==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
2000年5月18日

国 立 大 学 協 会  会長

蓮 實 重 彦 殿 


独立行政法人化問題に関する要望書


全国大学高専教職員組合 中央執行委員長

 和 田  肇


 大学・高等教育の充実と教職員の地位確立に向けたご尽力に敬意を表します。

 すでにご承知の通り、さる5月9日、自民党文教部会・文教制度調査会は、党内の「行政改革推進本部」との調整を経て、提言「これからの国立大学の在り方について」を発表しました。

 この「提言」をふまえ、文部省は省内での「検討会」の議論をすすめ、文部省としての「基本的立場」をまとめ、5月26日に国立大学学長会議に提起するとしています。本「提言」は、大学関係者等のとりくみも反映し、「独立行政法人化」問題について、大学の特性に一定の配慮を払わざるを得ない表現も含まれていますが、その内容は何よりも「独立行政法人制度の下で、通則法の基本的な枠組みを踏まえ」たものであり、以下のように、黙過しえない重大な問題点をもっています。

 第1に、「大学の存廃など中長期的な在り方に関しては、国がより大きな責任を負うべきである。」という文脈に端的に示されるように、「国」と大学との関係においてこれまでにない形で「国」のリーダーシップが強調されていることです。
 このことは、「評価による資源配分」とあいまって、「国」の統制・誘導による大学の再編・淘汰に結びつく危険性をもっており、大学の自律性、自主性を高めるどころか、学問の自由と大学の自治をふまえた自律的改革に逆行するものと言わざるを得ません。

 第2に、上記と関連し、学長選考にあたって、「学外の関係者及び学内の代表者(評議員)からなる推薦委員会を設ける」等「選考方法の適正化を図る」ことに示されるように、この間の学長、評議会、教授会の見直しから更に踏み込んでいます。それは、自治の根幹である大学人による学長選挙を否定し、学問の自由と自治への干渉につながるものと言わざるを得ません。また、そのことは大学人がその社会的責務の自覚の下に、大学運営、学長選挙等への参加・体験を通じて主体的にその自律性を高めるという今日における自治の枠組みの確立への障害になるという危惧をもつものです。

 第3に、「提言」は、欧米では公的法人格をもつ大学が一般的としています。しかし、国立学校財務センターの「大学の設置形態と管理・財務に関する国際比較研究」(第一次中間まとめ、2000年1月)にもあるように、欧米の「大学法人」は政府からの独立、財政等の自律的基盤を保障されており、今回の「提言」にある「大学法人」とは根本的に異なるものです。少なくとも、大学改革の理念とその在り方についての提言ならば、欧米の「大学法人」制度の深い研究・分析も含めて真剣に検討すべきであり、これらの点を含め、「提言」は人類と地域社会の負託に応える高等教育の在り方を示すものとはなっていません。

 貴協会が「提言」のもつ重大な問題点をふまえ、独立行政法人通則法に基づく独立行政法人化反対という立場をふまえ、統一的対応を重視され、結論を急ぐことなく、大学・高等教育の今日的在り方について、引き続き深い検討を行われることを切に要望いたします。また、私どもも、連携し、真に自律性を有する高等教育充実にむけたとりくみを更にすすめることを表明する次第です。