう いう中で公平を期して番組を放送したということであります。 そういう面ではそれが我々はすべてであって、そういうプロセスについてあ あだこうだと言っては言葉が過ぎますが、いろいろな過程について、いろい ろな問いがありますけれども、それについては我々はコメントする立場では ないということで、今進んでいるということであります。 いずれにしても、私ども公共放送でありますので、できるだけ公平を期し、 我々の自主性、自律性を守りながら質のいいものを出していく、その精神に はいささかも変わりありませんし、今後とも、公平公正、不偏不党の立場に 立った番組づくりに努力するというのは当然であります。その方向でやって いきたいと思っております。 ○大出委員 ありがとうございます。 その関連でまたお聞きをしたいのですが、ただいま、報道の自由あるいは編 集権が侵害されていないのだという認識だったと思います。そこで一つお聞 きいたしますが、報道によりますと、番組制作局長が大物議員に呼び出され たという報道が実は出ているんですね。こういう事実があったかどうかお答 えください。 ○松尾参考人 番制局長がこの件で呼び出されたという事実はございません。 ○大出委員 もう一つは、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、制作関 係者に抗議や脅迫の電話が殺到したというんですね。抗議はいろいろな抗議が あるでしょうけれども、脅迫の電話というのは穏当でございませんので、そう いう場合だったらしかるべき手段をとらなければいけませんね、表現の自由の 国ですから。そういう意味で、そういう事実があったのかどうか、お答えくだ さい。 ○松尾参考人 放送前と放送後との、中での違いはあります。 放送前というのは、言ってみると、さまざまな意見がやや高圧的に出てくる ということはいつもあります。これは紅白歌合戦でも同じです。ある歌手に ついてとめようと思ったら、そういう形で出てまいります。したがって、こ れは視聴者センターがきちっと対応して、現場にプレッシャーがかからない 形というので私どもは対応しております。 番組が終わった後、これは絶えず私ども、番組のつくり方、表現の仕方、内 容等について反省すべきは反省して次のステップに向けていくわけですから、 これについては約五百本近い、さまざまな形での、再放送してくれというこ とも含めて御要望は聞いており、それはいろいろな意味で分析しながら、担 当者は勉強しているということでございます。 ○大出委員 それではもう一つ、放送時間を短縮したと、実は批判の中で言わ れたりもしております。放送時間短縮というのは、問題になっているのは二回 目の、一月三十日の「問われる戦時性暴力」のところなんですが、四十分になっ ております。いろいろな報道の中で、最初は四十三分版をつくらされて、さら に上層部の指示で四十分になったのだというようなことが書いてあるんですね。 そういう問題があるのだということが言われております。 あとはタイトルの変更もあった。最初は「日本軍による戦時性暴力」から 「問われる戦時性暴力」に変わったのじゃないかというようなこととか、あ るいは、取材者が加害兵士に取材をしたらしいのですが、使われていないと いう事実について、多分横やりが入ったのではないかと思いますが、編集権 の独立という観点から、どのようなお考えでしょうか。 ○松尾参考人 まず放送時間の問題でございます。 これは一つの時間帯の目標、例えば四十四分、これは決めてございます。で すが、いろいろな事情で、内容がそれだけのものを持っていないとか場合に よっては延びてしまうというのは、日常茶飯で起こっております。そのとき には、例えば一分の広報番組をやめたり、視聴者の方はほとんど気づいては おられないと思いますけれども、さまざまなそういう手だてをとっていくの が編成でございます。 したがって、今回、現場からは短いという情報を得たので、編成は、それで いいですよ、それでは、違う広報番組をそこにちょうど入れるのがあるから、 どうぞその範囲で結構ですという返事をしたということが事実でございます。 それから、タイトルでありますが、これにつきましても、私ども、毎日朝、 編集会議をしておりまして、一週間のタイトル、それからその翌日のタイト ル、当日のタイトルということで、各局長が全員集まって、さまざまな角度 から意見を出しています。それで、その都度、やはりこれは内容をよく伝え ていないな等々のことがあれば、絶えず放送ぎりぎりまで変えることは多々 あります。 したがって、この番組だけが突然変えたということでは決してありませんの で、他の番組も、わかりやすい、それから内容を誤解されない、そういうこ とも含めての一番いいタイトルへ絶えず持っていっているというふうに御理 解をいただきたいというふうに思います。 以上です。 ○大出委員 だんだん時間がなくなってしまいました。 この関連の中で、いわゆる放送総局長がこういうのは編集しなきゃいけない と言って指示をしたのではないかというような報道が出ておりまして、その 放送総局長が取材に応じて、私ではない、こう答えているんですね。ところ が、ほかの報道では、こんな番組をつくっていたとは知らなかった、しかも 大事な予算の時期にと会長が発言したと実はあるんですが、このような事実 があるのか、あるいはこのような指示を出したことがあるのかという点につ いて、会長、お答えいただけますか。 ○海老沢参考人 そのような事実はありません。 ○大出委員 実は、私も周りから考えていくよりも仕方がないわけで、今みた いに答えられますと。見たわけではございませんしね。 実は、ある本で会長がこういうことをおっしゃっているんですね。会長は早 起きなようでございまして、四時に起きて、それで本当ならば六時ぐらいに 出社したいらしいんですが、秘書に迷惑がかかるからもっと遅く行っている というようなことが書いてありまして、その後にこういうのがあるんですね。 私は、会議の中で、疑問があればすぐ聞きますし、気になることがあると、 内線電話で担当者を呼んで、徹底的に話をします、これは「NHKの知力」 という本でございまして、片山修さん著と書いてありまして、小学館文庫、 ページ三百四十二、会長の題は、「デジタル時代の公共放送を目指して」と いう中にあるんです。 これは会長の御性格だと思うので、今回の問題が起こったときに当然のこと ながら何らかの指示をお出しになったのではないか、そして、当然NHK本 体に編集権があるわけでございまして、そのトップでございますから、そう いうことがあったのではないかと推測をしたんですが、もう一度お答えいた だけますか。 ○海老沢参考人 私どもNHKには小休止はありません。二十四時間、放送で ぶっ通し業務を展開しております。そういう中で、いろいろな問題が出てくる のはもう当然であります。私がすべてそれに応ずるわけにいきませんし、いろ いろな電話もかかってきております。やはり大事なものについてはいろいろや りますけれども、この「ETV2001」の問題については、私のところにそ ういう情報は上がってきておりませんでした。 ○大出委員 会長は御指示をしていないということだと思います。 それでは、放送が終わりまして、いわゆる取材関係者その他の方々から、出 演者も含めて、抗議があったわけなんですが、それは、その人たちの考えを そのまま伝えていないことから生じたのではないかと思うんですが、その辺 は会長、どのようにお考えでしょうか。 ○海老沢参考人 先ほども申しましたように、私どもは出た番組がすべてであっ て、それについてのいろいろな意見については、これを我々は真摯に受けとめ にゃならぬと思います。 そういういろいろなプロセスは当然あると思いますが、それについて、編集 権にかかわる問題でもありますし、また、それぞれの業務はそれぞれの現場 で責任を持ってやっているわけであります、最終責任は私にありますけれど も。いずれにしても、いろいろな問題があれば、我々としては、そういう問 題をきちっとクリアしながら、とにかく視聴者国民のためにいいものを出し ていくというのが基本でありますから、そういう方向で我々はまた指導して いかにゃならぬだろうとは思います。 ○大出委員 ただいま私が視聴者の考えをそのまま伝えてと、そのままという 言葉を使ったんですが、実はこれは、昨年十一月十六日に私が海老沢会長に質 問をいたしました。そのときに会長がこのようにお答えになっているんですね。 「そういう面で、我々は、先ほどからるるありますように、NHKの存立の基 盤は、政治的に公平であること、」政治的公平についてのお話だったものです から、「そして中立を保つこと、そして、お互いいろいろな意見があるものは そのまま伝えて、できるだけ視聴者国民の判断の材料にするというのが基本だ ろうと思っております。」こうおっしゃっているものですから、基本線として は、そのままお出しをして、視聴者の皆さんに判断を仰ごうというお考えだっ たのだと思うんですが、先ほどの発言を変えることはございませんか。 ○海老沢参考人 さきに答弁したものは、そのまま受け取ってもらって結構で ございます。 ○大出委員 もう時間がありませんので、最後にいたします。 実は、私も、今回この問題を扱うに当たってインターネットのメールを、い わゆるウエブサイトに入りましていろいろなメールを探すと、簡単に今の時 代は出てくるんですね。これに関するリアルなメール等がございまして、情 報に戸は立てられないなと。ただ、その情報が正しいかどうかはわかりませ んけれども、かなり当事者でなければ言えないような情報が実はあったんで す。 それはおいておきまして、その中にこういうのがありました。 NHKに励ましを言おうと思った人もいましたし、意見を言おうと思ったら しいんですね。それで電話をしたんだそうです。そうしたところ、そういう のはメールに送ってくださいと言われたというんですね。これが大変困った ことで、インターネットをやっておられない方だっておられるわけですので、 その辺についてどのような今後のお考えがあるのかを会長にお伺いしたいん です。 ○松尾参考人 視聴者の御意見をインターネットだけじゃなくてということだ と思うので、これはNTTの深夜の録音も含めて、電話は視聴者のために全部 開放してございますので、そのダイヤルをしていただければ対応するというこ とでございます。それから、ファクスについてもPRをしておりまして、ファ クスによる御意見というのも収集しております。インターネットだけではござ いません。 ○大出委員 時間になりましたので、ありがとうございました。